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ココを押さえよう! 1 地域看護学 Ⅱ 29 健康教育・健康教室 健康教育の評価指標と保健行動については,毎回のように出題されています。評価指標 については各健康教室の目的が何なのかを考えてください。保健行動では,ウェルネス行 動,病気対処行動,予防的保健行動を中心に各々の内容を把握してください。また,健康教 育と保健活動に関する理論では,最近はヘルス・ビリーフ・モデルやグループワークが問わ れています。 健康教育の概念とテーマ 健康教育の概念 疾病や障害を予防し,より良い健康をめざすために生活習慣の改善(行動変容)を目的 として行うものです。行動変容のモデル・理論としては,プリシード・プロシードモデル (p.5参照)や後述する自己効力(感)(セルフ・エフィカシー)などが用いられています。 テーマ まず,対象集団の健康状態,生活状況,社会的・経済的背景についての情報を収集しま す。次いで,健康教育による改善の可能性を検討してニーズを把握し,優先して取り組む べきテーマを選定します。ただし,ニーズの把握とテーマの選定には,健康問題に取り組 む当事者の参加が原則です。また,保健師が担当地区の健康相談で把握した問題は,健康 教育で取り上げる問題として適しています。 計画の立案 テーマが決定したら,健康教育計画を立案します。この計画には,以下の項を明示する ようにします。 期待される効果 具体的な行動目標 目的を達成するために必要な学習方法と,スタッフや教材そして予算などの資源 効果が評価できる測定方法 健康教育は,当事者の参加が原則 評価には,効果の測定方法まで含ませる

C 健康教育・健康教室dヘルス・ビリーフ・モデル health belief model 1974年, ベッカー( M.H.Becker)により 提出 された 保健行動 のモデル

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Page 1: C 健康教育・健康教室dヘルス・ビリーフ・モデル health belief model 1974年, ベッカー( M.H.Becker)により 提出 された 保健行動 のモデル

ココを押さえよう! 1保健指導

地域看護学 Ⅱ 29

C 健康教育・健康教室

健康教育の評価指標と保健行動については,毎回のように出題されています。評価指標

については各健康教室の目的が何なのかを考えてください。保健行動では,ウェルネス行

動,病気対処行動,予防的保健行動を中心に各々の内容を把握してください。また,健康教

育と保健活動に関する理論では,最近はヘルス・ビリーフ・モデルやグループワークが問わ

れています。

1 健康教育の概念とテーマ

a 健康教育の概念

疾病や障害を予防し,より良い健康をめざすために生活習慣の改善(行動変容)を目的

として行うものです。行動変容のモデル・理論としては,プリシード・プロシードモデル

(p.5 参照)や後述する自己効力(感)(セルフ・エフィカシー)などが用いられています。

b テーマ

まず,対象集団の健康状態,生活状況,社会的・経済的背景についての情報を収集しま

す。次いで,健康教育による改善の可能性を検討してニーズを把握し,優先して取り組む

べきテーマを選定します。ただし,ニーズの把握とテーマの選定には,健康問題に取り組

む当事者の参加が原則です。また,保健師が担当地区の健康相談で把握した問題は,健康

教育で取り上げる問題として適しています。

c 計画の立案

テーマが決定したら,健康教育計画を立案します。この計画には,以下の項を明示する

ようにします。

�期待される効果

�具体的な行動目標

�目的を達成するために必要な学習方法と,スタッフや教材そして予算などの資源

�効果が評価できる測定方法

健康教育は,当事者の参加が原則評価には,効果の測定方法まで含ませる

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1保健指導

d ヘルス・ビリーフ・モデル health belief model

1974 年,ベッカー(M.H.Becker)により提出された保健行動のモデルの 1 つです。

罹病性(susceptibility;病気になる可能性)と重大性(severity;その病気に罹ったらど

れほど重大な状況になるのか)の「病気の認知」に関する 2 つの信念(ビリーフ belief)

と,利益性(benefits;保健行動をしてどれほど得するのか)と負担性(barriers;保健行動

がどれほど負担になるのか)の保健行動に関する 2 つの信念が,「勧められた保健行動」を

とる可能性を決定するというものです。

これら 4 つの信念のほかに,「行動のきっかけ」(マスコミからの情報や知人からの勧め)

や社会的因子(社会階層,性,年齢,知識など)も「病気の認知」や保健行動に影響します。

e ピアカウンセリング peer counseling

前述したように,ピアは英語の peer で,仲間・友達という意味です。ピアカウンセリ

ングの目的は,仲間の支援を受けて,参加者自らが問題解決策を発見することです。

したがって,ピアカウンセリングの場に立ち会う保健師はあくまでも補完的に協力する

ことがポイントとなります。つまり,保健師が仕切ってはいけません。

f ピアエデュケーション peer education

権威者が教えを垂れるのではなく,友達のような人が教えてくれる健康教育のことを指

します。教える役の人をピアエデュケーター peer educator といいます。

中高生や大学生などを対象とする,研修を受けた若年者のボランティアなどによる,エ

イズ感染予防のための種々の啓発活動がピアエデュケーションの例です。 

地域看護学 Ⅱ 35

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微細運動1歳 6か月で積み木を 2~3個積める

4 精神機能の発達言語,情緒・社会性,知能の発達がこれに該当します(図 3)。

3か月音がする方を見る

6か月人見知りする

12か月「ちょうだい」「おいで」などの大人の簡単な命令を実行できる

1歳コップでものが飲める

4歳色の区別ができる

6歳形(円・四角・三角)が区別できる

5歳ボタンをかけることができる

2歳三輪車をこげる

1歳6か月スプーンが使える

図3 言語・情緒・社会性の発達

地域看護学 Ⅱ40

2母子保健指導

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4高齢者保健指導

地域看護学 Ⅱ96

要支援→地域包括支援センター介護予防ケアプラン介護予防給付

c 地域包括支援センターと地域支援事業

1)地域包括支援センター保険者である市区町村または市区町村から委託を受けた法人が,介護保険事業計画で設

定した日常生活圏域(2~3 万人)に 1 か所ずつ設置する施設で,「地域支援事業」を行うも

のです(従来からあった在宅介護支援センターが地域包括支援センターに看板を付け替え

た例は相当数あると思われます)。

地域包括支援センターには,保健師(または経験のある看護師;介護予防ケアマネジメ

ント事業を担当),主任ケアマネジャー(包括的・継続的ケアマネジメント事業を担当),

社会福祉士(総合相談支援事業や権利擁護事業を担当)が職員として配置されます。

要介護認定の申請と更新の代行もします。市区町村は地域包括支援センター運営のた

め,地域包括支援センター運営協議会を設置します。

また,要支援 1 または 2 と認定された場合,地域包括支援センターが「介護予防ケアプ

ラン」の作成を支援することになります(介護予防支援)。保健師がその任に当たります。

ケアマネジャーにそれを依頼することもできますが,その場合,作成された「介護予防ケ

アプラン」が適正かどうか,地域包括支援センターがチェックします。

主任ケアマネジャー介護保険法改正により,新たに設けられた職種で,ケアマネジャーとして 5 年以上の実務経験

があり,かつ現任研修を終了した者がなります。地域のケアマネジャーに対し,指導・助言や情報提供を行います。

2)地域支援事業地域支援事業には,「必須事業」と「任意事業」があります。必須事業には「介護予防事

業」と「包括的支援事業」があります。任意事業(市区町村が行うか否かを決定)には,「介

護給付費等費用適正化事業」,「家族介護支援事業(家族介護教室,家族介護者交流事業な

ど)」などがあります(表 10 参照)。

地域包括支援センターの職員保健師,主任ケアマネジャー,社会福祉士

地域包括支援センターは地域支援事業つまり介護予防事業と包括的支援事業

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地域看護学Ⅲ172

1地域保健活動

4 地区活動の効果判定(評価指標)具体的な目標としては,罹患状況の変化や,有病率の改善,保健事業への参加者数な

ど,数値化できるものが用いられます。

そのほか,生活習慣の改善(例:たばこをやめた,偏食がなくなった,運動習慣がつい

た)や住民の共同活動の発展段階(例:セルフヘルプグループの結成)など,個人的な要

素も指標として用いられます。

地区活動の効果判定は罹患状況・有病率の変化など,数値化できるもので行う

5 地域看護管理地域での活動を行うためには,以下のような管理すべきポイントがあります。

�業務管理:業務の計画から遂行までの状況についての把握・管理がこれに当たります。

日常業務で使用している機器や書類のメンテナンスや変更(形式および内容)もこれに

含まれます。

�人事管理:人材の配置・職場における人間関係の管理

�施設管理:施設の整備・維持管理

�地域管理:地域の実態把握・各種団体間の関係調整

�情報管理:個人情報の保護と活用

�予算管理:行政が実施する事業に対する予算の編成と執行,決算・議会などへの報告,

公表

�健康危機管理:災害や新型感染症の流行など,何か好ましくないことが起こった場合に

なされる管理が健康危機管理で,想定外の事態が発生した場合,地域住民の健康被害を

最小限にすることを指します。このためには,平時から体制を整備しておく必要があ

り,危機が起こった場合にはそれへの適切な対応が求められ,危機が去った後の復旧期

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ココを押さえよう!

4災害と保健活動

D 災害支援の関係法規

災害支援の基本法について最近問われることが多くなっています。まず押さえるべきポ

イントは防災計画の作成を規定している災害対策基本法です。

災害救助法は仮設住宅や食料供給災害対策基本法は防災計画の作成

地域看護学Ⅳ226

表 3 主な災害支援の関係法規

法律名・制定年 目的・内容

災害救助法1947 年(昭和 22 年)

�災害が起こった際の公的救助(応急仮設住宅を含む収容施設の供与,住宅の応急修理,食品・飲料水の供給,医療・助産,被災者の救出など)などを規定

�救助の責任者は都道府県知事�都道府県による災害救助基金の積み立て

災害対策基本法1961 年(昭和 36 年)

�1959 年(昭和 34 年)の伊勢湾台風を契機として制定�災害時における医療の確保�自然災害のみならず,火事や爆発なども含む災害から国民の生命・財産を保護

するための体制の確立,防災計画の作成,災害予防,応急対策,災害復旧,防災に関する財政金融措置を規定

災害弔慰金の支給等に関する法律1973 年(昭和 48 年)

�暴風・豪雨・豪雪・洪水・地震・津波などの異常な自然現象によって,死亡した者の遺族に対して災害弔慰金の支給,精神または身体に著しい障害を受けた者に対して災害傷害見舞金の支給,被害を受けた世帯の世帯主に対して災害援護資金の貸付などを規定

大規模地震対策特別措置法1978 年(昭和 53 年)

�静岡県などの東海地域やその周辺地域が地震防災対策強化地域に指定�指定地域での観測体制の強化,地震防災訓練の実施,警戒宣言発令時の地震災

害警戒本部(国,都道府県,市町村それぞれの)の設置を規定地震防災対策特別措置法1995 年(平成 7年)

�阪神・淡路大震災を受けて,全国における地震防災対策の推進を目的とする。�都道府県による地震防災緊急事業 5か年計画の策定(現在は,2006 年度を初年

度とする第 3次)�避難地,避難路,消防用施設の緊急整備

被災者生活再建支援法1998 年(平成 10 年)

�阪神・淡路大震災を契機として制定�自然災害(地震,洪水,豪雪など)により生活基盤に著しい被害を受けた人に,被災者生活再建支援金を支給し,自立した生活の開始を支援するのが目的

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は 7.3%,薬局調剤医療費は 15.0%,訪問看護医療費はわずか 0.2%です。

なお,一般診療医療費を病院医療費と一般診療所医療費に分けた場合,病院医療費が一

般診療所医療費を大きく上回っています。

5 傷病分類別一般診療医療費2007 年(平成 19年)度の一般診療医療費を傷病分類別にみると,最も多いのは循環器

系の疾患(21.2%)で,次いで新生物(12.0%),腎尿路生殖器系の疾患(8.3%),呼吸器系

の疾患(8.3%),精神及び行動の障害(7.6%)となっています。

高血圧の患者は約 800 万人,糖尿病は約 240 万人,虚血性心疾患は約 80万人います(平

成 20年患者調査)。これだけたくさん患者がいると,循環器系の疾患の医療費が高くなる

のも無理はありません。なお,新生物は約 150 万人です。

65歳以上の場合も,最も多いのは循環器系の疾患,次いで新生物となっています。

薬局調剤医療費15.0%

図3 診療種類別国民医療費(平成19年)

入 院医療費36.9%

入院外医療費38.2%

歯科診療医療費7.3%

訪問看護医療費0.2%

一般診療医療費75.1%

入院時食事・生活医療費 2.4%

その他42.6% 新生物

12.0%

腎尿路生殖器系の疾患 8.3%

呼吸器系の疾患 8.3%

循環器系の疾患21.2%

精神及び行動の障害7.6%

図4 傷病分類別一般診療医療費(平成19年度)

保健医療福祉行政論252

1衛生行政の制度と法規

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疫学・保健統計270

1疫 学

施策を立てることになります。

× 5 喫煙の疾病 C に関する相対危険度は 1.2 です。

正解 4

相対危険度は発生率の比,個人としての危険度寄与危険度は発生率の差,集団としての危険度

3)人口(集団)寄与危険割合集団には,一般に問題の要因をもっている人たち(曝露群)と,もっていない人たち(非

曝露群)が混在しています。このため,罹患率(死亡率)は両者の中間の値となります。

言い換えると,集団全体の罹患率(死亡率)が非曝露群より大きい場合,それは曝露群

が存在するからである,ということになります。この上昇分が,集団全体の罹患率(死亡

率)の何%に相当するかを表すのが,人口(集団)寄与危険割合です。

例題(97 回改)

人口 10 万人当たりの年間の肺がん死亡率が,喫煙者では 100,非喫煙者では 20,

集団全体では 50 であった。人口(集団)寄与危険割合はいくらか。

解説

集団全体では 50 で,非喫煙者(非曝露群)では 20 だったので,30(=50-20)だけ上昇

したことになります。もちろん,この上昇分は,喫煙者(曝露群)が存在するためで,

30÷50=0.6,つまり集団全体の肺がん死亡率の 60%は喫煙者(曝露群)の「責任」である,

ということになります。

本問を解く際には,喫煙者の死亡率の 100 は無関係です。「寄与危険割合」(人口寄与危険

割合ではない)を出す場合には,(100-20)÷100=0.8 で 80%となります。

正解 60%

4)コホート研究の細かい分類●前向きコホート研究

狭い意味でのコホート研究で,研究のスタートの時点では「喫煙習慣がある」,「肉食を好

む」などの情報があるだけで,疾患の罹患などについてのデータはこれから入手しなけれ

ばなりません。今,仮にこのデータ入手を「調査」と呼ぶことにしますと,研究のスター

トの時点と調査のスタートの時点は同じです。

●後ろ向きコホート研究

「前向きコホート研究の調査のスタートラインを,過去にもっていったもの」と理解し

てください。つまり,研究のスタートの時点では,もう 10 年なら 10 年,調査がスタート

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× 4 8,998/9,000 は,検査陰性者に占める真陰性者(検査陰性で疾病なし)の割合で,陰

性予測値です。

× 5 8,998/9,990 は健康者に占める真陰性者の割合で特異度です。

正解 1

例題

ある疾患の有病率が 10%の集団に新しいスクリーニング法を実施したところ陽性

者が 18%となった。その後の精密検査により,陽性者のうち真の有病者の割合(陽性

予測値)が 40%であることが判明した。

このスクリーニング法の敏感度および特異度は何%か。

解説

計算問題では対象者数を 1,000 人とするとうまく解けることが多い。解法のテクニック

に従って四分表を埋めていき,順序正しく解けば正解が得られます。

<解法のテクニック>

①1,000 人の対象集団で,有病率が 10%なので,患者数は 100 人である。

余白を埋めると

②陽性者が 18%ということは,対象者 1,000 人のうち 18%の 180 人が,この検査で陽性

を示したということである。

余白を埋めると

疫学・保健統計 283

1疫 学

陽性 陰性 計

疾病

あり 100なし

計 1,000

陽性 陰性 計

疾病

あり 100なし 900

計 1,000

陽性 陰性 計

疾病

あり 100なし 900

計 180 1,000

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2保健統計

平均+2標準偏差の範囲には,47.73%が含まれる。

平均+1.96 標準偏差の範囲には,47.5%が含まれる。

平均±1.96標準偏差の範囲には,95%が含まれる(47.5×2)。

平均±2.58 標準偏差の範囲には,99%が含まれる(49.51×2)。

正規分布では平均±1.96 標準偏差の範囲に 95%が含まれる

受験偏差値は平均を 50,標準偏差を 10 としてあります。偏差値 70 は,正規分布に換

算すると,平均+2 標準偏差に相当します(70=50+2×10)。平均+2 標準偏差の範囲に

は,47.73%が含まれるので,受験生 1 万人中の順位は,227 番目程度となります(図 4)。

以上,もっと簡単には,偏差値 70,つまり平均から 2標準偏差離れた位置にある受験生は

100人中 3番で(それ以上の領域に 2人含まれる),偏差値 60,つまり平均から 1標準偏差

離れた位置にある受験生は 100人中 16番(それ以上の領域に 15人含まれる),と記憶して

おけば,これらの組合せで,多少の誤差はあるものの,国試レベルの問題は十分解けます。

例えば,平均+1 標準偏差と+2 標準偏差の間には,15-2 で 13 人いると推測できま

す。また,平均-1 標準偏差と+2 標準偏差の間なら,-1 標準偏差より下位には 15

人,+2 標準偏差より上位には 2 人いるため,100-15-2 で 83 人いると推定でき,この

数字に近い選択肢を選べばよいです。

ちなみに,臨床検査では通常,正常者の平均から 2 標準偏差以上離れた値を異常値とし

ています。

例題(92 回)

ある集団 1,000 人の体重を測定した結果,平均値 55kg,標準偏差 5kg で正規分布

を示した。

正しいのはどれか。

1 中央値は平均値よりも大きい。

2 55kg から 65kg の範囲におよそ 339 人いる。

3 60kg 以上の人はおよそ 49 人である。

4 45kg 以下の人はおよそ 23 人である。

図4 偏差値

50

偏差値70を超える部分には,全体の2.27%が入る。

70

47.73%

2.27%

疫学・保健統計294