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ハンズオン支援事例集 ハンズオン支援事例集 ハンズオン支援事業の活用による経営支援 支援事例 新店舗出店プロセスの標準化と投資による成長可能性と財務リスクの見える化―飲食ベンチャーの成長基盤強化支援― 新サービスのテストマーケティングを通じた販路開拓の取組み 世界初!インクジェット印刷とグラビア印刷のハイブリッド印刷技術の確立―ハイブリッド印刷機の完成と量産技術確立支援― 株式公開を目指した経営基盤の強化と新事業アイディア創出―革新的成長に向けた現場の意識・行動改革支援― 新市場開拓にチャレンジ!“わかりやすく魅力を伝えるプレゼンテーションの企画と実践支援” 震災復興と将来対応の同時進行を目指し、計画経営の強化と新商品づくりにチャレンジ! “いいものつくり”実現の生産体制と収益性の改善―高級腕時計ケース生産工程の採算性改善支援― 原価管理体制の構築による収益性改善―原価計算制度の構築による価格決定プロセス向上と原価低減支援― 脱1社依存!新規顧客開拓にむけた「多品種少量」 「短納期」実現の生産体制づくり―新たな競争力の獲得と企業体質の改善― 生産体制の再構築と財務体質の健全化―4年後の債務ゼロを目指して― 自立型企業への挑戦!―下町新幹線を目指しての生産体制再構築支援― 将来ビジョンの明確化と営業強化及び生産現場改善による収益性向上―経営基盤強化に資する複合支援― 全員参画の品質管理の仕組み作りと品質革新活動―グローバルに戦える強いモノづくり工場実現― 目標達成に全社一丸で挑む!部門別・月次収益管理導入による成長への基盤固め 中期経営計画実現を支える情報化戦略企画策定と実施により、持続的成長と経営効率化が可能に! 平成28年度 地域中小企業 経営力強化・成長支援

ハンズオン支援事例集 - 独立行政法人 中小 ... · ハンズオン支援事例集 ハンズオン支援事業の活用による経営支援(平成 28年度) 新サービスのテストマーケティングを通じた販路開拓の取組み

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  • ハンズオン支援事例集 ハンズオン支援事業の活用による経営支援(平成28年度)

    独立行政法人 中小企業基盤整備機構

    2017.3

    ハンズオン支援事例集ハンズオン支援事例集ハンズオン支援事業の活用による経営支援

    支援事例新店舗出店プロセスの標準化と投資による成長可能性と財務リスクの見える化―飲食ベンチャーの成長基盤強化支援―新サービスのテストマーケティングを通じた販路開拓の取組み世界初!インクジェット印刷とグラビア印刷のハイブリッド印刷技術の確立―ハイブリッド印刷機の完成と量産技術確立支援―株式公開を目指した経営基盤の強化と新事業アイディア創出―革新的成長に向けた現場の意識・行動改革支援―新市場開拓にチャレンジ!“わかりやすく魅力を伝えるプレゼンテーションの企画と実践支援”

    震災復興と将来対応の同時進行を目指し、計画経営の強化と新商品づくりにチャレンジ!“いいものつくり”実現の生産体制と収益性の改善―高級腕時計ケース生産工程の採算性改善支援―原価管理体制の構築による収益性改善―原価計算制度の構築による価格決定プロセス向上と原価低減支援―脱1社依存!新規顧客開拓にむけた「多品種少量」「短納期」実現の生産体制づくり―新たな競争力の獲得と企業体質の改善―生産体制の再構築と財務体質の健全化―4年後の債務ゼロを目指して―自立型企業への挑戦!―下町新幹線を目指しての生産体制再構築支援―将来ビジョンの明確化と営業強化及び生産現場改善による収益性向上―経営基盤強化に資する複合支援―全員参画の品質管理の仕組み作りと品質革新活動―グローバルに戦える強いモノづくり工場実現―目標達成に全社一丸で挑む!部門別・月次収益管理導入による成長への基盤固め中期経営計画実現を支える情報化戦略企画策定と実施により、持続的成長と経営効率化が可能に!

    平成28年度

    新事業展開型

    経営基盤強化型

    地域中小企業 経営力強化・成長支援

  • はじめに 中小機構(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)は、国の中小企業施策の総合実施機関として、様々な事業を実施しております。その中でも「ハンズオン支援事業」は、中小企業の経営革新や経営力強化を支援ことで、中小企業の成長・発展に寄与することを目的として平成12年に創設し、これまで8千社以上の支援実績を上げています。

     中小機構が行う「ハンズオン支援事業」は、中小機構が有する多様な外部専門家集団の総力を結集して、個々の企業の成長過程で発生する様々な経営問題について、専門家が当該企業のパートナーとして伴走し、ノウハウを提供しながら継続して支援する事業です。

     本事例集は、経営問題を抱える中小企業をどのように支援したのか、その支援ノウハウをまとめたものです。 作成にあたっては、課題を以下の2つのテーマに分け、課題の設定から達成状況、更に今後の展望までを詳述しました。

    ・ 新事業展開型(新事業創出や新事業開拓をテーマに取り組んだ支援)

    ・ 経営基盤強化型(経営基盤の強化をテーマに取り組んだ支援)

     中小機構単独で全ての中小企業の支援ニーズに対応することはできません。そこで、中小機構のハンズオン支援事業の経験を本事例集に示すようなノウハウとして取りまとめ、それらを地域の中小企業支援機関の皆様と共有することで、全国の中小企業支援機関の皆様、さらには、中小企業経営者の皆様が経営問題の解決に向けた取組みを支援・実施する際のご参考となれば幸いです。 末筆ながら、本事例集の作成に当たりましてご協力いただきました事例企業の経営者、関係者の皆様方に心から感謝を申し上げます。

    平成29年3月独立行政法人 中小企業基盤整備機構

    経営支援部長山地 禎比古

    ※ 本制度は、人材・販売先・提携先等の斡旋・紹介や、契約交渉・事務処理作業等の実務代行を行うものではありません。

  • 1

     ハンズオン支援事業のご紹介  本部と全国9地域本部において、下記4つのハンズオン支援事業により、経営課題の解決に取り組む中小企業に対して、豊富な経験と実績を持つ専門家を長期継続的に派遣し、企業の成長・発展のサポートを行っています。

    支援メニュー

    支 援 の 特 長

    【総合的課題解決支援】

    真の経営課題を探り、長期・継続的に総合的な課題の解決をサポート

    【特定課題解決支援】実務的な知識・ノウハウの提供で特定課題の解決をサポート

    【IT活用・IT人材育成支援】

    IT活 用 に よ る 課 題 解決・経営戦略の実現とIT人材(CIO)育成をサポート

    【販路開拓支援】首都圏・近畿圏へのテストマーケティングにより、新市場開拓の土台構築をサポート

    専門家継続派遣事業

    経営実務支援事業

    戦略的CIO育成支援事業

    販路開拓コーディネート事業

    多様な支援ニーズに対応中小企業が抱える様々な経営課題の解決に向けて、企業の個別事情に合わせ、多様な支援テーマを提案、課題解決のサポートを実施します。マーケティング企画の見直し・業務のシステム化など特定の経営課題から、全社的・グループ経営の視点による経営戦略再構築のような高度なテーマ、また、広域展開、グローバル化などに幅広く対応しています。

    多彩な専門家全国ベースの幅広いネットワークがあり、支援内容に応じて、実務に精通し、指導実績の豊富な専門家を選定します。専門家には、大企業等で経営幹部・工場長・部門責任者など経営や実務を深く経験した方、中小企業支援の経験を積んだ中小企業診断士・公認会計士など、多彩な顔ぶれが揃っています。

    案件ごとにコーディネート各地域本部にプロジェクトマネージャーを配置し、案件ごとに支援全体をコーディネートしています。事前の調査・課題設定と支援内容の提案・専門家のチーム編成から、支援の進捗管理・成果の評価・派遣終了後のフォローまで、一社一社丁寧に支援します。

    自立・成長の応援社内プロジェクトチームを編成するなどして、主体的に課題解決に取り組んでいただきます。アドバイザーのサポートを受けながら、企業自らが実践を通して課題の本質を理解し、課題解決能力を身につけることで、アドバイザー派遣終了後も自ら継続的に発展・成長する「自立化の仕組みづくり」につなげる支援を行います。

    特長

    1

    特長

    2

    特長

    3特長

    4

  • 2

    事業名 専門家継続派遣事業 経営実務支援事業 戦略的CIO育成支援事業 販路開拓コーディネート事業

    概要

    経営・技術・財務等の専門家を総合的な経営課題の解決のために長期間継続して派遣します。企業の発展段階に応じてタイムリーで適切なアドバイスをおこない、その成長・発展をサポートします。

    企業の抱える特定の課題(技術・経営・マーケティング等)について、経営実務の経験が豊富なアドバイザーを派遣し、課題解決や社内人材の育成を支援します。

    ITを活用した課題解決やIT導入の検討、実際のIT導入・運用などに対してアドバイスを行うと共に、企業内のCIO(Chief Information Officer)候補者の育成を支援します。

    首都圏または近畿圏市場へのアプローチを、テストマーケティングの手法(想定市場の企業への訪問・ヒアリング)により支援します。

    対象者今後成長が期待されるベンチャー企業や経営革新・第二創業・株式公開による新事業展開・経営基盤強化に積極的取り組む中小企業

    特定の経営課題解決の為に実務面の支援を必要とする中小企業

    各種の経営課題に対し、ITの戦略的活用により解決を図る中小企業

    優れた商品(新製品・新技術・新サービス)を持ち、全国に向けて市場開拓を目指す中小企業(中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認を受けた企業等)

    支援期間 6ヶ月~1年以内で平均月2~3回 5ヶ月以内/10回以内 6ヶ月~1年以内で平均月2~3回 −

    費用専門家1人・1日あたり17,200円(税込み)※

    専門家1人・1回あたり8,200円(税込み)※

    専門家1人・1日あたり17,200円(税込み)※

    専門家1人・同行支援1回あたり4,100円(税込み)※

    派遣専門家

    大手企業経営幹部など経営経験の豊富な方、中小企業診断士や公認会計士、弁護士、弁理士など、中小企業の育成・支援の第一線で活躍している支援豊富な専門家

    大手・中堅企業等において豊富な実務経験を持つ専門家

    CIO経験者、中小企業診断士、ITコーディネーターなど中小企業のIT経営に関して十分な知見と実績がある専門家

    首都圏または近畿圏に販路ネットワークを有する商社・メーカー等出身者やマーケッター(販路開拓コーディネーター)

    支援テーマ(例)

    経営戦略  経営ビジョン策定、      事業計画策定・実行

    新事業開拓 新技術・新用途・試作品の開発、      知的財産戦略構築

    海外展開  海外進出先・進出形態選定、      グローバル経営体制の構築

    IPO、M&A、 資本政策立案、組織体制再構築、企業再編  グループ連結経営管理体制構築

    営業、   営業戦略の構築、ブランド構築、マーケティング 組織的営業力強化・新顧客開拓

    財務・会計 月次決算の早期化・精度向上、      原価管理、予算実績管理

    現場改善、 品質管理体制の構築、見える化・生産性向上 適正化、生産計画の精度向上

    事業計画  事業計画実行の為の      行動計画作成

    営業、   新規事業展開のための営業体制マーケティング の構築、営業の業務フロー・      販売促進ツールの策定

    生産     現場改善による生産性向上、      生産リードタイムの短縮・      納期遅れの改善

    生産技術  生産性向上のための技術改良、      知的財産の蓄積・活用

    財務・会計 会計処理・経理業務フローの構築、      管理会計の導入

    その他   賃金制度・人事労務制度の改善、      物流改善、省エネ対策

    <プロセス①企画・計画フェーズ> ◦経営戦略や方針の確認・立案 ◦経営課題の整理 ◦業務改善課題の抽出 ◦情報化の方針・計画立案 ◦システム化の構想

    <プロセス②設計・開発フェーズ> ◦投資予算の検討 ◦ベンダー・パッケージ選定 ◦システムの設計・開発 ◦業務の仕組みの確立

    <プロセス③運用・保守フェーズ> ◦システム移行・稼働のフォローアップ ◦利用者への教育 ◦活用定着フォロー ◦導入効果の検証 ◦改善項目の抽出

    <プロセス①仮説の設定(PLAN)>   販路開拓プロジェクトマネージャー等からな

    る支援チームと一緒に、市場ターゲットや開拓方法を検討し、マーケティング企画を練ります。

    <プロセス②仮説の検証(DO)>   販路開拓コーディネーターとともに想定市場

    のユーザー等を実際に訪問し、新商品のプレゼンテーションを行ってユーザーの声を聴くことにより、仮説の検証(テストマーケティング)を行います。

    <プロセス③仮説の評価(SEE)>   テストマーケティングの結果を踏まえて仮説

    を評価し、今後の事業展開に活かします。

    ※費用に付いては、平成29年3月時点のものです。

     ハンズオン支援事業のメニュー紹介 ◦ハンズオン支援事業には、以下の4つのメニューがあります。どのような支援メニューが最適かについては、ご相 談ください。◦企業からの相談に対し、支援チームが最適な支援計画と専門家を選びご提案します。状況に応じてメニューの複 合活用も可能です。複合支援の例は5ページに掲載しています。

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    事業名 専門家継続派遣事業 経営実務支援事業 戦略的CIO育成支援事業 販路開拓コーディネート事業

    概要

    経営・技術・財務等の専門家を総合的な経営課題の解決のために長期間継続して派遣します。企業の発展段階に応じてタイムリーで適切なアドバイスをおこない、その成長・発展をサポートします。

    企業の抱える特定の課題(技術・経営・マーケティング等)について、経営実務の経験が豊富なアドバイザーを派遣し、課題解決や社内人材の育成を支援します。

    ITを活用した課題解決やIT導入の検討、実際のIT導入・運用などに対してアドバイスを行うと共に、企業内のCIO(Chief Information Officer)候補者の育成を支援します。

    首都圏または近畿圏市場へのアプローチを、テストマーケティングの手法(想定市場の企業への訪問・ヒアリング)により支援します。

    対象者今後成長が期待されるベンチャー企業や経営革新・第二創業・株式公開による新事業展開・経営基盤強化に積極的取り組む中小企業

    特定の経営課題解決の為に実務面の支援を必要とする中小企業

    各種の経営課題に対し、ITの戦略的活用により解決を図る中小企業

    優れた商品(新製品・新技術・新サービス)を持ち、全国に向けて市場開拓を目指す中小企業(中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認を受けた企業等)

    支援期間 6ヶ月~1年以内で平均月2~3回 5ヶ月以内/10回以内 6ヶ月~1年以内で平均月2~3回 −

    費用専門家1人・1日あたり17,200円(税込み)※

    専門家1人・1回あたり8,200円(税込み)※

    専門家1人・1日あたり17,200円(税込み)※

    専門家1人・同行支援1回あたり4,100円(税込み)※

    派遣専門家

    大手企業経営幹部など経営経験の豊富な方、中小企業診断士や公認会計士、弁護士、弁理士など、中小企業の育成・支援の第一線で活躍している支援豊富な専門家

    大手・中堅企業等において豊富な実務経験を持つ専門家

    CIO経験者、中小企業診断士、ITコーディネーターなど中小企業のIT経営に関して十分な知見と実績がある専門家

    首都圏または近畿圏に販路ネットワークを有する商社・メーカー等出身者やマーケッター(販路開拓コーディネーター)

    支援テーマ(例)

    経営戦略  経営ビジョン策定、      事業計画策定・実行

    新事業開拓 新技術・新用途・試作品の開発、      知的財産戦略構築

    海外展開  海外進出先・進出形態選定、      グローバル経営体制の構築

    IPO、M&A、 資本政策立案、組織体制再構築、企業再編  グループ連結経営管理体制構築

    営業、   営業戦略の構築、ブランド構築、マーケティング 組織的営業力強化・新顧客開拓

    財務・会計 月次決算の早期化・精度向上、      原価管理、予算実績管理

    現場改善、 品質管理体制の構築、見える化・生産性向上 適正化、生産計画の精度向上

    事業計画  事業計画実行の為の      行動計画作成

    営業、   新規事業展開のための営業体制マーケティング の構築、営業の業務フロー・      販売促進ツールの策定

    生産     現場改善による生産性向上、      生産リードタイムの短縮・      納期遅れの改善

    生産技術  生産性向上のための技術改良、      知的財産の蓄積・活用

    財務・会計 会計処理・経理業務フローの構築、      管理会計の導入

    その他   賃金制度・人事労務制度の改善、      物流改善、省エネ対策

    <プロセス①企画・計画フェーズ> ◦経営戦略や方針の確認・立案 ◦経営課題の整理 ◦業務改善課題の抽出 ◦情報化の方針・計画立案 ◦システム化の構想

    <プロセス②設計・開発フェーズ> ◦投資予算の検討 ◦ベンダー・パッケージ選定 ◦システムの設計・開発 ◦業務の仕組みの確立

    <プロセス③運用・保守フェーズ> ◦システム移行・稼働のフォローアップ ◦利用者への教育 ◦活用定着フォロー ◦導入効果の検証 ◦改善項目の抽出

    <プロセス①仮説の設定(PLAN)>   販路開拓プロジェクトマネージャー等からな

    る支援チームと一緒に、市場ターゲットや開拓方法を検討し、マーケティング企画を練ります。

    <プロセス②仮説の検証(DO)>   販路開拓コーディネーターとともに想定市場

    のユーザー等を実際に訪問し、新商品のプレゼンテーションを行ってユーザーの声を聴くことにより、仮説の検証(テストマーケティング)を行います。

    <プロセス③仮説の評価(SEE)>   テストマーケティングの結果を踏まえて仮説

    を評価し、今後の事業展開に活かします。

    ※費用に付いては、平成29年3月時点のものです。

     ハンズオン支援事業のメニュー紹介 ◦ハンズオン支援事業には、以下の4つのメニューがあります。どのような支援メニューが最適かについては、ご相 談ください。◦企業からの相談に対し、支援チームが最適な支援計画と専門家を選びご提案します。状況に応じてメニューの複 合活用も可能です。複合支援の例は5ページに掲載しています。

  • 4

     ハンズオン支援のプロセス(支援の流れ) 

    準備フェーズ

    実施フェーズ

    フォローフェーズ

    中小企業

    中小企業

    中小企業

    プロジェクトマネージャー

    プロジェクトマネージャー

    職員

    職員

    専門家

    職員

    ご相談・お申し込み

    事前ヒアリング(企業訪問)

    申込審査

    四半期調査(進捗の確認)

    終了調査(成果の確認)

    フォローアップ

    派遣計画書案作成と専門家の選定

    経営課題の内容や戦略目標、企業の内部資源や外部環境等についてヒアリングいたします。

    最適な専門家を探し、支援の計画(派遣計画書)案を作成し、ご提案いたします。合意が取れましたら支援開始です。

    継続的なハンズオン支援が必要か、別の支援策が必要か、自社での取り組みを進めていただくかをご相談させていただきます。

    専門家

    アドバイス初回:キックオフミーティング ↓中間:中間報告会 ↓最終:プロジェクトレビュー会

    派遣計画に基づいたハンズオン支援実施

    ニーズ調査(企業訪問)

    IT分野営業・マーケティング分野

    その他分野人事・労務分野

    財務・会計分野

    生産・技術分野

    プロジェクトマネージャー

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     ハンズオン支援制度を組み合わせた複合支援  企業の成長発展・事業の進捗に応じて、経営課題は変化していきます。 中小機構では、企業の成長発展、事業の進捗にあわせて、最適な支援策を提供いたします。

     �具体的には、ハンズオン支援の4つの事業を組み合わせたり、6〜7ページに抜粋表記している様々な支援事業との連携により、支援の最適化を図っています。

     ここでは、各種支援事業を複合的に活用し、成長を加速させている例を示します。

    1 経営課題:成長基盤強化①新店舗出店プロセスの標準化⇒②成長局面における財務リスクの見える化例1 ㈱こころ P10〜13 1年目 2年目①経営実務支援事業

    ②専門家継続派遣事業

    ③地方発!ベンチャー企業ミートアップ

    (経営実務支援事業)新店舗出店時のマーケティングプロセスを標準化し、多店舗展開が加速。(専門家継続派遣事業)�複数の投資パターンでの財務リスクがシミュレートできるようになり、成

    長局面での最適な経営判断が可能となった。(地方発!ベンチャー企業ミートアップ)投資家へのプレゼンによりネットワークが出来た。

    ②静岡県の

    経営革新計画の取得へ

    成果

    3 経営課題:上場に向けた中期経営計画立案と品質改善、海外進出①中期経営計画の立案+品質改善⇒②米国への進出可能性調査(F/S)例3 サンプラスチックス㈱ P22〜25 1年目 2年目①専門家継続派遣事業

    ②海外F/S支援事業

    (専門家継続派遣事業)�中期経営計画及び株式公開スケジュールの立案。更に、品質不良削減による生産力強化。

    (海外F/S支援事業)�アメリカにおける工場設立を視野に、調達・立地・賃金相場・税制・法規制・契約ルール・市場ニーズ等の現地調査により、進出に向けた検討を着実に進めている。

    ①1期 ①2期

    成果

    2 経営課題:新市場開拓と生産性向上①自社開発製品のテストマーケティングによる用途開拓+営業力強化⇒②生産性向上例2 ㈱坂井印刷所 P26〜29 1年目 2年目①販路開拓コーディネート事業

    ②経営実務支援事業

    (販路開拓コーディネート事業)�テストマーケティングによる自社開発製品のニーズ確認、用途の明確化。更に営業人材の提案力強化の実現。

    (経営実務支援事業)5Sによる生産現場改善による生産性向上。

    成果

  • 6

    支援内容 担当部署・電話 ホームページ・経営アドバイス(無料)・メール経営相談(無料)・経営相談ホットライン(通話料有料)

    全国9ヶ所の地域本部 経営支援課(裏表紙参照)

    http://www.smrj.go.jp/consulting/index.html

    ・専門家継続派遣事業・経営実務支援事業・戦略的CIO育成支援事業・販路開拓コーディネート事業

    全国9ヶ所の地域本部 経営支援課(裏表紙参照)

    http://www.smrj.go.jp/venture/advisor/index.html

    ・J-GoodTech(ジェグテック) 全国9ヶ所の地域本部 経営支援課(裏表紙参照)・マーケティング支援課 https://jgoodtech.smrj.go.jp/

    ・Eコマース活用支援 販路支援部電話:03-5470-1681http://www.smrj.go.jp/keiei/

    ecommerce/index.html

    ・新価値創造NAVI・新価値創造展、 中小企業総合展

    販路支援部電話:03-5470-1525

    http://www.smrj.go.jp/keiei/event/097256.html

    ・海外CEOとの商談会・交流会 販路支援部電話:03-5470-2375 http://www.smrj.go.jp/ceo/

    ・国際化支援アドバイス全国9ヶ所の地域本部 経営支援課(裏表紙参照)・国際化支援課

    http://www.smrj.go.jp/keiei/kokusai/advice/index.html

    ・海外ビジネス戦略推進支援事業 http://www.smrj.go.jp/keiei/kokusai/fs/index.html

    ・中小企業ワールドビジネスサポート (SWBS)

    販路支援部電話:03-6402-4679 http://swbs.smrj.go.jp/

    ・海外展開セミナー販路支援部 販路支援課(海外展開支援担当)電話:03-5470-1522

    http://www.smrj.go.jp/keiei/kokusai/seminar2/index.html

    ・BusiNest(ビジネスト) BusiNest 電話:042-565-1195 http://businest.smrj.go.jp/

    ・TIP*S(ティップス) TIP*S 電話:03-6212-1840 http://tips.smrj.go.jp/

    ・地域発!新事業創出支援 (農商工等連携・地域資源活用・新連携)

    全国9ヶ所の地域本部 連携推進課(裏表紙参照) 沖縄県は沖縄事務所

    http://www.smrj.go.jp/keiei/chikipg/index.html

    ・ものづくり支援経営支援部 経営支援課

    (ものづくり支援担当)電話:03-5470-1523

    http://www.smrj.go.jp/keiei/tech/index.html

    ・中小企業大学校の研修事業 (全国9箇所設置)

    人材支援グループ 人材支援企画課電話:03-5470-1560

    http://www.smrj.go.jp/institute/index.html

    ・ちょこっとゼミナール人材支援グループちょこっとゼミナール担当電話:03-5470-1645

    http://chokozemi.smrj.go.jp/

    ・小規模企業共済共済相談室(コールセンター)電話:050-5541-7171

    http://www.smrj.go.jp/skyosai/index.html

    ・経営セーフティ共済 (中小企業倒産防止共済)

    http://www.smrj.go.jp/tkyosai/index.html

    ・J-Net21 広報課 ネット班電話:03-5470-1519http://j-net21.smrj.go.jp/

    index.html

     中小機構の支援メニュー(抜粋) 

    最新の中小企業支援策を知りたい◦中小企業のためのポータルサイト「J-Net21」で中小企業に役立つ情報を提供します。

    経営課題の相談をしたい◦経営上の様々な問題を企業支援経験豊富なアドバイザーに相談できます。

    経営課題解決のための支援を受けたい◦実務経験豊富な専門家を派遣し、主体的な経営課題解決のサポートをします。

    ものづくりの研究開発をしたい◦中小企業の研究開発について計画作成や事業化に向けたアドバイスなどを行います。

    退職後の生活の安定や連鎖倒産のリスクに備えたい◦�小規模企業共済、経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済)により、リスクに備えるご支援をします。

    人材育成をしたい◦�全国9カ所に設置されている中小企業大学校等を活用しながら、中小企業の経営者・管理者等に対する高度で専門的な研修を実施します。

    新たな事業を始めたい◦�創業や事業化のための「場」の提供、地域資源・農商工連携・新連携、ファンドの組成等、様々な方法で新規創業・第二創業・事業化をご支援します。

    海外展開をしたい◦�情報提供やマッチング機会の提供、海外展開・国際取引の専門家によるアドバイス等で海外展開を支援します。・海外展開に関する相談をしたりアドバイスが欲しい→国際化支援アドバイス・具体的な海外展開の事業計画を作りたい→海外ビジネス戦略推進支援・海外展開のためのビジネスパートナーと出会いたい→中小企業ワールドビジネスサポート(SWBS)

    販路開拓をしたい◦�国内外に販路を拡大させるために、展示会・商談会の開催やマッチングのための情報発信等の支援をします。・Webマッチングにより新市場開拓したい→J-GooodTech(ジェグテック)・eコマースにより市場参入をしたい→eコマース活用支援・Webと展示会により新事業展開したい→新価値創造NAVI・新価値創造展、中小企業総合展・商談会により海外販路開拓をしたい→海外企業CEO商談会・交流会

    ニーズから探す

  • 7

    支援内容 担当部署・電話 ホームページ・経営アドバイス(無料)・メール経営相談(無料)・経営相談ホットライン(通話料有料)

    全国9ヶ所の地域本部 経営支援課(裏表紙参照)

    http://www.smrj.go.jp/consulting/index.html

    ・専門家継続派遣事業・経営実務支援事業・戦略的CIO育成支援事業・販路開拓コーディネート事業

    全国9ヶ所の地域本部 経営支援課(裏表紙参照)

    http://www.smrj.go.jp/venture/advisor/index.html

    ・J-GoodTech(ジェグテック) 全国9ヶ所の地域本部 経営支援課(裏表紙参照)・マーケティング支援課 https://jgoodtech.smrj.go.jp/

    ・Eコマース活用支援 販路支援部電話:03-5470-1681http://www.smrj.go.jp/keiei/

    ecommerce/index.html

    ・新価値創造NAVI・新価値創造展、 中小企業総合展

    販路支援部電話:03-5470-1525

    http://www.smrj.go.jp/keiei/event/097256.html

    ・海外CEOとの商談会・交流会 販路支援部電話:03-5470-2375 http://www.smrj.go.jp/ceo/

    ・国際化支援アドバイス全国9ヶ所の地域本部 経営支援課(裏表紙参照)・国際化支援課

    http://www.smrj.go.jp/keiei/kokusai/advice/index.html

    ・海外ビジネス戦略推進支援事業 http://www.smrj.go.jp/keiei/kokusai/fs/index.html

    ・中小企業ワールドビジネスサポート (SWBS)

    販路支援部電話:03-6402-4679 http://swbs.smrj.go.jp/

    ・海外展開セミナー販路支援部 販路支援課(海外展開支援担当)電話:03-5470-1522

    http://www.smrj.go.jp/keiei/kokusai/seminar2/index.html

    ・BusiNest(ビジネスト) BusiNest 電話:042-565-1195 http://businest.smrj.go.jp/

    ・TIP*S(ティップス) TIP*S 電話:03-6212-1840 http://tips.smrj.go.jp/

    ・地域発!新事業創出支援 (農商工等連携・地域資源活用・新連携)

    全国9ヶ所の地域本部 連携推進課(裏表紙参照) 沖縄県は沖縄事務所

    http://www.smrj.go.jp/keiei/chikipg/index.html

    ・ものづくり支援経営支援部 経営支援課

    (ものづくり支援担当)電話:03-5470-1523

    http://www.smrj.go.jp/keiei/tech/index.html

    ・中小企業大学校の研修事業 (全国9箇所設置)

    人材支援グループ 人材支援企画課電話:03-5470-1560

    http://www.smrj.go.jp/institute/index.html

    ・ちょこっとゼミナール人材支援グループちょこっとゼミナール担当電話:03-5470-1645

    http://chokozemi.smrj.go.jp/

    ・小規模企業共済共済相談室(コールセンター)電話:050-5541-7171

    http://www.smrj.go.jp/skyosai/index.html

    ・経営セーフティ共済 (中小企業倒産防止共済)

    http://www.smrj.go.jp/tkyosai/index.html

    ・J-Net21 広報課 ネット班電話:03-5470-1519http://j-net21.smrj.go.jp/

    index.html※上記の支援策は、中小機構の支援策の一部です。他にも様々な支援策を実施しております。詳しくは、ホームページ等でご確認ください。 http://www.smrj.go.jp/index.html

  • 8

    掲載事例早見表(平成28年度版)

    支援類型

    掲載頁

    企業名 本 社所在地 タイトル 業種・事業内容 執筆者 活用事業

    専門家派遣制度での支援分野(主な支援課題)

    ①経営企画・戦略立案

    ②情報化・IT活用

    ③マーケティング・営業・販売

    ④技術・製品開発

    ⑤生産・店舗・原価 ⑥その他

    新事業展開型

    P10 ㈱こころ 静岡県浜松市新店舗出店プロセスの標準化と投資による成長可能性と財務リスクの見える化―飲食ベンチャーの成長基盤強化支援―

    飲食業(居酒屋) 関東本部 左田野 康チーフアドバイザー ● ● ●

    P14 ㈱エムシー・通商 東京都千代田区新サービスのテストマーケティングを通じた販路開拓の取組

    リサイクルトナー製造・販売

    関東本部 田川 幸平プロジェクトマネージャー

    P18 富士特殊紙業㈱ 愛知県瀬戸市世界初!インクジェット印刷とグラビア印刷のハイブリッド印刷技術の確立―ハイブリッド印刷機の完成と量産技術確立支援―

    グラビア印刷による食品用パッケージの製造販売

    中部本部 榊原 郁夫統括プロジェクトマネージャー

    P22 サンプラスチックス㈱京都府相楽郡精華町

    株式公開を目指した経営基盤の強化と新事業アイディアの創出―革新的成長に向けた現場の意識・行動改革支援―

    プラスチック製品・製造

    近畿本部 植田 和憲プロジェクトマネージャー

    ● ●

    P26 ㈱坂井印刷所大阪府大阪市都島区

    新市場開拓にチャレンジ!―わかりやすく魅力を伝えるプレゼンテーションの企画と実践支援―

    印刷業近畿本部 田上 和生販路開拓プロジェクトマネージャー

    経営基盤強化型

    P30 ㈱二印大島水産 宮城県気仙沼市震災復興と将来対応の同時進行を目指し、計画経営の強化と新商品づくりにチャレンジ!

    水産加工業東北本部 川名 佐登志統括プロジェクトマネージャー

    ● ● ● ● ●

    P34 林精器製造株㈱ 福島県須賀川市“いいものつくり”実現の生産体制と収益性の改善―高級腕時計ケース生産工程の採算性改善支援―

    腕時計ケース、FA機器、表面処理等製造

    東北本部 八重嶋 征夫プロジェクトマネージャー

    ● ●

    P38 共進工業㈱群馬県邑楽郡大泉町

    原価管理体制の構築による収益性改善―原価計算制度の構築による価格決定プロセス向上と原価低減支援―

    金属製品塗装業関東本部 塩山 知之統括プロジェクトマネージャー

    P42 光洋精機㈱ 東京都品川区脱1社依存!新規顧客開拓にむけた「多品種少量」「短納期」実現の生産体制づくり―新たな競争力の獲得と企業体質の改善―

    精密機械製造業 関東本部 天野 俊基チーフアドバイザー ● ●

    P46 星和化成㈱ 愛知県大府市生産体制の再構築と財務体質の健全化―4年後の債務ゼロを目指して―

    自動車樹脂部品の製造・販売、

    中部本部 星野 博康プロジェクトマネージャー

    ● ●

    P50 松田鉄工�㈱ 広島県東広島市自立型企業への挑戦!―下町新幹線を目指しての生産体制再構築支援―

    輸送用機械器具製造業

    中国本部 油木 正幸プロジェクトマネージャー

    P54 四国物産㈱ 香川県観音寺市将来ビジョンの明確化と営業強化及び生産現場改善による収益性向上―経営基盤強化に資する複合支援―

    卸、小売業及びハム・ソーセージ製造販売

    四国本部 山崎 純一統括プロジェクトマネージャー

    ● ● ●

    P58 ㈱ハイダイ工業福岡県築上郡吉富町

    全員参画の品質管理の仕組み作りと品質革新活動―グローバルに戦える強いモノづくり工場実現―

    冷間鍛造用金型の製造販売

    九州本部 加藤 正行プロジェクトマネージャー

    P62 FSX㈱ 東京都国立市目標達成に全社一丸で挑む!部門別・月次収益管理導入による成長への基盤固め

    おしぼりレンタル及び販売、フランチャイズ事業の展開、厨房機器・消耗資材の販売等

    本部 時田 冨士男 統括プロジェクトマネージャー

    P66 ㈱システムスクウェア新潟県長岡市

    中期経営計画実現を支える情報化戦略企画策定と実施により、持続的成長と経営効率化が可能に!

    異物検査機の開発設計・製作販売、金属検出機/X線検査機/かみこみ検査機/各種選別機

    本部 根塚 眞太郎CIO育成支援プロジェクトマネージャー

    専門家継続派遣

    経営実務支援

    販路開拓Co

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    海外F/S事業

    経営実務支援

    販路開拓Co

    専門家継続派遣

    復興支援事業・窓口相談

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    戦略的CIO育成支援

  • 9

    支援類型

    掲載頁

    企業名 本 社所在地 タイトル 業種・事業内容 執筆者 活用事業

    専門家派遣制度での支援分野(主な支援課題)

    ①経営企画・戦略立案

    ②情報化・IT活用

    ③マーケティング・営業・販売

    ④技術・製品開発

    ⑤生産・店舗・原価 ⑥その他

    新事業展開型

    P10 ㈱こころ 静岡県浜松市新店舗出店プロセスの標準化と投資による成長可能性と財務リスクの見える化―飲食ベンチャーの成長基盤強化支援―

    飲食業(居酒屋) 関東本部 左田野 康チーフアドバイザー ● ● ●

    P14 ㈱エムシー・通商 東京都千代田区新サービスのテストマーケティングを通じた販路開拓の取組

    リサイクルトナー製造・販売

    関東本部 田川 幸平プロジェクトマネージャー

    P18 富士特殊紙業㈱ 愛知県瀬戸市世界初!インクジェット印刷とグラビア印刷のハイブリッド印刷技術の確立―ハイブリッド印刷機の完成と量産技術確立支援―

    グラビア印刷による食品用パッケージの製造販売

    中部本部 榊原 郁夫統括プロジェクトマネージャー

    P22 サンプラスチックス㈱京都府相楽郡精華町

    株式公開を目指した経営基盤の強化と新事業アイディアの創出―革新的成長に向けた現場の意識・行動改革支援―

    プラスチック製品・製造

    近畿本部 植田 和憲プロジェクトマネージャー

    ● ●

    P26 ㈱坂井印刷所大阪府大阪市都島区

    新市場開拓にチャレンジ!―わかりやすく魅力を伝えるプレゼンテーションの企画と実践支援―

    印刷業近畿本部 田上 和生販路開拓プロジェクトマネージャー

    経営基盤強化型

    P30 ㈱二印大島水産 宮城県気仙沼市震災復興と将来対応の同時進行を目指し、計画経営の強化と新商品づくりにチャレンジ!

    水産加工業東北本部 川名 佐登志統括プロジェクトマネージャー

    ● ● ● ● ●

    P34 林精器製造株㈱ 福島県須賀川市“いいものつくり”実現の生産体制と収益性の改善―高級腕時計ケース生産工程の採算性改善支援―

    腕時計ケース、FA機器、表面処理等製造

    東北本部 八重嶋 征夫プロジェクトマネージャー

    ● ●

    P38 共進工業㈱群馬県邑楽郡大泉町

    原価管理体制の構築による収益性改善―原価計算制度の構築による価格決定プロセス向上と原価低減支援―

    金属製品塗装業関東本部 塩山 知之統括プロジェクトマネージャー

    P42 光洋精機㈱ 東京都品川区脱1社依存!新規顧客開拓にむけた「多品種少量」「短納期」実現の生産体制づくり―新たな競争力の獲得と企業体質の改善―

    精密機械製造業 関東本部 天野 俊基チーフアドバイザー ● ●

    P46 星和化成㈱ 愛知県大府市生産体制の再構築と財務体質の健全化―4年後の債務ゼロを目指して―

    自動車樹脂部品の製造・販売、

    中部本部 星野 博康プロジェクトマネージャー

    ● ●

    P50 松田鉄工�㈱ 広島県東広島市自立型企業への挑戦!―下町新幹線を目指しての生産体制再構築支援―

    輸送用機械器具製造業

    中国本部 油木 正幸プロジェクトマネージャー

    P54 四国物産㈱ 香川県観音寺市将来ビジョンの明確化と営業強化及び生産現場改善による収益性向上―経営基盤強化に資する複合支援―

    卸、小売業及びハム・ソーセージ製造販売

    四国本部 山崎 純一統括プロジェクトマネージャー

    ● ● ●

    P58 ㈱ハイダイ工業福岡県築上郡吉富町

    全員参画の品質管理の仕組み作りと品質革新活動―グローバルに戦える強いモノづくり工場実現―

    冷間鍛造用金型の製造販売

    九州本部 加藤 正行プロジェクトマネージャー

    P62 FSX㈱ 東京都国立市目標達成に全社一丸で挑む!部門別・月次収益管理導入による成長への基盤固め

    おしぼりレンタル及び販売、フランチャイズ事業の展開、厨房機器・消耗資材の販売等

    本部 時田 冨士男 統括プロジェクトマネージャー

    P66 ㈱システムスクウェア新潟県長岡市

    中期経営計画実現を支える情報化戦略企画策定と実施により、持続的成長と経営効率化が可能に!

    異物検査機の開発設計・製作販売、金属検出機/X線検査機/かみこみ検査機/各種選別機

    本部 根塚 眞太郎CIO育成支援プロジェクトマネージャー

    専門家継続派遣

    経営実務支援

    販路開拓Co

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    海外F/S事業

    経営実務支援

    販路開拓Co

    専門家継続派遣

    復興支援事業・窓口相談

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    専門家継続派遣

    戦略的CIO育成支援

  • 10 新店舗出店プロセスの標準化と投資による成長可能性と財務リスクの見える化―飲食ベンチャーの成長基盤強化支援―

    新事業展開型

    新店舗出店プロセスの標準化と投資による成長可能性と財務リスクの見える化―飲食ベンチャーの成長基盤強化支援―当社は、異色の経歴を持つ経営陣が試行錯誤しながら作り上げた居酒屋ダイニング。更なる多店舗展開を計画しており、新店舗出店プロセスを標準化し、多店舗展開による財務バランスへの影響をシミュレーションできる仕組みを整備し、成長基盤の強化を実現した。

    関東本部 チーフアドバイザー 左田野 康

    株式会社こころ

    【事例の要約】 本事例は、飲食ベンチャーの成長基盤強化に資する支援の事例である。 当社は、これまで独創的な創作居酒屋料理を徹底したローコストオペレーションで提供し、着実に成長してきた。今後、更なる店舗数の拡大を計画しており、中小機構・関東本部に支援を要請。中小機構・関東本部は、新店出店時のマーケティングプロセスの標準化、組織的に実行できる仕組みづくりを支援するとともに、新店出店投資を行った場合の財務リスクを見える化し、シミュレーションできる仕組みの整備もサポートした。これにより、今後の成長に向けての基盤が整備され、更なる発展が期待される。

    企業名 株式会社こころ業 種 飲食業(居酒屋)    「居酒屋ダイニング てんくう」を展開本社所在地 静岡県浜松市中区蜆塚2-1-38      グレース蜆塚2F資本金 10百万円設 立 平成19年8月売上高 744百万円(平成28年3月期)従業員 232人(正社員27人)

     当社は静岡県浜松市を中心に東海エリアで主力業態「居酒屋ダイニング てんくう」を展開している。この業態は洗練されたデザインと居心地の良さの両面を追求した空間で、食材、調理方法、提供方法にこだわった独創的な創作居酒屋料理を提供しており、丁寧なサービス、コスト、パフォーマンスにおいて満足度の高い居酒屋ダイニングをコンセプトとしている。創業メンバーは渡邉社長、佐藤副社長の2人で、両者とも理科系大学出身、大手IT企業勤務を経て居酒屋運営企業の設立に至った。 当社は、社長及び副社長の経験とノウハウを最大限活かし、現行店舗で様々なITツールによる経営管理を行っている。特筆すべきは徹底したコスト管理やシフト管理により、食材費や人件費を低い比率に抑えている点にある。食材費率、人件費率ともに業界平均を大きく下回っており、ローコストオペレーションが徹底されている。設立後、順調な業績が続き、特に平成25年(2013年)3月期以降は大幅な増収増益基調で飛躍的な成長が続いている。現在の店舗数は10店(2016年3月期末時点)で、今後平成32年(2020年)3月期までに22店舗へ店舗数を拡大

    企業概要

    建築と一体化した上質モダンな店舗外観

  • 11

    株式会社こころ

    する計画を持っている。また、最近は飲食事業で「てんくう」業態の他に新たな業態の開発に取り掛かっており、さらに、飲食事業とIT事業を組み合わせた新事業の開発にも挑戦している。

     中小機構は浜松に浜松イノベーションキューブ(HI-Cube)というインキュベーション施設を運営しており、そこで、大手監査法人系コンサルティングファーム主催のベンチャー企業プレゼンイベントが開催された。当社はそこでプレゼンを行い、それを当時の施設担当者が聞き、「面白い2人がいる」と中小機構・関東本部に伝えてきた。 「理科系大学出身、大手IT企業出身の社長が居酒屋経営」という点に興味を持ち、当社を訪問したことをきっかけに、何度かのやりとりの後、支援が始まった。

     最初に会った時点の渡邉社長からの支援要望は、新店を出店する際に押さえておかなければならない事項を外部アドバイザーの目から確認、評価してもらいたいというものであった。この支援要望は単なるこれまでの新店出店業務のレビューではなく、その業務の組織的実施に向けた仕組みづくりとしなければならないと感じられた。それまでの新店の立地選定、投資回収計算、出店準備などは当然社長、副社長自らが行っていたが、店舗数が増えるにしたがってそれらの業務を部下に落とし込み、組織的に実行できるようにすることがこの支援の本質となる。これを第1ステージの経営実務支援事業の狙いとした。 次に第2ステージの支援として、多店舗展開をする際の財務バランスを社内で試算できるようにするための仕組みの整備を提案した。新店舗は新たな立地の賃借物件に内外装を施して開店することになり、一定の初期投資が必要となる。そのため、1店舗ごとの投資回収計算はしっかりと行われ、予定どおりの回収が実現しているが、その出店ペースが加

    速し、投資額が一時的に膨らんだ場合でも、全体の財務バランスを常にタイムリーに掴める方法を整える必要があると思われたからである。儲かっているからどんどん拡大・・・という意気込みだけで投資を続ける企業もある中、当社はチャレンジと冷静な計算を両立できる企業であるべきだとの思いから本支援を提案し、専門家継続派遣事業での支援に至った。

     第1ステージに行った「新店出店時のマーケティングプロセスのブラッシュアップ支援」では、支援の目的のひとつが業務を部下に落とし込み、組織的に行えるようにすることであるため、社長、副社長はもとより、新エリア開発営業部の責任者および管理者らのメンバーをプロジェクトメンバーに編成した。中小機構の支援の特徴は、支援期間が終了した後も、会社が自立的に改善業務を継続していけることを目的にしていることであり、その実行を担保するためのプロジェクト推進体制を作った。プロジェクトは、経営者、部門責任者・管理者、現場担当者の方々に主体的に取り組んでいただくことを基本としており、本支援はその趣旨を反映した推進体制となった。 一転して、第2ステージの「中長期的な業態および運営方法等の検討にもとづく財務構造の明確化と財務安全性の検討」では社長、副社長の2人だけのプロジェクト推進体制とした。本支援では攻めのシ

    中小機構との出会い

    チーフアドバイザーの視点と支援課題の設定

    プロジェクト推進体制

    支援メニュー H24 H25 H26 H27 H28

    経営実務支援事業

    専門家継続派遣事業

    地方発!ベンチャー企業ミートアップ

    関東経済産業局、中小機構・関東本部主催のベンチャー企業を対象とした投資家へのプレゼンに登壇

    中長期的な業態および運営方法等の検討にもとづく財務構造の明確化と財務安全性の検討

    新店出店時のマーケティングプロセスのブラッシュアップ

    支援内容(支援テーマ等)

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    0

    200

    400

    600

    800

    1,000

    H24/3 H25/3 H26/3 H27/3 H28/3

    売上高(左軸)

    経常利益(右軸)

    単位:百万円

    売上高と経常利益

  • 12 新店舗出店プロセスの標準化と投資による成長可能性と財務リスクの見える化―飲食ベンチャーの成長基盤強化支援―

    ミュレーションだけではなく、財務リスクの理論的な把握も行うため、この時点では社内全体への共有化ではなく、まずは経営トップのみによる条件設定、リスク確認が最優先となるため、支援目的に沿った推進体制を作った。

    <経営実務支援事業>(平成27年1月~平成27年6月) 今後当社は浜松市、静岡市以外の人口10万~30万人の地方都市へ店舗展開を想定していた。これまで社長、副社長が行なってきたマーケティングプロセスをブラッシュアップするとともにミドルマネジメント層によるマーケティング推進を可能とするための標準化が重要な課題となっていた。そのため、 「新店出店時のマーケティングプロセスのブラッシュアップ支援」を支援目標として下記4点を実施した。1)現行のマーケティングプロセスの確認と課題抽出2) 今後のマーケティングプロセスの検討と出店基

    準づくり3)業績管理体制の検討4)マーケティングプロセスシートの整備

     具体的には、現行の新店出店時のマーケティングプロセスの確認と課題抽出及びその改善検討を経ながら、以下の支援が行われた。1) コンセプトシートによる業態コンセプトのブラ

    ッシュアップ2) 商圏分析表、競合店分析表、広告宣伝比較表に

    よる出店基準の策定3)店舗面積、席数等の店舗規格の策定

    4) 店舗構築ガントチャート等による店舗構築プランの整理

     社長からは、これまで自社内で試行錯誤しながら検討や構築を進めていた業態のマーケティングプロセスにおける各種ドキュメント化を本支援の過程で成果物としてまとめることができ、期待以上の成果だと評価された。 また、ひとつの業態をプロセスに落とし込む手法を構築できた点も成果として認識され、これらは今後の当社のレベルアップに寄与できる成果であった。なお、本支援終了後に、タイミングよく豊橋店が出店されたが、各種ドキュメントは新店舗出店の検討材料として活用された。

    <専門家継続派遣事業>(平成27年9月~平成28年2月) 前述のとおり、増収増益を続け、店舗数も増加している中、第2ステージの支援では、1店舗単位の出店時投資回収計算という視点ではなく、新店出店が続き、内外装への設備投資がどのようなペースで行われた場合に、どのような財務バランスとなるのかを定量的に把握する方法の整備を課題とした。現状、多店舗展開の投資資金は借入で賄っているが、事業構想と財務基盤を両立させるためには、店舗展開のスピードや時期、店舗数と、その結果試算される財務バランスを事前に捉え、必要な手を打てるようにする必要があった。 まず第1段階で現行のてんくう業態による成長シナリオを明確にし、出店数、出店エリア、広告宣伝、人材獲得・教育等はもとより、損益および財務構造の計画まで踏み込んでいくことにした。さらに今後の新業態についてもその概要を検討していくとともに、新業態の収益構造および財務構造まで数値化していくことにより、中長期的に事業優位性と財務安全性を両立しうるビジネスモデルを描き出せるようにした。新業態は飲食事業に限定せず、関連するIT事業領域も視野に入れて進める計画とした。そのため、「中長期的な業態および運営方法等の検討にもとづく財務構造の明確化と財務安全性の検討」を支援目標として、下記の3点を実施した。1)現業態継続時の財務見通しの試算2)現業態継続+新業態導入時の財務見通しの試算3)新たな運営形態の場合の財務見通しの試算

    支援内容と支援成果

    「稼げる」ビジネスモデルを確立し増収増益を続けている。今のさまざまな取り組みのなかから新業

    態、新事業など「次」を生み出し、成長と安定の両立を実現していかなければならない。今後の更なる着実な成長・発展を期待している。

    左田野 康 関東本部 チーフアドバイザー

  • 13

    株式会社こころ

     段階的に取り組む過程でさまざまなパターンの財務シミュレーションを行うに際し、支援後も社内で試算可能にするため、支援の前半ではアドバイザー主導による試算のためのワークシートづくりが行われ、まずは社長、副社長の設定した出店パターンデータを投入し、どのような投資規模・スピードが財務バランスとしてどのような状態になるのかを数字で見るところから支援が始まった。中小企業の場合、通常は1店舗ごとの試算は詳細に行われるものの、企業全体としてはおおまかな試算による意思決定が行われることが多い。しかし、成長局面でこそ、全体の財務バランスを定量的に把握する必要性が高く、それらを見て判断することの重要性を伝えた。 支援の後半では上記の試算を財務担当の佐藤副社長ご自身に行っていただき、事業推進パターンごとの成長可能性および財務リスクを把握し、基本的な対応の方向性を導き出す支援を行った。本支援は守りの側面が強いものだが、収益力のある業態を確立し、さらに成長を継続するための重要なツールとなるものと確信でき、当社の成長基盤の強化に役立つことができた。

     当社は今後、現状の「居酒屋ダイニング てんくう」という「稼げる」ビジネスモデルを確立し、その拡大展開を図っていくとともに、その知見を活かした外食での別業態を開発していかなければならない。そのための人材獲得~教育のしくみづくり、店舗オペレーション他のシステム開発なども並行して進める必要がある。 また、経営者の経験を生かしたIT事業の研究が進められており、外食事業との相乗効果、農業関連分野への展開、インバウンド需要の取り込みなどさまざまなイノベーションへの取り組みが行われてい

    る。これらの様々な優れたアイデアを整理し、適時適切な事業ポートフォリオを組み立て続けて 行 く こ とが、今後の課題となる。

    今後の課題

    経営者のことば 経営実務支援においては、成果物として『飲食店舗の新規出店、事業推進におけるマーケティングプロセス』を体系立てて整備することができ、従来は一部メンバーに閉じたノウハウであったものが、共通ナレッジ化され、以後の出店時のプロジェクト推進に大きく寄与しております。また本成果物は、静岡県経営革新計画の取得につながりました。専門家継続派遣事業においては、複数の投資パターンにおいて、リスクの可視化を図ることが出来、今後の事業推進の財務的判断材料として必要不可欠となっています。中小機構のご担当者におかれましては、正確なヒアリングと的確なアドバイス、また親身な対応について深く感謝申し上げる次第であります。

    代表取締役 渡邉 一博社長

    光のバランスと居心地の良さを追求した個室空間

    天然石を活用したデザイン性の高いエントランス

    てんくうの一番人気メニュー(てんくう大橋出し巻き玉子)

  • 14 新サービスのテストマーケティングを通じた販路開拓の取組

    新事業展開型

    新サービスのテストマーケティングを通じた販路開拓の取組当社は、リサイクルトナーの製造販売業。製品の需要低迷、価格競争激化による収益低下からの脱却を図るため、当社の強みを活かして作りあげた新たなサービスの販路開拓を目指した事例である。支援活動をとおしてターゲットと顧客価値の明確化、提案営業のノウハウの蓄積による営業力の強化を目指した。

    関東本部 プロジェクトマネージャー 田川 幸平

    エム・シー通商株式会社

    【事例の要約】 新たに開始する「レーザープリンター無償レンタルサービス」について、5名の販路開拓コーディネーターとアプローチした企業から、今後の市場展開に向けた有益な評価の収集、サービス内容の充実等についての情報を得、次なる課題についても探索できた。導入促進となる資料作成づくりのノウハウ蓄積が図られ、それまでの受身的な営業姿勢から積極的な提案型直販体制の基盤づくりにつながったことが大きな成果であった。

    企業名 エム・シー通商株式会社業 種 リサイクルトナー製造・販売所在地 東京都千代田区岩本町2-1-17工場等 �東京本社工場・物流センター(千葉県)、

    太田工場(群馬県)、東北工場・東北物流センター(岩手県)

    資本金 97,5百万円設 立 昭和56年8月売上高 2,962百万円(平成28年7月期)従業員 55人

     当社は、昭和56年に現社長の内田敏氏によって設立され、約30年にわたりインクリボンやトナーカートリッジのリサイクルに取り組んできた。トナーカートリッジとはプリンター、複合機、FAX等の事務機器の印字に用いられるトナーを詰めたカートリッジである。リサイクルトナーは回収したカートリッジの分解・洗浄・部品交換・トナー充填・検査という工程を経てリサイクルしたものである。純正品より価格は大幅に安いが不良率が高い、色の出具合が純正品と違うなどのマイナスのイメージをもたれる。そこで当社では利用者の不安を払しょくするため、各種の認定取得と各種品質基準をクリアし、高い品質を維持している。 加えて、完全国内生産体制で安定的な製品供給を可能とし、全国への配送・回収の体制を構築している。プリンターメーカーとの強い協力関係からプリンター本体を低価格で調達できる。 当社のリサイクルトナーはプリンターメーカーの純正品に劣らない高い品質を維持しているが、価格は他社リサイクル製品より割高になる。市場では同業者や海外製品との価格競争が激しく、販売数量は伸びていたが、中長期的にみると販売単価が下落することが予想され、収益への悪影響が懸念された。 この状況に危機感を抱いた内田社長は、取締役をリーダーにしたプロジェクトチームを組織し、自社のリサイクルトナーの消費を増やす仕掛けづくりに

    企業概要

    本社

    東京物流センター東京本社工場

  • 15

    エム・シー通商株式会社

    取組んだ。その結果生まれたのが「レーザープリンター無償レンタルサービス」である。これまでの製品売りから「レンタルサービス」という当社にとっては新たなビジネスモデルの展開が始まった。

     支援のきっかけは、東京都墨田区両国に本店を置く、東京東信用金庫からの紹介であった。 まずは状況を確認するための面談を銀行担当者同席のもと中小機構・関東本部で行った。当社が新サービスを展開していくにあたって、最も価値を感じてくれるターゲットはどこなのか、どのように提案をすればいいのかが自社ではなかなか決めかねているといった販売上での問題点を抱えていることがわかった。

     国内のトナーカートリッジの年間出荷量は、2009年ごろまで増加傾向にあったが、2011年から約2,200万本前後で推移し、2015年は前年比89%と成長は鈍化した。全体に占めるリサイクルトナーの比率は2015年度でモノクロが34%(前年比-3%)、カラーが14%(同-2%)、合計で24%(同-2%)である(日本カートリッジリサイクル工業会調査)。金額は5,500~5,600億円、内リサイクルトナーは300~400億円と推定される。 以上のように市場全体の需要が低迷するなか、当社では出荷量は伸びていたが単価下落によって利益の確保が難しい状況になっていた。今後狙うべきは、価格競争の厳しいリサイクルトナー市場ではなく、76%を占める新品(プリンターメーカーの商標を付けたもの)や汎用品(ノーブランドの新品)の市場であり、この市場をいかに切り崩すかが鍵と思われた。 当社は営業部門をもち営業専任者が3名いる。ただし、販売方法は代理店を使った間接販売が主体で、電話による対応と販売代理店のサポートに追われ、末端ユーザーとの接触は少なかった。 今後の新サービスの市場展開にあたっては、マーケティング戦略を立て、自社で考えて行動する提案型営業への転換と既存ルートと共存可能な直販ビジネスの構築が課題であった。 この課題解決にあたっては、販路開拓コーディネート事業で行うテストマーケティングを通じて、提案営業に必要なノウハウの蓄積、提案資料の充実を図ることが有効であると判断した。

     活動については、取締役営業部長、営業課長、担当者の3名体制で臨んだ。中小機構・関東本部ではプロジェクトマネージャー、販路開拓チーフアドバイザー、サポートする販路開拓コーディネーターの専門家と職員がチームを組んで支援にあたった。

     販路開拓コーディネート事業を活用した支援は次の3段階で進めた。

    (1)マーケティング企画のブラッシュアップ 支援の第1段階はマーケティング企画の立案である。営業課長と販路チーフアドバイザーがブラッシュアップシート(*注1)を使って、以下の観点からポイントを整理した。(*注1)�製品やサービスの顧客価値をいかに高めるかを順序立てて考

    えることで、効果的な販路開拓を実現するための支援ツール

    ①サービスの特徴<製品面>・�プリンターの種類が豊富なのでお客様の使用状況にあった機種の選択が可能

    ・�業界唯一の経済産業省特定新規事業に認定さており、製造するリサイクルトナーの品質については信頼性が高い

    <コスト面>・�カラーレーザープリンターは貸与になるので、顧客の費用負担は高品質リサイクルトナーの購入代金だけである

    ・�トラブル時の技術対応、機器のメンテナンス、入れ替えサービスは無償

    <環境面>・�リサイクルトナーなので環境に優しくCO₂削減にも貢献する

    ②ターゲットの設定 カラー印刷を大量にする企業を想定し、ターゲッ

    中小機構との出会い

    プロジェクトマネージャーの視点と支援課題の設定

    プロジェクト推進体制

    支援内容と支援成果

    支援メ ニュー H24 H25 H26 H27 H28

    販路開拓コーディネート事業

    支援内容( 支援テーマ等)

    マーケティ ング企画ブラッ シュアッ プ・ テスト マーケティ ング

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    0

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    2,500

    3,000

    H24 H25 H26 H27 H28

    売上高(左軸)

    経常利益(右軸)

    単位:百万円

    売上高と経常利益

  • 16 新サービスのテストマーケティングを通じた販路開拓の取組

    トを、加工食品会社、学習塾、調査会社、各種専門学校等とした。なかでもこれまでリサイクルトナーへの間違った思い込みを持ち、習慣的に新品を使っている層へのアピールが効果的であると想定した。③想定した顧客のメリット・プリント経費の削減効果 例えば、月間当りカラーとモノクロ印刷を各3,000枚した場合、複合機で大量にカラーコピーをしている企業では、料金の差は年額で620,760円になると試算できる。

    複合機 当 社リース料金 15,000円 0円保 守 料 金 3,000円 0円印 刷 料 金 48,000円

    (カウンター料金)14,270円

    (消耗品費)月 額 66,000円 14,270円年 額 792,000円 171,240円

    ・管理面の負担軽減 プリンターが故障、老朽化した場合、無償交換になるので買い換えに伴う費用、手間が発生しない。・環境負荷の低減 カーボンオフセット付きリサイクルトナーカートリッジはプリンターが消費する電力量に相当するCO₂�排出量をオフセット(相殺)するもので、利用顧客に購入数量や排出削減量が記載されたカーボンオフセット証明書が発行される④支援の目標 今回の支援では課題解決面から次の3つの目標を設定して支援することとした。・�当社が提供する「レーザープリンター無償レンタルサービス」に価値を感じてくれるターゲットの明確化・�想定ターゲットに対する効果的アプローチ方法の習得・�見積書提出による価格面の受容性の確認 以上を踏まえ、ターゲットとした企業向けにプレゼンテーション資料を作成した。その後、案件採択会議に上程し、サービス内容の有用性、支援の必要性と支援終了後も継続した販路開拓活動が可能なことが認められ、採択となった。

    (2)テストマーケティング活動 支援の第2段階は、仮説を検証するためのテストマーケティング活動である。<マッチング会の開催> 選定したターゲットにネットワークをもつ5名の販路コーディネーターが参加して、マッチング会を開催した。営業課長にプレゼンをしていただき、質疑応答をとおしてサービス内容やターゲットと提供メリット、支援目標について理解を得た。販路コーディネーターから提出された活動計画書の承認を経て、本格的なアプローチ活動が始まった。<支援の結果> 販路コーディネーターが8社のアプローチ先に合計24回の同行活動を行った。その中で次のような評価や情報を収集できた。■食品加工会社・�営業部では提案書類、品質保証部では指示書・規格書などが多く、コスト低減案として有効である。

    ・�メンテナンス費用が一切不要なことに加え、現状のカラー・モノクロの印刷代が削減できる。

    ・�ISO14000を取得し、環境経営を行っている企業にとってはとても興味深い。

    ■学習塾・�印刷物をコピーからプリンター主体にすることで、よりコスト削減効果が見込める。

    ・�OA機器を一括発注している中で、役員専用のプリンターやセキュリティ確保のためインターネットにつながないプリンターとして活用したい。

    ・�故障について本体変更を迅速に行ってもらえるのであれば、安心して利用できる。

    ■市場調査会社・�プリンターのサイズ、印刷スピード、色の再現性について利用者の状況を考慮して提案してもらえると良い。

    ・�必ずしも無料である必要なく、その分の原資を新しいコピー機の値引きで使えるなら、そのほうがよい。

    ■セキュリティソフト会社・�利用にあたって稟議決済が不要なこと、セキュリティ確保の観点から本モデルは利用しやすい。

     このようにターゲットにした企業のニーズや顧客への提供価値が明確になったことで、市場導入の確実性が高まった。<製品・サービス改良、改善事項等>・�「無料」というとかえって疑心暗鬼になるので、導入時にプリンターが有料であっても、トナーの定期交換などきめ細かいサービスメニューがあると良い。

    ・�設置スペースがないため、複合機の上に印刷機を置けるようなラックを併せて提案してもらえると検討しやすくなる。

    支援活動の中で顧客が抱える問題への解決策を提案することが経費削減の強調よりも優先であることの気づきを得ました。提案の引き出しを数多くもつことで説得力を高め、より多くの新規需要が獲得できることを期待しております。

    田川 幸平 関東本部 プロジェクトマネージャー

  • 17

    エム・シー通商株式会社

    ・�コピー枚数を含む案件別の経費管理を行っているため、個人のIDごとに振り分ける機能が必要である。・�製品コスト面だけでなく、環境面では具体的にCO2の年間削減量などパンフレットに記載する。・�リサイクルトナーが知財面で問題ないことをわかりやすく説明する。 支援活動の結果として、アプローチした4社に見積書を提出することができた。

    (3)フィードバック報告会 支援の第3段階では、支援期間中の活動結果と成果を報告書にまとめ、支援期間中に出てきた新たな課題と対応策について具体的な提言を行った。<支援の成果> 市場での仮説検証により、多くの貴重な情報と評価、助言を得ることができ、当初設定した3つの支援目標に対して、次のような成果を得た。①対象サービスに価値を感じるターゲットの明確化 顧客へ提案を行う営業部門、書類を多数プリントして保管する品質保証部門、セキュリティが重視される特定部門で専用プリンターとしてのニーズがあった。②�想定ターゲットへの効果的アプローチ方法の習得 リサイクルトナーへの不信感をもつ顧客は「無料」によって何か制約があるならば、有料でも特典をつけるとか、交換前のプリンターのバージョンアップなど細かくかつ柔軟な設定があるとユーザーも安心して活用できる。コストだけでなく、ネットワークにつながないことでセキュリティ面の安心感もアピールすると効果的なことがわかった。営業部門では、コストダウンよりも予算内であれば、今まで以上に営業ツールを多く使えるメリットを強調することが有効となる。③見積書の提出による価格受容性の確認 価格面の受容性は、メンテナンス費がかからずランニングコストも低減できるのであれば、受容性のあることが確認できた。 以上のように、販路コーディネーターのリードにより自社だけではなかなかできない体験を現場で積むことができ、今後のサービス改良や営業展開に貴重な情報を得た。 当初は「ハードはただ」という低コストを顧客メリットとして追求していけば導入は容易に進むのではという考えもあった。しかし、実際の活動からは、顧客の抱える制約、例えば設置スペース、出力の仕上がり調整(色・フォント・文字配列等)、用紙サイズの選択、予算、入れ替えタイミング、取引上のしがらみといったものが様々あり、導入してもらうためにはそれらの障害をいかに乗り越えるかが価格提示以前に重要だということがわかった。 この気づきは今後の当社の営業活動に非常に重要

    な意味をもつものである。なぜなら、説得のための切返しの引き出しをたくさんもつことが提案力を高めることになるからである。 また、販促用に写真を多用する食品会社、コピー枚数の多い個別指導の学習塾といったターゲットが有望であることが明確になり、実りの多い活動になった。

     支援活動の中で今後に向けて解決していかなければならない次のような課題も出てきた。フィードバック報告会では、その対応策について提言を行った。課題1:�顧客ニーズにきめ細かく対応できるサービ

    スメニューの充実・�同様なビジネスモデルは純正トナーでは既に行われていることから、プリンター診断を含めた定期無償メンテナンスサービスを提供価値として差別化を図る。

    ・�対応機種の拡大、サービスメニューの充実、わかりやすい資料の作成などにより、成果のあったアプローチ企業を中心にして、周辺分野を中心にした販路開拓を目指す。

    ・�アプローチ後の継続したフォロー体制を構築する。課題2:�リサイクルトナーへの不信感解消を図るた

    めの資料づくりと提供・�一般的にサービス商品は真似されやすく、一見類似と思われることもよくある。差別性がわかりづらいことから、顧客への提供価値をより具体的にしたプレゼン資料の充実を図ることが肝要である。

    ・�低コストを打ち出す前に、スタンドアローンであることから情報漏えい対策になる安全性をアピールするのが効果的である。

    ・�最終的な成約につなげるために顧客からいただく要望へ迅速かつきめ細かく対応する。

     上記の課題に取組み、今回のアプローチ企業を中心に関連企業へ横展開し、顧客獲得にまい進されることで、「レーザープリンター無償レンタルサービス」事業のさらなる発展を期待したい。

    今後の課題

    経営者のことば� 代表取締役 内田 敏社長 中小機構の皆様には販路開拓コーディネート事業を通じて大変お世話になりました。ありがとうございました。ブラッシュアップシートの作成や提案活動により、当社にとって新しい試みである「プリンター無償レンタルサービス」のターゲットや提供価値が明確となりました。また、コーディネーターの方々にも貴重なご意見やアドバイスを頂くことができました。この経験を活かし、さらなる販路開拓に努力してまいります。

  • 18 世界初!インクジェット印刷とグラビア印刷のハイブリッド印刷技術の確立―ハイブリッド印刷機の完成と量産技術確立支援―

    新事業展開型

    世界初!インクジェット印刷とグラビア印刷のハイブリッド印刷技術の確立―ハイブリッド印刷機の完成と量産技術確立支援―当社は、食品パッケージ印刷業界のリーディングカンパニー。有機溶剤を極力使用しない「水性グラビア印刷技術」を業界で初めて実用化するなど、常に業界最先端の印刷技術を追求している。今回、インクジェット技術を食品包材印刷に応用するという世界初の技術確立に取り組み、ハイブリッド印刷機(FUJIMO)の完成および量産技術の確立に成功した。

    中部本部 統括プロジェクトマネージャー 榊原 郁夫

    富士特殊紙業株式会社

    【事例の要約】 本事例は、設備開発から開発した設備の量産技術の確立および新デザイン開発に至るまでを支援した事例である。 食品用パッケージ印刷を主業務とする当社にとって、有機溶剤を極力使わない「水性グラビア印刷」と「多品種少量の印刷技術」という二つの技術確立は、杉山社長が当社に入社した46年前からの悲願であった。「水性グラビア印刷の技術」は、20年の歳月をかけて自社で実用化したが、「多品種少量の印刷技術」は、開発計画を立てることすらできない状態であった。インクジェット印刷の発達で多品種少量生産実現の目処が見えてきたものの、社内にインクジェット印刷のノウハウが全く無かったからである。そのような時、中小機構・中部本部は、インクジェット印刷機の開発・設計経験が豊富なアドバイザーを当社に派遣し、技術・ノウハウ面での人材育成からハイブリッド印刷機(FUJIMO)の完成、さらに、量産技術の確立までの支援を行った。その結果、世界初のハイブリッド印刷技術が確立された。

    企業名 冨士特殊紙業株式会社業 種 �グラビア印刷による食品用パッケージの製

    造販売本社所在地 愛知県瀬戸市暁町3-143資本金 2億8千万円設 立 昭和25年(1950年)売上高 145億円(平成27年9月期)従業員 約500人

    1)�キャラメルの「ロウ紙」メーカーから、食品パッケージ大手へ

     当社は、昭和25年(1950年)に「キャラメルなどを包装するロウ紙(パラフィン紙)」のメーカーとして静岡県富士市内で創業。昭和30年(1955年)頃から、スーパーマーケットの出現にみられるような流通革命が始まったため、当社も食品パッケージ市

    企業概要

    本社・工場 現行の食品パッケージ

  • 19

    富士特殊紙業株式会社

    場に本格的に進出することを決定し、今では食品パッケージ大手の一角を占めるまでになった。

    2)�常に業界最先端の印刷技術を追求

     食品パッケージには、食品鮮度を保つ機能を持ったフィルム素材であることと共に、店頭で食欲や購買欲をそそるような鮮やかな印刷が必要となる。当社でも、お客様である食品加工メーカーからの要望に基づき、常に業界最先端の印刷技術の修得に積極的に取り組んできた。

    3)�業界初の「水性グラビア印刷」の実用化に成功 昭和45年(1970年)、当社に入社した杉山社長は、印刷インクに使われている有機溶剤による職場環境の悪さに衝撃を受け、この改善に取り組み、インクメーカーや印刷機メーカーと共同して、有機溶剤を極力使わない「水性グラビア印刷技術」を約20年かけて確立した。このことは、画期的な環境改善事例として高く評価され「ものづくり日本大賞(経済産業大臣賞)」や「地球環境大賞(環境大臣賞)」等の受賞に繋がった。

    4)多品種少量生産用にインクジェット印刷に注目 食品パッケージ印刷の主流であるグラビア印刷は、色数毎に高価な印刷版(金属ロールで、一本あたり10万円ほどかかる)が必要となり、多品種少量生産に向かない。杉山社長は、30年以上前から印刷版そのものが不要なインクジェット技術に注目し、この技術を多品種少量生産に使えないかと考えてきた。

     平成23年(2011年)、当社は、中小機構が支援している「新連携事業」に認定され、プロジェクトマネージャーが当社を訪問したことが支援のきっかけとなっている。その際、社長から、インクジェット技術を食品パッケージ印刷に活用することは、食品包装材のような「軟包装材」においては、世界で初めての実用化技術であり、多品種少量生産が実現可能になる。ぜひチャレンジしてみたいとの熱い思い

    を伺い、その後、審査を経て、専門家派遣事業による支援につながった。

     支援課題の設定や支援方針については、次の3点に配慮して決定した。1)�社員がインクジェット印刷技術の本質を理解すること

     当社は、食品包装材印刷のリーディングカンパニーであることから、主体となるグラビア印刷では、業界トップクラスの技術ノウハウを持っていた。しかしながら、原理も思想も全く違うインクジェット印刷に関しては、「ほぼ素人」の状態であった。 食品包装材へのインクジェット技術を開発するためには、関係者全員がこの技術の原理や本質的な特性を理解することが必要であると判断。派遣初期の段階でアドバイザーから当該技術について集中的にレクチャーを受ける機会を設けた。

    2)共同開発の進捗と密接にリンクした支援 当社は、印刷業者なので、印刷機械の製造はできない。そのため、派遣当初から、印刷機械メーカーやインクメーカーと共同開発する計画であった。 共同開発にあたっては、中心となるインクジェット技術の仕様決定等の段階で高度な技術判断を求められることがあると想定し、共同開発企業の承認をいただいて、打ち合わせ等にも派遣専門家が積極的に同席するようにした。

    中小機構との出会い

    プロジェクトマネージャーの視点と支援課題の設