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山形大学医学部第38回生の 第81号 解剖学実習感想 …― 2 ― 造 を 学 ぶ た め に 必 要 な の か と い う こ と を 感 じ さ せ ら れ た。医

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    山形大学医学部第38回生の第81号    解剖学実習感想文特集

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― 1 ―

  第 一 班         

 

阿久津 吉 男

倉 島 真 一

相 馬   郷

石 川 明 雄

  この度、献体に快く応じて下さった故人とそ

のご遺族、そしてしらゆき会の方々といった多

くの方のご厚意により支えられた解剖実習を通

し、多くの貴重な学習の機会を与えていただく

とともに、自分が医学生である、ということの

自覚と自負を強く抱かせていただきました。

 私達医学生は医師を志すものとして生涯を通

し勉学に励み、常に自らを高めながら研鑚をし

続けなければなりません。特に今現在私達が属

する二年次は、今後更に医学を学んでゆく上に

おいて土台となる基礎医学を学ぶ大切な時期で

あり、その学習内容は多岐にわたり詳細を極め

ます。しかし、これに比して医師を志すものが

涵養すべき医師としての哲学や倫理といった事

項を学ぶ機会はごくごく限られたものでしかあ

りません。そのため、時に私達は膨大な知識の

海に溺れ、何のために、誰のために医学を学ぶ

のかといった目標を見失い、無味乾燥な知識の

吸収のみに専心する状況に堕してしまうことが

ままあります。

 このような状況に陥らず、私が医師を志した

時の初心を忘れずにいられたのは、解剖実習に

おいて常にご献体と向き合い続けられたからで

あると思っています。ご献体となられた方々へ

の黙祷から始まった解剖実習は、生命の神秘な

どといった手垢のついた言葉では表しきれない

ほどの驚きと感動に満ち満ちたものでした。哲

学の父といわれるソクラテスが哲学をして驚き

と言いえたように、実際の人体を観察、解剖を

しての人体構造の実習は、様々な解剖学の学習

書による机上の学習では学びえない鮮烈な印象

と共に、私の医師を志す気持ちを常に新しいも

のへと変えてくれました。そして、ご献体と初

めて対面をさせていただいた時から実習の度に

抱き続けた死への思いと、その裏返しとしての

生命への畏敬は、私に命とは、医療とは何か、

医師はいかにあるべきかという考えを巡らし続

けるようにと促してくれました。自ら考え、悩

み、思い至るというこの経験は、何物にも代え

がたい医療における哲学や倫理の実習でもあっ

たと思います。

 最後になりますが、実習に際し、暖かくも時

に厳しく指導して下さった、内藤輝教授をはじ

めとする解剖学第一教室の先生方に心より御礼

申し上げるとともに、生涯を通して貴重な経験

となった解剖実習を支えて下さった全ての方々

に改めて御礼申し上げたいと思います。ありが

とうございました。

 解剖学実習を二年生になってから行うという

ことを一年生の時に先輩方から耳にしていたが、

その頃の自分には全くイメージが湧かなかった。

薬品の匂いがきつい、最初にご献体と向き合っ

た時は具合が悪くなる人がいる程度のことしか

想像できなかった。

 初めての解剖学実習の時の緊張感は今までに

味わったことのない不思議なもので、たくさん

の感情が入り混じっていた。ご献体の体に初め

て触れた時は、自分はこれからこの方から医学

を学ばせてもらうという気持ちが湧いて出てき

て、感謝の気持ちを込めて頭を下げた。

 解剖を始めると、驚きの連続であった。実習

を始める前に、必ずその日に行うことの内容確

認、つまり予習をして臨む。この予習で自分は

図譜などをみて人体のこの部分はこのような構

造をしている、というようなことを学習するの

であるが、実際に行ってみるとまるでわからな

くなった。そのあたりに存在するはずの神経が

見つからない、神経が剖出できてもそれが何と

いう名称なのか、どうつながっているのか確認

できないといったことが多々あり、先生方にご

指導を仰いだ。こういったことが起こるたびに、

解剖学実習がいかに有意義で、人体の正確な構

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造を学ぶために必要なのかということを感じさ

せられた。医師は経験で実力をつけていくとは

よく言われるが、全くその通りであると思う。

 解剖学実習で最も印象に残ったこと、それは

人体がいかに精巧に、神秘的につくられている

かということであった。血管、神経、内臓など

は複雑に絡み合い、思わぬところで関係を持っ

ていたり、不備が起こった時にそれを補う機構

があったりだとか、そういったことを学ぶたび

に、ご献体が血の通った尊い生命であったとい

うことを感じた。解剖という大変貴重な勉強の

場を与えてくださったご献体の方、そのご遺族

の方々に深く感謝し、良い医師になれるようこ

れからも勉学に励もうと思う。

 この度は、人体解剖実習という得難い貴重な

体験をさせていただき本当に感謝しています。

ご献体ならびにご遺族の方々、解剖学第一講座

の諸先生方に御礼申し上げます。

 実習初日、まず黙祷が行われました。その時

の私は人の体にメスを入れるということに不安

や恐怖、献体してくださった人の思いを無駄に

は出来ないという緊張感でいっぱいで正直倒れ

るのではないかと思う精神状態でした。それで

も実習が始まるときにはそのような思いは消え、

人体に対する純粋な興味とこの貴重な経験を無

駄にせずに学ぼうという思いのおかげで、おっ

かなびっくりとはいえ実習を進めていくことが

出来ました。

 医学の本格的な勉強は二年生から始まる為、

持っている知識は少ないですが、解剖を進めて

いくうちにそれまでの勉強で覚えたものや新し

く授業ででたものなどを目にし、手で触れるこ

とで人間の体がいかに精密にできているかとい

うことを学び、そのことに対する喜びとともに

もっと詳しく知りたいという欲求がでてくるよ

うになりました。しかし実習は教本通りにはい

きません。文章や図を何度も見返しながら筋や

血管、神経などの構造を理解しようと毎時間四

苦八苦しながら、時には先生方の力を借りるこ

とでなんとか進めているような状態です。です

が、この実習は確実に自分の身になっていると

いう実感を強く持つことができ、また解剖を行

うことで自分が医学生であるという自覚を持ち、

医師になろうという意志が一層強くなったよう

に思います。

 最後にこのような貴重な学習の場を支えて下

さった全ての方々への感謝の気持ちを忘れず、

この実習が無駄にならないよう、これからより

一層気を引き締めて医学の勉強をしていこうと

思います。

 私はこの解剖実習を行う二年生をやるのが二

回目でした。去年、体調不良により前期の途中

で休学をしたからです。

 去年休学をしてからしばらくは、私は自分の

体調以外のことについては落ちついて考えるこ

とができませんでした。しばらくして体調が良

くなってきた頃、私には自由な時間がたくさん

あるということに気づきました。それゆえ、一

度立ち止まって今までのことや、これからにつ

いてゆっくりと考えてみることにしました。

 そのなかで私は、なぜ医学部へ入学したか、

ということについて考えることがありました。

この理由ですが単純に、私は医師になってやり

たいことがあったからです。そして目標となる

理想像もありました。ところが振り返ると、私

はいつの間にかその理由や目標を忘れてしまっ

ていて、目的も定まらないまま日々をすごして

いたのです。しかし時間がたつにつれて、私は

当初の理想や目的を思い出しました。そして今

後は、それを目標にしてすごしていこうと考え

ました。

 そこで、医学部での勉強について特に、解剖

実習について考えました。この実習は今後医学

を学んでいく上で非常に重要で、また卒業して

医師になってからも大切なものになると思いま

した。つまりこの実習をしっかり行うことで基

礎ができ、理想像への強い地盤になると考えた

のです。私はまず、何よりもこの実習を真面目

にやろうと思いました。

 そして今、実習も終盤にさしかかっている頃

にこの文章を書いています。今までの実習を振

り返ると、まだまだ不十分な点があると感じら

れますが、真摯な姿勢でやってこれたと思いま

す。これも班員のみんなや、先生方のご指導が

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あってのことです。どうもありがとうございま

した。最後まで実習を真面目にやりぬきたいと

思います。

 最後に、献体の方々やしらゆき会の方々へ。

皆様のご協力がなければ私たちはこの貴重な機

会を得ることができませんでした。ほんとうに

ありがとうございました。

  第 二 班         

安 島   宏

倉 田 吉 國

高 木   駿

長谷川 金太郎

  医学部に入学する前から、解剖実習は不安で

した。今まで生きてきた中で、解剖というもの

をやったことがありませんでした。魚をさばい

たことがある程度で、授業では「生のもの」を

見たことはなかったのです。当然メスを手に取

るのも初めてで、解剖道具を手に入れたとき、

眺めてどのように実習を進めていくのか想像し

ていました。そしてご献体と初めて対面しメス

を入れるとき、とても緊張したのを覚えていま

す。同時に、この貴重な機会にしっかりと勉強

しなければならないという責任を感じ、医師に

なりたいという気持ちが強くなりました。

 分厚い教科書を何冊も読みながら解剖学を勉

強していても、実習を進めていると、教科書と

は違うところや、そもそも書いていないところ

もありました。勉強が足りないところもあって

後悔が残ったこともありますが、座学で得た知

識と実習で得た知識とが身についてきていると

いう実感とともに、本当に小さな卵子・精子か

ら、ここまで精巧にできた人間の身体の複雑さ

を目の当たりにして、なんとも言えないような

不思議な感覚を覚えています。

 さて、今年は三月に大きな震災がありました。

新型インフルエンザや、温暖化による環境変化

など、新たな脅威となる話題も尽きません。社

会における医療人の役割はこれからも大事なも

のになっていくことは容易に想像がつきます。

これだけ医療が進んでも、難病や不治の病と呼

ばれるものも多くあります。簡単な道ではあり

ませんが、初めての実習で感じた気持ちを忘れ

ずに、五年後には医師として人を救えるよう、

勉学に励んでいこうという決意を新たにしたと

ころです。

 最後に、多くの人々の支えによって医学を学

ばせてもらっていることをこの実習を通して実

感しました。そのような意味においても、私に

とって有意義な時間であったと思います。この

ような機会をいただき、ご献体していただいた

方、ご遺族の方には大変感謝しております。本

当にありがとうございました。

 初めに御献体の方、御遺族の方の多大なる御

協力により解剖実習ができ、本当にありがとう

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ございました。これほどの多大なる御協力に報

いるべく将来よき医師になるために努力いたす

所存です。

 最初に御献体と対面した時はかなり緊張した

ことを今でも覚えています。人の死の重みを感

じたのだと思います。そして解剖への不安と戸

惑いの内に実習は始まりました。初めは体に触

れる事だけでも恐くて躊躇しましたが、体の無

駄のない効率的な構造を直に見れたおかげで勉

学がとても楽しいものと感じるようになり、神

経や血管がどのような走行をし周囲の組織とど

のように関わっているのか、筋はどこについて

いて、どのような働きをし、どの神経の支配を

受けているかなどに注目しながら実習を進めて

いきました。体の構造一つ一つが重要な意味を

持っていることを目で見て、手に触れて確かめ

られる事がとてもありがたく、知らないうちに

自然と集中して実習をしていました。特に手や

足の筋の走行の複雑さを見ると、手や足を自由

自在に動かすのにこれほどの数の筋が必要なの

かと驚き、普通に手や足が動くことは実は簡単

な事ではないのだと思いました。これほど体の

構造の複雑さを直に見ると、人の命はさまざま

な物事が複雑に関連しあって保たれていること

を改めて実感するとともに、いかに普通に生き

ている事がすごいことなのかを感じられ、自分

がこうして生きていられることがどれほどすば

らしく、幸福なことであるかを考えさせられま

した。

 今回のこの解剖実習は、僕にとって忘れられ

ないとても貴重で特別な体験となりました。医

師の使命の重さと重要さを改めて認識するとと

もに、自分達がいかに多くの人から貴重な御協

力を得ているのか、そしていかにしてこれに応

えていくかを改めて考えさせられました。まだ

具体的な進路は見えませんが、自分ができる最

大限の力で感謝の意を込めて社会に奉仕できる

医師になれるようこれからの人生を歩みたいと

思っています。最後にもう一度、御献体の方、

御遺族の方、実習に関わってくださっている方

達に感謝します。貴重な体験をさせて頂き本当

にありがとうございました。

 とにかく衝撃的。初めて御献体を目にした時、

私はそう感じました。初めての解剖の日は、つ

いに医学を学び始めるということに緊張のよう

な気持ちしか抱いていませんでした。だから最

初に御献体が運び込まれて自分たちの解剖台に

置かれた時に絶句してしまったのだろうと感じ

ます。そのあとしばらく経ってようやく自分の

気持ちを高めてしっかり解剖に取り組むことが

できるようになりました。

 解剖を実際に行って、自分が感じたことは大

きく分けて二つあります。一つは、人の体がこ

んなにも複雑でかつ精巧にできているというこ

とです。これには非常に深い興味を覚えるとと

もに感嘆に近い気持ちを抱きました。人はみな

一人ひとり神経や筋、血管の流れやつき方は若

干違うけれども重要な部分は同じ構造をしてい

ます。この共通する構造が、人にしかできない、

細かく多彩な動きを生みだしているのだと感じ

ました。そして、もう一つは人がもつ心や精神

といった形のないものの存在がどこからきてい

るのかという疑問です。これは今は解けそうも

ない疑問ですがいつか解明したいと思います。

 そんないろんな思いを抱いて、解剖から得ら

れるもの、それはおそらく医師になるために最

も重要な基礎の一つであると思います。確かに

教科書を読めば色つきの画像もあるし説明もふ

んだんに載っているでしょう。でも尚、この解

剖の授業はメリットを多く持つと感じます。何

より、自分の手で解剖しながら目的の部位を探

し出す。この行為がどんなに鮮明でわかりやす

い説明と画像が載っている教科書にも勝るのだ

と思います。解剖を学び終えた上級生が、見学

に来ることもうなずけます。そんな大切な実習

をさせていただいているという感謝の気持ちを

忘れず、最後まで気を緩めずに、真摯に解剖に

向き合っていき、立派な医師になりたいです。

 解剖実習が始まり、初めて御献体を目の前に

した時、その存在感に圧倒されました。そして、

初めて見る御献体に、何とも言えない恐れと勉

強させていただけるという感謝の気持ちを抱き

ました。そして、私達に身体を預けてくださっ

た故人の気持ちに応えられるよう、すばらしい

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実習にしようと思いました。

 しかし、それから一か月半程過ぎた頃、生活

の忙しさや勉強の難しさを言い訳にして、私は

情けない事に、初めのころの積極的な姿勢を

失っていました。ある時は、集中力を欠き、多

くを得ることなく実習が終わってしまうことも

ありました。解剖実習をちゃんとやらなければ

ならないと頭では分かっていたのですが、やら

なくて困るのは自分だけだし他の人に迷惑をか

けなければいいや、という消極的な姿勢になっ

ていました。それからしばらく経ち、このまま

ではよくないなと考えていた時、御献体が紛れ

もなく生きていた人であったのだという当たり

前のことをわすれていたことに気付きました。

そもそも、この実習は故人の気持ちがあっては

じめて成り立つものであったはずなのに、私は

いつしか実習ができることを当たり前のことだ

と勘違いしていたのです。そう思うと同時に、

故人やその御遺族の心を忘れていた自分が恥ず

かしくなりました。そして、今からでも恥ずか

しくない実習にしよう、と思いました。それか

らは、解剖実習に積極的に取り組むようになり、

多くの事を学ぶことができました。

 最後に、解剖実習を通して、将来私が医師に

なる時は自分の弱さに負けず、患者さんをいつ

も大切に出来る医師になりたいと思うようにな

りました。この思いを大切にしてこれからも勉

強していきたいと思います。また、多くの事を

気付かせてくれたこの解剖実習に携わっていた

だいた全ての方に感謝いたします。ありがとう

ございました。

  第 三 班         

安 達 幸 輔

栗 原 俊二郎

高 田 和 尚

水 野 祐一郎

  まず初めに、私たちが解剖実習を行うにあた

り、献体になっていただいた方々とその御遺族

の方々に感謝の意を述べさせていただきたいと

思います。皆さまのおかげで解剖実習という貴

重な経験をさせて頂き、人体の構造への理解を

深め、医学という道をまた一つ進むことができ

ました。本当にありがとうございました。

 解剖実習を振り返ると、驚きと戸惑いの連続

であったと感じます。実習初日、初めて献体と

向かい合い、いざ第一刀のメスを入れようとし

たとき、とても不安になり、慎重に戸惑いなが

らメスを入れたことは、今でもよく覚えていま

す。最初は皮膚の下の血管や神経、筋を観察し

ていきました。血管や神経の走行は思っていた

よりも遥かに複雑で、教科書の図や写真であら

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かじめ確認していても、実際に血管や神経の種

類を区別することは大変でした。当たり前の話

なのですが、人体の構造は全てが一致するわけ

ではなく、人それぞれ微妙に違っていることを

強く認識させられました。実習が進み、内臓の

解剖に差し掛かったとき、特に印象に残ったの

は心臓の取り出しでした。血液の循環の要であ

る心臓は、多くの血管で他とつながっていて、

その血管の大きさ、太さに驚きました。それら

をよく観察した後切り離し、心臓を手に取って

みると、思いのほか大きく、そして重く感じま

した。その後順次内臓器を確認して、脳幹、頭

部及び骨盤内臓の解剖を行っていきました。実

習では、座学だけではイメージのしづらかった、

血管や神経のつながり、筋のつき方など、人体

の構造の理解をより深めることができました。

 私はまだ二年生であり、医学を学び始めたば

かりの駆け出し者ですが、今回の貴重な体験を

決して無駄にすることなく、日々勉学に励んで

いきたいと思います。

 最後にもう一度、献体になってくださった

方々とその御遺族の方々に感謝を申し上げたい

と思います。本当にありがとうございました。

 山形大学医学部に入学して早一年が経った。

大学でも第一学年では教養科目が多かったのに

対し第二学年になると毎日が専門の授業、すな

わち医学の授業であり、医師を志す自分にとっ

ては気合いの入ることであった。最初に受ける

科目が「解剖学」。ただ単に「解剖」と聞くと、

フナの解剖やカエルの解剖といったような、や

やもすると気持ち悪い単語に聞こえてしまうか

もしれないが、この学問は医学を学ぶにあたっ

ての一番の土台となるとても重要な学問である。

医学とは心身の正常ではない部分を治療するた

めのものであり、そのためにはまず正常とは何

かを知っておかなくてはならない。この人間の

身体の正常な構造を知ることが今回の一番の目

的であり、医師になるための最初の一歩である。

 解剖学を履修する前と後で考え方が変わった

点がある。それは御献体を使わせていただいて

の解剖実習の必要性についてである。今までに

多くの先生達によって数々の研究がおこなわれ、

人体についてのより多くのことが分かっている。

それらは論文として発表され、今の時代にはそ

れらが医学の教科書として書かれており、医学

生はそれらを使用して知識を増やしていく。こ

の知識は過去の多くの研究をふまえたもので信

憑性がある。最初のころはこれを丸覚えするの

が最も良いのではないのか?解剖実習など必要

ないのではないか?など考えていた。

 確かにただ知識として知るだけならそれでい

いのかもしれない。だが、私達は将来医師とな

り、患者さんの身体のことを誰より理解して治

療という行為をするのである。時には手術とい

うこともあるだろう。そのとき必要なのは知識

だけではない。準備から片付けまで、医師とし

ての責任や心構えまで身をもって学んだ。いざ

手術といったときに、実践的に学んだこの実習

での成果がどんなに役に立つだろうか。この実

習があることで医師になるための第一歩を踏み

出すことができたと実感している。これを基盤

に、一人前の医師になれるように今後も精進し

ていきたい。

 五月初めの連休が明け、震災の影響で延期に

なっていた授業がようやく始まりました。山形

大学医学部のカリキュラムでは、この二年生か

ら本格的に医学の勉強が始まります。そのス

タートとしてまず学ぶことが、我々の体はどの

ような構造・機能をしているのかについて学ぶ、

人体構造学なのです。

 五月二十日、私は、初めて班に割り当ててい

ただいたご献体と対面しました。解剖がいよい

よ始まるのだなと思うとともに、医学のために

ご自身の体を提供してくださったご献体の方へ

の感謝の気持ちを常に持ち、学ばせていただく

という謙虚な姿勢で、毎回の解剖実習に真剣に

のぞまなければいけないと強く感じました。

 実習は主に、教材に従って進めていく形だっ

たのですが、いざ複雑に構成されている人体の

構造に向き合うと、勉強不足だったり手際がよ

くなかったりと、戸惑うこともありましたが、

先生方は必要な部分をわかりやすく説明してく

ださり、丁寧に指導してくださいました。やが

て実習の手順にも慣れてきて、落ち着いて、神

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経や血管、筋、臓器などの観察ができるように

なりました。本や参考書を読むだけではよくわ

からなかったり、イメージのつきにくい所など

については、よく見て観察することによって、

特に理解が深まったことは言うまでもありませ

ん。また、実習をしながら何度も思ったことは、

人体は複雑でありながらも、とても理にかなっ

た構造をしているということです。将来私が医

師になったときに、この解剖実習を通じて得た

知識や経験は必ず生かされると思うと、熱の

入った解剖ができました。

 未来の医学のために自らの体を提供してくだ

さったご献体の方、そしてそのご遺族の方々、

また、実習を親切にサポートしてくださった先

生方に対する感謝の気持ちを忘れずに、これか

ら先も医学の勉強に励んでいきたいと思います。

 今回の解剖実習で僕は生まれて初めて亡くな

られた方の姿を見ました。ご献体を目にして足

が怯みそうになりました。ご献体にメスを入れ

させていただいたときの緊張感、感触は今もま

だ手の中に残っています。

 次々と明らかになっていく皮膚、神経、筋、

そして各種臓器。友達と協力し、難しい説明が

書いてある本と格闘しながら人体の構造につい

て、頭の中に、体に覚えさせていきました。単

に各部位の説明を確認していくだけではなく、

手から伝わるメスの感覚や脂肪を取り除く作業

の難しさ、臓器の感触や筋の各種部位における

作用を直感的に理解することなどの解剖実習な

らではの経験、ならびにご献体の体を解剖させ

ていただく感謝と人体に対する尊敬の念など自

身の倫理観に対する考え方の変化といった精神

的な勉強を実習を通してさせていただきました。

とくに心臓を自身の手で取り出し、触れたとき

の心臓の美しさと人間の生命活動に触れたんだ

という尊敬の念、畏敬の念を今でもまざまざと

思い出すことができます。

 解剖実習が始まる以前は死というものに触れ

たことがなく、将来医師として生命を扱うとは

どういうことかあまりわかりませんでした。人

の体に触れてかかわっていく責任感というもの

を今までの勉強に感じることはありませんでし

た。医学部生として、また将来医師として生き

ていくのだという責任感、倫理観を学ばせてい

ただくことができました。ご献体のかた、そし

てご遺族のかたがたにご協力をしていただくこ

とによってこのような得がたい経験を得ること

ができ非常に感謝しております。同時にこれか

らも自分ひとりの力だけではなく、自分たちの

周りにいる方々に支えられて勉強ができるのだ

ということを忘れず、その協力に応えるために、

そのご恩に報いるために精一杯勉強をさせてい

ただきます。

 解剖に遅くまで協力していただいた先生方や

友達、そしてご献体になっていただいた方やそ

のご遺族の方に多大な感謝と敬意を表し、感想

文を閉じさせていただきます。本当にありがと

うございました。

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  第 四 班         

 

阿 部   駿

小 池   剛

高 田 志 考

三 村 紘 平

   この度解剖実習をさせていただくことができ

たのは、諸先生方及び御献体をしてくださった

方、並びに御遺族の方々のご協力の御蔭と存じ、

感謝申し上げます。私にとってこの度の解剖実

習は非常に新鮮な経験となりました。しかし正

直なところ、御遺体にメスを入れるのは躊躇い

がありました。それは、御遺体といえども人間

の体であるからです。恐怖とも違う、言葉にな

らない気持ちでした。しかし、御献体してくだ

さった方から少しでも多くのことを学ぶことが、

その方への誠意そして感謝の気持ちであるとい

う思いから、私の解剖実習は始まりました。

 実習では人間の体の精巧さを知ることができ

ました。人体模型や写真で見るのとは違い、複

雑であり、非常に細かく緻密な組織からなって

いることが分かりました。例えば神経一本をた

どっても、何回も枝分かれし、かつその枝が必

要な部位に伸びていることが観察できました。

筋を見ても、非常に沢山の筋が体中にあり、こ

れらを全て駆使して生活しているのだと思うと、

人間の体は世にあるどんな精密機械よりもずっ

とずっと精密にできているということが実感で

きました。これは解剖を経験したからこそ、自

分の脳内に鮮烈なイメージとして残すことがで

きたのではないかと思います。机上の勉強だけ

ではなかなか実感できないことも、自分の目で

確かめながら勉強することによってスムーズに

頭に入ってきたような気がします。勿論初めの

うちはほぼ手探りでした。しかし進めていくに

したがって次第に今自分が見ている器官は何を

するところなのか、そして自分は次に何をすべ

きなのか理解できるようになっていきました。

 解剖実習を通して、私は数えきれないほど数

多くのことを学ぶことができました。今後も解

剖実習で学び、感じたことを大切にして、でき

る限りの勉強をしていきたいと思います。

 人体解剖実習では二つの大きなことを学べた

と思います。一つは、人間の体の複雑さです。

人体解剖の教科書はカラーで見やすく、筋の形

状、臓器の位置や形、血管や神経の走行もそれ

を見れば手に取るように分かります。しかし、

ご遺体を解剖してみると教科書とはまるで違っ

ていました。血管や神経の走行は極めて複雑で

教科書とは異なる場所を走行していたり、筋の

つき方も思っていたような単純さではありませ

んでした。骨や筋、臓器、血管や神経を実際に

自分の目で見て、手で触れて、自分の頭で考え

ながら解剖を行なうことで、人の体は千差万別

であることを実感するとともに、教科書で勉強

するよりもはるかに印象強く、そして深く学ぶ

ことが出来たと思います。

 もう一つは、人体解剖実習は、自分がこれか

ら人の命を扱う医師になるのだということを強

く実感させてくれました。これまで自分は人の

死に対する機会がほとんどなく、実習が始まる

までは人の生命というものに対する意識は希薄

であったと思います。しかし、解剖実習におい

てご遺体を目の前にすると、人の生と死につい

て考えるようになりました。また、献体してく

ださった方のご遺志を考えると、この実習にお

ける自分の責任とともに、医師になることの重

みを実感しました。ここで感じたことは、一生

忘れないと思います。

 最後になりましたが、人体解剖実習という貴

重な機会を与えてくださり、本当にありがとう

ございました。献体してくださった方、またそ

れに対して理解を示してくださったご遺族の方

には感謝の念にたえません。これらの人たちの

思いに応えられるよう、今回の解剖実習の経験

を生かし、今後の勉学に勤しみ立派な医師とな

れるよう努めていきたいと思います。

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― 9 ―

 この解剖実習という体験は、これから医学を

学んでいこうとする自分にとって非常に意味の

あるスタートとなりました。頭でわかったつも

りになっている事柄と、実際にこの手で触れて

みる事の間にはやはり大きな違いがあるのだと

いうことを強く感じました。

 人体解剖実習が始まった時の正直な心境を告

白するなら、あの時自分の胸の中を占めていた

大きな感情は供怖さ僑だったと思います。御献

体に最初にメスを入れる瞬間の感触は今でも

はっきりと思い出すことができます。あれ以来

十数回に及ぶ実習を重ねてきましたが、自分の

心境には大分変化がありました。今あるのは、

将来医師となるための長い過程の礎となる段階

を経ている事の意義深さ、重要さに対しての責

任感です。この実習は今の自分に、医学を学ぼ

うと決めた時の気持ちを再び思い出させてくれ

ました。初心を再確認するとともに、これから

の道のりを歩んでいく心構えについて考えさせ

られる機会を下さった御献体の方、ひいてはそ

の御遺族の方々には本当に感謝しております。

医学の道を行く第一歩ともいえるこの解剖実習

で感じた様々な事柄は決して忘れることなく、

自分の中で一生涯大切にしていこうと思います。

 回数を重ねても、解剖を始める瞬間は毎回初

めのころと同じような緊張が伴います。冒頭で

も触れましたが、何かを学んでいく上では机に

向かってただ書物を暗記するより、実際にそれ

を目の前にして手で触れて確かめていく方が遥

かに生きた知識として身につくものであると感

じます。日々の実習では常に人体の造りの複雑

さ、精密さ、不思議さなどに対して新鮮な驚き

が絶えません。たった三カ月程の実習でしたが、

この間に自分が得た知識や感じたことはこれか

らの人生においても非常に意味のある事柄であ

るだろうと思います。この機会を下さった皆様

の期待に応えるためにも、これからもより一層

の精進をしていきたいです。

 まず最初に、この度とても貴重な体験をさせ

てくださったご献体の方やそのご遺族の方々、

またその他のこの授業に関わって下さった方々

に感謝の意を表します。

 人体解剖実習が始まる前までは人体にメスを

入れることによる精神的負担に耐えられるのか

どうか不安でした。そしてその懸念は的中し、

初期の頃は抵抗感を持ちながら実習を行ってい

ました。しかし実習を進めていくにつれ、課せ

られた課題をクリアすることに躊躇はなくなり、

集中して実習することができるようになりまし

た。

 こう書くと、「なんて不謹慎な」という印象を

持つのが一般的なのかもしれませんし、解剖実

習を始めた頃の私もそう思ったでしょう。しか

しよく考えてみた結果、ご献体に対する敬意の

念は、暗澹たる面持ちで解剖に臨むことで表さ

れるものではないと思うようになったのです。

私がとるべき姿勢は、ご献体を無駄にしないこ

と、学べることを学びきろうとすることだと思

います。それでも残念ながら努力が足りなかっ

たと思うこともあります。体力的、精神的未熟

さから授業を休むことや、予習を満足にできな

かった時もありました。

 しかし、反省する点もありますが、私にとっ

てこの解剖実習は多くの知識を得る貴重な経験

となりました。この経験を無駄にすることなく、

今後も勉学に励んでいきたいと思います。

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― 10 ―

  第 五 班         

阿 部 里 沙

小 出 眞 悟

高 橋 利 真

市 橋 雅 大

  私は先日、祖母を亡くしました。祖母は最期

まで頭がはっきりしていて、私たち家族の名前

を呼び、将来を気遣ってくれました。安らかな

表情をして、まるで眠っているかのようでした。

昨日まで息をしていたのに…と考えると、死と

いうものを理解するのは私には難しく、ただ涙

が溢れるばかりでした。

 初めて御献体を目の前にしたときは、そんな

祖母のことを思い出し、かつて生きていた人に

メスを入れることなんて、到底できないと思っ

ている自分がいました。しかし、御献体してく

ださった方の御遺志を考えると、この実習は決

して無駄にしたくないと思いました。御献体し

てくださるということはとても勇気がいること

だと思います。また、承諾してくださったご遺

族の方々も、深く悩まれたと思います。見ず知

らずの医学生の学習のために大切な家族を差し

出すのですから。もし祖母が献体登録をしてい

たとしたら快く承諾できたか、と問われれば、

私は自信を持って答えることはできません。た

くさんの方の御厚意の上で実習ができている有

難さを感じながら、震える右手にメスを握りま

した。

 実習が進み、人体の構造が徐々に明らかに

なってゆくたびに、驚きと感動の連続で、教科

書や図譜を見るのとは比べ物にならないくらい、

とても勉強になりました。血管や神経の走り方、

筋の付き方、各々の臓器がどのように守られて

いるかなど、この目で観察することができ、と

ても貴重な経験ができたと思います。人体がい

かに複雑な構造をなしているか身をもって学び、

今私たちが生きていることが自然の生み出した

奇跡なのだと実感しました。

 最後に、私たちの実習のために御献体してく

ださった方、そしてご遺族の方々には、本当に

感謝しています。たくさんの方々の手助けを受

け学習ができた分、将来医療という形で多くの

方々に貢献していきたいと思います。

 今年、震災の影響で大学は五月から始まりま

した。ついこの間まで他の大学生と変わらない

一般教養の講義を受けていましたが、二年生に

なっての講義や実習はそれまでの自分から大き

く変わらざるをえないほど専門的なものでした。

中でも最も自分に影響を与えたのが解剖実習で

す。私はそれが二年生で学習することは知って

いたものの、それがどういうものか想像するこ

とができませんでした。私は祖父母も健在なの

で遺体というものを見たことがありませんでし

た。そのため、献体を前に自分が平静でいられ

るか、ましてやメスを入れることができるのか

不安でした。

 初めて献体を目にしたとき、迫力を感じてい

る自分と冷静に見つめている二人の自分がいる

ような気持ちでした。そしてメスを入れたとき、

態度は冷静だったものの、手は震えていました。

それは恐怖からくるものではなく献体された方

に対する今まで感じたことのないくらい大きな

敬意からだったのだと思います。

 それから三ヶ月が経とうとしている今、初め

てメスを入れたときの感覚を忘れてはいけない

と思うのと同時に、医学的な興味を持って向き

あうことが献体に対する恩返しだとも思うよう

になりました。勉強不足から分からないことが

あったりすれば、さらに勉強を重ねる必要が生

まれ、普段の講義の大切さに気づくことも多く

あります。また、実際に触ってみると教科書を

見ているだけでは決して分からないこともたく

さんあると感じています。自分の学習のために

頂いた機会を無駄にしないように一回一回しっ

かりと実習を進めていきました。

 今回このような貴重な経験の場を与えてくだ

さった献体の皆様に感謝し、将来しっかりとし

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た知識を持った医師になりたいと思います。

 まずこの度は人体解剖実習という貴重な体験

をさせていただき、この実習に関わったご献体、

ご遺族の方々、そして先生方にお礼を申し上げ

ます。今回の実習は非常に多くのことを考えさ

せられた時間であると共に医大生としての自覚、

モチベーションを高める契機、そして自分の目

標への第一歩となる経験であったと感じていま

す。

 この解剖を経験するまで、私にとって人間の

身体の構造や解剖という言葉は本の中の知識、

授業中黒板を通して行う座学に過ぎませんでし

た。そのため、解剖初日に初めて人様の体にメ

スを入れ、それらが目の前にある現実となった

時の気持ちは恐らく一生涯忘れることのない大

切なものになるでしょう。

 まだ自分が高校生の頃に読んだ文章で、印象

に残ったものに「医学は他でもないご献体に

よって支えられている。」という言葉がありま

す。これは当たり前のことで自分でもわかった

つもりでいましたが、実習の回を追うごとに自

分には「わからないことだらけだった」という

ことに気づかされ、この言葉の意味を何度も咀

嚼することになりました。内臓の立体的な位置

関係や個人差、綺麗に層を形成して触ってみて

もはっきりとその違いを認識できる筋、そして

それらの間隙を縫い、時には貫いて存在する血

管や神経、これらはすべて実習を通して初めて

身についたと思えたことです。自分は全てのご

献体の方々及びその遺族の方々を心より尊敬し

ます。その身をすべて委ねる決断を下す気持ち

もそのような決断を下した家族をもつ気持ちも

きっと今の自分では想像できないほど崇高なも

のであると思うからです。医師になるためには

確かに医大生自身の努力、更には医師としての

経験を教授して下さる先生が必要です。しかし、

この二つを含め全ての基盤を築き上げたのはご

献体であり、だから「医学は他でもないご献体

によって支えられている。」のだと私は解釈し

ています。

 最後にもう一度、この機会を私たちに与えて

下さった全ての人々に感謝の言葉を申し上げま

す。本当にありがとうございました。いつかこ

の感謝の気持ちを医師として社会に貢献すると

いう形にして、たくさんの人に恩返しできる日

が来るように、これからも自分自身努力を惜し

まず、日々精進していきたいと思います。

 私は去年も解剖実習を経験しており、今年は

二回目の解剖実習でした。去年はメスを持つこ

とやご遺体を見ることなどすべてが初めてのこ

とで、戸惑ってしまった点がありました。しか

し今回は去年得た知識や技術を使い、去年より

もスムーズに進めることができました。

 臓器をはじめ、血管や神経が体中を張り巡ら

せている様子、様々な筋が重なり合っている構

造など教科書が与えてくれる以上のことを間近

で再確認することができ、人体の精密さや複雑

さを改めて感じました。そして、性別、病気、

年齢の違いによって臓器や血管、神経の位置や

大きさ、色が全く異なることは大きな発見でし

た。この経験、知識は今後医学を学ぶにあたり、

間違いなく大きな糧となることと思います。

 また、実習を通じて人と協力することの大切

さを改めて感じました。班員四人でお互い支え

あい、役割分担して作業を進めていったことは、

これからのチーム医療において必要不可欠な要

素であると思います。

 二年生は一年生の時とは異なり、専門教科や

テストが増えてきて学ばなければならないこと

が多くあり、実習期間が四ヶ月と短かったため

非常に多忙な生活をしていましたが、今思えば

非常に有意義な日々を送ることができました。

少しではありますが、また一歩医師に近づけた

のではないかと感じています。

 最後になりましたが、私たちの学習のために

ご遺体の提供を決断してくださった故人やその

ご遺族の方々、またこの貴重な経験を有意義な

ものにするために日々指導やアドバイスをくだ

さった先生方に深く感謝を申し上げます。あり

がとうございました。

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  第 六 班         

天 野 真太郎

後 藤   恵

高 橋 俊 樹

井 上 裕 希

  はじめに、私に人体解剖という大変貴重な体

験をさせていただいたことに対して、ご遺族の

方、ならびにしらゆき会の関係者の方々に御礼

申し上げます。最初の人体解剖を翌日に控え、

私は自分が不安と緊張に満ちていたことを覚え

ています。専門課程に入ってからはじめて「人

の命」と触れ合う機会を頂いて、自分なりに思

うところもあったのだと思います。そして翌日、

いざご献体と対面したとき、「これから医学を

学んでいくのだな」という実感が湧き、本当の

意味で医学生としての自覚を持つことが出来ま

した。また、教科書を読むだけでは絶対に感じ

ることのできない存在感、重みを真正面から感

じました。それは私以外の生徒も感じていたよ

うで、実習室はご献体が運ばれてくる間張り詰

めた空気が流れていました。このような緊張感

の中で実習は始まったのです。

 メスを握るのもおぼつかなかった私も実習を

何回も重ねるにつれ、次第に人体の構造をより

詳しく観察する余裕が出てきました。人体の構

造はまさに神秘と言えるもので、その緻密さ・

繊細さ・合理性・整合性に私は感銘を受けまし

た。血管一つとってもこの血管はどこから出て

いて、何の分岐で、どこで吻合していて、どこ

でどのような血管に変わるのかなど観察すべき

点はたくさんあります。その多くを今回の解剖

実習では観察して学ぶことが出来ました。また

なによりも実際に実物を見て、触れて各部の名

称や特徴、形などを確認することが出来たのが

とても素晴らしい体験となりました。この体験

は将来医療に従事するにあたってかけがえのな

いものになると確信しています。そして亡く

なってもなお医療の発展ならびに、医学生教育

の為にご自分の体を献体して頂いた方々の決

意・信念は、私の医療に対する倫理観にも多大

な影響を与えてくれるような尊いものであると

心から思いました。

 今回の人体解剖の経験を、これからの医学生

としての歩み方、そして医者としての生き方の

糧としていきたいと思います。重ね重ねになり

ますが、しらゆき会の方々、先生方、そしてな

によりご献体の方々とそのご遺族の方々、本当

にありがとうございました。

 小白川キャンパスから飯田キャンパスへと

移って二年生になり解剖実習が始まりましたが、

最初のころは解剖の意義がわかっていなかった

ように思います。ただ単に医学を学ぶために必

要なことなのだと思っていただけでした。実習

初日は、早く専門的な分野の勉強をしたいとい

う気持ちももちろんありましたが、御献体の方

と対面したときの衝撃があまりにも大きすぎて

ほとんど何もできなかったように思います。こ

の方も生前は私たちと同じように生きていらっ

しゃったはずなのに、これから名前も知らない

私たちに身を委ねるということにどれほどの決

意が必要だったのかを考えると、この御献体に

メスを入れるということがとても恐ろしくて、

最後まで実習を終えることができるのか不安で

しかたありませんでした。しかし実習をすすめ

ていくうちにだんだんと慣れ、気持ちにも余裕

が出てきてきちんと人体の構造について学ぶこ

とができたと思います。もう長い間つきあって

きているはずの「体」の構造なのに知らないこ

とばかりで、座学で学んだことを実習で実際に

見ることでたくさんの知識を得るとともに、一

つ一つの臓器や筋、神経、血管、骨などが無駄

なく体の中に適切に収まっているという人体の

精密さに改めて驚きました。

 また、この解剖実習をとおして学んだものは

ほかにもあります。それはチームワークの大切

さです。一体の御献体を解剖するのは思った以

上に容易なことではなく、自分一人ではどうす

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ることもできないことも同じ班の人と協力した

からこそやり遂げることができました。このよ

うな経験はこれからも非常に役立つと思ってい

ます。

 最後にこの貴重な経験を有意義なものにする

ためにアドバイスをくださった先生方、私たち

の学習のために御遺体の提供を決断してくだ

さった故人やそのご遺族の方々に改めて感謝す

るとともに、その遺志に報いることができるよ

うに一生懸命医学を学んでいきたいと思います。

本当にありがとうございました。

 七月も終わりに近づき三ヶ月間の解剖実習に

も慣れてきましたが、今でも初めての実習の日

のことは忘れることができません。

 医学を学ぶ上で必要不可欠な解剖実習ですが、

実習が始まるまでは不安と緊張でいっぱいでし

た。しかし、ご遺体を初めて目にした時その気

持ちは一気に吹き飛び、「体を提供していただ

いた故人のおかげで私たちは人体の構造を学ぶ

事が出来るのだ」という心からの感謝と、「故人

のためにも私たちは真剣に実習に取り組まなけ

ればいけない」という責任感に変わっていまし

た。

 初めてメスをいれるときは恐怖や戸惑いもあ

りましたが、実習を進めていくにつれ驚きと感

心が上回っていくようになりました。今でも実

習の時は人の体はこんなにも緻密で複雑になっ

ていて、無駄なものなど一つもないのだと感じ

いつも驚かされています。また、人の体は皆同

じように見えるが一人一人異なっているという

ことにも気付かされます。実習では図譜を見な

がら班ごとに進めていくのですが、臓器・筋・

血管の位置が図譜とは違う位置にあることがあ

り、そのたびに人はみな違うのだと感じずには

いられません。さらに実習では座学では決して

学べないことを学ぶ事が出来ました。座学では

教科書や医学書を中心に学習するため、どうし

ても二次元的になってしまいます。しかし実習

を行うことで立体的に臓器や筋の位置関係を確

認することができ、人体の構造についてより明

確に理解することができました。

 私たちはこれから、さらに勉強を続けていき

ますが、この実習で経験したことや実習を通し

て感じたことを忘れることなく、ご遺体を提供

していただいた故人やそのご遺族に対して恥ず

かしくない医師となれるよう努力をしていきた

いと思います。

 最後になりましたが、私たちの学習のために

ご遺体を提供していただいた故人とそのご遺族

の方々、しらゆき会の方々、さらには私たちの

実習に協力していただいた諸先生方に心から感

謝申し上げます。本当にありがとうございまし

た。

 自分は解剖実習をさせていただくことで数え

きれないほどのことを学ばせていただきました。

自分は二度目の解剖実習になるのですが、それ

でも去年と同様にご遺体にメスを入れるのは緊

張しました。また一度、一通り解剖したとはい

え、人体の構造の不思議さというものを今年も

見させていただきました。

 当然授業で人体のここの場所にはこういうも

のがあり、こういう構造になっているのだと先

生に説明してもらうのですが、座学だけでの理

解だと二次元での理解になってしまうほか、た

だそうなっているのだと覚えるだけになってし

まいました。しかしこの解剖実習をさせていた

だいたことにより授業で習った通り、人体とい

うものは大きさなどに差があっても神経や血管

の通り方や筋の支配している部位という重要な

ところは皆同じにできていること、またそれら

の立体的な構造を学ばせていただきました。ほ

かにも筋や血管、リンパ節や神経の感触などは

もちろんのこと、それぞれの体の個人差など教

科書や図譜などに書いてあることだけではわか

らないことを実感できるとても貴重な体験をさ

せていただきました。

 自分にとって、座学だけでは学べないことを

学ばせていただくことはただ単純に医学の知識

が増えるということだけではなく、自分はこれ

から医師になるのだということを再度自覚する

ことができるほか、勉強に対するモチベーショ

ンもあがりますし、自分が医師になるにあたり

本当にたくさんの人の手助けがあることにより

それが可能になるのだということも再確認させ

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― 14 ―

ていただきました。

 最後になってしまいましたが今回の実習に献

体として遺体を提供して下さった方々にお礼を

言いたいと思います。本当にありがとうござい

ました。また故人のご冥福を心よりお祈りしま

す。

  第 七 班         

飯 島 岳 洋

小 林   傑

高 橋 知 也

磯 谷 正 彦

  医学部に入学してから一年以上が経ちました。

解剖実習と聞くと最初はどんな感じだろう」と

イメージがつきませんでしたが、上級生からは

「座学の授業とは違って実践的でとても勉強に

なる」と教えてもらい、私自身も授業で聞いた

ことを御献体でしっかりと学んでいこうと思い

ました。

 解剖実習での最初の時間は御献体を出すとこ

ろから始まりました。続々と御献体が出される

中、今までこのような経験をしたことがないの

でとても緊張しました。布に包まれた御献体と

対面した時、「この方は生前はどのような生活

をなさっていたのだろう」と考えてしまい実習

を始めるのを戸惑ってしまいましが、御献体か

らきちんと学ばさせていただく気持ちを思い出

しメスを入れさせて頂き、教科書通りうまく切

ることができたので少し安心しました。

 基本的に実習の流れは、午前中の授業でその

日に行う実習の範囲の体の部位について骨や神

経、筋の構造について先生から講義を聞き、午

後の実習では講義で習ったことを御献体を解剖

することで確認していくという流れです。毎回

の解剖実習が実りあるものになるように解剖を

きちんとこなすことはもちろんのこと、講義も

きちんと聞き、人体の構造について学ぶことが

できていると思います。また、実習をやってい

く中で、神経が集まっている神経叢など複雑な

ところをやっている際には先生方からアドバイ

スや、簡潔でわかりやすい解説を頂き、とても

参考になりました。後に復習をするときなども

先生方のおっしゃったことを思い出して勉強で

きました。

 解剖実習は医学部の実習の中で代表的な実習

だと思います。私がこれから勉強をしていく中

で大事な基礎となる勉強をさせて頂きました。

この実習を行うに当たり、指導してくださった

先生方、自ら志願なさって御献体として提供し

て下さった方や、御遺族に方々に感謝申し上げ

ます。ありがとうございました。これからより

一層勉学に励んでいきたいと思います。

 解剖実習の感想を一言で表現すると、「怖

かった」というのが率直な感想でした。人の体

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― 15 ―

にメスを入れるという、日常とはかけ離れたこ

とを行うのは、私にとって率直な表現を用いれ

ば怖さ以外の何者でもありませんでした。しか

し、その非日常的な行為を経験することで、自

分が医療という世界に足を踏み入れているのだ

なと強烈に実感しました。将来私が医師として

働いたとき、解剖実習が自分の医療人としての

人生の始まりだったと言えると思います。御献

体の方々、遺族の方々にはそれぞれの思いがあっ

てしらゆき会に入会されたと思います。日本の

医療に貢献したい、或いは死後も人の役に立ち

たいなど様々だと思います。そういった誠実な

思いに真摯に応えるように私たち学生は懸命に

解剖実習を行いました。知識的にはまだまだ至

らないところが多いですが、少なくとも自分が

医師となって社会に貢献していくという使命感

の重みを感じさせてもらうことが出来ました。

 医学部に入学し、勉強の忙しさに心を奪われ

て、なぜ自分が医師になりたかったのかという

気持ちをつい忘れがちになってしまいます。私

は一度社会人を経ることで、もっと純粋に人の

役に立ちたいと思い医師を目指しました。その

気持ちを忘れずに日々努力していきたいと思い

ます。

 御献体と向き合うと命とは何か、生きるとは

何かという答えの出ない問題に直面してしまい

ますが、こういった答えの出ない問いに悩み、

悩んだ分だけ社会にとって良い医師になれると

信じ日々邁進していきたいと思います。

 今回の解剖実習を通して人体の構造を自分の

頭の中に立体的にイメージすることができまし

た。教科書だけでは手に入れることの出来ない

知識を頂き、心から感謝を申し上げます。また

人によって普通の人にはない筋を持っていたり、

血管の走行が違ったりなど様々であり、その人

によって価値観が違うのと一緒で興味深かった

です。人によって考え方も体の構造も違う事を

考えて、医師となった時その人にあった医療を

提供し、患者さんに寄り添った医療人になろう

と思います。

 実習が始まる前までは、私が持つ人体の構造

に関する理解、知識は表面的なものにすぎませ

んでした。しかし、解剖をはじめることで、立

体的に人体の構造を見ること、知ることができ、

座学だけでは得られないことをたくさん学べま

した。そのなかでも、血管、神経は座学で学ん

だ知識や教科書の図よりも複雑かつ繊細な構造

をしており、外形が同じであるにも関わらず

触ってみると弾力などに違いがある、など新た

に知ることもありました。また、授業で習って

いるのは一般的な構造であり、個人個人で多少

の違いがある、ということもこの目で確認する

ことができました。そのため、教科書を見なが

らの作業のみではどうしても不安な部分もあっ

たので、先生方の助けを借りつつ、進めていく

ことができました。

 解剖を行ってみて、人体は非常に複雑かつ緻

密にさまざまな部位が重なっていて、それでい

て、無駄な部分がほとんどないように組み合わ

せられていることを実感しました。そのために、

たとえ小さくてもどこかに異常が生じるとその

周囲の組織がその部分を埋め合わせようとして

働くようになっており、体に無理が生じてしま

うのかもしれない、とも感じました。他の班を

見ても多様性に富んでおり、座学のみでなく、

解剖がいかに大切であるかを痛感させられまし

た。

 実習を行ったことで、今までは漠然としか人

体を知らなかった自分が医学の道を少しずつ歩

み始めていることや、医療行為というものは怪

我や病気の人達を治す手助けとなる知識である

とともに、時として危険な行為となりうること

を実感しました。今回の実習経験がこれからの

私の医学生としての生活、そして医師になって

からの私の生活の糧になると確信しています。

このような解剖という貴重な学習をする機会を

与えてくださったご献体の方、そのご遺族の

方々に深く感謝を申し上げます。ありがとうご

ざいました。

 二度目となる今回の解剖実習では、昨年とは

また違う思いを持って参加させてもらいました。

昨年はすべてのことが初めてで、不安もあった

のですが、人体の構造にはとても興味があった

ので、大きな期待を持っていました。しかし、

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今年はそれ以上にしっかり学ばなければという

思いを強く持っていました。昨年以上にこの解

剖実習の大切さを感じていたからです。

 そして、昨年と同じ様に解剖実習を始めまし

たが、最初ご献体を目の前にしたときは、とて

も緊張し、メスを入れるのに戸惑いを感じまし

た。それでも、実習の時間は限られているので、

実習を始め進めていくにつれて、一人の命の重

みを強く認識していきました。二度目の解剖実

習であり、昨年そして今年の講義を受け、さら

に教科書や図譜などで学んできたことにより、

人体の構造がだいぶ分かるようになってきまし

た。特に解剖実習によって、ほかの学習では二

次元的にしかわからないことが、三次元で学べ

るため、自分の理解を深めることにとても役立

ちました。

 また、昨年の実習中にもほかの班のご献体を

見て感じたことですが、個人差があり、これが

一人一人の治療法の違いを生んでいるのだと思

いました。

 私は今回の解剖実習は、医師になるという過

程でとても大切なものだと再認識しました。そ

して、この貴重な体験ができたのは、ご献体と

なってくださった方や、ご遺族の方々のおかげ

だと思っています。関係者の皆様には心より感

謝し、ご献体となってくださった方のご冥福を

お祈りします。この経験を生かし、将来立派な

医師になれるようにこれからもがんばっていき

たいと思います。本当にありがとうございまし

た。

  第 八 班         

井 澤 亜 美

小 林 卓 矢

瀧 澤 良 哉

堀 井 裕 司

  解剖実習の初日は緊張感と不安などを少なか

らず抱え、自分に解剖ができるのだろうか、ま

だ医学的知識の乏しい自分などが解剖させてい

ただいてもいいのだろうか、と複雑な思いでい

たのを覚えています。厳粛な雰囲気の中で初め

て御遺体を目の前にしたとき、ご遺族にとって

はかけがえのない存在だったのではないだろう

かと想像して胸が痛み、申し訳ない気持ちで

いっぱいで、メスを入れることを躊躇していま

した。しかし、見ず知らずの未熟な医学生のた

めに生前に献体を約束された時のお気持ちを思

うと、私たちは故人の尊い御遺志にしっかりと

応えていかなければならないのだと身の引き締

まる思いがし、可能な限り多くのことを学ばせ

て頂こうという気持ちが強くなりました。

 実習は図譜などの本をよく見て、慎重に確認

しながら進めていきましたが、人は外見も性格

もみんな違って個性があるように、体の内部の

構造にも個性があり、決して教科書どおりでは

ないことを実感しました。教科書や図説から学

べることには限界があり、生半可な知識では医

師として生身の人と向かい合うことはできない

と思いました。私は、実際の組織を見て直接触

れて人体の構造を学ぶことができるこの解剖実

習という貴重な体験を通し、生命の奥深さ、神

秘、そして、自分自身も生かされている不思議

を感じずにはいられませんでした。

 医学部の教育が多くの方々のご協力があるか

らこそ成り立っていることを痛感しています。

私たち医学生にこのような貴重な経験の場を与

えてくださった御献体ご本人様、そしてご遺族

の方々に心より感謝申し上げます。私たちにこ

のような機会を与えてくださった皆様への感謝

の気持ちを胸に刻み、今後も様々な経験を重ね、

出来うる限りの医学的知識を得て、一人一人の

患者さんのお気持ちに寄り添い、最善を尽くし

て治療にあたる医師を目指していきたいと思っ

ています。それが、御献体をしてくださった

方々への御恩返しになるのではないかと思って

おります。

 解剖実習が始まり三ヶ月近くが経ち、それも

まもなく終わろうとしています。しかし、実習

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― 17 ―

が始まる前の不安や期待、初めてご遺体に触れ

たときの緊張は今でもありありと思い出されま

す。解剖実習は、教科書だけでは分からない実

物の人間を理解することができる非常に貴重な

機会です。人の身体は千差万別で、医師になっ

てから治療を行う患者さん一人一人の身体は異

なっています。実在から言語(専門用語)、そ

して言語から実在(形態)への、双方向性の知

識の確認を、意識して取り組みました。実際に

触れ、感じることがこれ程大事に思ったことは

ありませんでした。この実習を通して解剖の知

識を得ただけでなく、人としても大切な体験が

出来たような気がします。それは、チームワー

クの難しさや失敗の経験などです。それらも今

後医療に携わる上できっと役立つであろうと思

います。

 解剖実習を通して、自分が医学生であるとい

う意識がより一層強まりました。これから医師

になるために様々なことを学び、経験していか

なければならない、そう思うと少なからず重圧

を感じずにはいられません。医学の発展のため、

我々医学生のために御献体くださった方々の尊

い御遺志を無下にしないよう、立派な医師とな

るための努力を怠ってはならない、また私たち

が将来医師となって向かい合うのは人間なのだ

ということを、日々の学習において意識しなけ

ればならないと思いました。医師という職業に

誇りを持ち、謙虚に学んでいきたいです。

 最後になりましたが、御献体をしてくださっ

た方々、そのご遺族の方々、多くの関係者の

方々に、心からお礼申し上げます。

 二年生から始まる解剖実習には、人体につい

て学ぶことに対する大きな期待と不安を抱いて

いました。最初の実習時には、目の前の本当に

お亡くなりになっているのか分からないほど安

らかにお眠りになっているご遺体の体にメスな

ど入れてもよいのかと葛藤しました。しかしな

がら、一生懸命に解剖に取り組まなければ、献

体してくださった方に対して失礼にあたるので

はないかと思い、解剖が進むにつれて徐々に不

安は和らいでいきました。

 実習を通して解剖について多く勉強しました

が、純粋な学問としての解剖学の知識以外にも

多くの重要なことを学びました。その中で特に

印象に残ったことを二つ述べたいと思います。

 一つ目は人体の複雑さです。体の組織どうし

は密接に結びついていて、とても教科書に書い

てあるような単純な構造をしておらず、もしも

解剖をしていなければとても人体の供本当僑の

構造について勉強することは到底できなかった

と思います。また、他の班のご遺体と私の班の

ご遺体の体の内部は大きく違っていて、体の外

面の顔や体型といった違い以上に体の内部も異

なっているということも学びました。これも、

教科書をどれだけ深く勉強したとしてもけして

学べなかったでしょう。

 二つ目は生の神秘さです。ヒトは亡くなった

としても、体の構造がそれまでの構造と劇的に

変わることはありません。それでは生者と死者

の違いはなんでしょうか?いまだに答えは出ま

せんが、いままで一度として考えたことのない

ことでした。生を助けるために医学は存在して

いるため、その生の神秘さについて考えること

は医学を学ぶ上で重要なことだと思います。そ

の意味でも、今回の実習は大変やりがいのあっ

たものであったと感じます。

 解剖実習を通して感じたこれらの思いをけし

て忘れることなく、これからも立派な医師にな

れるように医学の勉学に励みます。最後に、献

体してくださった方々に深く感謝するとともに、

ご冥福を心からお祈りいたします。ありがとう

ございました。

 二年生になり、二週間ほどで解剖実習が始ま

りました。御献体を前にして湧き上がった感情

は好奇心と期待であったと思います。これから

実習ではどのようなことをするのだろう、人間

の体の中が見れる、楽しみだ等と考えていたと

思います。黙祷を終えて実習が始まり、御献体

にかけられていた布を取ることになりました。

布を捲って御献体の顔を見たとき、私は大きな

衝撃を受けました。それは、この場に御献体が

あるのはこの方の御遺志や御遺族の方々の厚意

によるものであるということをただ単に知識と

してしか認識していないと感じたからなのです。

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私が布の下で見たものは一つの人生を生き抜い

た人間の顔でした。この方には苦楽をともにし

た御家族、御友人がいたのでしょう。早く連れ

帰って、供養してあげたい、休ませてあげたい、

そう考えている御遺族の方々もたくさんいるは

ずです。それなのに私は何を考えていたので

しょうか。解剖することへの好奇心しか持たず、

御献体してくださった方の周りにある人間関係

について全くといっていいほど想像出来ていな

かったのです。もう一度黙祷しました。「御献

体をしばらくお借りします。決して無駄にはし

ません。勉強します。」

 解剖実習をして四つ、お礼が言いたくなりま

した。まず友人です。ときに励まし、励まされ

たおかげでここまで勉強を続けられました。次

に先生方です。複雑な人体の構造を分かりやす

く丁寧にご指導下さりました。お蔭で非常に簡

潔に整理して理解できました。三番目は御献体

の方々です。自分の身を以って私たちをご指導

くださました。最後に御遺族の方々です。直ぐ

にでも御供養してあげたいという気持ちを待っ

ていただき解剖という貴重な機会を与えてくだ

さいました。皆様方、本当にありがとうごさい

ました。

  第 九 班         

石 北 悦 子

小松本 真 起

田 中 喬 之

堀 江 卓 土

  【死が生の手助けをした 尊い御霊がここに

眠る】…慰霊碑に刻まれたこの言葉を初めて

知ったとき、私は鳥肌が立ったことを覚えてい

ます。この言葉を知り、それまでは解剖実習に

対する恐怖心や緊張でいっぱいだったのが、

供死僑を決して無駄にすることなく、私たちが

医師となり、患者の命を救っていくためにも、

感謝の気持ちを忘れずに、精一杯、責任を持っ

て解剖実習に取り組んで行こうと強く思えるよ

うになりました。

 私は、一番最初に、ご献体にメスを入れさせ

ていただきました。ご献体の生前の様子やご遺

族のことを思うと、緊張や戸惑いを感じました

が、ご献体やそのご遺族に対する感謝の気持ち

と、これからよろしくお願いしますという気持

ちを込めて、メスを入れました。このときの気

持ちは、どんなに実習が進んでも忘れないよう

にしようと思いました。

 予習をし、実習中は、図譜とご献体を見比べ

ながら、部位の同定に努めました。図譜と実際

の体とは異なる点も多く、非常に困難な作業で

したが、班員と協力し、お互いに知識を補い合

いながら実習を進めていきました。人体に触れ

られたことで、平面の教科書による勉強では到

底分かり得ない、立体的で複雑かつ精密な構造

を学ぶことができ、驚きと感動の連続でした。

また、人には個人差があるということも、自分

の目で見て、改めて実感することができました。

実習を通して、ご献体からはたくさんのことを

学ばせていただき、知識・理解も深めることが

できたと思っています。それと同時に、まだま

だ分からないことも多く、自分の未熟さを痛感

していますが、今回の経験を生かして、これか

らも更に、医学の勉強に励んでいきたいと思い

ます。

 最後になりましたが、実習中にお世話になっ

た皆様、なによりも、ご献体を提供して下さい

ました、しらゆき会の皆様には大変感謝してお

ります。故人のご遺志は、解剖実習を通して、

私たちの血となり肉となり、必ず、将来の医療

へと役立たさせていただきます。本当にありが

とうございました。心より、故人のご冥福をお

祈りしております。

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 今回、解剖実習という貴重な体験をさせてい

ただき、非常に多くのことを学ばせていただき

ました。このような機会を与えてくださった御

献体してくださった方々及びその御遺族の方々、

しらゆき会の方々に深く御礼と感謝の意を申し

上げるとともに、御献体していただいた方々の

御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 医学生といってもまだ二年生であり医学的な

知識の非常に浅いなかで、毎回が手探りのよう

に行われた実習ではありました。しかし、実習

書を片手に班の仲間たちと協力し合い懸命に

行ってきた解剖実習から得られた知識や経験は

かけがえのないものであったと思います。

 今回の実習で、人間の体はみな一様ではない

のだということを実感しました。臓器ひとつを

とってみても、大きさも形状も教科書や参考書

に載っているものや他の班の御遺体のものとは

異なっていました。また、硬さや丈夫さ、肌で

触れた感触といった、卓上での紙と鉛筆のみで

の勉強からでは学ぶことのできない多くのこと

を学ぶことが出来たように思います。

 人体にメスを入れるというこれまでの人生で

初めての経験の中で、人の命に直接かかわる仕

事を行うことへの責任感や緊張感も実感されま

した。また、死後長い時間が経ち冷たく硬くな

られた御遺体に触れ、人間が生き、動いている

ことは決して当たり前のことではないのだと感

じ、この時間や人をもっと大切にしなくてはい

けないと思いました。

 御献体という尊い遺志によって学ばせていた

だいた多くのことをしっかりと身につけ、将来

社会の役に立てる医師になるべく、これからも

より一層勉学に励んでいきたいと思います。最

後に、このような機会を与えてくださった多く

の方々に改めて、感謝の意を申し上げます。あ

りがとうございました。*

 実習初日に御献体の方々を前にした時は、そ

の身体に冷たく、固い印象を感じ、これから自

分は実習を通しどれだけのことを学ぶことが出

来るのか、と少々の不安を感じました。しかし、

その方がかつて自分たちと同じように生活をし

ており、今回はそういった方々から、普段の座

学だけでは学び取れないものを学ぶことができ

る機会であることを考えると、自然と不安は払

われ、より一層身が引き締まる思いがしました。

私は最初、御遺体に割を入れるのに抵抗を感じ

ていましたが、意を決しその身体にメスの刃を

入れた時の感覚は未だこの手に残っており、今

ではここから学び始めたのだという一つの指標

のように感じております。

 実習を進めるうちに、教科書を眺めているだ

けではわからない、実物に触れてみることでの

み感じられる人体の神秘を感じることが出来ま

した。身体を巧みに支える骨・筋、その間を縫

うように走る血管・神経等は、そのいずれも全

くの無駄がなく、非常に複雑であるにも拘らず

実に機能的であることが感じられました。また、

御献体の方の体は教科書や図譜通りではなく、

それらとは微妙に異なる場所が発見でき、また

他の班の御献体とも異なる点等、人は個々人で

その体は微妙に異なっているということを改め

て実感しました。この実習で得た知識・経験が

これからの学習・実習にも非常に大きな役割を

果たすということを先輩達から聞いているので、

残された数少ない実習も最後まで貪欲に、でき

るだけ多くのことを吸収できるように取り組ん

でいきたいです。

 今回の実習を通し、自分達が進む道の先でい

かに複雑で精巧なものを扱わなくてはいけない

のか、そしてその際の心構えを学ぶことが出来

たものと思います。最後に、御献体として御身

体を提供してくださった方々、そしてその御遺

族の方々にこの度の貴重な学習の場を与えてく

ださったことに深く感謝するとともに故人の御

冥福を心より御祈り申し上げます。

 大学入試までの勉強は、教科書至上主義であ

るといえる。教科書に書いてあることが絶対で

あり、教科書に書いていないことは考える必要

がない。制度上、教科書外から出題されること

はないので、教科書に従えば大学入試は大丈夫

である。そういった教育を今まで受けてきたの

で、私は、解剖学も教科書や図譜を読んで暗記

すれば、解剖学実習は必要ないと思っていた。

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しかし、今回の解剖学実習を行って、その考え

を改めるに至った。人体というものは一人一人

異なる。街を歩いても同じ顔の人はいない。同

様に、各班それぞれの御献体の様子は異なり、

当然図譜に掲載されている図とも異なる。解剖

を進めていくと、図譜と様子が異なることは珍

しくない。筋の様子が違っていたり、血管や神

経の走行が違うことを何度も体験した。このよ

うな時に有難かったのが班員の存在である。自

分一人では分からなくて投げ出してしまいそう

になっても、班員と相談することで解決するこ

とが出来た。こういったことは、一人で教科書

や図譜を見ているだけでは分からなかったこと

である。「他者と協力して作業を行い、自分の

目で実物を確認し、疑問点に当たった時には協

力して解決する。」言葉では簡単に理解できる、

謂わば「当たり前」とも言える内容である。し

かし、それは実行しようとしてみると難しい。

実際にそれをする立場、というよりはせざるを

得ない立場に強制的に立たされることで、その

重要性を改めて理解することが出来た。

 もちろん、実際に三次元的に触れることで、

座学講義の内容と本物の人体を結び付けるとい

う、解剖学実習の本来の目的ともいえるものに

も役に立った。しかし、それ以上に、今後医学

を学ぶにあたってのあり方を見つめ直す良い機

会となった。このような機会を下さった山形大

学医学部と第一解剖の先生方、そして御献体下

さった方々とその御遺族の方々に感謝しつつ、

今後も真摯に医学を学習していきたいと思う。

  第 十 班         

市 村 健太郎

酒 井 峻 介

田 仲 広 基

堀 川 翔 太

  まず初めに、御献体の提供に同意してくだ

さった方々と、そのご遺族の方々に深く感謝い

たします。ご自分の身体、また御家族の身体の

提供を決断することはなかなかできることでは

ないと思います。脈々と続く医学の発展は、こ

のような献身的な方々の上に成り立っているの

だと強く感じました。

 黙祷から始まった最初の実習で初めて御献体

と対面した時の、これから本格的に医学を学ぶ

ことへの喜びと、目の前に横たわる御献体のお

気持ちを裏切ってはいけないという緊張感、責

任感が入り混じった気持ちは今でも鮮明に思い

出され、これから先も忘れることはないと思い

ます。

 実習では本当に多くのことを学ばせていただ

きました。解剖を進めていくにつれてわかる人

体の複雑さ、そしてその多様な機能の合理性。

座学では決して学ぶことのできない血管や神経

の三次元的な走行や臓器の配置、筋の付き方な

どです。それらは神秘的でさえあり、毎回の実

習が驚きというよりはむしろ感動の連続でした。

回を追うごとにもっと見たい、知りたいという

気持ちが強くなり、可能な限り目に焼きつけま

した。知識が整理され、理解が格段に深まって

いくのを感じ、実習が終わると疲労感よりも充

実感でいっぱいでした。

 そして今回の実習で何よりも印象的であった

のが、その個人差です。肌の色や体の大きさは

もちろんのこと、血管の太さ、臓器の位置や形、

筋の発達具合に至るまで千差万別であり、そこ

にその方の生きた痕跡すら感じることができま

した。

 五月から始まった実習ももうすぐ終わりです

が、この実習を通じて、解剖学だけではなく、

命と真摯に向き合う気持ちを学ぶことができた

と思います。今は人体解剖という貴重な機会を

設けてくださったすべての方々に感謝の気持ち

でいっぱいです。ここで学んだこと、感じたこ

とを忘れずに、これからも勉学に励んでいきた

いと思います。

 三ヶ月という実習期間も気づいてみれば終わ

りを迎え、長かったようでとても短く、充実し

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て感じられました。実習が始まる前は、かつて

私たちと同じように生きていた人間の体にメス

を入れていくという事実に恐怖を感じていまし

たが、同時に医学をよりリアルに勉強できると

いう期待もありました。解剖実習は、座学の授

業で人体の構造や生理学的仕組みを理解したり、

顕微鏡レベルでの細胞の観察することとは大き

く異なり、より現実的に自分の目で人体を三次

元的に捉えることができました。はじめは人間

の皮膚の厚さや皮下組織の感触などを体験し、

回を重ねるごとにさらに内部にある解剖でしか

体感することのできない血管や神経の走行、内

臓の配置や構造を、書物などで二次元的に学ぶ

よりもはるかに深い深度で理解することができ

ました。また、それぞれの筋がどの骨に結合し

ていてどの神経に支配されているかなどを理解

することで、忙しい勉強の合間に運動するとき

には、この神経に支配されたこの筋を使ってい

るのかと自分の体の動きを解剖学的に考えてみ

ることも興味深いことでした。

 また、同じ人間でも様々な個人差があること

を感じ、人間として共通の部分として理解でき

る部分と、その範疇には収まりきらない違いが

あるという奥深さも感じることができました。

将来臨床の現場に出ても、患者さんを画一化し

た診断で病気のみを治せば良いとする医師にな

るのではなく、患者さんの身体には様々な個性

があるという認識のもと、ひとりひとりに最も

適切な治療を選択する、「患者さん個人を診る」

ことのできる医師になりたいという気持ちを新

たにすることができました。

 最後になりましたが、ご遺体を提供してくだ

さった方とそのご遺族、しらゆき会の方々、熱

心にご指導くださった解剖学の諸先生方に深く

感謝いたします。本当にありがとうございまし

た。

 まず初めに献体してくださったご本人様と同

意してくださったご遺族の方々に心より感謝申

し上げたいと思います。本当にありがとうござ

います。

 二学年目に上がり医学の勉強もより専門的な

ものになりました。そのひとつがこの解剖実習

です。今年は東日本大震災の影響で例年よりも

実習の開始が遅れたのですが、何とか無事終え

ることができそうです。

 実習で初めて献体に触れ、いざメスを入れる

という時、自分の医学生としての覚悟が足りな

かったといいますか、恐怖を感じました。最初

は慣れないことだらけでとても疲れました。し

かし、ご献体を解剖して、様々なことを学び考

えているうちに、そのご本人に対して敬意や感

謝の気持ち、愛情に似たものさえ湧きあがって

きました。なんだかご献体に「わたしをちゃん

と解剖してね」「立派な医師になってね」と言

われているように感じ、今の自分の持っている

精一杯の力で、ときにはチームワークを発揮し

共同で作業しながら丁寧にひとつひとつ解剖し

ていきました。そのおかげで、教科書を見るだ

けでは分からない人体構造の繊細さ、奥深さを

自分の目で見て触って知ることができました。

この経験は今後医学を学んでいく上で存分に生

かされていくだろうと思います。また医師とい

うのは自分一人の努力のみによってなれるもの

でなく、たくさんの方々のご協力を得てなりえ

るものなのだと気付かされました。

 この実習におけるご献体との無言の対話を通

じて、医療に対する真摯な姿勢を身につけるこ

とや医学生としての自覚をより強く持つことが

でき、精神的にも強く成長できたように感じま

す。医学の発展のために献体をしてくださった

方々や、そのご遺族方が与えてくれたこの貴重

な体験を無駄にしないように日々精進し、将来

立派な医師になり少しでも社会に還元できるよ

うになりたいです。

 解剖実習。それは、幸いにも祖父・祖母共に

今だに健存であり、親戚関係の葬式にも参列し

た経験が無い私にとっては初めてのご遺体との

対面であり、どのような気持ちで接して行けば

いいのか、どう接するべきなのか正直わかりま

せんでした。そのような状態の中、実習を進め

るにつれて経験できたこと、感じられたことは

大きく分けて三つあります。

 まず一つ目は、医師になる自覚を改めて持つ

ことができたということです。ご献体を目の前

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にすると、その方が生きてこられた人生、ご献

体となっていただけることを承諾してくださっ

た際のご本人・ご家族の方々の気持ちを考えな

いわけにはいかず、素人同然の私が解剖してし

まってもいいのかという複雑な心境になりまし

た。ですが、将来医師となって働きたいという

ことを考えると、この解剖実習を通して人体に

しっかり向き合い、文書を読んで学ぶだけでは

なく、実際に見て触れて理解し、確固たる知識

をつけなければならないのだなと思いました。

 次に二つ目は、「命」の尊さを感じられたとい

うことです。今回の解剖実習を行い、人体とい

うのは臓器・血管などが複雑に、立体的に絡み

合って生命を司っているということが初めてわ

かりました。どうしても二次元でしかとらえる

ことができない教科書や授業ではわからなかっ

たことです。普段はなかなか気にかけることが

できない「命」ですが、これほどまでに多くの

複雑な段階を介してようやく営んでいることを

知り、さらに尊ぶ必要があると感じました。

 最後に三つ目は、ご献体となっていただいた

方・そのご遺族の方々への感謝の気持ちです。

今回の解剖実習が無ければ私は上述のことに気

づくことができなかったと思います。本当にあ

りがとうございました。今回の解剖実習で身に

付けた知識はもちろん、献体してくださった

方々のお気持ちと私の感謝の気持ちをしっかり

と社会に、医療の世界に反映できるようにこれ

からも努力していきたいと思います。

  第 十一 班        

本 荘 和 輝

田 中 保 平

酒 井 大 志

伊 藤 詩 歩

  一年生の授業では主に一般教養を学んでいた

ので、医学を学ぶことはほとんどなく医学部に

いるという実感は沸きませんでしたが、二年生

になり解剖学実習が始まって初めて自分が医学

部生であるということを強く感じました。そし

て最初に黙祷を捧げたときに、実習をさせて頂

いている者として、御献体をしてくださった方

に感謝するとともに、これからしっかり学んで

いかなければならないと思いました。

 実習は、皮膚を丁寧に剥がし、結合組織、脂

肪を取り除くことから始まり、皮膚の厚さや強

度、脂肪の分布などを見ることにより、座学で

得た知識とリンクさせることができました。ま

た、筋・血管・神経の走行や太さや強度、臓器

の位置や構造を観察していると、人体の構造が

いかに精巧で合理的であるか感心せずにはいら

れませんでした。手や足を動かすという単純な

動作も、いくつもの神経や筋が関わり複雑な仕

組みの上に成り立っています。どんなに細い神

経でも、少し傷つくだけで大きな障害になり、

一つとして無駄なものないということを強く感

じました。また、人体は図譜や教科書通りでは

なくそれぞれ個体差があるため、実物を前にす

るとどれが何であるのかわからないことが多く、

理解するのに苦労しました。このことは自分の

目で観察したからこそ感じることができたので

あり、それが医学を学ぶ上での第一歩であると

思いました。また、解剖実習では人体構造の知

識だけではなく、同じ班の人たちと協力して実

習を行っていくことでチームワークの大切さを

学ぶことができました。これらの経験は机上の

学習だけでは決して得ることのできない非常に

価値のあるものであり、これから医学を学んで

ゆく上でとても意義のあるものになると感じま

した。

 最後になりましたが、私たちの医学の学習の

ために御遺体を提供してくくださった故人やそ

の遺族の方々、またこの貴重な経験を有意義な

ものにするために日々指導やアドバイスをくだ

さった先生方に改めて深く感謝したいと思いま

す。ありがとうございました。

 医学部に入り一年の時は化学や生物など医学

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の基本的なことを勉強してきて、二年になって

専門的なことを学ぶようになりました。解剖実

習をまだ始めていない時は解剖が楽しみでもあ

り、先輩方からも実習の話を聞いていたのでイ

メージはできているつもりでした。しかし解剖

実習が始まり、御献体が運ばれてくると、まだ

医学的知識がほとんどない自分が人にメスを入

れるということにとても恐怖を感じ、初めてメ

スを入れるときに手が震えていたのを覚えてい

ます。そのような恐怖心を覚えながらも、この

実習は故人の遺志とご遺族の理解の上で成り

立っていることを理解し、責任感を持って取り

組み、多くのことを学びとらなければならない

と改めて感じました。

 初めの頃は慣れない道具を扱うことに苦労し

ながらも、図譜を見て一つ一つの筋や神経など

がどこにあり、どのような走行をしているのか

を見て行きました。実習を進めるたびに人体が

とても複雑な構造をしていることに気がつき、

驚きました。途中、やや勉強不足のために誤っ

て筋や神経、血管を切ってしまうことがあり、

その時はとても後悔しました。実習を通して医

学的な様々なことを学ぶと同時に、チームワー

クの大切さがよくわかりました。一体の御献体

を解剖することは容易ではなく、常に仲間と協

力しながら作業を進めました。このことは今後

も非常に役に立つと思います。そして解剖が進

むにつれ教科書と異なることを見つけ、必ずし

も教科書通りにいくわけではないということも

実感できました。今回得た知識と貴重な経験を

大切にして、これからも立派な医師になるため

にしっかりと勉学に励みたいと思います。

 最後になりましたが、御献体してくださった

方とそのご遺族、また、実習中に様々なアドバ

イスをしてくださった先生方に御礼申し上げま

す。本当にありがとうございました。

 実習が始まる前、私はこれから最後までやり

切れるのだろうかという実習自体への漠然とし

た不安と、ご遺体に向かい合い、学ばせていた

だくことへの緊張感を体いっぱいに感じていま

した。実習の中で人体構造を学ぶことの興味深

さを感じるにつれて不安は徐々に薄れていきま

したが、緊張感は最後まで失うことはなく、限

られた時間の中で最大限学ばなければいけない

いという思いが強くなっていったように思いま

す。

 実習を通して、人体の構造がとても複雑で、

また多様であることを痛感しました。確かに基

本的な部分では、図譜や先生方が講義されたこ

との通りでしたが、細かい部分では個人差等が

あり、混乱することも多々ありました。また、

他の班のご遺体と比べると異なる部分が多く、

人体構造の多様さに感心するとともに、これだ

け個人差があるのならば実際に臨床に出て医療

に関わることは難しいということを実感させら

れました。解剖実習は、自分の目で人体を見て

触って理解を深めるとても素晴らしい機会であ

り、医学への興味や意欲がより大きなものにな

りました。

 実習を行うことで解剖学という医学において

基礎となる学問についての知識が深まるだけで

なく、自分が医学生であると実感し、その責任

を改めて感じることができました。

 最後になってしまいましたが、このような機

会を設けていただきました献体者の方々、そし

て御遺族の方々、しらゆき会の皆様に感謝の言

葉を申し上げます。本当にありがとうございま

した。そして、自分がこれから迎えるであろう

医師としての人生の間、この解剖学実習を行っ

たという経験を忘れず、常に勉学に勤しみ、少

しでも多くの患者さんの助けになれるよう、よ

い医師となれるよう日々努力していきたいと思

います。

 二年生になってすぐに解剖実習が始まりまし

た。一年生のころから解剖実習について先輩が

話していたため興味を持っていましたが、いざ

実習が始まるとなると、不安と緊張でいっぱい

でした。私は小学生のときに祖母の遺体を見て、

悲しみや恐怖でいっぱいになり、また、知識が

少ないなりにいろんなことを考え、悩んだこと

を覚えています。今回の実習でご遺体との対面

は二度目でしたが、ご遺体を包む布を外したと

きには、やはり悲しみや恐怖がありました。し

かし今度は、以前は自分たちと同じように生活

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をしていた人にメスを入れ解剖をするという立

場、医師になるための勉強をする目的がありま

した。そのため献体してくださった方々とその

ご遺族の方々の医学の発展に貢献しようという

強い思いを受け止め、果たす責任があると感じ

ました。

 解剖実習では、人体の構造を実際に見て、

触って理解することができ、教科書だけでは得

られないものが多くあります。また、解剖を通

して、人体は決して教科書通りには見えず、複

雑で個人差に富んでいる、ということに気づか

されました。自分の班の献体と他の班の献体と

では構造が大きく異なり、まったく同じ構造と

いうのはないのだということが分かり医学の不

思議や難しさを改めて感じました。教科書はあ

くまで一般例だということを理解できたことは、

自分にとって大きな収穫でした。これから私た

ちは、病気や薬についての医学的な知識を身に

つけていくことになりますが、それだけでは実

際に医療行為を行うときに偏った見方をするこ

とになると思います。個人差に関心を持つとい

うことは、患者さんの症状の変化に目を向ける

ということ、患者さんの訴えに耳を傾けること

につながっていくものだと思います。

 最後になりますが、献体してくださった方々、

そのご遺族の方々、またご指導下さった先生方

に改めて感謝の気持ちを述べたいと思います。

本当にありがとうございました。今後は、今回

の経験を生かし、一人でも多くの人を幸せにで

きる医師になれるよう、勉学に励みたいと思い

ます。

  第 十二 班        

伊 藤 友 理

坂 上 里 絵

千 葉 春 輝

前 角 悠 介

岡 田 瑞 央

  解剖学実習をしていた日々はあっという間に

すぎました。毎回、たくさんの発見や感動があ

り一日一日がとても短く感じられ、密度の濃い

日々だったと思います。献体という尊い行為を

してくださる方への感謝の気持ち、また、これ

からその方のためにも勉強をし、その尊い志に

応える責任感などを抱くことができました。

 実習を進めていくにつれて、人体はとても複

雑かつ精巧な構造になっていると強く思いまし

た。例えば、筋の走行や関節のつくりは非常に

理にかなっていて動かすのに効率のよい構造で

あり、血管や神経の走行も、それぞれの機能を

果たすためにこうなっているのだというイメー

ジがわいてきました。そして驚いたことは、

思っていた以上に多様な変異があることでした。

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それぞれの人間に個性があるように、人体の構

造にも個性があり、必ずしも教科書や、図譜、

実習書と完全に同じではなく変異に富んでいま

した。それでいて、しっかりと機能を維持して

いることに、知的な感動を覚えました。そして、

各臓器の位置関係や奥行きなど、立体的な構造

に触れることによって、初めて理解できたこと

もあり、講義で学んだ知識が生きてくるのを実

感しました。さらに、今まで学んできた専門科

目、例えば組織学や生理学と解剖学は深く関連

しており、臓器の位置などは発生の過程をイ

メージするとなぜその場所にあるのかというこ

とが理解でき、また生理学で学んだ機能を果た

すためになぜこのような形であるのかというこ

とを理解することができました。また、実習中

わからないところがあると、まだまだ勉強しな

いといけないぞ、と御献体が語りかけているよ

うな感覚になり、御献体が私に解剖学を教えて

くださる先生となっていました。

 このように、解剖学実習で自分で見て、触れ、

感じ、学んだことはとても貴重な経験となりま

した。献体をしてくださった方々、その御遺族

の方々、しらゆき会の方々などたくさんの方の

ご協力によってこのような経験ができました。

心から感謝したいです。そのご厚意を忘れずに、

今回学んだことや感じたことを私がこれから関

わる人たちにつなげていくためにも、日々勉学

に励み、精進していきます。本当にありがとう

ございました。

 五月から始まった、解剖学実習を通して、私

はとても多くのことを学ばせていただきました。

初めてご遺体を目にした時の緊張と不安は今で

もはっきりと覚えています。献体して下さった

方の遺志を無駄にしないためにも、できるだけ

多くのことを学びとらなくてはいけない、とい

う気持ちでいっぱいでした。

 解剖学実習が始まってからは、人体の構造の

複雑さに改めて驚きました。実習前の予習とは

違い、ご遺体は図譜のように単純ではなく筋の

厚さや神経や血管の走行、臓器の色や大きさ、

形、すべてにおいて個人差があり、どれとどれ

が同じものか同定することが難しく混乱するこ

とも多々ありました。目的のものを剖出するた

めに付近の大事な神経や血管をこわしてしまっ

たり、見るべき構造を見落としてしまったりす

ることもありました。一回一回の実習がかけが

えのないもので、二度と戻らないということは

心得ていたつもりでしたが、なかなか思うよう

に出来ず毎回必死で行っているものの、実習が

終わる度に自分がまだまだ勉強不足であったと

痛感していました。この解剖学実習を通して、

人体の構造のあまりの複雑さに自分が将来医師

として働くことへの不安も大きくなりました。

微細な構造や、立体的に神経や血管の入り組ん

だ構造は覚えるだけでも大変であるのに、実際

の手術ではどれだけ大変なのかと思うとともに、

解剖学がどれだけ大切であるかということを感

じずにはいられませんでした。

 解剖学実習の期間中はとても大変で、長い実

習もあっという間に終わってしまったような気

がします。その中で人体に対する知識と理解を

深めるとともに、医学生としての自覚も得るこ

とができたと思います。

 しらゆき会の方々、献体して下さった方々の

気持ちに精一杯答えることのできるように、立

派な医師を目指して、これからも勉学に励み努

力を重ねていきたいと思います。最後になりま

したが、献体して下さった方々、ご遺族の方々、

先生方にこのような経験をさせていただいたこ

とを心から感謝します。本当にありがとうござ

いました。

 今年は震災による授業日程の遅れもあり、五

月の終わりから解剖実習が始まりました。第一

学年のときはほとんど医学の講義がなく、自分

が医学生であるという実感は薄れていました。

解剖実習を始めるにあたって、自分が医学生で

あり、将来医療に従事する者であるということ

を改めて実感したことを覚えています。そして、

実習初日御遺体と対面したときに、その思いは

より一層強くなりました。最初は御遺体に触れ、

メスを入れるという行為に戸惑いを覚えました。

しかしながら、将来医療に携わる者として社会

に貢献するために、解剖実習を通して人体の構

造をしっかりと学ばなければならないのであり、

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それは献体を決意なさった故人の御遺志と御遺

族の方々の御理解の上になりたっているのだか

ら、責任を持ってしっかりと実習に取り組まな

ければならないと思い直し解剖を進めました。

解剖が進むに従って、血管や神経がいかに複雑

で、綿密に走行しているか、臓器がいかに複雑

に配置し、そして、相互に密接に関係している

のかを目で見て確認することができました。ま

た、実習書等に描かれている図とは異なってい

る場合もあり、人体は複雑で個人差に富んでい

るということを実感しました。こういったこと

は、文献を読むだけでは得られない知識であり、

将来医師として働くにあたって、必ず活きてく

るものだと思います。今回の解剖実習ではそう

いった知識を数多く得ることができました。

 解剖実習を通して、自分が将来医療に携わる

人間であるということ、さらにはその責任の重

さというものを改めて実感することができまし

た。そして、将来医師になるにあたってより多

くの知識を身に付けていかなければならないと

思いました。これからもそういった気持ちを忘

れずに日々医学の修得に励みたいと思います。

献体をしてくださった故人とその御遺族の方々、

そして、しらゆき会の方々へ深く感謝申し上げ

ます。本当にありがとうございました。

 解剖学実習が始まったのは二カ月前でもうす

ぐ終わりとなります。振り返るとあっという間

に終わってしまうのだなと思います。実習が始

まり、初めてご献体と対面したときの衝撃は、

今でも覚えています。ヒトを自分たちが解剖す

るということに対する抵抗感が少なからずあり

ました。この解剖学実習は、将来医師になり、

医療に携わっていくことに必要な学習だからこ

そ特別に許されていることであり、解剖してい

く上で献体の方をどのような目で見ればよいの

か、後ろめたさを感じていました。しかし実習

を進め、様々な構造を学習していると、その一

つ一つの筋や血管、神経などがご献体の方の生

涯を支えていたのだなと感じ、その尊さから私

はこの方を一人の師として学んでいるというこ

とに気付きました。そして得た知識はとても教

科書のみでは学べないことばかりであり大変あ

りがたいものであると感じています。

 解剖学実習を通して医学という学問の大変さ、

奥深さを学ぶとともに素晴らしさも改めて知る

ことができました。そして医師の責任の重さも

感じるとともに、人体は極めて複雑で不思議に

満ちていて、人体を知るということに終わりは

ないとも思いました。私はこの実習で学んだこ

とを決して忘れることなく医学という学問をこ

れからも一生懸命学び続けたいと思います。そ

して今回お世話になったご献体の方に感謝の気

持ちを示すためにも、多くの方々に支えられて

いるという自覚と責任を持った医師になれるよ

う努力していきたいと思います。私たちの勉学

のために献体してくださった方々、その御遺族

の方々、しらゆき会の皆様、そして先生方のお

かげで非常に有意義で充実した実習を行うこと

ができました。本当にありがとうございました。

 実習を進めていく中で人体の構造や機能を学

んで一番感じたことは、人体は非常に精巧で機

能的に出来ているということでした。骨、筋、

神経、臓器などどれもが無造作ではなく適切に

位置することで最も上手く機能することが出来

るということ、そして骨格では骨は機能的に優

れており、それぞれの骨がうまく連結し人体の

基本構造を成していることを理解しました。筋

の学習では人体には実に多種多様の筋が存在し、

各々が役割を果たすことで人間は様々な動きを

実現していると感じました。細い神経が重要な

役割を果たしており、丈夫だと考えていた人体

は実は精密機械のように精巧、且つ繊細であり、

大切にしなければならないと痛感しました。実

習書通りでないこともありましたが、人は外見

だけでなく体の中も一人一人異なっているのだ

と分かりました。解剖実習を行っている間は驚

きの連続で、そして勉強になりました。もし、

解剖実習を行っていなかったらということを考

えると、これからの専門的な講義で説明される

内容や病気の症例などを想像することが難しく

断片的にしかわからないだろうと思います。今

回の実習で学んだことはこれからの勉強で生か

していきたいと深く思いました。

 また解剖学実習は一人でできるものではなく、

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班員が協力し合うことでできるのだということ

を実感しました。共同で作業をすることでより

理解が深まることが実感できました。この三ヶ

月弱はとても早く、充実したものになりました。

将来、臨床に赴く際の大きな礎になると確信し

ています。

 更に、これから医師を志す者として医学知識

はもちろん、それと同様に生命の尊さを考える

ことも必要だと教わりました。

 最後に、今回私たちが解剖学実習をすること

ができたのは、医学のためにその身を私たち医

学生のために捧げてくださった方々、そしてそ

の遺志を理解し協力してくださった御遺族の

方々の御尽力のおかげということを忘れずにこ

れからの医学の勉強に励んでゆこうと思いまし

た。本当にありがとうございました。

  第 十三 班        

伊 藤 泰 史

佐々木 亜 美

土 田 浩 之

増 田 智 幸

唐 牛   悠

  解剖実習もあと一カ月になり今までのことを

振り返ってみると、実習の前と後では知識が増

えただけでなく、自分の意識も変化していまし

た。

 まだ二年生になったばかりの頃は人体を自分

の手で解剖することにただ抵抗と恐怖を感じて

いました。ご献体と対面したときもその抵抗感

と恐怖をまだ持っていましたが、先生から、ご

献体してくださったご本人とそのご遺族が私の

ような医学生の教育のためにご遺体の提供を同

意してくださったというお話を聞いて、自分は

そのご厚意を無駄にしないためにご献体からで

きるだけ多くのことを学ばなければならないと

思うようになりました。実習が始まってしばら

くすると人体を解剖することに慣れてきたため

か、抵抗感と恐怖はほとんど感じなくなってい

きました。それと同時にご献体としっかり向き

合うことができるようになり、解剖実習でしか

学ぶことのできないことに気付くようになりま

した。実習では身体の表面から内部への構造を

連続的に見ることができ、部分ごとで説明して

いる教科書の断続的な知識がうまくつながって

理解できるようになりました。また、ただ見る

だけでなくご献体に触れることで内臓の重さや

筋の柔軟さと強靭さを感じることもできました。

他の班のご献体も見てみて、どのような個人差

が見られるかというのがわかるのもここでしか

わからないことでした。解剖を進めていくと時

折この実習というものが外科手術のような医療

行為と似た側面があると思うことがありました。

そう思うとき、私は医師になるための勉強をし

ているのだということを強く再認識させられま

した。そして私はまだまだ勉強をしなければな

らない、今回ご献体から学んだ知識を無駄にせ

ずさらに診療などの知識を身につけていこうと

強く思いました。

 最後に、ご指導をしてくださった先生方、ご

献体の提供を決断してくださったご本人とご遺

族の方々に心より感謝申し上げます。本当にあ

りがとうございました。*

 解剖実習がもうすぐ終わりを迎えるにあたっ

て、今回このような機会を与えてくださった皆

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様に感謝の気持ちでいっぱいです。ご献体を提

供してくださった方、ご遺族の皆様、先生方へ

の感謝を感じながら、実習ができる喜びを感じ

つつ、意欲的に、実習に取り組むことができた

と思います。

 私は医学部への入学が決まった時から解剖実

習を一番心待ちにしていました。骨、臓器、血

管、神経、一般常識やうっすらとした知識とし

て持っていたものの実際の姿を観察できること

が楽しみでした。しかし、骨学の授業で初めて

本物の人の骨を目にしたとき、人体解剖実習が

始まって初めてご遺体と向き合ったときの気持

ちは今でも忘れることはできません。「楽しみ」

などといった軽々しい言葉を使うことはできな

い、そんな雰囲気を感じ身が引き締まる思いで

した。

 実習を通して、教科書で読んだ内容や講義で

教わったことの他自分が以前から知っていたこ

とを実際に目で見て、触って、確認することが

でき、今まであやふやであった自分の知識が深

く、確かなものになったことが実感できました。

特に、今まで写真やイラストで目にしていたも

の、あるいは授業で「こういうふうになってい

る」と教わったものを実物として見ることがで

き、見事にその通りになっているところや、逆

に個人差があり少し周りとは違う様子になって

いるところなど、これらを自分達の力で見つけ

だし教科書や周りの班と比較し考え、理解でき

たときには、感激に近い気持ちさえ感じました。

 今回の実習で、医学の勉強は周りのたくさん

の人の協力、力添えがなくては成り立たないと

いうことを改めて実感しました。周りの人々へ

の感謝を忘れず、自分の理想とする医師になれ

るよう一歩一歩進んでいきたいと思います。

 山形大学に入学してからずっと、二年生の前

期にあるという解剖実習を、正直私は待ち遠し

く思っていました。今年は震災の影響で、始業

が遅れたということもありその思いは日に日に

高まっていました。しかし、いざ解剖実習が始

まってみると私の気持ちは大きく変化しました。

自分に御献体で学ばせていただく資格はあるの

だろうかと深く考えるようになったのです。顔

も知らない医学生のために提供してくださった

御献体とその御遺族の方々に対する感謝の意も

込めて、一生懸命実習を行わせていただきまし

た。

 私達の班が実習をさせていただいた方は、破

格である胸骨筋があったり、また手術による胃

の摘出などがあり、教科書や図譜を通して学ん

できたことを念頭に置きつつもそれとは異なる

例が現れる度に比較検討しながら実習を進めて

いきました。これは簡単なことではありません

でしたが、同時にとても充実した日々を送るこ

とができ、解剖実習の必要性を強く実感しまし

た。筋や血管、神経の太さやその強靱さ、臓器

の位置やその重量など全てのことがいつも新鮮

で、一度として新たな発見が無かった日はあり

ませんでした。

 この解剖実習を通して、私は御献体に人間的

にも一回り大きくさせていただきました。私が

実習中に感じたこと、そして今振り返って思う

こと、それらは全て、私が将来医師として、人

間として生きていく上で必要なことであると

思っています。このように恵まれた環境で医学

を学ぶことが出来るという大きな御恩に対し、

また何にも代え難い貴重な経験の場を与えてく

ださった御献体やその御遺族の方々に対し、何

ら恥じることのない医師になれるよう、私は今

の気持ちを肝に据えて貪欲に医学を学んでいこ

うと強く思っています。最後にこのような解剖

実習の機会を与えてくださった大学の関係者の

方々、御献体とその御遺族の方々に感謝を申し

上げます。本当にありがとうございました。

 はじめに、私たち医学生のためにご献体して

下さった方々及び御遺族の皆様、そして解剖実

習と言う貴重な勉強の場を提供して下さった解

剖学の先生方に心から御礼申し上げます。本当

にありがとうございました。

 「人体解剖実習」はこれから医療に携わって

いく私にとって一つの関門でした。医学部に入

学後、先輩方からご献体を解剖する解剖学実習

の話を聞き、私は最後まで無事に乗り越えるこ

とができるのか、また十分な医学的知識を身に

つけることができるのかと、不安な気持ちを隠

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せませんでした。それと同時に、「自分がご献

体を解剖する」ということに対して恐怖の念も

ありました。しかし、「人体の神秘にふれると

いう貴重な経験ができることへの感謝の気持ち

を忘れずに実習に臨もう」という思いが人一倍

あったことも事実です。

 初めてご献体と対面した時は、ご献体に対す

る畏怖の念や捉えようのない不安から、言葉を

失いました。しかしその時、この方からは机上

の勉強では身に付かない数多くの事を学ばせて

いただけるということに気付き、一回一回の実

習を大切にしようと決意しました。実習が始

まってからは毎回が驚きと新たな発見の連続で

あり、改めて「自分の手で解剖を行う事の重要

性」を、身をもって知ることが出来ました。皮

膚や脂肪、血管、神経、リンパ、筋、骨、臓器

の形態や位置関係、感触のひとつひとつが合理

性を持っているように感じられ、複雑さの中に

も精密さが存在する人体の構造に深く感動した

のを今でも覚えています。また、体格や顔の違

いだけでなく、血管や神経の走行など外見から

は窺い知ることができない個人差があることも

知り、単なる教科書や図譜に載っていることの

丸覚えでは、実際の医療の場では通用しないと

いうことを理解しました。

 ご献体に託された医学の進歩と発展への思い

と、ご遺族の方々の御理解と御協力の気持ちに

は感謝の気持ちでいっぱいです。献体して下

さった方々の尊い無償の善意に報いる事ができ

るように、今後も不断の努力を続け、将来一人

前の医師となれるよう尽力してまいります。

 はじめに、医学を学ぼうとする私たちの解剖

学実習のために献体をしてくださった方々とそ

の遺族の方々、しらゆき会の皆様、また実習を

支えてくださった解剖学の諸先生方に感謝申し

上げます。

 実習を通して最も思い知らされたのは、人体

の構造の複雑さです。これは医学を学ぶ上で最

も基本であり、かつ重要なことですが、事前に

講義で学んでいた箇所も、実習書の図のように

わかりやすくはなっていなかったり、個人差も

あったりして迷うこともしばしばありました。

細い神経や血管などは同定しにくい上に切れや

すいため、確認することが非常に困難でした。

「百聞は一見に如かず」という言葉があります

が、解剖学実習はまさにその通りで、実際に血

管、神経、筋、臓器を見たり触って特徴をとら

えなければ、違いがわからなかったと思います。

実習の前までは文章や平面の図でしかなかった

人体に関する知識が、実習を行うことで立体的

なものとなり、より知識として定着させること

ができたと改めて感じます。

 現代の医療はチームワークが重要だとよく言

われます。この実習を通じて不明な点を解決し

たり、共に人体の精密さに感動するうちにした

りすることで、実習班のメンバーと自然とうち

とけることができました。部活動などでは学ぶ

ことができない協調性を得られたと思うと同時

に、このメンバーで実習に臨めてよかったと思

いました。

 今回の解剖学実習は私にとって二回目の体験

でしたが、昨年以上に充実感と感謝の気持ちが

大きいです。講義で学んだ知識を実習で深める

ことの大切さに改めて気づくことができただけ

でなくこれからも膨大な量の知識を学んでいく

上でのモチベーションの向上にもつながりまし

た。実習を経て得た様々なことを活かし、これ

からより一層努力したいと思います。

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  第 十四 班        

岩 井   凌

佐々木   仁

土 谷 浩 気

町 田 輝 史

鈴 木 健 介

  この度は、人体解剖実習という貴重な体験を

させていただき、大変感謝しています。ご献体

ならびにご遺族の方々、第一解剖学講座の諸先

生方に心から御礼申し上げます。

 医学の道に進むにあたって、大前提となるの

が人体構造の理解です。そしてこの解剖学実習

では、その人体構造を学ぶことができます。講

義で学習した内容を、実際に自分の目で見なが

ら学習できるので、記憶の定着が促進されとて

も有意義な時間となりました。実際に私もこれ

から役立つであろう数多くの知識を得ることが

できました。

 しかし、私も解剖実習が始まるまでは解剖に

対しての漠然とした不安を持っていたことは事

実で、実感もまったく湧いてはいませんでした。

そして、第一回目の実習の日、解剖台の上に横

になっているご献体を見て、緊張で身が引き締

まりました。最初は完全に手が止まってしまい

ましたが、実習の前に行った黙祷を思い出すと

戸惑いは「この実習から少しでも多くのことを

学ぼう」という決意に変わりました。毎回の実

習は驚きと発見の連続で、実物を見て学ぶこと

の大切さを悟りました。そして自分は医学の道

に来たのだなと改めて実感しました。体内の構

造は、血管や神経など思っていたよりも微細な

ものが多く、その観察は決して簡単なことでは

ありませんでした。正直なところ、暗中模索な

場面は数多くありましたが、そんな時でも班員

と協力しながら理解を深めることができました。

 その一方で、課題も浮かびあがったと思いま

す。人は一人一人、多少なりとも構造が違うこ

とに気づいたのです。その時、私は将来こうし

た個人の差異も加味しながら、人を診ていかな

ければならないのだなと感じ、不安になりまし

た。しかし同時に、そのために知識を付けてい

こうと強く思えました。今回の実習は私の医学

知識の土台として、生涯残ることでしょう。こ

れからも一層勉学に励み、この土台に知識を高

く高く積み上げていこうと思っています。

 まず、この実習のために献体してくださった

皆様、そのご遺族の皆様、御指導してくださっ

た先生方にお礼申し上げます。

 一年生では一般教養が主だったため、医学部

生であることを意識することは少なかったよう

に思います。解剖学実習は二年生になって医学

部生であることを強く意識できる授業なので、

若干の不安を感じながらも楽しみにしていまし

た。

 しかし、実習が始まり御献体を運んだとき、

そのあまりに非現実的な空間に最初は呆然とし

ているしかありませんでした。最初にメスを入

れる瞬間はただただ恐ろしくて、意外と固かっ

た感触を今でも覚えています。解剖が進んでい

くにつれて実習室のホルマリンの特殊な匂いや

非現実的な空間にもだんだん慣れてきて、怖さ

や不安よりももっと詳しく人体の構造・仕組み

を知りたいといった知識欲が勝って行きました。

毎授業で習ったことを確認していくことで、自

分の中で理解が深まっていくのがわかってとて

も為になりました。そして、いかに人体の構造

が複雑でシスティマティックであることがわか

り、決して図や写真からでは得られない大切な

知識を学ぶことができました。

 改めて、献体してくださった皆様、そのご遺

族の皆様、御指導してくださった先生方、解剖

学実習をさせていただき、本当にありがとうご

ざいました。これからの医学の勉強にこの経験

を生かして立派な医師となれるように努力して

いきます。

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 まず、御遺体を提供してくださった方々とそ

の御遺族の方々に感謝の気持ちを申し上げたい

と思います。自分たちが医学を学ぶ上で必要な

解剖実習を行うことができたのは、これらの

方々のご厚意があったからです。そのことを忘

れず、今後しっかりと勉学に励みたいと改めて

感じました。

 一般教養が主であった一年生から二年生に進

級し、より専門的な授業が始まりました。中で

も解剖実習はとても新鮮なものでした。解剖実

習の初日はたくさんの新しい経験がありました。

実習室に入り、ご遺体と対面したときは、とて

も複雑な感情を抱きました。自分の何倍もの時

間を過ごし、家族や友人と接し、社会で生活し、

多くの経験をされてきた方が目の前に横たわっ

ているのを見ると、これからの解剖実習に対す

る不安やメスを入れる罪悪感など様々な感情が

こみ上げました。しかし、御献体してくださっ

た方の遺志を思うと、これから自分がしっかり

とした医学の知識の土台を積み立て、将来自分

を必要とする患者さんのために働くことがその

遺志に沿うものであると感じ、より一層しっか

りと学ぼうと気持ちを新たにしました。

 医学をこれから学んでゆく上で、人体の構造

を学ぶことはとても大切なことであり、その構

造を見て、触れる経験をすることは実際に医師

として働く上でも不可欠なことです。このよう

な貴重な経験をさせていただけたことに再度感

謝したいと思います。本当にありがとうござい

ました。

 二千十一年三月十一日に東日本大震災が起こ

り、私を含め老若男女問わず多くの人々に

「死」というものが現実をもって迫ってきまし

た。そしてその復興の真っ只中に解剖実習が始

まりました。この大震災が起こった年に山形大

学医学部医学科二年生として解剖実習を行えた

ことは、医師を志す医学部生としてのみならず、

人間としても「生」と「死」について多くのこ

とを考えさせられる契機となりました。中でも

ご遺体を目の前にして「死」と向き合うことの

大切さを実感できたことは、自らの将来に必ず

役立つと思います。

 実習準備の日、「死」と向き合うことに対して

緊張と不安が入り混じっていた私でしたが、初

めてご献体と対面した時には敬虔の念が心の底

から溢れ出し、そのような緊張と不安は消え、

実習を精一杯がんばろう、という気持ちになっ

たことを今でもはっきりと覚えています。この

ような経験がなければ、これから先も「死」と

向き合うことに対する緊張と不安を拭い去るこ

とができなかったかもしれません。

 そして、実習では冷静に人体の肉眼的な構造

や様々な器具の使い方を学べ、実経験として知

識や技術を獲得できたので実習を行うたびに自

らの成長を感じることができました。講義と実

習はほぼ平行して行われますが、講義のみでは

人体構造に対する十分な理解が得られず、そこ

に実習が加わってはじめて体系的に意味を成す

のだと思いました。解剖実習で学んだことは、

医師になるために、そして医師になってからも

必要な精神、知識、技術、これらの基礎なのだ

と思います。

 最後になりますが、このような機会を与えて

いただけることは本当にありがたいことです。

ご献体していただいた方々及びそのご遺族の

方々、並びに厚いご指導をしていただいた先生

方に感謝の意を表し、これからも尽力していき

たいと思います。

 はじめに、ご献体された方ならびにご遺族の

方々、またご指導なさってくれた教員の先生方、

ありがとうございました。

 私はこのたび留年し二度目の解剖実習を経験

することになりました。去年は精神的、心理的

に受けた影響が大きくそれはそれで大変貴重な

ものでしたが、十分な知識を得られたとはいえ

ず、だからこそ今年はしっかりと解剖学を身に

つけようと自分の中で誓っていました。

 実習が始まると、以前よりも客観的に、そし

て冷静にご献体に向かうことができ、内臓や神

経系、筋系や動静脈の名称や位置関係など、実

習書に示されたものを丁寧に確認することがで

きたように思います。また、どの血管がどこに

栄養しているのだとか、どの神経がどの筋を支

配しているのかなど、講義や教科書で見聞きし

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― 32 ―

たことを実習で確認できると、その知識がよく

身についていくのがわかりました。道具の使い

方や、要領も去年の経験からか幾分よくなって

計画通り進行することができました。教職員の

先生方にわからないことは積極的に聞き指導し

ていただいたこともあり、大変有意義な解剖実

習となりました。

 今回の実習期間中に、慕っていた祖父を亡く

し、身内の死を初めて経験したこともあり、献

体された方やそのご遺族の方々の気持ちを思う

と改めて身が引き締まりました。私たちは、自

分たちのしていることに自分自身のなかでしっ

かりと価値を見出さなければならず、この経験

は将来医師として生きていくうえでの糧にしな

ければなりません。献体された方の身体をお借

りすることには大げさではなくそんな強い責任

が伴っているのだと、祖父の葬式の帰り道で考

えていました。

 このたびの実習で得た知識や思考は、これか

ら永く医学を学んでいくうえの礎になったと思

います。この経験を決して無駄にはしないよう、

医学生としてしっかり励んでいきたいです。

  第 十五 班        

岩 澤 由梨香

佐々木 啓 迪

土 屋 匡 央

松 本   伸

高 橋 昌 吾

  解剖実習の初日、想像上の世界でしかなかっ

た人体の内部を学ぶことができるという思いと、

漠然とした不安を抱いて実習室に入った。黙祷

をささげ、御献体に向き合ってみると、今まで

味わったことのない緊張と戸惑いを感じた。す

べてが初めてのことで、一体どのようにすれば

いいのか分からないながらも、教科書を片手に

実習を開始した。御献体に恐る恐るメスを入れ

ながら、自分は今人体解剖という貴重な勉強を

させてもらっているのだ、と実感した。初めの

ころは実物と教科書を見比べてもなかなか同定

ができなかったり、教科書の内容がわからな

かったりすることも多かったが、先生方に助け

てもらいながら解剖を進めてゆき、筋や血管、

神経、内臓等、教科書や授業で学んだものを実

際に自分の目で確かめていくにつれ、人体の精

巧さに驚かされた。体幹から手先、足先まで血

管や神経が分岐しながら走行する様子や、内臓

が複雑に、しかし無駄なく体内に収まっている

様子など、毎回が感動の連続だった。今まで平

面上のものでしかなかったものを立体的に視覚

で捕えることができ、自分の手で触れてみるこ

とで各構造の空間的把握ができ、知識と理解を

深めることができた。自分が思っていた構造を

実習で見てみたら間違っていた、ということも

少なくなかった。また、教科書や隣の班の御献

体と血管の走行が大きく異なる個所があったり、

自分の班の御献体では存在しない筋が他の班で

見られたりと、教科書がすべてではなく、ひと

りひとり多様性があることもわかった。

 解剖を通じて、教科書だけでは分からないた

くさんの解剖学的知識を得られたのはもちろん

のこと、自分が医学を学んでいるという実感、

医療人としての責任を改めて感じた。このよう

な貴重な勉学の機会を与えてくださった献体者

の方とその御遺族の方々に心から深く感謝する

とともに、実習で得た知識を生かしより一層勉

学に励みたいと思う。

 二年生の講義が始まると、すぐに解剖実習が

始まりました。実習初日、ご献体が運び出され

たのを目の当たりにしたとき、私は自分が医学

生であるということをそれまでで最も強く実感

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― 33 ―

しました。一年生の時は他学部と一緒の一般教

養や専門科目としては生化学などを学びました

が、その中では自分が医学生であるということ

は分かっていても、特別な勉強をしなければな

らないという意識はあまりありませんでした。

私は入学当初外科系に興味がありましたので、

私にとって解剖実習とは将来医師を目指すにあ

たって最も意識して学ぶべきものであると思っ

ており、医学生としての意識を持つ大きなきっ

かけでした。

 解剖実習を進める中で、人間の体は教科書の

通りである共通の構造をしており、人体が合理

的、精巧にできていることにより人は生きてい

るということが分かりました。一方でそれぞれ

の構造が個人によって千差万別で教科書の通り

にいかないものであり、筋や血管、神経などは

図譜などと見比べてもなかなか同定が難しく、

それぞれの走行などを理解するのに苦労しまし

た。しかし医師となるためにはこれらの構造の

個人による違いなどを理解し見極めることが不

可欠であり、解剖実習という経験はその大きな

一歩であったと思います。

 私が解剖実習という貴重な経験を得ることが

できたのは、ご献体していただいた方やそのご

遺族の方々の医学の維持発展に対するご理解の

賜物であり、またご指導していただいた先生方

のおかげです、本当に感謝しています。皆さま

のご厚意は私たちが立派な医師となることを期

待してのことであり、私たちにはその期待に応

える責任があります。これからも一生懸命勉学

に励み、立派な医師となり社会に貢献したいと

思います。それまでには様々な人のご協力に支

えられることでしょう。それらの支えに感謝の

心を忘れずにこれからも努力していきます。本

当にありがとうございました。

 東日本大震災の影響もあり、例年よりも一ヶ

月遅い五月からの解剖実習となりましたが、そ

れも終わりを迎えようとしています。振り返っ

てみると、医学部に入学して一年目は一般教養

が主であり、あまり医学とは関わらない一年間

を過ごしてきました。二年生になり解剖実習が

はじまり、実際に手を動かして医学の学習を進

めていく中で、人体の構造は一つとしてすべて

が同じ構造をとっていないということに気付か

されました。教科書、講義を通して人体の構造

についての理解をしつつ、そして解剖実習で本

当にそうなのかを確かめさせていただき、学習

を進めていくことで一歩ずつ医学についての知

識を深めていき、将来患者の方々から信頼され

る医師になれるよう努力しなければと思ってい

ます。

 初めて御献体と向き合ったとき、私は不安や

恐怖心がまず先に出ました。そして自分のよう

な未熟者が、本当に解剖実習をしても良いのか

とも迷いました。しかし、冷静になって考えて

みると未熟者であるからこそ学ばなければなら

ないし、御献体をされた方そして御遺族の方々

がくださったこの機会を無にしてはいけないと

改めて感じました。そう考えるようになった後、

私は解剖実習を落ち着いて取り組むことが出来

ました。実習をするにあたり、忘れてはならな

いことは、「御献体をされた方そしてその御遺

族の方々に対していつも感謝の気持ちを忘れな

い」ということを心に置いて実習をさせていた

だくことです。

 三ヶ月に渡る解剖実習を通して、知識だけで

なく、人体の構造が非常に複雑に出来ているこ

とを目で見て確認させて頂いた事はこれから先、

医学的な技術を身につける上で、重要であるこ

とは言うまでもありません。そして医学の知識

も大切ですが、人間性ももっと磨いていていき

たいと思っています。

 改めて御献体をしてくださった方、そして御

遺族の方々、そしてしらゆき会の皆様に厚く御

礼申し上げます。ありがとうございました。

 私たちは今年解剖実習に臨みました。一般教

養の課程を経たばかりで、まだ医学という学問

の輪郭もわからないような状態で始まった実習

でしたが、はじめてご遺体とお会いしたときに

は、将来医師として人の命を預かっていくとい

うことの重みを強く感じました。

 はじめは人の体にメスを入れることに抵抗が

ありましたが、次第にこのような素晴らしい機

会を与えて頂いたことに感謝するようになりま

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した。実習の中で、やはり医師として一人前に

なるためには実際に人の体を見るということが

不可欠なのだと強く感じたからです。授業で

習った知識をご遺体で確かめてみると、人体は

驚くほど精巧にできていることがわかりました。

皮膚や結合組織の下には筋がいくつも重なって

いて、体幹には想像したよりもずっと太く強い

血管や神経が走っていて、細かな部位にもひと

つひとつ名前があり、それらを図譜と照らし合

わせていくと、それぞれのご遺体にはとても個

性があったにもかかわらず、どんなご遺体も機

能の面では共通しているということに今更なが

ら驚きました。そしてなによりも今回の解剖実

習で印象深かったのは、人体の感触でした。そ

れぞれの臓器に特有の柔らかさ、動脈の弾力や

骨の感触など…これは何をおいても解剖してみ

ないとわからないことです。

 このような非常に貴重な機会を頂けたのも、

ご献体の生前の尊いご遺志とご遺族のあたたか

いご協力のおかげです。私たちは社会からこの

ような支援を受けているという自覚を忘れず、

勉学に励み、一刻も早く患者さんの力になれる

ような医師になる努力をしなければならないと

改めて痛感しました。将来医師として患者さん

の体を診るようになっても、私は決してこの解

剖実習を忘れません。初めて人の体を見た驚き

と感動、そして感じた責任を決して忘れません。

 はじめに私達に解剖学を学ぶ機会を与えてく

ださった先生方、そして何よりも献体してくだ

さった方々に心から感謝の気持ちを申し上げた

いと思います。本当にありがとうございました。

私は今回が二度目の実習なのですが、去年の実

習で疑問に残ったことやもっと調べたいことを

重点的に解剖することができ解剖の知識をさら

に定着させることができました。実習を進め解

剖していくことで教科書や図譜から得られる平

面的な知識を、立体的な知識として定着させる

ことができるということ、また教科書を読んだ

だけでは頭に残りにくかったものも、実習で見

てみることでとても印象に残りやすいというこ

とも改めて確認できました。そして教科書や図

譜を読んだだけでは分かりづらかった血管や神

経と筋のつながりを自らの手で解剖し確かめる

ことでよりいっそう理解を深めることができま

した。それと同時に人体の構造には個人差があ

り、決して教科書どおりではなく複雑にできて

いることを知ることができ、実物を見ることの

大切さを認識しました。また人体に対する興味

を今まで以上にもつこともできました。解剖学

実習を通して命の尊さというものを実感しまし

た。解剖を行うことで、人体の構造は人によっ

て違うということを改めて実感することができ

ましたし、そしてその構造は精巧でもあり繊細

でもあることを理解し、生命の不思議さを考え

させられました。解剖実習を通してこうした多

くのことを学ぶことができ、そして自分自身に

多くの変化をもたらされたと思います。

 これからも解剖学実習で学んだことを忘れず

に勉学に励んでいきたいと思います。そしてこ

の貴重な経験を将来医療に携わる上で、役立て

ていきたいと思っています。最後にもう一度私

たちにこの機会を与えてくださったすべての

方々に感謝の言葉を申し上げます。本当にあり

がとうございました。

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  第 十六 班        

岩 本 尚太朗

笹 崎 智 也

角 田 侑 以

三 浦 杏 子

  振り返ると、解剖実習という貴重な体験をし

た三ヶ月間はあっという間であったように思い

ます。人の体を知るという基本的で最も重要な

ことを、自分の手や目で触れることは、とても

有意義な体験でした。

 実習では、血管や筋、神経の分布などを自分

の目で見たり、手で触れていったりしていくう

ちに、人体は非常に複雑で精巧なつくりをして

おり、神秘的であると思いました。そして、教

科書などだけではわかりづらい、人体の立体的

な構造や、機能との関係などを、よりよく理解

することができ、常に驚きと感動の連続でした。

徐々にではありますが、人体についての知識が

身についていくのが感じられたときは非常に嬉

しかったです。

 また、解剖を進めていくうちに、人にはそれ

ぞれ個性があるように、人体も基本的なつくり

は同じであっても、それぞれが違った部分を

持っていることに気づきました。そして、それ

は献体をしてくださった方が生きてこられた人

生が、この中に詰まっているのだと感じました。

このことはオーダーメイド医療が叫ばれている

昨今において、とても役に立つことだと思いま

す。

 実習を通して、人体の構造を学ぶだけではな

く、命の尊さについて深く考える機会にもなり

ました。経験の伴った知識をつけることができ

たので、将来医療の現場で患者さんと向き合っ

ていく中で、力を発揮していくと思います。

 最後に、私たちの実習のために献体してくだ

さった方々とその御遺族の方々、また実習中御

指導してくださった先生方に深い感謝の意を示

したいと思います。

 人体内部の構造は私たちが普段生活している

中ではまず見ることのない未知の領域でした。

今回解剖実習を通して、今まで本や映像でしか

見ることのなかった人体の構造を間近で観察す

ることができ、とても貴重で掛け替えのない体

験ができたと思います。

 解剖をしてみると神経や筋の位置、組織の厚

み等個人個人でまったく異なっていることに驚

かされました。本を片手に神経を探してみても

記載されている場所では見つからず、少しずれ

た位置で見つかることが良くありました。しか

しそのあと見つかった神経を丁寧に辿ってゆく

と、しっかりとあるべき位置に繋がっていたり

する様子がよく分かりました。本を見ているだ

けでは分からなかった個人個人の違い、そして

多少の違いはあれど同じ構造をもつ人体の共通

のつくり、それらを直接自分の目で確かめて認

識できたことはこれから医学の道を進む上で必

要な過程であったと思います。

 解剖を進めていき、一つ一つの臓器を丁寧に

取り出させていただくうちに、人とはそれぞれ

の臓器や筋、骨や神経など、様々なものが寄り

集まり、互いに機能し合って初めてできている

ものなのだと感じました。その寄り集まったも

のを丁寧に確認していく過程の中で、それぞれ

の組織の繋がりを強く意識でき、このような機

会を与えていただいたことで人に対する考え方

がとても広がったように感じます。

 今回私たちのためにご献体してくださった

方々、そのご遺族の方々には心より感謝申し上

げます。この経験を無駄にせず、今後さらなる

経験を積み、勉学に励んで立派な医師になるこ

とが私たちが出来るせめてもの恩返しだと思っ

ています。本当にありがとうございました。

 二年生で解剖実習があるということは入学時

に知っていましたが、全く想像をすることがで

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きず、とても不安でした。実習初日に黙祷した

時に、これから解剖が始まるのだと改めて実感

し、一回一回の実習を大切にしようと心に決め

ました。ご遺体を目の前にして、初めてメスを

入れる時が一番緊張し、不安になったのを今で

も覚えています。

 実習では授業や教科書、図譜を見ただけでは

得られない立体的な構造を認識しやすかったで

す。図譜と照らし合わせながら、筋や神経、血

管などの複雑な走行は自分で解剖していくこと

で、理解を深めることができました。また、他

の班のご遺体を見せてもらうと臓器の大きさや

筋のつき方などに個人差があることも学ぶこと

ができ、教科書だけでは学べない知識をたくさ

ん得ることができたと思います。毎回の実習が

新しい発見ばかりで、初日に感じていた不安よ

り驚きや探究心、複雑な構造を理解した時の人

体の不思議に対する感動が上回るようになりま

した。

 解剖を進める中で図譜に載っている文章を読

んでも理解できなかったり、勉強不足で図譜に

書いてある筋などを見つけられなかったりした

こともありましたが、先生方に丁寧に教えてい

ただき、実習を進めることができました。また、

班員との協力無しにはここまで充実した実習を

することができなかったと思いますし、お互い

教え合うことで、記憶に残りやすくなりました。

初めは長く感じていた解剖実習もあっという間

で、限られた実習時間でもっと細部までゆっく

り時間をかけて見たい所も多くありました。

 この経験によって得た知識は多く、解剖実習

をさせてくださった、ご献体そしてご遺族の

方々にとても感謝しています。本当にありがと

うございました。実習で自分の目で見ることに

よって得た知識をこれからの勉強につなげてい

こうと思います。そして、将来医師になった時

も初心を忘れず、この貴重な経験を活かしてい

きたいと思います。

 二年生になったばかりのときは、自分が本当

に解剖実習をしていいのかとためらいがありま

した。心の整理がつけられないまま一回目の解

剖実習が始まり、私は緊張と不安、そして戸惑

いが入り混じった複雑な気持ちでした。しかし、

ご献体を目の前にするとそのようなことは言っ

てはいられないと強く思いました。なぜなら、

ためらうよりも少しでも多くのことを学ぶこと

が献体していただいた方とご遺族の気持ちに応

えることになると感じたからです。最初のメス

を入れるとき、献体していただいた方も最期を

惜しまれていたのだろうと思うと心が痛みまし

た。この方に敬意を示すとともに、ご遺族が献

体に対する理解を示してくださったことにも感

謝して取り組みました。たとえお会いしたこと

がなくても、献体することを希望されたこの方

とご遺族のお気持ちを大切にして学習を進めて

いきたいと思いました。その後、実習の時間を

少しも無駄にしたくない気持ちから、少しでも

多くのことを吸収したいと思うようになり、自

然と学習意欲も高まりました。

 実習が始まって二カ月が経とうとしている今

は、始めに感じた戸惑いの気持ちは、医療がそ

れだけ厳粛なものであると教えてくれたことな

のだと考え、医学生としての自覚を新たにする

きっかけになりました。実習では、何もかもが

これまでの自分のイメージと異なっていて実際

に触れてみることの大切さを知りました。授業

や本で見たことも解剖することで一層理解が深

まり、人体の精巧さに感心するだけでなく、さ

らに詳しく知りたいと思いました。本では平面

的にしか理解できなかった構造も、実習では立

体的にその仕組みがわかり曖昧だったことがす

ぐに明らかになりました。このようにして、実

習で学んだことは確実な理解につながっていき

ました。また医学の知識習得に留まらず、手に

伝わる重みや柔らかさなど、実習だから感じら

れることも多くありました。そして、回を重ね

るごとに高まっていくチームワークの大切さを

感じました。解剖が思ったように進まないこと

もありましたが、他の班員と助け合いながら協

力して取り組んだことで、ここまで進めること

ができましたし、実習の質を高めることができ

たと思います。

 この解剖実習の経験は今後医学生として、ま

た医師となった時にも大きな意味を持つと思い

ます。なぜなら、これから先医学を学ぶ上で基

礎になるというだけでなく、医学生として人と

向き合う第一歩であると感じたからです。今回

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― 37 ―

の実習で得た知識はもちろんのこと、医学に対

する学習意欲や、多くの人の支えがあるからこ

そ自分が今勉強できるという意識をこれから先

も持ち続けていきたいです。最後に今回の実習

のために献体していただいた方とそのご遺族の

方々に深く感謝します。この経験をより一層活

かせるように、医学生として成長していきたい

と思います。貴重な機会を与えていただき、本

当にありがとうございました。

  第 十七 班        

牛 木 詠 子

佐 藤   海

手 塚 綾 乃

三 上 寧 子

  解剖実習が五月半ばに始まってから、早くも

二ヶ月がたちました。今私は、二つの思いを持

つようになりました。それは、人体の構造の精

巧さに対する感動と、献体してくださった方へ

の感謝の気持ちです。

 まず、教科書には、色彩豊かにわかりやすく

人体の構造が描かれています。教科書だけを読

んでいると、人体にはそれぞれ特定の臓器が図

と同じ形で存在しているとつい思いこんでしま

いがちになります。しかし、解剖してみると、

色は単調でどこに何があるのかわかりづらく、

臓器の形や神経・血管の走行もそれぞれのご献

体で異なっていました。その多様な中で、どれ

が何なのか同定することは毎回新鮮であり、と

ても興味深かったです。中でも、特異的な破格

を見つけた時には、ただただ人体の不思議さに

驚かされるばかりでした。私は、解剖実習を通

して人体が無駄なく精巧に成り立っていること

を知り、ますますその仕組みについて知りたい

と思うようになりました。

 次に、献体してくださった方に対する感謝に

ついて書きたいと思います。私はこの二ヶ月間、

献体してくださった方がどのような思いで献体

登録をなさったのか、また、その思いに対して

どのようにしたら応えられるのかについて考え

ました。医学の進歩のため、より良き医師の育

成のため、亡くなられた自らの身を捧げてくだ

さったこと。また、ご遺族の方々は様々な感情

があった中、献体登録を了承してくださったこ

と。これら全ての方々に対し、感謝をしてやみ

ません。みなさんの思いに恥じない、立派な医

師となれるよう、日々勉強に邁進していきたい

と思います。

 この実習を通して、私は医師になるというこ

との自覚を持つようになり、勉強に対する姿勢

が大きく変わりました。今回の実習は決して忘

れることはないと思います。最後に、解剖とい

う貴重な、恵まれた機会をもつことができたこ

とに対し、実習に関わった全ての方々へ感謝申

し上げます。ありがとうございました。

 教科書を読み、そこから学ぶことと実際に解

剖実習をして学ぶこととは全く異なります。私

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がこの貴重な体験をすることができるのは「し

らゆき会」の存在のおかげです。私は今年から

本格的に医学の授業を受け始めました。解剖学

を含む基礎医学はこれから後に臨床医学を学ぶ

上で基礎となることです。今回の解剖を通じて

人体について、講義によって学んだ知識と照ら

し合わせながら、私は人体の不思議に触れるこ

とができました。それと共により一層、医療に

対する興味と医師となることへの責任感とが強

くなることも感じました。

 解剖実習が始まり、献体に触れた時に私は自

分が医学部に入学したことを、将来医師と言う

職業に就くということを強く意識することとな

りました。いくら教科書を読んでも、いくら先

生の講義を聴いてもこの感覚を覚えることはあ

りませんでした。将来私たちが臨床の場に出た

時に相対するのは生身の人間です。この解剖実

習は私たちにとっては初めて臨床に近いものと

して心構えとなりました。こうして解剖実習の

一つの目的である、より高いレベルでの解剖学

的知識、経験の習得、というものに対して、私

なりの努カは果たせたのではないかと思います。

同時にこれから自分が身を置こうとしている世

界が、紛れもなく「人のいのち」に囲まれてい

る、という事実を気付かせてくれました。私が

今行っている実習は周囲の人からの支え、周囲

の環境による支え、そして「いのち」の支えの

上に成り立っていたことを改めて考えさせられ

たのです。

 私たちには知識のみにとらわれず、常に人の

いのちに真正面から向き合う医師像が求められ

ているのだ、ということをたくさんの人の遺志

から学びとることが今回の、もう一つの大きな

目的であったと思います。

 最後になりましたが、ここで改めて、献体と

なってくださった方、そのご遺族の方々に心よ

り感謝の気持ちを表したいと思います。ありが

とうございました。

 はじめ、わたしにとって解剖実習は、今学年

の不安要素でした。大学に入学する前から解剖

実習の存在は知っていましたし、入学してから

も「二年生になったらまず解剖があるんだ」と

いう意識は常にありました。しかし授業の存在

自体は頭にあったとはいえ、実習を始めるまで

は、本当に自分が人体解剖をできるのだろうか

と不安でした。初めて献体と対面した時も緊張

で手が震えていたのを覚えています。ですが、

一日一日と実習が進んでいくにつれ、緊張が解

け、献体とじっくり向き合うことができるよう

になりました。座学で学んだ骨や筋、内臓の位

置、血管や神経の走行などを確認することがで

き、それらを教科書と見比べながら実習を進め

ることは、ためになりましたし、とても興味深

かったです。教科書通りになっている部分を見

つけた時は「ああ、実際にこうなっているのか」

と感動し、教科書と異なっていた時は人体の多

様さに驚きました。図譜をただ眺めているより

も、自ら手を動かす事で、ずっと深く理解する

ことができたと思います。先生方から助言を頂

きながら、慣れない作業に苦戦しつつも、自分

なりに納得しながら進めることができました。

 実習を通してわたしが強く感じたことは、人

体が複雑かつ精密にできているということです。

筋にしても、大きな筋が重要な機能を持ってい

るのはもちろんのこと、注意していなければ見

逃してしまいそうなほどに薄く小さな筋も、重

要な役割を果たしていることには感心しました。

また、臓器を見てみても、図譜や模型とは随分

違っており、じっくり見ると合理的な形や配置

になっていることが分かり、勉強になりました。

 この解剖実習で、医学を学ぶ上で重要な基礎

知識を数多く学べたように思います。何より、

医学生としてのスタートラインに立ったことを

自覚することができました。今回貴重な実習の

経験を与えて下さった献体者の方とそのご遺族

の方々には深く感謝すると共に、この経験をこ

れからの学習に生かしていきたいと思います。

 一年生の時から二年生になると解剖実習をす

るということは知っていたものの、どのように

実習をしていくのか全く想像もつかず、初日は

不安でいっぱいでした。

 初めて献体の方と向き合ったとき、献体され

た方には失礼なことだと思いますが、正直に言

うと私は恐怖心を抱いていました。かつては私

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達と同じように生きていた方だと思うと、メス

を入れるのにも緊張し、躊躇してしまいました。

しかし実習が進むにつれて、献体された方、ま

たそのご遺族の方々のためにも、この実習を通

してできる限り多くのことを学ばなければいけ

ないのだという考えに至り、恐怖心に代わって

献体された方への敬意、感謝の気持ちが大きく

なっていきました。

 解剖実習が進むにつれて、講義や教科書で学

んだ構造のひとつひとつがつながり、人体と

なっていることを実感し、感動を覚えました。

実物を見て、触れて、重さを感じることで机上

では気づかなかったことに気づき、理解を深め

ることができましたが、それと同時に、自分の

勉強不足を強く感じました。臓器の位置や血管

の本数など、教科書の図と実物を見るのとでは

異なっていることもあり、筋や血管・神経の同

定をするのに友達や先生に頼ることが多々あり

ました。また、初めの頃は慣れていないことも

あり、不器用な私は血管や神経を切ってしまう

ことが度々あり、献体された方には申し訳なく

思っています。

 この解剖実習は本当に貴重な経験で、教科書

などでは得られない知識を学ぶことができまし

た。それは献体された方とそのご遺族の方々の

おかげであり、敬意・感謝の気持ちでいっぱい

です。本当にありがとうございました。この経

験・知識を生かしてこれから勉学に励み、将来

献体された方の厚意に応えられるような立派な

医師になりたいと思います。

  第 十八 班        

江 口   誠

佐 藤   碧

中 川 拓 哉

村 上 成 人

福 田 裕 也

  解剖実習を振り返ってみて、一番印象に残っ

ているのはご献体に初めて対面した時のことだ。

自分にとって解剖というのは「医学部といえば

供解剖僑」という、漠然とした考えが大きく、

不安でいっぱいだった。そのため、実習の始ま

る前は先輩に解剖についていろいろと質問して

いたのを覚えている。先輩の話を聞くと、自分

の中で解剖に対して期待する気持ちも出てきて、

期待と不安の入り混じった複雑な心境の中、最

初の実習を迎えた。

 ご献体に対面する直前、布とビニールに包ま

れた状態のご献体を前にして、同じ班の誰もが

緊張していた。そして、黙祷を捧げ、ご献体と

対面した。そのとき、自分の中で緊張感が頂点

に達したのがわかった。ただ、それまであった

不安というのはあまり感じなくなっていて、目

の前のご献体にこれからお世話になることへの

思いが強くなっていた。そして、この気持ちを

忘れないでいようと強く思った。最初の実習は

こうした様々な思いが巡り、今も強く心に残っ

ている。

 解剖を進めていくと、血管・神経・筋など、

人体の様々な構造が明らかになっていき、それ

を自分自身の目で見ると、教科書などでただ読

むことよりもわかることが多く、実習するたび

に人体への興味が増していった。その中でも特

に感じたのは、人体は複雑でかつ繊細にできて

いるということだった。血管・神経の走行とい

うのは単純ではなく、全てが実習書通りとはい

かなかった。そして、人体のどの部分も、手引

きの順序を理解しなければ正しく解剖できない

ほど繊細であるとわかった。そういったことは、

人体への興味をますます高めるとともに理解も

深めてくれたと感じる。

 解剖実習は、医学という分野の始まりの地点

にいる自分に貴重な体験を与え、興味を抱かせ、

良い刺激を与えてくれたことだと感じている。

そして、この貴重な機会を与えてくださったご

献体者の方と、そのご遺族の方々に深く感謝す

るとともに、これから医学の道を歩んでいきた

いと思う。

 実習を始めて、私は今まで未知の領域であっ

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― 40 ―

た人体解剖を体験し、その神秘をまざまざと感

じさせられました。授業で人体構造を学んでい

ても、自分にも同じ構造があるということが信

じられませんでした。しかしながら、ご献体を

前にして自分達でその構造をひとつひとつ見て

いくことにより、授業で教わったことを立体的

に見ることができ、あの授業の話はここを示し

ていたのだと、理解を深めることができました。

特に血管や神経は教科書や参考書で見るよりも

複雑な走行をしており、血管一つとってみても

長さや太さ、また触った感触が全く違うことが

わかりました。さらに、授業で習っているのは

一般的な構造であり、個人でその構造に多少の

違いが見られるということも学びました。その

ため、実習書などと比べてみてもわからないこ

とが多々あり、毎回先生方に教えてもらいなが

ら実習を進めていきました。

 解剖を始めて、人体は複雑にさまざまなもの

が組み合わさっているのと同時に、一切の無駄

がない、非常に緻密な構造をしていることがわ

かりました。それは、ただ単に教科書や参考書

を漠然と眺めていただけではわかり得ないこと

でした。実習を通して、自分の手で人体解剖を

行い、授業で習ったことと照らし合わせながら

学ぶことで、人体のリアルな構造を理解できる

のだと感じました。

 実習を行ったことで自分が未来の医療人とし

て医学の道を一歩ずつ歩き始めていること、そ

して医療行為というものは怪我や病気の人達を

治す手助けとなる同時に、場合によっては人を

傷つける危険な行為にもなりかねない、という

ことを実感させられました。このような人体解

剖という貴重な体験をする機会を与えてくだ

さったご献体してくださった方、そのご遺族の

方々に深く感謝するとともにこの経験を今後に

活かしていきたいと思います。

 今回の解剖実習を通して、将来自分は医師に

なるということを強く自覚するとともに一生懸

命勉強していかなくてはならない、という責任

をより一層感じることができました。それは授

業のなかで唯一自分が本物の人体に触れる機会

だったからです。

 実習の初日は不安でいっぱいでした。自分は

何一つ医学知識を持ち合わせておらず、その上

どのようにご献体を扱ってよいか全くわからな

かったからです。そして、初めてご献体と対面

した時、正直なところ言葉が出ませんでした。

ご献体は腐敗しないための処置が施されている

ため、生体とは似て異なりその肌の色、表情な

どが想像以上に私たちと異なっており重く、そ

して冷たかったのです。しかし、その体は明ら

かに人工物とは違う感触で、髪の毛も生前その

ままであり、生前の姿が容易に想像することが

できました。そのため、最初に皮膚にメスを入

れる時はもの凄いためらいと体を切ることへの

罪悪感を覚えましたが、献体してくださった方

の気持ちに報いるためにできる限りの学習をし

ていこうと決意しました。

 解剖実習が進んでいくにつれて、徐々に体の

深部が見えてくると初めて見る体の複雑さ、精

巧さに驚きの連続でした。特に全身を廻る神経

や血管の様子は圧巻でした。細かくて注意して

いないと見落としてしまいそうな神経や組織の

細部にまで行きわたる動静脈の精密さは到底人

の手で再現できるものではなく、人体の構造は

こんなにまで合理的かつ無駄なくできていると

いうことを自分の肌で感じることができました。

 実習では毎回しっかりと学習していけるよう

に班員全員で協力して取り組みましたが、やは

り体には個人差があり、図譜に書かれているこ

とと見え方が一致しないこともしばしばあり、

箇所を同定するのが難しい場面もありました。

また、出血により変化したものなど教科書だけ

では学べないことも学習することができました。

全体を通して、今回の解剖実習は机の上の勉強

では分からない本物を見ることができ、これか

らさらに医学を学んでいく上で大きな収穫に

なったと思います。

 最後になりましたが、このような機会を与え

て頂いた献体してくださった方々、そして御遺

族の方々の御厚意に厚く感謝するとともに献体

してくださった方々のご冥福をお祈りします。

 はじめに、御献体をしてくださった方とご遺

族の方々に深く御礼申し上げます。私たちがこ

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うして解剖実習という医師になるうえで絶対に

必要な経験をさせていただいているのは本当に

皆様のおかげです。誠にありがとうございまし

た。

 私は、最初の実習の際は正直不安でいっぱい

でした。医学生といっても知識、精神共にまだ

まだ未熟な私たちが人体の解剖をするというこ

とにためらいがありました。特に最初にメスを

入れるときは、人を傷つけてしまったという思

いがありショックを受けました。しかし、御献

体の方、その遺族の方が私たちの勉強の手助け

のためにとお体を提供してくださったことを考

えると、しっかりした気持ちで実習に臨み、得

られることすべてを吸収しようと思い直しまし

た。実際、教科書で勉強することとはわけが違

い、人体の隅から隅まで詳細に見て学ぶことで

人間の神秘さについても考えさせられ、大変た

めになる貴重な経験でした。実物を見て学んだ

知識は教科書などで学んだ知識よりもとても実

用的であり、将来医師になってから役に立つも

のだと思います。実習中はグループのみんなで

それぞれが解剖し同定した血管、神経、内臓な

どとそのつながりを教え合い、切磋琢磨し、一

層の知識の吸収に努めました。また、知識だけ

ではなく、この実習中に感じた御献体に対する

気持ちはとても重要なものであり、患者の病気

を診るのではなくまず患者を診るという医師の

基本となる考えにつながるものだと思います。

 私たちはこの解剖実習が医学への第一歩と感

じると同時に、医師になるというモチベーショ

ンをより一層向上させることが出来ました。こ

の実習で学んだすべてのことを礎にして、これ

から一生懸命に勉学に励もうと思います。そし

て将来立派な医師になることが御献体の方、ま

たその遺族の方に対しての最大の感謝になると

思います。

 この度、解剖実習をさせていただいたことで、

多くのことを学ぶことができました。人体を自

分の目で見て、解剖を進めていくことで、それ

がいかにたくさんの構造によって支えられ、綿

密な動きや機能を持っているか、ということが

実感できました。人体の機能と構造とが深く関

わっていること、その機能を生み出す組織や器

官が複雑に、かつ無駄なく合理的にできている

ことは、解剖実習を経験したからこそ、身を

もって理解できたことです。

 実習を通し、人体の繊細さ、合理的な構造の

中に見られる一人一人の個人差から、すべてが

教科書通りということはないと実感しました。

はじめは戸惑いもしましたが、自分が抱いてい

た人体構造のイメージが絶対的なものではなく、

むしろ多くある形のひとつであることに気付か

されました。そこから人体の不思議さや興味深

さ、命の尊さを感じることができたと思ってい

ます。

 実習を重ねるごとに、当初感じていた、人の

体にメスを入れることに対する辛さやためらい、

申し訳なさのような感情は、少しずつ「一人前

の医師になり、この感謝を医療という形でお返

ししたい」という気持ちに変わりました。解剖

実習は、自分は医師を志しているのだという決

意の再確認の機会と、これからの勉学へのモチ

ベーションを与えてくれるものでした。

 最後に、尊い御体を御献体してくださった

方々、その遺志を尊重してくださったご遺族の

方々がいらっしゃることで、この貴重な経験を

させていただいたことに、心から感謝していま

す。死から学び、それを生に活かし社会に貢献

することが、解剖実習をさせていただいたこと

に対する答えと考え、精一杯の努力をしていく

覚悟です。医学に協力して支援してくださる

方々がいらっしゃることで医学を学べるのだ、

ということをこれからは常に心にとどめていこ

うと思います。

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  第 十九 班        

榎 田 嵩 子

鮫 島 健 志

中 村 文 洋

馬 上 峻 哉

松 村   遼

  二年生になって、解剖実習があるということ

はカリキュラム上分かってはいたものの、いざ

始まってみると、自分がいかに今までちゃんと

した実感を持てずにいたかということを痛感し

ました。初めは、御献体の皮膚にメスを入れる

ことに非常に抵抗がありました。自分には無理

だ、向いていないのでは、という思いすらよぎ

りましたが、次第に、解剖実習を全うすること

が自分達医学生の本分であると同時に、御献体

の方の寛大な御遺志であることが実感されてき

ました。そう思うと、様々な方からの貴重な御

厚意によって成り立っているこの実習で、少し

でも多く色んなことを学ぼう、と素直に解剖を

進めることができました。

 解剖実習は、机に座って文字や絵を追うだけ

の勉強では、決して得られなかった貴重な経験

でした。教科書に載っている図や例は、あくま

でも参考にすぎないのだということが、ひしひ

しと身に染みました。例えば、教科書では動脈

や静脈、神経、筋の構造などがきれいに色分け

されて、載っています。しかし当たり前ですが、

実物はそうではありません。実際の人体構造を

初めて見る私たちにとっては、細い血管と神経

が見分けられなかったり、解剖したい筋がどこ

にあるのか分からなかったりすることがありま

した。その時は先生の御指導を仰いで、やっと

自分の知識と御献体とが一致したときは、その

知識がしっかりと実に成って自分に根を張って

いるという、手ごたえを感じました。

 また、他の班の御献体の構造と自分の班とを

比べてみても、人体は個人個人によって、見た

目も、時には構造も様々であることが、よく理

解できました。

 御献体の方やその御遺族の方々、そして、し

らゆき会の関係者の方々には、本当に感謝して

います。この場を借りて、厚く御礼申し上げま

すとともに、将来良い医師となって社会に貢献

するため、日々努力することを誓います。本当

にありがとうございました。

 はじめに、献体として自身の身体を提供して

くださった方と、それを承諾してくださった御

遺族の方々に対して感謝したいと思います。今

回の解剖実習を通して、人体の構造について詳

しく学ぶことができたとともに、これから医療

に携わっていく上での自覚を持つ良いきっかけ

になったと思います。

 二年生になって医学部での専門の授業が始

まってから約三ヶ月が経ちました。その中で最

も医学生としての実感が強かったのが人体解剖

実習でしたが、やはり人体を解剖することに対

して、少し不安も持っていました。

 初めて御遺体を目の前にしたときは、少し怖

いという気持ちもあり、ただただ戸惑っていた

のをよく覚えています。いざメスを入れてみて

も最初のうちはどうしていいのか分からず、皮

膚をはがすこともままならないまま、血管や神

経も切ってしまうような状況でした。しかし、

実習の回数を重ねていくたびに、班のみんなで

協力して自分たちで考え、実習を進めることが

できたと思います。人体の構造には個人差があ

り、図譜や教科書をと見比べてみてもどこにど

んな血管や神経、筋、臓器があるかが微妙に

違っていて、それらを観察するのはとても難し

く、それと同時にとても興味深くもありました。

そのため、今回の解剖実習は、教科書で学習す

るだけでは分からない人体の構造を学ぶ上で非

常に良い経験になったと思います。

 これから先このように全身の解剖をする機会

はもうないと思います。だからこそ、この貴重

な体験をさせてもらえる今の環境と、医学の発

展のために自身の身体を捧げてくださった献体

の方に感謝し、将来、生身の人間を扱う医師に

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なるという自覚を持ってこれからの学習に励ん

でいきたいと思います。*

 解剖実習初日、解剖衣に着替え、メスの準備

をした後、御献体との対面をしました。そのと

き、これから解剖実習が始まるんだという緊張

感を味わうと共に、死と向きあうことへの恐怖、

そして献体を申し出てくださった方や、そのご

遺族の方々の思いに対する重圧に押しつぶされ

そうになったことを今でも鮮明に覚えています。

実習中、初めて触ったメスを使いながら、医学

について未熟な私が解剖をして本当に良いのだ

ろうか、私は実習を最後まで終えることができ

るのだろうかという不安な気持ちでいっぱいで

した。

 しかし、実習の回を重ねていくうちに、初日

に抱いた不安は消えました。教科書だけでは学

ぶことのできないことを多く学ぶことができ、

さらには、授業や教科書であらかじめ学んでい

るとはいえ、血管や臓器がどのようにしてつな

がり、どのような役割をしているのか、また、

それぞれの筋がどのような運動を支配している

のかなど、人体の精密さや複雑さを前にして、

その構造に感心をしつつ、神秘的な気持ちにも

なりました。そして、解剖も終盤になるにあた

り、この実習が自分にとって、とても重要なも

ので、学習への意欲の元となっていると感じる

と共に、将来、私は医師になるとのだという自

覚を強く持つようになりました。

 今回、こうした実習を行い多くを学ぶことが

できたのは、私一人によるものではなく、献体

としてお体を提供してくださった方やそのご遺

族、また、丁寧に教えてくださった先生方、協

力して実習を進めた班員のおかげであり、とて

も感謝しています。本当にありがとうございま

した。実習で得られた経験を生かし、生命の尊

重とはなにか、死の尊厳とは何かを常に考え、

将来、それを扱う仕事に従事することに対する

責任感と自覚をもち、医学をさら深く学び、良

き医師となれるよう日々努力していきたいと思

います。

 まず始めに、ご献体をしてくださった方、並

びにそのご遺族の方々に心より感謝致します。

初めの頃は「解剖実習をやっている間にだんだ

んと慣れてきて、ご遺体への畏敬の念や感謝の

気持ちを忘れてしまうのではないか」などと、

ある種の恐怖を覚えておりましたが、そんな事

は全くありませんでした。寧ろ「生半可な志で

は献体などしようとは思わないだろう」と、献

体なさった方の意識の高さを再認識したほどで

した。最初の方こそ誰もが「解剖」という単語

から想像できるような実習内容でしたが、終盤

に近づくにつれて、「解剖実習というのはここ

までするものなのか」という感想を抱くほどに

なりました。そのような内容が含まれているの

は、勿論遺族の方も献体をされたご本人も承知

のうえでしょうが、それでも私たちの将来のた

めに献体することを決断してくださったことは、

本当に有り難いことであると感じました。改め

て感謝の意を表します。

 そんな実習において私が後悔していることが

一つあります。それは予習・復習の不備です。

こうして解剖してみると人体というものは実に

緻密・繊細であり、未熟な私たちには全くの無

傷で脈管や組織、器官を取り出すことはほぼ不

可能で、人体の無駄の無いつくりを改めて思い

知らされました。このような臓器や組織全てに

触れる機会などそうそうあるものではなく、加

えて、実習では自分たちの手でそれらを解剖す

るのですから、その構造等を頭に刻みこむ絶好

のチャンスでもあります。だからこそ自分たち

が今から一体何を解剖しようとしているのか、

今剖出したその器官は一体どのような役割を果

たすのか等、すべてをしっかりと予習し、復習

すべきでした。私はそこを疎かにしてしまった

ため、折角の実習で学べることをかなり取り零

してしまった気がします。これでは献体してく

ださった方や遺族の方々に申し訳が立たず、反

省すべき点であります。

 実習は残り少なくなってしまいましたが、献

体という有り難い行為に報いるためにも、感謝

の気持ちを忘れず、気を引き締めて残された実

習、ひいてはここで得た経験を生かした勉学に

励んでいきたいと思います。

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 早いもので五月に始まった解剖実習も、もう

三ヶ月が経とうとしています。

 今回の実習は二回目ということもあり、前回

見落としてしまった事柄を学びとる姿勢を持っ

て臨みました。人体の構造は複雑を極め、紙面

上の図や文章からではわからないことも多くあ

りました。筋の起止と停止はどこか、支配神経

はどこか、栄養血管の走行はどこかなど前回の

実習ではおろそかになってしまった基本の部分

から、もう一度勉強し直しました。知りたかっ

た事項すべては、残念ながら確認できませんで

したが、なかなかに有意義な実習だったと言え

ると思います。

 また、人体についての知識を得る以上に有意

義だった点が、自分たちが医療人を目指してい

ることへの顕著な実感です。ともすれば暗記勉

強におちいりがちな環境において、自分の目標

を思い出させてくれるのはとてもありがたい時

間でした。

 二度目の解剖実習が終わろうとしていますが、

まだまだ学べていない点は数多くあります。医

学は非常に奥が深く、一朝一夕に学べるもので

はないと言うことも、今回の解剖実習で再確認

しました。これからも学習を続けていかないと

いけないと痛感しております。それ故、興味の

尽きない学問なのだとも思います。効率よく実

習を進行できたとはお世辞にも言いがたいです

が、精一杯誠実に進行しました。

 動物ではなく人体を解剖するという、一般の

方々には決してできない貴重な経験をする機会

に恵まれたのも、献体することを決断してくだ

さった方やそのご遺族様、しらゆき会の皆様方

の協力あってこそです。また、最後になりまし

たが、御教鞭を取ってくださった先生方、この

ような学習の場を設けてくださった大学にも、

厚く感謝申し上げます。

  第 二十 班        

大 澤   悠

塩 田 惇 喜

成 田 大 輔

八木橋 崇 仁

引 地 智 基

  私が山形大学を志望した一つの動機として、

第二学年の前期という比較的早い時期に、解剖

学実習を経験できるという点がありました。そ

れは、基礎医学を身につける上での座学講義の

重要性は勿論のことながら、より早期に専門的

な実習が経験できることで、医学に対する関心

や熱意が大いに高まるであろうとの期待も込め

ていたためであります。

 解剖学実習が始まったばかりの頃は、ご献体

と向き合うこと自体に強い疲労感を覚えました。

しかし、実習にご協力して下さった故人の遺志

やその御遺族のことを思い、解剖学の意義・目

的を自らに問い直し実習を重ねていくうちに、

次第にご献体と向き合えるようになっていく自

分がいました。

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 実習の内容は、まだまだ医学の初歩を学ぶ段

階であるとは言え、将来一人前の医師になる上

で生涯欠かせない非常に多くの知識を習得でき

る場でした。講義や教科書で習得した人体に関

する知識を、御献体で確認・同定していく過程

において、人体の精緻な作りを目の当たりにす

ることになり、大いに感動致しました。それと

ともに、先人の多大なる努力により基礎医学が

築き上げられてきたことを切に実感しました。

一方で、他の班の御献体を見学させて頂くたび

に、各人における個人差の存在が非常に大きい

ことを忘れてはならないと、改めて心に留めま

した。解剖学実習はまもなく終わりを迎えよう

としていますが、命の尊さを噛みしめ、自らが

今後努力していなければならないことや医師と

して将来あるべき態度を深く考え直す貴重な機

会を頂いたように思いました。

 最後になりましたが、我々医学生のために自

らの尊いお体を献体して下さった故人と、その

御遺族の皆様に深く感謝致しますとともに、御

冥福を心よりお祈り致します。貴重な解剖学実

習の機会を与えて下さり、本当に有難うござい

ました。

 今でも、解剖実習初日のことは鮮明に記憶に

残っています。実習室全体が、やっと医学らし

い勉強ができるという期待感と好奇心を抱きつ

つも、今まで経験したことのない解剖実習への

不安と、本物の人間を扱うことへの緊張感が混

ざっていてなんともいえない特別な空気に包ま

れていました。

 実習が始まってみると、その学ぶことの多さ

に驚嘆しました。まず、人体は本や講義、話の

中の人間とは非常に異なっているということで

す。初めて皮膚にメスを入れたとき、こんなに

も皮膚は厚いし硬いものだと思っていなかった

私は驚きを隠せずにはいられませんでした。実

習が進んでも、このような驚きの連続でした。

この体験は自分の手で解剖しなければ絶対に感

じることのできないものです。しかし、自分の

勉強不足もあり、実習中、なんでここにこんな

にたくさん筋があるのだろう、なんでここに神

経が通っているのだろう、と思うことが多々あ

りました。その時は、自分で調べたり班員や先

生方に教えてもらったりするうちに、人間の体

の中にはひとつとして無駄なものはなく、すべ

てが意味をもっているということがわかり、人

体の神秘というものを感じました。

 また、解剖実習とは関係がないかも知れませ

んが、自分の行動に責任感を持つ大切さも学び

ました。講義は休んでしまっても迷惑がかかる

のは自分だけです。しかし、実習では限られた

時間の中ですべきことがたくさんあるため、も

し私が休んでしまうと、他の班員にかなり迷惑

をかけてしまいます。これは、将来医師になり

現場に出てチームで仕事をしても同じことが言

えると思います。

 最後になりましたが、医学教育のために献体

してくださった方々と、そのご遺志を理解して

くださったご遺族の方々に感謝しています。あ

りがとうございました。*

 解剖学実習については、医学部に入学する前

からその言葉はよく耳にし、私が最も興味を

持っていたものであった。

 私にとって解剖学実習で初めて御献体と対面

した時、また、初めてメスを入れた時のことは

忘れられるものではないだろう。緊張した空気

が漂う中、御献体を包むビニールを開けた時な

んともいえない感情に襲われた。この方は、何

を思い、どのような感情で我々医学生に死後の

自分の肉体を提供して下さったのだろうか。そ

れに対して私はどのような想いを抱きながら、

解剖を行わなくてはいけないのだろうか。

 初めてメスを入れる瞬間、自分の中の日常性

のようなものが崩れ、「医師」という職業の、あ

る種の非日常性を垣間見たような気がした。そ

して、しばらくは自分の行っていることに対し

ての驚きの感情に包まれたが、その日の実習が

終了するころには、そのような感情が良い意味

で薄れていた。

 実習では、普段の座学とは遥かに異なった世

界が見られた。なぜこの方の筋はこのように薄

いのか?神経の場所が左右で異なる?臓器の位

置が図譜と異なっているような…?などを目に

するたびに、御献体はその方の生前の人生その

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ものが正に凝縮したものなのだから、人によっ

てその姿かたちが異なるのは当たり前ではない

か、と感じた。と同時に、性別と死因、年齢し

かわかりえないこの御献体の生前の生きざま、

在り方が凝縮したといっても過言ではない肉体

を、我々が肉を断ち、骨を切ることによって明

らかにしていくような思いがし、その御献体の

なんらかのプライバシーを知ることになるかも

しれないという思いでしばしたじろぐことが

あったが、その一方で強い責任感、使命感のよ

うなものを感じたのも事実である。そして何よ

り、私のそれまでの貧弱な想像を超えた、遥か

に複雑な体系が人体の中で形成され、今この瞬

間も私の体の中で働いているのだということに

気づき、なんともいえない高揚感に包まれた。

 御献体の方、またその御遺族の方々は、将来

の医師となる医学生のため、また何よりも将来

の自分たちのような患者たちのために、献体を

決断して下さったのだろう。私はその想いに対

し、日々学業に専念し、立派な医師となって将

来の患者を救うという「死が生の手助けをす

る」ことでお応えしなくてはならないだろう。

 最後に、御献体とその御遺族の方々、我々の

無知に対し精一杯御指導してくださった先生方、

日々手助けをしてくださった班員の皆さん、本

当に有難うございました。

 初めにこのようなかけがえのない学習の機会

を与えて下さった御遺族の方、しらゆき会の

方々、解剖学第一講座の先生方に厚く御礼申し

上げます。

 今回の実習で医学を学ぶ上で基礎となる人体

の構造について理解することができました。人

体の構造の理解を、講義と自学自習だけでしよ

うとすることは難しいと思います。膨大な量の

骨、筋、血管、神経、臓器の暗記があるからで

す。講義を聞き、実際に人体の構造を観察、理

解し、その上で自学自習する必要性を感じまし

た。それほど、人体の構造とは複雑なものであ

ります。

 そして人間について改めて考えさせられる機

会を与えていただきました。御献体と初めて対

面したとき感じたことは、亡くなっている方で

も外見上は、私たちとほとんど同じ身体の構造

をしている、ということです。このことから人

間の「死」というものについて、深く考えるこ

とができました。「死」というものは命が人体か

ら無くなることに他ならないと思っていました

が、それは単に体の機能が完全に停止すること

のみを言うのではないのだとそのとき実感した

のです。

 実習を進めていくにつれて気づいたことがあ

りました。御献体の身体の構造は解剖学実習の

図譜と必ずしも一致しないということ、また他

の御献体とも一致しないということです。ここ

から改めて、人間は一人一人性格が違うと言い

ますが、身体の構造もやはり一人一人違うとい

うことがわかりました。

 最後になりますが、私は今回得られた知識と

経験を生かし、また協力してくださった方々へ

の感謝の気持ちを忘れずにこれからも勉学に励

んでいく所存であります。まだまだ未熟な私で

すが、実習を通して成長させていただきました。

重ね重ねになりますが、この度は本当にありが

とうございました。

 今年は震災の影響から例年より一月遅れて実

習が始まりました。私は三回目の実習になりま

すが、今年の実習で一番痛感したことは、「人

体には学び尽くしたということはなく、勉強す

ればするほど新しい知識が身につく」というこ

とです。

 実習初期は手馴れていて手順も分かっており、

すらすらと実習を進めていくことができ、この

ままスムーズに終わることができると考えてい

ました。しかし、実習が進むにつれ、昨年や一

昨年の方とは異なる変異の箇所が多く見受けら

れたりと、私の安易な考えはすぐに打ちのめさ

れました。また、班員から解剖の手順や組織の

名称について聞かれることが度々ありましたが、

正確に説明できないことが何度もあり、私自身

の知識不足を痛感しました。そういったことも

あったため今回は今まで以上に真剣に実習に取

り組み、昨年までは実習するだけで手いっぱい

で知識として残せていなかった部分などをしっ

かり覚えることができました。また、今年は昨

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年までとは違い女性のご遺体を解剖したため、

男女の構造の違いについても確認することがで

きましたし、他の班のご遺体ですが、普通はあ

まり見られない珍しい筋を確認することもでき

ました。人体には個人差があり、教科書や図譜

に基づいて思い描いていた通りではありません。

こうした個人差のために、医師も通り一遍では

なく、個人に合わせた柔軟な医療提供を心がけ

なければならないと思いました。また、人体に

秘められた情報量は極めて膨大です。学生であ

る今はもちろん、この先医師になった後も常に

勉強し続けていかなければならないということ

も感じました。

 最後になりましたが、このような貴重な経験

の機会を与えてくださったご献体の方やそのご

遺族の方に心から御礼申し上げるとともに、故

人のご冥福をお祈りいたします。本当にありが

とうございました。

  第 二十一 班       

太 田 隆 仁

塩 水 紀 香

西   貴 久

柳 谷   稜

  まず、今回の解剖実習で大変お世話になった

御献体してくださった方、そしてその尊い御遺

志に理解を示してくださった御遺族の方々に深

く御礼申し上げます。

 二年生となりはじめて人体解剖という医学の

基礎となる授業を受けるにあたり、これは医師

になるためには避けては通れないことであり、

これから人体の仕組みについて学ぶことができ

るという高いモチベーションを持つと同時に、

今まで遺体を見たことがなかったため、実際ど

うなるのか不安と緊張感を持っていました。授

業初日となり、皆どこか緊張した様子で実習室

に集まり、先生方の説明を受け、同じ解剖班の

人たちと御献体の方を別室から各班の解剖台の

上に運びました。そしてはじめて献体の方にメ

スを入れました。そのときの緊張感は今でも忘

れられないくらい鮮明に残っており、おそらく

これから一生忘れることはないと思います。

 実習では筋のつき方、動脈・静脈や神経の走

行、関節の構造など教科書では理解しにくい身

体の構造について解剖班の人と共に学びました。

人の体はとても複雑で難解な仕組みにより動く

ことで生きていけることを改めて思い知らされ

ました。また、教科書にかかれているものとは

違い、一人一人の体の構造には個人差があり、

またそれが解剖において重要なことであること

を学びました。目の前に横になられている御献

体の方のおかげで人の体の内部がそれぞれどの

ような位置関係でどんな名称なのか一つ一つ調

べながら解剖を進めることで、より深く学習す

ることができました。

 今回の解剖実習を通して将来医師として必要

になってくるさまざまな知識や心構えなどを学

ぶことができました。得られた知識や気持ちの

変化を、今後の学習におおいに役立て、これか

ら医学の道を歩んでいきたいと思います。本当

にありがとうございました。

 はじめに御献体して下さった方、さらに御遺

族の方々に深く感謝申し上げます。私たちが解

剖実習というものを行えるのは、一重に皆様の

ご協力があるが故です。これからの医学に貢献

しようというお気持ちに尊敬の意を表すととも

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に将来医師としてそれに応えられるよう精進し

ていこうと強く思っています。

 この解剖実習は私にとって本当に貴重な体験

でした。これから実習が始まるという頃はまだ

専門的なことを学び始めたばかりで、一般教養

を学んでいた一年生の頃に比べ、さほど意識に

変わりはありませんでした。しかし実習ではじ

めて御献体と対面してその意識が一変しました。

医学を学ぶのだ、医師になるのだということを

改めて現実味をもって実感することが出来たの

です。

 解剖実習が始まった頃は、御献体については

もとより、解剖についてすらどのようなものな

のか全く分かりませんでした。人体について学

べるという喜びはあるものの、それと同時に死

と対面することへの怖さを感じ、緊張してしま

いました。御献体と対面したときと、その体に

はじめてメスを入れたときのことは一生忘れら

れません。このとき、正直怖さと緊張からなか

なかメスを入れられませんでした。しかし、医

学を学ばせていただくのだ、御献体して下さっ

た方の思いに精一杯答えなければ、と自分に言

い聞かせ、心を奮い立たせて震える手でメスを

入れたことを今でもはっきり覚えています。そ

れほど私にとって印象深いものでした。

 実習が始まってからは、実際に臓器などを目

にして、なにもかもに感動し、それとともに見

るものすべてを吸収することに必死でした。臓

器は本などに書かれていることと異なる点が多

く、実際に自分の目でみて確認しながら学ぶこ

との大切さも感じました。

 これらの経験ができたのは御献体して下さっ

た方々をはじめ、御遺族の皆様、この実習に関

わって下さった方々のお陰です。最後にもう一

度感謝申し上げます。誠にありがとうございま

した。

 解剖学実習は一年生の頃からとても気になっ

ていることでした。医学部を卒業して研修医に

なられている方から、医学について学ぼうとい

う意識が解剖学実習で強くなったと聞いていた

からです。しかし一方で御献体と対面して、私

は正常な状態でいられるのかという気持ちもあ

りました。

 初めて御献体の方を見た時はとても驚き、こ

れから実習をやっていけるのかと不安に感じま

した。そしてメスを入れるときは緊張しました。

どれだけ刃を入れたらいいのか、切って血が出

たりしないのかなどと考えていました。またど

のように実習を進めていけばよいのか、道具の

扱い方もよくわからなかったためかなり慎重に

解剖を行っていたように思います。最初の実習

では皮膚の下にある脂肪や神経を見るのですが、

まったく見分けがつかず、初日は精神的にも肉

体的にもとても疲れたように感じました。しか

し実習を進めていくうちに少しずつですが慣れ

てきていろいろ観察できるようになりました。

 人体の中はさまざまな筋、血管、神経がたく

さんありました。筋は厚くて面積の大きいもの

があれば、とても薄くて細いものもありました。

ある筋はあまりに薄くてその横にある筋と区別

ができなくて困ってしまうことがありました。

しかしその様な薄い筋のおかげで様々な運動を

することができるのかと思うと感慨深いものが

ありました。

 約三ヶ月間の解剖学実習はとても密度の濃い

日々で、私はとても貴重な体験ができました。

実習を行う前にはほとんど人体に関しての知識

がなかったですが、本物の人体を見ることで深

く理解することができました。この経験を心に

刻んでこれからの勉強を頑張っていきたいと思

います。この貴重な機会を与えてくださった献

体者の方とご遺族の方に深く感謝を申し上げま

す。ありがとうございました。

 私は山形大学医学部に入学してからの最初の

一年間、将来医師として人間の命を左右する職

業に就く等、想像だにしなかった。今年、解剖

学第一の実習で一人の人間を解剖することを通

して、様々なことを学んだ。最初、目の前に御

献体が現れた時、私はこれからの実習の内容の

多さや難しさで先行きが不安だった。今から考

えると御献体を前にしてそのような心配をして

いたことは、非常に失礼だが、その時は御献体

を「人間」として完全に認めることが出来てい

なかったのだと思う。

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 解剖実習が始まると、最初のうちは毎回の実

習をこなすことだけが頭を埋めて、それ以外の

ことを考えることが出来なかった。しかし、実

習に慣れてきて、少しずつ余裕ができてきた時、

目の前の御献体がかつては自分たちと同じ人間

として人生を全うしてきたのだということを考

えるようになった。よくよく見てみると、御献

体の体には、れっきとした「生きた証」がある

ことが分かった。目の前の御献体が一体どんな

想いで献体として自らの体を捧げてくださった

のか。その想いにどう応えることが出来るのか。

それはこれから先、医師として今この世界が抱

えている問題に真摯に、誠実に取り組んでいく

ことだと確信した。

 単に人体の構造を理解し、極めるだけならば

実際に御献体を解剖する必要はなく、アトラス

や解剖学の教科書を読むだけで良い。しかし

我々が将来相手にするのはれっきとした人間で

あって、御献体を通してそのことに対する責任

と覚悟を持たなければいけないと思った。一回

一回の実習で学ばせていただいたことは絶対生

かさなければいけない。医療崩壊が着実に進ん

でいる日本で、次世代の医療を担おうとする私

はこれから先、実習を通して得た覚悟と責任を

決して捨てることなく、正しいと思った道を、

前を見て進んで行きたい。

 最後になったが、今回の実習の為に、自身の

身を献体として捧げてくださった方と、ご理解

いただいたご遺族の方に心より感謝申し上げ、

これから先の人生の全てをかけて、このご恩に

報いることを誓う。

  第 二十二 班       

太 田 真理子

白 木 小百合

野 村 惣一朗

矢 野 真 士

  初めてご遺体と対面した時のことは決して忘

れることができません。それまで、この授業に

ついてぼんやりとした曖昧なイメージしか持っ

ておらず、あたかも模型の様なものを解剖し、

見ていくかのような感覚でいました。しかし、

ご遺体と対面した時に、自分たちがこれから解

剖させていただくのは、まぎれもなく「人」で

あり、亡くなられるまで私たちと同じように毎

日を過ごし、感情を持ち、生きてきたのだとい

うことをはっきり認識しました。一生を終えて

からもまだなお、私たち医学生の教育のため、

医学の発展のために献体してくださった方の気

持ちや、周囲の方の理解など、全てに感謝した

いと思うと同時に、皆様の気持ちを無駄にして

はいけない、この授業で多くのことを学んで、

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今後の学習に生かし、将来、医師になってから

も生かしていかなければならないという責任も

強く感じました。

 解剖を通して見た人体構造は想像以上に複雑

でした。血管、神経、臓器などを実際に自分自

身で確認していく中で、神経や血管が張り巡ら

されている様子など、それぞれ一つ一つが精巧

にできていることに驚きましたが、それら多く

の要素が相互に関連しあって初めて人として成

り立っているのだと考えると、人体の仕組みに

感動せざるをえませんでした。しかし、人体の

構造が複雑な分、しっかり理解してから実習に

臨まないと、自分が今何をしているのかがすぐ

に分からなくなってしまいます。不本意ながら、

私もその状態に陥ってしまうことが何度かあり

ましたが、その度に気を引き締め直して、しっ

かり解剖に臨んだつもりです。

 この解剖実習を通して、人体の構造を理解し

きれたとは到底言えませんが、得られた多くの

知識を生かすべく、今後、一層勉強に励んでい

きたいと思います。

 解剖という、貴重な機会を与えてくださった

献体者の方やそのご遺族の方々には本当に感謝

しています。ありがとうございました。

 二年生になると同時に始まった実習も早三ヶ

月が経ちました。残りの実習の時間の方が少な

くなってしまいましたが、初めてご献体と対面

し、白い布に包まれていたその体にメスを入れ

たときの恐怖と後ろめたさは今でも忘れること

はできません。しかし、恐怖だけでなく人間の

体に対する好奇心も覗いていたことをはっきり

覚えています。

 解剖を進めていくにつれて人体の複雑さや神

秘さに圧倒され、驚かされました。実習では座

学で学ぶことのできない多くのことを学ぶこと

ができました。例えば見るだけでは分からな

かった大きさや質感を実際に触れることでより

確実な知識として持つことができたように思い

ます。実習書の図や教科書通りになっていない

部分、複雑な血管・神経の走行はとても興味深

かったです。そんな中で特に印象的だったのは、

大・小血管や神経、臓器、筋といったものすべ

てに一つ一つ役割がありその一つ一つが相互的

に働くことで人体を構成している、という無駄

のないつくりを感動をもって確認できたことで

す。

 今回の実習はとても貴重な体験であり、この

実習を通して得たものはこれから医学を学ぶ上

で必ず役立つものだと思います。しかし何がど

う機能しているか、どういった部位なのか、と

いうことが分かっていない自分の無知さを思い

知り、もっと人体について学ばなければならな

いと強く感じています。

 最後になりますがご献体して下さった方々そ

してご遺族の方々に心より感謝申し上げます。

ありがとうございました。ご献体の方やそのご

遺族の方の協力と理解がなければ今回の実習が

成り立たなかったことを心にとめ、これからも

精一杯医学の勉強に励んでいきたいと思います。

 解剖実習という経験を積み、私は社会的に医

療者へと昇華するため必要なプロセスの、はじ

めの一歩を踏み出せたような気がしました。

 初めて御遺体に向かった時の緊張は、これか

ら医学生として勉学に励んでゆくなかでも、医

師になることが出来た暁にも色あせることなく

私の中に残り続けることであろう貴重な体験で

あったと思います。その緊張にはやはり医師と

して知識の活用だけではなく、人格を有する個

人と相対して様々な活動をこなしてゆかなけれ

ばならない、という事実を改めて実感すること

が出来たところに関係しているものであると思

いました。どんなに学問を究め、知識と機転に

優れた者であったとしても、それだけでは患者

さん一人一人と向かい合って社会に貢献してゆ

く医師として活躍するためには今一つ足りない

部分が出てきてしまいます。おそらくその不足

分とは、決して疾患を取り除く装置としてでは

なく、自分があくまで社会的な人間関係の中に

存在していることを自覚しているということで

す。解剖実習を通じて、莫大な知識の獲得はも

ちろん、将来医師として負わねばならない様々

な社会的責任について強く意識させられたとい

う点において、言葉では表現しきれない成果を

得ることができたと思います。こういった意識

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は、実習が進むにつれて自分の中に自然な形で

定着してゆくように感じられました。

 私たちが解剖実習をさせていただく上では、

第一に御遺体を提供してくださった方、そして

そのご遺族の方々、先生方に大変お世話になり

ました。主観的には、まさに自分のために受け

させていただいた解剖実習ですが、それは想像

をはるかに凌ぐ有難い体験となりました。それ

故に、そういったことのために体を献じていた

だいた方には感謝の言葉をどれだけ並べても足

りない恩義を受けたことを、私は一生忘れない

つもりです。その思いを踏まえこれからの人生

は恩義に報いるだけの社会的な奉仕に努めるこ

とで、感謝の気持ちを世界に還元してゆきたい

と思います。本当にありがとうございました。

 解剖実習を通して、人体構造の理解を深める

とともに、漠然としたものでしかなかった人体

について、より具体的なイメージを持つことが

できました。教科書や講義等で得た知識だけで

は、臓器の質感や、血管の複雑な走行は、理解

できず、ご献体を前にして初めて、その立体的

な構造を把握することができました。解剖を始

めてみると教科書で記述されているほど単純で

は無く、複数の構造物が癒着している部分など

が多数存在していました。そのような部分は慎

重に解剖を進め、それでも分らないときには先

生方に教えていただきながら進めていくことで

理解することが出来ました。

 解剖を進めていくと、人体構造の複雑性や緻

密性に圧倒されるとともに、臓器や神経、血管

といった構造物が複雑に組み合わさり、全く無

駄のないシステムを構成していることを実感し

ました。このような複雑な構造が人間の多様な

活動を支えてくれている一方で、複雑ゆえに一

旦狂いが生じると人間特有の多種多様な病気を

発生させうることにもつながっているというこ

とを考えさせられました。また、人体の構造は

ご献体によって多少の差異があり、教科書や講

義で習うような一般的な構造とは異なる場合も

多いということを学びました。ご献体を観察し

ながら教科書と比較していくと、その差異の多

さに気づき人体の多様性を実感することができ

ました。

 解剖実習は、構造を把握するだけではなく、

人体構造の多様性を理解するということにこそ

その本質があるのではないかと感じました。そ

して、このような貴重な体験をする機会を与え

て下さった、ご献体して下さった方、そのご遺

族の方に深く感謝を申し上げます。私は、実習

を通して自分が医学の道を少しずつ歩み始めて

いることを感じました。この経験を今後に活か

していきたいと思います。ありがとうございま

した。

  第 二十三 班       

大 山 亜紗美

鈴 木 幸 大

橋 本 千 明

山 口 竜 平

太 田   肇

  一年間の一般教養を終え、やっと医学部らし

い勉強をする段階になりました。解剖実習もそ

の一つです。医学部に進学してからずっと覚悟

はしていましたが、今までにご遺体を直接見た

ことの無い私にとっては、解剖というものは全

くの未知の領域でした。骨学が終わり、解剖の

準備に取り掛かった時、とても動揺し、衝撃を

受けてしまったのを覚えています。初めてご献

体にメスを入れる瞬間は、ショックというより

は、本当にやっていいのかわからない、という

ような複雑な気持ちになり、自然と涙が出てし

まいました。しかし、周りを見ても同じように

涙を流す人はいなく、むしろ皆真剣にご献体と

向き合って解剖を始めていました。それを見て、

気持ちを落ち着け、初めて亡くなった方の身体

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に触れ、実習に取り掛かる覚悟を決めました。

恐る恐る始めていった解剖も、回数を重ねるう

ちに次第に、勉強をさせてもらうのだ、と思い

ながら取り組むようになりました。教科書でし

か見たことのない組織や臓器、神経、筋肉など

といった人体の構造を直接目にすると、いかに

人が複雑な構造で成り立っていて、それらが上

手く機能しているかがよく分かります。実習書

に従って解剖を進めていくと、多少の差異はあ

るものの、この部分は本当にこのような構造に

なっていのだ、と感動することもありました。

 慣れてきたかな、と思っても、実習を辛いと

感じる時もありました。でも、最初の頃と比べ

たら、進んで実習に参加してどのような構造と

なっているのかを理解しようという意欲は生ま

れたのではないかと感じています。また、実習

を通して、実際に触れてみないと理解できない

命の重みを感じ取れたようにも思いました。今

回の解剖の一番初めに感じた、自分の将来のた

めに学習させていただこう、とご献体と向き

合った気持ちを、私は今後ずっと忘れずにいた

いと思っています。今回、私達が将来医師とな

るために不可欠な学習のためにご献体となって

くださったしらゆき会の会員の方や、そのご遺

族の方々に、本当に感謝します。

 およそ三ヶ月半にわたる解剖実習で多くのこ

とを学ばせていただきました。御献体に対する

畏敬の念、人体に初めてメスを入れたときの緊

張感、人体が非常に複雑かつ精巧に作られてい

ることへの驚嘆、実習書の文章やイラストと異

なるまたは記されていない状況になったときの

困惑など枚挙にいとまがありません。一年生か

ら医学部としての授業はありましたが、本当に

医学生らしい授業というものはこれが初めてで、

すべてが刺激的な体験だったと思います。これ

らはこれからの私が医学を学んでいく上でも、

また卒業後に医師として医療に携わっていく上

でも、すべての基礎となるとても大切な経験だ

と感じています。それとともに、この知識が医

学に携わるにあたってのすべての根幹となるこ

とを自覚し、しっかりと定着させなければいけ

ないのだなと身を引き締めてもいます。実習を

通して、自分は医学生であるのだということを

改めて実感することができ、また実習にとどま

らず様々なことを考える貴重な時間を過ごせた

ことは今後の数年間にわたる医学生としての生

活に向かういいスタートとなったと確信してい

ます。これからは知識を定着させるべく実習を

何度も振り返りながら医学生としてそして将来

的には医師としてさらなる知識を得ながらます

ます精進していきたいと考えています。

 最後に、解剖実習は解剖学講座の先生方や関

係者の方にとどまらずたくさんの御献体の方々

や、その遺志を尊重してくださった御遺族の

方々にも支えられていることを思い返して感謝

の意を述べたいと思います。本当にありがとう

ございました。

 解剖実習が始まる前は、とにかく不安でした。

実習をうまく進める云々の前に、自分はご遺体

を前にして何を思うだろうか、メスを入れられ

るだろうか、などと考えていました。医学生が

必ず最初に経験する関門とはわかっていても、

これら複雑な思いは拭えませんでした。

 実習一日目のことははっきり覚えています。

緊張した空気の中ご遺体と対面し、班員の誰も

がメスを入れるのをためらっていて、一刀目に

はかなり勇気が必要でした。最初の一週間ほど

は、毎時間相当緊張していたようで、実習を終

えるたびにどっと疲れていました。しかしそれ

もだんだんと慣れていき、疲れも少なくなりま

した。気持ちの面で少し成長できたと思う反面、

変に慣れてはいけないとも思います。

 実習を進めていく中で、解剖実習ができるこ

とのありがたさを身にしみて感じています。実

物を見ることほど勉強になることはありません。

本物を見て、触れるたびに驚きと感動がありま

す。今までは、人体について興味を持って勉強

していても、本物は見ることができずなかなか

実感が伴わずにいたことを思い出しました。そ

のように感じている人が世の中にたくさんいる

ことを考えると、私たちが解剖実習をさせても

らえることは幸せなことです。また、本などで

得た知識を実物に結び付けるということが今後

も重要になっていきますが、その訓練ができる

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ことも嬉しく思います。その他、メスなどの道

具を扱うこと、班員と協力して作業を進めるこ

とは、手術の疑似体験と考えることもでき、貴

重な経験です。

 ご献体をしてくださった方、またご遺族には

尊敬の念を抱いています。心からありがたいと

思っていても、私は自分の家族を献体に出せる

か自信がありません。将来の人の健康を考える

寛大さ、未来に目を向ける姿勢は、なかなか真

似できるものではありません。ひとりの人間が

世を去るととても多くの人が悲しみます。その

人たちの理解を得られたことを忘れず、残りの

実習を進め、その後にも経験を生かしていきま

す。

 解剖の実習を始めるまで人体の構造は教科書

で見るような図でしか想像できないものでした。

そのころに比べると実習を二カ月以上進めてき

て、座学との差を痛感しています。曲がりなり

にも医学部進学を志していた高校時代から理科

は生物を選択し、医学にかかわる分野について

は人一倍勉強して、医学関係の本を積極的に読

むなど様々なことをしてきたつもりでした。し

かし、実際には臓器一つとってもわからないこ

とだらけでした。逆に解剖をしなければできな

かった発見をすることも多々あり、百聞は一見

にしかずとはこういうことなのかと感じました。

その中で自分の医師という職業に対する考え方

が変化していきました。始めはメスの使い方一

つも分からないような状態で、予習はしたもの

の定着していない乏しい知識を頼りに毎回の実

習時間を過ごすことは単純に大変なことでした。

しかしどうにかしなければいけない状況で、将

来的にどのように患者さんを診察するのかとい

うことにつながるのではと思い、考えを巡らせ

てみました。例えば、患者さんを診るにあたっ

て考えうるあらゆる事態を想定しなければいけ

ない、と一言で言ってしまえば簡単で誰しもが

その通りと思うことです。ただしそれが十分時

間をとれない状況でできるのかということを自

分たちの力で実習を時間内に進めなければいけ

ない状況で考えさせられました。更に、供考え

うる事態僑というものは知識を増やすことで増

えていくし医師たるもの知識を当たり前に増や

していかないといけないということにも気づか

される、など実習中に考えることは単なる解剖

の域にとどまらないことがしばしばありました。

また、他の勉強に追われ解剖実習の予習が満足

にできないときに同じ班の仲間と資料を調べ検

討することが、自分が医師になるうえで最大の

目標にしているチームワークを生かすこととし

て感じられたことも記しておきたいと思います。

 このように解剖実習をするという機会だけで

なく様々なことを考える機会を作っていただけ

たことに感謝したいと思います。御献体の方々

とその遺志を尊重してくださった御遺族の方々、

ありがとうございました。

 三月、二年生への再履修が決まった。勉学に

真摯に取り組んできた自負はあったが、まだま

だ学習量が不十分であった。暫く独り落ち込み、

悩みもしたが、私にとって前向きに考えられる

一番の原動力となったのは再度解剖実習に参加

できる期待感であった。昨年度、第一解剖学試

験には通過したものの、解剖実習において細部

の構造や仕組みまで隈なく観察・考察できたと

は言えなかった。そのため今年度は再度解剖実

習に真正面から取り組みたいと決心した。

 震災の影響から実習開始が五月にずれ込み、

心の準備は出来ていたはずだが、やはり生身の

御献体を目の前にすると一瞬たじろんでしまっ

た。昨年に引き続き二回目とはいえ慣れるもの

ではなかった。逆に将来、医師になるとしても

こうした人間的感覚を忘れさせてはならないと

さえ思う。実習が進み始めると昨年と同じ、い

やそれ以上の感動と驚嘆が繰り返される。複雑

に入り組んだ筋組織、血管群、更にはそれらを

制御・支配する神経等々、なぜ人体はここまで

巧妙に、繊細に、そして美しく構築されている

のか。初日に臆した自分は既に鳴りを潜め、更

に深部へと実習を進めるようになった。

 また、実習時間が終了し御献体の縫合や清掃

に取り掛かると実習中とは異なる感覚に苛まれ

る。この御献体は半世紀以上も生き続け、その

間身体全てが機能し続けてきた。彼は如何なる

人生を送り、終焉を迎えたのだろうか。そして、

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彼はどんな思いで御献体への意思を表明してく

れたのであろうか。果たしてそんな崇高な意思

を持った御献体に対して、その遺志に応えるだ

けの解剖実習に取り組めていたのであろうか。

 既に実習は終わりに近づいているが、そんな

御献体の遺志に応える以上の実習が自分自身出

来ていたならば幸いである。最後に我々にこの

上ない学習の場を提供してくださった第一解剖

教室の先生方、しらゆき会、そして当班の御献

体に心より感謝申し上げたい。本当にありがと

うございました。

  第 二十四 班       

岡 野 駿 介

鈴 木 櫻 丸

橋 本 朋 幸

山 西   純

  解剖実習はご献体の方、またそのご遺族の

方々のご協力で成り立っています。そのお陰で、

教科書だけでは決してわかり得ないことを沢山

学ぶことができました。本当に頭の下がる思い

でいっぱいです。

 実習が始まる前までは、まだ医学を学ぶとい

うことに関しての実感がなく、解剖についても

深く考えたことはなかったように思います。し

かしいざご献体を前にすると、人の生死に関わ

る職である「医師」についての今までの甘い認

識が一気に変わりました。そしてその「医師」

になるための第一歩である解剖実習に真摯に取

り組もうと考えたのを覚えています。

 解剖実習では、今までの授業で学んだ各部の

特徴や配置を視覚的に確認し、立体的に認識で

きるようになりました。ここで気付いたのは、

人体の構造は自分が考えていたものより随分複

雑で、しかし一方でその複雑なものが見事に完

成されているということです。一つの血管は何

本もの細い血管に分かれて、その一本一本がそ

れぞれの役割を果たして人の体は成り立ってい

ました。その他にも神経や臓器など、全てが生

きるために合理的にできていました。どこを

とっても無駄なところは一切なく、わたしたち

の体が機械でも真似できないほど精巧にできて

いることを改めて知ることができました。

 わたしたち学生は解剖実習を通していろいろ

なことを学ぶことができました。慣れないこと

や知らないことも多くありましたが、実習書を

読んだり、先生方の指導を受けたりしながら実

習を行ってきました。その全てを理解すること

ができたかはわかりません。ただ、それでも実

際に自分の目で確認しながら人体の構造を学ぶ

ことができたことは、これからの学習で必ず役

に立つはずです。

 最後に、繰り返しになりますが、今回の解剖

実習に関わって下さった皆様、本当にありがと

うございます。この経験を無駄にせず、今後も

より勉学に勤しんでいきます。

 五月下旬の解剖実習準備の日、初めて御献体

を目の当たりにして、これから医学を勉強する

のだということをひしひしと感じたことを憶え

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ています。医学の入口に立ったという自覚はも

ちろん、一人の人間の一生がそこにあるという

事実を感じましたし、その時、御献体を解剖さ

せて頂くということの重大さを考え、解剖実習

というこの貴重な機会を、最大限に活かさなく

てはならないと思いました。

 解剖実習が始まってからしばらくの間は緊張

し、戸惑うこともありましたが、実習の回数を

重ねるにつれて次第に慣れていき、今まで教科

書に載っている絵や写真でしか見たことのな

かった、筋・骨・内臓・血管・神経等を観察す

ることが出来て、とても勉強になりました。書

物を使うだけではなく、実際に手を動かして学

ぶことの大切さがよくわかりましたし、毎回の

実習で新たな発見のないときは一度としてあり

ませんでした。同じ班の班員と協力し互いに教

えあったり、時には先生方から教わることで新

たな知識を頭に入れることができ、改めて、書

物が与えてくれる情報量とは比較にならないほ

どのことを学ぶことが出来るのだと実感し、人

体の構造が、いかに複雑で精巧にできているか

ということを思い知らされました。また、他の

班の御献体を見て、自分の班の御献体との相違

点を性別・体格・死因等の観点から観察するこ

とで、更に良い勉強になったと感じ、自分は本

当に医学を学んでいるのだなと思いました。そ

して、この解剖実習で学んだことを、これから

の勉強と将来医師となった時に役立てていこう

と思っています。

 今回の解剖実習を通して、数多くのことを学

ぶ貴重な経験が出来ました。御遺体を提供して

くださった御本人と、御遺族の皆様方には深く

感謝しております。誠に有難う御座いました。

 はじめにご献体の方、ご献体を提供していた

だいたご遺族の方や実習のサポートをしてくだ

さった先生方、また一緒に実習を行った班員の

方々に感謝を述べたいと思います。

 私たちの実習は東日本大震災で例年より一カ

月遅れた五月から始まりかれこれ三カ月がたち

ました。解剖実習で最初に、黙祷しましたが、

このとき私は、実際に解剖を行うことに対して

期待や不安、恐れなどが入り混じった複雑な気

持ちを抱いていました。しかし、いざ実習を行

うと複雑な血管系や神経系、生物としての動作

を円滑に行うための上肢や下肢、体幹などの緻

密な構造をした筋を目にして、衝撃が走りまし

た。講義の中で学んだ人間が生活する上でとて

も大切な人体の様々な構造を実習で目にするこ

とは、とても貴重な機会であり、一人の医学部

学生として、喜ばしいことでした。人間という

生物が生きていく上でする動作、たとえば、

走ったり、投げたり、跳んだり、食べたりする

ためにどのような部位が働き、またその動作を

行うためにどういった神経や筋が働くのかと

いったことや内臓のどの部分がどういった働き

をしているのかといったことが毎回の実習で

徐々に解明されていくことに私は感動を覚えず

にはいられませんでした。時に事前の学習が不

十分であった時もありましたが、その時は周り

にいらっしゃった先生方が丁寧にわかりやすく

教えてくださったので、学習が滞るということ

はほとんどなく、とても円滑に行うことができ

ました。また、班での実習ということで、班員

同士で協力し、助け合いながら実習を行ったこ

とはこれから先、医療現場に出たときに活きる

とても大きな経験になったと思います。こう

いったことを含め、多くのことを学べた解剖実

習はとても有意義なものでした。

 最後にあらためて、実習に関わっていただい

た方々や共に実習の中で学んだ班員の方々に感

謝を述べ、終わりたいと思います。ありがとう

ございました。

 私は今回の解剖学実習を通じて、とても多く

のことを学ばせていただきました。二年生に進

級して、医学部の専門的な学習が始まり、その

中でも解剖学実習は医学教育の代表的なもので

あるため、私は大きな好奇心と不安を持って実

習に臨みました。

 はじめて御献体と対面した時は、ただその存

在感に圧倒されたのを今でも覚えています。そ

して、一人の医学生としてこの解剖実習を中途

半端な気持ちで臨んではいけないという責任感

を改めて感じました。実習を進めていくと、骨

や筋、血管、神経、各臓器などがひとつひとつ

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― 56 ―

合理的におさまっていて、人体の構造の精巧さ

に驚かされました。そして今まで書物などでし

か学べなかったことを実際に自分の目で見て触

れることで、単なる暗記ではなく、立体的に深

く理解することができました。また、一方で、

他の班の御献体を見ることで構造的な個人差を

知ることができました。

 また、私が実習中に感じたことの一つに慣れ

への怖さがあります。はじめのうちは人体を刃

物で切っていくことに強い抵抗がありました。

このようなことは日常生活では考えられない行

為です。しかし、実習が進むにつれて解剖作業

にも慣れ、解剖に対する抵抗がなくなっていき

ました。このことに気が付いたとき、人間が持

つ慣れに対して少し怖さを覚え、また本当に解

剖に慣れてしまっていいのか疑問も感じました。

しかしよく考えてみると、それはただ単に解剖

に対して慣れてしまったのではなく、医師にな

る準備のために自分の意識が変わったのだと思

います。したがって私は今回の解剖学実習を通

じて、人体の構造や仕組みだけではなく、意識

的、精神的な部分でも多くの事を学ばせていた

だいたと思っています。

 最後になりますが、私たちに貴重な体験をさ

せてくださった御献体の方々と、その御遺族の

方々に心より感謝すると共に、御献体の方々の

御冥福をお祈りいたします。本当にありがとう

ございました。

  第 二十五 班       

小 川 恭 司

鈴 木 大 介

畑 山   裕

山 本 皓 平

  始まって二ヶ月、多くを学ばせてもらった解

剖実習もまもなく終わりを迎えようとしている。

そこで、改めてこれまでを振り返ってみたい。

 やはり、最も強く印象に残っているのは実習

初日だ。実習室に入ったときの緊張感みなぎる

独特の雰囲気は、今でも忘れることができない。

部屋中に並べられたご献体の方々を前に、普段

とは明らかに違った周囲の表情を見て、私もこ

れから始まる実習に対する、期待と不安が入り

混じった複雑な思いを抱いていた。

 初めて体験する解剖実習を、時折ご献体の方

の生前の姿を思い浮かべながら、感謝の思いを

胸に、ぎこちない手つきで進めていく。仲間と

協力し合い日々新たな発見をしていく時間は充

実しており、また、人体を前にして、自分が医

師への道を歩んでいることを痛切に感じた。

 数々の実習を経て、人体が実に精巧なつくり

をしていることを強く実感した。これまでの学

習の中で、人体の構造とその機能について多少

なりとも知識を持って臨んだ実習ではあったが、

参考書等では得られないその精巧さを肌で感じ

ることができた時間は、これまでの学習とは次

元の異なるものであり、同時にこれから自分が

求められることになる医師の知識と技能、責任

を強く感じずにはいられなかった。

 これから医師を目指して学んでいく私にとっ

て、この度の解剖実習は人体を知る上で大変貴

重な時間であった。このような貴重な機会を与

えてくださったご献体の方々とそのご遺族に心

から感謝申し上げて、この経験を今後の学習に

活かしていきたいと思う。

 このたびは、僕たち学生に解剖実習の機会を

与えて下さりありがとうございます。このよう

なカリキュラムを組んでくださった方、実習中

に様々な事を教えてくださった先生方、なによ

りもご献体を提供してくださった方とご遺族の

方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

 僕たち二年生の初めての実習がこの解剖実習

ということで、医学生として人間の体について

勉強したいという思いがある一方で、一人の人

間として人の解剖をすることに少し複雑な思い

もありました。今現在解剖をしている中で勉強

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― 57 ―

できるという充実感を感じていますが、その中

でも常に様々な方々の協力あっての実習環境で

あることを考えながら、感謝の気持ちを忘れな

いようにしています。

 そして時々ご遺族の方がどのような思いでご

献体を提供してくださったのかを考えることが

あります。僕たち赤の他人にご献体を預けるこ

とに不安もあると思いますし、僕が提供する立

場なら、毎日が不安でしょうがありません。そ

して家族の一員として、家族の遺体を献体とし

て提供する勇気は僕にはないような気がします。

そんな中でも、勇気を出して、僕たち学生を信

用してご献体を提供してくださったご遺族のた

めにも、そして勿論自分のためにも、僕はこれ

まで一生懸命勉強してきたつもりですし、これ

からの解剖実習も真剣に取り組んでいき、少し

でも多くのことを学んでいきたいと思いました。

今回解剖実習を取り組むにあたって、勉強はも

ちろんのこと、先に述べたように色々なことに

ついて考えさせられ、それによって人間的にも

成長できたような気がします。

 この様に有意義な実習の場を与えてくださっ

たご遺族の方々、本当にありがとうございまし

た。

 解剖実習の初日、私は人生で初めて亡くなっ

た方の身体に触れました。その身体の重さや冷

たさは衝撃的で、言うなれば死というものに直

接触れたような気分でした。これはとても貴重

な体験で、生命の尊厳を考えさせられました。

そして、医の道を進んで行く自分自身を実感し

ました。

 毎回の実習はとても意義深いもので、人間の

身体がいかに機能的であり、複雑であり、そし

て神秘的なものであるかを再度認識させられま

した。というのも、自分が持っていた人体の印

象と目の前にある現物とを比較すると、異なっ

ている場合がほとんどだったからです。自分の

肉眼で見て、実際に手に取る筋や骨、臓器の一

つ一つは重みがあり、今まで一つの命を支えて

きたものであると考えると、深い感動がこみ上

がるような思いでした。また、班員で協力しな

がら実習できたことも、色々なことを学ぶ良い

機会になったと思います。ひとつ筋組織をとっ

ても、どの人体の部分を動かすのに使われてい

るのかなどをみんなで議論することで、得られ

る知識が一層深みを増したり、効率よく実習を

進めるためにチームワークを発揮させたりと、

こういった活動が将来チーム医療の一員である

医師となる時、生かされるのだと思います。

 私は登下校の際に解剖教室の隣を毎日通りま

すが、いつも目に入る三世代群像と慰霊碑に思

いを巡らせていました。今回とても貴重な体験

をさせていただきましたが、様々な方の協力の

お陰で実習ができたのだと強く実感しました。

この経験は医師を志す自分の糧になると信じて

います。献体して下さった故人の御遺志を決し

て蔑ろにしないようにいっそう勉学に励み、立

派な医師になりたいと思っています。

 最後に、私たちのために献体して下さった御

本人と、その遺志を汲み取り理解して下さった

御遺族の方々、そしてしらゆき会の方々に深く

感謝を申し上げます。同時に、故人の御冥福を

お祈り申し上げます。

 最初に、私たち医学生の学習のためにご献体

してくださった故人ならびにその遺族の方々、

また実習中に指導やアドバイスをしてくださっ

た先生方に深く感謝を申し上げます。

 人体解剖実習は人体の構造を実際に自分の目

で観察し、知ることができます。単に知るだけ

ではなく、各臓器の立体的配置や血管・神経が

どこを走っているのか、筋や骨がどこにあるか

を確認し、それぞれの相互関係を理解すること

ができました。これらは医学を学ぶ上では基礎

となるものであり、将来医師になった時にも必

要になるものです。そのため自分の手で解剖を

行うことができたということはとても貴重な体

験になったと思います。教科書や図譜ではよく

わからなかった細かい部分まで観察すると、人

体が複雑な構造をしていることに改めて驚き、

人体の精密さに感動を覚えました。図譜とは構

造が異なることや個人個人での違いもあり、人

体を診るということは難しいことなのだと実感

しましたが、そこから深い理解や新たな発見を

することもでき、更なる学習への意欲につなが

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― 58 ―

りました。

 初期のころは人をメスで傷つけるということ

に恐怖を感じ、メスを入れることにとても抵抗

がありました。実習を進めていくことが本当に

できるのか不安に思ったりもしましたが、ご献

体してくださった故人やその遺族の方々のこと

を思い、できる限りのことを尽くし、最大限の

ことを学ぼうと強い意志をもって実習に取り組

んできました。実習を通して実物に触れること

によって多くの驚きや感動があったことは忘れ

られません。また教科書と同じように整然と並

ぶ組織や内臓を目の当たりにし、改めて人体構

造のすばらしさに心を打たれました。そして何

よりも今こうして医学を学んでいるという実感

があり、自分が医学生であるということへの自

信につながったと思います。

 今回の解剖実習を通して得た知識や経験、人

間の尊厳に対する考えを将来医師となったとき

に役立てられるように、日々頑張っていこうと

思います。最後になりましたが、改めてご献体

の方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

本当にありがとうございました。

  第 二十六 班       

小 野 友 輔

鈴 木 貴 也

花 房 繁 寿

山 本 竜 也

  まずは解剖実習にご協力くださった御献体の

方、並びに御遺族の方々に感謝します。本当に

ありがとうございます。御献体の方の協力によ

り医師になる上で非常に有意義な経験をするこ

とができました。この解剖の経験はこれからの

勉強や医師になってから役に立っていくものと

確信しています。

 今でも初めて解剖実習を行った日の緊張を覚

えています。人を解剖するということはもちろ

ん初めての経験であり、その体にメスを入れる

のかと考えただけで非常に緊張しました。二年

生になれば早い段階から解剖実習が始まること

は知っており、覚悟していたつもりではありま

したが、そんなにたやすく冷静に受け止められ

るものではありませんでした。始めのうちはメ

スを入れる時に手が震えてしまい班員に心配さ

れてしまいましたが、これは将来医師になるた

めの大切な経験であり、何よりご協力くださっ

た御献体の方に失礼だと思い自分を奮い立たせ

頑張りました。実習を続けていくうちに次第に

慣れていくようにはなりましたが、やはり作業

によっては何度か手が震えることもあり、医師

という仕事の特殊性と大変さを感じました。

 解剖実習を手順に従って進めていくにつれて

徐々に体の構造についてもわかっていきました。

しかし実習が始まる前から教科書で多少は勉強

していたとはいえやはり実際の人体はぱっと見

て理解できるような簡単なものではありません

でした。私たちの班の御献体の方は教科書にあ

る図とは違うところがあり、教科書を読むだけ

ではわからない個体差というものを感じとても

勉強になりました。そうして勉強しながら実習

を続けていくにつれて人体がいかに複雑でシス

テマティックにできているのかを感じました。

 座学だけではわからないことが今回の解剖実

習を通して理解することができました。解剖実

習は終わっていないので、最後まで真面目に実

習を続けていきたいと思います。

 医学部に入って二年目、このような時期に解

剖実習を受けたということには非常に大きな意

味があったと思っている。医学は非常に奥が深

く、人の命を扱い、直接的にその人、つまり患

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― 59 ―

者に影響を与えるという意味で、他の学問とは

一線を画した位置にある。そしてそれを学ぶ医

学部生にも高い意識が求められている。口上と

してはわかっていたが、ただそれを意識の底か

ら理解していたのかと問われれば、果たして少

し前の僕は首を傾げるより他はなかったように

思う。つまり僕は医師になる以前に、まだ医学

を学ぶに足り得る存在でもなかったかもしれな

い。なぜならそれは机の前に座ってただペンを

動かしていれば身につくというようなものでは

なかったからだ。

 解剖実習はそんな、ある意味では甘ったれた

認識を根底から変えてくれたと思う。初めてご

遺体を前にして、僕は衝撃を受けた。実習台の

上に寝ているのは決して実習書の挿絵のような

無機物ではなく、かつて実際に生きていた人

だった。非常に申し訳ない話ではあるが、初め

てご遺体に対面したとき僕は一瞬怖いと思って

しまった。命を扱うということ、医学を学ぶと

いうことはそんなに甘いものではないぞと水を

浴びせられたように感じた。

 しかし、その時感じた気持ちがあったからこ

そ最後まで実習に対して真摯に取り組めたのだ

と思う。実習は他の座学に対しても、それが机

上だけの話ではないというリアリティを感じな

がら、真剣に取り組むきっかけになったように

感じた。

 献体に登録するということは非常に勇気がい

る行為であると思う。しかし登録された方々は

僕たちに真剣に医学を学んでほしいという心を

もって、このようにご自分の身体を差し出され

たのだろう。だから僕たちはその御遺志に誠意

をもって応えるべきであると思う。そのために

僕は実習で学んだことをこれからの勉強に最大

限生かしていきたい。そして、このような機会

を与えてくださったしらゆき会の皆様に心から

感謝したいと思う。

 僕は、一年生の時は医学の専門的な講義がほ

とんどなかったので、二年生になって専門の授

業が始まることを楽しみにしていました。医学

部に解剖実習があることは高校時代から知って

いましたが、実際にその時が近づくにつれて自

分の中は、これまで想像や様々な媒体を通して

しか見てこなかった人の体の内部を直接目の前

にすることに対する好奇心でいっぱいになって

いました。それは、講義で習ったことを実際に

解剖し、その立体構造を自分の目で見ることで、

より理解が深まると思ったからです。

 解剖実習が始まって、初めてご献体の方を前

にしたとき、僕はなかなかメスを入れることが

できませんでした。それは、ご献体してくだ

さった方が生きておられたときのことが気に

なったからです。どんな性格で、どのような家

族に囲まれ、何を思って生涯を終えたのかと考

えると、今、僕の前に横たわっていることが信

じ難かったのです。これから解剖を通して人体

の構造を学んでいくということに対して、ご献

体の方、ご遺族の方々に感謝し、責任を持って

できるだけ多くのことを学ぼうと決意し第一刀

を入れたことを覚えています。

 実習が進むにつれ、人体の構造が非常に精密

でありひとつひとつに意味があることが明らか

になっていくことは驚きと感動の連続でした。

血管や筋の質感や漿膜の様子などを実際に目で

見て、触れて、感じ取れたことは本当に貴重な

経験だったと思います。極めて細かい神経や筋

のひとつひとつの線維は下手に触るとすぐに切

れてしまい、でもその各々が重要で正常に連携

して僕たちが簡単な動作をしていること考える

と、こんなにも脆い人体を相手にする医師の責

任の大きさと技術のすばらしさを改めて感じる

ことができました。

 ご献体の方々に対する責任を持って解剖実習

に臨めたと自分なりには思っていますが、一方

で不勉強さも痛感したことは確かです。実習を

通して学んだ知識や改めて気付いた考えを忘れ

ずに持ち続け、医師を目指していく上で活かし

たいと思います。

 私は今回の解剖実習を経験し、様々なことを

得ることができました。それは、医学的な知識

はもちろんですが、同時に自分が医師を目指す

者としての勉強をしているという自覚を初めて

具体的に持つことができたからです。また、実

習はいつもの授業とは違い特別な意味を持つよ

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うに感じられ、その気持ちが実習に臨む際の緊

張感というものを与えてくれていたと思いまし

た。そのため、授業で教わることや、教科書を

読んで勉強することよりも、多くのことを学ぶ

ことができ、知識もより鮮明で印象的に覚える

ことができたと思います。それに加え、自分の

目で見てみないとわからないような体内の構造

や位置関係など多くのことを学ぶことができま

した。

 また、解剖実習のおかげで医学について勉強

しているということを自覚できたのは、一年生

の頃ではできなかったことであり、これから勉

強していくためのモチベーションを上げること

にもつながったと思いました。そして、同時に

将来医師になりたいと頑張って勉強していた受

験生のころの気持ちを思い出し、初心に戻るこ

とができました。

 他にも今までの勉強は自分一人で行うものが

多かったのですが、実習は周囲の人と協力しな

がら進めていくことにより、解剖の進め方や知

識について話し合い、お互い意見を言い合うこ

とで人とコミュニケーションをとることの大切

さを実感できたと思いました。初めのうちは自

分の作業はある程度一人でしなくてはならない

ことや、協力がいる場合でも積極的に協力をし

ようとしなかったこともありました。それが解

剖実習が進むにつれて、一つのことでも全員で

確認し協力しながら行うことができるように

なっていきました。将来医師になった時に今回

の実習の経験が生きてくるよう今後も頑張って

いきたいです。

 最後に今回の解剖実習で経験した貴重な時間

を与えてくださった御献体の方々とそのご遺族

の方々、そして実習で指導を行っていただいた

先生方に感謝の気持ちを述べたいと思います。

本当にありがとうございました。

  第 二十七 班       

小野寺   謙

鈴 木 尚 樹

原 嶋 祥 吾

山 脇 輝 久

  解剖が始まってから二カ月が経ちました。大

震災の影響もあり、講義が始まったのが五月の

連休明けのこと、それとともに解剖実習も開始

しました。私は人体解剖に対する興味、関心が

あったことはもちろんですが、恐怖感も非常に

大きかったことを覚えています。実習前は人体

の構造は私にとって未知の世界でしたが、実習

を通じて講義で教わった知識が自分の経験へと

変わっていったように思います。実際、血管や

神経の走行は教科書などで見るよりも複雑であ

り、自分の手で触らなければ分からないことも

たくさんありました。また、教科書に記載され

ていることは一般的な構造であり、個々人に

よって構造の多少の差異はもちろん、臓器の大

きさの個体差が自分の想像を越えていました。

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他にも人体には無駄な構造、スペースは存在せ

ず、様々な臓器や器官がきれいに収まっていた

ことに気がつきました。それは機能美と言って

も過言ではないと思います。そのため血管や神

経が多く走っている複雑な場所を解剖する時は

大変苦労しました。同時に実際の医療現場では

大切な器官を傷つけないようにしなければいけ

ないこと、医療行為は危険と隣り合わせである

ということ、自分たちは将来患者さんの「命」

を預かる立場になるということをひしひしと感

じました。また、実習という班活動を通して医

療にはチームワークが大切であることが分かり

ました。このような多くの体験をしたことで、

医学の奥深さを思い知りました。

 今回の実習で初めて御献体を目にし、解剖さ

せて頂いたことで、自分も医学の道に入ったこ

とを実感しています。最後になりましたが、こ

のような貴重な経験をさせていただいたことを

御献体してくださった方や、その御遺族の皆様、

そして実習の指導をしてくださった先生方に感

謝して、今後より一層勉学に励みたいと思いま

す。

 解剖実習をして私が感じたことは、この解剖

は医学を学ぶにあたって大変重要なものであり、

献体をしてくださった方々やご遺族の方々のご

厚意がなければ実習ができないということです。

そのため、献体をしてくださった方々やご遺族

の方々には感謝してもしきれない気持ちでいっ

ぱいです。

 一年生のときは教養教育ばかりで医学部にき

た実感がほとんどわかなかったため、私はやっ

と医学を学ぶのだという期待に胸を躍らせてい

ました。予防衣を着て、手袋をして解剖セット

を持って準備万端で待っていましたがご献体を

最初に見たときは衝撃を受けました。布を開け

て現れた献体は作りもののように見えたのです

が、その顔を見ると本物の人なのだと感じたか

らです。実習が始まり、同じ人間の体を切ると

いう行為にはためらいがありました。

 実習が進み、臓器に触れその重さを感じたり、

神経や血管の走行を確認したりできることはと

てもありがたいことでした。時々教科書や他の

班のご献体のものと比べて異なることがありま

した。血管が教科書の図とは違う走行をしてい

たり、筋の発達のしかたが著しく異なっている

のはとても不思議な事でした。これはどの体に

も個性があるということです。将来医師になっ

た時「この患者さんの場合」というものを考え

る必要があるのだと改めて感じさせられました。

 残る解剖実習はあとわずかなのですが、緊張

感を持って、ご遺体への敬意を忘れずに、実り

あるものにしたいと思います。

 最後となりましたが、私たち学生のために尊

いお体を献体してくださった方々とそのご遺族

の皆様に心から感謝を申し上げるとともに、故

人のご冥福をお祈りいたします。本当にありが

とうございました。

 大学に入学してから早一年と四カ月が経ちま

した。この時期までに大学では色々な授業を受

けてきましたが、人体を解剖するという経験は

他のどの授業よりも自分が医学生であることを

実感させられました。人体の精密さに感激する

とともに、メスを握ることに伴う責任を感じな

がら実習に臨んでいました。

 解剖学実習初日にご遺体と初めて対面した時

は、私の胸の中は緊張や不安でいっぱいでした。

と同時に、献体してくださった方々やそのご遺

族の方々のためにも一つでも多くの事を学び、

これからの勉強のために役立てていこうという

意欲で溢れていました。しかし、実習が進むに

つれて意欲とは裏腹に自分の勉強不足を痛感さ

せられました。実習が始まる前は、人体とはほ

とんど全てが教科書や図譜の中で描かれている

ように配置されているものだと思っていました。

しかし、いざ始めてみると、それぞれのご遺体

によって臓器や血管、神経などの配置や形状な

どが大きく異なることを知り、驚きました。今

まで、教科書や図譜にある絵や写真を見ただけ

で人体の構造を分かったつもりになっていたの

だと思い、非常に恥ずかしくなるとともに医学

生として大変反省しました。この反省を生かし、

まだまだ不十分であると思いますが、血管や神

経の走行や、臓器の位置、筋の起始や停止など

を自分なりに深く勉強できたと思っています。

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 この解剖実習を通して様々なことを学び、体

験することができました。このようなすばらし

い機会を与えてくださったしらゆき会の方々に

は深く感謝しています。ありがとうございまし

た。これから先、私が医療の現場に立ったとき

にこの解剖実習で得た知識を活かして行くこと

が献体してくださった方々への恩返しだと思い

ます。自分が将来医師になり多くの人々の命を

扱うという使命感、責任感を感じ、医学のさら

なる進歩に貢献していかなければならないとい

う思いを胸に秘め、日々勉強していきたいと思

います。

 はじめに、私に人体を解剖し構造を学んでい

くという大変貴重な体験をさせていただいたこ

とに対して、ご遺族の方、ならびにしらゆき会

の関係者の方々に感謝いたします。医学部に入

学したからには人体解剖実習を行うということ

を覚悟していましたが、それでも最初にご献体

と対面した時の印象は忘れがたいものがありま

す。私が三回目の「人の死」に触れ合った瞬間

であり、自分が「医師になるのだ」ということ

を強く意識しました。ご献体に第一刀を入れる

ときはとても緊張し、尻込みしたのを覚えてい

ます。

 人体解剖実習が進んでいくにつれて、教室で

受ける座学では味わえないことを学べる生身の

学問であることを実感しました。実際に手で触

れ、じっくりと観察することで人の体のつくり

を理解できた気がします。さらに座学で習った

知識と合わさった時の感動と驚きは格別です。

例えば、心臓を観察してみて心房心室の位置、

そこから伸びる動静脈の太さなどを知ってはい

ましたが、目の前で見た実物の存在感は大きな

ものでした。その中でも私が一番感動したのは、

心臓の周囲の冠状動静脈の伸び方で、止まるこ

とのない心臓にこのように栄養を供給している

のかと分かったときは、生命の神秘に感動しま

した。

 実習も終わりに近づいた今、色々と考える余

裕が出来てきましたが、それでも緊張すること

が一つだけあります。実習がはじまるときご献

体を覆っている布を外すことです。この瞬間私

はどうしても人の死を意識してしまい、そこか

ら人の生と死を考えてしまうのです。私はこれ

からどう生きていこう、そして何がなせるのか、

何をしたいのかとご献体と対面することで自ら

の将来について正面から考える時間をもらって

いるような気がします。

 この体験は医師を目指す者として、また一人

前の大人として真剣に考えさせられる、めった

にない機会であり、将来医療従事者として生き

ていくときに私を支える根となるものと確信し

ました。亡くなられた後もなお医療の発展なら

びに、医学生教育の為にご自分の体を献体して

頂いた方々の決意・信念に感謝いたします。今

回の人体解剖の経験を、これからの医学生とし

ての歩み方、そして医師としての生き方の糧と

していきたいと思います。重ね重ねになります

が、しらゆき会の方々、先生方、そしてなによ

りご献体の方々とそのご遺族の方々、本当にあ

りがとうございました。

Page 65: 山形大学医学部第38回生の 第81号 解剖学実習感想 …― 2 ― 造 を 学 ぶ た め に 必 要 な の か と い う こ と を 感 じ さ せ ら れ た。医

― 63 ―

  第 二十八 班       

金 子 侑 平

鈴 木 真 央

菱 田 勢 始

横 瀬 允 史

  二年生になったら解剖をするということは

知っていましたが、ついこの間まで他の学部の

人と一緒に教養の授業を漫然と受けていたわた

しは、解剖実習に対して、全くといっていいほ

ど知識もなければ解剖に臨む覚悟もできていま

せんでした。そのため本当に自分に出来るのだ

ろうか、自分が解剖してもいいのだろうかと不

安でいっぱいの中、解剖実習初日を迎えました。

次々と運ばれてくるご献体を目の前にして、と

ても緊張したのと同時に、とても身の引き締ま

る思いを感じました。この時、ご献体の方やそ

のご遺族の方々の気持ちに応えなければならな

いと強く思い、真摯な気持ちで解剖をしっかり

やり遂げようと心に決めました。

 解剖を始めると、やはり自分の未熟さを改め

て感じました。初めて使うメスなどの道具につ

いての技術的なこと、血管や神経、筋肉や臓器

についての知識的なことなどについては、毎回

学ぶこと、反省することだらけでした。その一

方で、解剖が進み緻密に複雑に出来ている人の

体を知っていく中、ご献体の皺や傷跡のひとつ

ひとつに、その方の過ごされた生活、生涯が刻

み込まれているように思い、命の尊さのような

ものを感じました。また、体のつくりは人に

よって様々であり、図譜を班の四人で読み解き、

相談、分担しながら協力して進めていったこと

が、チームワークを組んで一つのことを成し遂

げるという事の勉強にもなりました。

 今回の解剖実習では、ご献体を提供してくだ

さった方やそのご遺族の方、そして先生方に大

変お世話になりました。これらの方々の協力を

無にしないよう、良い医療を実践できる医師を

目指して、将来、患者さんとなる方の健康を

守っていくためにも、これからもより一層勉学

に励みたいと思います。最後になりましたが、

ご献体とご遺族の方々に深い感謝の念を捧げる

とともに、故人のご冥福をお祈りいたします。

 二年生になり専門課程の授業が始まり、日々

課題に追われ忙しい日々を過ごしていました。

そんな中で骨学の授業も終わり、医学生として

の最初の試練とも思える解剖学実習が始まりま

した。解剖学実習の話は、一年生のころから先

輩の話などを聞いていたので、自分の中で心の

準備はしていたつもりですが、初めて献体と対

面した時は少し身構えてしまった自分がいまし

た。実習のはじめに黙祷をささげたときは緊張

と不安が交錯し、なんともいえない気持ちでし

た。しかし実習を進めていくうちにだんだんと

不安な気持ちはなくなり、知的好奇心が生まれ

てきました。はじめのうちは、器具の使い方も

分からず、上手くいかないことがありましたが、

実習を進めるうちにそれにも慣れ、メスやピン

セットの使い方を学ぶと言う点でも解剖学実習

は重要だなと思いました。実習ではすべてが初

めて見る光景で、驚きの連続でした。血管の太

さ、神経の走行、内臓の重さ、筋の起始と停止

など様々なことを目で見て、触ることで教科書

だけでは学ぶことのできない多くのことを学ぶ

ことができました。解剖が始まって、あっとい

う間の三ヶ月でしたが、その内容はとても濃く

充実したものでした。

 今回の解剖学実習を通して、人体の構造と機

能について学んだだけでなく、「生」と「死」

ということについても深く考えさせられました。

実習中にふと「この人は生前になにをなされて

いたのだろう」とか「どのような思いで献体な

さったのだろうか」と頭をよぎることがあり、

その度に、この解剖学実習を無駄にしてはなら

ないという思いとひとつでも多くのことを学び

とらなければならないという思いで身が引き締

まりました。今回、私たちがこのような貴重な

実習をすることができたのは、献体してくだ

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― 64 ―

さった方々の献身的なお気持ち、そして、ご遺

族の方々の深いご理解のおかげです。本当に感

謝の気持ちでいっぱいです。

 最後になりましたが、実習の準備をして下

さった関係者の方々、実習の指導、サポートを

してくださった先生方、協力し合い一緒に実習

行った班のメンバーにもお礼を述べたいと思い

ます。ありがとうございました。

 三月に一般教養が行われていた一年生が終わ

り、五月から医学生として本格的に医学を学び

始める二年生が始まりました。その中でも御献

体を使わせてもらっての解剖実習は自分が医学

生であることを最も強く自覚させるものでした。

 解剖学は人体を直接扱う授業ということも

あって多くの不安を抱える中、授業は始まりま

した。正直な所、実習初期は慣れない保存液の

においや人体を扱うことへの恐れがあり、実習

に身が入っていなかった日もありました。しか

し、それらに慣れてくるに従って、どの筋がど

こについているのかということやどのような神

経・血管がどこを走っているのか、実物の内臓

の形や大きさ・重みはどれくらいなのかという

ことを知りたいという思いが強くなり、意欲的

に実習に取り組めるようになりました。図譜や

写真・授業で想像していた通りのものもあれば、

図譜や写真を見ているだけではわからなかった

立体的な形状や重み、そして実際にどこに何が

あるのかを知ることができるものもあり実習を

より意欲的に、そして有意義に行うことができ

ました。このような機会は献体をして頂けなけ

れば決してなかったことでしょう。

 また、実習ではチームワークについても学び

ました。私の班では解剖を四人一組で行ってお

り、班のメンバーと協力して実習を進めました。

解剖実習は一人だけでは決してできないと思い

ます。私もわからない所や間違えてしまった部

分のフォローなど班のメンバーには何度も助け

られました。それにより自分も班に貢献したい

と思う気持ちが生まれたこともまた大切なこと

だと思います。

 最後に、献体してくださったご本人様、そし

てその遺族の方にはどれだけ感謝してもしきれ

ません。本当にありがとうございます。また、

まだまだ未熟な私たちを指導してくださった先

生方もありがとうございます。この貴重な経験

を最大限に活かして今後の学習に役立て、将来

的には多くの人に貢献できるような医師になれ

るよう精進していきたいと思います。

 この文章を書いている時点で、解剖実習も残

すところあと数回となっている。解剖実習が私

に与えた影響は、とても大きい。

 入学した当初は、二年生になってすぐに人体

解剖をするなんて考えてもいなかった。親や友

人にその話をするとみな一様に驚いていたし、

「解剖は後期から」、「二年生までは教養だけ」

という大学が少なからずあることも知っていた。

そのため実習前は自分にできるのか、ご遺体と

対面してショックを受けないだろうか、などと

いう不安で一杯だった。しかし初めてご遺体と

向き合った時に、そういった気持ちはすべて吹

き飛んだ。昔は私たちと同じように生きていた

人が、私たちのためにここにいる。その事実を

直視すると、生前の意思を無駄にできない、感

謝の気持ちを常に持って実習に臨まなければな

らないという、責任感が湧いてきた。私は班の

中で最初にご遺体にメスを入れたのだが、その

瞬間医学を学ぶ者としての覚悟を問われたよう

に感じた。

 実習は、一回一回を大切にしなければならな

かった。数学のように、間違ったからやり直し

とか、後から復習などということは当然できな

い。そのため予習が必須になるわけであり、そ

ういった点で、医学生としての学習に対する向

き合い方を、実習を通して教えられたように思

う。また、教科書に書いてある臓器と見た目が

全然違ったり、別の班のご遺体と自分の班のご

遺体で違っている部分があったりして、その度

に人体の構造の難しさを実感した。

 今振り返ってみると、二年生に進級してすぐ

に解剖実習をできてよかったと思っている。医

学生としての自覚を早い時期に持てたし、学習

に対する意欲を湧き起こさせてくれたからであ

る。このような貴重な時間を与えて下さったし

らゆき会のみなさんには、心から深く感謝して

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いる。臨床の道に進んでも、解剖は専門分野に

かかわらず共通の基本である。残りのわずかな

実習も真摯な態度で臨もうと思う。

  第 二十九 班       

川 上 裕 子

鈴 木 優 太

平 田 尚 也

横 山 航 平

 初めてご遺体と対面した日、正直防腐処置な

どを施されたご遺体がどのような状態なのか想

像がつかず、ずっとそわそわしていました。し

かし、いざ包まれていた布をとってみると、そ

こにいたのは近所で見かける普通のおじいさん

となんら変わらず、一気に緊張が解けました。

私はこの時、お身体を提供してくださった方々

とそのご遺族に感謝し、しっかりと学習させて

いただかなければならないと強く感じました。

 始めのうちはメスやピンセットをうまく扱え

ず、その日の課題をこなすだけで精一杯でした

が、徐々に慣れてくると、座学だけでは分から

なかった組織の大きさや重さ三次元的な配置な

どを確認しながら、いかに人の身体が複雑に構

成されているかということが実感できました。

教科書や図譜とご遺体を見比べて、それらをひ

とつひとつ確認し、その合理的、機能的なこと

に驚くことが何度もあり、また教科書通りでは

ない部位を見ては、人それぞれの個性を感じま

した。全身には血管や神経が張り巡らされてお

り、何度も誤って切ってしまいます。その度に、

実際の医療現場でこの複雑な人の身体を相手に

しなければならず、そのためにはこれからしっ

かりと勉強していかなければいけないと感じま

した。この実習を通して、漠然としていた人の

体の構造への理解がずっと深まったように思い

ます。

 今年は大震災によって、多くの尊い命が犠牲

になりました。私の知り合いにも亡くなった方

や家を津波に流されてしまった方がいます。私

の実家も半壊となりました。もし自分が医師で

あったなら、医療のことが分かっていたなら、

もっと何かできたのではないかと思います。自

分の無力さに歯痒い思いをしました。その分、

この解剖実習に本気で取り組むことができたよ

うに思います。

 今回このような貴重な体験をさせてくださっ

たご献体の方々、ご遺族の皆様に深く感謝しま

す。今回学んだことを今後も活かし、勉学に励

み、よい医師になって社会に貢献できるよう努

力していきたいと思います。本当にありがとう

ございました。

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 医師を目指す私達医学生はあらゆるケガ、病

気の仕組みを理解し、その対処法を学ぶために

何よりもまず人体の構造を理解しなければなり

ません。多くの情報を入手することが容易にな

り、また数多くの人体の構造に関する書籍、教

科書が出版されていますが、それでも実際に私

達自身の手で解剖を進めていくことにはとても

大きな意味があると思います。私達が将来相手

にするのは、生きた人間です。人間は誰一人と

して同じではなく、病気やケガの症状も人それ

ぞれ違います。教科書や講義で身に付けた知識

だけでは必ずしも十分であるとは言えず、それ

だけでは対処することができない事態も生じ得

ます。それらの事態にどのように対処していく

かを学ぶ場としても、実習の時間が設けられて

いるのだと思います。

 解剖実習を通して、私は人間とは決して、教

科書や講義通りにはいかないということや、個

人でそれぞれ異なり、二人として同じ存在はな

いということを強く意識することができます。

このことを認識できるという事が、この実習の

中で一番大事な意味があると私自身は思ってい

ます。そして、このような実習を行うには必ず、

御遺体を献体として提供してくださるしらゆき

会の方々と、それを御理解して下さった御遺族

の存在が必要です。しらゆき会の方々や、御遺

族の方々の思いがあって、私達医学生は勉強を

進めることができ、医師になることができるの

です。私は、皆様に感謝し、その思いを決して

無駄にせず医療に携わる者としての自覚を持っ

ていきたいと思っています。

 解剖学実習では取り扱う範囲が膨大でありな

がら、その全てが同等に重要であるため、これ

までに私が経験したことが無いほどの膨大な量

の学習を行う必要がありました。しかし、その

勉強は苦にはならず、むしろ学習を進めること

によって僭越ながら私が医学に一歩一歩近づい

ていることを実感でき、その知識を元に御献体

に向き合うことでより一層実感を強めることが

できました。実習が終った今、まだまだ解剖学

についての知識の足りない部分はありますが、

疲労感よりも実習をやり遂げたという達成感で

満たされています。

 また、学習で得た知識を元に御献体に向き

合った際に、御献体の方の体の構造は、そのど

れもが必ずしも教科書どおりではなく、むしろ

異なっている場合が多々ありました。そのたび

に自ら考え直さなくてはならないことがあり、

当初は人体の構造に驚かされると同時に幾度も

解剖学実習の重さを実感することとなりました。

 また、医学科生として、御献体に向き合うこ

とは、自分が医師になるということを考える上

でなくてはならない機会だと思います。何故な

らば医師には社会に身を尽くす福祉の精神が必

要不可欠であり、無償で自らの肉体を私達の学

習のために捧げてくださった御献体となった

方々は、まさにその福祉の精神の体現者である

といえるからです。故に私達が御献体の前に立

つときは、常に感謝の気持ちと福祉の精神の大

切さを忘れずに居ることができたのだと思いま

す。今回の実習を機に、自分が将来医師になる

人間であり、常に感謝と福祉の精神を心がけな

くてはならないということを十二分に認識する

ことができました。

 今回、このように私達にとって有意義な解剖

学実習の機会を与えてくださった方々に心より

感謝するとともに、御献体の方々から私達に伝

わった、これから医療に携っていくものとして

の精神のあり方をずっと大切にしていこうと

思っています。

 はじめに未熟な私達にご献体を提供して下

さったご本人様、そしてご遺族の皆様にお礼を

申し上げます。私達の勉強はご献体なしには進

めないものです。皆様の私達に対する思いを考

えると、私自身も精一杯勉強させて頂きました

が、どれだけ頑張ってもまだまだ足りなく感じ

ました。

 昨年はほとんどが小白川での一般教養の勉強

だったので、今年からが医学生としての本格的

な勉強の始まりです。実習を始める前は不安や

心配を感じていましたが、これを無事終えるこ

とが私達医学生にとっての第一関門であり、生

と死の狭間を日常とする医師への第一歩だと気

合いを入れてその日が来るのを待ちかまえてい

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ました。また不安感を減らすために実習書を何

度も読んでみたり、先輩からお話を伺ったりも

しました。

 そして実習が始まりました。黙祷から始まり

初めてご献体に対面した時、それまであった不

安や心配は姿を消しました。いま自分がすべき

事は心配などではなく、この場で吸収できるこ

と全てを自分の物にすることだと気づくことが

出来たのです。体の構造にしても教科書を使っ

た学習のみとは大違いで、やはりご献体から学

ぶことによって本当の理解をすることができま

した。

 解剖学実習を始めてから二カ月が過ぎようと

しています。今、改めて振り返ってみると、毎

日が新しい知識の組み立て、発見の充実した

日々だった様に思えます。また献体という尊い

志を持って亡くなられ、私たちの班で担当させ

て頂いたことにご縁を感じ、この方へのご恩を

どうすればお返しできるかと自問自答しました。

それはこのご恩を忘れずに、一生懸命頑張るこ

とだと思います。この真摯な気持ちを忘れるこ

となく心に刻み付け、恩返しの意味を込めて、

将来少しでもすばらしい医師になれるよう努力

していきたいと思います。

  第 三十 班        

川喜田 靖 明

須 田 友 海

平 野 遥 香

吉 井 健 大

 大学に入学して早一年が過ぎ、東日本大震災

の爪痕が残る中二年次の学校生活がスタートし

ました。医学部の学生として、一年次に医学原

論などの講義を受講してきましたが、自分が医

学部の学生であるという自覚が入学当初に比べ

れば薄らいでしまっていたような気がしました。

もちろんそれは一般教養の授業を他学部の学生

たちと一緒に受講していたことや専門科目の授

業がほとんどなかったことなど様々な要因が

あったからだと思われます。

 しかし、二年次が始まり飯田キャンパスでの

学校生活が始まり、昨年とは異なり毎日朝から

夕方まで専門科目の講義、実習を受けていく中

で医学生としての自覚が日に日に高まってきた

と感じます。それは自分だけではなくて、同期

の学生や友人の学習態度を見ていても強く感じ

ることです。今現在組織学などの専門科目の講

義、実習を受けていますが、中でも解剖学実習

を行っているときが一番強く医学生としての実

感がわきます。

 初めてご遺体と向かい合った時、私は不安や

迷いを非常に強く感じました。人の生死を最も

近くで目の当たりにする医学そのものに対する

思いは、実習を行ってきた今でも不安のほうが

好奇心に比べて大きいです。なぜなら実習の際、

大変複雑かつ精密なまでの人間の身体の仕組み

をきちんと学び理解できるかどうか、さらには

自分が将来医師として患者さんとどのようにし

て向き合っていけばいいのかなど色々なことが

頭の中をよぎっていたからです。それでも、将

来患者さんを救うためには今は懸命に学ぶこと

が私自身にとって最も重要なことだと思って不

安と葛藤しながら実習を行っています。学べる

ことの喜びをかみしめながらこれからも努力し

続け勉学に励みたいと思います。最後に、こう

した私たち医学生のために力を貸して下さった

ご遺族のみなさまに感謝申し上げます。

 二学年に進級し、いよいよ本格的に専門の授

業が始まり、医学部生になったと実感したのが

この解剖実習でした。私はご遺体と対面するの

は初めてで、とても不安でした。先輩方から実

習について少し話を聞いていましたが、実際に

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ご遺体を目の前にすると緊張が走り、これから

自分たちの手でメスを握り、解剖を進めていく

のだと考えると信じられませんでした。しかし、

医学を学ぶ私たちのためにご献体して下さった

方やご遺族の方々の気持ちを考えると、決して

その善意を無駄にせず、少しでも多くのことを

学ばなければならないと思いました。

 解剖実習は全てが未知の体験で、戸惑いもあ

りましたが、毎回発見がありとても興味深いも

のでした。講義で習ったものや、教科書で見た

ものを確かめられた時には、感動を覚えました。

実物を見て触って学ぶことは、紙の上で学ぶこ

ととは別世界のことように思いました。人体の

構造はとても複雑で、神秘的で、不思議に思う

ところが多くありました。解剖を進めていくに

つれ、自分の知識の無さを痛感するとともに、

もっといろんなことを詳しく学びたいという思

いに駆られるようになっていきました。実習で

見たものは脳裏に焼きつくようで、とても貴重

な体験をさせていただきました。

 この解剖実習によって私たちは、人体の構造

を学び知識を身につけるだけでなく、将来人命

に関わっていく者としての自覚と責任を確認さ

せられました。そのため常に向上心を持ち、生

半可な気持ちではやってはいけないと感じてい

ます。また、班の仲間と協力して作業を進めて

いくことの大切さも学びました。

 最後になりましたが、このような貴重であり

がたい経験をさせていただき、ご献体して下

さった方とご遺族の方々に深く感謝申し上げま

す。そのご遺志に報いられるよう、真剣に勉学

に励んで行きたいと思います。

 五月から始まった解剖学実習ももう終わろう

としており、今振り返ってみるととても多くの

ことを学ばさせていただきました。今年は三月

に東北を襲った大地震の影響で、生活は一変し、

たくさんの命が奪われました。同じ東北出身者

として、被災された方々に心よりお見舞い申し

上げます。そしてこの中で私たちが実習を行う

ことができたことに、ご献体をしていただいた

方とそのご遺族の方々、またしらゆき会の方々

に深く感謝しています。

 二年生となり、医学専門教育が始まり、医学

生であることを実感しつつあった頃に骨学実習

を終え、解剖学実習へと移りました。最初は不

安と緊張で御献体にメスを入れることに抵抗が

あったことを今でも覚えています。しかし、実

習は毎回が驚きと発見の連続であり、自分の知

識は机上での勉学であったと感じることが多く

ありました。解剖させていただくことで、血管

や神経、筋の走行や位置、臓器の位置や大きさ

を間近で見ることができ、教科書の図を見て想

像で捉えていたものを正確なイメージで身につ

けることができました。また御献体同士を見比

べることによって、筋の発達や大きさに差異が

あり、病気による臓器の変色や変形などを観察

することができ、改めて個体差があることを実

感しました。これは教科書の模範的な人体構造

の説明では決して得られない知識でした。

 初めて御献体を目の前にした時の緊張感や、

ひとつひとつの解剖の作業でミスが許されない

という責任感は、将来患者さんを目の前にした

ときに忘れてはならない気持ちだと思います。

この解剖学実習はそのような面でも自分の中で

とても貴重な体験となり、有意義な時間となり

ました。実習の中で、自分の知識不足に悔いる

点も多々ありましたが、今回学んだことを一生

忘れずにこれからの学習で活かし、これから学

んでいく知識を貪欲に吸収していきたいと思い

ます。改めて先生方、そして御献体をしていた

だいた方とご遺族の方々に感謝します。

 まず感想文を書くにあたり、私たち医学生の

ためにご献体として自らの身をささげてくだ

さった方、またそのご遺族の方に感謝を申し上

げたいと思います。ありがとうございました。

 一年生の間は週一日だけ専門科目の授業を受

けていましたが、二年生になって、毎日専門科

目を学ぶようになり、その中でも解剖実習は座

学で習った内容を目で見て確認して理解するこ

とのできる非常に有意義な時間となりました。

最初の授業で実習室が緊張感に包まれる中、ご

遺体を実習室まで運び対面したとき、この方が

自ら献体となることを決意してくださったその

尊いご遺志について想い、それまでの人体にメ

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スを入れることへの不安を無くすことができま

した。解剖は初めての経験だったので、やり方

が分からず迷うことも多くありましたが回数を

重ねるごとに要領も分かってきて、今では迷う

こともほとんどなくなりました。実習を進めて

いく中で、血管や神経の複雑な配置を観察した

り、内臓の構造について立体的に印象強く理解

することができました。それまで私が学んでき

た教科書などの文章や図だけでは理解しえない

ご献体ごとの個体差や、それまであいまいに理

解していた人体の構造との違いに難しさや驚き

を覚えると同時に、解剖実習を行うことができ

て本当に良かったと感謝の気持ちでいっぱいに

なりました。この経験は、これからの学生生活、

そして将来私が医師になった時にも活きてくる

と確信しています。それは私たちよりも知識の

ある上の学年の先輩方が実習室まで足を運び、

いろいろ観察をしていたことからも言えること

だと思います。

 今回の解剖を通して、自分が医学生であると

いうことの再認識と、まだまだ自分が医学的知

識に乏しい人間であるということを痛感させら

れました。これからの学生生活で真摯に勉学に

取り組み、今回の解剖実習の経験を十分に生か

すことができるようになることがご献体の方や

そのご遺族への一番の恩返しなのではないかと

思います。この気持ちを常に忘れずにこれから

も努力して勉強していきたいです。

  第 三十一 班       

川 崎 樹 里

須 田 義 裕

深 澤 美 葉

吉 田 智 隆

  五月の末、解剖実習が始まりました。それま

では教科書による勉強のみだったため、僕は解

剖実習に大きな期待を寄せていました。しかし

ご遺体と対面した時、これから始まる解剖実習

に正直大きな不安を感じました。人間の体にメ

スを入れるということは普通ではありえない行

為であり、自分は医学部に来たのだということ

を改めて実感しました。また、この貴重な実習

の機会を生かせるように、予習を十分に行い、

むやみにご遺体を傷つけることのないようにし

なければならないと強く感じました。

 実習が始まると、あらかじめ教科書で学んで

自分がイメージしていた人体の様子と、実際の

人体の様子の差に驚かされることが多々ありま

した。皮膚の内部や結合組織の様子、筋や脂肪

のつきかた、血管や神経の走行や強度など、解

剖実習を行うことでしか学べないことばかりで

あり、貴重な体験をさせて頂いているんだとい

う気持ちを持って、解剖を進めました。また、

ご遺体によってその構造は様々で個人差が大き

く、そのような個人差を知っておくことは手術

や画像診断、触診などを行う上で重要になって

いくのだろうと感じました。そのほかにも、腫

瘍や臓器の変形など、その方の死因につながる

ような特徴もみられ、この先臨床を学ぶ際に参

考になるだろうと感じました。また、そのよう

な個人差によって、それぞれの方が歩んできた

人生の重みが伝わってきました。

 解剖を行ったことでご遺体から学んだ医学的

な知識、一人一人のご遺体を見て感じた生命の

重みを、これから医学を学んでいく際、さらに

は医師になってからも忘れずに持ち続けたいと

思います。

 最後になりましたが、ご献体となってくだ

さった方々、またそのご遺族の方々、しらゆき

会の方々、ご指導してくださった先生方に心よ

り感謝いたします。本当にありがとうございま

した。

 二年生が始まると同時に、私達の解剖実習は

始まりました。医療を志す者にしか経験できな

いであろう解剖実習がくるのを私は待ち遠しく

て仕方ありませんでした。初めて手にするメス

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やピンセットの感触を楽しみながら前日に実習

書をめくり、初めて予防衣をまとい、自分なり

に覚悟をして実習に臨みました。

 しかし、いざ実習が始まってみると、私の気

持ちは大きく変わりました。今まで自分のなか

にあった自信は影もなく、ただただ「自分に御

遺体で学ばせていただく資格はあるのか?まだ

まだ自分の勉強は不十分のままだ。」と思う自分

がいました。時間を経て、大分実習にも慣れて

いきましたが、その気持ちはいつも私の心のど

こかにありました。実習中に学ばせていただい

た沢山の知識はすべて私が将来医師として生き

る上で必要なものとなるでしょう。医学生に

なって、教科書に記してあることを記憶し、自

分なりのイメージで吸収してきたつもりではあ

りましたが、実際に人間の身体に触れてみると、

それまでに見てきた教科書での文章や図解がい

かに本物と遠いものであるかが分かりました。

私にとって御遺体は、どんな教科書も及ぶこと

の出来ない最高の教科書であり、最高の先生で

ありました。御遺体からは数えきれないほどの

ことを教えていただきました。教科書に記載し

てあることは勿論の事、なによりも大きな知識

として、人間をはじめ生き物の身体は決して一

通りではないという事である。生き物の身体は

千差万別の構造になっており、全てを一つには

括ることはできません。私の教えていただいた

ことの中で、それはとても大きなこととなりま

した

 この実習の間に、私は御遺体から様々なこと

を学び、人間的にも一回り大きくなれた気がし

ます。今回お世話になったご遺体・その家族の

皆様にはいくら感謝をしてもたりませんが、立

派な医師として人の役に立つことこそがこの御

恩に応えることだと私は思います。そのために

も私は今の気持ちを肝に据えて貧欲に医学を学

んでいこうと思います。*

 解剖学実習が始まる前は、本当に自分がしっ

かり実習をしていけるか不安があった。私はこ

れまで遺体を見たことがなく、人が死ぬという

状況に関わったこともなかったからだ。最初に

ご遺体を見たとき、そして最初に触れたときは、

自分は医師を目指すということを実感する一方、

実習に対する不安などいろいろなことで頭が一

杯になった。それでも、解剖が始まると献体を

してくださる方たちが学生にどのような期待を

しているのかを考え、また、触感や立体的イ

メージは解剖をすることでしか得られないもの

だろうという意識もあったので、ほかの科目の

実習以上に真剣に取り組めたと思う。

 解剖学実習を通して学んだのは、人体に関す

るたくさんの知識だけでなく、人体というのは

教科書などとは全く違うということだ。特に、

ご遺体それぞれには外面だけでなく、体の各部

で様々な個人差があるということがとても印象

に残っている。それは教科書だけで学べること

ではないと思うし、また外見や性格、生き方だ

けでなく体の内部でも人それぞれ違いがあると

いうことを実感できたことは、今後目標とする

医師像を形成する上でも意義のあることであっ

たと思う。人はそれぞれいろいろなところで異

なっているから、将来医師として働いていくた

めには様々な能力や経験が必要になってくるこ

とに気づかされ、今自分がすべきことや必要な

ことなども考える良い機会となった。

 この解剖学実習で得た様々な経験は必ず自分

の将来に役に立つことだし、またよりよく生か

していくためにこれからも努力を続けていかな

ければならないと思う。貴重な実習をさせてく

ださったご献体の方、ご遺族の方々、本当にあ

りがとうございました。*

 初めて御遺体を目の前にした時、私はその存

在感に圧倒されました。今からこの身体にメス

を入れるのだと思うと、献体して下さった御遺

体の方に申し訳なく思うと同時に、ここで学べ

ることは全て学ばせていただこうと改めて決意

しました。解剖実習をする前までは、教科書や

図譜で得る知識が全てでしたが、ご遺体を解剖

させていただくことで教科書や図譜だけではわ

からないことが本当にたくさんあり、人体の構

造の精密さを実感し、私にとって、日々驚きや

発見の連続でした。血管や神経が立体的にひと

続きになって走っていること、関節をどう動か

せば身体が動くか、筋がどう働くか、臓器の手

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― 71 ―

触りや重さなど、どれもこれも教科書ばかり読

んでいても分からないことです。特に御遺体に

よって臓器の様子が違うのには驚きました。

 また解剖学実習ではチームワークの大切さも

学ばせていただきました。班員と作業を分担す

ることで複雑な人体の構造を少しでも深く理解

することが可能となり、また分からないことが

あれば相談して問題を解決することができまし

た。この実習は将来医療に携わるのに必要不可

欠であり、学んだことはこの先にも役立つこと

ばかりであり貴重な経験をしたのだと実感して

おります。

 そして今まで医師を目指していた私達の気持

ちはよりリアルになったと思います。医師とし

て、誰かの身体を任されるのならば、もっと

もっと勉強しなければならないと強く思います。

実習中は十分に予習復習したつもりでも、御遺

体に向かうたびに自分の勉強の足らなさを実感

しました。解剖実習中に感じたこと、学んだこ

とを決して忘れずに、将来医療の現場で役立て

ていきたいと思います。

 最後になりましたが、実習期間中熱心にご指

導下さった先生方、献体してくださった方、そ

のご遺族、また解剖実習を支えてくださってい

るしらゆき会の皆様に深く感謝いたします。

  第 三十二 班       

草 野 啓 介

森 田 俊 平

藤 田 耕太朗

吉 村 美 歩

  解剖学実習が始まり、初めて献体の方と対面

したときは大きな驚きや恐怖などはなく、ただ

静かな敬意の念がありました。そのとき、献体

をしていただいた方、そのご遺族の方々のため

にも余すところなく学習しようと思いました。

実習を始めてみると、本物の身体と今まで自分

で思っていた身体のイメージとは大きくかけ離

れていることが分かりました。全ての組織に無

意味なものはなく、それぞれ意味を持って存在

しているという、人体の緻密さに感動を覚えま

した。これは、教本や図譜などでいくら学習し

たとしても、感じることのできない感覚で、解

剖がいかに大切かということを感じました。ま

た、身体には無数の組織がありその名前を覚え、

さらには機能を覚えることはとても大変です。

これは一朝一夕などでは覚えられるわけもなく、

長い期間の絶え間ない学習によりやっと身につ

くものです。そのため解剖実習が終わってから

も学び続けることが必要であり、私はこの実習

を一生思い出しながら学習することでしょう。

 解剖に慣れてきたとき、献体の方についてこ

の方はどのような人生を送り、今ここにいるの

だろうと考えました。一人の人間として人生を

全うした後に自分の体を献体として提供する、

医学生への献身的な気持ちを考えると、感謝の

気持ちでいっぱいになりました。この感謝とと

もに献体の方の気持ちをしっかり汲み取り学習

しなければならないと気を引き締めたことを覚

えています。

 最後に、今回解剖実習をさせていただくにあ

たって献体の方、またそのご遺族の方々に深く

感謝します。また、解剖の知識を教えてくだ

さった先生方にも感謝します。この解剖実習と

いう尊い実習で得た経験・知識を生かしていけ

るようこれからも学習を続けていきたいと思い

ます。

 実習前には断片的な知識しか持たなかった私

の頭に、おぼろげながら、今では人体構造とい

う一枚の地図が描かれています。まだまだ未熟

で空白の多い地図ですが、今後詳細な情報を描

き込んで精巧な地図に仕上げていきたいと思い

ます。

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― 72 ―

 私たちの人体は、複雑すぎるくらい様々な構

造を備えていますが、どこに何があり、その部

位がどのような役割を果たしているのかを把握

する解剖学は、医学において最も基本であり、

そして治療において最も役に立つ分野であると、

駆け出し途上の私にさえ、おぼろげながら感じ

られるようになりました。といいますのも、現

在解剖学と並行して学んでいる組織学や生理学

において、解剖学で学んだ内容が軸となり、学

習する上での相乗効果を生んでいるからです。

 百聞は一見に如かずといいますように、実習

により経験したことは他のどんな勉強よりも実

になっています。理解だけでなく実感が湧いて

くる。そのことが医学の他の分野の勉強を私の

頭の中で一つに繋げています。

 また実習を通して、私たちの身体がいかに個

性を持っているかを学びました。顔つきだけで

なく、身体の隅のほんの小さな部位ひとつを

とっても個性があり、教科書通りやマニュアル

通りということはほとんど稀でした。知識だけ

では役に立たない。医師という仕事の難しさを

痛感しました。

 最後になりましたが、実習に協力して下さっ

た御献体の方、ならびにその御遺族の方々に、

御礼を申し上げます。一人の医療人を目指す者

として、この上なく貴重な経験をさせて頂きま

した。有り難うございました。

 また、今年度は震災の影響で例年とは異なる

状況の中、カリキュラムを組んで頂き、丁寧に

ご指導下さった解剖学講座の先生方にも感謝致

します。

 東日本大震災の影響で、例年より一ヶ月遅れ

で始まった解剖実習も残りわずかとなりました。

私は、震災の惨状を目の当たりにする中で、そ

れまでより生や死というものに敏感になってい

るときに解剖実習をむかえました。

 初めて御献体と対面するとき、緊張や不安が

複雑に絡まりあった、自分でも言葉で言い表せ

ない感情を抱いていたことを覚えています。し

かし、献体と対面したとき、その感情は不思議

と消えていました。自分の目の前に横たわって

いるのは一人の人間であり、自分は解剖を行う、

その事実を飲み込むことができたのだと思いま

す。

 解剖実習の初めは苦戦しました。人の体にメ

スを入れるということに抵抗があったり、道具

の正しい使い方、力の加減などが分からなかっ

たためです。しかし、回数を重ねる度に解剖に

慣れることができ、それからは新しい発見と驚

きの連続でした。神経や血管の走行、臓器の形

状をとってみても、自分の教科書などの平面的

な知識だけでは理解し得ない立体的な構造や、

人体であるがために生じる、構造の個人差を学

ぶことができました。このように、人体は個々

に異なるものであるという、当たり前ではある

がとても大切なことを再認識するととともに、

解剖そのものの重要性に気付くことができまし

た。

 実習を行っている際に、御献体にはそれぞれ

の人生が、笑ったり泣いたりして生を歩んでき

た歴史があるんだという思いにかられることが

あります。そのたびに献体してくださったこと

を感謝するとともに、この経験を無駄にはしま

いという思いを強くしています。実習を通して、

授業では得られないたくさんのことを学び、感

じることができました。この経験は将来、自分

自身が医師として働いている際に活かされるだ

ろうし、忘れられないものになりました。最後

になりますが、私たちのために献体してくだ

さった御本人、そして御遺族の方々、本当にあ

りがとうございました。*

 二年生に進級して間もなく、解剖実習が始ま

りました。本格的な医学専門科目が始まること

への期待と不安を胸に臨んだ実習初日、身の引

き締まる思いで初めて御献体と対面した瞬間は

今でも忘れられません。

 私にとって、実習はそのすべてが「学び」で

あり、深く考えさせられることがたくさんあり

ました。学問的知識はもちろん、班員と協力し

て進めることや主体的に学びとる姿勢、そのた

めの予習の大切さなど、実習から得たことは数

多くあります。

 中でも、「人が関わっている」ということは当

たり前のことながら、とても衝撃的な経験でし

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― 73 ―

た。小学校から大学の教養課程まで、学習は書

物や講義中心で、実験も物質や薬品などを使う

のみだったため、初めは人体を扱う解剖実習と

いう場に戸惑いを覚えました。しかし、御献体

と向き合ううちに、ご自身の大切なお体を私た

ちに預けてくださったということに心から感動

し、自らの恵まれた学習環境への感謝の気持ち

もこみ上げてきて、新たな心意気で実習をより

よいものにしようと奮闘することができました。

ただ一つ、やはり自分の知識不足には大変悔い

が残ります。この反省は、必ず今後に活かした

いと思っています。

 医学という学問領域は、その特性ゆえ、人と

関わることなしに成り立つのは困難でしょう。

そのため、これからも私たち医学生は、両親や

先生方などから広く一般市民の方々まで、数え

切れないほどの人の力を借りて勉強していくこ

とになると思われます。その際は、この解剖実

習を思い出し、人への感謝の気持ちを大切にし

て励んでいきたいと思います。そして、将来、

医師としてたくさんの人に少しでもその恩返し

をできたらと思っています。

 今回の実習は、微小ながら、私の医学生とし

ての第一歩になったと確信しています。あらた

めて、携わっていただいたすべての皆様に心よ

り感謝申し上げます。本当にありがとうござい

ました。

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第82号 季刊しらゆき

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平成24年(2012)●月●日( )第82号1 し ら ゆ き

 第 回しらゆき会総会が、平成

38

二十三年九月三十日(金)午前十

一時から医学部会館において会

員、来賓および教職員約九十名の

ご出席をいただき、開催されまし

た。

 総会では、成願された会員(平

成二十二年十月二日~平成二十三

年九月二十三日)の氏名が拝誦さ

れ、全員で黙祷を捧げました。

 木村理事長、山下医学部長の挨

拶に続き、会の報告として献体・

会員の現状・事業報告の報告をし

ました。

 議事に入り、事務局から平成二

十二年度決算・平成二十三年度の

予算等の審議、理事の改選等があ

り、承認されました。

 引き続き、昼食懇談会に入り、

和やかな雰囲気で会員の親睦が深

まる中、閉会となりました。

 文部科学大臣感謝状伝達式並び

に第 回山形大学医学部慰霊祭が

36

平成二十三年九月三十日(金)午

後一時三十分から、医学部体育館

において開催されました。

 山下医学部長から、平成二十三

年度解剖実習において解剖を終了

された本会員三十八名のご遺族に

文部科学大臣感謝状が伝達されま

した。

 引き続いて、山形大学医学部慰

霊祭が行われ、正常解

剖を終了された四十四

柱、正常解剖のため安

置されている百三十

柱、病理解剖を終了さ

れた四十四柱の俗名が

拝読された後、実行委

員長祭詞(医学部長)、

来賓代表祭詞(山形県

知事、山形大学長、山

形大学しらゆき会理事

長)、学生代表慰霊の

詞があり、遺族代表の

挨拶ののち、列席した

ご遺族、本会会員、医

学部教職員および学生

が、厳かな音楽が流れ

るなか、次々と白菊を

祭壇に捧げ、諸霊のご

冥福をお祈りしまし

た。

山形大学しらゆき会第 回総会

38

文部科学大臣感謝状伝達式並びに

第 回山形大学医学部慰霊祭

36

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平成24年(2012)●月●日( )2第82号 し ら ゆ き

文部科学大臣感謝状を伝達された会員(敬称略)

住 所 献 体 者 御 氏 名 会 員 番 号

山 形 市大 森 小 夜1276

山 形 市布  宮  直 太 郎1181

山 形 市中 嶋 一 義1251

南 陽 市山 村 武 雄1309

山 形 市阿 部 五 郎 167

新 庄 市鈴 木 克 巳 704

長 井 市大  竹  シ ズ 子1043

山 形 市相 川 よ し 683

東 根 市髙 橋 富 子1129

米 沢 市江 部 義 雄1298

川 西 町黒 澤 一 三 768

朝 日 町長 岡 貞 雄1401

山 形 市川 崎 良 作 177

大 蔵 村早 坂 廣 445

河 北 町佐 藤 き み 863

山 形 市鈴 木 康 介 219

山 形 市岡 田 常 作 992

鶴 岡 市諏 訪  正 351

長 井 市渡 部 コ ウ1154

米 沢 市清 澤 淑 子1323

酒 田 市鈴 木 重 季 310

山 形 市神  原  み つ 子 195

村 山 市金 子  武 306

山 形 市髙 橋 久 子1245

米 沢 市髙 橋 政 雄1410

山 形 市松 本 す ゑ1172

高 畠 町佐 藤 孝 煕 697

山 形 市滝 本 は ま1315

米 沢 市松 田 幸 二1924

米 沢 市永 井 昌 子 807

南 陽 市竹 田 一 男1333

山 形 市岡 村 む め1539

長 井 市佐  藤  ヒ サ エ 669

山 形 市長 倉  進1087

米 沢 市伊 藤  聖1279

米 沢 市村 川 サ ヨ2017

鶴 岡 市高  橋  ヒ サ 子1356

上 山 市太 田 ト ヨ 388

(38名)

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平成24年(2012)●月●日( )第82号3 し ら ゆ き

山形大学しらゆき会新入会員名簿 (敬称略)

備 考登録年月日住 所氏 名会 員 №

H23. 6. 7献体H23. 2. 2山 形 市太 田 八 郎2208

H24. 6.10献体H23. 2. 5酒 田 市武  川  孝 太 郎2209

H23. 2. 5酒 田 市武  川  美 惠 子2210

H23. 2. 8米 沢 市大 河 原  修  二2211

H23. 2.12米 沢 市星  良 一2212

H24. 7.15献体H23. 2.12米 沢 市安 部 智 子2213

H23. 2.18上 山 市畠 澤 健 介2214

H23. 2.19鶴 岡 市田 村 優 子2215

H23. 3. 3最 上 町対 馬 潤 子2216

H23. 5. 2献体H23. 3. 6山 形 市小 笠 原  ク ニ 子2217

H23. 3.10鶴 岡 市鈴 木 冨 美2218

H23. 3.15酒 田 市吉  田  や す の2219

H23. 3.15米 沢 市安 藤 公 雄2220

H23. 3.20鶴 岡 市富 樫 晋 策2221

H23. 3.24天 童 市工  藤  美 代 子2222

H23. 3.27米 沢 市武 石  誠2223

H23. 3.27南 陽 市田  畝  イ ト 子2224

H23. 3.28白 鷹 町宮 本 と く2225

H23. 4. 4山 形 市東 海 林  啓  五2226

H23. 4. 4山 形 市東 海 林  田 鶴 子2227

H23. 4.12鶴 岡 市渡 部 孝 治2228

H23. 4.12鶴 岡 市柴 谷 恵 子2229

H23. 4.17酒 田 市斎 藤  清2230

H23. 4.17鶴 岡 市酒 井 政 一2231

H23. 4.20鶴 岡 市高 山  博2232

H23. 4.27天 童 市押 野 正 彦2233

H23. 4.27新 庄 市菅      勝 五 郎2234

H23. 5. 4米 沢 市木 戸 三 郎2235

H23. 5. 4米 沢 市木 戸 さ た2236

H23. 5.10村 山 市板 垣 定 郎2237

H23. 5.14米 沢 市近  喜 久2238

平成23年2月1日から

平成24年1月31日まで

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平成24年(2012)●月●日( )4第82号 し ら ゆ き

備 考登録年月日住 所氏 名会 員 №

H23. 5.16新 庄 市佐 藤  靖2239

H23. 5.23山 形 市高 橋 ユ キ2240

H23. 6. 2寒 河 江 市白 田  勤2241

H23. 6. 2山 形 市豊 田  勇2242

H23. 6. 3新 庄 市阿  部  ル ミ 子2243

H23. 6.30鶴 岡 市成 田 金 江2244

H23. 7. 4山 形 市近 野  孝2245

H23. 7.22上 山 市矢 口 四 朗2246

H23. 8. 2鶴 岡 市菅 原  学2247

H23. 8. 2長 井 市鈴  木  は つ ゑ2248

H23. 8. 2山 形 市井 上 卓 也2249

H23. 8. 9山 形 市石 井 明 美2250

H23. 8.16米 沢 市仁 科  茂2251

H23. 8.31大 蔵 村早 坂 強 哉2252

H23. 9. 6米 沢 市髙 木 裕 義2253

H23. 9. 8寒 河 江 市青 木 政 平2254

H23. 9.14酒 田 市守  屋  久 美 子2255

H23. 9.16南 陽 市塩 野 目      清2256

H23. 9.21米 沢 市梅 津 一 榮2257

H23. 9.29山 形 市三 瓶 貞 子2258

H24. 4. 8H23. 9.29遊 佐 町齋 藤 康 成2259

H23. 9.30鶴 岡 市髙 橋 定 江2260

H23.10. 1米 沢 市星  悦 子2261

H23.10. 6米 沢 市諸 橋 せ い2262

H23.10. 7東 根 市菊 地 勝 美2263

H23.10.21山 形 市伊  藤  紀 代 子2264

H23.10.25米 沢 市宍 戸 イ ヨ2265

H23.11.10山 形 市浮 島  静2266

H23.11.23米 沢 市村  川  ミ ヨ ノ2267

H23.11.23米 沢 市村 川 夫 市2268

H23.12.13酒 田 市藤 野 澄 子2269

H23.12.13鶴 岡 市佐 々 木  紀 美 子2270

H24. 1.25山 形 市白 岩 育 蔵2271

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平成24年(2012)●月●日( )第82号5 し ら ゆ き

成 願 会 員 ご 芳 名 (敬称略)

享 年成願年月日住 所成 願 者 名会 員 番 号

89H23. 2. 3酒 田 市伊  藤  保 治 郎1072

82H23. 2.15米 沢 市原 田  實2196

74H23. 2.20米 沢 市細 見  實1456

94H23. 3. 5山 形 市佐 藤 大 吉2110

85H23. 3. 6酒 田 市阿  蘓  今 朝 代1524

70H23. 3.16上 山 市鈴 木  實1661

82H23. 3.23酒 田 市木 幡  巖1760

85H23. 3.27山 形 市齋 藤 チ ヱ1518

75H23. 4. 2新 庄 市堀 米  昇2160

79H23. 4. 4山 形 市長 岡 信 子1986

75H23. 4. 4米 沢 市大 坂  博1815

80H23. 5. 2山 形 市小 笠 原  ク ニ 子2217

99H23. 6. 1川 西 町遠 藤 ノ ヱ1045

90H23. 6. 3山 形 市小 林 初 女 977

85H23. 6. 5山 形 市渡 邉 キ ミ2198

87H23. 6. 7山 形 市太 田 八 郎2208

87H23. 6.13米 沢 市齋 藤 久 男1739

92H23. 6.14米 沢 市足 立 シ ン 751

85H23. 6.14南 陽 市神 野 子2154

73H23. 6.29三 川 町佐 藤  繁1643

79H23. 7. 8山 形 市土 田 清 二1816

77H23. 8. 4酒 田 市堀  大 常 662

94H23. 8. 6真室川町栗  田  キ ク エ1544

93H23. 8. 8長 井 市伊 藤 さ く2131

平成23年2月1日から

平成24年1月31日まで

成願会員各位のご冥福をお祈りするとともにご遺族の方々に深く感謝と敬意を捧げます。

※成願年月日は献体日です。

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平成24年(2012)●月●日( )6第82号 し ら ゆ き

享 年成願年月日住 所成 願 者 名会 員 番 号

59H23. 9. 9長 井 市小 関 良 子2161

81H23. 9. 9上 山 市服 部 順 一2164

93H23. 9.17庄 内 町和  田  松 兵 衛 513

87H23. 9.16山 形 市大 場  直1090

84H23. 9.18山 形 市塚 田 京 子1620

86H23. 9.29長 井 市飯 澤 リ ノ1847

87H23.10. 3酒 田 市本 多 亀 雄1306

92H23.10.30河 北 町逸 見 光 雄1942

81H23.11. 2南 陽 市長 谷 部  ち ゑ 子 710

94H23.11.10山 形 市飯 塚 の 597

91H23.11.24米 沢 市加 藤 淑 子1546

67H23.12. 6米 沢 市林  優 子1913

72H23.12.22米 沢 市遠 藤 幸 代 114

91H24. 1. 3村 山 市松 田 春 洋 707

52H24. 1.16鶴 岡 市浅 原 悦 郎2069

98H24. 1.17白 鷹 町青 木 て い 603

90H24. 1.17酒 田 市三  浦  徳 三 郎 954

67H24. 1.17鶴 岡 市五 十 嵐  久  六1978

61H24. 1.28山 形 市鈴 木 吉 昭2116

97H24. 1.30山 形 市斎 藤 ま さ2016

91H24. 1.31米 沢 市荒 澤 せ い 892

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平成24年(2012)●月●日( )第82号7 し ら ゆ き

(平成24年1月31日現在)

献 体 者 数入 会 者 数年 度献 体 者 数入 会 者 数年 度23835--4833596138492858747850407386835123809956523367101355534085111551543554121757553061131345564467141452573963152444584659162563593956172048603177182154612966192251624272202030634392212627元4891222842237462316393

24484

山形大学しらゆき会入会者数・献体者数(累計)

年 度 別 調 べ

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平成24年(2012)●月●日( )8第82号 し ら ゆ き

山形大学しらゆき会寄付者御氏名(敬称略)

金 額御 氏 名金 額御 氏 名

10,000県 立 新 庄 病 院 長3,000齋  藤  セ ツ 子

10,000山形市立病院済生館館長3,000蜂  屋  美 枝 子

10,000米 沢 市 立 病 院 長10,000外 山 正 條 ・ 榮  子

10,000白 鷹 町 立 病 院10,000中  嶋  ア キ ノ

10,000町 立 真 室 川 病 院10,000堀  米  美 喜 子

10,000公 立 高 畠 病 院20,000寒 河 江  義  子

10,000山 形 済 生 病 院 長10,000筒 井 ユ リ

10,000マ ル シ ン 葬 祭 社5,000若 居 時 子

10,000原  保 子35,000村 形 光 子

5,000斉 藤 義 郎10,000山形県老人福祉施設協会会長

5,000林  富 子5,000朝 日 町 長

2,000八 柳 昌 子10,000小 国 町 長

10,000伊  藤  カ ネ ミ10,000最 上 町 長

5,000鈴 木 啓 佐10,000高 畠 町 長

10,000篠 田 看 護 専 門 学 校

計 278,000 円

平成23年2月1日から

平成24年1月31日まで

ご芳志誠にありがとうございました。

円 円

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平成24年(2012)●月●日( )第82号9 し ら ゆ き

献体の手続きとそれに関係する事項

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 ご遺体のお預りには、大学から依頼された葬儀社の霊柩車にてお迎えに参上いたしま

す。ご遺体のお預り業務は、原則として午前8時30分から午後5時までの時間帯でお願

いしております。(夜間の引き渡しは、特段の事情がない限りご遠慮くださいますよう

お願いいたします。)

 また、大学までのお見送りは担当の者が責任をもって行いますので、ご遺族の方々の

大学までのお見送りは必要ございません。ご遺族の方々は自宅等でお別れください。

 ご遺体お預りまでのことで、その他のご希望があればお申し出ください。

◆ご遺体のお預り

◆大学への連絡

 平成8年1月1日から、“山形大学しらゆき会”会員のご遺体に限りお預りすることと

なりましたので、献体を希望される方は事前に献体登録を済まされるようお願いいたし

ます。なお、献体登録の受付は山形県内にお住まいの方のみとさせていただいております。

 会員の方が亡くなられた場合、ご遺族、施設、病院など関係される方々は文末にある

連絡先に会員番号、氏名、死亡年月日等をご連絡ください。

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平成24年(2012)●月●日( )10第82号 し ら ゆ き

◆棺・納棺用品の費用

 葬儀の費用は、大学からはでません。

 お預かりの際、棺・納棺用品一式については大学側で用意して参ります。

 棺は献体専用に作られたものですので、できる限りその棺をご使用くださるようお願

いいたします。これらの費用は大学側で負担します。

 もしご遺族側でこれらの品を既に用意されている場合には、取り敢えずその費用を支

払われることなく、請求書等をお預りに参上した係員にお渡しください。棺・納棺用品

一式については大学側で定めた基準により一部負担をさせていただき、残額については

ご遺族側の負担となります。

◆葬儀について

 お預りに伺うまでの間に、通夜あるいは告別式を行うことができます。ただし、ご遺

体は、死後すぐに腐敗が始まりますので、なるべく早くお預りし、防腐処理をする必要

があります。(36時間以内の防腐処理が必要と考えます)。

 最近では、ご遺髪・遺爪で葬儀される方も多くおられます。お申し出により、お預り

の際に、ご遺髪・遺爪をご遺骨箱に納めてお渡しいたします。

◆書  類

 献体に必要な書類は、担当の係員がお預りの際に持参いたします。その主なものは

「解剖承諾書」です。ご遺族の代表者の署名・押印をお願いすることになります。ご遺

族の側で印鑑の他にご用意願う書類は、

 ①死 亡 診 断 書:これは医師の発行するものです。コピーでも結構です。

 ②埋火葬許可証:市町村役場に死亡届をされると発行されるものです。なお死亡の際、

火葬場は「山形市斎場」、火葬日時は「山形大学に献体のため未定」と

申し出られますと役場でそのように受理されます。

 なお不明な点、お困りの事がありましたら、お預りの際にご相談ください。諸手続な

どについては出来るだけお手伝いさせていただきます。

◆ご遺体お預りの期間

 医学部にお預り後、防腐処理・解剖・火葬などを終了してご遺骨としてお返しするま

での期間については、献体の際に十分ご理解をいただきたいと思います。

 ご遺体は主として学生の解剖学実習に役立たせていただきます。従いましてご遺骨を

お返しできるまでには3年以上かかります。

 解剖学実習の特殊性を十分にご理解いただければ幸いです。

◆ご遺骨の返還

 解剖の終わったご遺体は、解剖学実習終了の日に、担当教授の指導の下に、ご遺体ご

とにお世話になった学生が丁重に納棺させていただきます。その後、山形大学医学部が

責任を持って荼毘に付し、ご遺骨を返還させていただきます。

 ご遺骨の返還方法については、あらかじめ郵便によりご遺族又は関係者の方にご照会

し、郵送、或いは医学部にお出でいただくなど、ご希望に従い取り計らいます。

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平成24年(2012)●月●日( )第82号11 し ら ゆ き

 山形大学医学部構内に医学に貢献された方々の為の慰霊碑及び合同墓所があります。

埋葬を希望される方はお申し出ください。(少なくとも10年間は霊安室に安置したのち、

医学部内の墓所に合葬されます。)

山形大学しらゆき会は、天寿を全うしたのち、山形大学医学部

等にご遺体を提供し、医学の発展に寄与する篤志団体です。

人間愛の精神に立ち、自ら献体によって医学教育に参加しま

しょう。

山 形 大 学 し ら ゆ き 会 連 絡 先

住所 (〒990-9585)山形市飯田西二丁目2-2

            山形大学医学部学務課内

              山形大学しらゆき会事務局

電話 ① 平日(8:30~17:00) 023(628)5056(学務課)

   ② 時間外、土日、祝日   023(628)5130(警務員室)

◆文部科学大臣の感謝状

 しらゆき会員が献体し、解剖が終了しますと、文部科学大臣より感謝状がご遺族に贈

られます。感謝状の授与式は、慰霊祭(例年9月最終金曜日、平成24年は、9月28日

(金))当日に執り行われます。

◆慰 霊 祭

 山形大学医学部では、解剖学及び病理解剖学にご遺体を提供され、医学の発展の礎と

なられた故人の徳を讃え、その霊をお慰めするため、ご遺族・関係者の方々をお招きし、

医学部教職員・学生の参列の下に、年1回合同慰霊祭を執り行います。

◆解剖学施設

 山形大学医学部においてはご遺体の処理、保管の為の施設・設備は最高度に整備充実

されています。一切の業務は解剖学担当教授の監督の下に、教職員により科学的に進め

られ、また故人の尊厳を損うことのないよう、いささかの粗略、失礼のないことを一同

心がけております。

 以上の事柄についての質問、問い合わせはいつでも文末にある連絡先にご連絡ください。

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平成24年(2012)●月●日( )12第82号 し ら ゆ き

山 形 大 学 し ら ゆ き 会 規 約(名 称)第1条 本会は、山形大学しらゆき会(以下「本会」という。)と称する。(事務所)第2条 本会は、事務所を山形大学医学部内に置く。(目 的)第3条 本会は、医学の発展に寄与するため、遺体を山形大学等の医学部に寄贈することを目的とする。(事 業)第4条 本会は、前条の目的を達成するために、次の事業を行う。 茨 会員の親交を深めること。 芋 本会の目的を達成するため必要なこと。(守秘義務)第5条 寄贈した遺体に関する一切の事項については、秘密を厳守する。(会 員)第6条 本会の目的及び事業に賛同し、自ら遺体を寄贈する目的をもって入会を申し出たものを会員とする。 ただし、家族又は、これと同等の者の同意を要する。2 会員は、本人の希望によって脱会することができる。(役 員)第7条 本会に、次の役員を置く。 茨 理事長   1名 芋 理 事  若干名 鰯 監 事   2名2 理事は、理事会に出席して本会の重要事項に参画する。3 理事長の選出は、理事の互選により、理事及び監事の選出は、会員の互選による。4 理事長は、本会を代表し、会務を統轄する。5 理事は、理事長を補佐し、理事長に事故あるときは、その職務を代行する。6 監事は、会計状況を監査する。(任 期)第8条 役員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。(顧 問)第9条 本会に、顧問若干名を、理事会の推薦により置くことができる。 その任期は1年とする。ただし、再任を妨げない。(職 員)第10条 本会に次の職員を置く。 茨 幹 事 芋 書 記 若干名2 幹事及び書記は、理事長の指示を受けて、庶務及び会計を処理する。(総 会)第11条 総会は、年1回とし、理事長がこれを招集する。2 総会は、次の事項を協議する。 茨 会の運営並びに事業計画 芋 会計報告 鰯 理事及び監事の改選 允 その他の運営事項(会 計)第12条 本会の会計年度は、4月1日から翌年3月31日までとする。第13条 本会の会計は、寄附金、その他の収入をもってこれに充てる。2 経理については、別に定める。(規約の改廃)第14条 この規約を改廃しようとするときは、総会において、出席者の3分の2以上の同意を得ることを必要とする。   附 則 この規約は、昭和49年6月1日から施行する。   附 則 この規約は、昭和54年4月2日から施行する。

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山形大学しらゆき会原稿用紙

(切りとり線)

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山形大学しらゆき会原稿用紙

(切りとり線)

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平成24年(2012)●月●日( )第82号17 し ら ゆ き

事事事事事事事事事事事事事事務務務務務務務務務務務務務務局局局局局局局局局局局局局局かかかかかかかかかかかかかかららららららららららららららののののののののののののののおおおおおおおおおおおおおお願願願願願願願願願願願願願願

事務局からのお願いいいいいいいいいいいいいいい  

◎住

く◎

 事務局から、毎年、総会のお知らせや会誌などの郵便物をお送り

いたしておりますが、そのまま、返送されてくる方が何人かおられ

ます。

 住所、氏名、電話番号等変更された方、左記事務局までおハガキ、

お電話等でご連絡いただきますようお願い申し上げます。

山山山山山山山山山山山山山山大大大大大大大大大大大大大大ししししししししししししししららららららららららららららゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆきききききききききききききき原原原原原原原原原原原原原原稿稿稿稿稿稿稿稿稿稿稿稿稿稿募募募募募募募募募募募募募募集集集集集集集集集集集集集集ののののののののののののののごごごごごごごごごごごごごご案案案案案案案案案案案案案案

山大しらゆき原稿募集のご案内内内内内内内内内内内内内内内

内  容 会員の皆さまのご意見、近況、総会のご意見、ご感想、

     しらゆき会や献体に対する質問等。

     また詩、俳句、短歌、川柳など。

     題や形式は自由です。

用  紙 原稿用紙、便箋、はがき等

原稿締切 平成二十四年十二月末日まで随時受け付け

発行予定 毎年三月末

先 〒九九〇―九五八五 山形市飯田西二丁目二番二号

     山形大学医学部学務課内

     山形大学しらゆき会

そ の 他 しらゆき会の趣旨にふさわしくない投稿は掲載できない

場合もございます。原稿はお返しいたしませんので、必

要な方は写しをとっておいて下さい。文字は、なるべく

楷書でお願いいたします。原稿は加筆等することがござ

います。

山形大学しらゆき会事務局 

〒九九〇―九五八五

     山形市飯田西二丁目二番二号

     山形大学医学部学務課内

電 話  〇二三―六二八―五〇五六

内 線  五〇五六(学生総務)

(平日の午前八時三十分~午後五時まで)

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平成24年(2012)●月●日( )18第82号 し ら ゆ き

平成二十三年

◎四月二十日

 しらゆき会会計監査実施

◎四月二十六日

 山形大学しらゆき会理事会開催

◎六月二十二日

 第 回山形県老人ホーム輪投げ

38大会に優勝杯を贈呈

◎九月二十四日

山形大学しらゆき会第 回総会

38

を開催、会員約九十名が出席。

総会終了後、第 回山形大学医

36

学部慰霊祭に参列

◎十月二十九日

 第 回献体実務担当者研修会

29(日本歯科大学で開催)に出席

◎十二月

 年賀状を会員・関係機関に送付

碓 

事 

 季刊「しらゆき」をお届けいたします。今回は、第三十八回生の解剖実習感想文と

しらゆき会の平成二十三年度活動報告を合わせた八十一、八十二合併号になります。

東日本大震災の後遺症などで発行が遅れてしまい、このような形になりました。この

場をお借りしてお詫び申し上げます。

 二〇一一、二年は世界各地で台風による洪水や火山大噴火などの大災害が起こりま

した。国内でも震災や原発事故、大型台風や豪雪などで多くの方々が被災されました。

しかし、悲しい出来事ばかりではなく、小笠原諸島と平泉が世界遺産に登録されたこ

とや女子サッカーワールドカップでなでしこジャパンが初優勝したことなど嬉しい出

来事もありました。いろいろなことがありすぎてあっという間でしたが、こうした出

来事によって人と人との絆が深まった一年だったと感じています。

 私どもの方では、震災により授業の開始が一ヶ月遅れその分夏休みが短縮されたこ

とや昨年度から担当時間数が増えたことなど、教職員、学生とも戸惑うことが数多く

ありましたが、何とか無事に平成二十三年度の解剖実習を終えることが出来ました。

また、震災のため中断していた実習室の空調工事も秋には完了し、懸案だった処置室

の空調工事、学生更衣室とトイレの改修工事も本年三月までに終了し、新たな気持ち

で二十四年度を迎えることが出来ました。これも一重に皆様方の温かい御支援の賜物

だったと感謝しているところです。

 解剖実習終了後すぐに夏休みに入るため、原稿の締め切りは納棺儀礼(実習最終日)

の二週間前に設定しております。したがって、これらの感想文には実習も終盤に差し

掛かった頃に抱いた学生達の思いや考えが綴られています。学生にはこの時記した気

持ちを将来何度も思い返してくれるよう期待しています。会員の皆様には、今後の彼

らの行方を温かく、時に厳しく見守って下さりますようお願い致します。

 この季刊誌が皆様のお手元に届く頃は、本格的な夏を迎えていることと思います。

会員の皆様のますますのご健勝をお祈り申し上げます。

内藤 輝 

旺 欧横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横

王 翁横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横横

王 翁

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