15
1. はじめに 鋼管を主体とする送電鉄塔のうち、主柱材にコンクリ ート充填鋼管を用いたものをMC鉄塔と呼ぶ。その架構 の一例を図-1に示す。MC鉄塔は昭和30年に枚方向日町 線で初めて採用され、その後、送電の大容量化に伴う大 型化が進むとともに建設数もかなりの数に上っている。 現在供用中の送電鉄塔は建設後およそ40年が経過してい て腐食による異常が観察されるようになり、継続使用上 の問題が発生している。腐食の進行は雨水などの腐食因 子の蓄積によるもので、中空鋼管の斜材や水平材に内面 腐食が認められる一方で、コンクリートを充填した主柱 材は健全な状態を保持している。したがって、腐食が進 行した斜材を含む腹材の取替が必要となるが、今後の維 持・管理が容易な腹材構造の開発が緊急の課題となって いる。 この試験研究で対象としたのは、図-1において水平材 が設置されていないベンド上部の構面(パネル)である。 これまでの架構形式(従来構造形式)は、図-2(a) に示 すように一方の斜材が貫通している形式であり、腹材の 取替が容易ではない。そこで、鉄塔の高耐久化の一環と して維持・管理を容易にするために、図-2(b) に示すよう に、斜材の交点に接合金物(交点プレート)を設置し、 4本の斜材で構成するパネル構造(新構造形式)が考案 された。ただし、この構造形式では、従来構造に比べて 斜材の座屈長さが増大することによる水平耐力の低下が 懸念される。 以上の考察を踏まえて、開発課題として以下の事項が 検討されることとなった。 ベンド: 鉄塔の屈曲点 構面(パネル)-2に示す。 実験、解析で検討 対象の部分架構 (ベンド上) ベンド: 鉄塔の屈曲点 構面(パネル)-2に示す。 実験、解析で検討 対象の部分架構 (ベンド上) 交点プレート 貫通型接合部 交点プレート 貫通型接合部 (a) 従来構造形式 (b) 新構造形式 図-1 MC鉄塔の全体骨組図 図-2 MC鉄塔の構面(パネル)の側面図 試験・研究 22 *1 ADACHI, Masato :(一財)日本建築総合試験所 試験研究センター 構造部 構造試験室 上級専門役 博士(工学) *2 INE, Tatsuhiko :(一財)日本建築総合試験所 試験研究センター 構造部 主席専門役 工学博士 *3 TAGAWA, Hiroyuki :(一財)日本建築総合試験所 試験研究センター 構造部 構造試験室 主査 Ph.D. *4 YAMADA, Yasuhiro :関西電力株式会社 電力システム技術センター 架空送電グループ 課長 *5 NAGAO, Kenji :関西電力株式会社 電力システム技術センター 架空送電グループ 副長 *6 MINE, Nobuhiro :関西電力株式会社 電力システム技術センター 架空送電グループ *7 TAKEUCHI, Nobuo :株式会社酒井鉄工所 鉄塔事業本部 設計部 設計部長 *8 UCHIKAWA, Kei :株式会社酒井鉄工所 鉄塔事業本部 設計部 部長 工学博士 足立 将人 * 1 、井根 達比古 * 2 、田川 浩之 * 3 、山田 容丈 * 4 、長尾 研治 * 5 、峯 宣廣 * 6 、竹内 信雄 * 7 、内川 啓 * 8 Development of Highly Durable Structural System of MC Transmission Tower MC鉄塔の高耐久化構造の開発

MC鉄塔の高耐久化構造の開発1. はじめに 鋼管を主体とする送電鉄塔のうち、主柱材にコンクリ ート充填鋼管を用いたものをMC鉄塔と呼ぶ。その架構

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Page 1: MC鉄塔の高耐久化構造の開発1. はじめに 鋼管を主体とする送電鉄塔のうち、主柱材にコンクリ ート充填鋼管を用いたものをMC鉄塔と呼ぶ。その架構

1. はじめに鋼管を主体とする送電鉄塔のうち、主柱材にコンクリ

ート充填鋼管を用いたものをMC鉄塔と呼ぶ。その架構の一例を図-1に示す。MC鉄塔は昭和30年に枚方向日町線で初めて採用され、その後、送電の大容量化に伴う大型化が進むとともに建設数もかなりの数に上っている。現在供用中の送電鉄塔は建設後およそ40年が経過していて腐食による異常が観察されるようになり、継続使用上の問題が発生している。腐食の進行は雨水などの腐食因子の蓄積によるもので、中空鋼管の斜材や水平材に内面腐食が認められる一方で、コンクリートを充填した主柱材は健全な状態を保持している。したがって、腐食が進行した斜材を含む腹材の取替が必要となるが、今後の維持・管理が容易な腹材構造の開発が緊急の課題となっている。

この試験研究で対象としたのは、図-1において水平材が設置されていないベンド上部の構面(パネル)である。これまでの架構形式(従来構造形式)は、図-2(a)に示すように一方の斜材が貫通している形式であり、腹材の取替が容易ではない。そこで、鉄塔の高耐久化の一環として維持・管理を容易にするために、図-2(b)に示すように、斜材の交点に接合金物(交点プレート)を設置し、4本の斜材で構成するパネル構造(新構造形式)が考案された。ただし、この構造形式では、従来構造に比べて

斜材の座屈長さが増大することによる水平耐力の低下が懸念される。

以上の考察を踏まえて、開発課題として以下の事項が検討されることとなった。

ベンド: 鉄塔の屈曲点

構面(パネル)を図-2に示す。

実験、解析で検討対象の部分架構

(ベンド上)

ベンド: 鉄塔の屈曲点

構面(パネル)を図-2に示す。

実験、解析で検討対象の部分架構

(ベンド上)

交点プレート貫通型接合部 交点プレート貫通型接合部

(a) 従来構造形式 (b) 新構造形式

図-1 MC鉄塔の全体骨組図

図-2 MC鉄塔の構面(パネル)の側面図

試験・研究

22

*1 ADACHI, Masato :(一財)日本建築総合試験所 試験研究センター 構造部 構造試験室 上級専門役 博士(工学)*2 INE, Tatsuhiko :(一財)日本建築総合試験所 試験研究センター 構造部 主席専門役 工学博士*3 TAGAWA, Hiroyuki :(一財)日本建築総合試験所 試験研究センター 構造部 構造試験室 主査 Ph.D.*4 YAMADA, Yasuhiro :関西電力株式会社 電力システム技術センター 架空送電グループ 課長*5 NAGAO, Kenji :関西電力株式会社 電力システム技術センター 架空送電グループ 副長*6 MINE, Nobuhiro :関西電力株式会社 電力システム技術センター 架空送電グループ*7 TAKEUCHI, Nobuo :株式会社酒井鉄工所 鉄塔事業本部 設計部 設計部長*8 UCHIKAWA, Kei :株式会社酒井鉄工所 鉄塔事業本部 設計部 部長 工学博士

足立 将人*1、井根 達比古*2、田川 浩之*3、山田 容丈*4、長尾 研治*5、峯 宣廣*6、竹内 信雄*7、内川 啓*8

Development of Highly Durable Structural System of MC Transmission Tower

MC鉄塔の高耐久化構造の開発

Page 2: MC鉄塔の高耐久化構造の開発1. はじめに 鋼管を主体とする送電鉄塔のうち、主柱材にコンクリ ート充填鋼管を用いたものをMC鉄塔と呼ぶ。その架構

荷重条件下では、各部の応力が上記許容応力度の1.5倍の応力度(以下、JEC式(短期相当)と記す)以下であること。

参考までに、中空鋼管部材を対象としたJEC式(長期相当)と細長比との関係を建築基準法の値2)と比較して図-4に示す。JEC式(長期相当)は、建築基準法施行令ならびに関連告示に規定された圧縮材の長期許容応力度とほぼ同等の値を示している。本試験体で用いた斜材の細長比λは71.7と70.2であり、同図にλ=71.7を点線で示す。

3. 数値計算による予備的検討3. 1 対象モデル

本課題の主要テーマは斜材の座屈長さ評価であり、まず1構面の平面トラスを対象として検討する。ただし、座屈は構面外に発生するので、3次元の解析が必要となる。解析の対象とした従来構造形式の試験体を図-5(a)

に示し、新構造形式の試験体を図-5(b)に示す。従来構造形式の斜材交差部の接合部(以下、貫通型接合部と呼ぶ)の詳細を図-6、新構造形式の交点プレート部の詳細を図-7に示す。

図-6は従来構造形式の貫通型接合部であり、図-7(a)、(b)は新構造形式で考案されたものである。図-7(b)は縦横にリブ(以下、十字リブと記す)を配置して面外剛性を高めたものであるが、横リブの存在によって雨水の滞留によるサビの早期発生が懸念されるため、図-7(a)

の縦リブのみの交点プレートを目標とした。図-8は主柱材柱頭側の詳細である。柱脚側も同じ詳細

であり、柱頭柱脚部に50mmの偏心が存在するが、この影響は小さいことを数値解析によって事前に確認している。

(1) 斜材の有効座屈長さに及ぼす交点プレート構造の影響

(2) 鉄塔の水平耐力に及ぼすボルト接合部のクリアランスの影響

なお、部材取替作業中の鉄塔の不安定化防止対策については、別途、検討・確認されているので、本稿では対象としない。

図-2(a)の従来形式では、斜材交点と他端の節点間距離を有効座屈長さ(以下、単に「座屈長さ」と記す)として鉄塔耐力が検定されていた。しかし、交点プレートの面外剛性が低い場合には斜材が面外に曲げ座屈(以下、単に「座屈」と記す)して上記の座屈長さが確保できないことも想定される。また、(2)のボルト孔によるクリアランスも斜材の座屈長さに影響することが考えられる。これらの影響で座屈長さが増大する場合には、図-2

(b)の交点プレートレベルの水平構面に、水平補剛材を配置するなどの対策が必要となる(図-3参照)。

本研究では、まず斜材の座屈長さに及ぼす交点プレート構造の影響を数値解析によって検討し、試験体の種類を絞り込むことを目指している。その結果を踏まえて実験計画を策定し、実験結果と数値解析結果を比較検討して開発課題の解明を図っている。本稿では上記一連の検討結果をまとめて報告する。

2. 送電鉄塔に要求される力学性能送電鉄塔は、電気設備技術基準とその解釈8)に基づき、

高温季(台風時期;平均風速40m/s)、低温季(着氷時期)、着雪時(異常着雪)に対し、下記の基準を満たすことを目標として設計される。

(1) 高温季および低温季においては、各部の応力がJEC-127-19791)に規定された許容応力度(以下、JEC式(長期相当)と記す)以下であること。

(2) 高温季および低温季において送電線の断線を考慮した時(異常時不平均張力荷重条件下)および着雪時

水平補剛材

主柱材

斜材

水平補剛材

主柱材

斜材

(a) 側面図 (b) 平面図

図-3 交点プレートレベル水平構面への補剛材配置

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

0 50 100 150 200 250

JEC式(長期相当)による許容座屈応力度(中空鋼管部材の場合)建築基準法の長期に生ずる力に対する圧縮材の座屈の許容応力度

許容座屈応力度(N/mm2)

細長比λ

斜材細長比(λ=71.7)

図-4 許容座屈応力度と細長比の関係

GBRC Vol.38 No.2 2013.4

23

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3. 2 解析ソフトと要素モデル3. 2. 1 開発課題の検討に必要とされる解析機能

前章で述べた開発課題の検討に必要とされる解析機能として、以下の4項目をあげることができる。

(1) 斜材、主柱材などの面外変形を考慮するため、3次元骨組の応力変形解析機能

3803

斜材(φ101.6×3.2, STK400)

主柱材(φ139.8×4.5, STKT590)

貫通型接合部

主柱材端部ガセットプレート(PL-9, SM490A)

38.9°

3200

3886

+Q

架台

加力梁詳細は図-8に示す。

詳細は図-6に示す。

503100

50

(a) 従来構造形式

斜材(φ101.6×3.2, STK400)

主柱材(φ139.8×4.5, STKT590)

交点プレート(PL-9, SS400)

主柱材端部ガセットプレート(PL-9, SM490A)

38.9°

3200

3803

50

3100

50

詳細は図-8に示す。

詳細は図-7に示す。

加力梁

(寸法単位:mm)

3886

+Q

架台

(b) 新構造形式

X

Y

X

Y

X

Y

φ101.6

140

140230

229

360

U字プレート(PL-4.5, SS400) ガセットプレート

(PL-9, SS400)

ボルト(4-M16, 5.8)

補強リング(外径240, PL-9, SS400)

X (寸法単位:mm)

図-5 解析対象の1構面の平面トラス

図-6 従来構造形式の貫通型接合部 (写真と側面図)

X

Y

X

Y

X

Y

384

348

317

U字プレート(PL-4.5, SS400)

交点プレート(PL-9, SS400)

ボルト(4-M16, 5.8)

縦リブ(表面,裏面とも)(PL-9,SS400)

(A-A矢視)

9797 9

(a) 新構造形式(縦リブのみ) (写真と側面図)

384

348

317

縦リブ(表面)(PL-9,SS400)

X (寸法単位:mm)

横リブ(裏面)(PL-9, SS400)

317

B(B-B矢視)

9797 9

(b) 新構造形式(十字リブ)

ガセットプレート

(A-A矢視)

載荷用クレビス

ピン支持用プレート U字

プレート

載荷用クレビス

ピン支持用プレート

ピン

ガセットプレート

(クレ

ビス

高さ

)50

mm

主柱材鋼管リブ

(a) 側面図 (b) A-A 矢視図

図-7 新構造形式の交点プレート部

図-8 主柱材柱頭側の詳細

GBRC Vol.38 No.2 2013.4

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(2) 任意形状部材断面の剛性と耐力を精密に扱うための、梁断面離散化解析機能(ファイバー梁モデル等)

(3) ボルト接合部のクリアランスと接触・摩擦滑り現象を考慮できる解析機能

(4) 座屈現象などの大変形現象を考慮できる幾何学的非線形及び材料非線形(複合非線形)解析機能

3. 2. 2 使用した解析ソフト

本課題では有限要素解析法を適用する。前述の(1)~(4)の項目に対応可能な非線形有限要素解析ソフトとして、「DRAIN-3DX」3),4),5)を採用する。この解析ソフトは、梁要素による非線形構造解析ソフトであり、カリフォルニア大学バークレイ校で開発されたものである6)。3. 2. 3 解析モデルで用いた有限要素3),4),5)

本解析では、部材を梁要素でモデル化し、ボルト接合部の滑り現象をリンク要素(トラス要素)でモデル化する。以下、これらの有限要素の概要を述べる。

梁要素としてファイバー梁要素(Fiber beam-column element)、ボルト接合部の滑りを考慮するための圧縮/引張リンク要素(Compression/Tension link element)を用いる。

(1)梁要素(ファイバー梁要素)モデル4)

本解析では、梁要素として図-9に示すファイバー梁要素7)を用いる。図-9(a)は梁要素軸方向にいくつかの小区間(セグメント)分割状態を示し、図-9(b)では小区間中央部の切断面(スライス)で梁断面の応力、歪などの物理量(状態量)が計算されることを示す。各セグメントは、図-9(c)の切断面に示すように、複数の繊維区分領域(ファイバー)に分割され、繊維区分領域中央点で鋼材やコンクリート材料の応力、歪を評価し、各点の応力を数値積分して、断面力を求める。本要素ではせん断とねじりは弾性変形を仮定している。

図-10に鋼材の応力-歪関係の4折れ線モデルを示す。(2)圧縮/引張リンク要素モデル5)

図-11に圧縮/引張リンク要素モデルを示す。このリンク要素は線形トラス要素の一種であり、ボルト接合部の滑り現象を考慮するために使用する5)。

図-12はこのリンク要素の軸荷重-軸変形関係のモデルを表し、ボルト接合部の滑り現象に対応させて示している。

節点I

節点J

要素座標系xy

z

(c)ファイバー分割

端点i

端点j

結合ヒンジ(コネクション・ヒンジ)(切断面にファイバーモデルを適用)

剛域

全体座標系 (a)セグメント分割

スライス

x

y

(b)スライス(小区間の中央断面)

Y

XZ

セグメント

繊維的区分領域(ファイバー)

y

x

z

節点I

節点J

要素座標系xy

z

要素座標系xy

z

xy

z

xy

z

(c)ファイバー分割

端点i

端点j

結合ヒンジ(コネクション・ヒンジ)(切断面にファイバーモデルを適用)

剛域

全体座標系 (a)セグメント分割

スライス

x

y

(b)スライス(小区間の中央断面)

Y

XZ

Y

XZ

セグメント

繊維的区分領域(ファイバー)

y

x

z

応力(σ)

歪(ε)

σ1

σ2σ3

ε1 ε2 ε3

(σ1,ε1): 第1折れ点の(応力,歪)(σ2,ε2 ): 第2折れ点の(応力,歪)(σ3,ε3 ): 第3折れ点の(応力,歪)

E1

E2

E3E4

特性は引張と圧縮で同一

応力(σ)

歪(ε)

σ1

σ2σ3

ε1 ε2 ε3

(σ1,ε1): 第1折れ点の(応力,歪)(σ2,ε2 ): 第2折れ点の(応力,歪)(σ3,ε3 ): 第3折れ点の(応力,歪)

E1

E2

E3E4

特性は引張と圧縮で同一

節点I

節点J

L

要素長: L節点I

節点J

L

要素長: L

軸荷重(引張,圧縮)

軸変形(伸び,縮み)

k1

k2

k3 k4

u1 u2 u3

ボルトの滑り開始

ボルトの滑り終了

ボルト、ガセットプレート接触面の損傷開始

k1,k2,k3,k4: 剛性

O

軸荷重(引張,圧縮)

軸変形(伸び,縮み)

k1

k2

k3 k4

u1 u2 u3

ボルトの滑り開始

ボルトの滑り終了

ボルト、ガセットプレート接触面の損傷開始

k1,k2,k3,k4: 剛性

O

図-9 ファイバー梁要素の軸方向小区間セグメント分割と切断面の繊維区分領域ファイバー分割4)

図-10 鋼材の応力―歪関係モデル4)

図-11 圧縮/引張リンク要素の概要5)

図-12 リンク要素の軸荷重-軸変形関係モデル6)

GBRC Vol.38 No.2 2013.4

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3. 2. 4 有限要素解析モデル

(1)平面トラスのメッシュ分割概要

有限要素解析モデルに用いる平面トラスのメッシュ分割図を図-13に示す。斜材、主柱材の各部材は材軸方向に30等分に要素分割(1要素1セグメント)する。柱脚部の節点はピン支持とする。柱頭部クレビスのピン中心位置の節点に水平(X方向)荷重を加える。柱頭のクレビスのピン中心位置の2つの節点のX方向変位が同一になるように変位拘束条件を与える。柱頭、柱脚両方のクレビスのピン中心の節点は構面外変位(Z方向変位)を拘束する。

(2)斜材交差部のメッシュ分割図

従来構造形式の貫通型接合部の梁要素モデルを図-14

に示し、新構造形式の交点プレート部の梁要素モデルを図-15に示す。斜材、ガセットプレート、交点プレート、U字プレートを梁要素によりモデル化する。これらの梁要素は、斜材の軸線上に重複して配置する。これらの図では梁要素の配置を見やすいように、斜材軸線から平行にずらして描画している。交点プレートの縦リブと横リブは、斜材方向の等価な曲げ剛性を有する弾性の矩形断面梁要素としてモデル化する(付録1参照)。ガセットプレート、交点プレートとU字プレートの間には、ボルト接合部の滑り現象を表現するための圧縮/引張リンク要素を配置することが可能であるが、予備解析ではボルト接合部の滑りは考慮しない。

Y

-500

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

0 1000 2000 3000 4000

Q

新構造形式と従来構造形式は、斜材交差部のみ異なる。

斜材交差部交点にL/1000(=4.94mm)を面外偏芯距離とする初期不整を与える。

L=4940mm

X

Y

-500

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

0 1000 2000 3000 4000

Q

新構造形式と従来構造形式は、斜材交差部のみ異なる。

斜材交差部交点にL/1000(=4.94mm)を面外偏芯距離とする初期不整を与える。

L=4940mm

X図-13 平面トラスのメッシュ分割図

U字プレート

梁要素

ガセットプレート梁要素

斜材梁要素

節点

U字プレート

梁要素

ガセットプレート梁要素

斜材梁要素

節点

U字プレート

梁要素

ガセットプレート梁要素

斜材梁要素

節点

斜材梁要素

節点

(a) 貫通型接合部の詳細(写真)

ガセットプレート梁要素

U字プレート梁要素

斜材梁要素

○は、節点を示す。

黒破線は、節点共有を示す。

(b) X-Y 側面図

U字プレート

梁要素

交点プレート梁要素

斜材梁要素

節点

U字プレート

梁要素

交点プレート梁要素

斜材梁要素

節点

U字プレート

梁要素

交点プレート梁要素

斜材梁要素

節点

斜材梁要素

節点

(a) 交点プレート部の詳細(写真)

交点プレート梁要素

U字プレート梁要素

斜材梁要素

黒破線は、節点共有を示す。

○は、節点を示す。

(b) X-Y 側面図

(c) A-A 矢視

図-14 貫通型接合部の有限要素モデル図(従来構造形式)

図-15 交点プレート部の有限要素モデル図(新構造形式)

GBRC Vol.38 No.2 2013.4

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ートリブ無し、縦リブのみ、縦横リブによる十字リブ有り)の4種類のモデルを対象に計算する。前記の新構造形式の3種類のモデルは1)リブ無しモデル、2)縦リブモデル、3)十字リブモデルと以下略記する。3. 4. 2 平面トラスの初期不整

平面トラスに初期不整を与える。その量は、図-13に示す解析モデルの斜材交差部交点に、左上と右下の主柱材・斜材交点間の距離Lの1/1000(=4.94mm)を面外偏芯距離とする初期不整を与える。3. 4. 3 解析結果の考察

解析の結果、明らかになったことを以下に記す。(1)平面トラスの水平耐力

前述の4つのモデルに対する静的非線形応力変形解析結果のうち、水平荷重Qと載荷点(柱頭)水平変位uxの関係を図-18に示す。ここで図中の記号は、QHLは斜材の圧縮応力がJEC式(長期相当)の許容応力度1)に達する時の水平荷重、QHSはQHLの1.5倍であり、JEC式(短期相当)の許容応力度1)に相当する。QASは建築基準法による圧縮材の座屈の許容応力度式2)において座屈安全率νを1.0として算定した斜材の座屈荷重から求めた平面トラスの水平荷重値(付録2参照)を示す。図中の黒線は縦リブモデル、赤線は十字リブモデル、緑線はリブ無しモデルに対する新構造形式の計算結果を示す。青線は従来構造形式に対する計算結果である。同図中に圧縮斜材が座屈を開始する水平変位ux=7.9mmの時点を示し、この時点は後述の図-21で決定される。図-18によれば、縦リブモデル(黒線)、十字リブモデル(赤線)のモデルでは初期剛性、最大耐力とも概ね同一であり、それらと比較して、リブ無しモデル(緑線)は若干耐力が小さい。したがって、実験計画では、縦リブ付き交点プレートを用いた新構造形式と従来構造形式の2ケースを比較する。

3. 3 材料の機械的性質と応力歪関係試験体構成材の機械的性質を表-1に示す。斜材の値は

12B号試験片(JIS Z 2201)による引張試験結果であるが、他はミルシート値である。

斜材(STK400)の応力-歪関係は、引張試験結果に適合するように図-16の4折線モデルで近似している。他の部位についても表-2に示す値を用いて4折線モデルを適用する。斜材、主柱材、U字プレート、ガセットプレートの応力-歪関係のモデル化を図-17に示す。

3. 4 予備解析結果3. 4. 1 予備解析ケース

予備解析では、従来構造形式と新構造形式(交点プレ

0

100

200

300

400

500

600

0 5 10 15 20

新構造形式(縦リブ)

新構造形式(十字リブ)

新構造形式(リブ無し)

従来構造形式

水平荷重Q (kN)

JEC式(短期相当)によるQ HS(299kN)

水平変位u x(mm)

圧縮斜材の座屈開始(u x =7.9mm)

不釣合力が収束せず、計算終了。

座屈安全率νを1とした

座屈荷重Q AS (414kN)

JEC式(長期相当)によるQ HL (199kN)

図-18 水平荷重Q―水平変位ux関係(ボルト滑り無し)

部位 材質降伏強度σy(N/mm2)

引張強度σu(N/mm2)

主柱材 STKT590 581 661 斜材 STK400 339 466

U 字プレート SS400 280 445 ガセットプレート SS400 361 460

折れ点

応力(σ) 歪(ε)勾配

第 1 折れ線 0.7σy 0.7εy E第 2 折れ線 σy 2.0εy 0.7E第 3 折れ線 1.14σy 16.0εy 0.23E第 4 折れ線 - - 0.01E

表-1 試験体構成材の機械的性質の一覧

表-2 応力-歪関係の4折線モデル

図-17 応力-歪関係の入力データ

図-16 応力-歪関係の4折線モデルの説明図

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よると、両方の構造形式の圧縮斜材は、斜材交差部交点を不動点とする座屈波形を示している。これは、斜材の座屈が発生すると引張斜材による圧縮斜材に対する座屈拘束効果が現れ、斜材交差部交点のZ方向の面外変位が抑制されるためである。すなわち、新構造形式について、従来構造形式と同様に、座屈長さは斜材交差部交点と圧縮側主柱材・斜材交点間の距離とすればよいことが分かる。

従来構造形式と新構造形式(縦リブモデル)の2ケースに対する圧縮斜材中央部の軸力Nと軸歪ε関係を図

-21に示す。同図ではJEC式(長期相当)1)による斜材軸力NHL、同(短期相当)1)による軸力NHS、建築基準法による圧縮材の座屈の許容応力度式2)において座屈安全率νを1.0として算定した斜材の座屈荷重NAS(付録2参照)を併示している。また圧縮斜材中央の曲げ引張歪と曲げ圧縮歪への分岐点の軸力が座屈荷重Nmaxであり、従来構造形式ではNmax=246kN、新構造形式ではNmax=249kNであり、ともにJEC式(短期相当)による斜材軸力NHSの192kNを超えている。

(2)斜材の有効座屈長さ

従来構造形式と新構造形式(縦リブモデル)に対する水平荷重Qと斜材交差部交点のZ方向面外変位uzの関係を図-19に示す。従来構造形式を赤線で新構造形式を黒線で示す。圧縮斜材の座屈後(水平変位ux=10.0mm)における引張、圧縮斜材の構面外変形図(Y-Z平面)を図-20(a),(b)に示す。図の縦軸は平面トラスの鉛直方向のY座標値で有り、図の横軸は面外方向のZ方向変位を示している。これは、添図に示す矢視の方向から見た変形図であり、図の赤線は圧縮斜材を、黒線は引張斜材を示す。

図-19によると、両ケースともに、JEC式(短期相当)による許容水平荷重QHS以下では、斜材交差部交点の面外変位uzは1mm以内の小さな値である。また、図-20に

X

Y

圧縮斜材の軸力、軸歪の評価位置

Q

X

Y

圧縮斜材の軸力、軸歪の評価位置

Q

0

50

100

150

200

250

300

-0.005 0.000 0.005 0.010

引張側歪圧縮側歪

引張方向 圧縮方向

圧縮斜材の軸力N (kN)

軸歪ε

Nmax=246kN 座屈安全率νを1とした

座屈荷重NAS(266kN)

JEC式(短期相当)による

N HS (192kN)

JEC式(長期相当)による

N HL (128kN)

(a) 従来構造形式

0

50

100

150

200

250

300

-0.005 0.000 0.005 0.010

引張側歪圧縮側歪

圧縮斜材の軸力N (kN)

軸歪ε

圧縮方向引張方向

Nmax=249kN

JEC式(短期相当)による

N HS(192kN)

座屈安全率νを1とした

座屈荷重N AS (266kN)

JEC式(長期相当)による

N HL (128kN)

(b) 新構造形式(縦リブモデル)

図-21 圧縮斜材軸力と軸歪関係図

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

-6 -4 -2 0 2 4 6

新構造形式(縦リブ)

従来構造形式

水平荷重Q(kN)

斜材交差部交点の

面外変位uz (mm)

JEC式(長期相当)

によるQ HL (199kN)

JEC式(短期相当)

によるQ HS (299kN)

圧縮斜材の座屈開始

不釣合力が収束せず計算終了

座屈安全率νを1とした

座屈荷重Q AS(414kN)

X

Y

矢視

Q圧縮斜材

引張斜材

X

Y

矢視

Q

X

Y

矢視

Q圧縮斜材

引張斜材

-500

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

-80 -40 0 40 80

Z方向変位(mm)

Y座標値(mm)

圧縮斜材

引張斜材

斜材交差部交点

-500

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

-80 -40 0 40 80

Z方向変位(mm)

Y座標値(mm)

圧縮斜材

引張斜材

斜材交差部交点

(a) 従来構造形式 (b) 新構造形式(縦リブモデル)

図-19 水平荷重Qー斜材交差部交点の面外変位uzの関係

図-20 構面外変形図(Y-Z平面) (水平変位ux=10.0mm時)

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正加力方向への単調載荷とした。

4. 1. 3 測定項目

変位および歪の測定項目は以下の通りとした。変位: 加力点水平変位、加力梁鉛直変位、斜材交差部

交点における面外水平変位歪 : 主柱材中央部の材軸方向および直交方向の歪、

斜材中央部の材軸方向および直交方向の歪    (図-22に併示)、交点プレートの歪、U字プレ

ートの歪

4. 2 実験結果および考察4. 2. 1 水平荷重-水平変位関係

各試験体のQ-ux関係を図-23および図-24に、最終状況を写真-1に示す。ここに、Qは載荷点水平荷重、uxは載荷点水平変位である。同図中に、最大荷重tQmax、3.5節で示した計算値QHL,QHS,QASおよび諸発生現象を併示し、その発生荷重を表-3に示す。発生現象における鋼管斜材の降伏とは、鋼管の歪測定値より算出した相当応力(ミーゼス応力)が、鋼管の実降伏点に達した時点とした。図-23および図-24中にはボルト接合部の滑りを考慮した解析結果を赤線で併示している。この解析手法は、

(3)新構造形式の設計と実験計画

これまでの予備解析結果から、以下のことが明らかとなった。・交点プレートのリブ補強

新構造形式の交点プレートのリブ補強は縦リブのみとしてよい。したがって、縦リブモデルの新構造形式と従来構造形式の2つのケースを実験で比較する。・試験体形式(水平補剛材の要否)

実験における試験体は、斜材交差部の面外変位に対する水平補剛材が不要であるため、平面トラス試験体でよい。・座屈長さ

新構造形式については、圧縮斜材の座屈耐力算定用の座屈長さは斜材交差部交点と圧縮側主柱材・斜材交点間の距離として設計できる。

4. 実験結果とその考察4. 1 実験計画4. 1. 1 試験体

3章の予備解析結果に基づいて、斜材交差部に縦リブのみを配置した交点プレートを用いた新構造形式(試験体名MA6-R)の試験体を計画し、貫通型接合部を持つ従来構造形式(同MA6-0)の試験体と対比することとした。

(1)試験体形状

試験体の形状および寸法を図-5に、接合部および交点プレートの詳細を図-6、図-7にそれぞれ示す。各試験体とも、斜材と交点プレートおよび斜材とガセットプレートとの接合部は、斜材に割り込み型のプレート(U字プレート)を隅肉溶接接合し、U字プレートと交点プレートあるいはガセットプレートをボルト接合している。

(2)使用材料

使用した各材料の機械的性質を表-1に示す。本来、MC鉄塔の主柱材はコンクリート充填鋼管である。しかし本実験では、斜材およびその接合部分を実験対象とし、主柱材の破壊を想定していないため、主柱材鋼管の材質を従来より高強度とすることで、中空鋼管としている。4. 1. 2 加力方法および載荷履歴

本実験では、図-22で示すように、主柱材端部ガセットプレートをピン支持として、主柱材柱頭部は加力梁、柱脚部は反力床にそれぞれ緊結し、加力梁芯に油圧ジャッキで水平力を与えた。正加力方向は、油圧ジャッキに引張力が生じる方向を正と定義した。載荷履歴は、QHL

にて正加力方向への加力および除荷を2回繰り返した後、

3200

50

3100

50

(寸法単位:mm)3886

加力梁

振れ止め用ローラー

押2000kN引1000kN油圧ジャッキ

±1000kNロードセル

正加力方向

架台

反力床

反力柱

主柱材端部ガセットプレート

ピン

3803

A【鋼管歪測定位置】

(A-A矢視)

A

1045

1045

歪ゲージ4点/1断面鋼管歪

測定位置

図-22 加力装置(MA6-0)

tQmax BJS TPY CPY PB UP CB

MA6-0 418 140 275 406 355 308 -

MA6-R 393 118 296 390 - - 381

MA6-R /MA6-0

0.94 0.84 1.08 0.96 - - -

tQmax:最大荷重実験値,BJS:ボルト接合部の滑り

TPY:引張斜材の降伏,CPY:圧縮斜材の降伏

PB:圧縮斜材の局部座屈,UP:U 字プレートのはしぬけ破断

CB:食い違い座屈モードの発生

表-3 各現象発生荷重(単位:kN)

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斜材交点間を座屈長さとする全体座屈が発生し、その後局部座屈が生じて緩やかに耐力が低下した。

最大耐力以降は、耐力が低下した後、Q=320kN程度を維持し、最終的には、ux=150mm時に引張斜材端部のU字プレートのはしぬけ破断が生じて耐力が急落した。

(2)新構造形式試験体MA6-R

MA6-0と同様、ボルト接合部で滑りが発生し、引張斜材と圧縮斜材が降伏した後、最大耐力に達した。

最大耐力以降、圧縮斜材の座屈変形は進行せず、図

-25に示すように、交点プレートとU字プレートの局所的な曲げ変形によって交点プレートが回転するという現

ボルト接合部の滑りを表現する圧縮/引張リンク要素を、図-14におけるガセットプレート梁要素-U字プレート梁要素間に、また図-15における交点プレート梁要素-U字プレート梁要素間にそれぞれ配置して行った。使用したボルト接合部の圧縮/引張リンク要素の特性は、実験結果をもとに定めており、詳細は4.2.4項に後述する。

(1)従来構造形式試験体MA6-0

Q=140kN時に、圧縮斜材端部ボルト接合部のU字プレートとガセットプレート間の滑りが生じ、金属音が発生するとともに荷重が低下した。この現象はQ=300kN程度に達するまで数回繰り返し発生した。引張斜材および圧縮斜材の降伏後、斜材交差部交点と圧縮側主柱材・

0

100

200

300

400

500

0 50 100 150

t Q max(=418kN)

Q HS

Q HL

Q (kN)

u x (mm)

UP

Q AS

図-27(a)u z 最終測定時

0

100

200

300

400

500

0 10 20 30 40 50

実験結果(MA6-0)

解析結果

a Q max(=448kN)

BJS

TPY

CPYt Q max(=418kN)

PB

Q HS

Q HL

Q (kN)

u x (mm)

Q AS

(a) 最終変形 ux=150mmまで (b) ux=50mm まで拡大

0

100

200

300

400

500

0 50 100 150

t Q max(=393kN)

Q HS

Q HL

Q (kN)

u x (mm)

Q AS

図-27(b)u z 最終測定時

CB

0

100

200

300

400

500

0 10 20 30 40 50

実験結果(MA6-R)

解析結果BJS

TPY

CPYt Q max(=393kN)

Q HS

Q HL

Q (kN)

u x (mm)

Q AS

CB

a Q max(=448kN)

(a) 最終変形 ux=150mmまで (b) ux=50mm まで拡大

図-23 Q-ux関係(MA6-0)

図-24 Q-ux関係(MA6-R)

写真-1 試験体最終状況 図-25 圧縮斜材の食い違い座屈モード

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と考えられる。最大軸力NmaxはNHL,NHSを上回ったものの、NASには達しなかった。

4. 2. 3 斜材交差部交点の面外変位と水平荷重の関係

両試験体における斜材交差部交点の面外変位uzと加力点水平荷重Qの関係を図-27に示す。

MA6-0では圧縮斜材が局部座屈した後、MA6-Rでは食い違い座屈が発生した後に、貫通型接合部あるいは交点プレートが回転する現象がそれぞれ生じ、この現象に起 因 す るuzの 増 加 が 見 ら れ た た めMA6-0で はux=82.5mm時、MA6-Rではux=48.1mm時にuzの測定を取りやめている。また、この時点でのQ-ux関係を図-23およ

象が生じた。本稿ではこの現象を食い違い座屈モードとよぶ。荷重は最終変形ux=150mmまで急落することなくQ=330kN程度を維持した。

(3)最大耐力の評価

計算耐力および最大耐力の実験値とボルト接合部の滑りを考慮した解析値の一覧を表-4に示す。ここで、解析値における最大耐力は、不釣合力が許容範囲内の最大荷重値と定義する。

本実験結果に基づくと、新構造形式は従来構造形式と同程度の最大耐力を保有すること、また、斜材の座屈長さを斜材交差部交点と斜材・主柱材交点間距離とし、JEC式(長期相当)に基づいて算定した水平荷重QHLの2倍程度の耐力を保有することが確認できる。

4. 2. 2 圧縮斜材の軸力と軸歪関係

圧縮斜材の軸力Nと軸方向歪εとの関係を図-26に示す。軸力Nは図-22に示す位置で測定した圧縮斜材の軸歪測定値から応力-歪関係をバイリニア型と仮定して算出し、軸方向歪εは、圧縮歪を正方向、引張歪を負方向とした。同図にはJEC式(長期相当)によるNHL、同(短期相当)によるNHS、建築基準法による座屈許容応力度式において、安全率ν=1.0として算定したNASを併示している。各耐力一覧を表-5に示す。

従来構造形式試験体MA6-0では、最大軸力Nmaxに達した後、圧縮歪引張歪とも増大しており、斜材交差部交点と圧縮側主柱材・斜材交点間を座屈長さとする座屈によって曲げ変形が進行していることがわかる。また、最大軸力NmaxはNHL,NHSを上回り、NASと同程度の値に達した。

新構造形式試験体MA6-Rでは、最大軸力後、圧縮歪および引張歪が増大したものの、その後軸力の低下に伴い、軸方向歪も減少している。これは、最大軸力はMA6-0と同様に圧縮斜材の座屈によって決定されたものの、その後交点プレートで生じた食い違い座屈モードによって、圧縮斜材では曲げ変形が進展しなかったため

試験体名QHL

(kN) QHS

(kN) QAS

(kN)tQmax

(kN) tQmax

/QHL

tQmax

/ QAS

aQmax

(kN)

MA6-0 199 299 414 418 2.10 1.01 448

MA6-R 199 299 414 393 1.97 0.95 448

QHL:JEC 式(長期相当)による水平荷重

QHS:JEC 式(短期相当)による水平荷重

QAS:建築基準法(座屈安全率=ν1.0)による水平荷重

tQmax:最大耐力実験値、aQmax:最大耐力解析値

表-4 計算耐力および最大耐力一覧

0

50

100

150

200

250

300

350

-0.005 0 0.005 0.01

引張歪(実験)

圧縮歪(実験)

引張歪(解析)

圧縮歪(解析)

圧縮軸力N (kN)

軸方向歪ε

N HS

N HL

t N max(=270kN)

圧縮方向引張方向

N AS

a N max(=243kN)

(a) MA6-0

0

50

100

150

200

250

300

350

-0.005 0 0.005 0.01

引張歪(実験)

圧縮歪(実験)

引張歪(解析)

圧縮歪(解析)

圧縮軸力N (kN)

軸方向歪ε

N HS

N HL

圧縮方向引張方向

N AS t N max(=253kN)

a N max(=245kN)

(b) MA6-R

試験体名NHL

(kN)NHS

(kN)NAS

(kN)tNmax

(kN) tNmax

/ NHL

tNmax

/ NAS

aNmax

(kN)

MA6-0 128 192 266 270 2.11 1.02 243

MA6-R 128 192 266 253 1.98 0.95 245

NHL:JEC 式(長期相当)による圧縮軸力

NHS:JEC 式(短期相当)による圧縮軸力

NAS:建築基準法(座屈安全率 ν=1.0)による圧縮軸力

tNmax:最大軸力実験値、aNmax:最大軸力解析値

図-26 圧縮斜材軸力と軸方向歪の関係

表-5 圧縮斜材軸力一覧

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5. まとめ本試験研究を推進するにあたり、実験計画の段階で数

値シミュレーションを実施して試験体の絞り込みを検討した。斜材の有効座屈長さに関しては、従来構造と同様、斜材交点と他端との節点間距離で評価可能という成果が得られた。その結果、図-3に示した水平補剛材の設置が不要となり、鉄塔試験体として立体トラスではなく平面トラスを用いた実験計画が策定され、試験期間の短縮と経費の削減に貢献している。実験および解析の結果得られた知見は以下のようにまとめられる。1) 新構造形式は従来構造形式と同程度の水平耐力を保

有していることが確認された。2) 新構造形式で採用した交点プレート(図-6(b)参照)

び図-24に併示している。加力初期段階から、MA6-0と比較してMA6-Rにおけ

る面外変位uzが上回る傾向が見られ、各最大耐力時ではuzの値がMA6-0で6.1mm、MA6-Rで9.0mmとなった。

4. 2. 4 ボルト接合部の滑り量

MA6-0の斜材軸力Nとボルト接合部滑り量δsiとの関係を図-28に示す。斜材軸力は4.2.2項と同様に算定し、滑り量は添図に示す位置で斜材とガセットプレート間の相対変位測定値として実験結果を黒線で示した。圧縮斜材端の滑り量δs1およびδs3では押し込まれる方向を正方向とし、引張斜材端δs2では引き離される方向を正方向とした。

同図によると、圧縮斜材端における滑り量δs1およびδs3ではボルト接合部の滑りが発生するとともに滑り量が増加して斜材軸力が低下するが、引張斜材端滑り量δs2では滑りの発生による斜材引張軸力の低下は顕著でない。

この実験結果をもとに作成したボルト接合部の軸荷重-軸変形関係3折れ線モデルを同図中に赤線で示す。4. 2. 5 ボルト接合部の滑りが座屈長さに及ぼす影響

ボルト接合部の滑りを考慮した解析結果に基づき、最大荷重時の引張斜材および圧縮斜材の構面外方向の変形図(Y-Z平面)を図-29に示す。図-20と同様に、図の縦軸は平面トラスのY座標値であり、図の赤線は圧縮斜材を黒線は引張斜材を示す。

同図によると、ボルト接合部の滑りにより引張斜材は外側に凸の形状を示しているが、両試験体の圧縮斜材は、斜材交差部交点プレートを不動点とする座屈波形を示している。すなわち、ボルト接合部の滑りを考慮しても、圧縮斜材の座屈長さは、斜材交差部交点と圧縮側主柱材・斜材交点間の距離とすればよいことが分かる。

0

100

200

300

400

500

600

0 5 10 15 20 25

実験結果(MA6-0)

解析結果

Q (kN)

u z(mm)

QHS

QHL

○:最大耐力時(実験)○:最大耐力時(解析)

QAS

圧縮斜材局部座屈発生(u x =44.2mm)

u x =82.5mm

0

100

200

300

400

500

600

0 5 10 15 20 25

実験結果(MA6-R)

解析結果

Q (kN)

u z(mm)

QHS

QHL

○:最大耐力時(実験)○:最大耐力時(解析)

QAS

u x =48.1mm

交点プレート食い違い座屈発生(u x =28.6mm)

(a) MA6-0 (b) MA6-R

図-27 水平荷重Qー斜材交差部交点の面外変位uzの関係

-50

0

50

100

150

200

250

300

0 1 2 3 4 5

実験値解析モデル

斜材軸力N(kN)

ボルト接合部の

滑り量δ s 1(mm)

-50

0

50

100

150

200

250

300

0 1 2 3 4 5

実験値解析モデル

斜材軸力N(kN)

ボルト接合部の

滑り量δ s2(mm)

(a) 斜材交差部(δs1) (b) 引張斜材端部(δs2)

-50

0

50

100

150

200

250

300

0 1 2 3 4 5

実験値解析モデル

斜材軸力N(kN)

ボルト接合部の滑り量

δ s 3(mm)

δs1

δs3δs2

正加力方向

(c) 圧縮斜材端部(δs3) 【滑り量測定位置】

-500

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

-15 -10 -5 0

Z方向変位(mm)

Y座標値(mm)

斜材交差部交点

引張斜材

圧縮斜材

-500

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

-15 -10 -5 0

斜材交差部交点

引張斜材

圧縮斜材

Z方向変位(mm)

Y座標値(mm)

(a) 従来構造形式(MA6-0) (b) 新構造形式(MA6-R)

図-28 斜材軸力N-ボルト接合部の滑り量δs関係

図-29 構面外変形図(Y-Z平面)(最大荷重時)

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付式(4)

ここで、C3,C4は積分定数.また、剪断力Qは以下となる。

付式(5)

撓みと回転角の境界条件は付式(6)のように表せるので、i,j端の撓みwi,wjおよび回転角θi,θjとC1,C2,C3,C4の関係は、行列で表すと付式(7)となる。

付式(6)

付式(7)

ここで、

付式(7)を について解くと、以下となる。 付式(8)

ここで、 は の逆行列で、下式で表される。

付式(9)

i,j端のモーメントと剪断力は、付式(1)、付式(5)より以下となる。

付式(10)

付式(10)を行列で表すと、 付式(11)

ここで、

付式(11)に付式(8)を代入すると、平面骨組における

の仕様により、斜材の有効座屈長さは従来と同様に、斜材交点と他端の節点間距離で評価できる。

3) ボルト接合部のすべりは斜材の有効座屈長さに影響を及ぼさない。

付録 1 交点プレート部の補強リブの梁要素モデル化の方法

補強リブの補剛効果は、斜材方向に、補強リブと等価な曲げ剛性を有する矩形断面梁を配置して考慮する。補強リブを梁と考えると、3次元方向の座標変換により、斜材方向に曲げ剛性を分配することが可能である。そのモデル化の手順について、以下に説明する。

(1)平面骨組におけるオイラー梁の剛性方程式

直接剛性法により、平面骨組におけるオイラー梁の剛性方程式を導出する。付図-1に示すように、両端に曲げモーメントMyi,Myjが作用する梁を考える。剪断変形は考慮しない。

付図-1(b)に示すように、分布荷重のない場合、モーメントは1次関数で表現できるので、以下のように表せる。

付式(1)

ここで、C1,C2は未定係数.この微分方程式を解くと、曲率κ、撓み角θ、撓みwは、

以下の式で表せる。

付式(2)

付式(3)

(a) 曲げモーメント、回転角、境界条件

(b) モーメント分布

付図-1 梁に作用する曲げモーメント、回転角、境界条件

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ル , に分解する場合を考える。

ベクトルの分解則(釣合)より、 と , の間には以下の式が成り立つ。

付式(15)

ここで、 とすると、モーメントベ

クトル , 、回転角ベクトル , について、それぞれ以下の関係式が成り立つ。

付式(16)

付式(17)

ここで、

付式(13)を行列で表すと、 付式(18)

ここに、

付式(16)、(17)を付式(18)に代入すると、

付式(19)

ここに、

付式(19)では、Ms,Mtともに、θsとθtが連成した式となっている。付図-2(a)に示す置換梁要素s,tにおいて、θsとθt は独立変数であるので、付式(19)の剛性行列を対角化して扱う必要がある。対角化のために行総和規則

(row-sum technique9))を用いると、付式(19)は以下となる。

付式(20)

オイラー梁の剛性方程式(付式(12))が求まる。 付式(12)

ここで、

本報告では、縦リブの斜材方向への剛性分配において、曲げ回転剛性のみを考慮し、剪断剛性については無視している。付図-1(a)に示すようにwi=wj=0として、付式

(12)を材端モーメントMi,Mjと材端回転角θi,θ jの関係に縮約すると、以下となる。

付式(13)

(2)縦リブの梁要素剛性方程式

付図-2(a)に示すように、縦リブをモデル化した矩形断面梁要素を、等価な曲げ剛性を有する斜材方向の矩形断面梁要素s,tに置換する場合を考える。

ガセットプレートの形状の対称性により、置換範囲は、付図-2(a)に示すように縦リブの上側1/2とする。縦リブ梁要素は全長がガセットプレートにより支持されているが、ここでは剛性置換の便宜上、j端を固定端、i端を単純支持とした付図-2(b)の梁を仮定する。

付図-2(b)と付式(13)より、境界条件はθyj=0となるので、縦リブ梁要素におけるMvとθvの関係式(付式

(14))が得られる。

付式(14)

(3)縦リブ梁要素の斜材方向への剛性分配

付図-3に示すように、ベクトル を斜材方向のベクト

付図-2 縦リブ梁要素の境界条件の仮定

付図-3 ベクトルの分解

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付録 2 建築基準法の式で座屈安全率νを1.0として算出した水平荷重QAS

建築基準法による圧縮材の座屈の許容応力度式2)において、座屈安全率νを1.0として算定した斜材の座屈荷重NASから求めた平面トラスの水平荷重QASを以下に示す。

斜材の有効座屈長さLk=2495mm断面2次半径r=34.8mm細長比λ=Lk/r=71.7限界細長比Λ=(π2E/0.6F)=99.7λ=71.7<Λ=99.7であるので、座屈の許容応力度fAは、

以下の式で算出される。

ここで、νは座屈安全率であり次式で示される。

座屈安全率νを1.0とし、F値として斜材鋼材の実降伏強度339N/mm2を使用すると、座屈の許容応力度fASは以下となる。

斜材の断面積A=989.2mm2

斜材の座屈荷重NAS=fAS×A=266.0kN斜材の水平からの角度q=38.9°NASから求めた付図-5の平面トラスの水平荷重QAS

QAS=2NAS×cosq=414.0kN

なお、行総和規則は、主に整合質量行列を対角化して集中質量行列に変換する際に用いられる手法であり、数学的合理性に欠けるが、実用上使われている。本報告のα=βの場合には、行総和規則を用いると、ベクトル量の合成則が保たれることを確認している。

(4) 置換梁要素の寸法計算

付図-4に縦リブと置換梁要素s,tの角度および寸法を示す。α=β=51.08°なので、付式(20)は以下となる。

付式(21)

置換梁要素sとtは、ガセットプレートの対称性から同寸法の梁となるので、以下では置換梁要素sについて計算する。

付式(18)と付式(21)より、Kv=Ks 付式(22)

ここで、Kvは縦リブ梁要素の曲げ剛性、Ksは置換梁要素sの曲げ剛性。

縦リブ梁要素と置換梁要素sの長さをそれぞれLv,Ls、断面2次モーメントをそれぞれIv,Isとすると、付式(22)

より、

付式(23)

より、縦リブ梁要素と置換梁要素の梁背が同じ場合には、

付式(24)

ここで、bvは縦リブ梁要素の梁幅、bsは置換梁要素sの梁幅。

付表-1に縦リブ梁要素と置換梁要素sの寸法を示す。縦リブ梁要素と置換梁要素の梁背は同じ(=97mm)とし、置換梁要素sの梁幅は付式(24)より求めた。

付図-4 縦リブと置換梁要素の角度および寸法(寸法単位:mm)

引張斜材

X

Y

Q圧縮斜材

θLk

引張斜材

X

Y

Q圧縮斜材

θLk

X

Y

Q圧縮斜材

θLk

付図-5 平面トラス

要素梁幅 bv, bs

(mm) 梁背 hv, hs

(mm) 長さ Lv, Ls

(mm) 縦リブ梁要素 9 97 158.5 置換梁要素 s 10.79 97 190

付表-1 縦リブ梁要素と置換梁要素sの寸法

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【参考文献】

1) JEC(電気学会 電気規格調査会標準規格): 送電用支持物設計標準,JEC-127-1979,電気書院

2) 国土交通省住宅局建築指導課等:建築物の構造関係技術基準解析書,第9章 許容応力度及び材料強度,9.2 鋼材等の許容応力度及び材料強度,p.494,2007年度版

3) V. Parakash, G. H. Powell, S. Campbell: DRAIN-3DX BASE PROGRAM DESCRIPTION AND USER GUIDE, Version 1.10, Report No .UCB/SEMM-94/07, Univers i ty of California, Berkeley, 1994.8

4) G. H. Powell , S. Campbell : DRAIN-3DX ELEMENT DESCRIPTION AND USER GUIDE FOR ELEMENT TYPE01, TYPE04, TYPE05, TYPE08, TYPE09, TYPE15, and TYPE17, FIBER BEAM-COLUMN ELEMENT

(TYPE15) FOR DRAIN-3DX AND DRAIN-BUILDING, Version 1.10, Report No.UCB/SEMM-94/08, University of California, Berkeley, 1994.8

5) 同上, INELASTIC TRUSS BAR ELEMENT(TYPE01) FOR DRAIN-3DX, Version 1.10, Report No.UCB/SEMM-94/08, University of California, Berkeley, 1994.8

6) http://peer.berkeley.edu/nisee/nisee.html

7) 野中哲也,吉野廣一:パソコンで解くファイバーモデルによる弾塑性有限変位解析,丸善株式会社,2010

8) 電気書院 編:平成25年版 電気設備技術基準とその解釈,2012.11

9) T. Belytschko, W. K. Liu & B. Moran: Nonlinear Finite Elements for Continua and Structures, p.38, 2000

【執筆者】

*1 足立 将人(ADACHI, Masato)

*4 山田 容丈(YAMADA, Yasuhiro)

*7 竹内 信雄(TAKEUCHI, Nobuo)

*5 長尾 研治(NAGAO, Kenji)

*8 内川 啓(UCHIKAWA, Kei)

*2 井根 達比古(INE, Tatsuhiko)

*3 田川 浩之(TAGAWA, Hiroyuki)

*6 峯 宣廣(MINE, Nobuhiro)

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