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B1FW-5741-01Z02008 年 8 月
Windows
PowerRDBconnector サーバパッケージ for NetCOBOL V3.0 L10
PowerRDBconnector 説明書Oracle 編
まえがき
製品の呼び名について本書に記載されている製品の名称を、以下のように略して表記します。オペレーティング・システムを総称して、OS と記載します。データベース製品を総称して、データベースと記載します。
・ 以下の製品を、「PowerRDBconnector」と記載します。
- PowerRDBconnector サーバパッケージ for NetCOBOL (本製品)
・ 以下の製品を、「Windows」または、「Windows 2000」と記載します。
- Microsoft(R) Windows(R) 2000 Professional operating system
- Microsoft(R) Windows(R) 2000 Server
- Microsoft(R) Windows(R) 2000 Advanced Server
・ 以下の製品を、「Windows」または、「Windows XP」と記載します。
- Microsoft(R) Windows(R) XP Professional operating system
・ 以下の製品を、「Windows」または、「Windows Vista」と記載します。
- Microsoft(R) Windows Vista(R) Business
- Microsoft(R) Windows Vista(R) Enterprise
- Microsoft(R) Windows Vista(R) Ultimate
・ 以下の製品を、「Windows」または、「Windows Server 2003」と記載します。
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2003, Standard Edition
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2003, Enterprise Edition
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2003 R2, Standard Edition
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2003 R2, Enterprise Edition
・ 以下の製品を、「Windows」または、「Windows Server 2003(x64)」と記載します。
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2003, Standard x64 Edition
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2003, Enterprise x64 Edition
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2003 R2, Standard x64 Edition
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2003 R2, Enterprise x64 Edition
・ 以下の製品を、「Windows」または、「Windows Server 2008」と記載します。
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 Standard
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 Enterprise
・ 以下の製品を、「Windows」または、「Windows Server 2008(x64)」と記載します。
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 Standard (x64)
- Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 Enterprise (x64)
・ 以下の製品を、「SQL Server」または、「SQL Server 2000」と記載します。
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2000 Enterprise Edition
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2000 Standard Edition
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2000 Workgroup Edition
- i -
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2000 Developer Edition
・ 以下の製品を、「SQL Server」または、「SQL Server 2005」と記載します。
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2005 Workgroup Edition
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2005 Standard Edition
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2005 Enterprise Edition
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2005 Developer Edition
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2005 Standard Edition x64 Extended
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2005 Enterprise Edition x64 Extended
- Microsoft(R) SQL Server(R) 2005 Developer Edition x64 Extended
・ 以下の製品を、「Oracle」または、「Oracle9i」と記載します。
- Oracle9i Database Enterprise Edition Release 2
- Oracle9i Database Standard Edition Release 2
- Oracle9i Database Standard Edition One Release 2
- Oracle9i Database Personal Edition Release 2
・ 以下の製品を、「Oracle」または、「Oracle10g」と記載します。
- Oracle Database 10g Enterprise Edition Release 1 / Release 2
- Oracle Database 10g Standard Edition Release 1 / Release 2
- Oracle Database 10g Standard Edition One Release 1 / Release 2
- Oracle Database 10g Personal Edition Release 1 / Release 2
・ 以下の製品を、「Oracle」または、「Oracle10g(x64)」と記載します。
- Oracle Database 10g Enterprise Edition Release 2 for Microsoft Windows (x64)
- Oracle Database 10g Standard Edition Release 2 for Microsoft Windows (x64)
・ 以下の製品を、「Oracle」または、「Oracle11g」と記載します。
- Oracle Database 11g Enterprise Edition
- Oracle Database 11g Standard Edition
- Oracle Database 11g Standard Edition One
- Oracle Database 11g Personal Edition
・ 以下の製品を、「Oracle」または、「Oracle11g(x64)」と記載します。
- Oracle Database 11g Enterprise Edition for Microsoft Windows (x64)
- Oracle Database 11g Standard Edition for Microsoft Windows (x64)
・ 以下の製品を、「NetCOBOL」または、「NetCOBOL for Windows」と記載します。
- NetCOBOL Base Edition for Windows V7.0
- NetCOBOL Standard Edition for Windows V7.0
- NetCOBOL Professional Edition for Windows V7.0
- NetCOBOL Base Edition 開発パッケージ for Windows V7.2/V8.0
- NetCOBOL Standard Edition 開発パッケージ for Windows V7.2/V8.0
- NetCOBOL Professional Edition 開発パッケージ for Windows V7.2/V8.0
- NetCOBOL Base Edition サーバ運用パッケージ for Windows V7.0/V7.2/V8.0
- ii -
- NetCOBOL Standard Edition サーバ運用パッケージ for Windows V7.0/V7.2/V8.0
- NetCOBOL Base Edition 開発パッケージ V9.0/V10.0.0(注)
- NetCOBOL Standard Edition 開発パッケージ V9.0/V10.0.0(注)
- NetCOBOL Professional Edition 開発パッケージ V9.0/V10.0.0(注)
- NetCOBOL Base Edition サーバ運用パッケージ V9.0/V10.0.0(注)
- NetCOBOL Standard Edition サーバ運用パッケージ V9.0/V10.0.0(注)
・ 以下の製品を、「NetCOBOL」または、「NetCOBOL for .NET」と記載します。
- NetCOBOL Base Edition for .NET V2.0
- NetCOBOL Standard Edition for .NET V2.0
- NetCOBOL Base Edition 開発パッケージ for .NET V2.1/V3.0/V3.1
- NetCOBOL Standard Edition 開発パッケージ for .NET V2.1/V3.0/V3.1
- NetCOBOL Base Edition サーバ運用パッケージ for .NET V2.0/V2.1/V3.0/V3.1
- NetCOBOL Standard Edition サーバ運用パッケージ for .NET V2.0/V2.1/V3.0/V3.1
- NetCOBOL Enterprise Edition 開発パッケージ for .NET V3.0/V3.1
- NetCOBOL Enterprise Edition サーバ運用パッケージ for .NET V3.0/V3.1
(注)
製品名に、for Windows と付いていませんが、「NetCOBOL for .NET」と区別するときに、本書では、「NetCOBOL for Windows」と略して表記します。
PowerRDBconnector 説明書の体系PowerRDBconnector 説明書は、以下の 2 冊から構成されています。
・ 「PowerRDBconnector 説明書 SQL Server 編」
・ 「PowerRDBconnector 説明書 Oracle 編」
なお、PowerRDBconnector サーバパッケージ for NetCOBOL と、PowerRDBconnector クライアントパッケージ for NetCOBOL は、別マニュアルです。
本書は、以下について説明しています。
・ PowerRDBconnector サーバパッケージ for NetCOBOL
・ Oracle との接続
上記以外の接続の場合には、対応するマニュアルを参照してください。
本書の目的本書は、PowerRDBconnector の製品概要および環境設定から運用管理について説明しています。
本書の読者本書は、PowerRDBconnector の導入、環境設定および運用管理を行う方を対象としています。
本書を読むにあたり、以下の事項について熟知している必要があります。
・ NetCOBOL
- iii -
・ Oracle
・ Windows
本書の構成本書は、以下の章で構成しています。
第 1 章 導入前に考慮すること本製品を使用する際に考慮および配慮が必要なことを説明します。
PowerRDBconnector の導入を判断する前に、業務システムの機能範囲に適合するかを開発者が判断する上で、特に注意すべき観点を確認するときにお読みください。
第 2 章 PowerRDBconnector とはPowerRDBconnector の特長と機能について説明しています。
業務システムにおける本製品の機能の適用方法や範囲を明確化するためにお読みください。
第 3 章 PowerRDBconnector の使用手引きPowerRDBconnector の環境設定と使用方法について説明しています。
PowerRDBconnector を使用し、業務アプリケーションの開発、保守を行うのに必要な作業方法を説明しています。
第 4 章 COBOL アプリケーションの開発について本製品を使用する際の注意事項を説明しています。
業務アプリケーションの開発時に、他のシステムから COBOL アプリケーションを移行する場合に、特に注意すべきこと、および COBOLアプリケーション開発時の注意事項を確認するときにお読みください。
第 5 章 エラー時の対処PowerRDBconnector 使用時に発生したエラーの原因と対処、およびトレース機能について説明します。
エラーが発生したときにお読みください。
付録 A 他製品のファイル資源他製品(ファイルシステム、データベース系)のファイル資源との関係、および代替方法について説明します。
開発者が、業務システムの機能・構成設計時に移行前のデータベース資産としてよく使用される論理ファイルとの違いについて確認
するときにお読みください。
付録 B トラブルシューティングPowerRDBconnector の使用時に発生したトラブルの調査方法、およびトラブル事例について説明します。
トラブルが発生したときにお読みください。
付録 C 開発用サンプル情報PowerRDBconnector を使用する上で役立つサンプル集です。
開発者およびシステム管理者が、業務アプリケーションを開発するときに、参考にしてください。
付録 D リリース情報PowerRDBconnector のリリース情報について説明します。
- iv -
開発者およびシステム管理者が、前版との機能差を確認するときにお読みください。
本書の読み方本書は、PowerRDBconnector の使用方法について記載しています。
・ NetCOBOL については、NetCOBOL のマニュアルを参照してください。
・ Oracle については、Oracle のマニュアルを参照してください。
製品の仕様についてPowerRDBconnector は、本書の記載範囲で検証しています。本書に記載していない PowerRDBconnector、オペレーティング・システムやデータベースの機能については、PowerRDBconnector の動作保証ができません。このため、この機能を使用する場合には、自己責任で十分検証した上で使用してください。
商標について
・ Microsoft、Windows、Windows Vista、Windows NT、Windows Server、SQL Server またはその他のマイクロソフト製品の名称および製品名は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
・ Oracle またはその他の Oracle 製品の名称および製品名は、米国 Oracle Corporation の登録商標です。
・ その他、本書に記載されているシステム名、製品名などには、必ずしも商標表示(TM、R)を付記していません。
マニュアルの変更点について本書は、以下のマニュアルを元に作成されています。
・ PowerRDBconnector クライアントパッケージ for NetCOBOL V2.0L20
PowerRDBconnector 説明書(Oracle 編)
・ PowerRDBconnector サーバパッケージ for NetCOBOL V2.0L10
PowerRDBconnector 説明書(Oracle 編)
前版のマニュアルからの主な追加、変更点は、以下のとおりです。
No 変更点 変更箇所
1 マニュアルの形式を富士通標準形式に変更しました。 全体
2 以下の OS をサポートしました。
・ Microsoft(R) Windows Vista(R) Business
・ Microsoft(R) Windows Vista(R) Enterprise
・ Microsoft(R) Windows Vista(R) Ultimate
・ Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 Standard (注)
・ Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 Enterprise (注)
・ Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 Standard (x64) (注)
・ Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 Enterprise (x64) (注)
(注) Windows Server 2008 のサポートについて
Windows Server 2008 上の PowerRDBconnector からアクセス可能なデータベースは、SQL Server 2005 のみです。
2.3
3 以下のデータベースをサポートしました。
・ Oracle Database 11g Enterprise Edition
2.3
- v -
No 変更点 変更箇所
・ Oracle Database 11g Standard Edition
・ Oracle Database 11g Standard Edition One
・ Oracle Database 11g Personal Edition
・ Oracle Database 11g Enterprise Edition for Microsoft Windows (x64)
・ Oracle Database 11g Standard Edition for Microsoft Windows (x64)
4 以下の NetCOBOL をサポートしました。
・ NetCOBOL Base Edition 開発パッケージ for .NET V3.1
・ NetCOBOL Standard Edition 開発パッケージ for .NET V3.1
・ NetCOBOL Base Edition サーバ運用パッケージ for .NET V3.1
・ NetCOBOL Standard Edition サーバ運用パッケージ for .NET V3.1
・ NetCOBOL Enterprise Edition 開発パッケージ for .NET V3.1
・ NetCOBOL Enterprise Edition サーバ運用パッケージ for .NET V3.1
・ NetCOBOL Base Edition 開発パッケージ V9.0/V10.0.0
・ NetCOBOL Standard Edition 開発パッケージ V9.0/V10.0.0
・ NetCOBOL Professional Edition 開発パッケージ V9.0/V10.0.0
・ NetCOBOL Base Edition サーバ運用パッケージ V9.0/V10.0.0
・ NetCOBOL Standard Edition サーバ運用パッケージ V9.0/V10.0.0
2.3
5 COBOL 初期化ファイルの注意事項に以下を追加しました。
・ JIS2004 で追加された文字を指定するとエラーとなります。
3.1.3
3.1.5
6 JIS X 0213:2004 に対応した文字セット(JIS2004)の注意事項を追加しました。 3.1.3
3.1.4
3.1.5
4.1.2.7
7 指定可能な Oracle のキャラクターセットを追加しました。 3.1.2
3.1.3.2
4.1.2.7
8 NetCOBOL の RCS コンパイルオプション(UTF16)について記載しました。 3.1.6.1
9 UTF-8 で作成された PowerRDBconnector 動作環境ファイル、COBOL 初期化ファイルをサポートしました。
3.1.4
3.1.5
10 マルチセッションプログラミングの場合、テーブルロック解除時のトランザクション取消し機能の誤記を以下のように、修正しました。
・ 修正前
テーブルロック対象のファイルを全てクローズするまでの更新を取り消します。
・ 修正後
セッションを閉設するサブルーチン(COB_PRDB_END)を呼び出すまでの更新を取り消します。
3.5.3.2
11 発生しないエラーコードを削除しました。 5.1.1.3
12 ErrorLog プロパティの注意事項に以下を追加しました。
・ 使用可能な文字についての注意事項
3.1.4
- vi -
No 変更点 変更箇所
・ 環境変数の注意事項
・ Windows Vista 上で使用するときの注意事項
13 データベースでエラーが発生した場合に出力されるイベントログの例を追加しました。 5.1.1.5
14 サポートする OS とデータベースの組合わせについて記載しました。 2.3.2.3
15 未サポートの運用形態について記載しました。 2.3.2.4
16 開発用サンプル情報に以下を追加しました。
・ PowerRDBconnector 動作環境ファイルのサンプル
・ COBOL 初期化ファイルのサンプル
・ エントリ情報ファイルのサンプル
・ セッションサブルーチンのサンプル
・ 認証サブルーチンのサンプル
・ トランザクションサブルーチンのサンプル
付録 C
17 unicode 使用時の注意事項を追加しました。 3.7.1
18 リリース情報を変更しました。 付録 D
高度な安全性が要求される用途への使用について本製品は、一般事務用、パーソナル用、家庭用、通常の産業等の一般的用途を想定して開発・設計・製造されているものであり、原子
力施設における核反応制御、航空機自動飛行制御、航空交通管制、大量輸送システムにおける運行制御、生命維持のための医療
用機器、兵器システムにおけるミサイル発射制御など、極めて高度な安全性が要求され、仮に当該安全性が確保されない場合、直接
生命・身体に対する重大な危険性を伴う用途(以下「ハイセイフティ用途」という)に使用されるよう開発・設計・製造されたものではあり
ません。
お客さまは本製品を必要な安全性を確保する措置を施すことなくハイセイフティ用途に使用しないでください。 また、お客さまがハイセイフティ用途に本製品を使用したことにより発生する、お客様または第三者からのいかなる請求または損害賠償に対しても富士通株
式会社およびその関連会社は一切責任を負いかねます。
インターネットでの使用について本製品はインターネットへのサービスを提供する用途を想定して設計・製造されておりません。 インターネットに接続しない環境(ローカルネットワークまたはイントラネット内)で使用するか、 インターネットに接続して使用する場合は、運用環境によりセキュリティ侵害対策を構築した上でご使用ください。
2008 年 8 月
Copyright FUJITSU LIMITED 2003-2008
- vii -
目 次
第 1 章 導入前に考慮すること....................................................................................................................................................11.1 本製品を使用する前に.......................................................................................................................................................................11.2 本製品で実現できる性能....................................................................................................................................................................11.3 本製品で実現できる排他制御............................................................................................................................................................21.4 対象とする既存システム......................................................................................................................................................................21.5 データベース製品の使用における注意.............................................................................................................................................21.6 インターネットでの使用について........................................................................................................................................................2
第 2 章 PowerRDBconnector とは.............................................................................................................................................32.1 PowerRDBconnector の特長..............................................................................................................................................................3
2.1.1 入出力文でのデータベースアクセス...........................................................................................................................................32.1.2 2 種類のプログラミングスタイル...................................................................................................................................................3
2.1.2.1 シングルセッションプログラミング..........................................................................................................................................32.1.2.2 マルチセッションプログラミング.............................................................................................................................................4
2.1.3 既存 COBOL 資産の活用...........................................................................................................................................................52.1.4 データベースを活用したシステム構築........................................................................................................................................5
2.2 機能.....................................................................................................................................................................................................52.2.1 ファイルアクセス機能...................................................................................................................................................................5
2.2.1.1 ファイルアクセス機能............................................................................................................................................................62.2.1.2 COBOL アプリケーションから利用できる機能範囲.............................................................................................................62.2.1.3 参考:データベースの機能範囲...........................................................................................................................................9
2.2.2 プログラミングスタイル................................................................................................................................................................102.2.2.1 プロセスとスレッド................................................................................................................................................................102.2.2.2 シングルスレッド(プロセス)プログラムとマルチスレッドプログラム....................................................................................102.2.2.3 プログラミングスタイルとは..................................................................................................................................................102.2.2.4 シングルセッション...............................................................................................................................................................112.2.2.5 マルチセッション..................................................................................................................................................................11
2.2.3 認証機能....................................................................................................................................................................................122.2.4 トランザクション機能...................................................................................................................................................................122.2.5 排他制御....................................................................................................................................................................................12
2.3 システム構成.....................................................................................................................................................................................132.3.1 必要なソフトウェア......................................................................................................................................................................13
2.3.1.1 開発時のシステム構成........................................................................................................................................................132.3.1.2 運用時のシステム構成........................................................................................................................................................15
2.3.2 運用形態....................................................................................................................................................................................162.3.2.1 開発時の形態......................................................................................................................................................................162.3.2.2 運用時の形態......................................................................................................................................................................172.3.2.3 サポートする OS とデータベースの組合せ........................................................................................................................172.3.2.4 未サポートの運用形態........................................................................................................................................................19
第 3 章 PowerRDBconnector の使用手引き............................................................................................................................203.1 環境構築...........................................................................................................................................................................................20
3.1.1 PowerRDBconnector を構成する要素.......................................................................................................................................203.1.2 環境構築の手順.........................................................................................................................................................................213.1.3 データベースオブジェクトの作成...............................................................................................................................................23
3.1.3.1 データベースオブジェクトの作成手順................................................................................................................................233.1.3.2 データベースの作成...........................................................................................................................................................243.1.3.3 データベースにアクセスするための権限設定...................................................................................................................253.1.3.4 ファイルとテーブルまたはビューの対応.............................................................................................................................253.1.3.5 列定義の対応......................................................................................................................................................................263.1.3.6 OPEN_CURSORS の設定..................................................................................................................................................313.1.3.7 データベースに対する統計情報の収集............................................................................................................................31
3.1.4 PowerRDBconnector 動作環境ファイル....................................................................................................................................313.1.5 COBOL 初期化ファイル............................................................................................................................................................373.1.6 コンパイル方法...........................................................................................................................................................................40
- viii -
3.1.6.1 NetCOBOL for Windows でのコンパイル方法..................................................................................................................403.1.6.2 NetCOBOL for .NET でのコンパイル方法.........................................................................................................................42
3.2 セッションの制御方法........................................................................................................................................................................443.2.1 セッションの制御方法.................................................................................................................................................................443.2.2 セッションサブルーチンのインターフェース..............................................................................................................................45
3.2.2.1 セッション開設サブルーチンのインターフェース...............................................................................................................453.2.2.2 セッション閉設サブルーチンのインターフェース...............................................................................................................46
3.2.3 セッションの使用例.....................................................................................................................................................................473.3 認証...................................................................................................................................................................................................48
3.3.1 OS 認証の使用方法...................................................................................................................................................................493.3.2 データベース認証の使用方法(シングルセッション)................................................................................................................49
3.3.2.1 データベース認証の動作概要(シングルセッション).........................................................................................................493.3.2.2 認証情報登録サブルーチンのインターフェース(シングルセッション).............................................................................50
3.3.3 データベース認証の使用方法(マルチセッション)...................................................................................................................523.3.3.1 データベース認証の動作概要(マルチセッション)............................................................................................................523.3.3.2 認証情報登録サブルーチンのインターフェース(マルチセッション)................................................................................53
3.4 トランザクション..................................................................................................................................................................................553.4.1 トランザクション機能とは.............................................................................................................................................................553.4.2 トランザクションの使用方法(シングルセッション).....................................................................................................................55
3.4.2.1 トランザクションプログラム(シングルセッション).................................................................................................................553.4.2.2 トランザクション使用時の注意事項(シングルセッション)..................................................................................................563.4.2.3 トランザクションサブルーチンのインターフェース(シングルセッション)...........................................................................57
3.4.3 トランザクションの使用方法(マルチセッション)........................................................................................................................583.4.3.1 トランザクションプログラム(マルチセッション)....................................................................................................................583.4.3.2 トランザクション使用時の注意事項(マルチセッション).....................................................................................................603.4.3.3 トランザクションサブルーチンのインターフェース(マルチセッション)..............................................................................60
3.5 排他制御...........................................................................................................................................................................................613.5.1 排他制御の種類.........................................................................................................................................................................623.5.2 レコードロック機能......................................................................................................................................................................62
3.5.2.1 トランザクション未適用時のレコードロック..........................................................................................................................633.5.2.2 トランザクション適用時のレコードロック..............................................................................................................................643.5.2.3 レコードロックの獲得待合わせ...........................................................................................................................................64
3.5.3 テーブルロック機能....................................................................................................................................................................653.5.3.1 テーブルロック機能の使用方法.........................................................................................................................................653.5.3.2 テーブルロック解除時のトランザクション取消し機能.........................................................................................................66
3.5.4 チェックロック機能......................................................................................................................................................................673.6 タイムアウト機能.................................................................................................................................................................................67
3.6.1 レコードロック獲得の待合わせ..................................................................................................................................................683.6.2 処理完了待合わせ時間の設定.................................................................................................................................................683.6.3 高負荷な実行環境での Oracle の処理完了の待合わせ.........................................................................................................68
3.7 データ補正機能................................................................................................................................................................................683.7.1 後方空白補正............................................................................................................................................................................693.7.2 項目属性に違反するデータのチェックと補正...........................................................................................................................71
3.7.2.1 データチェック.....................................................................................................................................................................733.7.2.2 データ補正..........................................................................................................................................................................74
第 4 章 COBOL アプリケーションの開発について.....................................................................................................................774.1 開発のポイント...................................................................................................................................................................................77
4.1.1 環境設定のポイント....................................................................................................................................................................774.1.1.1 ファイル識別名について.....................................................................................................................................................774.1.1.2 データベースの照合順序について....................................................................................................................................77
4.1.2 データベース作成のポイント......................................................................................................................................................774.1.2.1 混在項目を使用する場合...................................................................................................................................................774.1.2.2 OCCURS 句、REDEFINES 句を使用する場合.................................................................................................................784.1.2.3 ビューについて....................................................................................................................................................................784.1.2.4 列の定義について..............................................................................................................................................................784.1.2.5 データベースで扱えないデータ値との整合性について...................................................................................................78
- ix -
4.1.2.6 インデックスの作成について...............................................................................................................................................794.1.2.7 文字コードについて............................................................................................................................................................794.1.2.8 ユーティリティを使用する場合............................................................................................................................................82
4.1.3 COBOL アプリケーション作成のポイント...................................................................................................................................824.1.3.1 トランザクションについて.....................................................................................................................................................834.1.3.2 テーブルロック機能について..............................................................................................................................................834.1.3.3 レコードロック機能について................................................................................................................................................834.1.3.4 OUTPUT モードのオープンについて................................................................................................................................834.1.3.5 レコードの削除方法について.............................................................................................................................................834.1.3.6 LOW-VALUE、HIGH-VALUE について..........................................................................................................................844.1.3.7 使用メモリ量について.........................................................................................................................................................844.1.3.8 マルチセッションプログラミングについて............................................................................................................................84
4.1.4 性能向上のポイント....................................................................................................................................................................854.1.4.1 インデックスの定義..............................................................................................................................................................854.1.4.2 データ更新時のトランザクション適用.................................................................................................................................854.1.4.3 履歴ファイルのディスク配置...............................................................................................................................................854.1.4.4 データベースに対する統計情報の収集............................................................................................................................864.1.4.5 NOLOGGING モードの使用選択......................................................................................................................................864.1.4.6 OUTPUT モードの OPEN 文での Truncate プロパティ.....................................................................................................874.1.4.7 データベース・ユーティリティの活用..................................................................................................................................874.1.4.8 I-O オープンでの READ 性能...........................................................................................................................................87
4.2 注意事項...........................................................................................................................................................................................884.2.1 トランザクションに関する注意事項............................................................................................................................................88
4.2.1.1 トランザクションの確定、取消しを実行せずに終了した場合.............................................................................................884.2.1.2 テーブルロック機能とトランザクションについて..................................................................................................................89
4.2.2 排他制御に関する注意事項.....................................................................................................................................................894.2.2.1 COBOL アプリケーションを終了した場合..........................................................................................................................894.2.2.2 削除したレコードの待合せについて..................................................................................................................................894.2.2.3 レコードロックの排他制御について....................................................................................................................................904.2.2.4 テーブルロックの排他制御について..................................................................................................................................924.2.2.5 デッドロック状態について...................................................................................................................................................944.2.2.6 テーブルロックとレコードロックの混在について.................................................................................................................94
4.2.3 COBOL アプリケーションに関する注意事項............................................................................................................................954.2.3.1 キーに重複した値がある索引ファイルについて................................................................................................................964.2.3.2 ビューの使用について........................................................................................................................................................964.2.3.3 レコードの格納位置について.............................................................................................................................................964.2.3.4 文字コード変換について....................................................................................................................................................964.2.3.5 OUTPUT モードのオープンの使用について....................................................................................................................964.2.3.6 読み取り一貫性に関する注意事項....................................................................................................................................97
4.2.4 マルチスレッド使用時の注意事項.............................................................................................................................................974.2.4.1 マルチスレッドプログラムについて.....................................................................................................................................974.2.4.2 スレッドとセッションの関係について...................................................................................................................................974.2.4.3 セッションとトランザクションの関係について......................................................................................................................99
4.2.5 リモートのデータベースアクセスに関する注意事項...............................................................................................................1004.2.5.1 大量のレコードアクセスについて......................................................................................................................................1004.2.5.2 セキュリティについて.........................................................................................................................................................100
第 5 章 エラー時の対処..........................................................................................................................................................1025.1 エラー時の対処...............................................................................................................................................................................102
5.1.1 ファイルアクセス時のエラー情報.............................................................................................................................................1035.1.1.1 ファイルアクセス時のイベントログ情報.............................................................................................................................1035.1.1.2 イベントログに出力されないエラー情報...........................................................................................................................1045.1.1.3 ファイルアクセス時のエラーコード一覧............................................................................................................................1045.1.1.4 COBOL アプリケーション終了時のメッセージ一覧.........................................................................................................1115.1.1.5 データベースのエラー発生時のイベントログ情報...........................................................................................................112
5.1.2 トランザクションアクセス時のエラー情報.................................................................................................................................1135.1.2.1 トランザクションアクセス時のイベントログ情報.................................................................................................................113
- x -
5.1.2.2 トランザクションアクセス時のエラーコード一覧................................................................................................................1145.1.3 認証情報登録サブルーチンのエラー情報.............................................................................................................................115
5.1.3.1 認証情報登録サブルーチンのイベントログ情報.............................................................................................................1155.1.3.2 認証情報登録サブルーチンのエラーコード一覧............................................................................................................115
5.1.4 セッションサブルーチンのエラー情報.....................................................................................................................................1165.1.4.1 セッションサブルーチンのイベントログ情報.....................................................................................................................1165.1.4.2 セッションサブルーチンのエラーコード一覧....................................................................................................................117
5.2 トレース出力機能............................................................................................................................................................................1175.2.1 トレース機能の使用方法..........................................................................................................................................................1175.2.2 トレースの種類..........................................................................................................................................................................1185.2.3 トレース情報の内容..................................................................................................................................................................118
5.2.3.1 トレース情報の形式...........................................................................................................................................................1195.2.3.2 トレースの出力例...............................................................................................................................................................121
付録 A 他製品のファイル資源................................................................................................................................................127A.1 論理ファイル...................................................................................................................................................................................127
付録 B トラブルシューティング................................................................................................................................................128B.1 トラブルへの対処方法....................................................................................................................................................................128B.2 事例.................................................................................................................................................................................................128
B.2.1 製品仕様について...................................................................................................................................................................128B.2.2 トラブル事例.............................................................................................................................................................................130B.2.3 性能..........................................................................................................................................................................................133
付録 C 開発用サンプル情報..................................................................................................................................................135C.1 NetCOBOL for .NET のプログラム原型........................................................................................................................................135
C.1.1 XMROTSTR サブルーチン....................................................................................................................................................135C.1.2 XMROTEND サブルーチン...................................................................................................................................................135C.1.3 XMROTCNL サブルーチン....................................................................................................................................................136C.1.4 XMROTRBK サブルーチン...................................................................................................................................................136C.1.5 XMROAUTH サブルーチン...................................................................................................................................................137
C.2 マニュアル内で使用した図表に対するテキスト形式の雛型.........................................................................................................137C.2.1 PowerRDBconnector 動作環境ファイルのサンプル..............................................................................................................137C.2.2 COBOL 初期化ファイルのサンプル.......................................................................................................................................138C.2.3 エントリ情報ファイルのサンプル..............................................................................................................................................138C.2.4 セッションサブルーチンのサンプル........................................................................................................................................138C.2.5 認証サブルーチンのサンプル................................................................................................................................................139C.2.6 トランザクションサブルーチンのサンプル...............................................................................................................................140
付録 D リリース情報...............................................................................................................................................................142D.1 リリース情報....................................................................................................................................................................................142D.2 非互換について.............................................................................................................................................................................144
索引......................................................................................................................................................................................145
- xi -
第 1 章 導入前に考慮すること本章では、本製品を使用する際に考慮および配慮することを説明します。
この製品をはじめてお使いになる方は、必ずお読みください。
1.1 本製品を使用する前に本製品は、データベースをファイルシステムと同様に READ/WRITE 文でアクセスするためのものですが、ファイルシステム系製品の機能互換を保証するものではありません。
本製品を使用する上で排他制御、データ構造、性能確保などの考慮が必要です。
例えば、ファイルアクセス系製品とは、データ値の扱いが異なります。データベースでは、文字データ型には文字のみ、数字データ型
には数値のみが格納可能です。一方、COBOL ではプログラミングの仕方で、数字データ型に文字が設定されることがあります。
このようなデータ操作はできないため、COBOL アプリケーションの修正が必要となります。
詳しくは、「第 3 章 PowerRDBconnector の使用手引き」および「第 4 章 COBOL アプリケーションの開発について」を参照してください。
1.2 本製品で実現できる性能本製品は、データベース製品が提供する SQL アクセスインターフェースを使用して、COBOL アプリケーションの入出力文を処理します。
そのため実現できる性能は、入出力文を直接サポートしているファイルシステム系製品に対して、入出力文で記述した COBOL アプリケーションからアクセスした場合と同等の性能を保証するものではなく、入出力文の処理論理を変更せずに、SQL アクセスインターフェースでアクセスした場合と同等となります。
一般的に、SQL アクセスインターフェースを持つデータベース製品は、以下の傾向があります。
・ アプリケーションで集合操作の処理を行うと、性能がよくなります。
・ アプリケーションで、カーソルを宣言し、1 レコードずつ処理すると、集合操作と比較してデータ件数に応じて性能が劣化します。
本製品では、COBOL のアクセス文に合わせ、カーソルを宣言し、1 レコードずつ処理しています。このため、本製品を使用したアプリケーションの性能よりも、データベース製品へ直接 SQL 文でアクセスするアプリケーションの方が高性能となります。
データ検索では、COBOL の索引ファイルのレコードキーに対応するデータベースのインデックスが必要です。
データ更新を行うと、データベースではデータ保証のため、履歴管理されているトランザクションログファイルにも更新が行われます。
そのため、履歴管理されないファイルシステム系製品と同等の更新性能は得られません。
データ更新の性能を向上させるには、トランザクションを適用して、複数の更新データをまとめて確定するなどの方法があります。性能
向上については、「4.1.4 性能向上のポイント」を参照してください。
- 1 -
1.3 本製品で実現できる排他制御データベースでは、排他制御の仕組みがファイルシステム系製品と大きく異なります。また、データベース製品によっても排他制御の
仕組みが異なります。
このため、使用するデータベースで実現している排他制御の理解が必要です。
本製品の排他制御について、詳しくは「3.5 排他制御」を参照してください。
1.4 対象とする既存システム本製品は、既存システムの入出力文で記述した COBOL アプリケーションを、SQL 文を使用した COBOL アプリケーションに書き直さずに、活用することを目的としたものです。
主に、以下の既存システムの入出力文で記述した COBOL アプリケーションを対象としています。
・ 中小規模のシステム
・ 既存システムの COBOL アプリケーションの活用
・ CSP/FX(FX-RDB)、ASP(RDB/6000、Symfoware6000)からの移行
1.5 データベース製品の使用における注意データベース製品を使用するため、データベースを熟知した、高い技術力を持つ技術者が業務を設計してください。
1.6 インターネットでの使用について本製品はインターネットへのサービスを提供する用途を想定して設計・製造されておりません。このため、以下の環境で使用してくださ
い。
・ インターネットに接続しない環境(ローカルネットワークまたはイントラネット内)
・ インターネットに接続して使用する場合は、VPN、ファイアーウォールなど運用環境によりセキュリティ侵害対策を構築した環境
- 2 -
第 2 章 PowerRDBconnector とは本章では、PowerRDBconnector の機能について説明します。
開発者およびシステム管理者が、業務システムを設計するときに、本製品の機能範囲を理解するためにお読みください。
2.1 PowerRDBconnector の特長本製品は、データベースをファイルシステムと同様に READ/WRITE 文でアクセスするためのものです。
ここでは、PowerRDBconnector の特長を説明します。
2.1.1 入出力文でのデータベースアクセスPowerRDBconnector は、COBOL アプリケーションの OPEN、START、READ、REWRITE、WRITE、DELETE、CLOSE といった入出力文で、一般の順ファイルや索引ファイルと同様に、データベースのテーブルまたはビューにアクセスできます。
図 2.1 入出力文でのデータベースアクセス
2.1.2 2 種類のプログラミングスタイル本製品は、以下の 2 つのプログラミングスタイルが可能です。
・ シングルセッションプログラミング
・ マルチセッションプログラミング
セッションは、「認証、排他制御、トランザクション制御を行う単位」のことです。
2.1.2.1 シングルセッションプログラミングコンソールアプリケーションや、バッチアプリケーションなどのように、1 プロセス上で 1 つのユーザーアプリケーションを動作させるプログラミングスタイルです。
- 3 -
シングルセッションプログラミングの場合、COBOL アプリケーションと PowerRDBconnector の間には、暗黙のセッションが1つあるものとみなされ、データベースとのセッションも、プロセス上に1つだけ開設されます。
図 2.2 シングルセッションプログラミングの概要
シングルセッションプログラミングとは、PowerRDBconnector V1.0 からサポートされているプログラミングスタイルのことです。
シングルセッションプログラミングの利点については、「表 2.4 プログラミングスタイルごとの利点について」を参照してください。
2.1.2.2 マルチセッションプログラミングマルチスレッドで動作する Web アプリケーションのように、1 プロセス上でユーザーアプリケーションを複数動作させるため、アプリケーションでセッションの制御を行うプログラミングスタイルです。
マルチセッションプログラミングの場合、PowerRDBconnector のセッションと、データベースのセッションは、1対1に対応付けられます。
図 2.3 マルチセッションプログラミングの概要
マルチセッションプログラミングの利点については、「表 2.4 プログラミングスタイルごとの利点について」を参照してください。
- 4 -
2.1.3 既存 COBOL 資産の活用入出力文で記述した従来の COBOL アプリケーションを、SQL 文による記述に設計変更せずに、データベース(テーブル、ビュー)にアクセスできるため、従来の COBOL アプリケーションのソースコードや開発スキルを活用できます。
例えば、ファイルシステムのデータをデータベースに移行し、入出力文で記述した COBOL アプリケーションを活用して、データベースにアクセスすることができます。
図 2.4 既存 COBOL 資産の活用
なお、COBOL アプリケーションのプログラミングで考慮すべきポイントが、いくつかあります。詳しくは、「第 4 章 COBOL アプリケーションの開発について」を参照してください。
2.1.4 データベースを活用したシステム構築データベースのバックアップ機能、リカバリ機能、クラスタシステムなどを活用して、一般のファイルシステムよりも堅牢性のある業務シス
テムを構築できます。
また、業務に合わせ、COBOL 以外の言語で作成したアプリケーションとデータベースを共有することができます。
2.2 機能本節では、PowerRDBconnector の機能について説明します。
2.2.1 ファイルアクセス機能COBOL アプリケーションからデータベースのテーブルまたはビューを、ファイル(順ファイル、索引ファイル)としてアクセスできます。
- 5 -
2.2.1.1 ファイルアクセス機能以下にファイルアクセス機能を示します。
表 2.1 ファイルアクセス機能編成
ORGANIZATIONアクセスモード
ACCESS MODEデータベースオブジェクト
SEQUENTIAL(順ファイル) SEQUENTIAL(順呼出し) テーブル、ビュー、シノニム
INDEXED(索引ファイル)
SEQUENTIAL(順呼出し)テーブル、ビュー、インデックス、シ
ノニムRANDOM(乱呼出し)
DYNAMIC(動的呼出し)
図 2.5 ファイルアクセス機能
ビューへのファイルアクセスには、テーブルへのアクセスと比較していくつかの制約があります。詳細は、「4.2.3.2 ビューの使用について」を参照してください。
2.2.1.2 COBOL アプリケーションから利用できる機能範囲PowerRDBconnector を使用してデータベースにアクセスするために使用できる COBOL の機能範囲を以下に示します。
表 2.2 COBOL アプリケーションの機能範囲項目 利用可否
ファイル ファイル編成
レコード順ファイル ○
相対ファイル ×:エラー(注 1)
索引ファイル ○
レコードレコード形式
固定長レコード形式 ○
可変長レコード形式 ×:エラー
レコードの最大長(バイト数) 32,760ファイル
管理記述項SELECT 句 OPTIONAL 指定 ×:無効(注 2)
- 6 -
項目 利用可否
ASSIGN 句
(注 3)
ファイル識別名指定 ○
ファイル識別名定数指定 ○
データ名指定 ○
FILE STATUS 句 ファイル状態 ○(注 4)
LOCK MODE 句
AUTOMATIC
×:無効(注 5)EXCLUSIVE
MANUAL
RECORD KEY 句 ○
ALTERNATE
RECORD KEY 句指定できるキー項目の最大個数
98
(注 6)
レコード
キーの項目
英数字 ○
日本語 ○
符号なし外部 10 進数 ○
符号付き外部 10 進数 ○
符号なし内部 10 進数 ○
符号付き内部 10 進数 ○
符号なし 2 進数 ○
符号付き 2 進数 ○
キーの降順評価 ×:指定不可
多重項目キー ○
文
OPEN 文 ○
CLOSE 文 ○
READ 文 ○
WRITE 文 ○
REWRITE 文 ○
START 文 ○
DELETE 文 ○
プログラミング セッションシングルセッション ○
マルチセッション ○(注 7)
トランザクション操作(注 8)
開始 ○
確定 ○
取消し ○
分離レベル ReadCommitted
排他制御(注 9) 対象テーブルロック ○
レコードロック ○
1 セッションで可能な最大オープン数 128
1 システムでの最大セッション数 512
1 システムで可能な最大多重実行可能なプロセス数 100(注 10)
○:使用可能
- 7 -
×:使用不可
エラー :エラー終了します。
無効 :指定した動作が行われません。
指定不可:サポートしていないため、指定する方法がありません。
注 1)相対ファイル
COBOL ファイルシステムの相対ファイルなどを使用してください。
指定した場合、OPEN 文実行時、以下の COBOL エラーが発生します。
-“JMP0001I-U ファイルのオープンに失敗しました.”
注 2)OPTIONAL 指定
ファイルが存在しない場合、ファイルなしのエラーとなります。自動生成は行いません。
注 3)ASSIGN 句
ASSIGN 句はファイル識別名で行い、「3.1.5 COBOL 初期化ファイル」に指定することを推奨します。なお、PowerRDBconnectorではファイル識別名を一意の名前で指定してください。
注 4)FILE STATUS 句
入出力状態の詳細情報(FILE STATUS 02)は返却しません。指定した場合でも常に初期値が通知されます。
注 5)LOCK MODE 句
エラーとなりませんが、LOCK MODE 句で指定したロック機構は動作しません。
注 6)ALTERNATE RECORD KEY 句
指定できるキー項目の最大個数は、RECORD KEY 句と合わせて 99 個です。
注 7)マルチセッション
マルチセッションは、以下の環境で使用できます。
- 「NetCOBOL for .NET V3.0/V3.1」を用いてコンパイルし、かつセッションを制御するユーザーアプリケーションを作成した場合。
ASP.NET や Interstage などと連携するときは、マルチセッションのプログラミングが必要です。MeFt/Web のマルチスレッドモデルには対応していません。
注 8)トランザクション操作
トランザクション操作をするには、PowerRDBconnector が提供するトランザクションサブルーチンを CALL 文で呼び出します。トランザクションは、セッション単位に開始、確定および取消しができます。
注 9)排他制御
テーブルロックまたはレコードロックを指定します。
レコードロックは、PowerRDBconnector 動作環境ファイルの指定により行います。テーブルロックは、COBOL 初期化ファイルの指定と、PowerRDBconnector 動作環境ファイルの指定により行います。テーブルロックの指定方法は、「3.1.4 PowerRDBconnector 動作環境ファイル」、「3.1.5 COBOL 初期化ファイル」を参照してください。
- 8 -
注 10)1 システムで可能な最大多重実行数
同時実行できる最大多重実行数は、アプリケーションの処理内容(入出力文回数)、データベースおよび使用するハードウェア
(CPU、ハードディスク能力、データベースに割り当てる実メモリ)の要件に依存します。例えば、バッチプログラムの大量データ処理は、高負荷となるため、多重実行に耐えられません。
2.2.1.3 参考:データベースの機能範囲ここでは、データベースの機能範囲を入出力文で記述した COBOL の機能範囲に置き換えて説明します。詳細は、Oracle のマニュアルを参照してください。
表 2.3 参考:データベースの機能範囲項目 Oracle の機能範囲
ファイル定義ツールSQL*Plus
ユーティリティなど
ファイル
ファイルの最大サイズ(バイト) 無制限
ファイルの最大数 無制限
別名 シノニム
他データベースへのリンク データベース・リンク(注 1)
レコード
レコードの最大長(バイト) 2,000,000 (注 2)
レコード内の最大項目数(列数) 1,000
レコードの最大数(行数) 無制限
ファイル
管理記述
項
RECORD KEY 句
指定できる項目の最大個数 32
指定できる項目総長の最大(バイト) 設定依存(注 3)
ALTERNATERECORDKEY 句
指定できるキーの最大個数 無制限
指定できる項目の最大個数 32
指定できる項目総長の最大(バイト) 設定依存
多重項目キーに定義できる最大列数 32
トランザクション ○
リカバリ ○
バックアップ ○
1 テーブルに定義できるインデックス数 無制限
1 セッションで可能な最大オープン数 設定依存(注 4)
1 システムで可能な最大オープン数 特に記載なし
Oracle での機能範囲について
Oracle のマニュアルをもとに記載しています。詳しくは、Oracle が提供している情報を参照してください。
注 1)データベース・リンク
データベース・リンクおよびデータベース・リンクに定義したビューについて、Oracle では定義できますが、PowerRDBconnector はサポートしていません。
注 2)レコードの最大長(バイト)
Oracle のサポートする行長は 32,760 バイトより大きいですが、PowerRDBconnector のサポートする最大レコード長(32,760 バイト)に制限されます。
- 9 -
注 3)キー指定できる項目総長の最大(バイト)
Oracle のデータ・ブロックのサイズ(初期化パラメーター DB_BLOCK_SIZE によって指定される)に依存します。
注 4)1 セッションで可能な最大オープン数
1 セッション当たりの制限は、Oracle の初期化パラメーター OPEN_CURSORS に依存します。OPEN_CURSORS の見積もりについては、「3.1.3.6 OPEN_CURSORS の設定」を参照してください。
2.2.2 プログラミングスタイルここでは、次の 2 種類のプログラミングスタイルについて説明します。
・ シングルセッション
・ マルチセッション
2.2.2.1 プロセスとスレッドWindows は、実行するプログラムごとにプロセスを割り当て、各プロセスに、メモリ上のプログラムのコード、データ、オープンされているファイル、動的に割り当てられたメモリ資源など、OS の資源を割り当てます。
Windows は、CPU の実行時間をプロセス内に生成されたスレッド単位に割り当てます。
スレッドとは、CPU に実行時間を割り当てる最小単位です。つまり、1 プロセスの内部に多数のスレッドを生成することで、複数のコード(プログラム)を同時に実行することができます。
1つのプロセス内のスレッドは、プロセスの仮想メモリ空間やグローバル変数などを共有します。このため、スレッド間のデータ交換など
にかかる CPU 負荷が、プロセス間のデータ交換に比べて非常に小さくなります。
Windows は、プロセス内で複数スレッドを実行しない場合でも、CPU 時間の割り当てはスレッド単位になるので、プロセスが起動されると、少なくとも 1 つのスレッドを起動するようになっています。
2.2.2.2 シングルスレッド(プロセス)プログラムとマルチスレッドプログラムシングルスレッド(プロセス)プログラムとは、1つのプロセス内で、1 つのスレッドを実行するプログラムのことです。
それに対し、マルチスレッドプログラムとは、1つのプロセス内で、複数のスレッド(マルチスレッド)でプログラムを実行できるプログラム
のことです。
2.2.2.3 プログラミングスタイルとはPowerRDBconnector を使用する場合、「表 2.4 プログラミングスタイルごとの利点について」で示される 2 つのプログラミングスタイルが選択できます。
表 2.4 プログラミングスタイルごとの利点について
プログラミングス
タイル利点
シングルスレッ
ド(プロセス)で
の動作
マルチスレッドでの
動作
シングルセッ
ションプログラミ
ング
・ 1 プロセス上の全てのアクセスをデータベースと1つのセッションで実行します。
・ データベースとのセッションを意識せず、アプリケーションを作成できます。
○ ×
- 10 -
プログラミングス
タイル利点
シングルスレッ
ド(プロセス)で
の動作
マルチスレッドでの
動作
・ 既存 COBOL 資産のプログラミングスタイルを変更せずに開発できます。
マルチセッショ
ンプログラミング
・ マルチスレッドで動作可能なアプリケーションを作成できます。
・ スレッド単位にセッションを保持できます。
・ ASP.NET モデルで動作できるアプリケーションが開発できます。
○
(注)○
○:使用可能
×:使用不可
注)
マルチセッションプログラミングで作成されたプログラムは、シングルスレッド(プロセス)でも動作可能です。
シングルスレッド(プロセス)プログラムを、マルチセッションで作成する必要はありません。
“マルチスレッド”と“マルチセッション”という表現は似ていますが、本書では以下のように使い分けています。
- プログラムや OS 資源について関係がある場合には、プロセスやスレッド(マルチスレッド)という用語を使います。
- PowerRDBconnector を使ったプログラミングのスタイルについては、セッションという用語を使います。
2.2.2.4 シングルセッション1 プロセス上の全てのアクセスをデータベースと1つのセッションで実行する方式です。
シングルセッションのプログラミングスタイルを使用する場合、以下の章を参照してください。
表 2.5 シングルセッション使用時の各機能の説明機能 説明部分
セッションの使用方法 セッションを意識する必要はありません。
コンパイル方法 「3.1.6 コンパイル方法」
データベース認証の使用方法 「3.3.2 データベース認証の使用方法(シングルセッション)」
トランザクションの使用方法 「3.4.2 トランザクションの使用方法(シングルセッション)」
2.2.2.5 マルチセッションアプリケーションがセッションを複数開設して、セッションごとにデータベースへアクセスする方式です。
マルチセッションのプログラミングスタイルを使用する場合、以下の章を参照してください。
表 2.6 マルチセッション使用時の各機能の参照箇所機能 説明部分
セッションの使用方法 「3.2 セッションの制御方法」
コンパイル方法 「3.1.6 コンパイル方法」
データベース認証の使用方法 「3.3.3 データベース認証の使用方法(マルチセッション)」
- 11 -
機能 説明部分
トランザクションの使用方法 「3.4.3 トランザクションの使用方法(マルチセッション)」
2.2.3 認証機能Oracle では、OS 認証か、データベース認証かのいずれかで認証し、データベースにアクセスすることができます。
PowerRDBconnector は、どちらの認証方法も使用可能です。
・ OS 認証の場合
COBOL アプリケーションが動作するプロセスのユーザー ID でデータベースにアクセスできるよう、Oracle を適切に設定してください。
・ データベース認証の場合
COBOL アプリケーションの中から、認証情報登録サブルーチンを呼び出して、データベースが備えているデータベース認証(パスワード認証)を使用できます。
詳しくは「3.1.3.3 データベースにアクセスするための権限設定」と、「3.3 認証」を参照してください。
2.2.4 トランザクション機能複数のファイルまたは、複数のレコード間のデータ整合性をセッション単位で保証するために、COBOL アプリケーションからトランザクション操作(開始、確定、取消し)を行うことができます。詳しくは、「3.4 トランザクション」を参照してください。
図 2.6 トランザクション機能
2.2.5 排他制御アプリケーションが多重動作するシステムにおいて、データの内容を保証するため、テーブルやレコードに対してセッション単位でロック
(排他制御)を行います。
PowerRDBconnector では、Oracle の排他制御を利用して、レコードロックと、テーブルロックのいずれかを選択できるようになっています。Oracle の排他制御は、トランザクション機能と密接に関係しており、同時に複数のファイルを更新する際は、特に注意が必要です。
- 12 -
詳しくは、「3.5 排他制御」を参照してください。
2.3 システム構成本節では、システムを構成するソフトウェアと運用環境について説明します。
2.3.1 必要なソフトウェアPowerRDBconnector を使用するには、以下の製品が必要です。
2.3.1.1 開発時のシステム構成
(1) OS
以下のいずれかの製品が必要です。
・ Windows 2000 Server Service Pack 4
・ Windows 2000 Advanced Server Service Pack 4
・ Windows Server 2003, Standard Edition Service Pack 2
・ Windows Server 2003, Enterprise Edition Service Pack 2
・ Windows Server 2003, Standard Edition Release 2 Service Pack 2
・ Windows Server 2003, Enterprise Edition Release 2 Service Pack 2
・ Windows Server 2003, Standard x64 Edition Service Pack 2 (注 1)
・ Windows Server 2003, Enterprise x64 Edition Service Pack 2 (注 1)
・ Windows 2000 Professional Service Pack 4
・ Windows XP Professional Edition Service Pack 2/3
・ Windows Vista Business Service Pack 1 (注 2)
・ Windows Vista Enterprise Service Pack 1 (注 2)
・ Windows Vista Ultimate Service Pack 1 (注 2)
注 1) 64 ビット環境で使用する場合の注意事項
- WOW64(Windows 32-bit On Windows 64-bit)サブシステム上での 32 ビット動作のみサポートしています。
- 64 ビット OS を使用するときは、64 ビットの Oracle と、32 ビットの Oracle クライアントを同時に使用してください。
- 64 ビットの COBOL アプリケーションからは使用できません。
注 2)
Windows Vista で、Oracle10g Release2 を使用するときは、Oracle10g にパッチ(PSR10.2.0.3.0 以降)を適用してください。
(2) COBOL
以下のいずれかの製品が必要です。(注 1)
・ NetCOBOL Base Edition for Windows V7.0
・ NetCOBOL Standard Edition for Windows V7.0
・ NetCOBOL Professional Edition for Windows V7.0
・ NetCOBOL Base Edition 開発パッケージ for Windows V7.2/V8.0
- 13 -
・ NetCOBOL Standard Edition 開発パッケージ for Windows V7.2/V8.0
・ NetCOBOL Professional Edition 開発パッケージ for Windows V7.2/V8.0
・ NetCOBOL Base Edition 開発パッケージ V9.0/V10.0.0
・ NetCOBOL Standard Edition 開発パッケージ V9.0/V10.0.0
・ NetCOBOL Professional Edition 開発パッケージ V9.0/V10.0.0
・ NetCOBOL Base Edition for .NET V2.0
・ NetCOBOL Standard Edition for .NET V2.0
・ NetCOBOL Base Edition 開発パッケージ for .NET V2.1/V3.0/V3.1
・ NetCOBOL Standard Edition 開発パッケージ for .NET V2.1/V3.0/V3.1
・ NetCOBOL Enterprise Edition 開発パッケージ for .NET V3.0/V3.1
注 1)
NetCOBOL に含まれている PowerCOBOL はサポートしていません。
(3) データベース
PowerRDBconnector をインストールするコンピュータ内か、ネットワーク接続された Windows のサーバコンピュータ内に、以下のいずれかの製品が必要です。
・ Oracle9i Client (クライアントコンピュータのみ)
・ Oracle Database Client (クライアントコンピュータのみ)
・ Oracle9i Database Enterprise Edition Release 2 (注 1)
・ Oracle9i Database Standard Edition Release 2(注 1)
・ Oracle9i Database Standard Edition One Release 2(注 1)
・ Oracle9i Database Personal Edition Release 2(注 1)
・ Oracle Database 10g Enterprise Edition Release 1 (注 2)/ Release 2
・ Oracle Database 10g Standard Edition Release 1 (注 2)/ Rel