平成22年度消防防災GISサポーター事業報告書

自治体名 白山石川広域消防本部

所属部課 通信指令課 役 職 課長補佐

氏 名 藤田 武則

活用内容

◆ 市町村と消防本部の情報共有

１ 経緯

白山石川広域消防本部（以下「消防本部」とする。）は、石川県白山市と野々市町（以下

「市町」とする。）で構成する一部事務組合の常備消防部門であり、市町との災害情報の共有

手段として、「電話」「ＦＡＸ」「電子メール」を使用している。

市町、消防本部ともに消防防災ＧＩＳをインストールしたパソコンがあり、それぞれに防災

関連データが入力されていることから、これを活用すれば、より高度な情報共有ができるので

はと考えた。

２ 消防防災ＧＩＳが具備している情報共有機能

(1) センターサーバ利用

消防防災ＧＩＳには情報共有手段として第１に、「消防科学総合センターのサーバ（以下

「センターサーバ」とする）を利用した市町村と他機関との情報共有機能」があり、市町村

で入力した災害時のデータを、インターネット回線を用いて、他の都道府県や市町村と共有

することが可能とされている。

しかし、「訓練での使用」や「防災関連データ」をセンターサーバに公開することに抵抗感

を持っている場合、または市町村のインターネット接続環境によってはセンターサーバに接

続できない状況もあり、この機能を利用しての情報共有は断念した。

(2) 庁内ＬＡＮ利用

消防防災ＧＩＳには情報共有手段として第２に、「庁内ＬＡＮを利用した情報共有機能」が

あり、土木や福祉などの各部局で収集した情報を、おのおので登録し、災害対策本部事務局

（防災部局）で情報を集約することが可能とされている。

この機能の延長上として、消防本部のＬＡＮ内に消防防災ＧＩＳ用のサーバを設置して、

市町ＬＡＮ内にあるパソコンから情報共有を行なおうと検討したが、十分なセキュリティー

を確保しながら接続するためには、ネットワーク関する高度な知識と、市町、消防本部それ

ぞれの庁内ＬＡＮに関する十分な理解が必要となり、容易に情報共有設定ができない現実が

あり、この機能を利用しての情報共有も断念した。

３ オンラインストレージ利用の情報共有

ネットワークに関する知識がなくても簡単に情報共有できないかを模索したところ、インタ

ーネット上の専用スペースに、文書や画像などあらゆるデータを簡単に保存したり、メンバー

間で共有したりできる、「オンラインストレージ」に着目し、このサービスを利用して情報共

1

有が行えないかを検討した。

(1) オンラインストレージでのファイル共有方法は、「専用ソフトをインストールするもの」「ウ

ェブブラウザから操作するもの」「それらを複合して操作するもの」など、そのサービスによ

って異なるが、今回は「専用ソフトをインストールし」ファイルマネージャーから目的のフ

ァイルを操作できるサービスを選択した。

(2) 消防防災ＧＩＳ側は、最も設定が簡単な「ＭＤＢファイルの直接共有」を選択した。

(3) この設定で情報共有を行ったところ、市町、消防本部それぞれのパソコンから情報公開、情

報取得が可能であった。

効 果

異なる市町村や機関が消防防災ＧＩＳで情報共有を行うためには、センターサーバを利用す

ることが、最も簡単な方法であることにかわりがないが、「訓練での使用」や「防災関連デー

タ」をセンターサーバに公開することに抵抗感を持っている場合や、市町村のインターネット

接続環境によってセンターサーバに接続できない場合などは、オンラインストレージを利用し

た情報共有も、ひとつの方法として利用可能であるとことが確認できた。

今後の課題

防災訓練などの機会をとらえて、本庁舎と、そこから離れた訓練会場との間でオンラインス

トレージを利用した情報共有の確認実験を行い、実災害にも対応可能なものとしたい。

本GISに期待すること

１ 重複データ確認機能の追加。

複数の端末が同一の防災データ等を入力し、情報公開・取得を行うと、データの重複が生

じてしまう。

２ Ｑ＆Ａコーナーの充実

過去の「操作等の技術的な問い合わせ」「活用方法等の問い合わせ」について、Ｑ＆Ａコー

ナーへの反映。

３ 災害種別にとらわれない建物損害の入力

建物の「全壊」「半壊」「一部損壊」が「被害状況（地震）」の項目にあるため、雪害による

建物損害を入力したときに違和感が生じた。

2

平成22年度 消防防災GISサポーター事業報告

オンラインストレージを利用した消防防災ＧＩＳの情報共有消防防災ＧＩＳの情報共有

白山石川広域消防本部藤 田 武 則

白山石川広域消防本部1

藤 田 武 則

白山石川広域消防本部の概要白山石川広域消防本部の概要

構成白山市と野々市町で構成する一部事務組合の常備消防部門１本部 ５消防署 ２分署１本部、５消防署、２分署職員数１９４人

白山石川広域消防本部2

3

白山市と野々市町の概要白山市と野々市町の概要

白山市 野々市町白山市 野々市町

面積 ７５５.１７ｋ㎡ １３.５６ｋ㎡

人口 １１３,３３７人 ４６,７１７人

平成17年2月1日、１市 人口密度3,445で県内平成 年 月 、 市2町5村の合併で誕生

面積は石川県全域の

人 密度 , 県内最大

平成23年度に市制施行面積は石川県全域の18％を占め、県内最大

平成23年度に市制施行予定

野々市町白山市

白山石川広域消防本部3人口：H22.12末日現在住民基本台帳人口

災害情報の共有手段災害情報の共有手段

白山市役所 野々市町役場白山市役所 野 市町役場

現在電話ＦＡＸ電子メール

消防防災ＧＩＳで高度な情報共有ができるのでは！

白山石川広域消防本部4白山石川広域消防本部

4

センターサーバでの情報共有消防防災GISの情報共有手段 ①

センタ サ バでの情報共有

デ•市町村で入力したデータをセンターサーバに登録•他の都道府県や市町村と情報共有•都道府県、消防庁から閲覧し、適切な助言指導

白山石川広域消防本部5出典：消防防災GIS紹介用リーフレット

•センターサーバの利用が困難

Ａ市役所 Ｂ町役場センターサーバ

センタ サ バの利用が困難

Ａ市役所 Ｂ町役場センタ サ バ

•訓練使用のためらい訓練使用のためらい

•防災関連データ公開の抵抗感•センターサーバに接続できない環境

抵抗感

白山石川広域消防本部6

ＡＢ広域消防本部

5

庁内サーバでの情報共有消防防災GISの情報共有手段 ②

庁内サ バでの情報共有

•各部局で収集した情報を各々で登録•災害対策本部事務局で情報の集約が可能•対策本部と離れた場所にある支所とも情報共有可能

白山石川広域消防本部7出典：消防防災GIS紹介用リーフレット

庁内サーバの外部利用が困難

Ａ市役所 Ｂ町役場

庁内サ バの外部利用が困難

高度 ネ ク知識

必要Ａ市役所 Ｂ町役場

・高度のネットワーク知識

・参加自治体の庁内ＬＡＮの理解

ファイャーウォールが通過できないetc

ＧＩＳサーバ

白山石川広域消防本部8

ＡＢ広域消防本部サ

6

オンラインストレージに着目オンラインストレ ジに着目

インターネットインタ ネット

オンラインストレージストレ ジ

・インターネット上に文書、画像などのファイルを保存

・メンバー間での共有可能

白山石川広域消防本部9

消防防災ＧＩＳ 共有方法の選定技術的負担 セキュリティ 費用負担 備考

小 低 複数台で同時に

消防防災ＧＩＳ 共有方法の選定

直接

MDBファイル

小 低

なし

複数台で同時にアクセスすると処理が遅くなる

ファイルの場所を指定するのみ

共有フォルダのアクセス権

接共有

SQLServer

中 中 高 無償のExpress Editionでも対応可能

SQLServerの構築が必要

SQL Serverにてセキュリティ

SQLServer購入必要 て キ リティ

設定可能入

We

MDBファイル

中 中

なしISSの構築が必要 フォルダ共有はb

サービス

MDBファイル なしISSの構築が必要 フォルダ共有は不要

高 高 高 無償のExpress Editionでも対応可ISS SQLS の構 ISS SQLS に ISS SQLS経

由SQLServer

Editionでも対応可能

ISS,SQLServerの構築が必要

ISS,SQLServerにて確保される

ISS,SQLServer購入

技術的負担の小さいものを選択した

白山石川広域消防本部10出典：消防防災GIS Ver5.1 利用手引書(詳細版)

技術的負担の小さいものを選択した

7

オンラインストレージにＭＤＢファイルを保存オンラインストレ ジにＭＤＢファイルを保存

オンラインストレージＡ市役所 Ｂ町役場オンラインストレ ジＡ市役所 Ｂ町役場

BOUSAI_OPE4.MDBBOUSAI_POS4.MDB

BOUSAI_OPE4.MDBBOUSAI_POS4.MDB

白山石川広域消防本部11

ＡＢ広域消防本部

参加するパソコンの設定参加するパソコンの設定

Ａ市役所 Ｂ町役場Ａ市役所 Ｂ町役場

BOUSAI_OPE4.MDBBOUSAI_POS4.MDB

白山石川広域消防本部12

ＡＢ広域消防本部

8

情報公開操作情報公開操作

Ａ市役所 Ｂ町役場Ａ市役所 Ｂ町役場

BOUSAI_OPE4.MDBBOUSAI_POS4.MDB

白山石川広域消防本部13

ＡＢ広域消防本部

情報取得操作情報取得操作

Ａ市役所 Ｂ町役場Ａ市役所 Ｂ町役場

BOUSAI_OPE4.MDBBOUSAI_POS4.MDB

白山石川広域消防本部14

ＡＢ広域消防本部

9

同時アクセスの制限同時アクセスの制限

Ａ市役所 Ｂ町役場Ａ市役所 Ｂ町役場

BOUSAI_OPE4.MDBBOUSAI_POS4.MDB

情報公開または取得中

他者が情報取得他者が情報取得操作しても操作してもアクセスできない

白山石川広域消防本部15

ＡＢ広域消防本部

消防防災ＧＩＳでの情報共有

異なる市町村や機関が情報共有を

消防防災ＧＩＳでの情報共有

・異なる市町村や機関が情報共有を行うには センターサーバの利用が行うには、センタ サ バの利用が最も簡単

・センターサーバが利用できない場合、センタ サ が利用できない場合、オンラインストレージの利用も選択肢

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今後の課題

防災訓練など 本庁舎と離れた会場

今後の課題

・防災訓練など、本庁舎と離れた会場との情報共有の確認との情報共有の確認

・実災害にも対応可能なものにする・実災害にも対応可能なものにする

白山石川広域消防本部17

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