1
超音波を用いた新しい非接触センシング手法
長岡技術科学大学 機械系 教授 井原郁夫
共同研究者:
高橋学(現:仙台高専)、山田浩之(現:ユニオンツール)
監崎孔明(現:日産自動車)、徐 晨艶(長岡技科大)
レーザー超音波法による温度モニタリング
現場適用を目指した空気超音波センサー
2
なぜ超音波?
超音波の特徴
全ての媒体を伝搬⇒汎用的
伝搬形態が多様⇒内部・表面の観察
材料特性に敏感⇒材料評価ツール
安価、簡便、安全⇒現場向き
多彩な計測が可能
非破壊・非接触モニタリング手段として高い潜在能力 !
3
レーザー超音波法による
温度モニタリング
お問い合わせ先:
国立大学法人 長岡技術科学大学総務部産学・地域連携課 知的財産係 須田TEL 0258-47-9279、 FAX 0258-47-9040E-mail [email protected]
4
高温場での材料加工
焼結
Ceramics & metals
ダイキャスティング
Metals
加工素材 製品
温度は高温材料加工における重要パラメータ
射出成型
Plastics & rubbers
5
温度計測法
点 ⇒ 熱電対
表面 ⇒ 赤外線(サーモグラフィ)
⇒超音波:伝播速度が温度に依存
赤外線 熱電対
超音波
問題:高温場への適用限界 振動子 カプラー
内部・表面・分布
温度プロファイリングが可能
超音波サーモメトリー
6
検出:
レーザー干渉変位計
表面波
発生:
パルスレーザー材料
バルク波
アブレーション熱弾性効果
レーザーを用いて非接触で超音波を計測する手法
高温計測、モニタリングに最適
レーザー超音波法
7
超音波による温度計測の原理
L
tL
・物体の温度が均一:
( )L
Lt
V T=
V(T): 音速T: 温度
・物体内部の温度が不均一(温度勾配):
x
tL
T(x): 温度分布
T(x) は tLから定量的に評価できる!
dxxTV
tL
L 0 )((
1
Vel
oci
ty
Temperature
音速の温度依存性
8
パルスレーザー発信器 レーザー干渉変位計
Laser source Nd:YAGQ-switch
Wave length 1064 nm
Energy 200 mJ
Beam diameter 5 mm
Pulse width 3 ns
Repetition rate 30 Hz
Laser source Nd:YAGCW
Wave length 532 nm
Power 200 mW
Focal length 200 mm
Detection area 0.9 mm
レーザー装置
with a photorefractive two-wave mixing
9
パルスレーザースキャニングによる表面温度プロファイリング
Heating
Aluminum plate
Spherical lens
Galvanometer
scanner
Pulse laser
generator
30 mm
Infrared
thermography
10mm
Y
XE1
60mm
60mm
10mm
E2
E3
E4
E7 E13E12
E5
E6
E9E8 E11E10
SAW
D
10
表面温度プロファイリング(1次元分布)
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
0 s
IR
Ultrasound
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
2.5 s
IR
Ultrasound
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
5 s
IR
Ultrasound
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
10 s
IR
Ultrasound
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
30 s
IR
Ultrasound
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
60 s
IR
Ultrasound
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
120 s
IR
Ultrasound
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
180 s
IR
Ultrasound
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
240 s
IR
Ultrasound
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
300 s
IR
Ultrasound
Distance from A (mm)
0 20 40 60 80 100 120 140
Tem
per
atu
re (
oC
)
20
40
60
80
100
120
0 s
5 s10 s
30 s60 s
120 s
2.5 s
180 s
240 s
300 s
IR
Ultrasound
0 s2.5 s5 s10 s30 s60 s120 s180 s240 s300 s
BAL
A B
IR image
IR
Ultrasound
11
表面温度プロファイリング(2次元分布)
Before heating5 s10 s30 s60 s90 sX (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)
0
10
20
30
40
50
60
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)0
10
20
30
40
50
60Infrared camera Ultrasound
20
30
40
50
60
70 80
90
100
110
120
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)
0
10
20
30
40
50
60
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)0
10
20
30
40
50
60
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)0
10
20
30
40
50
60
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)
0
10
20
30
40
50
60
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)0
10
20
30
40
50
60
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)
0
10
20
30
40
50
60
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)0
10
20
30
40
50
60
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)
0
10
20
30
40
50
60
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)0
10
20
30
40
50
60
X (mm)
0 10 20 30 40 50 60
Y (
mm
)
0
10
20
30
40
50
60
12
新技術の特徴・従来技術との比較
超音波 熱電対 赤外線項目
非接触
非破壊
表面温度
内部温度
温度分布
精度
時間応答性
コスト
簡便性
ロバスト性
○ × ○
○ △ ○
○ △ ○
○ △ ×
○ × △
△ ○ ○
○ △ ○
△ ○ △
△ ○ △
△ ○ △
13
本手法の長所と実用化への課題
従来の超音波温度計測法と比較して
表面および内部の温度プロファイルが得られる
非接触計測が可能
高温場への適用が可能
実用化への課題
精度の向上と検証
適用限界の検証
安全性の確保(レーザー:Class 4 →Class 2)
14
想定される用途とユーザー
想定される用途
赤外線法の代替え:
・被測定対象が鏡面である場合
・空間的制約がある場合
熱電対法の代替え:
・物体内部の温度プロファイリングが必要な場合
・時間応答性に優れた計測が必要な場合
想定されるユーザー・難温度計測場・分野に携わる技術者、研究者・各種プラント、材料製造・加工メーカー
15
現場適用を目指した
空気超音波センサー
お問い合わせ先:
国立大学法人 長岡技術科学大学総務部産学・地域連携課 知的財産係 須田TEL 0258-47-9279、 FAX 0258-47-9040E-mail [email protected]
16
はじめに
超音波計測(超音波エコー)
⇒問題:測定に際して「ゼリー状の液体」が必要
空気超音波 ⇒非接触、安全、簡便問題:信号強度、SN比が非常に低い
レーザー超音波 ⇒ 非接触計測(ゼリー不要)問題:危険、高価、要熟練
17
本発明
空気超音波センサーの最適形状設計法を創案
信号強度の強いセンサーの開発に成功
センサーの構造
振動子
整合層
従来センサー
新センサー
Time (s)0 20 40 60 80 100 120 140
Am
pli
tud
e (m
V)
-0.8
-0.4
0.0
0.4
0.8
鋼板の透過信号
従来センサー新センサー
18
従来:曲率が一定
本発明:曲率の最適化
鋼
空気
集束点が複数 集束点が一つ
非球面型音響レンズの最適設計
基本アイデア(1)
19
縦波および横波の効果的な活用:ハイブリッド型センサによる縦波・横波の同時計測
(干渉効果)
空気から鋼へのエネルギー透過率の入射角依存性
+
= 縦波横波
入射波
透過波
境界面
空気
鋼
θ
θt
θl
θ
縦波
横波
反射波
基本アイデア(2)
界面での超音波の屈折とモード変換
20
試作したセンサー
試作品
従来品
周波数:260 kHz
開口径:20 mm
縦波励起面
横波励起面
(協力:ジャパンプローブ㈱)
21
応用例:スポット溶接材
スポット溶接ナゲット(溶融部)の大きさや形状は接合強度に関連
⇒ナゲット品質の評価が不可欠
非破壊診断が望ましい
ナゲット外観
切断面
22
スポット溶接ナゲットの評価への適用
スポット溶接材:SPCC (厚さ1.4mm ×2
枚)
測定条件:透過法、Cスキャン
1.4mm 1.4mm
2mm
2.8mm
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
溶接ナゲットのCスキャン画像
溶接部外観
従来センサー
x axis distance (mm)2 4 6 8 10 12
y a
xis
dis
tan
ce (
mm
)
2
4
6
8
10
12
x axis distance (mm)
2 4 6 8 10 12
y a
xis
dis
tan
ce (
mm
)
2
4
6
8
10
12
x axis distance (mm)24681012
y a
xis d
istan
ce (mm
)
2
4
6
8
10
12
従来センサー 新センサー
23
新技術の特徴・想定される用途
特徴
簡便な改良(形状設計)により強度・SN比を向上
オーダーメイド仕様(測定対象に合わせた設計)
⇒汎用性の欠如
用途
簡便、安全、非接触なインプロセス超音波計測
軟質材料(樹脂、生体膜、紙)、液体などの評価
各種製造プロセスの品質管理
Ex. スポット溶接部、欠陥検出、形状検査
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本技術に関する知的財産権
・発明の名称 :超音波を用いた非接触温度測定方法
出願番号 :特願2010-011605
出願人 :国立大学法人長岡技術科学大学
発明者 :井原郁夫、高橋学、山田浩之
・発明の名称 :空気超音波センサー及び空気超音波センサー
の整合層の形状決定方法
出願番号 :特願2010-197190
出願人 :国立大学法人長岡技術科学大学
発明者 :井原郁夫、監崎孔明、高橋学、徐 晨艶