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- 137 - Skype を使った日本語教育の授業の試み ― 中国福州大学との協働実践 ― 小林幸江・何 美玲 【キーワード】 日本語教育、Skype、福州大学、遠隔授業、体験授業 はじめに 本稿は、2013 年 4 月から 8 月まで外国人客員研究員として留学生日本語教育セ ンター(以下、センター)に滞在した、中国の福州大学外国語学院日本語科(以下、 福州大学)講師、何美玲との協働による日本語教育の遠隔授業の実践について述 べるものである。何美玲は、滞在中に日本語教育の視察の一環として小林担当の 外国語学部専修科目「言語教育学(日本語教育の実際)」 (以下、本授業)に参加した。 遠隔授業は何美玲の授業参加があって可能となった。 本授業の受講生は日本語教育に高い関心をもっているが、日本語非母語話者に 日本語を教えた経験がなく、授業内容は知識のレベルに留まりがちである。一方、 福州大学の学生は、日本語学習に意欲的に取り組みながら、ふだん日本人と接す る機会がほとんどない。そこで、小林は何美玲と双方の学生に益する授業を目指 し、本授業の最終日に双方の学生間での Skype による対面授業をゴールに置き、 授業計画を立てた。これは、事前に福州大学の学生から受けていた日本語に関す る質問に、本授業の学生たちが準備し答えるというもので、終了後、双方の学生 から大きな反響があり、日本語教育における遠隔授業の有効性を改めて実証する ものとなった。 1. 日本語教育の授業の概要 1-1 授業の目的 本授業では、次の二つのことを目的とした。 (1) ・ 日本語教育の指導内容・教授法について要素・技能・レベル別に学び、日本 語教育に対する基本的な認識を高める。 (2) ・ 学習者の誤用例をもとに学習者の視点から日本語を客観的に見ることによ り、母語話者は日本語の諸現象について非明示的な知識を明示的な知識とし、 東京外国語大学 留学生日本語教育センター論集 40:137~152,2014

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Skype を使った日本語教育の授業の試み― 中国福州大学との協働実践 ―

小林幸江・何 美玲

【キーワード】・ 日本語教育、Skype、福州大学、遠隔授業、体験授業

はじめに 本稿は、2013 年 4 月から 8 月まで外国人客員研究員として留学生日本語教育センター(以下、センター)に滞在した、中国の福州大学外国語学院日本語科(以下、福州大学)講師、何美玲との協働による日本語教育の遠隔授業の実践について述べるものである。何美玲は、滞在中に日本語教育の視察の一環として小林担当の外国語学部専修科目「言語教育学(日本語教育の実際)」(以下、本授業)に参加した。遠隔授業は何美玲の授業参加があって可能となった。 本授業の受講生は日本語教育に高い関心をもっているが、日本語非母語話者に日本語を教えた経験がなく、授業内容は知識のレベルに留まりがちである。一方、福州大学の学生は、日本語学習に意欲的に取り組みながら、ふだん日本人と接する機会がほとんどない。そこで、小林は何美玲と双方の学生に益する授業を目指し、本授業の最終日に双方の学生間での Skype による対面授業をゴールに置き、授業計画を立てた。これは、事前に福州大学の学生から受けていた日本語に関する質問に、本授業の学生たちが準備し答えるというもので、終了後、双方の学生から大きな反響があり、日本語教育における遠隔授業の有効性を改めて実証するものとなった。

1. 日本語教育の授業の概要1-1 授業の目的 本授業では、次の二つのことを目的とした。

(1)・ 日本語教育の指導内容・教授法について要素・技能・レベル別に学び、日本語教育に対する基本的な認識を高める。

(2)・ 学習者の誤用例をもとに学習者の視点から日本語を客観的に見ることにより、母語話者は日本語の諸現象について非明示的な知識を明示的な知識とし、

東京外国語大学留学生日本語教育センター論集 40:137~152,2014

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非母語話者は日本語に関する知識をさらに深める。

1-2 授業計画 本授業の受講生は 18 人(日本人学生 9、留学生 4、市民聴講生 5)で、次のようなスケジュールとシラバスで進められた。毎回の授業内容に関連し中国語や福州大学の日本語教育等について何美玲がミニ講義を行った。

回 月日 授業のトピックと内容 「何美玲先生のミニ講義」(10m)

1 4/・8 オリエンテーション日本語教授法入門 自己紹介

2 4/15 文字・語彙 「日本語と中国語の漢字の違いについて」

3 4/22 文法 1 「動詞の〈テ形〉」 「どのような工夫をして〈テ形〉を教えているか」

4 5/13 文法 2 「ら抜き言葉」「福州大学の学生たちはどんな日本語を学びたがっているか / 学生のニーズにどう答えているか」

5 5/20 文法 3 「終助詞」 「〈終助詞〉はどのように教えているか」6 5/27 レベル別日本語教育 1「初級」「初級日本語はどのように指導しているか」7 6/・3 レベル別日本語教育 2「中級」「〈〜にとって〉〈〜に対して〉の教え方」

8 6/10 レベル別日本語教育 3「上級」「どんなことを目標に、どんな指導をしているか」

9 6/17 技能別日本語教育 1「聞く」 「日本語が聞き取れるようになるために、どのような工夫をし、指導をしているか」

10 6/24 技能別日本語教育 2「話す」 「日本語が話せるようになるために、どのような工夫をし、指導をしているか」

11 7/・1 技能別日本語教育 3「読む」演習の趣旨説明

「〈読み〉のためにどのような授業をしているか」

12 7/・8 技能別日本語教育 4「書く」準備 1(チーム・質問選択)

「〈書く〉のためにどのような授業をしているか」

13 7/・16 外国語教育の実践準備 2(授業計画作成)

「中国語の挨拶表現と挨拶―『你好(ニーハオ)』は『こんにちは』か?」―(60m)

14 7/22国外の日本語教育の実情演習:「日本語を教える、・・・・・・・・・・・を体験してみよう !」

「福州大学の日本語教育について」(15m)

15 7/29 総括

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1-3 遠隔授業の実践例 本授業は、講義棟にある遠隔授業専用の教室で行われた。ここで行われる日本語教育関係の遠隔授業の実践例として次の 3 例を確認している。

(1)林俊成教授(本学言語文化学部)による台湾の淡江大学との遠隔授業 林教授は以前より同大学との間で、テレビ会議・電話を用いて様々な試みを実践している。林(2008)には、ネット上に実現された「共学」の環境で日中両国の学生によるチーム討論、インタヴュー、PPT 発表等、コミュニカティブアプローチに沿った授業展開の実践例が紹介されている。また、林(2009)では、アンケート分析からそれらの実践の有効性について評価している。林の実践は、日本語教育における遠隔授業の可能性を実証するものと言える。

(2)河路由佳教授(本学言語文化学部)による遠隔授業 一つは、ゼミの授業の一環として 2010 年より行われている、本学の日本語教育学専攻の学生と米国のポモナ大学の日本語学習者によるテレビ会議である。日米双方の学生が、日本語で課題について話し合うことを通して互いに言語技能を磨き視野を広げることを目指している。遠隔授業は、異文化理解、他者理解の実地研修の場として実践されている。もう一つは、2011 年より行われている、本学大学院日本語教育学専修コースの院生とドイツのエアランゲン大学の日本語専攻の学生によるテレビ会議である。毎年 9 月にドイツの大学の学生たちは来日し

「日本語研修」を受けている。同コースでは、この研修を「日本語教育実習研究」とし、その円滑な運営を目指して来日前にテレビ会議で双方の学生による情報交換を行っている。遠隔授業は教育実習の事前研修として活用されている。いずれの授業例も双方の参加学生から高い評価を得ている。 実践について述べる前に、福州大学の日本語教育について簡単に紹介する。

2. 福州大学の日本語教育2-1 福州大学の日本語教育の概要 福州大学は、1958 年に設立され、1995 年に中国の「21 世紀 100 所重要大学プログラム」に採択された公立総合大学である。2002 年に日本語学科が設立され、2013 年に大学院に日本語専攻が増設された(院生募集は 2015 年から開始)。これまで、法政大学、武蔵野大学、長崎大学、長崎外国語大学と連携関係を結び、2010 年に日本国際交流基金の JF 日本語ネットワークに入っている。 現在、福州大学には日本語を学ぶ学生が約 280 名いる。うち、日本語を専攻

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とする学生は、毎年約 50 名おり、四年までの全学年合わせて 200 名くらいになる。第二言語科目としての学習者は全学年で 80 名ほどいる。日本語専攻の学生は、日本語の基礎から学習し始め、4 年後には日本語で卒業論文を完成できるレベルに達することを目標としている。それに合わせて総合日本語、日本概況、日本文学、言語学、日本言語文化研究など数多くの科目を設けている。教員は日本人 4 名、中国人 14 名(准教授は 2 名、博士学位取得者は 5 名)である。福州大学の日本語教育は実践を重んじ、語学の習得だけではなく日本文化への理解を深めるために、各学期に 2 週間の「実践週」をおき、名作を読む、実用翻訳、日本社会・文化・言語研究等の集中講義を行い、また日本映画鑑賞、台詞朗読、弁論基礎、日本文化体験、弁論などの実践科目を設けている。これまで、華道、弓道、日本語劇、日本舞踊、浴衣作り、和食、沖縄太鼓などの科目を開講している。ここ数年は日本から専門家を招いて実施している。 近年日本に直接関係しない職種に就職する日本語科の卒業生が増えているが、多くは中国国内にある日本企業や日本関連の企業に就職し、日中の交流に深く繋がっている。

2-2 福州大学の学生たちのプロフィールと寄せられた質問(1)学生たちのプロフィール

 遠隔授業の際、対象のレベルによって指導方法や対応に違いが出てくると想定されたので、初級〜上級の各レベルから 2 〜 3 名募集した。N1 と表示されている学生以外は日本語能力試験を受けていない。ここでは参考として、それぞれの学生について「日能試」に相当する日本語レベルを( )に示してある。

氏名 性別 学年 学習歴 日能試 氏名 性別 学年 学習歴 日能試1 A 女 1 10 か月 (N3) 7 G 男  3 交換留学中 N12 B 女 1 10 か月 (N3) 8 H 女  3 3 年 N13 C 女 2 2 年 (N2) ・9 I 女  3 3 年 N14 D 男 2 2 年 (N2) 10 J 女  3 交換留学中 N15 E 女 1 10 か月 (N3) 11 K 女  2 2 年 (N2)6 F 女 2 2 年 (N2)

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(2)福州大学の学生の質問 日本語学習について日本の大学生に聞きたい質問を、1 人 2 問ほど出させた。学生の質問は原文で東京外大の学生に示した。(「資料」参照)

  質問の種類 数 質問の種類 数① 男言葉・女言葉・若者言葉について 2 ⑤ 漢字について 1② 外来語について 3 ⑥ 文法・語彙について 5③ 方言について 1 ⑦ 敬語について 6④ 聴解について 1 ⑧ 日本語の勉強法について他 3

3.遠隔授業の実践(1)本授業と何美玲による講義 第 1 回〜第 12 回の本授業で、学生たちは留学生を対象とした日本語教育について初級から上級までの要素別、技能別、レベル別の指導内容と教授法を学んだ。また、授業内容に関連し、何美玲から中国語や福州大学での日本語教育の情報を得た。第 13 回の授業では、「中国語の挨拶表現と挨拶-『你好(ニーハオ)』は『こんにちは』か」について、以下のような趣旨の講義が行われた。

 日本語学習のはじめに、「こんにちは」は中国語の「你好」の意味であると教えられるが、実際日本人の「こんにちは」の使い方を聞くと、「你好」とのずれがある。一方「你好」は「こんにちは」に当たる挨拶表現として中国語教材のはじめによく紹介されている。外国語学習はステレオタイプ、パターン化して教えられているという現状がある(曲 2001)。 これに関し、何美玲による「你好」の使用についての調査結果 * を紹介し、「你好」は実際には「こんにちは」と違い、日常生活よりむしろ改まった場合、または初対面の時によく使われること、一方、日本語の「こんにちは」にあたる挨拶表現は中国では実に多様であること示した。* アンケート(「いつ、どんな時に誰に対し『你好』を使うか」という質問について、地域要素を考慮に入れ 15 人の中国人を対象に実施)、及び 2013 年に中国で放送された現代ドラマや映画などの中での使用場面を調査したもの。

 本講義を通して、「外国語教育は挨拶表現から始まると言えるが、実は挨拶表現はその国の文化・社会に根差しているもので、簡単に外国語の挨拶表現とイコールに置き換えられない」ということを伝え、日本語教育・外国語教育への気づき

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を促した。さらに、第 14 回の授業では、遠隔授業に先立ち、「福州大学の日本語教育」についてのミニ講義(20m)・が行われた。 以上の何美玲の講義により本授業の受講者は、中国語や遠隔授業を行う相手の大学や学生について情報を得て遠隔授業に臨んだ。

(2)遠隔授業の準備と実践1)・スケジュール6 月:・ 本学の遠隔授業の施設見学し授業実施の可能性を探った。また、何美玲を

通して福州大学の学生に質問を出してもらった。7/1:・ 本授業の学生に遠隔授業の実施について趣旨説明をした。7/8:・ 2 人 1 組のチームを作り、福州大学の学生から寄せられた質問リスト・ (注 1)からそれぞれ 2 問ずつ選ばせ内容を検討してもらった。7/15:・下のチェックリストをもとに、チーム別に授業計画を考えてもらった。

「福州大学の学生への回答のためのチェックリスト」1・ 相手の日本語レベルの確認:レベルに応じた回答をするために、「福州大学

の学生のプロフィール」等から、また、本番では、自己紹介・ウォーミングアップの質問等から、相手の日本語力を探る。

2・ 相手の質問の意味確認:適切に答えるため、相手の質問をよく理解する。3・ 手順の確認:時間を考えて、質問にどう答えるか、準備するもの(絵カード、

写真…)手順、分担等を検討する。4・ 相手が理解したかどうかの確認:どのように確認するか。

7/22:・Skype による実践を行った。

2)・実践 今回は個別の対面を重視し Skype を利用した。当日は、本授業の受講生 2 名が福州大学の学生の質問に交替で答える形で授業を進めた。はじめは互いに緊張が見られたが、すぐに打ち解け、和気あいあいとした中で授業を終えることができた。事前の準備時間は短かったが、学生たちは絵カードや文字カード等を用意し実践に臨んだ。実施中に次のような問題が生じた。

・・ 当日 Skype の登録を行い、手間取ったチームがあった。・・ 2 人でチームを組んだが、機器の関係で実際には一対一での対応となった。

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・・ 質問ごとに福州大学の学生が入れ替わらなければならず、回答時間が延びたチームでは入れ替わり時間にずれが生じた。

・・ 当日、欠席者が出て 1 人で急遽対応しなければならないチームがあった。そのため分担でないところも準備なしで臨まなければならなくなった。

 最後に、チーム内での実践の振り返りを行い、次いで、クラス内で報告し合うことによりその内容を全体で共有した。

4. 考察と結果 本授業の受講生には、授業内容、実践を踏まえ、「日本語を教える」ということはどういうことかレポートにまとめてもらった。また、福州大学の学生には何美玲がアンケート調査を行った。以下にその結果を示す。(1)本授業の受講者のコメント1)ふだんは意識していなかったが、遠隔授業を通して気づいたこと・・「日本人であるがゆえにわからないことがあるというのは、仕方ないにして

も情けなく感じた。」・・「これからの日本語に対する姿勢が変わるきっかけになる実践だった。」・・「自分たちにとって当たり前の感覚を相手にわかってもらおうとするにはわ

からない人の立場に立つことが大切であることをこの授業を通じて学ぶことができた。」(他複数回答あり)

・・「今回授業に協力してくれた中国の学生たちは、漢字に精通しているため、優しい和語を使った日本語よりも、高度な漢語の方が理解しやすいということが興味深かった。」2)日本語を教えるということについて気づいたこと・・「日本語を教えるということはどういうことか、自分が想像していたものと

全く違うものだった。母語である日本語を体系化して正確に理解教授できることが求められる。」(他複数回答あり)

・・「教える側が日本語を理解していないと外国人学習者に伝えることはできないし、文化も合わせて教えないことには学習者の真の理解にはつながらないことを実感した。」(他複数回答あり)

・・「日本人が日本語を教えるということは、自らが使っているものを客観視するとても貴重な機会になるのだということを強く感じた。」

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・・「日本語教育とは、日本を代表する、非常に責任のあることだと感じた。」・・「直説法による外国語教授において、重要なことは、伝える側と聞く側のコ

ミュニケーションがよく図られていることがある。ユーモアの必要性。相手との信頼関係なくしては授業ができない。」

・・「教えたことを相手が本当に理解しているのかということを、こちらが把握することが重要。」

・・「日本語を教えるということは、柔軟に状況にあった方法で、いろんな角度から日本語を勉強するのを補助することに過ぎないということがわかった。」

・・「教えることの喜びを感じた。」・・「授業の初めに相手のレベルを確認しておくことが重要。日本語の学習歴や、

日本語能力試験という情報だけで、学習者の能力を一概に判断すべきではない。それぞれの学習者と実際にコミュニケーションをとった上でレベルを判断し学習者の状況やニーズにあった指導を行うことの重要性に気がついた。」

・・「特化の授業では初級者にどのように教えるかが中心であるが、今回は全く違うものだった。」

・・学習者がどのような壁にぶち当たるのか、学習者のレベルに合わせてどのような教材を使用していくのかなどといった日本語教育について学ぶ以前には考えもしなかった具体的な面を知ることができた。3)今回の反省・・「事前にもう少し準備する時間がほしかった。」・・「失敗した点は、指導計画を事前に調整していなかったこと。」・・「当日、急遽生徒を交換することになったので、以前準備した内容を活かす

ことができずその場で考えて回答することになってしまった。事前準備があれば豊富な例を挙げてもっとわかりやすく説明することができただろうに。」

・・「時間が足りなくなってしまった。」

 本授業は、日本語教育の実習を目的とはしていないので、遠隔授業の際のそれぞれのチームの細かい指導に関しコメントするというより、参加者の実践を通しての気づきを重視した。学生の声からは、授業で聞いたことであっても実際にやってみてわかったことが多くあったことがわかる。多くの受講生にとって、ほんの短い時間ではあったが、計画的に日本語を教えるということははじめての経験であった。本授業の内容は日本語教育入門に近いものであるが、この段階でも条件

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がそろえば今回のような試みは可能であり、意味がある。自らの体験に基づく気づきは新鮮であり、それは授業内容のより深い理解につながる。授業終了後、秋の日本語教師能力検定試験への挑戦を決心した者、また、将来自分の専攻語の国で日本語を教えられるよう卒業後の進路を考えていきたいと述べた者がいた。遠隔授業は達成感のある授業づくり、日本語教育のモチベーションを高めるのに大いに効果を発揮したと言える。

(2)福州大学の日本語学習者に対するアンケート 今回の実践は、福州大学の学生にとってはふだん日本人と接することがあまりない状況の中で、居ながらにして日頃の日本語学習の実践の場となった。遠隔授業の後、①今回の遠隔授業についての感想、②今回の授業から学んだこと、③今回の遠隔授業の課題、について福州大学の 11 名学生に自由記述をしてもらった。結果は次の通りである。以下、原文を示す。①今回の遠隔授業についての感想 学生全員から「こういうやり方で同年代の日本の大学生と交流できてうれしい。」「新鮮感がある。」「生の日本語を学ぶことができてよかった。」「いろいろ気づかされた。」「非常にやりがいがある実践だ。」「こういう授業をこれからも続けたい。」という感想が聞かれ、今回の試みは受け入れられたことがわかる。②今回の授業から学んだこと 日本人学生の対応について、「日本人の学生が準備して分かりやすく説明してくれた。」「親切で真面目な態度に感心した。」という声が聞かれた。また、初級、中級、上級では、次のようなそれぞれ異なる気づきが得られた。○初級の学生:「短期間に勉強した日本語が日本人学生に通じて、たいへん嬉しくて日本語の勉強への意欲が湧いてきた。」、「相手が絵カードや文字を使って説明してくれたので、なんとかわかった。」「はじめて知らない日本人と話し、緊張して、どう反応したらいいか分からなくて、自分の日本力の原因でもあるし、自分が提出した質問が答えにくいことにも原因があると反省している。」等、の声から日本語が使えるという喜びが感じられる。○中級の学生:「相手の説明がかなり理解できた。」「相手がこちらの立場になって、絵や文字、具体的な実例で説明してくれたので、分かりやすかった。」また「外国語の学習は応用が大切で、コミュニケーションがうまくできるには、言葉と文法だけでは足りないことが実感した。」「分からないときの答え方や質

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問の仕方などをもっと勉強しておいたほうがいい。」等、日本語によるコミュニケーションを意識した感想が見られる。○上級の学生:「相手の話が大体理解できたが、もっと交流をスムーズに運ぶのに必要な技巧に気づいた。それは、相手への心遣いの表現とか、会話中の相づちのやり方とか、質問の仕方とかである。話しの技術などをもっとよくしたい気持ちがあった。」また、「相手の言葉遣いが自分の日本人教師と違っていることにも気づいた。日本人教師は言葉と表現を選んで話してくれているのじゃないか。」と述べた学生がいた。「1 対 2 で交流するやり方なので、失礼にならないように二人にうまく話しかける話し方をもっと知りたい。」「限られた時間の中で、質問への説明が終わったあと会話をどう運んだらよいかわからない。」

「相手の話を聞いて分からない時、どう聞けばいいか分からない。」等、自然で円滑なコミュニケーションを行うための高度なスキルについての意見が聞かれた。③今回の遠隔授業の課題 やり方については、次のような指摘があった。「通信速度があまりよくなく、一時中止したりするときがあり、もう少し時間をゆっくり取れたらよかった。」「他のチームの話が聞こえて、少し混乱した時もある。」「日本人の名前は聞いてすぐまねできないのもあって、実践授業の前、東外大生の名前の読み方など情報が少し分かれば名前を読み間違えないから安心だと思う。」「初めて話す人に、いきなり質問をして答えてもらうのは申し訳ない気持ちがあるので、授業前一度連絡とったほうがよりよく交流できる。」 遠隔授業による双方向授業を円滑、かつ効果的に進めるには、IT 環境、授業内容、コミュニケーションの礼儀など、双方で必要な事前指導、事前の情報交換、準備が不可欠と言える。

5. 今後の展望と課題5-1 展望 本授業での実践は、日本語教育のモチベーションを高めるのに効果的である。 また、福州大学では、遠隔授業は日本語技能のスキルアップだけでなく、日本文化等の教育でも効果が期待できる。遠隔授業は、新しい教育の形であり、多くの可能性を秘めている。今後も、福州大学と連携を密にし、双方に益する、効果的な授業を目指しその可能性を探っていきたい。

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5-2 課題(ア)時差・時期の問題 中国とは時差は問題ないが、時期については問題が残る。今回遠隔授業を実施した 7 月はすでに中国の大学では夏休みに入っている。今回、福州大学の学生は自由参加でそれぞれ個別に対応してくれた。実質的な双方向授業とするためには、実施時期・時間等の調整は欠かせない。(イ)IT環境・SNSの手段 福州大学では、学期内であれば SNS の遠隔授業に対応できる IT 環境が整備されたマルチメディア教室が利用できる。しかし、今回のような場合だと対象となる学生は限られてくる。また、インターネットによる遠隔交流では、双方ともインターネットの実効通信速度が高く確保される必要があるが、この点について今回は、幸いにも多少の動画のずれで済んだ。今回は Skype を用いたが、中国圏では QQ が普及している。日本語版もあり、それを利用することも可能である。いずれにしても、学生たちには使い慣れた通信手段であり、事前に一度使ってみれば問題ない。(ウ)実践の進め方 今回は、はじめての試みでもあり、本授業を中心に福州大学に協力を得て遠隔授業を企画した。実践から、Skype の是非、事前指導、時間配分等、授業の進め方について課題が見えてきた。また、福州大学からは、限られた時間でより有意義な実践を行えるよう、今後に向けて次のような提案をいただいた。

・・ 今回は実践時間が短すぎた。双方の教育効果を高めるため、できれば遠隔授業を期間中二回実施してはどうか。一回目の実践で気づいた問題点について解決策を考えさせ、2 回目の授業で改善を図ってはどうか。

・・ SNS を生かして事前にお互いの情報の確認をする必要がある。・・ 遠隔授業の実践に先立ち、福州大学で学生に対し質問のしかたや礼儀、異文

化理解について指導をする必要がある。・・ 今回は、同時間に複数のチームが一斉に実践を行ったため騒がしかった。実

践に際しては静かさが保たれる工夫が必要となる。・・ 学期のはじめに、東京外大の本授業の受講生 1 人ずつに、福州大学の初級〜

上級の各レベルの日本語学習者 3 名を実践対象としてはり付ける。授業の内容に合わせ、それぞれのレベルの学習者にどう指導 / 対応するか宿題や課題を与え、それを福州大学の日本語学習者に実践することもできるだろう。

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 以上、今回見えてきた課題を改善し、今後の実践につなげていきたい。

おわりに 以上、東京外国語大学・福州大学の学生を対象とした Skype による遠隔授業の概要、成果について述べてきたが、最後に遠隔授業を担当した小林、何美玲のコメントを添えて「おわりに」としたい。 遠隔授業を成功に導く要因には、上に述べたように様々なものが考える。それに加え、筆者は今回の試みを通し、担当教員との連携の重要性を挙げたい。何美玲氏は、福州大学における日本語教育の若き牽引者であり、IT 機器にも精通し遠隔授業についての理解もある。今回は氏の力を得て実践を行うことができた。これを縁に、今後も友好関係を維持し、遠隔授業を通して両大学の日本語教育にささやかな貢献ができればと願っている。(小林)。 こうした双方向授業は福州大学の学生にとって、ありがたい日本語学習の実践である。学生たちは、同年代の日本大学生と交流でき、教師からは学べないところを学ぶことができた。新鮮感があり、日本語の勉強への意欲を高めるために大変有意義な授業実践となった。教える側としても、新しい授業のやり方として参考になる。 今回の実践ができたのは、センターが筆者を客員研究員として引き受けてくださったおかげである。ここに伊東センター長先生をはじめ、東京外国語大学留日センターの方々に改めて感謝を申し上げたい。特に長い間いろいろご指導をくださった小林幸江先生に心より感謝を申し上げたい。(何美玲)

資料:「福州大学から寄せられた学生の質問」表中◆は本授業の受講生が選んだ質問

1.男性語・女性語・若者言葉について(2 件)◆・①日常生活の会話では、男性語と女性語を使い分けますか?何か特に注意

すべきところがありますか。・ (A 一年生)◆・②私は日本の新たな若者言葉が好きですが、授業中はなかなかそんな言葉

が使えないようです。日本では授業中で若者言葉を使ってもいいですか、それでも、だめですか。日本人はいつもどんな時に若者言葉を使いますか。

・ ・ (C 二年生)

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2.外来語について(3 件)◆・③日本語の中で、片仮名で外来語を表しますが、本来の発音と少し違います。

それに対して、ちょっと変だと思いませんか?・ (A 一年生)◆・④日本人にとって、外来語は一体どんな存在でしょうか。日常の生活に外

来語はどのくらい使われていますか。何か外来語を簡単に覚える方法ありますか。あることを表現するために、外来語を使って返って理解しにくいことになった場合もあるでしょう。外来語のことについて、日本の学生はどう思いますか。・ (D 二年生)

◆・⑤日本語を勉強した後、私は外来語を適当的に制限した方がいいと思います。漢字を見て、大体の意思疎通ができるから、新語を作るのは漢字でもいいんではないでしょうか。・ (H 三年生)

3.方言について(1 件)◆・⑥中国では地方によって、様々な方言があります。日本ではどうですか。

各地の方言と共通語とどこが違いますか。お互いに交流する時障害がありますか。方言に慣れて理解するために、何か要点がありますか。(D 二年生)

4.聴解について(1 件)◆・⑦私にとって日本語の勉強について一番難しいと思ったのは聴解です。聴

解の能力を上げるためにどうすればよいですか。また、日本のバライティー番組をよく見ていますけど、何か面白い番組をすすめてもらえませんか。

・ ・ (I 三年生)5.敬語について(6 件)◆・⑧日本の敬語はむずかしいです。人間の関係や距離の調整についてよく役

に立つと思いますが、言うことがなかなか難しいです。例えば、具体的にいえばどんな場合で使ったほうがよいですか。私が敬語をはじめて勉強した時よく使って笑い話になる時が多いです。それで、敬語をどうすれば自然に、また相手に硬くないイメージを与えられますか。教えてください。

・ ・ (I 三年生)・ ⑨日本語には敬語がありますよね、その敬語は相手は誰かによって使い方

が違いますが、中国人の日本語学習者にとって、これは難しいです。日本語どうやって敬語が使い分けることができますか。なにか敬語をみにつける方法がありますか。・ (C 二年生)

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◆・⑩同級生の間に、どのぐらいの親密さで敬語を使わなくていいですか?もし、ずっと敬語を使ったら、本当に相手に不快させるのですか?(J 三年生)

◆・⑪たとえば、今質問のリストを作る時、敬語をつかったほうがいいですか?・ ・ (J 三年生)◆・⑫日本語の敬語について伺いたいことがあります。日本の店員さんはよく

敬語を使いますが、これは何のためでしょうか。私は必ずしも敬語を使われていると「サービス」がいいなと思わないし、敬意を感じるとも限りません。しかし、くだけた話し方では、敬意を表せる場合もあり、親しさも伝えられます。このことについて、皆さんの意見をぜひ聞かせてください。

・ ・ (G 三年生)・ ⑬敬語のことについて伺いしたいんです。日本の先生と学生は生活の中に

どう話しますか。ずっと敬語を使用しますか。例えば、一緒に遊び時、ご飯を食べる時、友だちみたいな話し方ができますか。・ (F 二年生)

6.文法・語彙について(5 件)・ ⑭“〜めく”と“〜っぽい”使い方がどう違いますか?・ (J 三年生)◆・⑮『くらい』がひとつの意味だけではありませんが、どのように使い分けま

すか。特に『くらい』が程度と限定を表す時、意味と翻訳のし方がよくわかりません。・ (E 二年生)

◆・⑯受動や使役や使受動どこか違いがありますか。・ (E 二年生)◆・⑰彼女”と“あなた”は呼称として使えば失礼と言うことがわかりますが、日

本人自身はそう呼ばれたらどういう気持ちですか?その中のどちらのほうがひどさが高いですか。・ (J 三年生)

・ ⑱本語のメタファーについても伺いたいです。日本語のメタファーには「心が晴れる」という言葉があり、「心配が消えて明るい気持ちになる」という意味で使われているようですが、これはなぜでしょうか。「晴れる」は一部の人にとって「いい天気になる」という考えを持っているかもしれませんが、雨の日が好きであれば、思わないでしょう。ご意見をお聞かせてください。

・ (G 三年生)7.漢字について(1 件)・ ⑲の日本の若者たちが知っている漢字は少なくなったと聞いたことがある

が、この問題について若者たち自分はどう思いますか。・ (H 三年生)

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8.日本語の勉強法/その他について(3 件)◆・⑳本語の勉強は暗記しなければならないものが多いです。でも、いつも忘

れやすくて、どうしたらいいですか。・ (K 二年生)・ ○21本語の勉強には似る文法がたくさんあり、似る文法をよく理解するため

にどうすればいいですか。・ (K 二年生)・ ○22中国人の発音の特徴は何ですか。どうすればきれいに発音できるのです

か。・ (B 一年生)

参考資料・文献林俊成(2008)『日中遠隔共同授業における語学教育の実施とその評価』「東京外国語大

学論集 76」pp.191-212林俊成・林虹瑛(2009)『遠隔講義システムを用いたコミュニカティブアプローチ語学

教授法による各学習活動の実現と比較』 国際シンポジウム「2008 第一届華語文教學國際検討會□工作□・―一雙語教學興多元文化―」

王世生(1995)『“你好”是“汉语里常用的问候语”吗?』「语文建设 01期」曲衛国・陳流芳(2001)『汉语招呼分析』「華東師範大学学報(哲学社会科学版)vol.33・

No.3

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Japanese language education using remote teaching tools between Tokyo University of Foreign Studies (TUFS) and Fuzhou

University (FZU) students

KOBAYASHI Yukie, HE Meiling

Many Tokyo University of Foreign Studies (TUFS) students never have the

experience teaching Japanese to non-native learners. Though they are able to understand

the principles of Japanese Language Education through their education, they could never

fully realize these principles in practice. In addition to this, China's Fuzhou University

(FZU) Japanese major students have little opportunity communicating with native

Japanese speakers. As such, a teaching plan was developed between TUFS and FZU to

facilitate educational goals at both universities. Japanese related questions from Japanese

major students were surveyed and recorded at FZU. TUFS students then evaluated and

prepared answers to these questions. Skype, a remote teaching tool, was then used to

enable real-time communication and education between students at both universities.

From this, TUFS students could gain experience teaching Japanese while FZU University

students could have the opportunity to speak with native Japanese students. Student

evaluation after the study showed that remote teaching tools such as Skype can increase

student motivation. Several issues arose such as how to more efficiently assemble

learning materials and how to better coordinate the use of remote teaching tools between

both universities.

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