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Tali™ イメージベースサイトメーターを用いたウイルスベクター力価計測岩手大学 工学部応用化学・生命工学科 富田研究室菅野 江里子
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Tali™ イメージベースサイトメーター
Abstract遺伝子導入の方法として様々な手法が開発されている。エレクトロポレーション法やマイクロインジェクション法、ナノ粒子を用いた遺伝子導入法、ウイルスベクターを用いた方法などがある。我々は主にウイルスベクターを使用しているが、その精製法は煩雑であり得られるウイルスの精製度及び、ウイルス力価を毎回チェックする必要がある。正確な力価測定はその後の実験系に大きな影響を及ぼすことから、研究を進めるうえでの一つのボトルネックとなり得る。したがって、簡易的、且つ、正確に測定できるシステムは生物学研究において非常に強力なツー
ルとなる。今回、ウイルス力価測定において、Life Tecnologies 社の Tali™ イメージベースサイトメーターを用い、これまで我々が用いてきた ELISA 法と比較検討を行った。その結果、非常に迅速かつ簡便にウイルス力価の測定を行うことができ、しかも、擬陽性カウントを排除したより正確な測定を行うことができた。
U2OS CHO-S293MSRJKT HEKn
20
0
40
60
80
100
120Tali™ Image-Based Cytometer
Flow cytometer
% V
iabl
e ce
lls
Introductionウイルスベクターは簡便に細胞に対して遺伝子導入を行うことができる強力なツールである。特にアデノ随伴ウイルス(Adeno-associated virus, AAV)は様々な分裂、非分裂細胞に遺伝子導入を行う事ができ、長期間遺伝子発現をもたらすと共に免疫学的反応を惹起しない。この事から AAV を用いて FIX(血友病)、パーキンソン病、CFTR(嚢胞性線維症)、Canavan 病等に対し、臨床試験が行われている。ウイルスベクター作製においてはその精製 STEPが煩雑であり、得られたウイルスのウイルス力価を計測する必要がある。我々はこれまでウイルス由来の 3 つのcapsidタンパク質を標的とした ELISA法を用いてきた。この方法は、操作が簡便である一方で、測定コストが比較的高いこと、また何よりも、被導入遺伝子を持たない空のウイルス粒子も検出してしまうために、感染価を持つウイルス力価(virus particle)を正確に測定することは困難であった。一方で、正確な virus particle を測定するためには、ウイルスベクターに感染させた細胞を顕微鏡下で写真撮影し、細胞数をカウントすることが必要であった。しかしながらこの方法は、計測に非常に時間がかかり、常時ウイルスベクターを作成している我々にとっては非現実的な方法であった。以上の理由から、低コストで簡便、迅速、かつ正確性の高い計測を行うべく、Tali™ イメージベースサイトメーターを用いてウイルスベクターの力価測定を行うことにした。
Materials and Methods今回力価測定を行うウイルスは mCherry 遺伝子を持つ、血 清 2 型 ア デ ノ 随 伴 ウ イ ル ス ベ ク タ ー(AAV2-pmCherry)である。HT1080 細胞を培養ウェルプレート(12 wells)に 1×107cells/well の濃度に撒き、37℃で一晩培養した。培地は10% FBS(Lifetechnologies)、1% Antibiotic-Antimycotic(Lifetechnologies)を含むD-MEM 培地(Lifetechnologies)を用いた。その後ウイルス力価測定用の段階希釈ウイルス液(20 倍、50 倍、100 倍)、および、コントロール用の等量培地を、培養液500μlに添加し感染させた。ウイルス液添加後5日目、培養中のウイルス感染 HT1080 細胞を顕微鏡にて観察し、蛍光発現を確認後(図 1)、トリプシン(Lifetechnologies)を用いて細胞を浮遊化し、遠心して上清をのぞいた後にPBS で 1 回洗浄し、再度 PBS に懸濁し力価測定用のサンプルを作成した。培養中の細胞観察については、蛍光顕微鏡 AxioImager A1(Carl Zeiss)を用いて行った。作成したサンプルを Tali 専用スライド(Tali™ Cellular Anlysis slide)に 25μl 添加後、Tali™ イメージベースサイトメーターにて蛍光発現細胞の計測を行った。蛍光強度の閾値は非感染の HT1080 細胞の自家蛍光を測定することで設定した。画像処理は ImageJソフトを用いて、疑似カラー化、画像の統合を行い、Excel を用いて陽性細胞、陰性細胞のラベルを行った。
Results and DiscussionsTali™ イメージベースサイトメーターで感染効率の測定を行った。得られた蛍光強度ヒストグラムより蛍光強度の閾値設定を行い(図 2)、蛍光発現の陽性 / 陰性の判定を行ったところ、表 1 に示すように、12%、17%、36%の感染効率が測定された(表 1. 測定例 : 図 3、 図 4)。これより、作製したウイルスは 2 × 108 viral particles / mlと求められた。
SummaryTali™ イメージベースサイトメーターを用いてウイルスベクターの力価測定を行うことにより、これまで用いていた ELISA 法と比べ、簡便かつ迅速に、少量サンプルで計測することができた。さらに、感染後の効率を計測することで擬陽性ウイルス粒子のカウントを除くことができたと考えられる。
図 1. ウイルス液添加 5 日後の HT1080 細胞における pmCherry発現の様子
(a): 20倍希釈、(b): 50倍希釈、(c): 100倍希釈 Bar=40μm
図 2. Tali イメージベースサイトメータで得られた蛍光ヒストグラムの一例
(a): コントロール細胞、(b): AAV2-pmCherry ウイルス液(50 倍希釈:10 μl / 500 μl medium)を添加し感染させた細胞。図中の青線は設定した蛍光強度の閾値を示す。
図 4. AAV2-pmCherry ウイルス液(50 倍希釈:10 μl / 500 μl medium) を添加し感染させた細胞を用いて Tali™ イメージベースサイトメーターで取得された画像と計測結果
(a): 明視野観察画像、(b): 赤色蛍光観察画像、(c): 明視野 - 赤色蛍光の統合画像、(d): 陽性細胞、陰性細胞の判定、○: 陰性細胞、○:陽性細胞、○:細胞サイズ指定機能を用いて判定外とした細胞。陽性細胞にはさらに矢印(
▲
)でラベルした。
図 3. コントロール ( 非感染細胞 ) を用いて Tali™ イメージベースサイトメーターで取得された画像と計測結果
(a): 明視野観察画像、(b): 赤色蛍光観察画像、(c): 明視野 - 赤色蛍光の統合画像、(d): 陽性細胞、陰性細胞の判定、○: 陰性細胞、○:陽性細胞、○: 細胞サイズ指定機能を用いて判定外とした細胞。
表 1. Tali™ イメージベースサイトメーターで出力された蛍光細胞の計測結果Red positive
コントロール100倍希釈50倍希釈20倍希釈
concentration (cells/ml)0
2.43 X 105
2.87 X 105
8.62 X 105
% cells(-)100%88%83%64%
cell counts2994373929293197
concentration (cells/ml)1.43 X 106
1.78 X 106
1.40 X 106
1.52 X 106
% cells(+)0%
12%17%36%
cell counts0
509602
1808
Red Negative
取扱店
〒108-0023 東京都港区芝浦 4-2-8TEL.03(6832)9300 FAX. 03(6832)9580
本社: 〒564-0052 大阪府吹田市広芝町 10-28TEL.06(6389)1201 FAX. 06(6389)1206
大阪:
ライフテクノロジーズジャパン株式会社
www.lifetechnologies.com
研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続き上での使用は出来ません。記載の社名および製品名は、弊社または各社の商標または登録商標です。The trademarks mentioned herein are the property of Life Technologies Corporation or their respective owners. © 2012, Life Technologies Japan Ltd. All rights reserved. Printed in Japan. MP036-B1205OB
サイズ:11 1/2”(W) × 11 1/2”(H)× 17 1/2”(D) ベンチトップ型重量:8.8kg 測定時間:10-75秒測定範囲:1x105-1x107 cells/ml
測定可能細胞サイズ:5-60μm
サンプル量:25μL
光学系:3チャンネル:明視野、緑蛍光、赤蛍光励起波長:グリーンチャンネル LED 458± 20nm
レッドチャンネル LED 530± 20nm
蛍光フィルター:グリーン 466/40EX,495LPDi,525/50EM
レッド 543/22EX,580LP Di,585LP EM
CCD:1.3M pixels デジタル倍率 x4 x16 対物レンズ x4
出力データ:csvファイル、BMPファイル、PDFレポートフォーマットデータ転送:USBドライブにデータ転送可能専用チャンバースライド:110mm(w) × 24mm(d) × 1.9mm(h)
Depth100μm PMMA製分析の種類:細胞の生存率、アポトーシス、GFP発現の評価
Tali™ イメージベース サイトメーター 仕様
製品情報
Tali™ イメージベース サイトメーター(include Beads, 50 slides)
Tali™ Cellular Analysis Slides *50 slides*
Tali™ Cellular Analysis Slides *500 slides*
Tali™ Apoptosis Kit - Annexin V Alexa Fluor 488 and Propidum Iodide
Tali™ Viability Kit - Dead Cell Green
Tali™ Viability Kit - Dead Cell Red
Tali™ Calibration Beads
1 unit
50 slides
500 slides
100 assays
100 assays
100 assays
100μl
¥1,480,000
¥20,000
¥170,000
¥32,000
¥7,000
¥7,000
¥5,600
製品名 サイズ 価格製品番号T10796
T10794
T10795
A10788
A10787
A10786
T10790
* 記載の価格は 2012 年 5月現在の価格です。消費税は含まれておりません。価格は予告なしに変更する場合がありますので、予めご了承ください。