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Green IT 2008

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green it 2008

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 グリーンITに取り組んでいくのにあたり、真っ先に考えなくてはならないのが、IT機器の電力消費と発熱・冷却の問題である。特に最近のブレード・サーバを搭載した場合、サーバ・ラック1台当たりの最大消費電力量が5 〜 30kWと、数年前の10 〜15倍に達することもある。 しかし、データセンター(サーバ・ルーム)の空調は、一般にラック1本当たり0.5 〜2kWの低発熱密度を想定して設計されている。また、冷やしすぎや冷やしムラが発生するため、今日見られる高密度実装型のIT機器の冷却には不向きであるのが現状だ。 この問題を解決するのが、ラック列(Row)単位でIT機器を冷却するというアプローチを採用したAPCジャパンのラック冷却システム「InfraStruXure InRow RC」(以下、InRow RC)である。

 InRow RCは、発熱量が5kWを超えるラックが複数台並ぶようなデータセンターにおいてラック間に設置し、ラックの近傍で熱を処理する水冷方式の冷却ユニットだ。ラック背面から、ホットアイル(暖気通路)に排出される熱気をそのまま「InRow RC」が吸い込んで冷却し、サーバ・ラックのコールドアイル

(冷気通路)に冷却風を戻してやるという仕組みになっている。この仕組みにより、ホットアイルとコールドアイルが完全に分離されるので、冷気と暖気が混ざることがなく、効率の高い冷却が行えるようになる。APCによると、InRow RCを導入することで、ファンの運転に要する電力量は、導入前より約50%も削減できるという。 高密度実装型ラックの場合、何らかの原因で空調が停止すると、ラック内温度は急激に上昇してしまう。InRow RCは、モジュー

ル構造を採用した冷却ユニットの冗長構成、2重電源方式、ケーブル系統と水配管系統の完全分離設計、ホットスワップ対応の前面冷却ファンなどによる高信頼・高可用設計により、そうしたトラブルを回避する。 InRowシリーズではInRow RCのほか、冷 媒 仕 様(空 冷 )のInRow RP DXも提供している。 ■

InfraStruXure InRow RC高密度実装システムの連続安定稼働を支える「ラック列(Row)単位」の冷却メカニズム

エーピーシー・ジャパン http://www.apc.co.jp/products/cooling/

InfraStruXure InRow RC(ACRC100モデル)

 電力の多大な消費がCO2の排出量増大を招き、地球温暖化を加速する。今、企業のIT部門においては、データセンターの“グリーン化”が急務の課題となっている。稼働するサーバ台数の増加に伴ってその消費電力量が増大の一途をたどり、CPUの高性能化やサーバの高集積化により発生した排熱処理にも多大な電力が消費されている。こうしたコストは3年後、サーバの新規導入コストの70%以上に上るとも言われている。 この課題を解決すべく、IBMがグローバルで展開しているのが「Project Big Green」である。同プロジェクトでは、「診断」「建設」

「仮想化」「管理」「冷却」という5つのアプローチから電力コスト削減と環境配慮に成果をもたらすソリューションを企業に提供する。 まず、診断アプローチで、「データセンター・エネルギー効率アセスメント」「サーマル・シ

ミュレーション・サービス」などによりデータセンター環境を測定・診断。これにより、ホットスポットなどエネルギー効率上の問題点が明らかとなり、省電力・発熱対策の目標が設定される。次の建設アプローチでは、IBMの

「データセンター戦略策定フレームワーク」に基づき、ファシリティー・レベルでのデータセンター設計・建設・改修が行われる。ここでは「IBM気流最適化アセスメント・サービス」などが提供される。仮想化アプローチでは、IBMの包括的な仮想化技術の活用でサーバやストレージの仮想統合を図り、エネルギー効率の向上を実現する。増え続けるx86サーバの仮想統合ではブレード・サーバ「IBM BladeCenter」および「IBM Systems」のハイエンド・モデルが核となる。管理アプローチでは、システム管理ソフト「IBM Systems Director」および「IBM Tivoli」により、消費

電力監視、電力ポリシー設定、エネルギー利用率追跡などの電力管理を行う。そして、冷却アプローチでは、三洋電機と共同開発した「IBM Refrigeration Rear Door Heat eXchanger」による、効率のよい冷却のための空調設備サービスが提供され、データセンターの高処理能力と省エネ/省スペースの両立が実現される。 ■

Project Big Green電力コスト削減と地球環境配慮に効果をもたらす「5つのアプローチ」

日本IBM http://www.ibm.com/systems/jp/saiteki/cost_efficiency/energy_efficiency/approach/

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診断

建設冷却

仮想化管理

→現状を知り、 目標を設定

→効率のよい データセンターの 設計・建設・改修

→新しいテクノロジーを 利用して効果的に冷却

→電力管理ソフトウェアで 消費電力をコントロール

→サーバやストレージの 仮想統合

Project Big Greenの5つのアプローチ

 グリーンITを実現するためには、経済的かつ革新的なエコ・テクノロジーを活用した、クライアントからデータセンター、ソフトウェア、サービスに至る包括的なエコ・ソリューションが必要となる。これらをユーザー企業に提供するために、現在、サン・マイクロシステムズが推進するのが「エコ・イノベーション・イニシアチブ」である。 このイニシアチブでは、革新性に加え地球環境への配慮がなされたエコ製品群だけでなく、リソース稼働率を向上させる仮想化テクノロジー、データセンターの高効率運用を実現するサービス、フレキシブル・オフィスを実現するシン・クライアントなど、エネルギー消費とCO2排出量の削減に貢献するITソリューション群を提供している。 エコ製品群で核となるのが新世代CPUのUltraSPARC T2である。1実行スレッド当

たり2W未満、CPU単位で95W未満の電力で動作し、同クラスのあらゆるCPUの中で最大のスループット性能と最小のコア/実行スレッド当たりのW数を誇る。また、AMDのOpteronやインテルのXeonプロセッサを搭載したx64サーバ群も、低消費電力と高い冷却効率を達成している。クライアント側では、安全かつ機動的なクライアント環境として「Sun Rayシン・クライアント・ソリューション」を提供している。 一方、エコ・データセンターに向けた施策としては、サン自身が、同社のデータセンター統合を行って5,000台以上のサーバ、スイッチ、ストレージ機器を90日間で“引退”させ、エネルギー消費量で61%、CO2排出量で3,227トンという大幅な削減に成功している。また、世界初のコンテナ型仮想データセンター「Project BlackBox」は、電力、

設置面積、冷却の問題を一気に解決する革新的な取り組みと言ってよい。 こうしてサンはエコ・イノベーション・イニシアチブを通じて、データセンターの効率を改善し環境負荷を最小化するための包括的で実行可能なアプローチを実践している。 ■

サンのエコ・イノベーションデータセンターの効率改善と環境保護に向けた包括的な製品/ソリューション群

サン・マイクロシステムズ http://jp.sun.com/eco/

サンのUltraSPARC T2プロセッサ(上)とProject BlackBox

GREEN IT | SHOWCASE

 データセンターの省電力化・熱対策を中心に、企業におけるグリーンITへの取り組みが本格化しつつある。そうしたなか、HPはワールドワイドでこのテーマに注力し、データセンターからIT機器の各コンポーネントに至るマルチレベルで製品/サービスを提供している。 データセンター・レベルでは、「スマート・クーリング・ソリューション」として、データセンター全体における熱分布の可視化サービスや、冷却効率の高いレイアウト設計を提案するサービスなどにより、データセンターの“グリーン化”をサポートしている。 ブレード・サー バ「HP BladeSystem c-class」では、独自のサーマル・ロジック技術を採用し、高集積型のフォームファクターながらも省電力・低発熱の製品を実現している。また、2007年9月より提供が始まった

従量課金プログラムにも注目だ。これは、同製品に搭載された省電力機能「ダイナミック・パワー・セーバー」の利用促進をねらったもので、同機能の省電力効果で抑制されたCO2排出量に応じて、ユーザーのサーバ利用料金を割り引くユニークなプログラムだ。 こうしたCO2排出量抑制を促す試みが示すように、HPは、グリーンITの先にある地球環

HPのグリーンITソリューション地球環境保護に貢献するさまざまな施策/製品/サービスをグローバルに展開

日本ヒューレット・パッカード http://www.hp.com/jp/pandc/

境保護のために、積極的な活動をグローバルに展開している。例えば、2007年11月には温室効果ガスの低減を目指し、サンディエゴに5,000枚のソーラー・パネルを設置した。 一連の取り組みを通してHPは、2010年に企業活動/製品による消費エネルギーを2005年実績比で20%低減することを約束し、経過をWebサイトで報告している。 ■

ソフトウェア・アプローチ

ダイナミック・スマート・クーリング

サーマル・アセスメント

データセンター全体最適化水冷ラック

ITシステムの統合/仮想化

運用管理の自動化・最適化

インフラ・アプローチ

ブレード・サーバ

ブレードPC

多様なサーバ群

製品単位の省電力化

スプレイ・クーリング

Itanium

HPのグリーンITソリューション

 地球環境問題への対策が世界的に叫ばれるなか、日立製作所ではデータセンタ省電力化プロジェクト「C

クールセンター

oolCenter50」を2007年10月からスタートさせるなど、複数の取り組みを展開している。 CoolCenter50とは、今後5年間でデータセンタの消費電力量を最大50%まで削減することを目指すプロジェクトである。 近年、データセンタの消費電力量はIT機器の高密度化や消費電力量の増大に伴って著しく上昇しており、省電力化への対応は喫緊の課題となっている。この解決のため、IT機器だけでなく、空調や電源設備を含めた包括的な省電力化が必要である。データセンタに必要なIT機器、設備を幅広く製品化している日立では、それらを省電力化する技術やデータセンタの設備環境を最適化する技術の開発を推進し、日立の技術力でデー

タセンタの省電力化活動をリードしていく。 日立は2007年11月に、CoolCenter50に関連するIT省電力化プランを策定した。このプランでは、今後5年間で累計33万トンのCO2削減が掲げられている。このプランを実施しなかった場合、2007年度と同量のCO2が毎年排出されると想定したうえで、その排出量の削減に取り組んでいる。 そして、このプランを具現化する省電力型製品として同社は、統合サービスプラットフ ォー ムBladeSymphony

「BS320 es サーバブレード」およびアドバンストサーバ

「HA8000-es」、ミッドレンジストレージ「Hitachi Adaptable Modular Storage」「Hitachi W o r k g r o u p M o d u l a r

Storage」、スイッチ・ルータ「CommuniMax AXシリーズ」などを提供している。 また、サーバの冷却にはスーパーコンピュータでの実績を基に、気化熱を利用した効率的なヒートシンク技術を開発するなど、部品、装置、運用の各レベルにおける省電力化技術の開発が同プランの一環として進められている。 ■

CoolCenter50データセンタの全体最適化により、その総消費電力量を50%低減するプロジェクト

日立製作所 http://www.hitachi.co.jp/

IT省電力化プランに基づくIT製品の省電力技術開発

データセンタ省電力化プロジェクトCoolCenter50

・運用レベル・装置レベル・部品レベル

5年間のCO2排出量を33万トン削減

(東京23区の1.2倍の森林面積に相当)

5年後のデータセンタ消費電力量を50%低減

空調機 UPS 変圧器

適用

Green ITへの取り組みの概要