大阪大学光科学センター

山本 和久

半導体レーザーの新たな産業応用-照明・ディスプレイから植物工場まで-

基本構成と特徴

青色レーザー

赤色レーザー緑色レーザー

スクリーン

偏向器(X)

偏向器(Ｙ)

・ 広い色再現範囲

・高い投射効率、低消費電力

・超小型、薄型、軽量、高輝度

ランプ LED レーザー

色再現範囲 × △ ○

小型化 × △ ○

高利用効率 走査 × × ○

指向性 × △ ○

偏光 × × ○

時分割 × ○ ○

高輝度 △ × ○

引き回し（ファイバ利用） × △ ○

水銀レス × ○ ○

すべての形態に対応

レーザー点光源性の展開

点光源

分離・引き回し、最適配置

日亜化学

東芝ライテック

三菱、立命大

線光源

面光源

ＬＤ ＬＥＤ

光ファイバー

①ファイバへの高光結合 ②点から面への展開可能

■レーザーディスプレイ技術

↓

■レーザーディスプレイ商品

↓

■規制緩和

↓

■国際規格化

↓

■応用の拡大（照明へ）

最近のレーザーディスプレイ・照明普及の流れ

コミュニティ形成

国家プロジェクト

最先端可視光半導体レーザーデバイス応用に係る基盤整備世界に誇る青、緑、赤の３原色可視光半導体レーザーで新市場を創出・拡大

ＮＥＤＯクリーンデバイス社会実装推進事業

B GR

レーザーTV

レーザー植物工場

ユースケース①

走査型レーザー投射応用

ディジタルサイネージ

レーザー照明（ライティング）

レーザーイルミネーション

スポット照明

ヘッドマウントディスプレイ

ヘッドアップディスプレイ

ユースケース②

高輝度表示装置

プロジェクタ

プロジェクションマッピング

レーザーヘッドライト

省エネルギー

ユースケース③

レーザー照明（応用）

ポケットパソコン

携帯プロジェクタ

内容：・赤、緑、青の３原色可視光半導体レーザーをモジュール化(>１０Ｗ）・更なるデバイス活用のユースケースを開拓・普及のための信頼性・安全性および標準化・共通化を推進

・期間：平成２６年度～平成２８年度・委託先：大阪大学、島津製作所

（ホンダ、QDレーザ）・協力企業：１０社・可視光半導体レーザーコンンソーシアム：約100団体

・プロジェクトリーダー：山本和久（大阪大学）

国家プロジェクトとコンソーシアム

応用先：レーザーディスプレイ、レーザー照明

可視光半導体レーザー応用コンソーシアム

各種団体と連携し、各種課題を方向付け、様々な応用を加速する。

6

■ミッション１．各種ガイドライン作成と共通化、

国際標準化支援２．技術課題整理と対策案策定３. 新規アプリケーションの創出

企業：８９社日亜化学工業、三菱電機、ソニー、パナソニック、コニカミノルタ、大日本印刷、本田技術研究所、デンソー、東芝、アルプス電気、リコー、日立製作所、パイオニア、パイフォトニクス、セイコーエプソン、ウシオオプトセミコンダクター、シャープ、スタンレー電気、島津製作所、住友電気工業、ウシオ電機、小糸製作所、浜松ホトニクス、QDレーザ、IDEC、オキサイド、豊田産業、タムラ製作所、コーニングインターナショナル、ソーラボジャパン、オプトロニクス社、山本光学、三菱電線、NTT-AT、沖電気工業、ユアサエレクトロニクス、パナソニックデバイス日東、コニカミノルタプラネタリウム、フジクラ、京セラ、エンプラス、STR Japan、ドゥエルアソシエイツ、五鈴精工硝子、ヒューマン・チップス、伯東、Gooch & Housego Japanなど大学・研究機関など：１9機関大阪大学、宇都宮大学、東京大学、神戸大学、京都大学、東京工業大学、名古屋大学、名城大学、大阪府立大、京都工芸繊維大、福岡工業大学、大阪産業大学、山梨大学、近畿大学、産総研、分子科学研究所、物質材料研究機構

■参画機関：108機関2015.2.24＠大阪新阪急ホテルにて

特別講演会：GaN光デバイス

B GR

VLDAC： Visible Laser Diode Applications Consortium

ワイドストライプ可視光半導体レーザー

青色 緑色 赤色

材料 InGaN InGaN AlGaInP

構造

開発企業

Nichia、SONY、Oslam

（Sharp、Panasonic）Nichia、Sumitomo、SONY、Oslam

Mitsuishi、Sharp、Ushio

（Oclaro）

波長 ４４５～４６５ｎｍ ５１５～５３０ｎｍ ６３５～６４５ｎｍ

出力 ４Ｗ（Nichia） １W（Nichia) １Ｗ（Mitsubishi）

活性層

P電極

P型層

N型層 GaN 基板

N電極

W = 35μm

ストライプ幅

発光サイズ1μm×35μm

絶縁膜

活性層

P電極

Ｐ型層

Ｎ型層 GaN 基板

Ｎ型電極

W = 15μm

リッジ幅

発光サイズ1μm×15μm

絶縁膜

ストライプ幅

出力光

活性層

P電極

n電極

窓領域

クラッド層

スペックルノイズと除去方法

対策箇所 構成、方法 特徴

レーザースペクトル

・多重化（多数個使い）により低減が容易・外部で広げることの技術難易度は高い

光学系 <角度> ・ある程度の効果はある（完全ではない）

<偏光> ・1/√２に低減

スクリーン ・ほぼ完全に消すことが可能・大がかり

波長スペクトルを拡大（or多重化）

振動

スクリーン

拡散板

振動

レ－ザー

レ－ザー

水平、垂直に分離

レーザー光

波面

スクリーンの凹凸

目

散乱光

緑レーザーポインター

スペックルノイズの弊害・解像度が悪く見える・きもちが悪い

ユースケース①走査型レーザー投射

ユースケース②高輝度表示装置

ユースケース③レーザー照明（応用）

内容 レーザー光の走査による投射映像表示

レーザーの高輝度性を活かし大画面映像化

必要部分のみ投射可能な照明、その応用

特徴(優位性）

・高効率（省エネ）・焦点深度・小型

・高効率（省エネ）・高輝度・色再現性大

・高効率（省エネ）・高輝度・デザイン性

代表応用例

その他応用商品

ねらい TV・モニター不要へ 巨大化でも消費電力低減

必要なところのみ照らす

ユースケースと応用商品

スーパーハイビジョンTV

レーザー植物工場

ディジタルサイネージ

レーザー照明（ライティング）

レーザーイルミネーション

ヘッドアップディスプレイ

プロジェクタ

プロジェクションマッピング レーザー

ヘッドライトポケットパソコン

スマホからの投射

メガネ型HMD レーザーTV スポット照明（映像投射可能）携帯プロジェクタ

デジタルシネマ

グーグルグラス

ブラザー工業

ヘッドマウントディスプレイ（ＨＭＤ）

レーザーＨＭＤ

ＱＤレーザ

パイオニア HUD

サイバーナビAVIC-VH99HUD

・イメージ距離 ２．５ｍ・最大輝度 １２０００cd/ｍ２

・視野角 １７×５．７度

幅26cm

厚み12cm

奥行き26cm

レーザーHUD利用シーン

■霧の中を走行中に路肩が見えづらい時、ブルーのレーザー光線によって、フロントガラスに路肩のラインを表示。これにより、ドライバーは車線がつかめるという仕組み。

目線上に情報表示（ピントずれなし）

GM（2010.3.19発表より）

■暗視監視システムの「ナイトビジョン」とも連携し、前方の歩行者や動物の存在をドライバーに知らせてくれる。

レーザープロジェクタ製品化

1500ｌｍパナソニック

6000ｌｍ

エプソン

この方式の特徴・緑が簡便（波長変換ＳＨＧを使用せず）・光学系は複雑・効率の面では有利ではない蛍光変換、取り込み・色再現範囲は大きくはない

データープロジェクタ ホームプロジェクタ

レーザーシネマ用プロジェクタ

・2014、１０月・６万ルーメン（５０００×１２）・立体方式：±10nmずつずらした2組のRGB光で左右のメガネを分離し透過

クリスティ，4K 120Hz 6P

波長

左目

右目

⇒2015年11月、大阪にレーザーシネマ「109シネマズ大阪エキスポシティ」

SHV映像ならではの臨場感や実物感を再現する仕様として、水平7,680×垂直4,320の画素数や、1秒あたりのフレーム数60枚などに加えて、下記の新し

い項目が追加され、テレビの国際規格として承認された。

（1）大画面・超高精細度テレビで課題であった速く

動く被写体の「動きぼやけ」を低減するための規格として、1秒あたりのフレーム数120枚を追加（2）実物に近い色再現が可能となる色域の拡張2012年8月23日

Ref： http://www.nhk.or.jp

532nm

467nm

630nm

レーザーでしか再現は困難

スーパーハイビジョンテレビ 国際規格

アウディ：レーザーハイビーム搭載の「R8 LMX」を日本国内発売(2014)

・価格は消費税込み2,905万円

レーザーヘッドライト

スタンレー電気

小糸製作所

インテリジェントレーザー照明

・レーザー照明は必要な場所だけを選択照明 (人間検知)

LED照明は不要な場所も照射

レーザー照明 LED照明

・レーザー照明により1/30に省電力化・LED照明と組み合わせたハイブリッド照明で1/10

レーザー照明は・高輝度・超小型・角度可変・フォーカス可能

（高照度)

・必要なところに情報や映像を表示

情報表示照明

必要な場所のみ

角度可変

超小型

フォーカス高照度

LED照明を超える超省エネ照明の実現

植物工場用光源比較

ＣＣＦＬ ＬＥＤ レーザー

輝度 △ × ○

発熱 × × ○

波長 △不要な波長が入る

○ ○

効率 ○ ○ △→○

コスト ○ △ ×⇒◎

太陽光との併用

△ △ ○

レーザーディスプレイの実用化により・レーザーのコストが急速に低下・効率が大幅に上昇

2017/5/18

Rレーザ Gレーザ Bレーザ

偏向ミラー

走査型RGB３波長レーザ照明

LD(Blue)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

光強度

(a.u

.)

400 500 600 700波長(nm)

LD(Green)

400 500 600 700

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

光強度

(a.u

.)

波長(nm)

LD(Red)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0光強度

(a.u

.)

400 500 600 700波長(nm)

赤色部白色部

原理図

レーザ照射の様子

走査型レーザー植物工場

ＩＤＥＣ，大阪府大、阪大

必要な部分だけ光照射可能

走査型レーザ照明によるスナゴケの育成

レーザー照射による選択的なスナゴケの成長を確認

走査型RGB３波長レーザ照明スマートレーザー植物工場

画像処理用カメラ

レーザ走査機構

必要な領域にレーザ照射 青色光などを選択的に照射

参考：日本の家庭：６０００万ｋL/年（照明・TVは1500万ｋL/年）

応用分野 応用製品（単位）原油換算万KL

国内 世界

2020年 2030年 2020年 2030年

照明

HIDランプ 24.4 51.2 192 404

ネオン管 46 25.6 341 190

ヘッドライト（自動車） 1.3 3.7 15.2 51.6

ディスプレイ

汎用プロジェクタ 2.1 12.5 21 146

シネマ用プロジェクタ 1.7 2.9 16.8 34

ピコプロジェクタ 1.4 3.1 14.3 35.8

レーザーTV 14 117 310 3494

レーザーPC(モニター） 6.3 26.2 139.5 781.5

植物工場 植物工場 1.2 9.2 11.6 92.3

合計 98 251 1061 5229

各種応用製品の省エネルギ効果見積もり

参照：NEDOの成果報告書DB（下記URL)http://www.nedo.go.jp/library/database_index.html

ここでは一般照明適用は除く

LEDと比較し、○優位、△同等、×不利、－関係なし

実証されたレ－ザーの優位性（対LED)

ユースケース 応用消費電力（省エネ）

色再現性色強調性

超小型高輝度（高効率）

フォーカスフリー

デザイン/最適配置

①走査型

レーザー投射応用

ヘッドマウントディスプレイ ○ ○ ○ － ○ ○

ヘッドアップディスプレイ、携帯プロジェクタ

○ ○ ○ ○ ○ ○

②高輝度

表示装置応用

映像・ホームプロジェクタ○ ○ ○ ○ ○ －

データプロジェクタ ○ ○ ○ ○ ○ ○

レーザーTV ○ ○ ○ ○ － ○

③レーザー照明

照明 ○ ○ ○ ○ － ○

ヘッドライト○ － ○ ○ － ○

すべての点でレーザーが優位

セットメーカー（パナソニック、パイオニア、ＩＤＥＣ、ＱＤレーザ、セイコーエプソン、本田技研、スタンレー電気、三菱電機、日立）による

ＮＥＤＯクリーンデバイス社会実装推進事業

出展：オプトロニクス社出版レーザー照明・レーザーディスプレイ最新動向調査報告書２０１４

（レーザー学会レーザーディスプレイ専門委員会調査）

2030年総額5０兆円を超える予想

各応用製品の市場予測

小分類 （単位：兆円/年） 2020 2025 2030

携帯プロジェクタ 0.2 0.4 0.6

スマホ 1.0 11.8 15.0

ポケットパソコン（ペリフェラル含む） 0.4 0.8 0.7

タブレット 0.4 4.0 7.2

HMD（ヘッドマウントディスプレイ） 0.4 2.6 3.0

HUD(ヘッドアップディスプレイ） 0.7 2.8 3.6

①走査型レーザー投射応用 合計 3.0 22.4 30.1

ホームプロジェクタ 0.0 0.1 0.2

業務プロジェクタ 0.4 0.7 1.0

シネマ用プロジェクタ 0.2 0.2 0.2

家庭用ロボット搭載 0.0 0.1 0.5

走査型リア（高輝度） 0.0 0.3 0.5

液晶TV（スーパーハイビジョンＴＶ含む）

3.8 11.5 15.0

立体（ホログラフィック） 0.0 0.3 1.7

②高輝度表示装置 合計 4.5 13.2 19.2

照明 0.0 0.4 0.9

ヘッドライト 0.1 0.3 1.8

イルミネーション 0.1 0.2 0.2

植物工場 0.0 0.3 1.7

海中プラント 0.0 0.0 0.1

③レーザー照明（応用含む） 合計 0.2 1.1 4.7

レーザーディスプレイ・照明の進展

2005 2010

■走査型 ●超小型プロジェクタ

○ポケットパソコン

■２次元画像デバイス利用

2015

●ＨＵＤ

○ＨＭＤ

○家庭用照明

●インテリジェント照明

●ヘッドライト

●レーザー液晶ＴＶ

●シネマプロジェクタ

●内視鏡

■その他

●リアプロＴＶ

●小型プロジェクタ

●プロジェクタ

○３Ｄ

○スーパーハイビジョン

○腕表示

○レーザー植物工場

レーザーを核とした融合化

ディスプレイと照明が一体化、センシングも融合で新たな世界

レーザーTV

レーザー照明（ライティング）

プロジェクタ外観照明

レーザーヘッドライト

HUD

インテリジェント照明

プロジェクションマッピング

融合

照明ＴＶ

センシング

ディスプレイ

照明

自動運転支援

HMD

Coherent Display-Lighting

自動運転の世界へ

スマホの次へ。ハンズフリーの世界

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ご清聴ありがとうございました。