48
IMCE IMCE Kyushu University Kyushu University 有機薄膜研究会 2009.7.10 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料 配付資料 九州大学先導物質化学研究所 藤田 克彦 藤田 克彦

有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

有機薄膜研究会 2009.7.10

有機デバイスのための有機薄膜配付資料配付資料

九州大学先導物質化学研究所

藤田克彦藤田克彦

Page 2: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

t tcontents有機半導体デバイ 期待1. 有機半導体デバイスへの期待

2 有機デバイスの基礎と薄膜に求めら2. 有機デバイスの基礎と薄膜に求められる性質

1 キャリア輸送1. キャリア輸送

2. キャリア注入

3. 低分子と高分子

4 薄膜作製技術と積層構造制御4. 薄膜作製技術と積層構造制御

Page 3: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

有機デバイス

有機FETの構造有機ELの構造

有機FETの構造

有機半導体は超薄膜(数10 数100 )で使用される有機半導体は超薄膜(数10~数100 nm)で使用される。

Page 4: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

有機エレクトロニクスの利点有機エレクトロニクスの利点• 低コストプロセス: wet-process (from solution)低コストプロセス: wet-process (from solution)

• 大面積: printing technology

フレキシブル• フレキシブル

• 材料の多様性 ⾼分⼦系材料への期待

有機エレクトロニクスの問題点有機エレクトロ クスの問題点• 低い導電性低 導電性• 耐久性(素⼦寿命) 新規材料開発

Page 5: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

有機半導体製膜プロセス有機半導体製膜プロセス乾式プロセス 真空蒸着 湿式プロセス スピンコート乾 真 蒸着 湿

湿式プロセス インクジェット

Page 6: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

塗れる半導体 の期待塗れる半導体への期待

高分子有機ELテレビTMD HPより

フレキシブル基板上に作製した高精細有機FET素子TMD HPより

太陽電池でも超低コスト大面積化の可能性から注目されている。

Page 7: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

有機デバイスの基礎と薄膜に求められる性質

最も研究の進んでいる有機ELを例に最も研究の進んでいる有機ELを例に

Page 8: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

Page 9: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

真空準位

EA

3.7eV

2.1eV

Ip

EA-

ルギー

ITO

MgAgIp

エネル 陰極

5.0eV

5.5eV+

陽極

1.キャリア注入:陽極からプラス電荷(ホール)、陰極からマイナス電荷(電子)の注入

2.キャリア移動:注入されたホール、電子の移動

3.ホール、電子の再結合(再結合しなかったホールと電子は対極に到達して消失)

Page 10: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

発光原理2 1 V真空準位

EA 発光原理

1.キャリア注入:陽極からプラス電荷(ホール)、陰極からマイナス電荷(電子)の注入

TPD

Alq3ITOMgAg3.7eV

3.1eV2.1eV

Ip

EA

ル)、陰極 ら イナ 電荷(電子)の注入

2.キャリア移動:注入されたホール、電子の移動

3.ホール、電子の再結合(再結合しなかったホールと電子は対極に到達して消失)

Alq3ITO4.8eV

5.5eV5.8eV

ルと電子は対極に到達して消失)

4.再結合による励起状態の生成(1重項)

4`再結合による3重項励起状態の生成(不純物

正孔注入

電子輸送正孔輸送

電子注入

再結合 項励起状態 成( 純物上での直接失活)

5.1重項励起状態の移動

5` 1重項励起状態の異性分子へのエネルギ

再結合

5 1重項励起状態の異性分子へのエネルギー移動

6.1重項励起状態からのフォトンの放出

1重項励起子

3重項励起子

S1項間交差

6` 1重項励起状態からの失活(熱)

7.放出されたフォトンの素子外への取り出し

7`放出されたフォトンの素子内で消失

S1 T1

蛍光 内部転換 燐光 項間交差

7 放出されたフォトンの素子内で消失

S0, 基底状態

Page 11: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

有機ELの発光メカニズム

1. キャリア注入過程

2. キャリア輸送過程

3. キャリア再結合過程

4 発光過程4. 発光過程

5. 光取り出し過程光取り出し過程

1,2は太陽電池でも重要

Page 12: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

有機半導体のキャリア輸送のモデル化有機半導体のキャリア輸送のモデル化

インピーダンス解析などではマルチプルトラップを考えたバンド伝導モデルが較 が ピ グ用いられ、移動度を比較的よく再現しているが、アモルファス薄膜ではホッピング

伝導モデルを使うべき

Page 13: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

ガウシアンディスオーダーモデル

ガウシアン分布する状態密度の幅幾 デ ダ幾何学的ディスオーダーパラメーター

σは分子の持つ双極子の局所的な偏りが主な起源: 凝集状態、分子配向分 持 双極 局所 偏り 起源 凝集状態、分Σは分子間距離の分布: 分子の形状、凝集状態

Page 14: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

ディスオーダーの起源

• 蒸着膜でもアモルファスと標記されているが、分子の異方性から配向をもつ。

• 界面での基板との相互作用により分子の• 界面での基板との相互作用により分子の配向や凝集状態が規制される

純物 よる分子 凝集 溶媒と 親和• 不純物による分子の凝集、溶媒との親和性による相分離

Page 15: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

キャリア輸送と薄膜構造

• 同じ材料であれば、状態密度の分布を狭く、ホ ピングサイトの距離を 定に保つことでホッピングサイトの距離を一定に保つことで移動度を高く持って行くことができる。

→ 単結晶が一番(当たり前)

→ 凝集や基板による配向規制を減らす→ 凝集や基板による配向規制を減らす

→ 多結晶性膜はトレードオフによって今

のところアモルファス以上の移動度を出しているいる

Page 16: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

1 キャリア注入過程1.キャリア注入過程

真空準位

電界によるポテンシャルエネルギー

金属の仕事関数

電界によるポテンシャルエネルギー

金属電極 有機層 金属電極 有機層

(a) ショットキー放出機構(熱電子放出、外部電界とポテ

ンシャルの重ね合わせによる生じる金属/有機層界面のポテンシャル障壁をキャリアが熱励起により超える。)

(b) トンネル機構(量子力学的なトンネル効果によって、障壁を超えた電荷注入が起こる。)

両機構ともに働いていると考えられている。

キャリア注入層を挿入するとエネルギー障壁を低減することができる。

Page 17: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

Page 18: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

Page 19: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

ホール注入層と電子注入層ホール注入層と電子注入層

ホール注入層材料 電子注入層材料注入層材料 電 注入層材料

Ca,BaLiF,NaFEA

MoOx

CsCO3IpEA

ITO

5.0eV

ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸

PEDOT:PSSPEDOT:PSS

Page 20: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

電極とオーミック接合されたNPD薄膜の正孔電流はSCLCに従う

<空間電荷制限電流法(SCLC)>

3

25.0

00 89.0exp89

LV

LVJ r

8 LL

J : 電流密度(mA/cm2)εr : 比誘電率ε0 : 真空誘電率(F/m)μ0 : ゼロ電界における正孔移動度(cm2V-1s-1)β プ ル フレンケルフ クタ ( 0 5V 0 5)β : プール・フレンケルファクター(cm0.5V-0.5)V : 駆動電圧(V)L : 膜厚

出典 : T. Y. Chu and O. K. Song, Appl. Phys. Lett. 90, 203512(2007)T. Matushima, Y. kinoshita, and H. Murata, Appl. Phys. Lett. 91, 253504(2007)T. Matushima, G. H. Jin, and H. Murata, Appl. Phys. Lett. 104, 054501(2008)

Page 21: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

Device(ITO/HIL/NPD/Al)のJ-V特性

104■ ITO/HPS Au/NPD/Al◆ ITO/NPD/Al

102

]◆ / /● ITO/PEDOT/NPD/Al+ SCLC

NPD(50nm)

Al

100

[mA

/cm

2 ]

ITO

HIL

(50 )

10-2

nt d

ensi

ty

Hole Injection LayerHPS Au (50nm)

10-6

10-4

Cur

ren HPS Au (50nm)

HPS (50nm)PEDOT(40nm)

10-8

10

0 1 1 100.1 1 10

Voltage [V]

Page 22: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

界面バッファー

• 電極と有機半導体を接合させ、注入障壁を下げる。

• メカニズムはよくわかっていない。メカニズムはよくわかっていない。

• 下部電極上には湿式製膜できて、不純物拡散のないバ 材料の開発がかぎ拡散のないバッファー材料の開発がかぎ

• 上部電極は蒸着時にどのようなことが起上部電極は蒸着時にどのようなことが起こっているのかを解明する必要がある。

Page 23: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

低分子と高分子

Page 24: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

キ リ 輸送材料に求められる性質キャリア輸送材料に求められる性質

高いキャリア移動度を示すことガラス転移温度が高いことガラス転移温度が高いこと電気化学的に安定であること(酸化還元の反復に耐える)

(ホール輸送)IPが小さいこと(高いHOMO)(電子輸送)EAが高いこと(LUMOが低い)(電子輸送)EAが高いこと(LUMOが低い)

薄膜形成能が優れていること薄膜形成能が優れていること100nm以下の均一な薄膜を得られること

Page 25: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

低分子材料低分子材料

有機色素系

蛍光塗料・写真材料などの他分野で技術の蓄積があったため、最も報告されている種類が多い最も報告されている種類が多い

ジスチルアントラセン系

・昇華しやすい・固体状態で強い蛍光を得られる・固体状態で強い蛍光を得られる・精製しやすい・発光色の設計がしやすい・高分子ポリマー系に比べて寿命、発光効率がよい。 ペリレン系高分子ポリマ 系に比べて寿命、発光効率がよい。

・精製後に結晶が析出しやすい → ガラス転移点Tg以上で結晶化ペリレン系

Page 26: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

低分子正孔輸送材料、電子ブロック材料低分子正孔輸送材料、電子ブロック材料

Tg :  99℃

NN NN

N,N‘‐Bis(naphthalen‐1‐yl)‐N,N’‐bis(phenyl)‐benzidine (‐NPB)  N,N'‐Bis(3‐methylphenyl)‐N,N'‐bis(phenyl)‐benzidine (TPD)

Tg : 128℃

NN

Tg :  128℃

NN

DMFL-NPB N,N'-Bis(naphthalen-1-yl)-N,N'-bis(phenyl)-9,9-dimethyl-fluorene

T 170℃

NN

N N

Tg :  170℃Spiro-TAD 2,2',7,7'-Tetrakis(N,N-diphenylamino)-9,9'-spirobifluorene

NPBAPF 9,9-Bis[4-(N,N'-bis-naphthalen-2-yl-N,N'-bis-phenyl-amino)-phenyl]-9H-fluorene

Page 27: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

電子輸送材料 ホールブロック材料電子輸送材料、ホールブロック材料

NN NNN

O O

N

OXD 7 1 3 Bi [2 (4 t t b t l h l) 1 3 4 di 5 l]b

NN

BCP 2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10- phenanthroline

OXD-7 1,3-Bis[2-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazo-5-yl]benzene

NNy y

O

NN

PBD 2-(4-biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazole

NN

Bphen 4,7-Diphenyl-1,10-phenanthrolineNN

N N

TPBi 2,2',2''-(1,3,5-benzinetriyl)- tris(1-phenyl-1-H-benzimidazole)

Page 28: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

典型的な低分子系有機ELの構造

キャリアバランスをとるためキャリアバランスをとるためキャリア再結合確率を高めるため励起子が拡散して電極で失活するのを防ぐため金属種が有機活性層へ拡散するのを防ぐため金属種が有機活性層へ拡散するのを防ぐため

Page 29: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

高分子材料

・物理的強度が高い・塗布により素子作製が出来る 製造が容易

π共役ポリマー 色素含有ポリマー

π共役が広がり、剛直な主鎖を有する。 低分子色素をポリマー化したものキャリア輸送性や発光特性は低分子色素と。キャリア輸送性や発光特性は低分子色素と

基本的に変わらない。発光色やキャリア輸送性の制御に有利。

ポリフェレンビニレン(PPV) MEH-PPV

ポリビニルカルバゾール(PVK)

Page 30: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

フルオレン共重合体フルオレン共重合体

最近では製膜性のよさと発光色の制御が簡単なことからフルオレンの共重合体が広が広く用いられている

Page 31: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

高分子の分子量とEL効率高分子の分子量とEL効率

N

TFB単層型デバイスの発光効率-分子量

n

TFB

一分子に入ったキャリアは速やかに再結合するのではないか

共重合でまとめればいいのでは?共 合

Page 32: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

J AM CHEM SOC 2008 130 13120 13131J. AM. CHEM. SOC. 2008, 130, 13120–13131

ホール輸送性

電子輸送性電子輸送性

共重合共重合

Page 33: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

低分子系と高分子系

• 低分子系では精緻な積層構造により理論限界と思われる発光効率まで到達

• 高分子系では分子内キャリア輸送が期待• 高分子系では分子内キャリア輸送が期待できるが、まだ途上

Page 34: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

高分子系での三重項発光材料

ドーパントの均一分散が難しいことから、ペンダント型で結合させるものが主流

青色発光ではT1準位の高いホストポリマ の開発が課題青色発光ではT1準位の高いホストポリマーの開発が課題

Page 35: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

製膜技術開発と積層構造制御製膜技術開発と積層構造制御

Page 36: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

高分子超薄膜の製膜法高分子超薄膜の製膜法スピンコ ト法スピンコート法利点: 簡便で大面積化が容易

問題点 濃厚溶液が必要問題点:・濃厚溶液が必要 ~ 1 wt%

・塗り分けは不可

・異種ポリマーの積層は困難・異種ポリマ の積層は困難

インクジェットプリント法

利点:・ピクセル単位での塗り分けが可能

問題点:・濃厚溶液が必要 ~ 1 wt%

・異種ポリマーの積層は困難

・使用インクには厳しい制約

(粘度、揮発性 など)

Page 37: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

高分子EL(実用化デバイス)ではインターレイヤーの積層が行われている

TFB (~10nm)Ca/AlN

SN

F8BT (50nm)

F8BT

F8BT (50nm)

ITO/PEDOT:PSSN

n

n

F8BT (50nm)

EQE = 0.3% EQE = 2.1%

この報告以来 IL の使用は高分子ELの主流になりつつあるこの報告以来、IL の使用は高分子ELの主流になりつつある

Page 38: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

インターレイヤー(IL)の導入法

ITO/PEDOT PSS ITO/PEDOT PSS

TFB (20-30nm)① ②

ITO/PEDOT:PSS ITO/PEDOT:PSS

TFBをspincoat

180oC×1hのアニール後、溶媒でリンス

(TFB; Tg=145-150oC)

③ ④

ITO/PEDOT:PSS

TFB (~10nm)

ITO/PEDOT:PSS

発光材料をspincoat

不溶化し残留した10nm以下のTFB層が有効に働くとされている不溶化し残留した10nm以下のTFB層が有効に働くとされている

Page 39: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

素子特性比較 (EQE-J)( Q )

101

y (%

)100

effic

ienc

y

10-1

antu

m e

10-2

erna

l qua

●:A (single)▲:B (インターレイヤー)

10-3

10-3 10-1 101 103Ext

e

Current density (mA/cm2)

インターレイヤーの挿入により量子効率が向上タ 挿入 り量 効率 向

Page 40: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

結再結合サイトの移動

1. キャリア注入障壁の高さが電子と正孔で異なる2. キャリア移動度の電界強度依存性が電子と正孔で異なる

e ehigher fieldg

h h再結合サイトが電極から遠ざかる→ 電極による消光が減少し発光効率が増加→ 電極での反射光との干渉が変化しスペクトルが変わる

Page 41: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

高分子デバイスの高性能化には構造高分子デバイスの高性能化には構造制御を緻密に行える製膜法が必要

1. 均一かつ平滑な超薄膜を希薄溶液から作製1. 均 かつ平滑な超薄膜を希薄溶液から作製できること

2 ディスプレイのピクセルサイズでの精細度で2. ディスプレイのピクセルサイズでの精細度でポリマーの塗り分けができること

れぞれ ポ 溶液 じ溶媒を使3. それぞれのポリマー溶液に同じ溶媒を使用したとしても積層構造の構築が可能であること

Page 42: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

新規に開発したポリマー成膜法新規に開発したポリマ 成膜法Evaporative Spray Deposition using Ultra-ditule

Solution (ESDUS) 法の特徴Solution (ESDUS) 法の特徴

• 0.001%以下のポリマー超希薄溶液から、表面あらさ5nm以0.001%以下のポリマ 超希薄溶液から、表面あらさ5nm以下の平坦な薄膜を調製できる。

• 有機EL、有機太陽電池などの有機デバイスに適用可能で、機 、 機 陽 機 、スピンコート膜と遜色ない素子特性が実現できる。

• 線幅10m以下の高精細でポリマーの塗り分けが可能である。

• 異種ポリマーを同溶媒を用いて積層できる。

Page 43: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

ESDUS装置概略装置概略

エアロゾル 粒径 10N2 gas

1st chamber 2nd chamber

エアロゾル 粒径 <10 m

exhaust

気相での濃縮 0.5 μm FILTER

sample l ti

x-y positionernebulizernozzleheater

glass substratesolution ceramic heater

超希薄ポリマー溶液 (~ 1 ppm)

基板上への堆積Jpn. J. Appl. Phys. 41, L70 (2002)Patent Jpn, No. 3541294 (9 Apr. 2004)

Page 44: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

Device A (単層型)

Device B (IL型、180oC )

Device C ( ESDUS積層型130oC )

LiF/AlF8BT (85nm)

F8BT (65nm)ESDUS

LiF/Al

F8BT (85nm)spincoat

ITO/PEDOT:PSS

F8BT (85nm)spincoat

ESDUS

TFB(45nm)

180oC×1hのアニール後、キシレンでリンス (G.B.中)※

※吸光度より膜厚は約15 と見積もられた

130oC×20minのアニールのみ(リンスなし) (G.B.中)・スピンコートはG.B.中で実施

※吸光度より膜厚は約15nmと見積もられた

F8BT (住友化学提供、Mw=69,000)

・F8BT製膜後は80oC×20minのアニール (G.B.中)

・その後、大気開放されてから陰極を蒸着

素 は封止 ず タ ポ プ きながら駆動 測定

TFB (サメイション提供、Mw=267,000)・素子は封止せずにロータリーポンプで引きながら駆動、測定

Page 45: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

素子特性比較 (L-J-E)●:A (single)▲:B (IL)■:C (ESDUS bilayer)

105 1200 Cur■ C ( S US b aye )

103 800

e (c

d/m

2 )

rrent den

101 400m

inan

ce

nsity (mA

10-1 0

Lum A

/cm2)

10 00.1 0.3 0.5 0.7

Electric field (MV/cm)

ESDUS積層型素子は大幅に輝度‐電流密度‐電場特性が向上

型素子は発光開始電場が低くなるものの 電流密度 電場特性が劣るIL型素子は発光開始電場が低くなるものの、電流密度‐電場特性が劣る

Page 46: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

素子特性比較 (EQE-J)( Q )

101

y (%

)

◆単層型、IL型

急激な右肩上がり100

ffici

ency

急激な右肩上がり

10-1

antu

m e

◆ESDUS積層型

4桁の電流範囲にわたって

10-2

erna

l qua

●:A (single)▲:B (IL)■:C (ESDUS bilayer)

EQE=2%を維持し平坦な推移10-3

10-3 10-1 101 103Ext

e

Current density (mA/cm2)

■ C ( S US b aye )

y ( )

IL型に比べESDUS積層型は顕著に高い効率を示す比 積層 顕著 高 効率を す

Page 47: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

高分子デバイスの展望• 溶液からの調製が可能で、高いフレキシビリティと機械的安定性を有する高分子半導体は、今後の有機エレクトロニクスを主導する可能性を持つ可能性を持つ。

•高分子デバイスの薄膜構造はこれまで制御が難しく、それがデバイスへの展開を困難なものにしてきた。構造を緻密に制御することイスへの展開を困難なものにしてきた。構造を緻密に制御することで高分子デバイスの性能は飛躍的な向上が望める。

•素子構造の最適化と新材料の導入を系統的に検討することで従来の有機デバイスの性能向上を図るとともに、構造制御技術や新型複合材料の導入によってこれまでできなかった新しいデバイスの創製も活発になっていくと期待される創製も活発になっていくと期待される。

Page 48: 有機デバイスのための有機薄膜 配付資料kmt-iri.go.jp/yhk/05-04.pdfHIL (50 ) 10-2 n t density Hole Injection Layer HPSAu(50nm) 10-6 10-4 Curre HPS Au (50nm) HPS (50nm)

IMCEIMCEKyushu UniversityKyushu University

まとめ• 薄膜内のキャリア輸送では低分子では分子間のホッピングをもっぱら考え、完全なアモルファス膜を目指すか、逆にキャリア輸送の高い方向へのスタッキングを成長させる膜を目指すか の選送の高い方向へのスタッキングを成長させる膜を目指すか。の選択になる。

•高分子では低分子での方向性に加えて、キャリア輸送が速いと考高分子では低分子での方向性に加えて、キャリア輸送が速いと考えられる(未実証)分子内輸送を効率的に使い、分子間のホッピングをいかに減らすかという方向性が考えられる。

•電極/有機層の接合を促すバッファ層のメカニズムはまだよくわかっていない。乾式湿式に関わらず、バッファ層をうまく形成させることがデバイス作製の大きな鍵となることがデバイス作製の大きな鍵となる。

•デバイス化には様々な材料を積層させる必要があり、材料選択の自由度の高いプロセスが必要である。自由度の高いプ セスが必要である。