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Japan Academic Society of Nursing Education NII-Electronic Library Service Japan Aoademio Sooiety of Nursing Eduoation 著】 看護 対象 関する 評価 度開 発におけ 初期的 研究 帰納的 究成 問項 作成 選定 島理 恵(福島 科大 学) 舟島 なをみ(千葉大学 杉森 馬県 期大学 InitialStudy in Development of the Self evaluation Scale of Nurse s Understanding of the Patient Making and Selecting of ltems of the Scale on the Qualitative and lnductiveStudy Ne Kawashima RN MNS Wakako ShadahiroRNpNSc 2 Naomi Funashima RN DNSc 3 Midori ShugimoriRN BLL 4 1School of Nursing FUkushima Medical University Gunma Prefectural College of Health Sciences 2 3School ofNursing Chiba Universit Abstract The purpose of this study was to develop a selfLevaluation scale to measure the levelof nursels understanding of the patient Theoreticalf 士amework f ‘〕r the study yas based on ‘‘ concepts explaining patient behavior developed by qualitative and inductive study Thisstudy compdses three phases In phase 1 decisions 、、 ere made forabout f rmating of the scale In phase 2 content validity of dle scale was disccussed and the scale was deveioped In phase 3 the scale as mailed to subjects In phase l several Gontents were examined which were stnlcture and expression of sentence arrangement of items composition of subscales numbers of items pe of scale and levels and expression of selection In phase 2 establishing content validity the scale was discussed by expert nurses about appropriateness comprehensibility and usabihty Based on the discussion the scale was refined md named SelfLEvaluation Scale of Nursels Understanding of the Patient Pri y Edition Pim ry Editi n w s lf val ti n cale c i t d f 45 it m 9r up d i t 5 ub ca1 ・・ whi h ・・r ・・ p ・・dd t con epts for explaining patient behavior and rated along 5 point Like sale In phase 3 PrirnaryEdition was mailed to 970 random1 se 】 ected hospital nurses an over Japan 510 vahd responses were analyzed The result of Cronbachls Alpha reliability coefficient showed the internal onsistency of Primary Edition satisfactory The result ef factor analysis showed construct alidit of ‘‘ Pr 1a r Edition unsatisfactory 1 di cussi n 28 it m e e fi ・・11 el ・・t d n thb・・i f Ihe ult f fa t ・・ amly i Fe f imp ,。v m t selfLevaluation scale of nurse s understanding of the patient it is necessary to examine reliability and validity of e scale consisted of 28 items Key Words self evaluation nurse s understanding of the patient scale developrnent 自己 評価 対象理解 開発 [要旨] 本研究 目的 対象 評価尺度 開発 向け 質問項 目を作 成 し中から適切な 問項 目を する ある質 問 項 目作 成 みには 質的帰納的研究 果である 者行動を説明す 26 看護教育学 Vol 9 No 2000 N 工工 Eleotronio Library

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【原 著】

  看護 の 対 象理 解 に 関す る 自己 評価 尺 度 開発 に お け る 初期 的研 究

       一 質的 帰納的研 究成果 に 基 づ く質問項 目の 作成 と選 定  一

川 島 理 恵 (福 島県立 医 科大学)

定廣和香子  舟島な を み (千葉 大学 )

杉森 み ど里 (群馬 県 立 医 療短期大学)

Initial Study in Development  of the Self−evaluation  Scale of  Nurse’

s Understanding of the Patient

  − Making and  Selecting of  ltems of the Scale on  the Qualitative and  lnductive Study一

Ne   Kawashima RN ,MNS  * ] Wakako Shadahiro RNpNSc  

* 2  Naomi  Funashima  RN .DNSc  

* 3

Midori Shugimori RN ,BLL* 4

  * 1School

 of  Nursing, FUkushima Medical University

  * ‘

 Gunma  Prefectural College of  Health Sciences

* 2 * 3School ofNursing ,Chiba Universit}’

Abstract

  The purpose of  this study  was  to develop a selfLevaluation  scale  to measure  the level of  nursels  understanding  of  the patient.

Theoretical f士amework  f‘〕r the study 、yas  based on‘‘concepts  explaining  patient behavior

”developed by qualitative and

inductive study , This study  compdses  three phases. In phase 1,decisions、、・ere  made  for about  f。 rmating  of  the scale . In phase 2,

content  validity  of  dle scale  was  disccussed and  the scale  was  deveioped. In phase 3. the scale “’as mailed  to subjects .

  In phase l, several  Gontents  were  examined , which  were  stnlcture  and  expression  of  sentence , arrangement  of  items,composition  of  subscales . numbers  of  items,も

『pe of  scale , and  levels and  expression  of  selection . In phase 2, establishing  content

validity , the scale  was  discussed by expert  nurses  about  appropriateness , comprehensibility , and  usabihty . Based on  the discussion.the scale  was  refined  {md  named

“SelfLEvaluation Scale of  Nursels Understanding of the Patient(Pri  !y Edition)

”,

“P・im ・ry Editi・ n

”w …   s・lf−・val 聞 ti・n ・cale  c… i・t・d 。f 45 it・m ・ 9r・up ・d i・t・ 5 ・ub ・ca1 ・・ whi ・h ・・ r ・・p ・・d,d t。

“con 。epts  for explaining  patient behavior” ,and  rated  along  5−point Like貫 s。ale .  In phase 3,

“Prirnary Edition

”was   mailed

to 970 random1 }・se 】ected  hospital nurses  an  over  Japan.510 vahd  responses  were  analyzed , The result  of  Cronbachls Alpha

reliability  coefficient  showed  the internal。 onsistency  of“Primary Edition”satisfactory . The result ef  factor analysis  showed

construct 、’alidit

}・of  

‘‘Pr血 1a弓r Edition” unsatisfactory .

  1・ di・cussi ・ n,28 it・m … e ・e  fi・・11}:

・el・・t・d ・ n  th・ b・・i・ ・f Ih・ ・e ・ult・

・f fa・t・・ amly ・i・, F嘸 ・e, f・ ・ imp,。 v ,m   t

selfLevaluation  scale  of  nurse「

s  understanding   of  the patient, it is necessary  to  examine   reliability   and   validity  of 出e scale

consisted  of  28 items.

Key  Words : self −evaluation

      nurse「s understanding  of the patient

        scale  developrnent

自 己 評価

看護 の 対象 理解

尺 度開発

[要 旨]

 本研 究 の 目的 は 、看護 の 対象 理 解に 関す る自己 評価尺 度 の 開発 に 向け て 質問項 目を作成 し、そ の 中か ら適切な

質問項 目 を 選定す る こ と で ある。質 問項 目作成 の 枠組 み に は 、質 的帰納 的研究 の 成 果 で あ る患者行動 を説 明す る

26 看護教育学 研 究 Vol.9  No 」  2000

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5 概念 を用 い た 。

 本研 究は、質 問項 目の 作成 と尺 度化 (第 1段 階) 、作成 した質 問項 目の 内容的妥 当性 の 検討 とそれ に基 づ く修

正 (第 2 段 階) 、作成 し た 質問項 目 で 構成 し た 尺 度 を用 い る調査 の 実施 (第 3 段 階) の 3 段 階を経て 行 っ た。

 第 1段 階に お い て は 、質 問項 目に関 し、成 文化す る形式 、用 い る 語句 と構 文 の 表現、配置 と下 位尺 度 の 構成 、

項 目数、尺 度 の タイ プ 、選択 肢 の 数・表 現 を 検 討 し た 。第 2 段 階 に お い て は 、専門家 会議開催 に よ る 質 問項 目 の

適切性 、網羅性 、実 践 にお け る活用 可能性 の 検討 と、そ の 結果 に 基 づ く修 正 を行 い 、  「看護 の 対象理解 に関す る

自己 評価尺度 (予備 調 査 版) 」 を作成 し た。こ の 予 備 調査版 は 、患者行 動 を説 明する 5 概念に 対応す る 5 下位 尺

度 45 項 目か ら成 る リ ッ カー

ト型 尺 度 で ある。第 3 段 階にお い て は、予備調 査版を 用 い 、無作為に抽出 し た 全国

の 病 院に勤務す る看 護婦 ・士 970 名 を対象 に、郵送法 に よ る調 査 を 実 施 し た。 こ の 調 査 か ら得 た 有 効 回 答 510 を

デ ータ と し、ク ロ ン バ ッ ク α 信頼性係 数 の 算出及 び 因子分析を 実施 し た結果 は 、予備調 査版 が 、 内的整 合性 に よ

る 信 頼性 を確 保 し て い る こ と、構成概念 妥 当 性 を 確 保 して い な い こ とを明 らか に し た 。そ こ で 、考察に お い て は 、

各 質問項 目を因子分 析 の 結果 に 基 づ い て 検討 し、信頼性 と妥 当性 を確保 した 尺度 開発 につ な が る適切 な質 問項 目

と して 、28 質問項 目を選 定 し た 。

 看護の 対象 理 解に 関す る 自己評 価 尺度の 開発 に 向け て 、こ の 28 質問項 目 で 構成す る 尺度 の 信頼性 ・妥 当性 を

検証する こ とは 今後 の 課題 で あ る。

1.緒言

 看護は、看護婦 ・士 と患者あるい は ク ライ エ ン トが 目

標 達成をめ ざす入間 的 な 相 互 行 為 の 過 程 で あ る1)。患者

あ るい は ク ラ イエ ン トは 看護 の 対象 で あ り、看護婦・士

の 適切な対象 理 解 は、相 互 行為 に お け る 目標 達成 を促進

す る1]。し か し、看護実践に 関する 研究

コ/‘/’)

は 、看護

婦 ・士 が対 象 理 解 に 困 難を感 じて お り、必ずし も適切 に

対象を理解 して い ない 現状が存在する こ とを示唆 して い

る。

 そ の よ うな現状を改善す るた め には、看護婦・士 個々

が対象理解に 関する 自己 評価‘)

を行 うこ とが必 要不可欠

で ある。看護婦・士 が、対 象 理解に 関す る 自己 評価 を行

う こ と は、対 象 理 解 に 関わ る 自分 自身の 行動や態度を 評

価 し、それに基 づ い て 自分 自身の 状況 を確認 し、行動 を

改善、調整する こ とに つ なが る。

 看護婦 ・士 の行 う自己 評価が対象理解 の 現状改善に役

立 っ も の とな る た め に は 、第一

に、そ の 自己評価が、現

実適合性の 高い 対象理解 の 枠組み に基づ い て い る必 要が

あ る.そ の た め に は 、論理 演繹的 に構築された枠組み で

はなく、現実適合性の 高い 枠組 み を生み出す質的帰納的

研究’]に よ っ て 導 き 出 され た 枠組 み を用 い る こ と が 有効

で あ る 。 また、第二 に、自己評価 が客観的な実態把握に

基 づ い て い る必 要があるS)。そ の た め に は、看護婦 ・士

が対象理解の 現状 を客観的に把握で きる、信頼性 ・妥 当

性 を確保 した 自EL評価 尺 度 を 用 い る こ とが有効 で あ る。

これ らは、質的帰納的研究が導き出 した現実適合性 の 高

い 看護 の 対 象理 解に 関 す る枠組 み に 基 づ く、信頼性 ・妥

当性 を確保 した 自己評価 尺 度 の 存在が、対象理解 の 現状

改善を め ざす看護婦 ・士 の 支援 と な る こ とを 示 唆す る.

  しか し、質的帰納的研 究 の 成 果 が導 き出 し た現 実適合

性 の 高 い 枠組 み を基盤 に開発された、看護婦 ・士 を対象

とす る自己 評価尺 度と し て 、看護の 質に 関 する 自己評価

尺度   ま存在する が 、看護 の 対象理 解に 関す る 自己評価

尺 度 は 存在 し な い 。

 一般 に、尺度開発 は 、測定対象の 明確化、質問項 目の

作成 、予 備調査 の 実施 、項 目の 選定、本調査 の 実施 、信

頼性 ・妥 当性 の 検討 の 段 階を経 て 進む1¢ ]t

。ま た 、こ れ

らの うち質問項 目の 作成は、尺 度 の 信頼性 ・妥 当性 を 決

定す る 主要 因 とな る、最 も重要な段 階 で あ る]1}.

 本研 究 に お い て は 、現実適合性が高 く、信頼性 ・妥 当

性 を確保 した 看護の 対象理解に 関する 自己評価尺 度の 開

発 を最終的に め ざ し、そ の 初期的段階に位置す る研究 と

し て 、質問項 目の 作成 と選 定 を試 み た。

E .研 究目的 ・目標

1 .研究 目的

 現実適合性 が 高 く、信頼性・妥 当性 を 確保 した 看護 の

対象理解に関す る自己評価尺度の 開発 を め ざ し、そ の初

期的段階 に位置する 研 究と して、質問項 目を作成 し、適

切な質問項目 を 選 定す る。

2.研究目標

1 )質的帰納 的研究 の 成果に基 づ き、看護 の 対象理解に

関す る自己評価 の た め の 質問項 目の 作成 と尺度の 構成 を

行 う。

2 ) 1 )で 構成 し た 尺 度 の 信頼性・妥当性 を検証 し、そ

の 結果 に 基 づ き、信頼性 ・妥 当性 の 高 い 看護の 対象理 解

に 関する 自己 評価 尺 度 の 開発 に つ なが る適切な質問項 目

を 選 定す る。

看護教 育学研究 VoLg  No 」 2000 27

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皿 .本研究 の 理 論的背景

1.本研究を支える前提

 本研 究 は、方法論的研 究]3)

で あ り、そ の 理 論的枠組 み

を明確 にす る必要があ る.本項にお い て は、そ の 前提 と

し て 、本 研 究 に お け る 基 本概念 で あ る 「看護 」 、  「人

間」 、  「看護婦 ・士 」 、  「自己 評価」 に つ い て規定する。

1)看護 (nursing )

  「看護 とは 、看護婦 ・士 とクライ エ ン トの 人間的な相

互 行為 の プ ロ セ ス で あ り 、 そ の プ ロ セ ス によっ て 、 各人

は、他者 とそ の 置 か れ て い る状況を知 覚 し、コ ミュ ニ ケ

ーシ ョ ン を通 じて 目標 を設定 し、手段 を探求 し、目標達

成の 為の 手 段 に 合意する こ とで あ る」14〕

。看護の 目標 は 、

「健康 へ の 到達、保持、回 復の た め に 個 人 な らび に集団

を援助す る こ とで あ り、こ れ が 不可能な場合 には、個 々

人 を人間 として の 尊厳 を保 ちっ っ 、死 に臨む こ とが で き

る よ うに援助す る こ とで あ る」” 1。

2 )人間’‘/

(human  being)

・人問は、社会的存在で ある。

・人問 は 、感覚を持っ 存在で あ る。

・人闘は、理性を持 つ 存在 で ある。・人 間 は、対 応す る 存在 で あ る。・人 間は 、知覚する存在 で あ る。・人間 は 、自律的存在 で あ る。・人問 は、E 的を 持 っ た 存在で あ る 。

・人 間 は、行為志 向 的な存在 で あ る。

・人間は、時間志向的な存在 で ある。

3 )看護 婦 ・士 (nurse 、皿 ale  nurse )

 看護婦 ・士 とは、看護基礎教育課 程 を修 了 し、自国 に

お い て 看護 を実践す る 資格 が あ り、そ の 権限を与え られ

た 者で あ る11/。我 が 国 に お い て は、保健婦助産婦看護婦

法 の 規 定 に よ り、免 許 を 受 け た 者 を指す。

4 )自己評価 (self −evaluation )

  自己 評価 とは、学習者が 学習活動 へ の 主 体的参加、自

己理解 の 深化、自己教育力 の 強化 をめ ざ し’81

、自分 の 学

業、行 動 、性 格 、態度な ど に っ い て 、何 らか の 指 標 を も

とに情報 (知 見 )を得 る こ とに よ り、自分の今後の 学習

や行動 を 改善、調 整す る一

連 の 行動 で あ る’9/

。 自己 評 価

が有効 で あ る ためには 、明確 なパ ース ペ クテ ィ ブを文脈

的背景に持 つ こ と、客観的な実態把握に基づ く こ と、適

切な目標 との 関係 で 評価す る こ とが 重要 で あ る1°)

2 .文 献検討

1)看護婦 ・士 の 対象理 解の 状況を明 らか にする視点

 看護の 対象理解に 関す る自己 評価 尺 度は、看護婦・士

が そ れ を 用 い て 自己 の 対 象理 解の 状況 を 明 らか にする こ

とを め ざす 。 そ こ で 、看護婦 ・士 の 対象 理解の 状況 を質

28

的帰納的 に 明 らか に した 研究を概観 し、看護婦 ・士 の 対

象理 解の 状況 を明らか にす る視点を検討 した。

 看護婦 ・士 の 対象理 解の 状況に焦点をあ て た 質的帰納

的研究は 2 件存在 した。

 第 1の 研究21)

は、看護婦 ・士 の 臨床 に おけ る意志決定

過程 の 中に看護 の 対象理解 を位 置づ け、そ の 解明を試 み

て い た。データは、心臓病病棟に勤務す る看護婦 ・士を

対象 に 、面接と、患者との 相互行為場面 の 参加観察を通

して 収集 し て い た。 研究結果 は、対象理解 が 臨床 におけ

る意志決定過程 の 中心的要素 で あ り、看護婦 ・士が対象

理解にお い て 用 い る 4 つ の 方略を明 らか に した 。

  こ の 研究は、心 臓病病棟 に勤務す る 看護婦 ・士 を 対 象

に 、面接 と、患者との 相互 行為場面 の 参加観察によっ て

収集 した デー

タを分析す る こ とに よ り、看護婦 ・士 が対

象理解 に用 い る方略を明 らか に して い る 。 こ の こ と は 、

相互 行為の 文 脈 に お い て 患者が 示す行動 に 着 目 し、そ の

行動 に 対す る看護婦 ・士 の 対応を通 して 、看護婦・士 の

対象理解 の 状 況が明らかにな る こ とを示 す。

 ま た、第 2 の 研究z3

は、対象理解 を人間的な看護実践

に不可欠 で 価値 ある 要素 と して 位置づ け、対象理解 とい

う概念 を 分析 した。データは 、人 工 呼吸器離脱過程 に あ

る成人患者を看護の 対象 とす る熟練看護婦 ・士 に対す る

面接を通 して 収集した 。 研 究結果 は 、熟練看護婦・士 が

患者の 行動 に基 づ き、3 つ の 側面を重視 して 患者 を理 解

して い る こ と を 明 らか に した。

  こ の 研究 は 、質の 高い 看護を提供する熟練看護婦・士

が 対象 理 解 に お い て 重視 し て い る側面を明 らか に し た意

義あ る研 究で あ る。しか し、人 工 呼吸器離脱過程 とい う

特定状況 に あ る 患者 との 相互 行 為に 焦 点 を 当 て た デ ータ

に 基づ くた め、研究結果 の 適用範 囲に限界を持つ 。こ れ

は、看護婦・士 と特定状況にお ける 患者 との 相互 行為場

面 で は な く、多様な患者に 共 通する相 互 行為場面 に焦点

を当て る こ とに よ り、看護婦 ・士 の 対 象 理解の 状況 が 、

対象 の 特徴にかかわ らず広範 に 明らか に な る 可能性 を 示

唆す る。

  以 上 の 2 件 の 研 究 は 、い ず れ も研 究 方 法 論 に

Grounded   Theory  Approach を 用 い て い た。  Gr。 unded

Theor)・Approachは、社会学に お ける研究方法論 で あ り、

発 見 した 概念 を看護学的に 活 用する上 で 限界 が あ る2’♪

こ の こ とは、看護婦 ・士 が適切に 対象を理 解する た め に

は看護学独 自の 視点 に 立 脚 した成果 を 産出する研究方法

論 を用 い る必要性 を示唆す る。

 以上 の 文献検討 に基づ き明確にな っ た、看護婦 ・士 の

対象理解 の 状況を明 らか に す る視点 は 、次 の 3点 で あ る。

   看護婦 ・士 の 対象理 解 の 状況は、看護婦 ・士 一患者

看護教育学研究 Vol.9 No .1  2000

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  相 互 行為 の 文 脈 に お い て 患者が示す行動 に 着 目 し、

  そ の 行 動 に 対 す る看護婦 ・士 の 対応 を通 して 明 らか

   に す る必 要が ある。

   看護婦 ・士 の 対象理 解の 状況 は 、看護婦 ・士 と特定

  状況にお け る患者との相互 行 為場面 で は な く、多様

  な 患者 に共 通 する相 互 行 為 場 面 に 焦点を当 て て 明 ら

  か にする 必 要があ る 。

   行動 の 意味 は 、看護学的視点 に 立脚して 解釈する 必

  要がある。

2 )看護 婦 ・士 と の 相 互 行為場 面 に お け る 看護の 対 象 の

行動に関する文献検討

  こ こ で は 、看護婦 ・士 との 相 互 行為場面に おける看護

の 対象 の 行動 の 解明を試み た 研究を概観 し、本研究が採

用する看護 の 対象 理 解 の 枠組 み を検討す る 。

 看護婦・士 との 相互行為場面 に おけ る看護の 対象 の 行

動 に 焦点 を 当て 、そ の 説明概念 を看護学的視点か ら質的

帰納的に創 出 した 研究は、3 件存在 した 。

 第 1 の 研究n ]

は 、ま ず、デー

タ と して 入 院患者 と看護

婦の相互 行為場面 を収集 し、そ の 分析 を通 して 、入院患

者 の 行動を説明す る 8 つ の 概念を創出 し た。また、そ の

後、そ の 8概念の 洗練 と飽和化 をめざ し て、理論的サ ン

プ リン グ1’)

を行 い 、最終的 に、入 院患者 の 行動 を説 明す

る 9 つ の 概念を創 出 した。

 第 2 の 研究2G〕

は 、デー

タと して 地域 で 生活す る ク ラ イ

エ ン トに 対す る保健婦 の 家庭訪問場面 を収集 し、そ の 分

析 を通 し て 、家庭訪問場面 に お け る ク ラ イエ ン トの 行動

を説明する 7 っ の 概念を創出 し た。

 第 3 の 研究1t’

は 、デー

タと して 看護婦 が 入院患者に清

潔援助を提供す る場面を収集 し、そ の 分析を 通 し て、看

護実践場面 に お け る入 院患者 の 行動を説明す る 10 の 概

念を創出 した 。 また、そ の 後、そ の 10 概念 の 洗練 と飽

和化 をめざ して 、理論的サ ン プ リ ン グ28]

を行い 、最終的

に、入院患者の 行 動を説 明する 5 つ の 概念 を創 出 した 。

 上 述の 3 件の 研 究は、い ずれ も後に、看護概念創出法z9}

と して 完成する、看護教育学独 自の 視点 に 立 っ 質 的帰納

的研究方法論を用 い て い た。ま た、看護婦・士 と の相互

行為場面における患者、あるい は ク ライ エ ン トの 行動を、

看護問題 とい う看 護学独自の 視点 に基 づ き分析 し て い た、

こ れ らは、上述の 3 件の 研究の 結果各々 が、看護 の 対象

の 行動 に っ い て 、看護婦 ・士 一患者相互行為 の 文脈 を反

映 し、看護学独自の視点 に 立脚 した高い 現実適合性 をも

つ とい う、本研 究 に お ける 看護 婦 ・士 の 対象理解 の 状況

を明 らか に す る視点  、  と合致す るこ とを示す。

 一

方、各研 究が こ の よ うな患者、あるい は ク ラ イ エ ン

トの 行動を説明す る概念を導 き出 した 場面 は、そ れ ぞ れ

異な っ て い た。第 1 の 研究は全身衰弱状態にある コ ミ ュ

ニ ケー

シ ョ ン 障害を持つ 患者、思春期 の 心 理 的問題 を持

っ 患者等に 対す る多様な看護場面 に 、第2 の 研究は 地域

に 生活するクライ エ ン トへ の 家庭訪 問場面に、第 3 の 研

究は 清潔援助場面 に焦点を当て て い た。この うち、第 3

の 研究 は 、多様 な患者 と看護婦・士 との 相 互 行為 に 共通

す る場面 の一

つ で あ る清潔援助場面 に焦点を当て て お り、

本 研 究 に お ける 対象理 解の 視点   に 合致す る。

 以上 に 基 づ き、本研 究 に おい て は 、看護の 対象理解に

関 す る 自己 評価 尺 度 の 開 発 に 向けた質問項 目作成 の 枠組

み として 、第 3 の 研 究の 結果 で ある 5 つ の 患者行動 の 説

明概念 を採用す る。 こ の 5 つ の 患者行動 の 説 明概念 と は、

【1.問題発生 と依存】、 【n ,問題 へ の 対 処 と 調整1 、

【皿 ,ケ ア と自己 対処 に よ る 問題 の 自覚 ・好転 ・解決】、

【IV.ケ ア と自己 対処 に よる充 足感獲得 と心理的解放】 、

【V 、問題 解決状況 に よ る ケ ア 提 供者 との 関係性 の 発 展

と変化】で あ る 。

3 )患者行動 の 説 明概念 に 基 づ く自己 評価 尺 度 を開 発 し

た 先行研究 の 検討

 質的帰納的研究が創出 し た患者行動 の 説明概念を枠組

み として、自己評価尺度を開発 した 研 究は 1件3e 〕

存在 し

た。 こ の 研 究が開発 した 自己評価尺度は、看護婦 ・士 が

提供す る 看護 の 質を測定するた め の もの で あ る 。 開発 さ

れ た 尺度は、内的整合性 を 確保 して お りS且}、構成概念妥

当性 に つ い て一

部課 題 を 残 して い る が 、概ね 確保 して い

る こ とを示 した32}。 こ れは、質的帰納 的研究の 成果 で あ

る患 者 行 動 の 説 明概念 を 用 い る こ と に よ り、信頼性 と妥

当性 の 高い 自己評価尺度の 開発 が可 能 で あ る こ と を示 す。

そ こ で 本研究 に お い て は 、 質的帰納的研究の 成果で あ る

患者行動 の 説明概念に基づ き、看護婦・士 の 対象理 解 の

程度 を 測 定 す る 自 己 評価 尺 度 の 開 発 を め ざす。

 なお、本研究 に お い て は 、看護婦 ・士 の 対象 理解 とは、

看護婦 ・士 の 行動 に影響 し、そ の 適切 さが 効果的な看護

実践 を可能 とす るSSt

もの とす る。ま た 、こ れ に基 づ き

「看護婦・士 の 対象理 解 の 程 度」 を 、  「看護婦

・士 が 対

象理 解に 基 づ き、理解 した内容を看護実践 に 活 用する度

合」 と規定する 。 そ の 理 由は 以 トの 通 り で あ る。

 教育評価 の 理論におい て 、理解の 程 度 の 評価 とは 認知

領域 の 評価に該当 しコ‘]、評価 の 実施にお い て は 、 目標 と

す べ き行動 を、第 三者が 外部か ら観察で きる動作 で 示す

必要がある”/

.ま た 、自己を客観的に評価す る自己 評価

にお い て は、評価指標が具体的か つ 客観的で ある こ とが

重要 で ある3‘)。こ れ らは、看護婦

・士 が 対象理 解に関す

る 自己 評価を行 うた め に は 、具 体的な行動 に 基 づ い て 自

己 を 振 り返 る 必 要があ る こ とを示す 。 加 えて 、 「本 研 究

看護教 育学研 究  VoL9   N ・ .12000 29

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を支え る 前提 」 に おい て 示 した よ うに 、人間 は 知 覚 し、

対応する存在 で あ り11]、看護 婦 ・士 の 対象理 解の 程度 は

そ の 行動 に影響す る。したが っ て 、看護婦 ・士 の 対象 理

解の 程度が高い 場合に は 、理 解した 内容 を看護実践 に活

用 する度合が増加 し、対象理 解の 程度が 低い 場合に は、

看護実践 に活用する 度合が減少する。

3 理 論的枠組 み

 本研究が 開発 をめ ざす看護 の 対象 理解に 関す る 自己 評

価尺度は、以下の 理論的枠組みに基 づ く。

1 )理 論的枠組 み (図 1)

(1)看護婦 ・士が、看護実践に お い て 対象を適切 に 理 解

す る こ と は 重要 で あ り、対 象 理解に 関 す る 自己 評 価 は、

看護婦 ・士 の 対象理解 の 適切性 に影響す る 。

(2)看護 の 対象理 解 と は、看護婦 ・士 が 、相 互 行為 に お

い て 患者が 示す行動 の 意味を、看護学的視点 か ら解釈す

る こ とで あ る。

(3)看護問題 とい う看護学的視点 に基 づ く患者行動 の 説

明概念は、対象理解の 枠組み と なる。

(4)看護婦 ・士 の 対象 理解の 程度 と は 、看護婦・士 が 対

象理 解 に 基 づ き、理 解 した 内容を看護実践に 活用す る度

合 を意味す る 。

(5)患者行動 の 説明概念 は 、看護の 対象理 解の 程 度 を測

定す る質問項 目作成 の 基盤 となる。そ の 質問項 目を用 い

て 尺 度を構成 し、尺 度 の 信頼性 ・妥当性 を検証する こ と

は、信頼性 ・妥当性 の 高 い 看護の 対象理解に 関する 自己

評価尺度を構成す るた め の 適切な質問項 目の 選定を導 く。

(6)(5)で 選 定 した質問項 目に よ っ て 構成す る尺度の 信頼

性 ・妥 当性 の 検証 は 、看護の 対象理 解に 関する 自己 評価

尺 度 の 完成 を導 く.

(7)看護の 対象 理解に 関する 自己 評価尺 度の 開発 は、看

護の 対象理 解に 関する看護婦 ・士 の 自己 評価に 役 立 ち、

適切な対象理解 を促進す る、

  本研 究 は 、こ の 理 論 的枠組み に 基 づ き、(5)で 述 べ た

看護の 対象理解に 関す る自己評価尺度開発に向けた質問

項目の 作成 と、信頼性・妥 当性 を確保 した 自己評価尺度

を構成す る ための 適切な質問項 目の 選 定 をめ ざす。

2 )用 語 の 操作的定義

(1)患者行動 の 説 明概念ls}

 患者行動 の 説明概念 は 、看護実践場面 に おけ る入 院患

者の 行動 に 関す る記述 で あ り、次 の 5 っ の 要素 よ り構成

され る。

【1、問題発 生 と依存】 : 何 らか の 疾患を持っ 患者が 、

入 院し、患者 とな る こ とに よ り生 じ る様 々 な問題 を示す

患者 の 行 動 で あ る.=

【H .問題への 対処 と調整】 : 患者 に 生 じ て い る 様 々 な

30

唇護 の 対象理 解に関する自己評 価

の た め の 質問項 目の 作成 と尺度の構 成

                  MMI 妥当性の 険討

  適切な質問 項目の 選定

鏖適切な 質問項 目に よる尺 度の 構成

             4i 灘 :斑殲繍 i          看護 の対 象 理解 に関す る自 己評価尺度

        厨              看護婦・士 の 適切 な対 象理 解

図 1 看護 の 対 象理 解に 関する 自 己評 価 尺 度 の 開発の た め の

    理論的枠組み と本研究 の位置 づ け

問題 に 対 して 、患者 自身 が そ の 問題 に 対処 し、調 整 しな

が ら主体的に問題に関わ っ て い る こ と を 示 す患者 の 行動

で あ る。

【m .ケ ア と自己 対 処 に よ る 問題 の 自覚 ・好転 ・解決】

: 患者が 看護 を受けた り、自己 対 処 を 行 うこ とに よ り、

患者自身 が 問題 を自覚 した り、患者 の 問題 が好転 ・解決

す る こ とを示す患者 の 行動 で あ る。

【IV.ケ ア と自己 対処 に よ る 充 足感獲得と 心 理 的解放 :

: 患者が 看護を受 けた り、自己 対処 を 行 う こ とに よ り、

問題 が解決 し、患者が 心 理 的に充足 した り、解放 され る

とい っ た こ とを示す患者 の 行動 で あ る。

【V 、問題解決状況 によ る ケ ア 提供者 と の 関係性 の 発展

と変化 】 : 患者の 問題 が解決され る 状況 に よ り、患者 と

看護 の 提供者との 関係が 発展、変化す るこ とを示す患者

の 行動 で あ る。

(2)看護婦 ・士 の 対象 理 解の 程度

 看護婦・土 が 患者行動 の 説明概念 に 対 応する患者行動

を理解 し、理解 した内容を看護実践 に 活 用する度合を測

定する こ とに よ り明 らか にな る。そ れ は、本研 究 が患者

行動の説明概念に基づ き開発を め ざす看護 の 対象理 解に

関す る 自己 評価 尺 度 に 対 す る 回答 で ある。

】V.研究方法

1.質問項 目の 作成 とそ の 尺度化

1 )質 問項 目の 作成

(1)患者行動説明概念に 基 づ く質問項 目の 作成

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  自己 評価の 指標 とな る具体的な質問項 目の 作成 にあた

り、患者行動 の 説明概念 は 抽象度が高い た め、その 下位

概念に着 目 し た。患者行動 の 説明概念 の 下位概 念 に は 、

16 カ テ ゴ リ、93 サ ブ カ テ ゴ リ、353 コー

ドが存在す る。

ひ とつ ひ と っ の カ テ ゴ リ、サ ブ カ テ ゴ リ、コー

ドは、患

者行動 の 異な る性質を示す。尺 度 の 内容的妥 当性3’:

を確

保する ため に は、測定 し よ うと し て い る内 容領域 を網羅

するように質問項 目を作成する必要 が あ る。本研究が開

発 をめ ざす尺度 の 基盤 は 5 つ の 患者行動 の 説明概念で あ

り、そ の 下位概念の 内容 を網羅 した質問項 目の 作成 は 、

5 つ の 概念を網羅する こ とに つ なが る 。 そ こ で 、当初質

問項 目 を作成す る 際 は 、下位概念 を網羅す る よ う行 い 、

質問項 目数 は 用い た下位概念を構成す る要素 と 同数以 上

と な るこ と を め ざ した。下位概念を構成する 要素 の 数 は、

上 述 の とお り、カ テ ゴ リ は 16 で あ る が、サ ブ カ テ ゴ リ 、

コー

ドは、各々 93、353 で あ り、自己評価尺度の 項 目数

として は膨大で ある。

 以上 よ り、本研 究 に お け る質問項 目は 、カ テ ゴ リを基

盤 に作成す る こ とが 適当 で あ る と 判断 し、16 カ テ ゴ リ

全 て を網羅す る よ うに作成した。

(2)質問項 目 を成文化す る 形式

 患者行動 の 説明概念 は、患者行動 の 原因 と 結果 に着 目

し て 創 出 さ れ た も の で あ り、 コ ー ドの 命 名 に お い て

「…   に 関連 した …   」 とい う原因 と結果を示す表

現を用 い て い た。そ こ で 、質問項 目の 作成 に お い て は 、

「患者は 原因 に あ た る行動 を示 した場合、結果 に あた る

行動を示 す 」 とい う形式 で 成文化す る こ と を原則 と した。

(3)質問項 目に用い る語句 と構文 の 表現

 質問項 目は 、知 識 や 経験 に か か わ らず、全 て の 回 答者

が質問内容 を同一

に 解釈 で きるよ うに作成す る必要 が あ

る。そ の た め 、質問項 目 の 文章 は、簡潔明瞭で あ る こ と

が重要 で ある4°/

。本研究 に お い て も、こ の 点 に 留意 して

質 問 項 目 を 成 文 化 し た。

2 )質問項 目の 配 置と下位尺 度 の 構成

 本研 究が開発 をめ ざす 自己評価尺度は、それ を用 い る

こ とで 看護婦 ・士 が 自己の 対象理 解の 現状を客観的に評

価 し、対象理 解 の 現状 を改善す る こ と を 支援す る。そ の

た め、自己 評価 尺 度は、看護婦 ・士 の負担感や抵抗感 の

少 な い もの で あ る必 要 が あ る.尺 度 に 対す る 回 答者 の 負

担感や抵抗感を軽減す る ために は 、相互に関連す る質問

項 目をま と め て 示す こ とが有効で あ り4S )

、本研究にお い

て は、患者行動の 説 明概念 を構成す る 5 つ の 概念別 に質

問項 目 を配置 した。

  さらに、質問項 目群各 々 は、患者行動説明概念に 対応

する下位尺度 と して 構成し、そ れ を 用 い る看護婦 ・士 が、

下 位 尺 度 の 得点を通 し て 患者行動 の 説明概念 が 示す 5 側

面に対応 させ て 対象理解 の 現状 を認識 で きるよ うに した。

ま た、各 質 問 項 目の 冒 頭 に は 、対 応す る 患者行動 の 説 明

概念 に 関す る説明文を加 え、下位尺 度 の 意味を示 した。

3 )質問項 目の 数

 一

般に 1 つ の 尺度の 回答時間は、対象者の 疲労等 を考

慮 し、45 分 か ら 50 分 が 限度 で あ る“’/43 /

と され て い る。

本研究に お い て も これ を踏まえ、最終的に 開発する尺度

に 対する回答時間を 30分 か ら 40 分 に 設 定す る こ と とし

た.こ の 場合、1 項 目 の 回 答 に 要す る 時間を 1 分か ら

1.5 分 に換算す る と、尺度 を構成す る 妥 当な質問項 目数

は 25 項 目か ら 30 項 目と なる。

 ま た 、本研究は 、看護婦・士 が 総得点 か ら自己 の 対象

理 解の 程度を把握す る と共に、5 下位 尺 度 の 得点 か ら患

者行動 の 説 明概念が示す 5 側面 に 対応 させ て そ の 現状を

認識 で きる尺度開発を め ざす。そ の た め には、下位尺度

毎の 質問項 目数を 同数 とする 必 要が あ る 。

 これ らは 、看護 の 対象理解に 関す る 自己評価 尺 度 の 完

成 時 に は 、各下位 尺 度 を 5 項 目 か ら 6 項 目、尺 度全 体 を

25 項 目か ら 30 項 目 よ り構成す る こ とが適 当で あ る こ と

を示 す。そ こ で 、信頼性 ・妥当性 の 検討 を通 し て 適切な

質問項 目の 選定を行 う本研 究に お い て は 、各下位尺度に

関 し少 なくとも 6 項 目以 上 の 質問項 目の 作成 を め ざ した 。

4 )質問項 目の 尺度化

 質 問 項 目の 尺 度化 に お い て は 、質 的 差異 で あ る 能力や

特性 の 個人差を量化 して 測定す る“ /

こ とに つ い て 述べ た

尺度開発 に 関する理 論 で あ る テ ス ト理 論 を適用 し た。

(D 尺度の タ イ プの 選 定

 尺 度 の タ イ プ に は 、サー

ス トン 法、リ ソ カー

ト法、ガ

ッ トマ ン 法、セ マ ン テ ィ ッ ク ・デ ィ フ ァ レ ン シ ャ ル 法4£

が あ る。看護の 対象理 解に 関する 自己評価尺 度は、看護

婦 ・士が実践 の 中で 、身近 に 活 用 で き、か つ 、対象理 解

に お け る 自己 の 変化 を よ り的確 に 把握 で き る こ とをめ ざ

す。そ の た め、測定方法は簡便 で ある方がよい 。上述 の

4 種類 の 尺度タ イ プ の うち、リ ッ カー ト法 は 選択肢の 量

化法が相対的で あ り46)

、比 較的簡便に 測 定で きる41)。尺

度 タ イ プ に は、リ ッ カー

ト法 を 選 定 した 。

(2)選択肢 の 数 の 決定

  リ ッ カー

ト法 に お い て 最 も頻繁 に 用 い られ る選択肢数

は、3 件法か ら 7 件法 で あ る。ま た 、選択肢数が この 範

囲 で あ る場合、結果にはほ とん ど違 い が ない4S }

 本研究は、看護婦・士 が 実践の 中で 、身近に活用 で き、

か つ 、対 象 理解に お け る 自己 の 変化 を 的 確 に 把 握 で きる

自己評価尺 度 の 開発 を め ざす.そ の た め、選 択肢は 、回

答が比 較的容易で あ り、あ る程度 の 段階に わた っ て 自己

看護教育学研究  Vol.9 No 」 2000 31

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の 対象理解 の 程度の 差異が評価で き る数 とする必要が あ

る 。 そ こ で 選択肢数 は 、5件法 と した。

(3)選択肢 の 表現

 本研究が開発 をめ ざす自己 評価尺度は 、看護 の 対象理

解の 程度 と して、看護婦 ・士 が 理解 した 内容 を看護実践

に お い て 活用する 度合 を測定 し よ う とす る もの で あ る。

そ の た め 、選択肢 は 、質問項 目が示 す内容を看護婦 ・士

が 理 解 し、活用 して い る度合 を示す表現 とす る 必 要 があ

る。そ こ で、まず、選択肢 の 表現 に用い る副詞を検討 し 、

次に、選 択肢の 具体的表現 を検討 した。

  選 択肢 の 表現に 用 い る副詞

 選 択肢 の 表 現 に 用 い る 副 詞 に は、a.実現 の 程 度 量 (確

信)表現用語、b.現実 の 程度量表現用語、  c.時間的程度量

(頻度)表現 用 語、d.心 理 的時間 (過 去 )表現用語、  e.心 理

的時間 (未来)表現用 語等があ る“9}

。こ の うち b現 実 の 程

度量表現用語 は、現実 に 起 こ っ て い る 程度 を 表現 して お

り、本研究 が 採用す る選択肢 の 表現 として適 切で ある。

  選 択肢 の 具体的表現

 程度量表現用語 の 意味の とらえ方 は 個 々 様 々 で あ り、

どの よ うな程度量表現用 語 を組み合 わせ て 尺 度を構成す

る か の 検討は、尺度の 信頼性 ・妥当性 を 確保する 上 で 重

要 で ある’¢

。リッ カー

ト法 の 場合、尺 度 の 目盛 りは 等 間

隔で あ り、目盛 りの 意味 を示す選択肢に用 い る用語 は、

回 答者が等間隔 に とらえ る よ うに 決定する必 要 があ る。

 程度量表現用語 に 関す る研 究1”

は、現実 の 程度量表現

用 語 が 、a.最高度、  b.中等度、  c.低度、  d,零度、  e.絶対零

度 の 5 種類に分類で き る こ とを明 らか に した r

 看護婦 ・士 は、対象理解 の 内容を何 らか の 形 で 看護実

践 に 活 用 す る。ま た 、対象 理 解 の 程度が 高い 程 、理解内

容を看護実践 に 活用 す る度合 も高 く な る.そ こ で、本研

究 に おけ る 選 択肢 の 表現 に は、まず、現実の 程度量表現

用語 の 最高度、中程度、零度を表す副詞を一

っ ず つ 採用

して 、3 段 階 の 理 解 の 程 度 を 示 す選択肢を設 けた .ま た 、

こ の他に、理 解の 程度が低 く看護実践への 活用 には至 ら

ない 段 階を示 す用 語 と して 「何とな く理解 して い た 1 、

f全 く理解 して い なか っ た 」 とい う選択肢を設 けた。こ

れ ら 2 っ の 選択肢を設けた 理 由 は、以 下 の 通 りで あ る 。

 評価理論にお い て 、理解は認知領域 の一

つ の 段 階 とし

て、知識 の 次 の 段階に位置す る52/

。しか し、  「知識 」 と

「理解」 とい う用 語 は 明確な区別なく用 い られ て い る こ

とが多く、実際 の 評価におい て は、回答者が 、知識段階

で あ る に もか か わ らず、理 解に 達して い る と と らえ る可

能性があ る 。 そ こ で 、厳密 に は 「理解」 に 至 っ て い ない

段 階 を 示 す 選 択肢 と して 、  厂何 とな く理 解 して い た 」 、

「全 く理解 して い なか っ た」 を設 けた一

32

  以 上 の 検討 に基づ き、本研究 に お い て は 、 次の 5 選択

肢 を設定する こ と と し た。

  看護婦 ・士 は 患者の 示す行動 につ い て

  5.理 解 し、そ の こ とを実践 に か な り活 か して い た

  4.理解 し、その こ とを実践 にわ り と活 か して い た

  3.理 解 し て い た が 、そ の こ とを実践 に ほ とん ど 活 か

   して い なか っ た

  2.何 とな く理 解して い た

  1.全 く理解 して い な か っ た

2 .専門家会議 に よ る 内容的妥 当性 の 検討

  内容的妥 当性 の 検討にお い て は、その 内容分野 の 専門

家 に、  「質問項 目が 、測定 し た い 分野 全体 を 正 しい バ ラ

ン ス で適切に代表する もの と な っ て い るか 」 につ い て 判

断を依頼す る方法を用 い る の が一

般 的で あ るf’〕。

  本研 究にお い て も こ の 方法 を用 い 、看護の 専門家に内

容的 妥 当 性 の 検討 を 依頼す る 「専門家会議 」 を開催 した。

患者行動 の 説明概念 は 、入院生活 を 送 る成人患者 の 行動

か ら発 見 され た 。そ こ で、専 門 家 会議 の メ ン バ ーは 、成

人 を 対象とす る外科系、内科系、精神科、産科病棟に勤

務す る、臨床経験豊富な看 護 婦 7 名 と、本研究 と 同様 の

方法 で 尺度開発 を行 っ た研究者 1名 とし た。 検討課題は、

「質問項目の 適切性 」 、  「質問項 目の 網羅 性」 、  「実 践

に おけ る活用 可 能性 」 で あ っ た 。 検討 の 結果に基 づ き、

尺 度の 修正 を以下の よ うに 行 っ た。

1 )専門家会議 の 結果に基づ く尺度 の 修正

(1)具体的指摘が あっ た質問項 目 の 修 正

  専門家会議 にお い て 質問項 目の 表現 の 適切性 に 関する

具 体的指摘が あ っ た 19 項 目に つ い て は、指摘内容 に 基

づ い て質問項 目 を検討、修正 した。

(2)選択肢 の 修 正

 専門家よ り、選択肢に用 い た副詞 の 中で 、 「か な り」

と 「わ り と」 の 表現 の 違い が明確 で ない とい う指摘 があ

っ た。 本研究は リ ッ カ

ート法 を採用 して い るた め 、各選

択肢は等間隔 で ある必要があ る。先述 の とお り、現実 の

程度量表現用語」4)

は、最高度、中程度、低度、零度、絶

対零度に 5 大別 で きる。こ の うち、上 述 の 選 択肢 5 か ら

3 は 、最高度 「か な り」・中程度 「わ りと1 ・零度 「ほ

とん ど」 の 副詞 を一

つ ずつ 用 い て お り、副詞間の 程度 の

差が等間隔で は なか っ た 。 そ こで 、選択肢 5 か ら 3 が等

間隔 とな る よ うに、中程度 の 「わ り と 」 の 代 わ りに、低

度 の 副詞 の 中 で は 高 い 方 に位置する 「少 し」 を採用す る

こ とと した、また 、選択肢中 の 「実践 」 とい う表現 は 、

実践内容 をよ り明確 に示す こ とを意図 し、 「看護実践」

に 改 め た。

 こ の よ うな修正 の 結果、選択肢は、次 の よ うに なっ た、

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 5.理 解し、そ の こ と を 看護 実 践 に か な り活 か し て い

   た

 4.理 解 し、そ の こ とを看護実践 に処 活 か し て い た

 3.理 解し て い たが、そ の こ と を看護実践に ほ とん ど

   活 か して い な か っ た

 2..何 となく理解 して い た

  1.全 く理 解 して い な か っ た

 以上 の 内容的妥当性 の 検討 とそ の 結果に基づ く修正 を

通 して 、 【1.問題 発生 と依存】、 【ll.問 題 へ の 対 処 と

調整 】、 【HI.ケ ア と自己対 処 に よ る 問題 の 自覚 ・好

転 ・解決】、 【IV.ケ ア と 自己 対 処 に よ る充 足感獲得 と

心 理 的解放】、 【V .問題 解決状況 に よるケ ア 提供者 と

の 関係性 の 発展 と変化 1 の 5 下位尺 度 (以 下、下 位 尺 度

は 【】で 示す)、45 項 目か ら成る 5 段階リ ッ カー

ト型

尺度で あ る 「看護 の 対象理 解 に 関 す る 自己 評価尺度(予

備調 査 版)」  (以下、  「予 備 調査版 」 ) を作成 した 。

3.調査方法

 本研究 は、尺度開発にお け る 予備調査 靴 こ位置す る研

究 で あ り、尺 度 開 発 の 第 1段 階 に おけ る調 査 と して 、デ

ータ収 集の 適切性 、信頼性・妥 当 性 を検討 し、最終的に

開発 を め ざす尺 度 に 用 い る質問項 目の 選 定をめ ざす。

1)調査 対象

 患者行動 の 説明概念 は 、入 院生活 を送 る成人患者 の 行

動か ら発見 された 。そ こ で 、調査対象は病院に勤務 し、

小児病棟 を 除 く全 て の 病棟 に 所属 し、看護を実践 して い

る看護婦 ・士 と した。

2 )測定用具

 測定用具 に は、  「予 備調査版 」 と 「看護婦・士 の 特性

調査 紙 」 を 用 い た。  「看護婦・士の 特性調査紙 」 は、対

象者が母集団を反映 し て い る か どうか を検討す る た め に

作成 し た 自作質問紙 で あ り、一般的属性 と看護婦 ・士 と

し て の 属性 に関する項 目か らなる。

  なお 、対象者擁護 を配慮し、質問紙 は 無記名 とした。

3 )デー

タ収集

(Dデータ収集期間

  1998 年 2 月 13 日か ら 2月 27 日ま で と した。

(2)データ収集の 手 続 き

  全国の 病院名簿か ら無作為抽 出 した 300病院の 看護部

長宛 に 、往復葉書 を用 い て 研 究協力 を依頼 した。そ の う

ち、研究協力 の 承諾 が得られた 74 病院の 看護部長宛に、

合計 970 部の 質問紙 と返 信 用 封筒 、調 査 の 依頼状 を送付

した。それ らの 配布は看護部長に 依頼 し、看護部長 よ り

質問紙一式 を 受 け 取 っ た各看護婦 ・士 に は、研 究協力依

頼状 を通 して、返 送用 の 封筒 を用 い て 回答を個々 に投函

す るよ う依頼した 。 した が っ て 、看護 婦 ・士 の 回 答 の 返

送 は 、個 々 人 の 自発的かつ 任意に よるもの で あ る。

(3)データ分析

 統計解析 プ ロ グラ ム SPSS(75.1J for Windows>を使用

した。

  「予 備調査版 」 及び 「看護婦・士 の 特性調査紙」 に っ

い て の 記述統計値を算出 した。

  尺度 の 信頼性・妥当性 の 検証

a,内的整合性 の 検証

 内的整合性 と は、全 て の 項 目が同 じ特性 を測 定 して い

るか ど うか の 検討で あ り、折半法、ク ロ ン バ ソ ク α 信頼

性係数 の 算出 とい っ た 方法 が ある’6)。折半法 は折半 の仕

方 に よ り相関係数 の 値 が 異 なる と い う欠点 を持っS7]

が、

ク ロ ン バ ッ ク α 信頼性係数は 、折半法 の 欠点 を補 う方法

で あ り、内的整 合性 の 検討 に最も広 く用 い られ て い る’S}。

本研 究 に お い て もこ の 方法を用 い た。

b、構成概念妥当性 の 検証

 構成概念妥 当性 は、そ の 測 定用具があ る理論 か ら導 き

出 され た構成概念をどの 程度測定 して い る か を 問 うもの

で あるS’]

。本研究 に お け る構成概念妥 当性 の 検証 とは、

「予備調査版」 の 構成概念が 、 それを導 き出 し た 患者行

動 の 説 明概 念 を反映 し て い る か ど うか の 検討で あ る 。

「予備調 査 版 」 は、最 終 的 に、患者行動 の 説 明 概念 に 対

応する 5下位尺 度 に 基 づ い て、看護婦・士 が 、患者行動

の 説明概念 に対応 させ て 自 己 の 対 象 理解の 現状 を 認 識 で

きるもの と なる こ と を め ざ して お り、この 構成概念妥当

性 の 検 証 は 極 め て 重要 で あ る。

 構成概念妥 当性 の 検証方法に は 、既知 グルー

プ技法、

多特性 ・多 方 法 の 行 列 等 が あ る が‘°1、構成概念 の 内容 に

い くっ か の 側面が想定 され て い る尺度 の 構成概念妥 当性

の 検 証 に は 、因子分析 を 用 い る こ とが有効で あ る61:

 「予備調査版 」 は、患者行動 の説明概念の 5側 面 に 基 づ

い て お り、本 研 究 に お い て は、因 子 分析 を用 い た。

V .研 究結果

 配布 した 970 の 質問紙 の うち、672 名(回収 率 693 % )

よ り回答 を得、  「予 備 調 査版 」 の 全項 目 に 回 答があ っ た

もの は 510 名 (75.9 % )で あ っ た 。 本研 究 に お い て は 、

こ の 510 名の 回 答 を分析デー

タ と した,

1.対象者 の背景(表 1 )

 対象 者 の 性 別 は 、女性 475 名 (93.1% )、男 性 35 名

(6.9% )で あ っ た。年齢は 21 歳 か ら 66 歳 の 範囲 で あ り、

平均 35.4 歳 (SD =9.3)、臨 床 経 験 年数は 、1 年 未満 か ら

42 年 の 範囲 で あ り、平均 IL8年(SD=7.8)で あ っ た 。

 対象 者の 職位 は、ス タ ッ フ 354 名(69.4°/。)、主任また

は 副婦長 98 名 (19.2% )、婦長 41 名 (8.0% )、臨床実習指

看護教 育学研究 VoL9   Ne .12000 33

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表 1 対象者の 背景 n =510性別 男性         35名 (6.9% )

女性               4乃 名 (93.1% )

齢 21歳〜66 歳   平均35 .4歳 (SD =9.3)臨床 経験 年 数 1 年 未満〜42年 平 均 11.8年 (SD =7.8)職 位 婦長          41名 (8.0% )

主任 / 副婦長      98名 (19.2% )

ス タ ッ フ        354名 (69.4% )

臨床 実 習指 導 者      12名 (2,4 % )

そ の 他・不          5名 (1.0 % )

卒 業 した

看 護基 礎教 育 課程

    (複数回答)

2 年 課 程 専門 学校    172名 (33,7% )

3 年 課 程 専門 学 校   303名 (59.4% )

2 年課程短期大 学   16名 (3.1% )

3 年踝程短期大 学   23名 (4,5% )

大学                1名 (0.2% )

そ の 他・不明        科 名 (2.296 )

導者 12名 (2.4°1e)で あっ た。

 卒業 した 看護基礎教育課程 は、3 年課程専門学校 303

名 (59.4°/・)、2 年課程専門学校 172 名 (33.7% )、3 年課程

短 期 大 学 23 名 (4.5% 〉、2 年 課 程短期大学 16 名 (3.1% )、

大学 1名 (0.2%)で あ っ た (複数回 答)。

2 .「予備調 査 版 」 の 得点状況

1 )各質問項 目の 得点

 各 質 問 項 目は 、1 点 か ら 5 点 ま で の 得点 が 可 能 で あ る

が、対象者 の 回 答 は 、こ の 1 点か ら 5 点 の 範囲にあ り、

1質問 項 目あ た りの 平 均 は 4.2 点 (SD =0.3)で あ っ た。

 各質問項 目の 得点 に 関 し 、コ ル モ ゴ ロ フ ・ス ミル ノ フ

の 検定 を行 っ た 結果 は、統計量 d が 0.233 か ら 0.439 の

範囲 に あ り、各質問項 目の 得点分布 が 正規分布 で あ る こ

と を 示 した (p=0.000、df』510>。

2 )総得点

 総得点 は 、45 点 か ら 225 点ま で の 得点が 可 能 で あ る。

対象者 の 回 答 は 、92 点 か ら 225 点 の 範囲 にあ り、平均

は 187.3 点 (SD ≡22.5)で あ っ た。

 総得点に関 し、コ ル モ ゴ ロ フ ・ス ミル ノ フ の 検定を行

っ た結果 は 、統計量 d が 0.470 で あ り、総得点分布が 正

規分布 で あ る こ とを示 した (p=O.009、df」510)。

3 )下 位尺度別得点

  【1.問題発 生 と依存】は 、12 項 目か ら成 り、12 点 か

ら 60 点 ま で の 得点が 可 能 で あ る。対象者 は 、16 点か ら

60 点 ま で の 範 囲で 得 点 を獲 得 し 、平 均 は 49.4 点

(SD =6.7)で あ っ た。また、1 項 目あ た りの 平均 は 4.1 点

(SD≡0.3)で あ っ た 。

  【ll.問題 へ の 対 処 と調整】は 、10 項 目か ら成 り、10

点から 50 点 ま で の 得点 が 可能 で あ る。対象者は、19 点

か ら 50 点 ま で の 範囲 で 得 点 を獲得 し、平 均 は 40.0 点

(SD =6.3)で あ っ た。ま た 、1 項 目あ た りの 平均は 4.0 点

(SD =0.2)で あ っ た。

  【皿 .ケ ア と 自 己 対処 に よ る 問題 の 自覚 ・好転 ・解

決】は 、10項 目か ら成 り、10点 か ら 50点ま で の 得点が

可能 で ある。対象者 は、24 点 か ら 50 点 ま で の 範囲 で 得

34

点 を獲得 し、平均 は 42.1 点 (SD=5.3)で あ っ た。ま た 、

1 項 目あ た りの 平均得点 は 4.2 点 (SD = O.3)で あ っ た。

  【IV.ケ ア と自己対処 に よ る充 足感 獲得 と心 理 的解

放】は、6 項 目か ら成 り、6 点 か ら 30 点 ま で の 得点 が

可 能 で あ る 。 対象者 は 、16点 か ら 30 点 ま で の 範囲で 得

点 を獲得 し、平均 は 26.3 点 (SD = 3.0)で あ っ た。ま た 、

1 項 目あた りの 平均 は 44 点(SD=0.3)で あ っ た。

  【V .問題解決状況に よ るケア 提供者 との 関係性 の 発

展 と変化】は、7項 目か ら成 り、7 点か ら 35 点まで の

得 点 が 可 能 で あ る。対 象者 は 、14 点 か ら 35 点 ま で の 範

囲で 得点 を獲得 し、平均 は 29.6 点 (SD=4,1)で あ っ た。

また 、 1 項 目 あた りの 平均 は 42 点 (SD = 0.2)で あ っ た。

4 )内的整合性

  「予 備調査 版 」 の 内 的整 合性 を 示 す ク ロ ン バ ッ ク α 信

頼性係数の 値は 、0.964 で あ っ た。ま た、各質問項 目を

除 した 場合 の ク ロ ン バ ッ ク α 信頼性 係数 の 値は 、0.962

か ら 0.963 ま で の 範囲 で あっ た。

5 )構 成概念妥 当性 (表 2 )

  「予 備調査版 」 の 構成概念妥当性 を検討する た め 、主

因子 法 に よ るバ リマ ッ ク ス 回転 を用い た 因子 分析を行 っ

た 。 そ の 結果 、5 因 子 を抽 出 し各 因 子 の 固有値 は 全 て 1

以 上 、累積 寄与率 は 53.9% で あ っ た。一般 に、変数の 属

す る 因子を決定する際は、因子負荷量 の 絶対値 0.4 ない

し 0.3 を 基準 に行 う6b’。そ こ で 、本研 究 に お い て 各因子

を構成す る質問項 目の 検討 は 、そ の 因子 に 対する 因子負

荷量 の 絶対値が 0.4 以 上 で あ り、か つ 、その 因子 に 対 し

最 も高 い 因子 負荷量を示 して い る こ と を 基準 に 行 っ た。

 第 1 因子 は、 【1 .問題発 生 と依存】、 【H .問 題 へ の

対 処 と調整 1 の 2 下位尺度に属す る 14 項 目を包含 して

い た.

 第 2 因 子 は 、 [N .ケ ア と自己 対処 に よ る 充 足感獲得

と心 理 的解 放】、 【V 澗 題解決状況 に よ る ケ ア 提 供者

との 関係性 の 発展 と変化】の 2 下位尺度 に属する 10 項

目を包含 して い た。

 第 3 因 子 は 、 【H 欄 題 へ の 対 処 と調整】、 【m ,ケ ア

と自己 対処 に よ る問題 の 自覚 ・好転 ・解決1 の 2 下位 尺

度 に 属す る 8項 目 を包含 して い た 。

 第 4 因子 は 、 【1.問題発生 と依存】、 【皿 .ケ ア と 自

己対処に よ る問題 の 自覚 ・好転

・解決 1 の 2下位 尺 度 に

属す る 6 項 目を 包 含 して い た。

 第 5 因子 は 、 【ll.問題への 対処 と調整 】、 【皿 .ケア

と 自己 対 処 に よ る 問 題 の 自覚 ・好転 ・

解 決】、 【IV.ケ

ア と自己 対処 に よ る充足 感獲得と心 理 的解放】、 【V .

問題解決状況 に よ る ケ ア 提 供 者と の 関係性 の 発展 と変

化 】の 4 下位尺度に属す る 7 項 目を包含 して い た。

看護教育学研究 Vol .9  No 」  2〔}00

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表 2 「看護の 対象理解に 関する自己評価尺度 (予備調査版)」 の 因 子 分 析結果                                                                     (主 因子 法、バ リマ ッ ク ス 回転 )

質  問  項  目

 【1.問題発生 と依 存 】

1 衰 弱 の激 しい 患者 に は、清潔 に関 する問題が生 じやす い

回 全身 ・知覚・呼 吸機 能 な どが低 下 し て くる と、患者 は他 者 と円滑 な コ ミ ュ ニ ケ

ーシ ョ ン を とれな く

  な る

3 運動機能が低 下 し て い る患者は、看護婦 ・士の援 助 に協 力 しよ うと して も うま くで きない

4 日常 生活 の 世話を看護婦 ・士 に 頼 り きっ て い る患 者 は、不本 意 な援助で あっ て も受け入 れ て い る場

  合が ある

髀薯羸 藩 靉讎 杏襟 雛舞覚呈b塁罐 鴿讎 驪 離 抱 、、。 。 、

7 病棟 の 環境 は普通 とは違 うた め、患者 は つ い 規則に 反 して しま ラ こ とが ある

圄 患者 は病棟 規 則 を守 るため に、継続 して きた健康維持増進の た めの 生 活習 慣 を と りや めた り、変え

  た りす る場合 がある  衰弱 の激 しい患者は、プライ バシ

ーを侵害され て も訴 え られ ず、それ を受 け入れ て い るこ とが ある

国  患者 は 、看護婦・士 の 説明不 足 で 状 況 を理解 で きな い 時、援 助 へ の抵抗感を生 じや すい

  看護計 画 が適切で あっ て も、看護婦・士 の 手 際が 悪 い と、患 者に は疲労 な どの 悪影 響が生 じる

12患者 が 自分 に 良か れ と 思 っ た行 動が、新 しい 問題 を 引 き起 こ すこ とがある

 【皿澗 題へ の 対 処 と調整 】

圉  患者 は苦 痛 を自分 な りに緩 和 し よ うと する

  チ ュー

ブ類 を挿入 され て い る患者 は、体位や 動作な ど を工 夫 し不 安感 や不 快感 を軽 減 しよ うとする

  患者 は、病棟 の環 境 に慣れよ うと、自分な りに 工 夫 しなが ら生活 して い る

  患者 は 、他者 との コ ミュ ニ ケーシ ョ ン が 円滑 に行 え ない 場 合 で も、何 とか 意思 の 疎通 を図 ろ うとす

  る17 患者は 、援助に 苦痛を感 じる と、何 らか の 形 で 看護婦 ・

士 に 抵抗感を示 す18 患者は、看護婦 ・士 の 技衛 や方 法 を観察 し評価 して い る

国 患者は、自分一

人で は生活 で きな い 程衰 弱 して い て も、援助が 円 滑 に 進 むよ う看 護婦 ・士 に協 力 し

  ょ うとす る

團 患者 は援 助が必要 な時.それが 不十 分 で あっ て も容認 す る

21看護婦 ・士 に 不安を表出する患者は援助 を求 め て い る

22 患者は 看護婦 ・士が 問題 を解 決 して くれ る こ とが わか る と、自己 流の 対処 方 法に こ だわ らな くな る

  場 合が ある

 【皿 .ケア と自己 対 処に よ る問題 の 自覚 ・好転 ・解決 】

23 患 者 は 、看護婦 ・± が 自分 の 状態 を受 け入 れて い ると思 う と、心理的 に安定 し 自 ら の 問題を 自覚 す

  る場合 が ある

24 患者は、看護婦 ・士 か ら生 活の 援 助を受 ける こ とに よ り.改めて 自分の 病状 の 程度 を自覚す る こ と

  が あ る

閏 看 護婦・士 が、適切 な 時期に 適切 な 方 法で 清潔 の 援 助 を行 うこ とに よ り、患 者 の皮 膚の状 態 は 良 好

  に保 た れ る

顯靉難覊ll韆鑼蕪飜i纂32 患者は 、外見上の 変化 に 対 し自分 な りに 工 夫 す る こ とに よ り、他者 と 交流す る際の 心 理 的 ス ト レス

  を和 らげて い る

 【1V.ケ ア と 自己 対処 に よ る充足 感 獲得 と心理 的 解放 】

國  清潔 の援助な どを反 復す るこ とに よ り、患者 は次第 に 看護婦 ・士に 心 を開 くよ うにな る

韓朧1鸛 毛

灣鵡 瓢 誓金纛1認騒詰鴇雲開 き様 。 な気持 ち を置舌、。 く

  れ る きっ か けに な る

圜 看 護婦・士 が援 助 を円滑 に 行 うこ と は、援助を受 ける こ とに対す る患者の 緊 張や 不安を緩和するこ

  とに つ なが る

岡患 者は 、自力 で 排泄 や清潔 の 欲 求 を満 たす こ とがで きた 時.満足 感や 充寒感を感 じる

38 患者は衰弱 し て い て も、何 とか周 囲の状 況 を把 握 し よ う と して お り 、そ っ す る こ とで 気持 ち を安 定

  させ て い る場合 が ある

 【V .同題 解決 扶 況に よ るケ ア 提供者 との 関係性の 発展 と変化 ]

鵬鸚窪羅 躔 鶴 摺 …讐重彎 彎鍮鰹 鱇 、瀦 ・ ・助・・ ムー

  に受け入れ るよ うに なる

団 看護婦 ・士が 患者 の 状 態に応 じた コ ミ ュ ニ ケー

シ ョ ン を試み る こ とに よ り、患 者は 自分 の 意 思 を表

  出 で きるよ う に な る

軆  看護婦 ・士 が繰 り返 し 適切な 援助 を 行 うこ とで、患者には その 看護婦 ・士 に対する 信頼 感が生 じる

  援助が 円 滑に 終 了 しほっ と一

息つ い た患者は、他者 へ 配 慮で きるよ うにな る

44 援助 を望 ん でも、看護 婦・士 が 十分 対応で きない と、患者は要 望 を表 出す る こ と自体 をあ き らめて

  しま う場 合 があ る

4S 看護婦・士が 患者 の問 題に 十 分対 応で きない と、患者 は看 護婦

・士 に関 わろ う としな くなる

因 子負荷量の 2 乗和因 子 の寄与 率 (% )累積寄与率 (% )

因子 1  因子 2   因 子 3  因 子 4  因 子 5

0.353  −0.089  −0.178 巫   0.055  −0.185  −0.IQ9  −0.256 

−0.016

  −0.184  

−0.260. −0、338   0.007

 −0.155 

−O.100  −O.229 −0.276

  −0.265  −0.191  −0、111  −0、129  −0.323  −0.166  −0.223  −0.080  −0.119  −0.262  −0.036  −0.296  −0.141   −0.3D2  −0.014  −0.308

  −0.163  −0.199  −0.218  −0.227  −0,135  

−0.OB9  −0.213  

−0.175  −0.209  

−0.248  −0.291  

−O.D92 −0.185  

−0.278    0.049  −0.336

0.351  −0.1980.268  −0.3010.371  −0.2390.406  

−0.243

驪      一〇.182      −0.1960,260   −0.119

0.289  −0.Ol5匝:璽]

−0.1470.294  

−0.165

172861研

52

0000幽 一 一 一

一D.353−0.416一〇  44

−0500一〇.212−0.435

一〇.149  −0.126−0.211  −0.059−D.129  −0.止32−0.ll9  −0.019

−0、174  −0.111−0、030  −0.127−0.222   −0.226

−0,263  −0.445

−0.357   −0.336

−o.073E 璽

0.315 −0.237

0.325   −0.229

0.145  −Q、339

0.210   −0.298

0.229   −0.208

0.玉32  −0.2710.219  −0.4000.039  

−0.2960、100  −0.0600、184  

−O.144

一〇.128  

−0、217  −0  96

−0.196   −0.187   −0  00

−0、168  −0  57 −0、068

−0.ll5  −0  56   

−0、259−O.131   −0 553  −0、204−0、213 −0 03  −0.125−0,064  −0.420 甌一〇、222 甌   

一〇.326

℃   27  −0.256  −0.227

℃   19 −0.248 

−0.4e4

0.1750.1760、2040

.2620

.1130.224

  −0.132  

−0.300  −0、玉82  −0.101  −0.468    0.170  −0.163  −0.308  −0.134

  −0.236  

−0、313  −0.149

  −0.277  

−0、292  −0.006

−0.329  −0.384   0.003  匝

D.144 0、271 

0.279

一〇.183  −O,246 

−0.201−0.121  

−0.067   −0.240

一〇.lll  

−0.092  −0.259

0.273   −0.04T −0.255

0.076     −0.331  −0.OO8G.155   −0.394  −0、364  −0.187

0.292  −O.393  −0.262  −0.138

一〇、213−0.469一〇  27

−0  73

6.42e   5.648   4.681   3.941   3.60514.3    12.5     10.4     8、7     8.Ol4.3   26.8   37.2   45.9   53.9

注 ; 匚::コ内は、因 子 負 荷量 の 絶 対 値が O.4 以 上 で あ り、か つ 各項 目に お け る最 も高 い 因 子 負荷量 を示 す。

  * 因子 分 析の 結果に 基 づ き、最終的に 選定 され た項 目に つ い て は、質問項 目の 番号 を反 転 して 示 した。

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VI.考察

1 .データの 適切性

 本研 究の 結果 は 、  「予備調査版」 が、質問項 目各 々 の

得点分布、総得点分布 ともに 正 規分布 で あ る こ とを示 し

た.これ は 、本研究の デー

タが、  「予備調査版 」 の 信頼

性 ・妥当性 を検討す る た め に、偏 りの ない 適切 なデータ

で あるこ とを表す。

2.内 的整合性

 一

般に、測定用 具が内的整合姓 を確保 して い る か ど う

か の 判定 は、ク ロ ン バ ッ ク α 信頼性係数 0.7 を基準 に行

う6コ/“ /‘5

場 合が多 い 。  「予備調査版 」 の ク ロ ン バ ッ ク α

信頼性係数 の 値 は 0.964 で あ り、  「予 備調査 版 」 が 内 的

整合性 を確保 して い る こ とを示す 。

  また、  「予 備調査版 」 の 全質問項 目 よ り、各質問項 目

を除 した場 合の ク ロ ン バ ッ ク α 信頼性係数は、0.962 か

ら 0.963 ま で の 範囲で あ っ た, こ れ は、個 々 の 質問 項 目

に は、尺 度全体の 内的整合性 を脅かす 不 適切 な質問項 目

が存在 しな い こ とを示す。

 以 上 は、  「予備調 査 版 」 は、内 的整合性 を 確保 して お

り、質 問 項 目は 全 て、尺 度 の 内的整合性 の 確保 とい う観

点 か ら、適切 で ある こ とを表す。

3 .構成概念妥当性

  「予 備 調 査版」 は 、5 つ の 患者行動説明概念 に 基づ き、

質問項 目を作成 し た。ま た 、こ の 尺 度は、質問項 目が 各

概念 に 対応す る下位 尺 度を構成する こ と を意図 した。因

子 分析 の 結果 は 、こ の 尺 度 には 5 因子が存在 し、第 1 因

子 か ら第 4 因子 ま で は、各 々 、2 下位尺度の 項 目を複合

した 因子 で あ り、第 5 因子 は 、4 下位尺 度 の 項 目 を複合

した 因 子 で あ る こ とを示 した。

こ れ は 、 同一

下 位尺 度 に

属す る質問項 目同 士 が あ る程度同一

因子 に 収束 して い る

が 、各因子 と下位尺度の 間 には対応 が な か っ た こ と を意

味する.したがっ て、  「予 備 調 査版 」 は、下 位 尺 度が患

者行動を説明す る 5 概念 を反 映 した もの とな っ て お らず、

構成概念妥 当性を確保 して い ない 。

4 .質 問項 目の 選定

 先述した よ うに 、  「予備調査版」 は、最終的に は、質

問項 目数 が 全 体で 25 か ら 30 程度、ま た 、下位 尺 度毎 の

質問項 目数が 同数で あ る 尺度 の 完成をめ ざす。

 ま た 、研 究 の 結果、  「予備調 査版」 は 個 々 の 質問項 目

及 び 尺 度全体 に お い て 内的整合性を確保 して お り、全 て

の質問項 目が内的整合性 の 確保 とい う観点か ら適切 で あ

っ た。こ れ は 、  「予 備調査版 」 に用い た 45 質問項 目の

中か ら、25 か ら 30 の 質問項 目を選定 し た 場合にも内的

整合性 を確保 で きる こ とを意味す る.

 一

方 、45 質問項 目 を 用 い て 因 子 分析 を行 っ た結果 は 、

同一

下位尺度に属する質問項 目同 士 があ る程度 は 同一

子 に 収束する こ と を示 した。こ れ は、同一

下位 尺 度 に 属

し、同一

因子 に 収束した もの を 中心 に質問項 目を選 定す

る こ とに よ り、構成概念妥 当性 を確保 した 尺 度 を構 成 で

きるこ とを示唆す る。

  そ こ で 本項 に お い て は 、因子 分析 の 結果 に 基づ き、個

々 の 下位尺度が 5、6 項 目か ら成 り、全体 として 25 か ら

30 の 質問 項 目 を含み 、信頼 性 と妥 当性 を 確保 した 尺度

開 発 に つ なが る適切な質問項 目 を 選定する。

1 )問題発生 と依存

  【1、問題発 生 と依存】を構成 した項 目は、項 目 1 か

ら 12 の 12項 目で あ り、項 目 1 は 第 4 因子 に 、 他 の 項 目

2 か ら 12 は 全 て 第 1因子 に最 も高い 因子負荷量 を示 し

た 。こ れ は 、 【L 問題発生 と依存 】の 項 目は 、第 1 因

子に収束す る こ とが妥 当で あ り、第 1因 子 に収束 しなか

っ た 項 目 1 に 何 ら か の 問 題 が 存在す る可能性を示唆す る。

 項 目 1は 「衰弱 の 激 しい 患者 に は、清潔に 関する 問題

が 生 じやす い 」 で あ り、こ の 質問表 現 の 抽象度は 他 の 項

目に 比 べ て 高い .項 目 1 が 本来収束すべ き因子に収束 し

なか っ た原 因 に は、こ の 抽象度 の 高 さ が 考 え られ る。し

た が っ て、項 目 1 を こ の 下位尺度 の 項 目と して 選定す る

こ と は適切 で は ない 。

 また、 【1 .問題発生 と依存】を構成する 項 目を 5、6

項 目 に絞 り込む に は 、残る 11 項 目の 中か ら、よ り適切

な項 目を選定す る必要 が ある。そ こ で 、因子負荷量がそ

の 因子に与える各項 目の 重 み を示すGS/

こ とを考慮 し、こ

の ll 項 目の うち、第 1 因子に対す る因子負荷量が高 い

もの か ら 6 項 目 を採用 する こ と と した。

 以 上 よ り、  【1 .問題 発 生 と依存】を構成する 項 目 と

して、項 目 2、5、8、9、10、11 の 6 項 目を選定 した。

2)問題 へ の 対処 と調整

  【ll.問題 へ の 対処 と調整】を構成 した 項 目は 、項 目

13 か ら 22 の 10 項 目 で あ り、項 目 13か ら 16、及 び 、項

目 19、20 の 6 項 目は 第 3 因子に、項 目 17、18、21 の 3

項 目は第 1 因子 に、項 目 22 は第 5 因子 に、最 も高い 因

子負荷量を示 した. こ の 結果 は、  【H .問題 へ の 対処 と

調整】の 項 目は、第 3 因子に収束す る こ とが妥当で あ り、

第 3 因 子 に 収束 し なか っ た項 目に何 らか の 問題が存在す

る 可 能性を示 唆する 。

 項 目 17、18、21 が最 も高 い 因 子 負荷量 を 示 した 第 1

因子 は 、 【1 .問題発 生 と依存 1 の 項 目の 大部分が収束

し た 因 子 で あ っ た 。項 目 17 「患者 は、援助 に 苦痛 を 感

じ る と、何 らか の 形 で 看護婦・士 に抵抗感を示す 」 は 、

【1 .問題 発 生 と依存】 に 属す る項 目 10 「患者 は 、看護

婦 ・士の 説明 不 足 で状況 を 理解で きない 時、援助への 抵

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抗感を 生 じやす い 」 と 同 じ 「抵抗感 」 とい う用 語 を 用 い

て い る。前者は 「看護婦・士 に対する抵抗感」 、後者 は

「援助に対す る抵 抗感」 を 意味 して い る が、同 様 の 意味

に解釈された可 能性が高い。

 項 目 18 「患者 は 、 看護婦 ・士 の 技術や 方 法 を観 察 し

評価 して い る 」 は 、患者の 問題状況を示 さず、問題 に 対

処する患者 の 状況 の み を 示 す表 現 と な っ て い る た め、質

問項 目を構成する 内容に問題があ り、因 子 負荷量 に影響

し た可能性 が あ る。

 項 目 21 「看護婦 ・士 に不安 を表 出す る患者は援助を

求め て い る」 は 、第 3 因子 に 収束 した個々 の 項 目 が、患

者が自分 自身 で 直接問題 に 対処 し よ う と して い る状況を

示 して い るの に対 し、問題解決を看護婦 ・士 に委 ね 、す

なわち、看護婦 ・士 の 看護活動を受け入れ、間接的に 対

処 し よ う と して い る状況を示 す。こ れ が 原因 とな り、項

目 21 は、 【1、問題 発 生 と依存】の 項 目 と同様に第 1 因

子 に 収束した 可 能性 があ る 。

 また、第 5 因子 に高 い 因子負荷 量を 示 し た 項 目 22

「患者 は 看護 婦 ・士 が 問 題 を解決 して くれ る こ とがわ か

る と、自己 流 の 対処方法 に こ だ わ らな くな る場 合が あ

る 」 は、第 3 因子 に 収 束 した 他 の 項 目 が、患者 自身が問

題に対 処 し よ う と し て い る状況を示す の に 対 し、患者が

そ れ ま で 行 っ て い た 対処方法 を中止 する こ とに よ り調 整

して い る状況を示す。こ れが原 因 とな り、項 目 22 は 本

来収束すべ き因 子 に 収 束 しなか っ た可 能性 が あ る。

 以 上 よ り、項 目 17、18、21、22 を 【n .問題 へ の 対 処

と調整】を構成する 項 目 とし て 選定す るこ とは適 切 で は

ない と判断 し、第 3 因子 に 収束 した項 目 13、14、15、

16、19、20 の 6 項 目 を選定する こ と と した。

3 )ケア と自己 対処 に よ る 問題 の 自覚 ・好転 ・解決

  【HI.ケ ア と 自己 対処 に よ る 問題 の 自覚 ・好転・解

決】を構成した項 目 は 、 項 目 23 か ら 32 の 10 項 目で あ

り、項 目 25 か ら 28 及 び 項 目 30 の 5 項目 は第 4 因 子 に、

項 目 23、24、29 の 3 項 目は第 5 因子 に、項 目 31、32 の

2 項 目は 第 3 因子 に、最も高い 因子 負荷量 を示 した。

  項 目 23、24 は と もに 【皿 .ケ ア と自己対処 による問題

の 自覚・好転

・解決】の 下位 概念 で あ る カ テ ゴ リ《 ケ ア

受け入れ に よ る 問題 の 自覚 》 、項 目 25 か ら 30 は カ テ ゴ

リ 《 ケ ア 受 け入 れ に よ る問題 の 好 転と解決 》 、項 目 31、

32 は カテ ゴ リ《 自己対処成功に よ る問題 の好転 》 に 基

づ い て作成 した 質問項 目で あ る。項 目 29 は 第 4 因 子 に

も高 い 因子負荷量 を示 した こ と か ら、こ の よ うな因子 分

析結果 の 原因 は 、質問 項 目の 中に 【HI.ケ ア と自 己 対処

に よ る問題 の 自覚 ・好転 ・解決】を構成す る項 目として

不適切な内容 の もの が存在 した た め で はな く、同℃ カ テ

ゴ リ に 基 づ い て 作成 し た 質問項 目間 の 内容 の 共通性 に あ

る可能性がある。すなわち、一っ一

っ の カ テ ゴ リは患者

行動 の 異な る性質を 示 し て い る た め 、カ テ ゴ リ間 の 性質

の 相違が因子分析の 結果に反映 した 可 能性があ る 。

一方、

看護 の 対 象理 解 に 関す る 自己 評価尺 度 の 開発 に お い て は 、

そ の 活用 に よ り、看護婦 ・士 が、患者行動を説明する 5

っ の 概念各 々 に対応 させ て 自己 の 対象理 解の 問題 を認識

し、対象を適切に理解で き る よ うに な る こ と をめ ざす。

そ の た め、同一

下位 尺 度 に 属す る質問 項 目 は、同 じ因 子

に 収束する必 要があ る 。 そ こ で 、  【皿 .ケ ア と自己 対処

に よ る 問題 の 自覚 ・好転 ・解決】の 項 目が 分離 し た 3 因

子 の 中で 、どの 因子に収束 し た 質問項 目を採用す る こ と

が 最 も適切 で あ る か に つ い て検討 す る。

  カ テ ゴ リに 着 目す る と、《 ケア 受 け入れ に よ る 問題 の

好転 と解決 》 は 、  「清潔援助を受 け る こ とで 皮膚 の 状態

が維持 される と同時に 、コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ン 能力 に適 し

た 刺 激 を 受 け、思考機能が活性化 され る」6’]

とい っ た患

者 の 行動 を表す。こ れ は 、看護婦 ・士 にとっ て極 めて 日

常的 な 現象を 説明する概念で あ る。また、《 ケ ア受け 入

れ に よ る 問題 の 自覚 》 は 、  「看護婦 ・士 か らの 過去 の 生

活習慣 に 対す る賞賛を受け、謙遜する こ と で 自ら が 持 っ

生活意欲 の 低下 とい っ た 問題 に 気 づ く」6s)

とい っ た患者

の 行 動を表 し、《 自己 対処成功による問題 の 好転 》 は、

「経鼻 カ テーテ ル を調整 し酸素吸入量 を維持す る」

6’泌

い っ た患者の 行動 を 表す。こ れ らは、患者 の 重 要 な側 面

を表 し て は い る が 、看護婦 ・士 が 現象 と し て 実際 に 経験

す る頻度を考え た 場合、《 ケ ア受け 入 れ に よ る問題 の 好

転 と解決 》 に 比 べ 日常性 に 乏 しい 概念で あ る 。 した が っ

て 、 【皿 .ケ ア と自己 対処に よる問題 の 自覚 ・好転 ・解

決 1 を構成す る質問項 目に は、カ テ ゴ リ 《 ケ ア 受け入 れ

に よ る問題 の 好転と解決 》 に 基 づ い て作成 した 項 目 25、

26、27、28、29、30 の 6 項 目 を選定す る こ とと した 。

4 )ケア と自己 対処による充足感獲得 と心理的解放

  【IV.ケ ア と自 己 対処 に よ る充 足感 獲得 と 心 理 的解

放 】を構成 した 項 目は、項 目 33 か ら 38 の 6 項 目で あ り、

項 目 33 か ら 37 は第 2 因子 に 、項目 38 は第 5 因子 に最

も高い 因子負荷量 を 示 した。 こ れ は 、 【IV.ケ ア と 自己

対 処 に よ る充足感獲得と心 理 的解放】の 項 目は第 2 因子

に 収束す る こ とが妥 当で あ り、第 2 因子に収束 しなか っ

た項 目 38 に何 らか の 問題が存在す る可能性 を示唆す る。

 第 2 因子 に 収束 した 【IV.ケア と自己 対処 に よ る 充足

感 獲得 と心理的解放】の 項 目は全 て 、  「心 を開 くよ うに

なる」 (項 目 33)、  「爽快感をもた らすj (項 目 34)、

「気持 ちを開 き様 々 な 気持ち を 話 し て くれ る きっ か け に

な る 」 (項 目 35)、  「緊張や 不 安を緩 和す る こ と に っ な

看護教育学 石廾究 VoLg  No .1  2000 37

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が る 」 (項 目 36)、  「満 足 感 や充実感 を感 じる」 (項 目

37)と、患者 に 起 こる 結果 を断定的 に述 べ て い る。こ れ

に対 し、項 目 38 は、  「気持ちを安定させ て い る 場合が

あ る 」 と して 、患者 が 気 持 ち を筴定 させ て い ない 場合が

存在する 可 能性 を含む 表現 とな っ て い る。また 、項 目

38 が収 束 した 第 5 因 子 を構成 し た 7 項 目の うち、項 目

45 を除 く 6 項 目は全 て 、患者に起 こ る結果 が 断定的で

なく、他 の 可能性 を含 ん だ 表 現 と な っ て い る。こ れ らが

原因 とな り項 目 38 は第 2 因子 で は な く第 5 因子 に 収束

した と考 え られ る。

 以上 よ り、 【IV.ケ ア と自 己 対処に よる充足感 獲i得 と

心 理 的解放】を構成する質問項 目 と し て 、第 2 因子 に 収

束 した 項 目 33、34、35、36、37 の 5 項 目を選定する こ

と と した。

5 )問題 解決状況 に よ る ケ ア 提供者 との 関係性 の 発展 と

変化

  【V .問題解決状況 に よ る ケ ア 提供者と の 関係 性 の 発

展 と変化 】を構 成 した 項 目 は、項 目 39 か ら 45 の 7 項 目

で あ り、項 目 39 か ら 43 は 第 2 因子に、項 目 44、45 は

第 5 因子 に 、最 も高 い 因 子負荷 量 を 示 した。これ は 、

【V 澗 題解決 状況 に よ る ケ ア 提供者 との 関係性 の 発 展

と変化】の 項 目は 、第 2 因子 に 収束す る こ とが 妥当で あ

り、第 2 因子 に 収束し なか っ た 項 目 44、45 に 何 らか の

問 題が存在す る 可 能性を示唆す る。

  項 目 44、45 は、第 2 因子に高い 因子負荷量を示 した

他 の 質問項 目 が、援助に伴 っ て患者一看護婦 ・士 関係 が

促進 し、円 滑 に な る こ とを表現 して い るの に対 し、援助

に 伴 っ て 患者 との 関係 が 停 止 す る 状況 を示 し て い る。 こ

れ が、こ れ ら 2 項 目が 第 2 因子 に 収束 しな か っ た原 因 で

あ る と考 えられ る。

  上述 し た検討 に 基 づ き、 【V .問題解決状況 によるケ

ア 提供者 との 関係性 の 発展 と変化】を構成する 項 目 と し

て 、第 2 因子 に 収束した項目 39、40、41、42、43 の 5

項目 を選 定する こ とと した。

 以上 の考察 に 基づ き、尺 度開発 における本調査に向け

た 28 質問項 目か ら成 る看護 の 対象理 解に関する自己評

価尺 度を作成 した。

VII.結論

1 .「予備調 査 版 」 は 、内 的 整合 性 に よ る 信頼性 を確保

して お り、個々 の 質問項 目 に は 、尺度全体の 内的整合性

を脅かす不適切 な質問 項 目が存在 しない 。

2,因 子分析 の 結果 は 、  「予 備調査版 」 には 5 因子が存

在する こ と を示 したが、こ の 5 因 子 は、患者行 動 の 説明

概念に基 づ き構成 した 5 下位尺度に対応 しなか っ た 。 こ

38

れ は、  「予備調査版 」 が 構成概念妥 当性 を確保 して い な

い こ と を示 した。

3 本 研 究 の 結果 の 考察 を 通 し、看護の 対象理 解に 関す

る 自己 評価 尺 度 の 開発 に 向け て、28 質問項 目 を選 定 し、

尺度を構成 した。

腰 .お わ りに

 本研 究 に お い て は、現実適合 性 が 高 く、信頼性 ・妥 当

性 を確保 した看護の 対象 理解に関する 自己評価尺 度の開

発 を最終的 に め ざ し、そ の 初期的段 階に 位置す る研 究 と

して、質問項 目を作成、選定 した。本研究の 結果 に基づ

き選定 した 28 項 目か ら成 る 尺 度 の 信頼性 ・妥 当性を検

証 し、そ の 結果をもとに各下位尺 度毎の 質問項目数が 同

数 で あ る 尺 度 を完成す る こ とは 今後 の 課 題 で あ る。

  多忙な業務 の 中、本研究に御協力 くださっ た全国 の 看

護婦・士 の 皆様 に 深 謝す る。

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