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平成28年度 質の高いエネルギーインフラシステム海外展開促進事業 インフラ分野に係る「実証・テストマーケティング事業」 実施可能性調査 ファイナルレポート 株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 社会システムコンサルティング部 100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ 20172

平成28 インフラ分野に係る「実証・テストマーケティング事 …平成28年度質の高いエネルギーインフラシステム海外展開促進事業 インフラ分野に係る「実証・テストマーケティング事業」

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平成28年度 質の高いエネルギーインフラシステム海外展開促進事業

インフラ分野に係る「実証・テストマーケティング事業」

実施可能性調査

― ファイナルレポート ―

株式会社野村総合研究所コンサルティング事業本部社会システムコンサルティング部

〒100-0004

東京都千代田区大手町1-9-2

大手町フィナンシャルシティ グランキューブ

2017年 2月

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目次

1.有望な技術の抽出

1-1. 新興国ドナーや開発金融機関の制度金融の把握・整理

1-2. 有望な技術の調査・収集

2.優先事業の選定

2-1. 検討委員会の開催

2-2. スクリーニング基準(1次、2次)

2-3. 選定技術概要

3.優先事業の実施可能性検討(現地調査結果)

3-1. インドネシア調査結果

3-2. インド調査結果

3-3. ミャンマー調査結果(廃棄物処理)

3-4. ミャンマー調査結果(通信)

3-5. ベトナム調査結果

4.「実証・テストマーケティング事業」の仕組み検討

4-1. 海外政府への営業段階における課題と施策

4-2. 企業から経産省への案件持込・スクリーニング段階における課題と施策

4-3. 案件の可能性検討段階における課題と施策

5.略語集

・・・ 3

・・・ 4

・・・10

・・・16

・・・17

・・・18

・・・29

・・・34

・・・35

・・・41

・・・52

・・・57

・・・63

・・・67

・・・70

・・・71

・・・72

・・・74

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1.有望な技術の抽出

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4Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.

ADB, IFCのNon-Sovereign案件を中心に、新技術を活用した案件情報を把握した。

1-1. 新興国ドナーや開発金融機関の制度金融の把握・整理

特に、JICAの取組と比較して、先進事例として示唆が得られると考えられるADB及びIFCのNon-sovereign案件について、重点的に把握。

開発金融機関 プロジェクトデータベース

アジア開発銀行(ADB)

ADB Project Records

国際金融(IFC) IFC Project List

開発金融機関とそのプロジェクトデータベース

分野 対象国 プロジェクト名 主要導入技術

交通

パキスタン

Post-Flood National

Highways Rehabilitation

Project

災害時の復旧対策プログラム

インドUttar Pradesh Major

District Roads

Improvement Project

道路寿命延長のためのメンテナンスプログラム

ミャンマー

Road Sector Governance

and Maintenance Project道路アセットマネジメント

エネルギー

ウズベキスタン

Power Generation

Efficiency Improvement

Project

ガスコンバインドサイクル発電

スリランカ

Wind Power Generation

Project風力発電

バングラデシュ

Power System

Enhancement and

Efficiency Improvement

Project

スマートメーター、需要サイドエネルギー効率化、太陽光発電

水 フィジーUrban Water Supply and

Wastewater Management

Project

水量等メーター、ポンプ強化、環境規制見直し

プロジェクトデータベース(アジア開発銀行)からのプロジェクト事例及び主要導入技術

出所)ADB

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5Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.

アジア開発銀行については、データベース(約5,000件収録)の案件情報を整理し、インフラに係る技術の活用状況を把握した。

“ADB project records”は、ADBが過去に支援(融資、出資、技術協力等)を実施/実施予定の案件のデータベースである。

本データベースは下記表に記載した軸によって整理されており、各分野・地域を網羅して、約5,000件が登録されている。

案件概要の内容を精査し、新技術等の使用状況に係る記載有無、記載傾向を把握(記載がない案件も多数)。

アジア開発銀行のデータベースに記載されている情報の概要

整理軸 カテゴリー(カッコ内の数字は各カテゴリーに該当する案件数)

実施国

Regional(一カ国以上にまたがるプロジェクトの場合に選択される)(949), Afghanistan (108), Armenia (42), Azerbaijan (52), Bangladesh (244),

Bhutan (64), Cambodia (161), China, People's Republic of (604), Cook Islands (13), Fiji (22), Georgia (42), India (453), Indonesia (181),

Kazakhstan (52), Kiribati (11), Kyrgyz Republic (79), Lao People's Democratic Republic (134), Malaysia (5), Maldives (40), Marshall Islands (14),

Micronesia, Federated States of (17), Mongolia (163), Myanmar (56), Nauru (12), Nepal (182), Pakistan (219), Palau (9), Papua New Guinea

(73), Philippines (151), Samoa (31), Solomon Islands (33), Sri Lanka (164), Tajikistan (76), Thailand (41), Timor-Leste (39), Tonga (24),

Turkmenistan (6), Tuvalu (12), Uzbekistan (112), Vanuatu (17), Viet Nam (288)

分野Agriculture, natural resources and rural development (794), Education (401), Energy (889), Finance (590), Health (262), Industry and trade

(275), Information and communication technology (88), Multisector (45), Public sector management (1001), Transport (1121), Water and other

urban infrastructure and services (736)

対象 Sovereign (4747), Non-sovereign (250)

援助手法 Technical Assistance (3301), Loan (1414), Grant (546), Private Sector Loan (213)

ステイタス Active (621), Approved (1169), Closed (427), Dropped / Terminated (25), Proposed (213)

案件概要 Over view, Data sheet, Document

1-1. 新興国ドナーや開発金融機関の制度金融の把握・整理

出所)ADB

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制度金融や新興国ドナーのHPから案件リストを作成した。

1-1. 新興国ドナーや開発金融機関の制度金融の把握・整理

カテゴリー プロジェクト名承認された年度

対象国 事業概要(特徴)

ICT

E-Government for Effective

Public Management 2014Uzbekistan

E-Governmentを推進することにより政府のガバナンス、透明性や迅速な情報提供を実現

Malaria and Dengue Risk

Mapping and Response

Planning in the Greater

Mekong Sub region

2014Greater Mekong

Sub region

ヒトの移動をGISや携帯電話を用いて可視化することでヒトの移動によるマラリアやデング熱の感染拡大を防止

Energy

Qingdao Smart Low-Carbon

District Energy Project 2015

China, People's

Republic of

エネルギー供給源を非石炭由来の太陽熱発電などに転換

Akmola Electricity Distribution

Network Modernization and

Expansion Project

2013Kazakhstan主に最新型のT&D機器を導入することで電力システムの信頼性向上を実現

Water and

other urban

infrastructure

and services

Dhaka Environmentally

Sustainable Water Supply

Project

2013Bangladesh上水のための原水を河川から吸い上げるためのポンプを導入

出所)ADB

ADBのデータベースから対象事業(新技術関連)を抽出する際の条件は下記のとおり

PJ名から新技術を導入していると考えられること

2013年度以降に実施されていること

キャパビル等技術やサービスの移転に直接関係ない案件ではないこと を案件抽出の条件とした。

ADBデータベースから抽出した技術の例

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ご参考)ADBのproject recordsの個別案件ごとに整理されている情報のイメージ

前頁の事業概要の抽出元

1-1. 新興国ドナーや開発金融機関の制度金融の把握・整理

出所)ADB

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実績数や融資/出資金額の規模を踏まえ、風力発電、地域熱供給、LNGバス等の案件を抽出した。

ADB, IFCのnon-sovereign案件実績では、風力発電関連案件が比較的多く確認された。

加えて、新技術という観点からは、地域熱供給、LNGバス/CNGバスが複数確認され、金額規模の面でも本件等に合致すると考えられる。

風力発電

無電化地域におけるSMSを活用した従量課金制の太陽電池

地域熱供給(冷房)※冷水製造プラントと送水管の導入

LNGを燃料とするバス、CNG(compressed natural gas、 圧縮天然ガス)を燃料とするバス

電子決済システム

8件

2件

2件

2件

1件

20~1,837(million USD)※約5,290(million USD)の案件もあるが誤記の可能性あり

2~6(million USD)

120(million USD)

100(million USD)

25(million USD)

案件実績数 融資/出資金額の規模

ADB/IFCのDBから抽出した本検討に適していると考えられる案件の比較表(2013年以降のプロジェクトのみ)※次ページに各案件の詳細を記載

• 実績数が他の技術と比較して多い• 金額規模にばらつきがある• 風力発電以外の発電種と組み合わ

せた案件も見受けられる

• 金額規模が小さい• 小規模の海投ならば適用可能性あ

• 円借款の対象金額にフィットした規模感の実績がある

• 円借款の対象金額にフィットした規模感の実績がある

• 機器売りではなくリースなどの手法を活用している実績がある

• 金額規模が比較的小さい• 小規模の海投ならば適用可能性あ

備考

1-1. 新興国ドナーや開発金融機関の制度金融の把握・整理

出所)ADB,IFC

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ADB/IFCのDBから抽出した、本件に適していると思われる技術が関係するプロジェクト実績(2013年以降の案件のみ)。

導入技術 プロジェクト名 企業名 国 融資/出資金額

風力発電 Mytrah Wind and Solar Power Development Project Mytrah Vayu (Ravalpalli) Pvt. Limited 他7社 India 64(Million - USD)※ADB loan

Northeastern Thailand Wind Power Project(260MW) BANCHUAN DEVELOPMENT 他6社 Thailand 約5,290 (Million - USD)※ADB loan

(単位がバーツの間違いである可能性が高い。その場合、約158(Million USD))

150-Megawatt Burgos Wind Farm Project EDC BURGOS WIND POWER CORPORATION Philippines 20. (Million - USD)※ADB loan

Subyai Wind Power Project CHAIYAPHUM WIND FARM CO. LTD.他1社 Thailand 1,837 (Million - USD)※ADB loan

Solar and Wind Power Development Project WELSPUN RENEWABLES ENERGY LIMITED India 50 (Million - USD)※ADB equity

investment

Hydro and Wind Power Development Project NSL RENEWABLE POWER PRIVATE LIMITED India 30 (Million - USD)※ADB equity

investment

WIND FARMS PRIVATE LIMITED (CWFPL) - Samana

Phase II and the Saundatti Project

CLP WIND FARMS PVT. LTD India 60(Million - USD)※ADB loan

Envision Envision Energy (Jiangsu) Co., Ltd. Shanghai

Branch

China 50(Million - USD)※IFC Loan

無電化地域におけるSMSを活用した従量課金制の太陽電池

Off-Grid Prepaid Solar Leasing Project SIMPA ENERGY INDIA PRIVATE LIMITED India 6 (Million - USD)※ADB loan

Off Grid Pay-As-You-Go Solar Power OFF-GRID PAY-AS-YOU-GO SOLAR PROJ SIMPA

NETWORKS

India 2 (Million - USD)※ADB equity investment

地域冷房(冷水製造プラントと送水管の導入)

Yangon Urban Renewal and District Cooling

Project(Energy)

MEEYAHTA DEVELOPMENT LIMITED Myanmar 120(Million - USD)※ADB Loan & political

risk guarantee

Yangon Urban Renewal and District Cooling

Project(Water and other urban infrastructure and

services)

LNGを燃料とするバス、CNG(compressed

natural gas、 圧縮天然ガス)を燃料とするバス

LOAN PROGRAM FOR CLEAN BUS LEASING - FAR

EAST HORIZON LIMITED

INDUSTRIAL BANK FINANCIAL LEASING

EVERBRIGHT FINANCIAL LEASING CO.

FAR EAST HORIZON LIMITED

China 100 (Million - USD)※ADB loan

LOAN PROGRAM FOR CLEAN BUS LEASING -

EVERBRIGHT FINANCIAL LEASING (EFL)

非公開

電子決済システム Kartuku MULTI ADIPRAKARSA MANUNGGAL, PT Indonesia 25(Million - USD)※Total IFC investment

1-1. 新興国ドナーや開発金融機関の制度金融の把握・整理

出所)ADB,IFC

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下記の観点及びソースから、情報収集・ヒアリング先企業を発掘した。

他の国内実証事業(国交省等)で取り扱われたが、海外への展開にはまだ注力していない新技術・システム

1-2. 有望な技術の調査・収集

ADB, IFCのnon-sovereign案件の対象となった実績のあるものと同種の新技術・システム

民間企業側からMETI側への情報提供があった技術・システム

業界団体への依頼により情報収集した新技術・システム

ヒアリング先で追加の情報提供があった新技術・システム

経済産業省や国土交通省が公表している各種ロードマップに記載されている技術・システム

JICA案件や環境省案件で実績がある技術・システム

厚生労働省などが公表している技術・システム

新興国ドナーの現状

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他の国内実証事業で取り扱われたが、海外展開がまだ本格化していない新技術・システム等を、下記の情報収集先から抽出した。

1-2. 有望な技術の調査・収集

関連省庁 情報収集先名称 概要

中小企業庁中小企業技術革新挑戦支援事業補助事業集(2014年度~2015年度)

中小企業者が、自らの有している技術を積極的に活用し、新たな事業につなげていく機会を提供することを目的に、各府省で実施される中小企業向け技術開発(研究開発事業や実証研究事業等)の前段階として、技術開発課題に関する探索研究・実証実験(F/S)を支援するもの

国土交通省

平成26年度社会インフラへのモニタリング技術の活用推進に関する技術研究開発に係る公募

社会インフラの維持管理にセンサ等を活用してインフラの状況を客観的に把握するモニタリング技術について、産学官が連携しながら、現場実証を通じてその有効性を評価・分析すること等により技術開発等を推進するもの。

平成27年度次世代社会インフラ用ロボット現場検証

維持管理(橋梁、トンネル、水中) 及び 災害対応(調査、応急復旧)に役立つ技術として、「現場検証・評価」の対象とする「ロボット技術・ロボットシステム」を募集。

国土交通省の直轄現場等において、現場検証・評価を行い、その技術の実用性を確認し、その結果を踏まえ、活用、開発・改良を促進

NETIS(新技術情報登録システム)登録技術

新技術に関わる情報の共有及び提供を目的として、国交省が整備した新技術情報提供システム(New Technology Information System:NETIS)。3000件以上が収録されているが、施工技術に係るものが多いことに留意が必要。

農林水産省

農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業(2014年度~)

意欲ある農業法人と先端技術を有する経済界の企業等が連携して行う、低コスト生産技術体系の確立やICTを活用した効率的生産体系の構築、低コストの農業機械開発、農業経営における新しいビジネスモデルの開発などの先端モデル農業の確立に向けた取組を支援するもの

農業新技術(2007年度~2014年度)

農業の競争力強化、農産物の安定供給・自給率向上等の課題の解決に向けて、開発された技術を生産現場に迅速に普及・定着させるため、近年の研究成果のうち、早急に現場への普及を推進する重要なものを毎年選定のうえ、公表しているもの

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インフラに係る技術・システムの全体像を把握するため、経産省:技術戦略マップ(該当分野)や、国交省:国土交通省技術基本計画を活用した。

1-2. 有望な技術の調査・収集

関連省庁 情報収集先名称 概要

経済産業省

技術戦略マップ2010(計量・計測システム分野)

2005~2010年にかけて、NEDO・産総研等の協力を得て策定・公表していた、国家的に重要な産業技術を俯瞰する資料

技術戦略マップ2010(エネルギー分野)

技術戦略マップ2010(グリーン・サステイナブルケミストリー分野)

国土交通省

国土交通省技術基本計画(H24~H28)

国土交通省の技術政策の基本方針を明示し、今後取り組むべき技術研究開発や技術の効果的な活用方策、重点プロジェクトの推進、国際展開、人材の育成等の取組を示すもの

下記の計画に掲載された技術等のうち、円借款/海外投融資の規模感に合致と考えられるもの、海外展開/海外展開の検討に係る事例があるものを重点的に把握。

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JICAや環境省のプロジェクト実績からも新技術・システムを抽出した。

1-2. 有望な技術の調査・収集

機関 情報収集先名称 概要

JICA 民間技術普及促進事業 途上国の政府関係者を主な対象とする研修や現地セミナー等を通じて、日本企業が持つ優れた製品、技術、システム等への理解を促すと共に、開発への活用可能性の検討を行うもの

本邦技術活用条件(STEP)適用案件・官民連携案件

円借款の対象国であり、OECD ルール上タイド借款が供与可能な国に対し、本邦技術の活用を条件に低利の有償資金協力を行うもの

中小企業海外展開支援-普及・実証事業-

中小企業からの提案に基づき、製品・技術に関する途上国の開発への現地適合性を高めるための実証活動を通じ、その普及方法を検討するもの

ODAプロジェクト一覧:無償資金協力(2011~2016)

開発途上国に資金を贈与し、開発途上国が経済社会開発のために必要な施設を整備したり、資機材を調達したりすることを支援する形態の資金協力

環境省 環境技術実証事業(2003年度~) 既に実用化された先進的環境技術の中で、環境保全効果等について客観的立場から示された情報がないために普及が進んでいないものに対して、第三者機関(実証機関)が実際の現場等で実証し、その結果を環境省ウェブサイト等で公表することで、環境技術の普及を支援し、環境保全に資することを目的とするもの

途上国向け低炭素技術イノべーション創出事業(2014年度~)

途上国におけるエネルギー起源二酸化炭素排出抑制のため、途上国の特性を踏まえた普及可能性の高い低炭素技術の開発(リノベーション)及び実証を行う民間団体等に対し、当該費用の一部を補助するもの

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医療などに関連する情報源からも幅広く新技術・システムを抽出した。

1-2. 有望な技術の調査・収集

関連省庁 情報収集先名称 概要

厚生労働省 先進医療技術リスト厚労省が取りまとめを行った、先進医療の各技術の概要を取りまとめたもの

警察庁(科学警察研究所)

各研究室研究開発ページ生物学、医学、化学、薬学、物理学、農学、工学、社会学、教育学、心理学等の知見を活用した、犯罪科学に関する総合的な研究機関である科学警察研究所の各研究室の紹介ページ

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ADB, IFCのnon-sovereign案件の対象となった実績のあるものと同種の新技術・システムを抽出した。

1-2. 有望な技術の調査・収集

風力発電

無電化地域におけるSMSを活用した従量課金制の太陽電池

地域熱供給(冷房)※冷水製造プラントと送水管の導入

LNGを燃料とするバス、CNG(compressed natural gas、 圧縮天然ガス)を燃料とするバス

電子決済システム

8件

2件

2件

2件

1件

20~1,837(million USD)※約5,290(million USD)の案件もあるが誤記の可能性あり

2~6(million USD)

120(million USD)

100(million USD)

25(million USD)

案件実績数 融資/出資金額の規模

(再掲)ADB/IFCのDBから抽出した本検討に適していると考えられる案件の比較表(2013年以降のプロジェクトのみ)

• 実績数が他の技術と比較して多い• 金額規模にばらつきがある• 風力発電以外の発電種と組み合わ

せた案件も見受けられる

• 金額規模が小さい• 小規模の海投ならば適用可能性あ

• 円借款の対象金額にフィットした規模感の実績がある

• 円借款の対象金額にフィットした規模感の実績がある

• 機器売りではなくリースなどの手法を活用している実績がある

• 金額規模が比較的小さい• 小規模の海投ならば適用可能性あ

備考

出所)ADB,IFC

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2.優先事業の選定

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専門的観点から公平に技術・事業を選定するため、案件選定委員会を設置し、現地調査対象案件のスクリーニング・絞込み時にご助言をいただいた。

新技術・システム等に係る案件情報収集

一次スクリーニング

第一回現地調査(基本的ニーズ調査)【5件程度】

優先事業の選定

第二回現地調査(実施可能性の検討)【2件程度】

結果とりまとめ、次年度事業の準備

1.調査事業の流れ

委員会

委員会

○第一回案件選定委員会・一次スクリーニング結果の検討・第一回現地調査の対象案件を選定

○第二回案件選定委員会・第二回現地調査の対象案件を選定・案件形成に向けた課題検討

7~9月 9~10月 10月 10~11月 11~12月 12~1月 1~2月12月

2.選定委員

2-1. 検討委員会の開催

委員の選定基準としては、出口となる円借款、海投等の資金協力スキーム及びその実行プロセスへの理解があり、将来的な資金協力の対象案件として、来年度以降の準備調査等に選定対象とするにあたっての課題を指摘できる知見をお持ちであることを重視した。

一方、特定の企業やそれと繋がりの深い学識者はむしろヒアリング対象として位置づけているため、委員候補者に含めない方針とした。

所属 議論の観点 専門性

大学院経営管理研究科 途上国の課題解決につながる技術か 技術を用いたどのようなビジネスモデルか

途上国ビジネス、インフラ技術

国際金融機関 国際金融機関の資金支援が可能な技術か 諸外国の技術との比較で先導性はあるか

国際機関の観点からのインフラ案件形成

国際協力機関 当該技術を活用した案件の規模や性質が、円借款

や海外投融資の対象たりうるか資金協力手法等

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1.技術等シーズの革新性・先導性 (配点合計 45点)

【革新性】競合技術との比較優位/劣位(技術面)(15点)

競合技術を用いた設備等に比べた性能面の優位を定量的に説明可能で、著しい効果が認められる(15点)

競合技術を用いた設備等に比べた性能面の優位を定量的に説明可能で、一定度の効果が認められる(7点)

競合技術を用いた設備等に比べた性能面の優位を定量的に説明できない(0点)

【革新性】競合技術との比較優位/劣位(コスト面) (10点)

競合技術を用いた設備等に比べたコスト面の優位を定量的に説明可能で、著しい効果が認められる(10点)

競合技術を用いた設備等に比べたコスト面の優位を定量的に説明可能で、一定度の効果が認められる(5点)

競合技術を用いた設備等に比べたコスト面の優位を定量的に説明できない(0点)

【先導性】当該技術を用いた円借款等の既往案件の有無(10点)

これまでの円借款、海外投融資全般に加え、同種技術を用いた既往案件がない(10点)

他の国における円借款、海外投融資案件において、同種技術を用いた既往案件がある。(5点)

同じ国・地域で実施された円借款、海外投融資案件において、同種技術を用いた既往案件がある(0点)

【先導性】関連する周辺事業への拡大可能性、ビジネスモデル上の工夫(10点)

当該施設周辺の事業への広がりや、インフラ運営等を通じた長期的なコミットを通じた現地の社会経済へのインパクトが具体的に想定される。(10点)

上記が想定されるが具体性が不足している。(5点)

上記が想定されない。(0点)

2.現地ニーズの把握状況 (配点合計 15点) ※現地調査で詳細を把握するため、現段階の配点は抑制

現地の社会問題解決に貢献(15点)

現地のインフラ整備計画や、日本と合意した外交文書等に、社会問題や当該技術等の導入に関する裏づけの記載あり(15点)

当該企業が、新技術等を用いて解決すべき、現地における社会問題を具体的に把握している(7点)

特になし(0点) ※当該企業から、別途参考資料、現地調査結果等の情報提供があった場合には、内容によって加点する。

一次スクリーニングにおける採点基準 (1: ニーズとシーズの観点)

2-2. スクリーニング基準(1次)

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3.当該企業の意向 (配点20点)

進出先国、都市の具体性(10点)

進出先国だけでなく、都市・地域名までが確定している(10点)

進出先国の意向があるが都市・地域名が未定(5点)

意向がない(0点)

企業の参画意向の強さ (10点)

今年度に進出先を絞り込む意向があり、現地での同行、現地拠点の紹介等が可能(10点)

現地での同行、現地拠点の紹介等が可能か不明瞭(5点)

意向がない(0点) ★「実証テストマーケティング事業」の趣旨に反するため本項目が0点の案件は除外

4.資金協力スキームとの適合性 (配点20点)

金額規模の適合性(10点)

将来的に、100億円以上の規模の案件受注に繋がる可能性がある(10点)

将来的に、数十億円規模の案件受注に繋がる可能性がある(5点)

10億円以下の金額規模にとどまる(0点) ★「実証テストマーケティング事業」の趣旨に反するため本項目が0点の案件は除外

分野の適合性(5点)

これまでの円借款、海外投融資の実績がある分野(5点)

これまでの円借款、海外投融資全般の実績はないが、今後適用される可能性がある分野(3点)

適用されないことが明らかな分野(0点) ★「実証テストマーケティング事業」の趣旨に反するため本項目が0点の案件は除外

供給プロセスの適合性(5点)

総事業費のおよそ5割以上を日本国内で製造した製品が占める(5点)

総事業費のおよそ1割以上を日本製品が占める(3点)

日本製品が占めるのは総事業費のおよそ1割以下(0点)

一次スクリーニングにおける採点基準 (2:企業の意向と資金協力スキームの適合性)

2-2. スクリーニング基準(1次)

加えて、事業の性質上、試行的事業を小規模に実施できない案件も除外

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ご参考)JICA「開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」審査基準

下記は技術の公募に対する民間からの提案様式を採点するものであることに留意が必要(例:今回は、3.実施計画の評価は不要 等)。

2-2. スクリーニング基準(1次)

出所)JICA

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ご参考) 本邦技術活用条件(STEP)における「本邦技術」の条件(原産地ルール)

出所)国際協力機構「本邦技術活用条件(STEP)にかかる運用ルール」

基本的な考え方

詳細な定義

(資機材)

以下のア)またはイ)を満たす技術は日本原産として本邦調達比率(最低30%)に算入可能。ア) 工法等の面で我が国企業の優れた技術の活用が期待される案件(日本を原産とする資機材等を算入可能。)イ) 資機材やプラント等の設置が主な目的であり、資機材の面で我が国技術の活用が期待される案件

資機材の最終組み立て(機械等)や最終精製・加工(原料・資機材)を日本で行う場合以外にも、以下のア)~ウ)のうち、いずれかに該当する場合には、当該資機材の価格を本邦調達比率に算入可能ア) 借入国に存する日系製造業者(以下の要件を全て満たす企業)

○本邦企業が10%以上出資し、かつ第三国からの出資比率が当該本邦企業からの出資比率を上回っていないこと。○借入国で法人登録していること。○借入国に財及びサービスの生産・提供のための適切な設備・施設を持っていること。○実際に借入国でビジネスを行っていること。

イ) 借入国以外の開発途上国に存する日系製造業者(以下の要件を全て満たす企業)○本邦企業が1/3 以上出資し、かつ日本及び所在国以外の国及び地域からの出資比率が当該本邦企業からの出資比率を上回っていないこと。

○ DAC リストに掲載されている国及び地域に存すること。○所在国で法人登録していること。○所在国に財及びサービスの生産・提供のための適切な設備・施設を持っていること。○実際に所在国でビジネスを行っていること。

ウ) 先進国に存する本邦企業の子会社(以下の要件を全て満たす企業)○有価証券報告書における連結財務諸表の対象となる子会社であること。○所在国で法人登録していること。○所在国に財及びサービスの生産・提供のための適切な設備・施設を持っていること。○実際に所在国でビジネスを行っていること。

2-2. スクリーニング基準(1次)

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ご参考) ベンチャーキャピタルの新技術評価基準では、技術の中身に比べ、特に競合技術との相対的な比較や製品の供給体制等について詳細な項目が見受けられた。

審査基準

1. 科学性評価;本ファンドが主対象とする大企業スピンアウト技術については、その必要のないケースが圧倒的であるが、いわゆる街の発明家や80 年代に見られた技術ベンチャーの技術の中には科学的な説明がつかないものが見られた。現在でもそのような技術が持ちこまれる可能性はあり、その場合には適当な学術専門家等を活用した科学性の評価を行う。経験上、科学的な説明のつかないプロジェクトについては、これは検討中止としたほうがよい。

2. 技術の市場ポテンシャル評価(市場視点)

市場視点からの技術評価は、まず、関連するマルチクライアント調査報告、特許情報、競合状況調査等々を行い、必要に応じて外部市場調査会社を通じた調査を行う必要がある。

出所)C&H コーポレーション

←項目内の詳細は非公表

2-2. スクリーニング基準(1次)

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ご参考)「クリーンコール技術海外普及展開等事業/石炭高効率利用システム案件等形成調査事業」に係る審査基準では、技術内容に加え、案件の遂行体制に関する項目が多数。

審査基準

(1) 事前審査の基準i. 提案内容が本調査事業の目的、目標に合致しているかii. 提案内容に技術的新規性*があり、優れているか(相手国の技術レベルにマッチし、CO2削減、環境負荷低減の費用対効果に期待できるシ

ステムとなっているか、わが国の強みである「技術」が活かされているか、又、活かされるよう工夫しているか)*:技術的新規性とは、相手国のベースライン/B.A.U(Business as Usual)より、温室効果ガス排出量の削減が見込めること。

iii. 本事業を円滑に遂行するために、事業規模等に適した実施体制になっているかiv. 提案内容のプロジェクトは実現可能か(マイルストーンの妥当性等)(案件形成合理化調査は、プロジェクトの実現に向けた課題や目標の妥

当性)v. 当該プロジェクトの実現により、環境・エネルギー技術の普及促進、世界のCO2排出削減、環境負荷低減への波及効果は期待できるかvi. 関連分野の調査等に関する実績を有しているかvii. 調査の経済性が優れているかviii. 経営基盤が確立しているかix. 総合評価

(2) 審査基準a. 調査の目標が NEDO の意図と合致していること。b. 調査の方法、内容等が優れていること。c. 調査の経済性が優れていること。d. 関連分野の調査等に関する実績を有すること。e. 当該調査を行う体制が整っていること。f. 経営基盤が確立していること。g. 当該調査等に必要な研究員等を有していること。h. 委託業務管理上 NEDO の必要とする措置を適切に遂行できる体制を有すること。

出所)新エネルギー・産業技術総合開発機構HP

事業概要

石炭高効率発電や石炭ガス化、排ガス処理技術、CO2 回収・貯留技術、未利用炭利用、改質・乾燥技術などのCCT を利用したシステムを対象とし、海外への普及の促進により我が国の経済成長と世界のCO2 削減、環境負荷低減の同時達成を図ることを目的として、我が国のCCT の普及に関するプロ

ジェクトの創成や実施可能性に関する調査等を実施する。また、プロジェクトの実現のため、必要に応じて専門家の派遣、相手国専門家や意思決定者等の招聘を含め相手国政府機関等関係者との交流を通じた協力関係の構築を行う。

2-2. スクリーニング基準(1次)

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ご参考) 世界銀行の新調達基準の骨子となる評価項目(LCC以外の観点)VfM以外では、リスクの事前整理と持続可能性について、深堀した記載あり。

評価基準の詳細

【コスト、VfM関連の詳細】i. 評価基準の合否 VfMの評価は合格または不合格かという基準で、計画書の入札要項にたいし応えれているかで評価される。ii. コストの評価について

i. 計画書の入札要項に記載されているように、コストの評価は初期投資コストまたはライフサイクルコストが基本的な評価項目である。ii. 初期投資コストには、調達や支払い時期といったスケジュールの遅延に対して計画書に記載されている評価補正による割引も含ま

れる。iii. ライフサイクルコストをコストの評価項目として利用される場合は、想定年数を超えるまでの維持・メンテナンス費が初期投資価格と

比較して高く見積もられる時である。iii. ライフサイクルコストを評価項目とした場合、借入者は入札要項に従い以下の情報を規定すべきである。

i. ライフサイクルコストで想定している耐用年数ii. 上記で記載された耐用年数超えたときの将来のコストに対する現在の正味価格を計算するための割引率iii. 運転やメンテナンス、余剰価値といった入札時に提供される情報を含めたコストを計算する時に用いられる計算手法

【その他の項目の詳細】i. Rated-Type Criteriaについて

i. 借入者にとっての利益が定量評価できない非価格的要素や定量的評価基準(業務計画の妥当性、調達の持続性等)は評価点として計算される。

ii. 以上の定量的評価(Rated-Type Criteria)は重点的な評価項目となるiii. Rated-Type Criteriaとして限定されるわけではないが、以下の特色を含む

i. プロジェクト手法の妥当性ii. 性能的、容量的、機能的な特色iii. 調達の持続性

ii. コストとRated-Type Criteriaの統合評価についてi. 最終評価の点数は、上記のコスト評価とRated-Type Criteriaのスコアによって決定される。 Rated-Type Criteriaのスコアについて

は、通常評価点として当該スコアの30%が割り当てられる

出所)「Procurement Regulations for IPF Borrowers」 THE WORLD BANK 2016年7月 公表「Procurement Guidance」THE WORLD BANK 2016年7月 公表

主な評価基準

a. コスト 初期投資コストまたは初期投資コストに運転・メンテナンスコストを加えたもの(メンテナンスコストが高い場合)b. 質 計画書に記載されている要求事項に満たしていることc. 危険因子 計画時の容量的、技術的、ビジネス上、経済的な突発的な出来事に対して対応可能であるかd. 持続可能性 経済的、社会的、環境的な考慮に関する基準がおりこまれているかe. 革新性 計画書に記載されている要求を超えるような解決策を提示してもよい

2-2. スクリーニング基準(1次)

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世界銀行による調達制度改革の全体像

新制度の位置づけ

新調達制度の4本柱

世銀で1960年代に現行の調達制度が整備されて以来、初めての大規模な調達制度改革これまで批判あった最低価格落札制度から、より借入国の発展という目的に即し、各国の実態に即した戦略的な制度となるよう、

調達方式の多様化や、評価にVfM方式を取り入れる等の改革を実施。

案件の性質に応じて、最適な調達方式を選択可能1

調達事業の性格によって、最適な調達方式を選択できるように

なった。

調達方式を選ぶに当たり、事前に事業のリスク・価値・規模等を勘

案して最適な調達戦略を構築することとする。

調達制度の核としてValue for Money:VfM方式の導入

調達方法の一つとして、「支払額に対して最も高い価値を選ぶ」

(Value for Money:VfM)考え方を導入し、従来の最低価格落札方

式一辺倒からの脱却を目指す。

入札価格だけでなく、単純に入札価格に転嫁できないライフサイク

ルコスト等の全ての要因を含めて最も価値ある提案を選定できる

こととした。

2

異議を申し立てることのできる「停止期間制度」の導入

調達過程の間で懸念事項が起こった場合、対応をするための猶予

期間を設けることを可能とした。

具体的には、契約が実際に締結される前に、入札者らが異議を申

し立てることで、入札審議から決定までの一時的な猶予期間を設

けること可能となった。

3

世界銀行の、調達契約管理に対する積極的な介入

従来、プロジェクトを実施する責任は融資を受ける政府にあるとさ

れ、契約後の介入に世界銀行は消極的だった。

新たな制度では、全ての関係者がそれぞれ負う責任を確実に果た

せるよう、契約管理面が強化された。

4

出所) THE World Bank 「New Procurement Framework and Regulations for Projects After July 1, 2016」

2-2. スクリーニング基準(1次)ご参考)世界銀行の調達制度改革

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世銀が示すQualification, Evaluation基準例(当該調査事業の対象に近いPlant調達に係る様式抜粋)

出所) The World Bank “Request for Bids Plant (Design, Supply, and Installation)(without prequalification)”

Qualification

1. Eligibility

2. Historical Contract Non-Performance

3. Financial Situation

4. Experience

1.1 Nationality

1.2 Conflict of Interest

1.3 Bank Ineligibility

1.4 State Owned Enterprise or Institution

1.5 Ineligibility based on a United Nations resolution or

Borrower’s country law

2.1 History of non-performing contracts

2.2 Suspension

2.2 Pending Litigation

2.3 Litigation History

3.1 Financial Capabilities

3.2 Average Annual Turnover

3.3 Financial Resources

4.1 General Experience

4.2 Specific Experience(a)

4.2 Specific Experience (b)

Evaluation

1. Technical Evaluation

(次ページで詳述)

2. Economic Evaluation

(a)Time Schedule

(b)Life Cycle Costs

(c)Functional Guarantees of the Facilities

(d)Work,services,facilities,etc. to be provided by the Employer

(e)Sustainable procurement

(f)Alternative technical solutions for specified parts

(g)Specific additional criteria

ご参考)世界銀行の調達制度改革2-2. スクリーニング基準(1次)

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Technical Evaluationの内容詳細

35.2 Technical Evaluation.

The Employer will carry out a detailed technical evaluation of the Bids not previously rejected to determine whether

the technical aspects are in compliance with the bidding document.

The Bid that does not meet minimum acceptable standards of completeness, consistency and detail, and the

specified minimum (or maximum, as the case may be) requirements for specified functional guarantees, will be

rejected for non-responsiveness.

In order to reach its determination, the Employer will examine and compare the technical aspects of the Bids on the

basis of the information supplied by the Bidders, taking into account the following:

(a) overall completeness and compliance with the Employer’s Requirements; conformity of the Plant and

Installation Services offered with specified performance criteria, including conformity with the specified

minimum (or maximum, as the case may be) requirement corresponding to each functional guarantee, as

indicated in the Specification and in Section III, Evaluation and Qualification Criteria; suitability of the Plant

and Installation Services offered in relation to the environmental and climatic conditions prevailing at the site;

and quality, function and operation of any process control concept included in the Bid;

(b) type, quantity and long-term availability of mandatory and recommended spare parts and maintenance services;

and

(c) other relevant factors, if any, listed in Section III, Evaluation and Qualification Criteria.

2-2. スクリーニング基準(1次)ご参考)世界銀行の調達制度改革

出所) The World Bank “Request for Bids Plant (Design, Supply, and Installation)(without prequalification)”

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第二回現地調査(深堀り調査)の対象選定では、特に現地実施機関のニーズを重視した。

第二回現地調査 選定基準

1.現地実施機関の円借款・海外投融資活用意向

対象国の実施機関等が、円借款や海外投融資の 活用意向を有しているものを第二回調査対象とする。

上記を選択肢に含めず、無償資金協力や、自己資金、他国等の資金での案件実施のみを企図している場合には対象外とする。

2.JICAや他省庁における同国類似案件の検討状況

上記の意向を有している場合でも、既に現地のJICAや他省庁が支援を水面下で開始している場合には、第二回調査対象としての優先順位を下げる。

別途、今後の連携可能性を検討するととする。

案件の実現可能性の観点から、第一回現地調査で把握した現地実施機関の円借款・海外投融資活用意向や、JICA等別機関の同国・地域における類似案件の検討状況にも留意して、第二回現地調査(深堀り調査)の対象案件を選定する。

2-2. スクリーニング基準(2次) 公表

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防災センサー等連携システム(対象国:インドネシア)

技術概要

雨量計や水位計等の各種センサーによる災害情報の収集から、演算・解析、サイレン等による住民避難等までを一貫して支援するシステムを導入するもの。

既に個々の機器が導入されている場合でも、それらの有機的な連携・運用ができていないケースがあるが、当該システムを導入することで、防災組織の実情に合わせた運用が可能となる。

競合技術との比較検討

従来から、各種センサーや警報スピーカーを総合的システムではなく個別に導入するケースは多々存在し、本件における競合と想定される。メーカーとして、欧州のほか、一部の中国企業も参入している。

競合技術と比較し、個々の機器の技術としては性能に大差はないが、これらを組み合わせてシステムとして統合できることが強み。これにより、収集したデータの効率的な分析や、災害が発生した地域への迅速かつ確実な警報発令、注意喚起等が可能となる。

個々の価格では競合と大差ない(数千万~数億円規模)が、教育訓練も含め、上記の連携やアフターサービスの充実を強みとして想定している。

対象案件(円借款を想定)

インドネシアの地方自治体等への提案を想定している。

国による観測機器整備が進む一方で依然として脆弱な、災害データを住民避難等に活用するシステム・機器(サイレン等)について、重点的に提案することを想定している。

2-3. 選定技術概要

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信号間通信による渋滞緩和技術(対象国:インド)

技術概要

信号制御機(コントローラ)間でリアルタイムに交通情報や信号機制御情報を交換して交差点に流入する交通量を予測し、“信号待ち時間が最小”になるように信号サイクルを制御するシステム

競合技術との比較検討

本技術の競合として、対象エリアの交通を一元的に管理する交通管制センターを導入し、そこからの指示を通じて各信号を制御するシステムを想定している。

上記の競合技術と比較して、本技術は分散型のため数箇所~100箇所程度から導入可能であり、初期コストや導入の組織体制の準備等の面で優位性がある。

加えて、競合技術と比較して整備費規模が小さく、数億円程度から導入可能(センターは数十億~100億円単位)なため、無償資金の「お試し供与」を念頭に置いた実証・テストマーケ事業のスキームにも適合しやすいと考えられる。

対象案件(円借款を想定)

渋滞問題が深刻で、かつ既に交通信号が整備されている、一定度発展したインドの都市への提案を検討する。

2-3. 選定技術概要

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二軸押し出し機(廃棄物の圧縮処理)技術(対象国:ミャンマー)

技術概要

生ゴミ、プラスチック、木材などの廃棄物を押し出し機で圧縮し、低温で炭化させることによって体積を減らし、有害物質の発生を防ぎながら効率的な処理を可能とする技術。なお、処理工程で生成される炭化物はコジェネボイラーなどの燃料として活用可能である。

競合技術との比較検討

本技術の競合として、日本国内で一般的な廃棄物の焼却炉を想定している。

競合技術と比較し、設置面積が10分の1程度、かつ、同等な処理能力を持ちながら設備投資金額が5分の1に抑制される。

また、処理による二酸化炭素排出がほとんどないほか、低温処理を行うため、ダイオキシンが発生しない、生ゴミとプラスチックを分別して投入する必要がないため、人手による前処理が必要ない等の環境面のメリットも大きい。

さらに、処理を施した炭化物は発電する際の燃料として利用可能である。

対象案件(円借款を想定)

廃棄物問題が深刻であるミャンマー・ヤンゴンや周辺の工業団地への提案を想定している。

現地では家庭からの廃棄物を回収するネットワークが未整備のため、一般廃棄物に加え、工業団地への展開も検討対象に加えている。

2-3. 選定技術概要

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高速通信ネットワークの整備、サービス提供技術・システム(対象国:ミャンマー)

技術概要

LTE-Advancedと呼ばれる第四世代の高速通信技術による通信ネットワーク構築を想定している。

競合技術との比較検討

本技術の競合としては、これまでに現地で整備されてきた第二世代の通信技術を想定している。

競合技術と比較し、第四世代のデータ速度は1,000倍程度ある。また、第二世代の通信網の多くは基地局同士が無線で連携しているのみで接続が不安定であるのに比べ、本技術では光ファイバーで基地局同士を接続するため通信網の安定化が可能となる。

加えて本件では、従来のような単なる通信インフラの整備だけでなく、遠隔教育等のサービスを展開することも含め検討している。

対象案件(海外投融資を想定)

ミャンマー・国営郵便・電気通信事業体 (MPT: Myanma Posts & Telecommunications) と協力して、高速通信ネットワークを地方部へと拡大することを想定している。

対象となる地域には、情報通信網が全く整備されていない地域と第二世代の通信網が整備されている地域がある。

2-3. 選定技術概要

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AFC(Automatic Fare Collection)、ACC(AFC clearing center)(交通電子決済システム、ICカード等周辺システム) (対象国:ベトナム)

技術概要

鉄道やバスといった公共インフラに、非接触ICカードを使った正確で確実な運賃収受を実現する自動料金収受・決済システムを導入することで、運賃支払いの不正防止や安定運営、公共交通利用者への利便性の向上が期待される。

加えて、ICカード導入により駅・停留所ごとの乗車実績の分析が可能となり、需供バランスに鑑みた運賃設計・施策実施も期待される。

競合技術との比較検討

本技術の競合となるのは、現地で実施されている人の手による料金徴収や、欧州等の別方式によるICカードと想定される。

人の手による料金徴収と比較して、着服や偽チケット流通といった運賃支払いの不正を防止可能で、売上が増加することも想定される。

欧州の別方式によるICカードと比較した際には、FeliCaは通信速度が速くより大容量のデータ通信が可能な点で優れており、この特性を活かして商業利用の電子マネーへの広がり、金融サービスとの連携、モバイル対応など更なる利便性の向上が可能である。

対象案件(円借款を想定)

ベトナム・ハノイ市への提案を検討している。

複数の国や国際機関の援助で導入されたバス及び鉄道における決済システムを統一し、利便性を向上させることを想定している。

2-3. 選定技術概要

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3.優先事業の実施可能性検討(現地調査結果)

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インドネシア現地調査結果

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3-1. 総合防災システム(インドネシア:第一回現地調査)

当該国、都市の社会課題の現状(1/2)

出所)BNPB 「Disaster Management Policies and Strategies 2015-2019」、BNPB 「BNPB Profile」JICA 「アセアン地域防災協力に関する基礎情報収集・確認調査ファイナル・レポート国別調査報告書インドネシア」

アセアン諸国における災害別の発生状況の比較

発生回数

インドネシアにおける災害の発生状況(2008-2015)

インドネシアは、アセアン諸国と比較しても災害の発生回数・被害損額・死亡者数が多く、災害大国となっている。 特に、洪水災害の発生回数が最も多く、負傷者・帰宅困難者を出すなどの被害を出している。

被害損額(1,000US$)

死者数災害の発生回数は2位 災害による死者数は1位

順位 国 旱魃 地震 洪水 土砂災害 暴風雨 火山 計1 フィリピン 7 13 109 30 209 16 3842 インドネシア 6 78 126 43 5 38 296

3 ベトナム 5 0 63 6 80 0 1544 タイ 8 3 60 3 30 0 1045 マレーシア 1 1 32 5 6 0 456 ミャンマー 0 4 13 3 6 0 267 ラオス 4 0 15 0 5 0 248 カンボジア 5 0 15 0 3 0 239 ブルネイ 0 0 0 0 0 0 0

10 シンガポール 0 0 0 0 0 0 0

順位 国 旱魃 地震 洪水 土砂災害 暴風雨 火山 計1 タイ 424,300 1,000,000 44,355,408 0 892,039 0 46,671,7472 インドネシア 89,000 11,349,576 2,452,016 121,745 0 344,190 14,356,527

3 ベトナム 649,120 0 3,637,727 2,300 4,340,105 0 8,629,2524 フィリピン 64,453 380,025 1,234,883 33,281 6,265,657 216,282 8,194,5815 ミャンマー 0 503,600 136,655 0 4,067,688 0 4,707,9436 マレーシア 0 500,000 1,012,500 0 53,000 0 1,565,5007 カンボジア 138,000 0 919,100 0 10 0 1,057,1108 ラオス 1,000 0 22,828 0 405,951 0 429,7799 ブルネイ 0 0 0 0 0 0 0

10 シンガポール 0 0 0 0 0 0 0

順位 国 旱魃 地震 洪水 土砂災害 暴風雨 火山 計1 インドネシア 1,266 179,378 5,382 1,888 6 690 188,610

2 ミャンマー 0 145 422 109 138,709 0 139,3853 フィリピン 8 2,540 2,396 2,665 26,055 719 34,3834 ベトナム 0 0 4,709 330 10,650 0 15,6895 タイ 0 8,346 3,493 47 895 0 12,7816 カンボジア 0 0 1,382 0 44 0 1,4267 マレーシア 0 80 196 168 275 0 7198 ラオス 0 0 135 0 72 0 2079 ブルネイ 0 0 0 0 0 0 0

10 シンガポール 0 0 0 0 0 0 0

災害による被害損額は2位

15,613,218

2,858,889

442,856

357,099

299,433 236,969

126,967 94,329

26,817 15,353 67

洪水

干ばつ

火災・森林火災

地震

洪水による地滑り

火山噴火

突風

地滑り

高潮

地震による津波

津波

インドネシアにおける災害別負傷者・帰宅困難者数

降雨から1時間ほどで洪水被害が発生洪水による被害者の数は、全体の77.8%に上る

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3-1. 総合防災システム(インドネシア:第一回現地調査)

当該国、都市の社会課題の現状(2/2)

災害統合版ハザードマップ(2014)※

インドネシアの国家防災庁(BNPB)が発表した地区ごとの災害リスクでは、ほとんどの地区がリスクレベル中~高となっており、国全土に渡って災害リスクが高くなっている。

インドネシアにおける地区ごとの災害リスク

出所) BNPB 「Disaster Management Policies and Strategies 2015-2019」

※このハザードマップは、全ての自然災害と各災害のコンビネーションによって被害がもたらされ得るリスクの高さを各地区ごとにBNPBが

独自に算出したものである。

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3-1. 総合防災システム(インドネシア:第一回現地調査)

当該インフラ分野における当該国・都市の計画、マスタープランの概要

インドネシア国家防災計画2015-2019

2015-2019年において、国の防災計画を示すインドネシアの国家防災庁(BNPB)が策定した「国家防災計画「2015-2019」では、災害リスクの高い地方への早期警報システムの導入を謳っており、各章に具体的な提言が示されている。

〈概要〉インドネシア政府の防災活動に関するガイドラインとして、国家防災庁(BNPB)が主導で策定した国の防災計画。母国語では、「Kebijakan danStrategi Penanggulangan Bencana 2015-2019」。BAPPENAS(国家開発計画機構)によって策定された「2015-2019国家中期開発計画」に基づいて策定された。

災害リスクの高い地域に早期警報システムを導入し、適切な避難活動を実現できるようにする。 「仙台防災枠組み2015-2030」への参画を表明しており、その目的の一つに複数災害に対する早期警報システムと災害のリスク分析・評価が記載されている。

国家中期開発計画の定める防災強化に向けて、戦略目標の一つとして全ての自治体と連携された早期警報システムの導入が掲げられている。

特に対象とされている災害は以下のようになっている: 津波/洪水/地滑り/森林災害/火山噴火/旱魃/鉄砲水 各重点災害には、担当省庁も指定されている。※次ページ参照

2019年までの方針として、早期警報システムの普及と、導入された警報システムの統合化が掲げられている。

地方ごとの災害リスクを分析し、その結果を掲載(地方ごとの災害リスクは、前ページハザードマップを参照)

リスクレベルごとに減災のためのオペレーションガイドラインを明記

① 2015-2019国家中期開発計画における防災計画

② 2015-2019国家中期開発計画における防災計画の実行に向けたBNPBの役割

③戦略目標

④ 2015-2019における戦略と方針

⑤減災・防災のガイドライン

⑥結論

目次 早期警報システムに関する記載内容

出所) BNPB 「Disaster Management Policies and Strategies 2015-2019」

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3-1. 総合防災システム(インドネシア:第一回現地調査)

当該インフラ分野における国・地方の行政機関の関係、予算制度

防災分野における国と地方の連携体制

災害時対応を中心に、防災を所管するのは国家防災庁(BNPB)だが、他省も設備・機器等の整備等の面で防災政策を担っている。 各州には防災局(BPBD)が設置されており、県・市といった基礎自治体への避難連絡の伝達や、国への補助金申請等を行っている。

国家レベル国家防災庁(BNPB)

エネルギー・自然資源省

(KEMEN ESDM)

後発地域開発省(MoBR)

公共事業省(KEMEN PU-PERA)

気象・地球物理庁(BMKG)

環境・林業省(KLHK)

国家開発計画省 (BAPPENAS)

州レベル 各州防災局(BPBD)

県・市レベル 各県・市防災局(BPBD)

地区レベル 各地区長

村レベル 各村長

市民

• 防災政策を取りまとめ• 2008年に設立されたばかりで体制は未熟

• 火山や地滑りでは、防災についても関与

• 傘下に火山災害対策庁

を保有

• ジョコウィ政権の公約として2014年に設立

• 後発地域全般を所管

し、防災も所掌に含む

• 公共事業を取りまとめ• 防災では、洪水対策を管轄する

• 気象関連を取りまとめ• 防災では、津波に関与

• 環境・林業を取りまとめ• 防災では、森林火災に関与

• インドネシアにおける開発計画を全て管轄。• 各省庁の案件は、最終的に全てBAPPENASへ申請される必要があり、予算要求はBAPPENASによって承認される必要がある。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

BPBDを支援 地域防災計画の策定 防災関連の予算配分を実施 オンコールバジェット※の活用

BNPB以外の省庁にも、防災関連の予算がつき、BPBDへ配分することは可能

※オンコールバジェット:災害時に災害対応のために自治体からBNPBに申請される補助金のこと

防災政策管轄

出所)ヒアリングを基にNRI作成

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3-1. 総合防災システム(インドネシア:第一回現地調査)

当該インフラ分野における課題と当該案件・技術の必要性(代替手段との比較含む)

政府の災害対策の現状と課題・政府の導入している災害管理システム

政府は、災害対策における3ステップにおいて②災害対応と③災害後復興へ注力してきたが、今後は①防災・減災へも注力する方針 ①防災・減災では、国が収集したデータを地方が活用できない、そもそも国が適切なデータを収集できていないといった課題がある

防災・減災(Disaster Mitigation)

災害対応(During Disaster)

災害後復興(Post Disaster)

各災害ごとにモニタリング体制を組み、データを分析・評価

早期警報システム等を導入し、市民への迅速な情報共有を実施

災害対策インフラの整備

災害発生時に消防車やボートを使用した人命救助や災害消化の実施

災害によって崩壊した建物等の復興作業

災害対策における3ステップ

政府が既に

注力している分野

未整備だが、

政府が今後

注力していく分野

防災・減災における課題

国の収集したデータを各地方が活用できていない

政府が導入している災害管理システムによって、災害データの収集機能はあるものの、地方によってはそのデータをリアルタイムで活用して警報発信をする設備が整備されていない。

ヒアリングによれば、現在約300の自治体に早期警報システムを導入しているが、これは全体の約20%に留まる。

災害管理システムの不備で適切なデータが取得できない

政府が各災害の担当省庁を指定し、データ取得のための機器導入・モニタリング体制の整備を促進しているものの、それを実現できている省庁は少ない。

災害管理システムの例• 洪水対策:Tech4Water (公共事業省)• Tech4Waterは、インドネシア企業によって導入され

た洪水対策システムであるが、その稼働状況は約40%となっている。

• 自治体では洪水による被害が多発しており、政府のシステム改善を待つ余裕がない状況となっている。

災害対策インフラを整える資金が不足していることから、まずはソフト(早期警報システム等)の整備が必要になっている

出所)ヒアリングを基にNRI作成

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インド現地調査結果

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当該国・都市の社会課題の現状

3. ITS信号制御システム(インド:第一回現地調査)

インドにおける CO2 排出量の増加見込

平均所要時間(20km分、午後5-7時)

2,0

71

2,8

03

3,7

78

4,7

89

6,0

32

7,4

89

8,6

88

9,6

95

2012 2017 2022 2027 2032 2037 2042 2047

(MtCO2e/yr)

Source: : GoI Report (Road Accidents in India 2015) ,India Energy Security Scenarios, 2047, NRI Consolidation

インドの交通死亡事故割合 (事故100件あたり,2015年)

3時間 43分

1時間36分

20キロ・1時

間あたり

42キロ・1時

間あたり

2016

2011平均速度

時間

43.7 43.7

35

31

22.720.7 20.1

インドの交通問題は、事故、渋滞、大気汚染等、多数の社会経済的課題を生み出してきた。 交通事故件数は2014年の48万9千4百人から2015年には50万1千423人という2.5%上昇した。 交通事故死亡者数は2014年の13万9千671人から2015年には14万6千133人という4.6%上昇した。

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3. ITS信号制御システム(インド:第一回現地調査)

当該国・都市の社会課題の現状 (デリー)

デリーにおける大気汚染要因の内訳 (%)デリーにおけるPM2.5 大気質指標 (2016年12月)デリーにおけるPM2.5 大気質指標 (2016年12月)

良い 並

敏感なグループにとっては健康に良くな

健康に良くない

極めて健康に良くない

危険

デリーにおけるPM10,NO2,SO2 レベル (2009~2015年)

23%

12%11%

5%

9%

22%

17%産業

ディーゼル発電機

粉塵

発電所

レンガ製造窯

交通

その他

252 261222 237 221 215 228

50 55 61 59 66 61 48

6 5 6 5 4 5 4

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

PM10 NO2 SO2(単位:μg/㎥)

Unit : µg/m3

出所: ACQI report, ToI Articles, CPCB Data

デリーでは大気汚染が深刻化しており、汚染要因の 22.7% を交通が占める。

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0.86

1.05

1.595

1.75

Gurgaon Rohtak Delhi Faridabad

CPCBが定める基準に比べ、全ての都市で一酸化炭素の濃度が高い

グルガオン市におけるPM2.5 大気質指標 (2016年12月)

良い 並

敏感なグループにとっては健康に良くない

健康に良くない

極めて健康に良くない

危険

当該国・都市の社会課題の現状 (グルガオン)

出所::ACQI report, ToI Articles, CPCB Data

グルガオン

デリー首都圏地域における一酸化炭素の平均濃度(mg/m3)

3. ITS信号制御システム(インド:第一回現地調査)

グルガオンでは大気汚染が深刻化しており、懸念されるPM2.5レベルが高水準に達し、一酸化炭素(CO)の濃度も中央大気汚染防止局(CPCB)の基準を超えている。

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3. ITS信号制御システム(インド:第一回現地調査)

当該インフラ分野における当該国・都市の計画、マスタープランの概要(1) (デリー)

出所: High powered committee ‘ How to decongest Delhi’ report ‘2014

“Decongest Delhi(デリーの交通渋滞を緩和)の内容

デリーの渋滞問題解決のために、HPCが“Decongest Delhi”を策定し、9つの施策を実施している。

施策 課題 実行計画

インテリジェント交通システム(ITS)の導入

交差点付近での激しい渋滞 • CCTV による監視及び道路情報標示システムによる情報提供

•自動車両追尾システムの導入•公共交通情報の提供•赤信号カメラ及び停止線違反システムの導入

•ナンバープレート自動認識システムの導入

•自動駐車管理システムの導入•インテリジェント信号システムの導入•自動料金徴収システムの導入•交通管制センターの整備

メトロ・鉄道駅・長距離バスターミナルにおける他交通機関への乗換利便性、アメニティ向上

駅、バスターミナル単体を超えた空間利用計画の欠如、計画間の統合の欠如

•交通機関別に専用区画を設置(現状はバス、オートリキシャー、タクシー等が一カ所に混在)

•通勤者の安全性を確保すべく、横断歩道、高架歩道、歩道.を整備

• トイレ、案内標識、カフェ、売店、電灯等を整備

道路網の接続、バイパス、道路の建設、高架設置

幹線道路と街区レベルの道路しかなく、補助幹線道路(secondary road)が不足/欠如

•市内の道路交通ネットワークの改善•デリーを最終目的地としない車両のための迂回路建設•信号を設置しない道路の建設

街路デザイン指針に基づく道路改修

劣悪な歩行環境 •全ての道路(特に交差点)に歩道及び横断歩道を設置

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3. ITS信号制御システム(インド:第一回現地調査)

当該インフラ分野における当該国・都市の計画、マスタープランの概要(2) (デリー)

“Decongest Delhi(デリーの交通渋滞を緩和させよう)の内容

出所: High powered committee ‘ How to decongest Delhi’ report ‘2014

施策 課題 実行計画

自転車専用道路の導入 自転車利用のための環境が未整備

•街中に自転車専用道路を設置

バスサービスの改善 バスサービスが劣悪 •バスへのアクセス容易性の向上•低床バスやエアコン付バスの導入

•安価な乗車料金•共通交通カードの導入

バス高速輸送システム(BRTS)の開発と導入

バス利用時の乗車時間が増大傾向BRTS専用道路の不足

• BRTS優先の道路の建設•デリー公共バス(DTC)とBRTSの統合(料金統合を含む)•バス停とバス駐車場の整備

駐車場の建設、駐車違反の管理

駐車場が不足 •歩道への駐車を罰則化し、違反者には厳しいペナルティを導入•全ての駐車スペースの境界を明確化• PPP ベースで立体駐車場を開発.

能力ある政府職員の採用と能力向上

政府内に道路・交通分野の専門家が不足(国内に機会が少ないため)海外への頭脳流出

•道路・交通分野の優秀な学生を政府部門で採用(政府部門の魅力向上)•インド国内の民間企業への派遣も含め、新規採用者の能力開発を促進

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3. ITS信号制御システム(インド:第一回現地調査)

当該インフラ分野における当該国・都市の計画、マスタープランの概要 (デリー)

ハイ・パワード・コミッティ(HPC)構成員

• 鉄道省• 道路交通省• 国防省• 内務省• インド高速道路公団• デリー国家首都地区政府公共事業局• 都市開発省(国家首都地区政府出向者)

• デリー開発公団統合交通インフラセンター Director

• デリー国家首都地区政府 Principal Secretary Transport

• ニューデリー首都圏計画委員会委員

• デリー自治都市(Municipal Corporation) Chairman

• デリー開発公団(DDA)副議長• デリー・メトロ公社• デリー警察 Commissioner

• 東デリー自治都市 Municipal Commissioner

• 西デリー自治都市 Municipal Commissioner

• 南デリー自治都市 Municipal Commissioner

• 北デリー自治都市 Municipal Commissioner

• デリー交通公社 Managing Director

• 都市交通研究所 Director General

都市開発大臣

都市開発省(次官 – Secretary - )

出所: High powered committee ‘ How to decongest Delhi’ report ‘2014

多数の省庁および他の政府機関の代表で構成されたハイ・パワード・ コミッティ(HPC)がデリーの交通課題解決に取り組んでいる。 都市開発大臣がハイ・パワード・ コミッティ(HPC)を組成し、これまでにHPCは計5回開催されている。

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内務省、都市開発省、道路交通省が交通インフラ開発を担当している。

3. ITS信号制御システム(インド:第一回現地調査)

当該インフラ分野における国・地方の行政機関の関係、予算制度(デリー)

中央政府 道路交通省 内務省 都市開発省

準知事

デリー首都圏政府 (GNCTD)

[Chief Minister]

デリー警察(DP)

[Commissioner]

デリー開発公団(DDA)

[Chairman]

デリー市行政自治体(MCD)

[Commissioner]

交通局 児童福祉局 公共事業局(PWD)

インド工科大学各校

他、コンサルタント、教育機関、リサーチセンター等

• 中央政府が交通インフラの開発を所管。

• 準知事(Lieutenant governor )にプロジェクトの執行を指示

• 通常州には知事と州首相が存在し、州首相が実務トップ

• デリーは州ではないため知事は

存在しない。国家首都地区(National Capital Territory)である特殊性に基づき、準知事が中央政府より任命され実務トップを務める

• デリー警察のレポートラインはGNCTD首相、MCD長官でなく、副知事

• GNCTD, DDA, MCD 等はそれぞれ独立の機関

• プロジェクト、役割に応じて民間/

公的期間が関与

地方政府(デリー)

民間/公的組織、機関等

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中央政府

当該インフラ分野における国・地方の行政機関の関係、予算制度(グルガオン)

•グルガオン市はハリヤナ州に属し、州が主体となりインフラを管理している。

3. ITS信号制御システム(インド:第二回現地調査)

道路輸送及び高速道路省

都市開発省

地方政府(ハリヤナ州、グルガオン市)

民間/ 政府機関/ 大学など

インド工科大学各校

大学、研究機関、コンサルティング機関など

• 中央政府が交通インフラの開発を担当している。

• ハリヤナ州の地方自治体部の下におかれている市行政府自治体が警察部、公共事業部と共にインフラ開発プロジェクトを実施する。市行政自治体が道路インフラ開発のための予算が与えられている。

• 地方自治体がプロジェクトに資金をかけ、警察部が全ての土木工事、設置と運営などを担当する。

• プロジェクトの内容とその必要性に応じて、これらの機関が関わってくる。

財務省

公共事業部「大臣」及び「次官」

内務部「大臣」及び「次官」

交通部「大臣」及び「次官」

警察部「警察本部長」

州首相

都市行政自治体部及び「次官」

グルガオン市行政自治体「市議会長]

ファリダバード市行政自治体など「市議会長」

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3. ITS信号制御システム(インド:第一回現地調査)

当該インフラ分野における課題と当該案件・技術の必要性

分散型ITS

信号システム

集中型 ITS

信号システム

バイパス道路建設

工事期間 コスト地元自治体の人的負担

工事期間、コスト、デリー警察の人的負担の全ての観点から最適

工事期間とコストはArtemis

と類似しているものの、長期的にはバックエンド管理費用によって全体の費用がかさみうる

土地収用、建設コストが一番かかる。土地収用の行方次第ではプロジェクの実現そのものが困難に

•数ヶ月程度−運転・管理のためのバックエンドインフラの整備が必要

•システムの運用人材がいなくとも自律的に稼動。データを徐々に蓄積。

•人材育成を小規模なところから徐々に行っていくことが可能

•バックエンドシステム運用のための人員と人件費等が必要

•大規模なシステムを運用可能な人材育成期間が短い

•なし/ 小

結果

渋滞緩和に向けた解決策案の比較

•数週間程度−バックエンドインフラが不要

•数ヶ月(~数年)−土地収用の状況次第では数年単位のプロジェクトに成る可能性も

信号&ITS等機器と据付工事

土木工事(信号、ITSのみで小額)

バックエンドシステムと据付工事、O&Mコスト

用地買収(高額になりがち)

土木工事(道路なので高額)

信号&ITS等機器と据付工事

土木工事(信号、ITSのみで小額)

バックエンドシステムと据付工事、O&Mコスト

用地買収(高額になりがち)

土木工事(道路なので高額)

信号&ITS等機器と据付工事

土木工事(信号、ITSのみで小額)

バックエンドシステムと据付工事、O&Mコスト

用地買収(高額になりがち)

土木工事(道路なので高額)

出所:NRI分析

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3. ITS信号制御システム(インド:第一回現地調査)

当該案件の詳細な内容

導入に適した交差点選定の考え方

交通計画等の修正が不要なことや、追加投資が最小限で済むことから、既に信号が設置されている交差点が望ましい。

通信ネットワーク整備から行うことは負担が重いため、光ファイバーによる通信インフラがもともと存在している地域が望ましい。

道路の容量に比してあまりに交通量が多過ぎる交差点では、効果発現に限界がある。

牛、動物はいない。(デリーの旧市街地ならともかく、新興のグルガオン市にはほとんど見られない)

通行する車の種類による制約はない。オートリキシャ、二輪車が多数含まれていても問題ない。

既に信号や通信インフラが整っており、自動車交通に限定される交差点をパイロットプロジェクトとして選定する必要がある。

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ミャンマー現地調査結果(廃棄物処理)

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3. 二軸押し出し機(ミャンマー:第一回現地調査)

当該国、都市の社会課題の現状

出所)ヒアリング結果、IGES、ADB、海外電力調査会による資料を基にNRI作成

ヤンゴン市における廃棄物処理の現状

ミャンマーでは、すべての廃棄物がオープンダンピング方式の処理場で処分されている。 (2016年12月時点) なお、2017年から二国間クレジット制度を活用した、JFEエンジニアリングによる、ごみ焼却発電プラントの運転が開始される予定である。

ヒアリングによると、廃棄物に関連する環境問題として、市当局によって認識されているものは現時点ではない。

廃棄物処理場

整備年

面積(エーカー)

廃棄物量/

日備考

Htein Bin 2002 150 847 Open dumping

Htawe

Chaung 2001 55.77 612 Open dumping

Shwe Pyi

Thar 2005 1 50Low landfill

temporary site

Mingalardon 2003 0.91 25Low landfill

temporary site

Dala 2003 1.3 10Low landfill

temporary site

Seikkyi

Khanaungto2003 0.25 5

Low landfill

temporary site

ヤンゴン市における廃棄物処分場一覧(2014)

ヤンゴン市における電力環境の現状

ヤンゴン市では、停電が多く電力環境の改善ニーズがある。ヒアリングにおいても、市内でも一日に数回停電する日があるとのコメントがあった。

また、今後の電力需要の増加見込みからも電源の整備を行う必要があると考えられる。

0

5

10

15

20

2010 2020 2030

電源容量[GW]

5,7

4,91,7

15,0

19,2

Low-growth scenario

High-growth scenario

ミャンマーの電力需要見通しから推計した必要電力容量(2010)※2013年時点の発電容量は4.4[GW]

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3. 二軸押し出し機(ミャンマー:第一回現地調査)

当該インフラ分野における当該国・都市の計画、マスタープランの概要

ミャンマー国ヤンゴン都市圏開発マスタープランYangon 2040 The Peaceful and Beloved Yangon ―A City of Green and Gold―

ヤンゴン市のマスタープランである「ミャンマー国ヤンゴン都市圏開発マスタープラン」では、社会インフラとしての廃棄物処理領域に関する言及がなされている。

〈概要〉ヤンゴン都市圏の持続的な開発を進めるため、ミャンマー国政府とJICA の合意の下、2012 年8月から実施された「ヤンゴン都市圏開発プログラム形成準備調査」により策定されたマスタープラン

現状の廃棄物収集システムは、作業に多大な人員と時間を要しています。よって迅速かつ効率的に収集するシステムが必要です。

また、廃棄物収集運搬機材の老朽化が著しく、更新が必要です。

3R 政策とその実施を通じて循環型社会を形成します 1) 衛生的手段で管理された廃棄物の流れを確立する。 2) 廃棄物発生抑制と3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進する。 3) 環境、社会、経済、技術的に実行可能な手法を採用する。

将来的には、全住民および全事業者の生活環境からの廃棄物の収集で、都市ごみ収集量は14,000 トン/日になると予測されます。廃棄物の最終処理場の整備を進めるとともに、廃棄物発生抑制のため3Rの取り組みを進めます。

①はじめに

②現状および開発課題

③ヤンゴン都市圏開発マスタープラン

④社会基盤インフラ整備の基本構想

⑤都市開発・管理プログラム

⑥おわりに

目次 廃棄物処理システムに関する記載内容

出所) JICA

優先プログラム ヤンゴン都市圏において、短期的(~2018 年)に取り組む優先プログラムとして、都市開発セクターで26、社会基盤インフラ整備セクターで51 からなるプロジェクト群を提案しました。以下は、各セクターにおける優先プロジェクトの例です。

都市開発セクター:ティラワSEZ開発、歴史的建造物を活用した地区再生、土地利用規制の制度化と運用

社会基盤インフラ整備セクター:道路交通管制システム導入、老朽橋梁の架け替え、ヤンゴン環状鉄道近代化、情報通信次世代網構築、廃棄物収集機材調達

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3. 二軸押し出し機(ミャンマー:第一回現地調査)

当該インフラ分野における国・地方の行政機関の関係、予算制度

廃棄物処理分野における国と地方の連携体制

ODAの要請がヤンゴン地域からなされる場合、ヤンゴン地域政府から計画・財務省を経由し、日本側へ情報連携されることとなる。

国家レベル計画・財務省(Ministry of Planning and Finance)

州・県レベル

ヤンゴン地域政府(YRG)

市レベル 各市長

地区レベル 各地区長

村レベル 各村長

市民

• ミャンマーにおける開発計画を全て管轄。• 各省庁の案件は、最終的に全て当省へ申請される必要があり、予算要求は当省によって承認される必要がある。

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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出所)ヒアリングを基にNRI作成

ヤンゴン開発委員会(YCDC)• ヤンゴン地域における社会インフラ分野などを管轄。

ヤンゴン市汚染管理/清掃局(PCCD)

• ヤンゴン地域における廃棄物管理を管轄。

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3. 二軸押し出し機(ミャンマー:第一回現地調査)

当該インフラ分野における課題と当該案件・技術の必要性(代替手段との比較含む)

ヤンゴン市、ティラワ工業団地の廃棄物対策の現状と課題

現地調査では、ヤンゴン市への設備導入とティラワ工業団地への設備導入を想定した調査を実施した。 ヤンゴン市については、廃棄物は全てオープンダンピング方式の処理がなされており、適切な処理システムを整備することが課題と

なっている。 ティラワ工業団地については、廃棄物処理システムが完備されているものの、電力環境が不安定であり、電源の整備が課題となって

いる。

出所)ヒアリングを基にNRI作成

ヤンゴン市

ティラワ工業団地

• オープンダンピング方式で処理されており、衛生面で問題がある。

• Hospital、Industrial、Hazard、Construction関連の廃棄物に関してはオンコールで回収している。しかし、HazardやHospital関連の廃棄物であっても、専用の廃棄物置場があるものの、オープンダンピングであることに変わりはない。

• 一般廃棄物についてはYCDCが回収・処理しており、産業廃棄物についてはDOWAエコシステムが回収・処理している。

• YCDCによる廃棄物処理がオープンダンピングであるという問題があり、ヤンゴン市側で解決する必要がある。

• 適切な廃棄物処理システムの導入方針を決定する必要がある。

※ただし、ヤンゴン市としては新規性の高い技術ではなく、実績の多い焼却施設を導入したい考え。(有償資金協力を活用する場合、議会の承認が必要だが実績が重視されるため新規性の高い技術では承認を得られない。)

• 課題なし

※ただし、電力環境が悪く、週に2,3回停電するため電源をいかに増設するかという課題がある。

廃棄物対策の現状 廃棄物対策の課題

• 本技術の必要性は一定程度あるものの、ODA化プロセスを考慮すると、本技術の導入は現実的ではない。

• 本技術の必要性は低い。

※ただし、電力供給設備としては一定のニーズがある。

本技術の必要性

ヤンゴン市、ティラワ工業団地における廃棄物処理の現状と課題を踏まえた本技術の必要性評価

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ミャンマー現地調査結果(通信)

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3. 高速通信ネットワークの整備、サービス提供(ミャンマー:第一回現地調査)

当該国、都市の社会課題の現状(1/2)

出所)「World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2016」 ITU

ミャンマーにおける携帯電話の普及率(2010-2015)と残る課題

ミャンマーにおける携帯電話の普及率は2010年には1.1%であったが、2015年には77%にまで上昇し、2016年には100%に到達するものとみられている。

ただし、数値上は100%を達成したとしても、実態的には電波の届かない遠隔地の存在やネットワーク品質の改善等の課題は残る。

ミャンマーにおける携帯電話の普及率の推移

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

携帯電話加入者数(千) 594 1,244 3,730 6,832 29,029 41,530

携帯電話普及率 1.1% 2.4% 7.1% 12.8% 54.0% 77.0%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

(千人)

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3. 高速通信ネットワークの整備、サービス提供(ミャンマー:第一回現地調査)

当該国、都市の社会課題の現状(2/2)

ミャンマーの地方部における教育水準の低さ

ミャンマーでは教育格差は性別間よりも、地域間や親の経済力の差異によって生じている。

義務教育分野でも十分な教師や教材の不足等もあり、単純な四則演算すら十分にできないことも珍しくない。

ミャンマーにおけるグループ・性別の進学率

出所)「Myanmar Human Capital Development, Employment, and Labor Markets」 ADB, NRIインタビュー

現地教育関連機関の指摘する教育の諸課題(特に地方部)

機関名 教育の諸課題

教育省

十分な予算と人員をかけられておらず、教科書を配るのみで、十分な支援、教師への指導すらもできていないのが現状。(教職制度、研修制度も不在)

都市部では、自治体がリードして、地域の教員の研修を始めたりはしているが、地方ではそこまでの余裕がない。

地方部の課題として経済的な余裕のなさも根本的な問題として存在する。多くの教師が実家の農家の手伝いや兼業をしており、十分な時間を教職に費やせていないこともある。

また絶対的な教師の量も特に地方部で足りていない。(6クラスある小学校で、教師が5人に満たない等)

e-Education

公教育の基礎が十分に整備されていない。特に、初等、中等教育に課題を抱える。

大きくは、教師がプロフェッショナルとして機能していないこと、教材が十分に練られていないことが主題として挙げられる。

数学では足し算、引き算はできるが、掛け算や割り算で躓いている子供たちが多く見られる。計算では、数字をメタにイメージできず、指を折って数えている姿が地方部で特に多く見られる。

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3. 高速通信ネットワークの整備、サービス提供(ミャンマー:第一回現地調査)

当該インフラ分野における当該国・都市の計画、マスタープランの概要

ミャンマーの通信分野における政府ビジョン(2015)

ミャンマーの通信情報省は、“Establish Myanmar as a Mobile-first, Digitally Connected Nation” を2015年に発表し、将来に向けた通信環境における達成すべきビジョンとマスタープランを示している。

① “Connect the people of Myanmar nationally and globally”

ビジョン

• 遠隔通信技術に人口の90%以上がアクセス可能となる• インターネットに人口の85%以上がアクセス可能となる• 高速インターネット通信を人口の50%以上がアクセス可能となる

② “Empower Myanmar’s economy with ICT and Innovation”• 健康や教育分野を中心として、物理的な設備や人材の制約をICTに克服し、社会貢献と産業・経済成長へと繋げる

③ “Enable the journey to digital Government with

infrastructure and mobile applications,”• 情報アーキテクチャの構築と導入をサポートすることで、国・地方レベルでの電子政府化に貢献する

マスタープラン

① “Create a Myanmar national broadband infrastructure

asset”

• 良質で安全性の高いサービス提供のための、ブロードバンドインフラの構築に関する方針

• 地域間格差是正のためのユニバーサルサービス導入等にも言及

② “Develop communications and content services for the

Myanmar people”• 無線通信の優先構築、ローカルイノベーション開発、消費者保護等のサービス面での方針を規定

③ “Create an enabling institutional framework,”• 消費者が安価かつ良質なサービスを享受するための、通信事業者の競争環境、規制機関の在り方や各機関の機能分担などの仕組みに関して規定es.

出所)「Establish Myanmar as a Mobile-first, Digitally Connected Nation」 ミャンマー情報通信省

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3. 高速通信ネットワークの整備、サービス提供(ミャンマー:第一回現地調査)

当該インフラ分野における国・地方の行政機関の関係、予算制度

通信・教育分野における国と地方の連携体制

通信分野は、運輸・通信省が、教育分野では教育省が監督省庁であり、予算の策定、執行を執り行う。通信インフラ投資に関しては、現在は民営化されているため、民間投資が基本となる。

省庁レベルから州レベル、県・市レベルへと階層に沿って予算要求や計画の策定が行われる。 資金協力スキームを活用するためには、各省庁の案件は、最終的に全て計画・財務省(Ministry of Planning and Finance)へ申請さ

れる必要があり、その承認をもって要請を策定することになる。

省庁レベル

運輸・通信省

州レベル 州知事・大臣

県レベル 各県庁

郡レベル 各郡長

村・区レベル 各村・区長

市民

• 通信分野の監督省庁として、各オペレーターの投資許認可付与や指導を実施

• 投資は民間企業が実施するものの

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教育省

• 通信分野の規制機関として、各オペレーターの投資許認可や指導

地方主導の案件でも全て関連省庁の許可が必要

民間企業

政府承認のもとに、投資を実施

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3-4. ミャンマー調査結果(通信) 当該インフラ分野における課題と当該案件・技術の必要性(代替手段との比較含む)

地方部に通信インフラを活用して、都市ー地方の格差是正に貢献する政策的意義がある。

通信・教育分野の諸課題と当該案件の意義

教育やその他分野の地方間格差是正のために、通信インフラの整備をまずもって行い、教育サービスまでを結び付ける 将来的には医療やその他サービス分野への拡充も想定される

通信分野における課題 教育分野における課題

地方・遠隔地への通信網の構築

通信オペレーターの民間事業者参入により、無線ネットワークを中心とした通信網の構築が進んでいる。

一方で、地方部においては無線通信が未だに到達していない、または、接続しているものの品質が悪い地域が存在。

公共施設や病院等の自治体のベースとなる施設には最低限のネットワーク構築が必要。

質・量両面での地方部の教育水準の低さ

教師・教材の不足、自治体の支援不足により、地方部における教育水準は都市部に比較して低い

進級率、進学率等の指標にも地方間格差が顕著であるとともに、実態的な習熟度をみても、四則演算などの初期的な

学習内容から理解の遅れ、不足がみられる

地方部であるほど教員の派遣や管理等にコストがかかる

基礎自治体毎の最低限のインフラとしての有線/無線通信網の構築、また、その通信網を活用した遠隔教育サービスの提供は社会的な意義が大きい

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ベトナム現地調査結果

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3. AFC決済システム(ベトナム:第一回現地調査) 当該国・都市の社会課題の現状/都市の計画、マスタープランの概要

ハノイでは経済発展とともにモータリゼーションが急速に進展し、自動車の登録台数が2000年から2010年までに倍増した。

登録台数は、2010年現在オートバイが約4百万台、乗用車等の4輪車両が35万台となっている。

2011年の7月にハノイ市公共バス路線整備計画を承認され、2020年に向けた整備方針が示されている。

1.2015年までにバスサービスの改善とハノイ全域にバスサービスを提供すること

2.2015年から2020年においてはUMRT(都市高速鉄道)など新たな公共交通機関との連携、郊外部に展開される副都心や衛星都市と中心市街地とを機能的に結節すること

3.公共バス交通による機関分担を2015年までに15%、2020年までに20%まで高める。

ハノイ市では急速なモータリゼーションが進む一方で道路インフラの整備が進まず、市内の各地で深刻な渋滞が発生する一方、公共交通の分担率は低い水準にとどまる。

出所: JICA技術協力プロジェクトサイトより作成

ハノイ市既往調査における混雑区間の増加状況

ハノイ公共交通整備計画指標

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中国やフランスの支援で整備中のハノイ市内の鉄道路線にはType A, B

日本の支援で整備する路線にはFelicaが導入される可能性が高いとみられている。

現在、ハノイ等で整備されている都市交通には、それぞれのドナー国と親和性の高い技術が導入される可能性が高いとみられており、相互の接続性が課題となっている。

電子マネーにおける各規格の特徴と導入状況

方式名 開発企業 特徴 導入例

Type A フィリップス(オランダ)

• 安価• 欧州で導入例多数• 国際規格ISO14443に準拠

• 上海、北京、広州等の公共交通• ロンドン、アトランタの公共交通

Type B モトローラ(アメリカ)

• セキュリティレベルが高い(例:日本の住基カード)

• 国際規格ISO14443に準拠

• ソウル(Tマネー)の公共交通• 住民基本台帳カード(日本)

FeliCa

(Type F)

ソニー(日本)

• 通信速度が早い ※128バイトを0.1

秒で処理(JR東日本の要求水準)• メモリの容量が大きい

• 香港、シンガポールの公共交通• 日本の公共交通、電子マネー• バンコク、深センの公共交通

3. AFC決済システム(ベトナム:第一回現地調査) 当該インフラ分野における課題と当該案件・技術の必要性

ハノイ鉄道への導入見通し

2A号線(中国)

3号線(フランス)

1,2号線(日本)

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近年のトレンドは異なる方式間の相互接続性の確保であり、ベトナムでも議論が始まっていることから、今後の交通インフラ整備に影響すると考えられる。

近年は、異なるタイプ間の相互接続をいかに担保するかが重要なテーマとなっており、そのための通信技術等も開発されている。既に、機器間の通信については国際規格NFC(Near Field Communication)が設けられている。

現在、ベトナムでもドナー国によって異なる方式が導入されることが課題となっており、運輸省では国全体の電子決済システムを標準する検討をして相互接続性の確保を目指している。

出所)NNAベトナム

3. AFC決済システム(ベトナム:第一回現地調査) 当該インフラ分野における課題と当該案件・技術の必要性

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4.「実証・テストマーケティング事業」の仕組み検討

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「実証・テストマーケティング事業」実施可能性調査は、日本の新たな技術・システム等を活用した案件を発掘し、円借款や海外投融資の案件形成に繋げることを目的としている。

経産省では従来から、インフラ輸出振興のため、将来的な円借款や海外投融資の案件形成のためのフィージビリティ・スタディ等(委託・補助)を実施してきたが、新たな技術・システム等を用いた案件が選定されるにはハードルが高い面があった。

そこで本調査では、「質の高いインフラ輸出」の方針に合致する新たな技術・システム等の活用案件を前もって発掘し情報収集等を支援することで、来年度以降の経産省の委託事業・補助事業に対する、新技術等の活用案件の応募を促進する。

その際には、従来のように円借款と海外投融資のみを出口とするのではなく、新技術・システム等を無償資金協力を活用して「お試し」で供与し、より大きな案件形成に繋げること(実証・テストマーケティング事業)も視野に、対象案件を選定する。

4.「実証・テストマーケティング事業」の仕組み検討

円借款

海外投融資

JICA

協力準備調査

・従来型準備調査

・PPPインフラ

無償資金協力円借款/

海外投融資

METI

インフラシステム

輸出促進調査事業等

NEDO実証事業等

民間企業等の

内部検討・

現地情報収集

(本調査の位置づけ)

【4.資金協力実施段階】【3.F/S段階】【2.プレF/S段階】【1.案件発掘段階】

案件形成プロセスにおける位置づけ

質の高いインフラ

詳細事業実施

可能性調査事業等

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4.「実証・テストマーケティング事業」の仕組み検討➀相手国への営業、②METIへの案件持込、③JICA含む検討の各段階で課題が存在する。

現状の案件形成プロセスの全体像と課題

案件発掘 スクリーニング・プレF/S F/S~資金協力実施段階

民間企業 経済産業省 JICA・外務省

実施機関

要請

相手国側

②案件持ち込み、スクリーニング

国際協力所管省庁 ・ 財務省

日本側

• 新技術情報収集の仕組み• 異分野間評価、支援の仕組み• 専門技術を所管する他省庁との連携

• 社会問題としての認知(新分野なのでカウンターパートが決まらない)

• 新技術の理解浸透(適切な規格の採用、基準策定等)

• 新技術・システム運用組織の構築

➀海外政府への営業活動

• METI-F/Sへの採用基準(当初は他案件と比べて金額規模が小さい)

• 無償案件としての優先順位• 新技術の実績評価(既往結果活用/新規実証実施)

③可能性検討

申請

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4.「実証・テストマーケティング事業」の仕組み検討

海外政府に新技術を認知・理解してもらう活動を支援する必要があるのではないか。

【1-1.社会問題としての認知】

当初は当該国における社会問題としての優先順位が低い。かつ、新分野なのでカウンターパートが決まりにくい

【1-2. 新技術・システムの理解浸透】

新技術・システムの内容とメリットを相手国担当に理解してもらいにくい。かつ、適切な規格や技術基準の策定に時間を要することがある。

社会問題としての現状把握、データ収集の支援 メディアへの情報提供政権交代、組織のトップ交代等による政策方針変更といった機会を捉えた営業活動

営業活動、セミナー等の開催を経産省として支援してはどうか。(例:JICA民間連携促進事業)

規格や技術基準の策定においては、当該技術を所管する他省による事業や、JICAによる技術協力プロジェクトとの連携が必要

1.海外政府への営業段階における課題と施策(案)

新技術・システムの中には、施工技術や機器のそのものの性能よりも、効率的な運用やシステムとしての統合性など、「運用面」に優れたものも多い

これら高度な技術・システムを継続的に運用可能な現地体制づくりに、より手厚い支援が必要

JICAのキャパシティビルディング事業等との連携に加え、まず小規模に導入し、運用組織もノウハウ蓄積を反映して徐々に拡大させていく手法も有効

【1-3.新技術・システム運用組織の構築】従来よりもより高度で専門的な技術・システムを導入する場合には、現地でその運用能力のある組織を育成することが不可欠

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4.「実証・テストマーケティング事業」の仕組み検討

新技術情報を収集・スクリーニングする仕組みや、他省との連携が必要と考えられる。

【2-1.新技術の情報を収集する仕組み】

資金協力に繋がる可能性のある新技術・システム情報の収集が十分でない

【2-2. 新技術に対する評価手法の確立】異なる分野の技術の中から、案件化の可能性が高い案件をスクリーニングする手法が課題

業界団体と連携する等、新技術・システム情報に係る案件情報を更新する仕組みを構築

新技術・システムを持つ企業に対して、F/S事業や補助事業等を紹介するなど、支援策を周知することで、新技術を保有する企業とのチャネルを構築

本件で作成したスクリーニング基準や外部委員会からの助言によるスクリーニング方法の確立、発展

技術自体の性能に加え、資金協力スキームとの親和性(金額規模等)や相手国政府の検討熟度、優先順位に比重を置いたスクリーニング基準は、異分野間の評価に一定度有効

2.経産省への案件持込・スクリーニング段階における課題と施策(案)

他省が関与する新技術及び海外インフラ案件について、実用化に向けた困難を抱えているものがあれば経済産業省によるサポートが可能か検討

他省による実証結果等も実績情報として活用

【2-3.他省との連携】専門的な技術・システムほど、当該分野を所管する他省との連携が課題

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4.「実証・テストマーケティング事業」の仕組み検討

実現可能性検討を進めるためには、新技術・システムの実績作り支援が必要ではないか。

【3-1.METI-F/Sへの採択基準】

F/S委託事業や補助事業等の次段階に進む際に、他案件と比べて当初の金額規模が小さい実証・テストマーケ案件がどう評価されるか不透明

【3-2. 無償案件としての優先順位】

新技術の活用案件は、他の無償案件協力案件と比較して、社会課題としての深刻性、対応の優先順位がより問われる可能性がある

実証・テストマーケティング事業の対象案件は当初の金額規模が小さいことが前提なので、他案件と金額規模のみで比較しない等、採択基準の検討が必要

無償資金協力が直接の出口となる際のF/S事業の検討項目の整理が必要

当初のスクリーニング段階から、無償資金協力の対象国、社会課題に適合する案件を選定

現地ニーズを把握するJICA地域部との連携経産省によるインフラ輸出促進の観点からの働きかけ

3.案件の可能性検討段階における課題と施策(案)

【既存実績活用】 国内実績や、他省事業による実証結果を判断基準として活用

【新規実績づくり】 JICAの技術協力プロジェクト等やNEDOの実証事業等と連携し、日本国内での最低限必要な実績作りや海外での実績づくりを支援

従来技術の弱点を解決可能な新技術・システムにつき、優先的に採用(次頁の参考資料参照) )

【3-3.新技術の実績評価】

実施段階の意思決定のためには、新技術・システムであったとしても何らかの実績の裏づけが必須

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従来の無償/有償案件の事後評価で指摘されてきた下記の課題を踏まえ、その解決が可能な新技術・システムを採用することで、プロジェクト遂行の確実性を高められないか。

従来から、事後評価において、特に有効性や持続性の観点から、下記の課題が指摘されてきた。

下記課題を解決可能な新技術(下記右)を用いることができれば、より確実に開発効果を得ることができると考えられる。

下記の要素を持つ技術を、案件形成過程で優先的に取り上げることで、案件の実現可能性を高められる可能性がある。

従来の無償/有償資金協力の事後評価で指摘されてきた課題

ヒト

モノ

カネ

権限

インフラの維持管理組織(地方自治体、国の出先機関等)に、十分な人員数が確保されていない

技術・システムの運用が可能な能力・ノウハウを有する人材が確保されていない

設備・機器・システムの故障時に国内でスペアパーツの調達及び修理が不可能

十分なメンテナンス能力を有する業者が現地で確保できない 稼動に必要な電力は十分かつ安定的に供給されない

整備後の維持管理予算(OPEX)を実施機関の自己財源で十分に確保できない

使用料を徴収する場合、利用者の負担力や支払い意志を踏まえた妥当な水準でない、確実に支払いが行われない

実施機関において、責任を有する組織・部署が明確に定められ、当該事業に係る権限が与えられていない

既存技術より必要人員が少ない技術・システム

誰でもハンドリングが容易な技術・システム

既存技術よりメンテナンス・修理が容易な技術・システム

必要電力が少ない、自己発電が可能な技術・システム

既存技術より維持管理費を抑制可能な技術・システム

料金の確実な徴収が可能なシステム/ビジネスモデル

実施機関において、権限を有する組織が明確に定まっている技術・システム

課題解決に繋がる新技術の例

4.「実証・テストマーケティング事業」の仕組み検討

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5.略語集

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5.略語集

本調査全般に係る略語

略語 本名 日本語

ADB Asian Development Bank アジア開発銀行

AFC Automatic Fare Collection 運賃自動収受(システム)

BRT Bus Rapid Transit バス・ラピッド・トランジット

CA Carrier Aggregation キャリア・アグリゲーション

CCT Clean Coal Technology クリーン・コール・テクノロジー

CNG Compressed Natural Gas 圧縮天然ガス

CO2 Carbon Dioxide 二酸化炭素

DMIC Deli-Mumbai Industrial Corridor デリー・ムンバイ間産業大動脈構想

EV Electric Vehicle 電気自動車

F/S Feasibility Study 実証実験

ITS Intelligent Transport Systems 高度道路交通システム

JCM Joint Crediting Mechanism 二国間クレジット制度

LCC Life Cycle Cost ライフサイクルコスト

MOU Memorandum of Understanding 了解覚書

NEDONew Energy and Industrial Technology Development Organization

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

NETIS New Technology Information System 新技術情報登録システム

NOX Nitrogen Oxides 窒素酸化物

NSDI National Spatial Data Infrastructure 国土空間データ基盤

ODA Official Development Assistance 政府開発援助

OECDOrganisation for Economic Co-operation and Development

経済協力開発機構

PFI Private Finance Initiative プライベート・ファイナンス・イニシアチブ

PLN Perusahaan Listrik Negara 電力公社

PM Particulate Matter 粒子状物質

PPP Public Private Pertnership パブリック・プライベート・パートナーシップ

UTMS Universal Traffic Management System 新交通管理システム

VfM Value For Money バリュー・フォー・マネー

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5.略語集

海外現地調査に係る略語略語 本名 日本語

3-1.インドネシア現地調査

BAPPENAS Badan Perencanaan Pembangunan Nasional インドネシア国家開発計画省

BMKG Badan Meteorologi Klimatologi インドネシア気象・地球物理庁

BNPB Badan Nasional Penanggulangan Bencana インドネシア国家防災庁

BPBD Badan Penanggulangan Bencana Daerah インドネシア各州・県・市防災局

KLHK Kementerian Lingkungan Hidup dan Kehutanan インドネシア環境・林業省

NTP Network Time Protocol ネットワーク・タイム・プロトコル

PVMBG Pusat Vulkanologi dan Mitigasi Bencana Geologi インドネシア火山地質災害軽減センター

3-2.インド現地調査

BRTS Bus Rapid Transport System バス高速輸送システム

CCTV Closed Circuit Television 監視カメラ

CPCB Central Pollution Control Board インド中央公害管理局

DDA Delhi Development Authority デリー開発庁

DEA Department of Economic Affairs インド経済局

DIMTS Delhi Integrated Multi-Modal Transit System Ltd. -

DP Delhi Police デリー警察

DTC Delhi Transport Corporation デリー公共バス

GNCTD Government of National Capital Territory of Delhi デリー首都圏政府

HPC High Powered Committee ハイ・パワード・ コミッティ

MCD Municipal Corporation of Delhi デリー市行政自治体

MCG Municipal Corporation of Gurgaon グルガオン市行政自治体

NH National Highway 国道

NHAI National Highway Authority of India インド国道庁

PWD Public Works Department Delhi デリー公共事業局

3-3.ミャンマー現地調査(廃棄物処理)

MJTD Myanmar Japan Thilawa Development Ltd. MJティラワ・デベロップメント社

PCCD Pollution Control and Cleaning. Department ヤンゴン市汚染管理/清掃局

SEZ Special Economic Zone 経済特区

YCDC Yangon City Development Committee ヤンゴン開発委員会

YRG Yangon Region Government ヤンゴン地域政府

3-4.ミャンマー現地調査(通信)

FTTH Fiber To The Home ファイバー・トゥ・ザ・ホーム

MPT Myanma Posts & Telecommunications ミャンマー国営郵便・電気通信事業体

3-5.ベトナム現地調査

ISO International Organization for Standardization 国際標準化機構

L/A Loan Agreement 借款契約

NFC Near Field Communication 近距離無線通信

TRAMOC Hanoi Urban Transport Management and Operation Centre ハノイ市交通局

UMRT Urban Mass Rapid Transit 都市高速鉄道