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代謝
生体内での物質やエネルギーの変換のこと
エネルギー代謝:生体エネルギーの消費と獲得
物質代謝:物質の分解と合成
異化 物質を分解してエネルギーを得る
同化 エネルギーを消費して物質を合成する
呼吸
光合成 二酸化炭素
水 グルコース
光
酵素と活性化エネルギー
エネルギー
反応の進行状態
活性化エネルギーは、反応の出発物質の基底状態から遷移
状態に励起するのに必要なエネルギー
簡単に言うと、化学反応を起こすために必要なエネルギー
反応物
生成物
活性化エネルギー
酵素あり
酵素は活性化エネルギーを下げる=反応を起こしやすくする
この部分のエネルギーが不要に
酵素
生体内の化学反応に対して触媒として機能する分子
タンパク質を基に構成されている
基質特異性
酵素が作用する物質(基質)を選ぶという性質
触媒:特定の化学反応を速めるもので、自身は変化しない
酵素A
基質A 基質B
基質C
反応特異性
通常、酵素は1つの化学反応しか触媒しない
活性中心
唾液
胃液
膵液
腸液
アミラーゼ
(マルターゼ)
ペプシン
カルボキシペプチダーゼ
トリプシン
キモトリプシン
アミノペプチダーゼ
消化
アミノ酸
ペプチド
アミラーゼ
マルターゼ
スクラーゼ
ラクターゼ
単糖
オリゴ糖
多糖類 タンパク質
リパーゼ
(リパーゼ)
グリセロール 脂肪酸
トリアシルグリセロール
酵素の反応速度
反応速度
10 20 30 50 40 6 7 8 基質濃度
基質濃度:mM 温度:℃ pH
低 高
体温計は最高42~43℃までしか測れないものが多い
温度が高くなるとタンパク質(酵素)が変性し始め
生命に関わるため
アロステリック酵素
アロステリック酵素 酵素基質複合体
タンパク質の活性部位以外の場所に他の物質が結合し、
その立体構造が変化して活性が変化する現象
アロステリック効果
反応産物
エフェクター分子 構造が変化して活性が変わる
反応終了
2
アロステリック酵素とフィードバック阻害
グルコース
グルコース6リン酸
フルクトース1、6ビスリン酸
ホスホエノールピルビン酸
ピルビン酸
フルクトース6リン酸
ホスホフルクトキナーゼ
ヘキソキナーゼ
ピルビン酸キナーゼ
ATP
ATP
補酵素と補欠分子族
補酵素
補欠分子族
アポ酵素 ホロ酵素 酵素基質複合体
酵素はタンパク質であるが、触媒作用によっては
金属イオンの補因子や補酵素・補欠分子族が必要
なものもある
補酵素(可逆的に結合)
VB1・VB2・VB6・VB12・ナイアシン・葉酸など
補欠分子族(不可逆的に結合)
VB1・VB2・VB6など
アデノシン3リン酸
アデノシン リン酸
1 mono
2 di
3 tri
ATP
アデノシン3リン酸:ATP (Adenosine TriPhosphate)
アデニン リボース
ADP
高エネルギーリン酸結合
ΔG-7.3 kcal
H2O
ΔG˚’:標準自由エネルギー変化
ATPとエネルギー変化
食物の化学エネルギー 生物の化学エネルギー ATP
反応前 反応後
自由エネルギー
ADP
ATP
リン酸
7 kcal/mol
ATPの生成
(吸エルゴン反応)
反応前 反応後
ADP
リン酸
ATPの分解
(発エルゴン反応)
ATP
共役反応
発エルゴン反応によって解放された自由エネルギーで、
吸エルゴン反応(生成など)を同時に行う
発エルゴン反応で解放
される自由エネルギー
が大きいため、全体と
して自由エネルギーが
減少する
自由エネルギー
反応前 反応後
ショ糖
生成物
反応物
ブドウ糖 果糖 ADP
ATP
ATPの役割
ATPはエネルギーの保存と利用に関わる
ATPは哺乳類の骨格筋100 g あたり 0.4 g 程度存在する
グリコーゲン ブドウ糖
様々な生体反応
ATP
解糖系 ブドウ糖のリン酸化など
筋収縮 アクチン・ミオシンの収縮
能動輸送 イオンポンプなど
生合成 糖新生など
発光 発光タンパク質など
発電 デンキウナギの筋肉性発電装置
発熱 反応の余剰エネルギー
3
生体のエネルギー通貨 糖質:45~65%
脂質:20~40%
タンパク質:15%
ATP
グリコーゲン
ブドウ糖
中性脂肪
グリセロール 脂肪酸
タンパク質
アミノ酸
デンプンもほぼ同じ
エネルギー源は別々でも、使うときには同じ物質になる
体内のエネルギー源
ブドウ糖 アミノ酸 脂肪酸 ケトン体
脳
心臓
肝臓
骨格筋
赤血球
血糖値(空腹時80~100mg/100ml)を正常に保つことが重要
使われる 場合によって使われる 使えない
脳が消費するもの
ヒトの脳は全体重の約2%しかない
1日に消費される
ブドウ糖の約20%を消費
全身で消費される
酸素の約25%を消費
1日に消費される
エネルギーの約18%を消費
安静状態でも1日120 g
1時間に24 g消費する
血液
糖質からのATPを生産する流れ
グルコースを酸化してATPを生産する
酸化する
・物質に酸素が化合する反応
・物質が電子を失う化学反応
・物質の水素が奪われる反応
グルコース
ATP
アセチルCoA
クエン酸回路
電子伝達系
ピルビン酸
解糖系
C6H12O6 + 6O2 + 6H2O 6CO2 + 12H2O + 38ATP
グリコーゲン
1 1
2 2
3 3
4 4
解糖系でピルビン酸へ
6
グルコース
3 3
ピルビン酸 ×2
グルコース
6-リン酸
フルクトース
1,6-2リン酸
P P
3 P P
3 P P
3 3
P
6
P P
6 P P
3 3
グリセルアルデヒド
3-リン酸
ATP ATP
ATP×2 ATP×2
NADH×2 P
P
1,3ビスホスホ
グリセリン酸
ホスホエノール
ピルビン酸
ホスホフルクトキナーゼ
+ADP -ATP
H2O×2
電子伝達体:NADHとFADH2
NADH:脱水素酵素の補酵素として働く
リン酸 アデニン リボース リボース ナイアシン
(ビタミンB3)
FADH2:酸化還元反応の補欠分子族として働く
リボフラビン誘導体 (ビタミンB2)
4
NAD+とNADH(FADとFADH2)
H
H
H
乳酸脱水素
酵素
H
乳酸
NAD+
H
H
NADH
ピルビン酸
NAD++ H++ 電子2個 NADH
FAD + 2H++ 電子2個 FADH2
NAD+は補酵素として働く際に水素と電子を受け取る
FADも補欠分子族として働く際に水素と電子を受け取る
糖代謝とビタミン
B1(チアミン) ピルビン酸脱水素酵素の
補酵素として働く
アセチルCoA
ピルビン酸
電子伝達系
クエン酸回路
ATP
解糖系
B5(パントテン酸) CoAの構成要素になる
FADH2 NADH
B2(リボフラビン) FMN・FADに合成され
酸化還元酵素の補酵素
として働く
B3(ナイアシン) NADに合成され
酸化還元酵素の
補酵素として働く
B7(ビオチン) ピルビン酸脱炭酸酵素の
補酵素として働く
ピルビン酸からアセチルCoAへ
細胞質 外膜 内膜 マトリクス
ミトコンドリア
補酵素A(CoA)×2
N
N N
N
NH2
O
O OH
CH2
O
O
OH P HO
P
HO
O
O O
HO
P
O C
CH3
CH3
C
H
H
C
OH
H
C
O
C
H
H
N
H
C
H
H
C
O
C
H
H
N
H
C
H
H
S
H
アセチルCoA(活性酢酸)×2
3 3
ピルビン酸 ×2
CoA 2 CoA 2
NADH×2
CO2×2 肺から体外に排出
クエン酸回路で酸化する
クエン酸
アセチルCoA×2
2 CoA 2 CoA
CoA
6 6
オキサロ酢酸
4 4
CoA
6 6 4 4
4 4 4 4 4 4 5 5
NADH×2
NADH×2 CO2×2
NADH×2・CO2×2 GTP×2
FADH2×2
H2O×2
H2O×2 H2O×2 H2O×2
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ
+ADP -NADH
ATP×2
スクシニルCoA コハク酸
フマル酸
リンゴ酸
α-ケトグルタル酸
イソクエン酸
ATP生産までの流れ
ピルビン酸 アセチルCoA
ATP
ミトコンドリアへ
グリコーゲン
ATP
NADH
NADH
解糖系
FADH2 NADH
クエン酸回路
ATP
電子伝達系
ATP ATP
ブドウ糖
水素(電子)を運ぶ
FAD
複 合 体 Ⅰ
複 合 体 Ⅱ
CoQ
複 合 体 Ⅲ
CC
複 合 体 Ⅳ
A T P 合 成 酵 素
NAD+
O2 2H2O
ADP
内膜
外膜
電子の流れ H+の流れ
H+ H+ H+ H+ H+ H+ H+ H+
ATP
電子伝達系
FADH2 NADH
解糖系でできたNADH2はリンゴ酸アスパラギン酸シャトルまたはグリセロリン酸
シャトルでミトコンドリア内に輸送される
CoQ:補酵素Q(ユビキノン) CC:シトクロムc
5
外膜
解糖系でできたNADH
内膜
アスパラギン酸 リンゴ酸 オキサロ酢酸
アスパラギン酸 リンゴ酸 オキサロ酢酸
解糖系でできたNADH NAD+
NAD+ NADH 電子伝達系へ
リンゴ酸アスパラギン酸シャトル
NADH2はそのままではミトコンドリアに入れない
このシャトルは心臓・腎臓・肝臓などで発達している
リンゴ酸-αケト
グルタル酸輸送体
グルタミン酸-アス
パラギン酸輸送体
NADHのHと電子をリンゴ酸に移す
解糖系 ATP×2
NADH×2
ATP×2
ATP×6(または×4)
NADH×2 ATP×6 アセチルCoA
NADH×6
FADH2×2
GDP×2
ATP×18
ATP×4
ATP×2
クエン酸回路
電子伝達系で1分子のNADHとFADH2から
それぞれ3分子と2分子のATPができる
合計 ATP 38分子(または36分子)
ブドウ糖1分子からできるATP
電 子 伝 達 系
心臓・腎臓・肝臓以外ではFADH2になる(グリセロリン酸シャトルのため)
C6H12O6 + 6O2 + 6H2O 6CO2 + 12H2O + 38ATP
乳酸発酵
ピルビン酸
グルコース
電子伝達系
クエン酸回路
好気条件下 嫌気条件下
乳酸発酵
NAD NADH
酸素が足りない
NADHが処理できない
NADが不足する
二酸化炭素と水
ΔG -686 kcal/mol
乳酸
ΔG -47 kcal/mol
主に肝臓でピルビン酸に変換される
ATPは脂質やタンパク質からもできる
ATP
ピルビン酸
アセチルCoA
解糖系
クエン酸回路
電子伝達系
グリコーゲン ブドウ糖
中性脂肪
グリセロール
脂肪酸
タンパク質 アミノ酸
脂肪酸の酸化には
オキサロ酢酸が必要
ピルビン酸
アセチルCoA
クエン酸 オキサロ酢酸
クエン酸回路
脂肪からATPを合成する
解糖系 グリセロール3リン酸
β-酸化 脂肪酸
グリセロール
脂肪酸の酸化には
ブドウ糖が必要
脳にはβ-酸化系の酵素がない
リンゴ酸
ブドウ糖
脂肪酸から得られるATP
パルミチン酸
2 3 4 5 6 7
1分子のアセチルCoAで12ATP・・・12ATP×8個=96ATP
NADHとFADH2が1分子ずつ・・・5ATP×7回=35ATP
1 2 3 4 5 6 7 8
1
β-酸化の最初にATPを2個使う・・・35+96-2=129ATP
1分子のパルミチン酸から129分子のATPができる
(ブドウ糖は38ATP)
C C C C C C C C C C C C C C C C HOO
6
脂肪は効率よくエネルギーを蓄える
結合水:水溶液の水のうち、溶質に引きつけられて動けない水
エネルギー源 1 g で生じるエネルギー
糖質 4 kcal
タンパク質 4 kcal
脂肪 9 kcal
脂肪は疎水性なので水が不要(結合水が生じない)
100 kcal作るために糖質は 25 g 必要だが脂肪は 11 g でいい
ピルビン酸
アセチルCoA
脂質を合成する
解糖系 グリセロール3リン酸
マロニルCoA経路
脂肪酸
グリセロール
クエン酸 オキサロ酢酸
クエン酸回路
細胞質へ アセチルCoA
脂肪酸合成は肝臓・腎臓・脳・乳腺・脂肪組織などの
多数の組織で起きる 肝臓は特に酵素活性が高い
メバロン酸 コレステロール
リンゴ酸
ブドウ糖
アミノ酸の代謝
R
H2N C
H
C OH
O
α
窒素 炭素骨格
尿素回路
肝臓
尿素
アンモニア
エネルギー ブドウ糖 脂肪酸
クエン酸回路
脱アミノ
ピルビン酸
アセチルCoA
クエン酸 オキサロ酢酸
クエン酸回路
アミノ酸とエネルギー
解糖系
アミノ酸
リンゴ酸
ブドウ糖
α-ケトグルタル酸
アミノ酸
アミノ酸
アミノ酸
アミノ酸
アミノ酸の炭素骨格は
糖質と同じ過程でエネ
ルギーになる
糖とアミノ酸と脂肪酸の相互変換
ブドウ糖 アミノ酸
グリセロール 脂肪酸
脂肪酸はブドウ糖にもアミノ酸にもなれない
摂取したブドウ糖の50%以上はアミノ酸や脂肪酸になる
ブドウ糖やアミノ酸を過剰摂取すると脂肪酸になる
デンプンを100g過剰に摂取すると脂肪が約30gできる
血糖とホルモン
膵臓
インスリン
血糖値を下げる
ホルモン
下垂体
成長ホルモン
副腎
コルチゾール
アドレナリン
膵臓
グルカゴン
血糖値を上げる
ホルモン
7
低血糖
血糖値 mg/dl ホルモンの分泌 症状
80 以下 インスリン分泌低下
65~70 グルカゴン・アドレナリン分泌
60~65 成長ホルモン分泌
60 コルチゾール分泌 低血糖症
低血糖による体の反応
・脳への糖供給不足・・・めまい・疲労感・脱力・集中力の欠如・昏睡など
・アドレナリン分泌による作用・・・発汗・神経過敏・ふるえ・失神など
インスリンの作用
骨格筋 血中ブドウ糖の取り込み促進
タンパク質合成促進・分解抑制
脂肪組織 血中ブドウ糖の取り込み促進
脂肪酸合成促進・脂肪分解抑制
膵臓 グルカゴンの分泌抑制
肝臓 グリコーゲン合成促進・分解抑制
糖新生を抑制
膵臓
インスリン
インスリンが働かなくなると
膵臓
インスリン
血中ブドウ糖
組織への取り込み ブドウ糖
グリコーゲン タンパク質
アミノ酸
アミノ酸
ブドウ糖
1型糖尿病
糖尿病の約10%
日本では10万人に1~2人
ほとんどが20歳までに発症
患者はインスリン注射薬を
携帯する必要がある
膵臓
インスリン
インスリンを分泌する膵臓
β細胞が死滅する
生活習慣病ではない
血糖値を下げることができない
1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)
2型糖尿病【インスリン非依存型糖尿病】
糖尿病の約90%を占める(遺伝的要因も関係する)
膵臓
インスリン
インスリンの分泌が低下する
膵臓
インスリン
インスリン感受性が低下する
血糖値を下げることができない