32
研究主題 空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み 「直線と平面の位置関係」におけるコンテンツ開発とその活用を通して 補助資料 ○補助資料1「空間図形」の単元指導計画と評価計画・・・・・1~3 ○補助資料2「直線と平面の位置関係」の単位時間指導計画・・4~7 ○補助資料3「直線と平面の位置関係」のワークシート・・・・8~15 ○補助資料4「空間図形」の確認シート(実態調査用紙)・・・・16~17 ○補助資料5 検証授業(校内授業研究)用指導案・・・・・・・18~25 ○補助資料6 生徒記入ワークシートなど・・・・・・・・・・26~27 ○補助資料7 生徒の変容調査から・・・・・・・・・・・・・ 28 ○補助資料8 コンテンツの画面例・・・・・・・・・・・・・29~31 平成19年度長期研修員C 七ヶ宿町立七ヶ宿中学校 川村 陽一

補助資料mnavidata.edu-c.pref.miyagi.jp/manage/wp-content/uploads/...研究主題 空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み -

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • 研究主題空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

    - 「直線と平面の位置関係」におけるコンテンツ開発とその活用を通して -

    補助資料

    目 次

    ○補助資料1「空間図形」の単元指導計画と評価計画・・・・・1~3

    ○補助資料2「直線と平面の位置関係」の単位時間指導計画・・4~7

    ○補助資料3「直線と平面の位置関係」のワークシート・・・・8~15

    ○補助資料4「空間図形」の確認シート(実態調査用紙)・・・・16~17

    ○補助資料5 検証授業(校内授業研究)用指導案・・・・・・・18~25

    ○補助資料6 生徒記入ワークシートなど・・・・・・・・・・26~27

    ○補助資料7 生徒の変容調査から・・・・・・・・・・・・・ 28

    ○補助資料8 コンテンツの画面例・・・・・・・・・・・・・29~31

    平成19年度長期研修員C 七ヶ宿町立七ヶ宿中学校 川村 陽一

  • - YK補助資料1 -

    補助資料1 単元の指導計画と評価計画太枠は本研究にかかわる「空間における直線と平面の位置関係」に当たる部分単元の指導計画と評価計画 (全13時間) ☆

    節 項 時 学習内容 コンテンツ活用 評価規準(B)の状況 評価観点 十分満足できる(A)の 努力を要する(C)の状況数 (用語・記号) の視点 【評価方法】 関 考 表 知 状況 への手だて

    1 扉 1 ○付録などを使 ○ 励ましの言葉を掛ける①実際に多面体を作る ①試行錯誤しながらも ①① っていろいろな とともに,つまずいていことに関心をもち,作 多面体を,よりたくさ

    い 立体を作り,で る部分を把握し,助言をった立体について調べ ん作ろうとしている。ろ きた立体の辺や 与える。ようとする 【観察】。い 面,頂点につい ②多面体の面や辺や頂 ○ ②多面体の面や辺や頂 ②数える際には,できあろ て調べること 点の数を調べることが 点について,よりたく がった多面体の頂点や辺な できる。 さんの多面体で調べる にマジックで印を付けさ立 【観察・ノート】 ことができる。 せる。体 1 1 ○多面体の意味 ○具体物が足り ○ ① ①頂点や面や合同という①多面体が正多面体 多面体の面の多角多 ○正多面体の意 ない場合に,正 言葉を確認する。であるかどうかを判 形の形に着目して,

    断することができ 正多面体について考面 味とその種類 多面体を表示する 察することができ体 ○正多面体の辺 るコンテンツを 。【観察・ノート】

    る。① や頂点などにつ 補助的に用いていて調べること 特徴を観察させ ② ○ ② ②頂点や面や合同という多面体や正多面体 正多面体が5種類(多面体,正多 る。(WEB※1) 言葉を確認し,定義につの意味を理解してい しかない理由につい面体) 【観察・ノート】 いて確認する。る て理解している。。

    2 1 ○立体を底面の ① ○ ① ①形の特徴を言わせなが立体図形を底面の 柱体や錐体を底面い 数や形に着目し らそれぞれの立体の名前数に着目して分類す の数や形や側面の形ろ て分類すること を確認し,具体物を手にることができる。 状などいろいろな観い ○角柱,円柱の 【観察・ノート】 取らせながら,教師が示点に着目して分類すろ 意味とその共通 した観点で分類させる。ることができる。な 点や異なる点立 ○角錐,円錐の ②円柱,角柱や角錐, ○ ②円柱,角柱や角錐, ②底面の形や全体の形な体 意味とその共通 円錐を理解している。 円錐の意味やそれぞれ ど立体の特徴を言わせ,① 点や異なる点 【観察・ノート の特徴を理解してい 一つずつ名前を覚えるよ

    ○錐体と柱体の ・小テスト】 る。 うにさせる。共通点異なる点(角柱,円柱,角錐,円錐)

    2 1 1 ○点や直線が平 ○平面的な見方 ①空間における点や直 ○ ①身近な具体物や図な ①生徒の様子を観察し,直 面上にあること から空間を意識 線や平面の位置関係に どを用いて,空間内の 励ましの言葉掛けを行う

    立 線 の意味 した多面的な見 関心をもち,それらの 直線や平面の位置関係 とともに,具体物などを体 や ○直方体の対角 方で空間図形を 空間での様子を考えよ について表現しようと 手に取らせるなどして対の 平 線 とらえる必要性 うとする【観察】 する。 応していく。。い 面 に気付かせる。 ②空間図形としてのと ○ ②空間では一方向から ②必要なことをワークシろ の (コンテンツ※1) らえ方を知り,点や直 の見方では正しく表現 ートに記入させ,本人にい 平 (コンテンツ※2) 線が平面上にあるとい できないことを説明で コンテンツを操作させたろ 行 (コンテンツ※3) うことの意味を理解し き,直方体における平 り,具体物を手に取らせな と ている。 面上の点や辺を正確に たりしながら個別指導を見 垂 観察・ワークシート 答えることができる。 行う。【 】方 直 1 ○2平面のつく ○2点を含む平 ①空間内の2点を通る ○ ①空間の2点を含む平 ①個別指導により,語句④ る角と平面と平 面の様子を観察 (含む)平面は2点を通 面の様子から,平面と を確認しながら本人にコ

    面の垂直 し,平面と平面 る直線を軸とした周り 平面の角度に気付き, ンテンツを操作させるな○平面が3点で の交わりが直線 にできることや平面と 平面と平面の垂直につ どして特徴に気付かせ決まること になる様子や平 平面の交わりは直線と いて説明できる。 る。

    面が2点を通る なることを理解してい直線を軸とした る ②平面の決定につい ②平面が決まると言う考。【 】観察・ワークシート周りに無数にで ②空間内の3点を含む ○ て,空間において3点 え方を,一例として平面きる様子をとら 平面の決定について論 のうちの2点を含む平 がぐらつかない状態と考えさせる。 理的に考えることがで 面は,その2点を通る え,三脚や1本だけ足の○三つの点を含 きる。 直線を軸とした周りに 長さが違う四脚テーブルむ平面は一つに 観察・ワークシート 無数にできるが,三つ を例に出しながら説明す【 】決まることを, 目の点を通る平面はそ る。とらえやすくさ のうちの一つしかなせる。 い。よって平面は三つ(コンテンツ※4) の点で決まるなどと説(コンテンツ※5) 明できる。

    1 ○平面と平面の ○平行な平面に ①空間内の直線や平面 ○ ①直方体以外の立体に ①平行という意味を確認平行 一つの平面が交 の平行を理解し,空間 おいても辺の平行や平 し,直方体の具体物を手○直線と平面の わった様子を観 においては直線と直線 面の平行,辺と平面の に取らせながら個別指導平行 察させ,とらえ が交わらなくても平行 平行や辺のねじれの位 を行う。○ねじれの位置 させる。 ではない場合があるこ 置にある辺を正しく指にある意味 ○提示の工夫に とを理解している。 摘することができる。

    【 】○平行な二つの より平行な平面 観察・ワークシート平面に一つの平 に一つの平面が ②平行な2平面に一つ ○ ②二つの交線はそれぞ ②平行の定義を確認し,面が交わってで 交わった交線が の平面が交わったと れ平行な平面上の直線 考え方の一つ一つについきる二つの直線 平行になる理由 き,交線はどうなって であるから交わらな て確認しながら説明してについて に気付かせる。 いるのか考察できる。 い。また同時に交わっ いく。(ねじれの位置) (コンテンツ※6) 観察・ワークシート ている一つの平面上に【 】

    あるので,同じ平面上にあって交わらないから平行といえるなどと説明できる。

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料2 -

    太枠は本研究にかかわる「空間における直線と平面の位置関係」に当たる部分単元の指導計画と評価計画 (全13時間) ☆節 項 時 学習内容 コンテンツ活用 評価規準(B)の状況 評価観点 十分満足できる(A)の 努力を要する(C)の状況

    数 (用語・記号) の視点 【評価方法】 関 考 表 知 状況 への手だて1 ○直線と平面の ○一方向から見 ①空間における点や直 ○ ①身近な具体物や図な ①生徒の様子を観察し,垂直とその判定 ると平面と直線 線や平面の位置関係に どを用いて,空間内の 励ましの言葉掛けを行う○点と平面の距 が垂直に交わっ 関心をもち,それらの 直線や平面の位置関係 とともに,具体物などを離 ている様子を示 空間での様子を考えよ について表現しようと 手に取らせるなどして対○柱体,錐体の し,いろいろな うとする【観察】 する。 応していく。。高さ 方向から確認し ②身近なものなどを用 ○ ② ②紙やペンなどの具体物直線や平面の位置関○問題練習 なければならな い,空間における直線 を用いながら,どのよう係を用語を用いて的確○空間内の直線 いことに気付か や平面の位置関係に, な位置関係があるか一つに説明したり,分類しや平面の位置関 せる。 どんな場合があるか表 一つ考えさせながらまとたりすることができ係を分類する。 (コンテンツ※7) 現することができる。 めていく。る。

    【 】観察・ワークシート2 1 ○平面図形を移 ○面が重なって ○ ①立体の名前について確①面や立体を,線分や ①空間図形が,直線や面 動させて立体が 立体となる様子 認した後に動画コンテン平面図形の運動によっ 平面図形の運動によっの できること を観察させる。 ツを見せながら,どんなて構成されているとい て構成されるという見動 ○回転体,母線 (WEB※2) 形の立体ができるか考えう見方で見ることがで 方をもとに,軸に垂直き の意味 ○自分がかいた させる。きる。 な切断面や軸を含む切

    断面を考察できる。① ○回転体の特徴 いろいろな図形 【観察・ノート】(母線,回転体, を回転させてで ○ ②平面図形の名称や回転②直線や平面図形の運 ②与えられた空間図形見取図) きる立体を観察 軸,母線などの語句,底動として空間図形の構 が,どんな線分や平面

    させる。 面の図形の名前を確認成のしかたをとらえ, 図形の運動によってで(WEB※3) し,立体の名前を理解さそれを説明することが きるのか,移動や母線

    せる。できる。 や回転体などの用語を【観察・ノート】 用いながら図示するこ

    とができる。3 1 ○角柱,円柱の ○円柱を展開し ○ ①立体の見取図や展開図①見取図や展開図を ①見取図や展開図を適立 展開図 ていく様子を動 がどのようになるのか確目的に応じて用い, 切に用いて,空間図形体 ○角錐,円錐の 画で観察させ 認する。空間図形の性質を平 の性質を見いだし,考

    面図形に帰着させて えることができる。の 展開図 る。考察することができ展 (WEB※4)る 【観察・ノート】開 。

    図 ○ ②具体物で立体の名前を②見取図や展開図を ②見取図,展開図の役② 確認し,その立体の見取用いて空間図形を表し 割と特徴を理解し,目

    図や展開図がどのようにたり,展開図から空間 的に応じて見取図や展なっているのかを確認す図形をよみとったりす 開図を用いて空間図形る。図をかくことにつまることができる。 を表したり,見取図や

    【観察・ノート】 ずいている場合は,図を展開図から空間図形の透かして写し取らせてか性質をよみとったりすかせる。ることができる。

    1 ○おうぎ形の弧 ○円錐の弧の長 ○ ①生徒の様子を観察し,①おうぎ形の弧の長さ ①おうぎ形の求積方法の長さや面積が さと半径からお 励ましの言葉掛けを行うや面積について,求め について,平面図形の中心角に比例す うぎ形の面積を とともに,具体物を準備方を考えようとする。 求積や小学校で学習しること 求める考え方を して対応する。【観察】 たことなどと関連づけ

    て考えようとする。○おうぎ形の中 示した動画を見心角を求めるこ ることで公式を ○ ② ②比例とはどういう意味②おうぎ形の弧の長 中心角と面積や弧と 理解しやすくさ だったか確認するとともさや面積が中心角に の長さは比例すると○おうぎ形の半 せる。 に,円の周や面積の求め比例することを利用 いう見方で見ること径と中心角から (WEB※5) 方に関係していることにして,その求め方を ができ,面積や弧の弧の長さや面積 気付かせていく。考えることができ 長さの求め方を考察

    る 【観察・ノート】 することができる。を求めること 。3 1 1 ○表面積,側面 ○ ①表面積とはどういうも①立体の表面積の求め ①表面積の求め方を,表 積,底面積の意 のなのかを確認し,面積方を考えることができ 展開図の面積や平面図

    立 面 味 【観察・ノート】 を求めることに関係してる 形,小学校で学習した。体 積 ○柱体の表面積 いることに気付かせる。ことなどと関連づけて

    ②角柱,角錐,円柱, 考えることができる。の ① を求めること表 ○錐体の表面積 ○ ②三角形や円の面積の求円錐の表面積の求め方 ②おうぎ形の求積で中面 を求めること め方を確認し,展開図のを説明することができ 心角を用いない求め方積 (表面積,側面 面積を求めることを確認る 【観察・ノート について説明すること。と 積,底面積) して計算させる。・小テスト】 ができる。体 2 1 ○角柱,円柱の ○ ①直方体の体積の求め方①柱体の体積の求め ①角柱や円柱の体積積 体 体積を求めるこ (縦×横×高さ)を確認方を,直方体の体積 を求める式を,底面積 と し,縦×横で底面積が求をもとに考えること 積と高さの積を表し① ○錐体と底面積 められていることに気付ができる。 たものと見ることが

    が等しく高さも 【観察・ノート】 かせる。できる。等しい柱体との ○ ②柱体が底面の移動によ②角柱,角錐,円柱, ②角柱 角錐や円柱, ,体積の関係 ってできた立体と見られ円錐の体積の求め方を 円錐の体積の求め方○角錐,円錐の たことを思い出させ,立理解している。 を説明することがで体積を求めるこ 【観察・ノート 体の体積の求め方を確認きる。と ・小テスト】 していく。

    章のA 1 ○問題練習●略記表現について【関】数学への関心・意欲・態度【考】数学的な見方や考え方【表】数学的な表現・処理【知】図形についての知識・理解

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料3 -

    単元の指導計画で扱うコンテンツのリンク

    自作コンテンツ

    コンテンツ※1 空間図形の見方を知る~直方体の観察

    コンテンツ※2 空間で1点を通る無数の直線の様子~2点を通る直線は一つに決まる様子

    コンテンツ※3 空間で並んで見える三つの点に直線がひけるか

    コンテンツ※4 1点を含む平面の様子

    コンテンツ※5 2点を含む平面の様子~平面の角度~平面は3点で決まる様子

    コンテンツ※6 平行な平面に一つの平面が交わる様子

    コンテンツ※7 平面と直線が垂直な様子

    インターネット上のコンテンツ

    http://www.geocities.jp/regulardodecahedron2000/Polyhedron/polyhedron.htmlWEB※1 正多面体の観察

    (図形をマウスで操作)

    http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/e1math/e1kuka/e1kuk3/IPA-mat280.htmWEB※1-1 正多面体の展開

    (辺の数などの動画など)

    ( )WEB※2 底面の移動操作 図形をマウスで操作http://www3.plala.or.jp/yat/heimenidou1/heimenidou1.htm

    ( , )WEB※2-1 動画コンテンツ 四角柱 円柱の高さhttp://www.dainippon-tosho.co.jp/mext/nhk/jhs_01/C10.mpg

    WEB※2-2 動画コンテンツ (円柱と三角柱)http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/e1math/e1kuka/e1kuk4/e1rit1.mpg

    http://www.vector.co.jp/download/file/win95/art/fh414154.htmlWEB※3 回転体ソフト

    (Free回転体forWin32)

    WEB※3-1 動画コンテンツ (三角錐)http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/e1math/e1kuka/e1kuk4/e1rit2.mpg

    http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/e1math/e1kuka/e1kuk4/e1rit3.mpgWEB※3-2 動画コンテンツ

    (穴の開いた回転体)

    http://www.dainippon-tosho.co.jp/mext/nhk/jhs_01/C11.mpgWEB※3-3 動画コンテンツ

    (回転体:こま,ドーナツ)

    WEB※4 動画コンテンツ (円柱の表面積)http://www.dainippon-tosho.co.jp/mext/nhk/jhs_01/C13.mpg

    http://www.dainippon-tosho.co.jp/mext/nhk/jhs_01/C14.mpgWEB※5 動画コンテンツ

    (おうぎ形の面積 応用)

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料4 -

    補助資料2 単位時間ごとの指導計画

    本時の目標

    ① 空間における点や直線や平面の位置関係に関心をもち,それらの空間での様子を考えようとする。【関】

    ② 空間図形としてのとらえ方を知り,点や直線が平面上にあるということの意味を理解する 【知】。

    指導過程(本時1/4時間)

    主な学習内容(○)と留意点(・) コンテンツ活用( ) 主な発問(◎) 発表場面(☆) 評価□

    導 1 本時の学習内容を知る 立体のいろいろな見方 観点「 」

    入 ○平面は限りなく広がっていると考えること。 平面の広がりをイメージさせる写真(グランドや草原等)を

    3 ・直線は両方に限りなく伸びていることの確認。 提示する。 【とらえ方を豊かにする】

    展 2 立体を空間図形としてとらえること

    【 】開 ○立体を扱う際に辺は直線,面はどこまでも広がっ 辺や面の広がりや,直線が平面に含まれているイメージを 関

    40 ている平面と考えることがあることを知る。 示しながら点(頂点)や直線(辺)がどの面(平面)上にあるか

    ・直方体について簡単に復習する。 (含まれているか)指名しながら答えさせる。

    ○点や直線が平面上にある(平面に含まれる)という 【とらえ方を豊かにする】

    【 】表現を理解する。 ☆平面上にある(含まれる)とはどういうことか。 知

    3 空間における直線の決定

    ・初めはあえて空間を意識させないでおく。 ◎ワークシートの点Aを通る直線を一つかかせ,それ以外の

    ○既習事項の確認として,一つの点を通る直線は無 直線をかくことができないか確認する。→他にもあるので直

    数にあるが,2点を通る直線は一つに決まること 線は一つに決まらない。

    を確認する。 ◎ワークシートの二つの点A,Bを通る直線をかかせ,それ

    ・直線が決まるというのは,他にはかくことができ 以外の直線がかけるか確認する。→それしかかけないので直

    ない意味であることを確認する。 線は一つに決まる。

    《予想される生徒の反応》 ◎三つの点を通る直線をかくことができるか。→並んでいれ

    ◇点を三つ並べれば簡単にかける。 ばかけるというとらえを確認する 〔グループ学習〕。

    【 】○平面的なとらえ方から空間を意識した見方(いろ ◎空間において三つの点を通る直線がかけるだろうか。 関

    いろな方向から考えること)ができるようにする 生徒が想定すると思われる三つの点のとらえ方を,意図的。

    ・初めからコンテンツを見せずに に一方向から見た場合を示す 【意図的な提示】, 。

    少し考えさせてから提示する。 ◎点A,B,Dのようなら,本当に直線がかけるだろうか。

    《予想される生徒の反応》 空間では,一方向から見て一直線に見えても,実際は一直

    ◇A,B,Dのように並んでいる 線でない場合を見せる。 【とらえ方を豊かにする】

    ときはかけるが A B Cだったらかけない →ただ並んでいてもかけないということに気付かせる。, , , 。

    ・空間図形は,いろいろな方向から考えることが大 ☆空間で三つの点を通る直線は点が並んでいればかけるか。

    【 】切である理由を確認させ合う。 〔グループ学習〕 知

    ・点や直線を空間上でとらえ直して確認する。 ◎空間で一つの点を通る無数の直線はどうなっているか。

    ・初めの一つの点や二つの点を通る直線についても 空間において一つの点を通る無数の直線とはどのようにな

    。 【 】空間的にとらえ直し,一つの点のときは「ウニ」 っているのか示す とらえ方を豊かにする

    や「いがぐり」のように見えることをワークシー ◎二つの点を通る直線は一つに決まるといったが,空間にお

    トに記入させる。 いても一つに決まるだろうか。

    ・直方体には八つの頂点があるが,そのうちの2点 1点を通る直線は無数にあるが,2点を通るのは一つしか

    を通る直線は一つに決まる。 ないというイメージを示す。 【とらえ方を豊かにする】

    ○直方体の対角線を理解する。(対角線とは同じ面 ◎直方体の「同じ面上にない二つの頂点」を結ぶ線分をワー

    上にない二つの頂点を結ぶ線分のこと) クシートにかき込みなさい。

    。 【 】・同じ面上にない二つの頂点を確認する。 ☆直方体の対角線とは何か。いくつあるのか 〔ペア学習〕 知

    【 】終 4 本時を振り返る 関

    結 ・直線や平面の広がりを意識すること。 錯視の作品や不可能立体等を提示し,一方向からの見方に

    7 ・いろいろな方向から考えようとすること。 とらわれずに多角的に考えることの大切さを意識させる。

    【 】・同じ平面上にあるということ→直方体の対角線。 とらえ方を豊かにする

    ・ただ並んでいるという表現から空間的なとらえ方 ◎三つの点を通る直線がかけるときはどんなときだといえば

    を意識した表現が加わるようになればよい。 よいだろうか。→ワークシートに記入させる。

    ・C

    ・ ・ ・A B D

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料5 -

    本時の目標

    ① 空間内の2点を通る(含む)平面は2点を通る直線を軸とした周りにできることや,平面と平面の交わりは直線と

    なることを理解する 【知】。

    ② 空間内の3点を含む平面の決定について論理的に考えることができる 【考】。

    指導過程(本時2/4時間)

    主な学習内容(○)と留意点(・) コンテンツ活用( ) 主な発問(◎) 発表場面(☆) 評価□

    導 1 既習事項の復習を行う 観点

    入 ○自分でかいた直方体の見取図を基に前時の復習 辺や面の広がり,点や直線が平面上にあるイメージをいろ

    10 (直方体の対角線)をする。 いろな方向から観察させ復習する。そして,見取図でかい

    ・直方体のいろいろな見え方と見取図のかき方。 たことがない方向で直方体を止めて見取図をかく。

    ・全くかけない生徒は透かして写し取らせる。 【とらえ方を豊かにする】

    展 2 本時の学習内容を知る「平面の決定」

    開 ・すぐに結果を示さずに,少し考えてイメージさせ ◎一つの点を含む平面は一つに決まるだろか(→一つの点を

    35 てからコンテンツを見せる。 含む平面はどのようになっているだろうか。前時と同様にし

    《予想される生徒の反応》 て平面はどんなときに一つに決まるのか調べていく)。

    ◇なんかぐちゃぐちゃしてて分からない。 一つの点を含む平面の様子をコンテンツで見せる。

    ◇球のようになる。 【とらえ方を豊かにする】

    ○一つの点を含む平面はたくさんあって,一つには

    決まらない。

    ・気付いたことをワークシートにかかせる。 ◎二つの点を含む平面はどのようになっているだろうか。

    《予想される生徒の反応》 二つの点を含む平面の様子をコンテンツで見せる。

    ◇回転ドアや水車のようだ。 【とらえ方を豊かにする】

    ◇交わったところが直線になっている。 ◎気付いたことをワークシートに記入しよう(→平面と平面

    ◇直線を軸とした周りに平面ができている。 の交わりの部分はどのようになっているか。どんなものに似

    ○点が二つのときは,その2点を通る直線を軸とし ているだろうか)。

    【 】た周りに無数の平面ができる。 ☆二つの点を含む平面はどのようになっているのか。 知

    ○平面と平面の交わりは直線になっている。 〔グループ学習〕

    ○二つの点を含む平面は一つには決まらない。 ◎平面と平面の角度と言われたら,どこを計ればよいか。

    【 】○平面と平面の角度を理解し,平面と平面の垂直を ☆平面と平面の角度が垂直になっているとはどういうこと 知

    説明できる。 か。 〔グループ学習〕

    【 】3 空間における平面の決定 考

    , ,・平面が決まるというのは,それ以外の平面がない ◎点が一つや二つでは平面は決まらないが 点が三つならば

    ということ(直線の決定の場合と関連させる)。又 一つに決まるか(三つの点を含む平面はどうなっているか)。

    は,指先を点,ノート等を平面としたときに,ぐ 二つの点を含む平面の様子を見せながら,三つ目を含むも

    。【 】らぐらしないこととも同じであると知らせる。 のが一つしかない様子を見せる とらえ方を豊かにする

    ○3点のうち二つを含む平面はいくつもあるが,そ

    の中で三つ目の点を含むものは一つしかない。 ☆三つの点を含む平面は一つに決まるか 〔グループ学習〕。

    ○3点が一直線に並んでいると2点のときと同じだ ◎空間上に三つの点があれば,どうなっていても平面が一つ

    から平面は決まらない。空間で平面を一つに決め に決まるか(→三つでも決まらないときはないか)。

    るには,同一直線上にない3点が必要。

    ・同一直線上にない3点とは一つの直線とその直線

    上にない1点とも言える。また,交わる2直線や

    平行な2直線(ただの2直線では不可)とも言い換

    。〔 〕えられる。 ☆どのような場合に平面は一つに決まるか グループ学習

    終 4 本時を振り返る

    結 ・2点を通る(含む)平面の特徴はどうなっていたか

    5 ・平面が一つに決まるには点がいくつ必要か

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料6 -

    本時の目標

    ① 空間においての直線や平面の平行のとらえ方を豊かにし,理解するなかで,空間においては直線と直線が交わら

    なくても平行ではない場合があることを理解する 【知】。

    ② 平行な2平面に一つの平面が交わったとき,交線はどうなっているのか考察できる 【考】。

    指導過程(本時3/4時間)

    主な学習内容(○)と留意点(・) コンテンツ活用( ) 主な発問(◎) 発表場面(☆) 評価□

    導 1 既習事項の復習を行う 観点

    入 ・平面や直線の広がりのイメージを確認する。

    4 ・平面と平面の交わりが直線になっていることを確認する。

    【 】展 2 本時の学習内容を知る「空間における平行」 知

    開 ・初めは,直方体などの具体物で表現させながら, ◎平面と平面が平行とはどういうことだろうか。→どこまで

    40 身近なものを利用した言葉や見取図等で表現でき 行っても交わらない。直方体の底面。天井と床…。

    るようにしていく。 直方体を基にした平行な二つの平面をいろいろな方向から

    。 【 】○2平面の平行,直線と平面の平行は「どこまで行 示す とらえ方を豊かにする

    っても交わらない」という表現で表すことができ ☆平面と平面が平行とはどういうことか 〔グループ学習〕。

    る。(交わると含むの場合の違いも確認する)

    ・直方体の一つの底面上にある直線と,その直線を ◎直線と平面が平行とはどういうことだろうか。→どこまで

    含まない底面は平行であること。 行っても交わらない。底面の対角線ともう一つの底面。

    ・直方体以外の空間図形でも確認する。 直線と平面が平行である様子をいろいろな方向から示した

    ・直線と平面の平行の様子をワークシートに図示さ あと,実態調査で用いた図を振り返り,見る方向で図のよ

    せる。理解が深まっている生徒には,直方体の底 うに見えることを確認する。 【とらえ方を豊かにする】

    面の対角線ともう一つの底面から図示させる。 ☆直線と平面が平行とはどういうことか 〔グループ学習〕。

    ・具体物で示すことができても 言葉にしたときに ◎空間での直線と直線の平行とはどういうことか。→具体物, ,

    注意が必要。 で表現したらどうなるか。

    《予想される生徒の反応》 ◎交わらなければ平行なのだろうか。→直方体のコンテンツ

    ◇どこまで行っても交わらない。 を利用し,交わらないが平行でない直線に気付かせる。

    ◇間隔がずっと同じ。 ◎空間内で直線と直線が平行であることは,どのように言え

    ○一つの平面上(同一平面上)にあってどこまで行っ ばいいだろうか。

    ても交わらない二つの直線は平行である。 直方体のコンテンツで平行な直線(辺)を見せ,平行な場合

    ○同一平面上にあるということの確認。 は2直線が同じ平面上にあることを確認する。→切断,直

    【 】方体の対角線の長さへの発展 とらえ方を豊かにする

    。〔 〕☆空間で2直線が平行とはどういうことか グループ学習

    ○空間では平行でないのに,交わらない2直線が存 直方体のコンテンツで,平行でないのに交わらない直線を

    在した。その2直線のことを「ねじれの位置」に 見せ,具体物と併せてねじれの位置を確認する。

    【 】あるという。→身近な具体物で確認する。 とらえ方を豊かにする

    【 】3 発展課題に取り組む 考

    ・図を提示しないで,どういうことを言っているの ◎平行な二つの平面に一つの平面が交わるとき,交わってい

    か,身近なものなどを利用して表現させる。 る部分はどうなっているか。→平面と平面が交わると,その

    ・平面と平面の交わりの線(交線)は直線になること 交わった部分はどのようになっていたか。

    を確認する(既習事項)。 平行な二つの平面に一つの平面が交わっている様子をコン

    。 【 】・予想を立てさせてからコンテンツを示す。 テンツで示す とらえ方を豊かにする

    《予想される生徒の反応》 ◎二つの直線は平行なのだろうか。→どうして平行といえる

    ◇平行になっている。 ◇線になっている。 のか。→どうなっていれば平行と言えただろうか。

    ◇何を言っているのか分からない。

    ・なぜそう言えるのか,理由を問いかけながら説明 平行な二つの平面に一つの平面が交わっている状態から,

    させることで,その後の論証指導につなげる。 交わっている一つの平面を消す。次は平行な二つの平面の

    ・二つの交線は,それぞれ平行な平面上の直線であ 方を消す。 【とらえ方を豊かにする】

    るから交わらない。同時に,交わっている一つの

    平面上にあるので,同じ平面上にあって交わらな ☆平行な二つの平面に一つの平面が交わるとき,交線は平行

    いから平行といえる。 といえるか 〔グループ学習〕。

    ○平行な二つの平面に一つの平面が交わるとき,交

    わりの線(交線)は平行である。

    終 4 本時を振り返る

    結 ・空間における直線と平面の位置関係を整理する。

    6

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料7 -

    本時の目標

    ① 空間における直線や平面の位置関係に関心をもち,それらの空間での様子を表現しようとする 【関】。

    , , 。② 身近なものなどを用いて 空間における直線や平面の位置関係には どんな場合があるか表現することができる

    【表】

    指導過程(本時4/4時間)

    主な学習内容(○)と留意点(・) コンテンツ活用( ) 主な発問(◎) 発表場面(☆) 評価□

    導 1 既習事項の復習を行う。 観点

    入 ・前時の直線と平面の位置関係を振り返る

    4 ・垂直について確認する(具体物や図において)

    【 】展 2 空間における垂直 関

    開 ・直線と直線の垂直の確認。(既出) ◎空間において2直線が垂直に交わっているとは,どんな様

    40 ・平面と平面が垂直であることの確認。(既出) 子か。→具体物や身近なものを利用して説明。→本当に垂直

    ・ペンやノートなどの具体物で表現させる。 なのか確認する方法は?(三角定規を利用させる)

    ・平面的に考えないで,空間図形としてのとらえ方 ◎直線Lに対して二つの直線M,Nがそれぞれ垂直に交わっ

    を意識させる。 ている。このとき,直線Mと直線Nは平行といえるか。→ね

    じれの位置にある場合があるので常に平行とはいえない。

    ☆常に平行とは言えない理由を説明しなさい 〔ペア学習〕。

    ◎空間において二つの平面が垂直に交わっているとは,どん

    な様子か。→具体物や身近なものを利用して説明。→本当に

    垂直なのか確認する方法は?(三角定規を利用させる)

    , 。◎平面Pに対して平面Q Rがそれぞれ垂直に交わっている

    このとき,平面Qと平面Rは平行といえるか。→常に平行で

    ある。

    ◎空間において直線と平面が垂直になっているとは,どんな

    《予想される生徒の反応》 様子か。→具体物や身近なものを利用して説明。→本当に垂

    ◇どこから見ても傾いていない。 直なのか確認する方法は?(三角定規を利用させる)

    ◇面と直線の角度を測って90度になっている。 面と直線の角度を測って90度になっている(一方向から見

    ◇どこから測っても90度になっている。 て垂直に見える)図を示した後にいろいろな方向から見る

    と,垂直でないことを示す。 【とらえ方を豊かにする】

    ◎直線と平面が垂直だということは,全部の方向から測って

    ・教科書からその方法を探させる。→三角定規を二 調べないと言えないことだろうか。→最低何本調べればいい

    つ使う方法を実際に確かめる。 か。→2本でいい理由→平面の決定から。

    ・直線と平面の交点を通る二つの直線に対して垂直 ◎どのようにすれば,最も簡単に直線と平面が垂直であるこ

    であることを調べればよい。→平面は二つの交わ とを調べられるか。→教科書になかったか。→三角定規が二

    る直線によって決まることの利用。 つあればできる。→二つでいい理由。→平面の決定から。

    ○垂直になっている線は垂線といい,空間上の点か

    「 」ら平面に降ろした垂線の長さを 点と平面の距離

    という。また,立体の一部から,その立体の底面

    に降ろした垂線で最も長いものを その立体の 高 ☆「点と平面の距離」と柱体や錐体などの「立体の高さ」は, 「

    さ」という。 どこが違うのか 〔グループ学習〕。

    【 】3 直線と平面の位置関係をまとめる。 ◎直線と平面の位置関係をにはどのようなものがあったか。 表

    ・具体物などを用いて位置関係を表現させる。 →グループごとに考えさせ,発表したものを身近なもので表

    ・確認ボードを用いてクイズ形式で行う。 現し,整理していく。

    ・表の規則性からも推測させる。

    終 4 本時を振り返る

    結 ・ワークシートの直線と平面の位置関係について確

    6 認する。

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料8 -

    B C

    A D

    GF

    E H

    ななめ下の方から見た見取図図2

    A D図1

    B C

    E H

    F G

    注:メモの※部分は記入例補助資料3 ワークシート 年 月 日

    第6章 空間図形 立体のいろいろな見方 ①年 番 氏名

    【立体のいろいろな見方】

    練習してみよう

    (1) 上の図1の直方体で,頂点Cは (2) 上の図1の直方体で,辺ABは

    ,平面ABCD上にあるし, 平面ABFE上にあるし

    平面 上にもあるし 平面 上にもある。※BFGC ※ABCD,

    平面 上にもある。※CGHD

    【直線の決定/一つに決まる?】※ ※

    ※一つしかないこと。それ以外にないこと。

    一つの点Aを通る直線 二つの点A,Bを通る直線

    を ・

    表 A

    し ・

    て A

    み ・

    よ B

    立体を考えるときに辺を伸ばして直線と見たり,平面を広げて見たりすることがあります。

    立体は見る方向によって,

    。いろいろな見え方をしたよ

    新しい表現です!

    平面~上にある

    (平面~に含まれる)

    メモ:平面上にあるとは?

    ※「~上」といっても上方ではなく,平面にへばりついているイ

    。 ,メージである 教科書の表紙の絵は表紙という平面上にあるが

    他のページにはない。

    メモ:空間における直線と決定

    について分かったこと

    ※ 一つの点を通る直線は無数

    にあり,2点を通る直線は一

    つに決まる。

    空間においては一つの点を

    通る直線は「ウニ」や「いがぐ

    り」のようになるが,2点を

    通る直線は空間においても一

    つに決まる。

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料9 -

    【三つの点を通る直線がかける?】

    三つの点A,B,Cを通る直線

    【今日の授業を振り返ってのまとめ】

    。(1) 直線と同様,ふつう,平面は ものと考える※限りなく広がっている

    教科書P148

    (2) これから立体(空間図形)を考えるときは,

    ※立体を考えるときに辺を伸ばして直線と見たり,平面を広げて見たりする

    ※いろいろな方向から考えることが大切

    (3) 点が つあれば,空間でも直線は一つに決まる。※2

    教科書P149(4) 直方体の対角線とは?(文章や見取図で表してみよう)

    ※対角線とは同じ面上にない二つの頂点を結ぶ線分のこと

    メモ:空間で三つの点を通る直線について考

    えたことから学んだこと

    ※空間では点が三つ並んでいても,一方向

    から見ただけでは直線がかけると言えな

    い。

    空間図形を考えるときは,色々な方向か

    ら考える多角的な見方をするようにしな

    いとだめってこと!

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料10 -

    年 月 日第6章 空間図形 立体のいろいろな見方 ②

    年 番 氏名【前の時間の復習】

    (1) 空間図形を考えるときに注意するこ (2) 直方体の対角線を見取図で表してみよう!

    とは何でしたか?(二つ)

    ※立体を考えるときに辺を伸ばして直線

    と見たり,平面を広げて見たりする

    ※いろいろな方向から考えることが大切

    ※一つしかないこと。それ以外にないこと。【平面の 】決定※

    一つの点を含む平面 二つの点を含む平面

    ・1本の直線を含む平面別の表現

    どんな感じになっているで どんな感じになっているでしょうか?

    予 しょうか?

    ※ごちゃごちゃしてい ※交わっている部分は直線になっている観

    てわからない察

    ※水車の羽のような感じや

    まとめ

    「空間で二つの点を含む平面

    は一つに決まりますか?」

    ※決まらない。平面は空間の

    二点を通る直線を軸とした

    周りに「水車」の様に無数

    に存在する。

    メモ:平面と平面が垂直になっているとは?

    ※平面と平面が交わっている時,二つの平面が直線のようになる方向から見たときに垂直になっているとき また 教科書の表紙を開いて三角定規の直角が交線に来るように縁に沿って当てたとき (縁。 , 。に沿って当てない場合は)垂直でない場合がある)

    注意:平面と平面の角度をしっかりととらえているか。

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料11 -

    教科書P148

    【今日の授業を振り返ってのまとめ】

    (1) 空間内で二つの点を含む平面はどんな様子でしたか?

    ※二つの点を結ぶ直線(交線)の周りに水車の羽のように無数にできる。

    (2) 平面と平面の角度が45°になっているものを示しなさい。

    三 つ の 点 を 含 む 平 面

    三つの点が( )にある場合 三つの点が( )にない場合点の

    ※一直線上 ※一直線上位置

    ・1本の直線を含む平面 ・1本の直線とその直線上にない1点を含む平面別の

    ・一つの直線を含む平面 ・交わる2本の直線を含む平面表現

    ※一直線だと2点の時と同じ ※一つに決まる予

    ※2点を通る平面はたくさんあるけど,3点を

    ※三つの点の周りに平面ができる 通るのはそのうちの一つしかない観

    メモ:どのような場合に平面は一つに決まるといえるのか

    ※一直線上にない三点で平面は決まる。また,一つの直線とその直線上にない点や,交わる二直線で

    も平面が決まる。→平行な二直線でも決まる

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料12 -

    年 月 日第6章 空間図形 立体のいろいろな見方 ③

    年 番 氏名【これまでの復習】

    (1) 直線と同様,平面は ものと考える。※限りなく広がっている

    (2) 平面と平面が交わっているとき,交わっている部分は になっている。※直線(交線という)

    【空間における平行】

    (1) 平面と平面が平行とはどういうことだろうか。

    →身近なもので表現できるかな?

    (2) 直線と平面が平行とはどういうことだろうか。

    →身近なもので表現できるかな?

    (3) 直線と直線が平行とはどういうことだろうか。

    →身近なもので表現できるかな?

    メモ:平面と平面が平行になってい

    る例をあげてみましょう。

    ※教室の天井と床,直方体の底面,

    床と机の面,

    メモ:直線と平面が平行になってい

    る例をあげてみましょう。

    ※教室の天井とスクリーンの棒,床

    と机の足置き,壁と手すり,

    , ,問:直方体において 二つの底面の一方にかかれた対角線と

    , 。対角線がかかれていない方の底面は 平行といえますか

    →どういうことを言っているのか見取図で表してみよう

    ※平行である→二つの底面は平行なのでどこまで行って ※直線と平面が平行なときにはこのよう

    も交わることがない。対角線はその平面上にある直線 に見えることもある。

    なので,交わることがないから平行である。

    メモ:直線と直線が平行になってい

    る例をあげてみましょう。

    ※電車のレール,直方体の向かい合

    う辺,

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料13 -

    【平行でないのに交わらない直線】

    どこかで交わるはず

    平行でない

    【これまでの学習を生かした問題練習】

    ※平行になっている問題:平行な二つの平面P,Qに一つの平面Rが 観

    交わっています。このとき,交わっている 察

    部分はどのようになっていますか。 で

    言 い

    葉 た

    や こ

    図 と

    ※直線が平行とは,同じ平面上にあって交わ予 発

    らない場合をいうので,交線は一つの平面想 表

    上にあると同時に,平行な二つの平面上にし で

    もあるので交わらないから平行といえる。て 気

    み 付

    よ い

    う た

    と※斜めになっている

    直線になっている

    平行になっている

    【今日の授業を振り返ってのまとめ】

    。(1) 空間内で,平行でなく,交わらない二つの直線は にあるという※ねじれの位置

    (2) 空間で二つの直線が平行になっているとはどういう意味でしたか?

    ※一つの平面上にあって,どこまで行っても交わらない場合

    (3) 教科書P149問2を考えましょう。

    ※ねじれの位置にある辺は,辺BC,辺BF,辺CD,辺DH,辺EF,辺EH

    メモ:平行でないのに交わらない直線なんてあ

    るの?

    ※同じ平面上ではあり得ないが,空間において

    は,ねじれの位置という「立体交差」のよう

    な場合がある。直方体の見取図で示すのもよ

    い。

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料14 -

    年 月 日第6章 空間図形 立体のいろいろな見方 ④

    年 番 氏名【空間における垂直】

    (1) 直線と直線が垂直になっているとはどういうことか。

    →身近なもので表現できるかな?本当に垂直なのか確認する方法は?

    (2) 平面と平面が垂直になっているとはどういうことか。

    →身近なもので表現できるかな?本当に垂直なのか確認する方法は?

    (3) 直線と平面が垂直になっているとはどういうことか。

    →身近なもので表現できるかな?本当に垂直なのか確認する方法は?

    メモ:直線と直線が垂直になってい

    る例をあげてみましょう。

    ※直方体の辺,教室の柱と梁はり

    問:直線Lに対して二つの直線M,Nがそれぞれ垂直に交わっ

    。 , 。ている このとき 直線Mと直線Nはいつでも平行ですか

    ※直線L,M,Nを表現させてみる ※直方体の辺を考えると平行とはい

    えない場合がある。

    メモ:平面と平面が垂直になってい

    る例をあげてみましょう。

    ※教室の天井と廊下側の壁。ティッ

    シュボックスの底面と側面

    問:平面Pに対して二つの平面Q,Rがそれぞれ垂直に交わっ

    。 , 。ている このとき 平面Qと平面Rはいつでも平行ですか

    ※平面P,Q,Rを表現させてみる ※平行である直方体の底面と一つの

    側面で考えてみると底面は平行に

    なっている

    メモ:直線と平面が垂直になってい

    ることを確かめるためには?

    ※三角定規を二つ使って確かめられ

    る。

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料15 -

    【直線と平面の位置関係まとめ】

    (1) これまで学習してきた空間における直線と平面の位置関係を整理しましょう。

    (2) 身近なものを用いて①~⑬の様子を表現してみよう。

    【今日の授業を振り返ってのまとめ】

    (1) 「点と平面の距離」と柱体や錐体などの「立体の高さ」はどこが違うのか。

    ※「点と平面の距離」は,空間内の点から平面に降ろした垂線の長さのことであり 「立体の高さ」,

    は立体の一部から,その立体の底面に降ろした垂線で最も長いものををいう。したがって,どちら

    も点から平面に降ろした垂線の長さであることが共通点である。そして,違う点としては,立体の

    高さは点と平面の距離の中でも立体の一部から底面に降ろしたもので最も長いものに限られている

    ことである。

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料16 -

    補助資料4「空間図形」の確認(実態調査用紙)シート

    (1~3年)空間図形の確認 調査の視点

    1 次の問題に答えてください。分からなければ空欄のままでかまいません。

    (※1年生は直方体の見取図)

    ① 四角柱の見取図(全体の形が分かるようにかいた図)をかいてください。展開図ではありません。

    (定規は使わなくてもかまいません) (違った方向から見た見取図をかけるときはこちらにもかいてください)

    ※安定形でかく生徒がほとんどである。コンテンツを通しての学習を通して,違った方向からの見

    取図をかくことができるようにしたい 【とらえ方が豊かになったか】。

    ※②~④は語句の確認。 知識・理解

    ② ティッシュの箱や段ボール箱のような形を直方体といいますが,それらの

    直方体には面がいくつありますか。

    ③ ティッシュの箱や段ボール箱のような形を直方体といいますが,それらの

    直方体には辺がいくつありますか。

    ④ ティッシュの箱や段ボール箱のような形を直方体といいますが,それらの

    直方体には頂点がいくつありますか。

    ⑤ 平行とは どんな意味ですか 同一平面上の二直線が交わらないこと。また、空間の直線と平面、, 。

    あるいは平面と平面が交わらないこと。また、そのさま。

    ※⑤感覚でとらえているものを言葉で定義するとどう言えばよいか知っている。 知識・理解

    ⑥ 教室を直方体と考えると,教室の中から見て,廊下の面とろうか

    平行な面はどこですか。

    ※⑥立体を外から見ることは多いが,中からとらえる見方ができるか。

    ⑦ 教室を直方体と考えると,黒板の面に対して垂直になっている辺はいく

    つありますか。

    ⑧ 教室を直方体と考えると,黒板の面に対して垂直になっている面はいく

    つありますか。

    ※⑦~⑧「黒板の面に対して垂直」という表現が理解されているかどうか 知識・理解

    , 「 」「 」 。⑨ 次のア~オの文の意味が正しくなるように 空欄に 平行 垂直 のどちらかを入れてください

    ア 直方体の二つの底面は である イ 直方体の隣り合う面は である

    ウ 直方体の向かい合う辺は である エ 直方体の向かい合う面は である

    オ 直方体の一つの頂点に集まる辺は互いに である

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料17 -

    2 空間図形について答えてください。 (2,3年)

    ① どのようなとき「空間で直線と直線が平行になっている」といえますか。説明してください。

    ※知識・理解の確認と共に,一つの平面上にあるという見方ができていないことを裏付けたい。おそら

    く 「どこまで行っても交わらない」と答える生徒が多いと考える。これを学習後には「同じ平面上,

    にあって,どこまで伸ばしても交わらない」と言う表現になってほしい。

    ④ 太郎君は空間において,平面Pと直線mが平行になっている様子をいくつか図で表しました。

    このなかで,平行になっているものをかいたと思われるものの記号をすべて○で囲んでください。

    イ ウ エ

    オ カ キ

    ※ 安定形の図を選ぶ生徒が多いと考えるが,学習後には見る位置によっては,ウ以外の場合がすべて考えられると気付けるようになってほしい。

    3 図2は図1の直方体から三角柱を切り取ってできた立体です。

    (※面の表現方法は,面ABCDとか,面BFGCというように表してください)

    ① 図2で辺DHを含む平面をすべて答えてください。

    図1※ 直方体ではない立体での問題 含むという表現を理解しているか。 ,

    裏側に隠れている面AEHDも見つけることができるか。

    ② ねじれの位置とはどういうことか答えてください。

    ※ ねじれの位置についての理解 「平行でなく交わらない」が書け。

    れば理解されている。

    ③ 図2で辺DHとねじれの位置にある辺をすべて答えてください。

    ※ 同じ平面上にある辺CGまで答えないか。答えた生徒には学習を

    通して「同一平面上にあると交わることになる」ということが理解で

    きるようになってほしい。

    図2

    ③ 空間において,三つの点が下図のように見えるとき,3点すべてを通る直線をかくことができますか。できない場合はその理由を答えてください。

    ・ ・ ・A B C

    ※ 空間においては,例えば点Cのかけない理由位置が他の点よりも手前にある場合も考えられるので,一方向から見ただけでは直線がかけるかどうかは分からない。などと,この学習を通して奥行きを意識できるようになってほしい。

    ② 空間において一つの点を通る直線はいくつ

    もあります。この様子を図や身の回りのもの

    に,おきかえた言葉で答えてください。

    ※ウニやいがぐりのような表現が出ていれ

    ば空間的なとらえ方ができていると考え

    る。

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料18 -

    補助資料5 検証授業(校内授業研究)用指導案

    第2,3学年選択教科 数学学習指導案

    日 時 平成19年10月26日 第3校時

    場 所 第 2 学 年 教 室

    指導者 教 諭 川 村 陽 一

    1 題材名 「直線と平面の位置関係の復習」

    2 題材について

    (1) 題材観

    「直線と平面の位置関係」は中学校第1学年の空間図形の単元で学習する内容である。系統性を持った数学の学習

    において,空間図形の学習は小学校までに基本的な柱体(角柱,円柱)を知り,立方体や直方体などの性質につい

    て理解し,直方体の直線や平面の平行及び垂直の関係について簡単な考察ができるように学習してきている。さら

    に,立方体や直方体の箱を作ることやそれらを見取図や展開図で表すことを通して図形に関しての感覚を豊かにし

    てきた。そして,これらの学習を基礎に,観察や操作,実験を通して図形を考察することを基本に学習を進めてき

    ている。空間図形の学習は中学校第1学年で体系的に学習した後は第3学年の最後の単元で一部活用する以外に取

    り上げられる場面がほとんどない。そのため,他の単元の学習内容のように学年が進むことで理解が深まらないの

    が実情である。今回取り上げた「直線と平面の位置関係」の学習内容は,空間における点や直線や平面といった抽

    象的なものの位置関係を,それまで用いてきた立体を空間図形としてとらえることで理解を深める。そして,中学

    , ,校第3学年で円錐の計量のために用いたり 直方体の対角線の長さを求めるために活用したりすることになるため

    その学習内容について復習し,理解を深めたいと考える。また,どの学年もこれから図形分野の学習に入っていく

    ことから,論理的に考察する基礎の部分として復習させておきたいと考える。

    (第2学年:男子4名 女子4名 第3学年:男子4名 女子1名 計13名)(2) 生徒の実態

    平成19年7月6日(金)に,上記生徒を含む全校生徒(1名欠席)に対して空間図形に関しての実態調査を,10月16

    日(火)には選択教科数学を選択した生徒13名に数学の復習に関してのアンケート調査を行った。

    ① 数学の復習に関してのアンケート調査から

    「数学は復習が大切だと思うか」について問うたところ,非常に思うと答えた生徒は11人,たまに思うと答えた

    生徒は2人であった。このことから生徒は復習の大切さを感じていると思われる。そこで,どのくらいの間隔で

    復習するかを聞いたところ,授業があった日にする生徒は5人,1週間以内にまとめてやる生徒は5人,1ヶ月

    以内は1名,テスト前にまとめてやる生徒は1人,ほとんどしない生徒は1名であった。そして,その学習時間

    としては2時間程度5名,1時間程度7名,30分未満1名という結果であった。全体的に家庭学習の習慣が身に

    付いている生徒が多いが,ほとんどしないと答えた生徒が3年生であることから,選択教科の時間を活用して学

    習量を増やしたいと考える。次に,もう一度教えてもらいたい単元を複数回答で問うたところ,中学校第1学年

    の空間図形と答えた生徒が最も多く8名,続いて平面図形7名,比例と反比例と1次関数の5名…という結果で

    あった。題材観でもふれたように,数学は系統性をもった教科であるが,空間図形の単元はその後の学習にほと

    んど関連しないため,理解が深まらず忘れてしまっていることへの不安が大きいからではないかと推察される。

    ② 空間図形に関しての実態調査から

    ア 直方体の見取図をかく問題から

    見えない線を点線にすることや,平行関係に多少違和感のある生徒もいたが,13人中7人の生徒がかけた。見

    取図をかくことは空間のとらえ方で重要な奥行きや広がりを考える必要があり,空間図形を表現する上で大切な

    手法の一つである。また,頂点や辺や面などの構成要素の位置関係を表現したり,考察する際にも用いることが

    ある。また,見取図がかけた生徒全員が右斜め上方から見た図であることも分かった。見取図としては十分であ

    るが,様々な方向から見る学習の深化が不十分だったことも考えられるため,目的に応じていろいろなとらえ方

    で表現できるようにさせていきたいと考える。

    イ 平行のとらえ方や平行の理解状況をみる問題から

    平行という言葉は小学校第5学年で「どこまで行っても交わらない 「幅がどこでも同じである」と学習して」

    きており,第6学年でも直方体の辺や面の位置関係でも用いられる。そして中学校においては第1学年の平面図

    形,空間図形で学習するとともに,第2学年の1次関数,平行と合同,第3学年の相似な図形でも用いられる。

    そこで,直方体の二つの底面や向かい合う辺,向かい合う面が,それぞれ平行になっていることをとらえている

    かを見る問題や,平行についての定義などを説明する問題を行ったところ,13人中10人の生徒が理解できている

    ことが分かった。しかし 「空間における2直線の平行」について記述させ,

    たところ,正答者はおらず,うち3名はどこまで行っても交わらないという

    平面的なとらえであった。正しくは「一つの平面上にあって交わらない2直

    線」であるが,空間を意識した「一つの平面上にある」という言葉について

    は教科書などで詳しく説明されていないため,理解が深まらないのではない

    かと考える。そして空間図形の単元で「空間における2直線の平行」を理解

    できているか判断する際には,空間図形ではなく,主に立体の辺の関係から

    判断していることや,その後の単元で2直線の平行を扱う場合は平面上にあ

    ・ ・ ・A B C

    図1 3点が並んで見える空間図形

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料19 -

    る場合が前提となっていることなど,教科書の内容としての採り上げ

    方や教師のアプローチの仕方にも生徒の理解が深まっていない原因が

    あると考えられる。

    ウ 空間内の点や直線や平面のとらえ方を見る問題から

    空間において一つの点を通る無数の直線の様子を問うたところ,ウ

    ニやいがぐりのような空間を意識した表現ができた生徒は2人にとど

    まり,5人の生徒は平面的にしかイメージできていないことが明らか

    になった。また,空間において三つの点が図1のように並んで見える

    とき,3点すべてを通る直線がかけるか問うたところ,5人の生徒が

    定規で3点を結び,疑いもなく直線がかけると答えた。しかし,空間

    。においては一方向からでは位置関係を正しく把握することはできない

    このことからも空間における点や直線を平面的にとらえていることが

    うかがえる。同様に,空間において直線と平面が平行になっている様

    子として考えられるものを選んだ結果では,ほとんどの生徒が教科書

    にかかれている例を選択した(図2参照)。これについても直線や平面

    を空間の中で,いろいろな方向からとらえる経験が少なく,どのよう

    に見えるのかイメージできない生徒が多いことが分かった。これらの

    ことから,空間図形のとらえ方として基本となる,空間においては見

    る方向によって見え方が異なることに気付かせ,直線は限りなく伸び

    ており,平面は限りなく広がっているものとして常に理想化できるよ

    うにしたい。

    エ ねじれの位置に関する問題から

    ,図3の立体に関して辺DHとねじれの位置にある辺を問うたところ

    正解の辺のみを全て答えられた生徒は一人もいなかった。しかし,答

    。えた生徒の大部分は正解の辺を選んでいることが分かった(図4参照)

    次に「ねじれの位置」という言葉の定義について問うたところ,正答

    した生徒は4人であった。これらのことから,ねじれの位置について

    は感覚的にはとらえているものの,言葉の定義については定着率が低

    く,そのことが説明したり論理的に表現したりする段階で苦手意識を

    もってしまったり,その後の論証指導につながる部分でつまずいてし

    まったりする要因になっていると考えられる。また,図3において辺

    DHと同一平面上にある辺CGや平行である辺AEを選んでいる生徒

    がいることから,定義をきちんと覚えさせると同時に具体物などで感

    覚にも訴えて理解するような工夫を講じたいと考える。

    (3) 指導観

    選択教科の内容については中学校学習指導要領において,課題

    学習,補充的な学習や発展的な学習など,生徒の特性等に応じた

    多様な学習活動を行うことができると記されている。そこで,本

    校の生徒の実態から選択数学の内容については補充的な学習を中

    心に行いたいと考える。第1学年図形領域の目標は「平面図形や

    空間図形についての観察,操作や実験を通して,図形に対する直

    観的な見方や考え方を深めるとともに,論理的に考察する基礎を

    培う」とされている。ここで用いられている「観察」は現行学習

    指導要領において全学年に加えられたものであり,図形の性質な

    どの理解には大切な活動と位置付けられている。そして,生徒は

    小学校の学習で具体物を中心に観察する学習を行ってきているた

    め,適宜,具体物を利用しながら学習を進める。しかし,空間に

    おける点や直線や平面は抽象的なものであるため,具体物と共に

    ITコンテンツ を活用したいと考える。また,第1学年の図形※1

    領域は論理的に考察する基礎を培う段階として重要であるとの認

    識から,理解した概念や性質を知識として生かし,論理的に考察する基礎を培いたいと考える。ところで,論理的

    に考察するとは,それまでに明らかになっている事柄や既習事項などと関連させながら筋道立てて考えていくこと

    であり,最終的には論証へとつながっていく。論証とは,ある事実が正しいことをまず自分が納得し,他人を説得

    する手だてであるが,初めは数学的な表現を用いた論証を要求するのではなく,生徒なりの説明に耳を傾けながら

    論理の進め方の指導を加えて筋道立てて説明できるようにしていく必要がある。したがって,授業においてはペア

    やグループなどの小集団において自分の考えを相手に伝える発表場面を授業に位置付け,相手に分かりやすく伝え

    ることを意識したり,相手の説明を注意深く聞いたりする中で論理的思考能力の基礎を培い,学習内容の理解を深

    めていきたいと考える。

    ※1 ITコンテンツ:コンピュータソフトを利用し,ネットワーク上で誰でも利用できるデジタル教材。

    図3 直方体から三角柱を切り取った立体

    図4 辺DHのねじれの位置を示した人数

    図2 直線と平面が平行と考えられる場合を選択した割合

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料20 -

    3 校内研究とのかかわり

    (1) 研究テーマ

    確かな基礎学力を持ち,自ら学ぶ生徒の育成

    - 一人一人を大切にした授業の工夫・改善を通して -

    数学科の重点努力事項

    基礎的・基本的な事項を確実に身に付けさせる指導法の工夫

    (2) 研究内容

    本校では基礎学力を 「読み,書き,計算,話す,聞く」や「授業を受ける姿勢などの学習習慣」を土台にし,

    た上での教科の基礎的・基本的な内容ととらえている。ただし,教科の基礎的・基本的な内容は単なる知識・理

    解・技能だけではなく,理解力,思考力,判断力,表現力も含んだものと考える。このことから,数学科の重点

    努力事項を「基礎的・基本的な事項を確実に身に付けさせる指導法の工夫」とした。ここで用いる「基礎的・基

    本的な事項」とは,前述の通りである 「確実」とは,研究テーマの「確かな」と同じものと考え,学習活動に。

    おいていつでも取り出すなどして活用できる状態ととらえる。このような確実な状態になるためには,数学科で

    は教科の特性を生かし,その時間のみならず,単元や学年が変わっても「何回も繰り返して取り上げる」という

    ことを念頭に置いて指導を行う。これらをふまえ,基礎的・基本的な事項を確実に身に付けさせる指導法を以下

    のような取り組みによって明らかにし,校内研究のテーマに迫りたいと考える。

    ①「知識・理解・技能」を確実に身に付けさせる指導法の工夫として

    ア 学習課題の工夫

    (ア) 個に応じた学習課題の提示を行う。

    (イ) 数値や設定を変えた問題を繰り返し行う。

    (ウ)「例題→問題」の流れを基本とした,スモールステップの学習を行う。

    イ 発問の工夫

    (ア) 関連した既習事項や用語について繰り返し確認をする。

    (イ) 意図的に間違いを提示し,気づかせる。

    ウ 教材・教具の工夫

    (ア) 重要な既習事項はカードにしておき,授業で繰り返し確認できるようにする。

    (イ) 感覚や視覚と併せて定着させるため,具体物による操作活動を取り入れる。

    (ウ) IT機器やITコンテンツを活用する。

    エ 学習形態の工夫

    (ア) 生徒同士で教え合い,高め合う場面を設定する。

    (イ) 学級担任とのTTにより個別指導を充実する。

    ②「思考力・判断力・表現力」を確実に身に付けさせる指導法の工夫として

    ア 学習課題の工夫

    (ア) 個に応じた学習課題の提示を行う。

    (イ) 数値や設定を変えた問題を繰り返し行う。

    イ 発問の工夫

    (ア) 既習事項を活用することに気づかせるようにする。

    (イ) 間違いを取り上げ,どこがおかしいのか考えさせるようにする。

    (ウ) もっと効率のいい方法はないか考えさせるようにする。

    ウ 教材・教具の工夫

    (ア) 重要な既習事項をカードにしたものを掲示し活用する。

    (イ) 考え方や解法の手順を示したカードを活用する。

    エ 学習形態の工夫

    (ア) 生徒同士で教え合ったり高め合ったりする場面を設定する。

    (イ) TTにより個別指導を充実する。

    ③「学ぶ意欲」を高める指導法の工夫として

    ア 学習課題の工夫

    (ア) 導入や説明では身近なものを利用する。

    (イ) 個に応じた学習課題の作成を行う。

    (ウ) 例題にならって解ける問題を行う。

    (エ) 関連した入試問題や上学年の問題などを示す。

    (オ) 生徒が興味・関心を示す課題を提示する。

    イ 発問の工夫

    (ア) 重要な既習事項を繰り返し確認する中で,個に応じて復唱させたり,意図的に問い掛けたりする。

    (イ) 間違えることが他の人の役に立つという姿勢のもとで積極的に発表させるようにする。

    ウ 教材・教具の工夫

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料21 -

    (ア) 他学年,他年度と同一の問題で復習確認小テストを行い,結果を提示する。

    (イ) 具体物による操作活動を取り入れる。

    (ウ) IT機器やITコンテンツを活用する。

    エ 学習形態の工夫

    (ア) ペアやグループなど,生徒同士で教え合ったり高め合ったりする場面を設定する。

    (イ) 学級担任とのTTにより個別指導を充実させる。

    ④ 学習習慣の確立に関して

    ア 家庭学習(自主勉強)の習慣が身に付くように,個に応じた学習内容や方法をアドバイスする。

    イ 毎時間,課題や宿題(下位生徒には家庭学習習慣を身に付けることを主眼に置き,教科書を写してくる程

    度の内容)を出す。

    ウ 授業において課題や宿題などの家庭学習の成果を生かす場面を設定する。

    エ 個別に放課後学習指導を行う。

    オ 職員室前廊下に問題プリント箱を設置し,好きな学年のものを自分で選んで持っていけるようにする。

    ⑤ 評価に関して

    ア「関心・意欲・態度」の観点は,授業時における数学への取組を評価するものであるが,情意的な面を評価

    するには授業以外での取組も重要であると考え,家庭学習(自主勉強)も評価に加えることを知らせる。

    イ 毎週,家庭学習(自主勉強)の累積量上位者をグラフにして廊下に掲示する。

    ウ 授業の初めの復習テストは競い合いのゲーム感覚で行う。

    エ 1年次からの数学成績推移(偏差値)グラフを作成し,各自に配布する。

    4 指導目標

    空間図形のとらえ方を豊かにし,空間における直線や平面の位置関係について理解を深めるようにする。

    5 指導計画・評価計画 (4時間扱い,本時1/4)時 学習内容 ITコンテンツ 評価規準(B)の状況 評価観点※ 十分満足できる(A)の状況 努力を要する(C)の状況数 (用語・記号) 活用の視点 【評価方法】 関 考 表 知 への手だて

    1 ○点や直線が平 ○平面的な見方 ①空間における点や直 ○ ①身近な具体物や図などを ①生徒の様子を観察し,面上にあること から空間を意識 線や平面の位置関係に 用いて,空間内の直線や平 励ましの言葉掛けを行うの意味 した多面的な見 関心をもち,それらの 面の位置関係について表現 とともに,具体物などを○直方体の対角 方で空間図形を 空間での様子を考えよ しようとする。 手に取らせるなどして対

    線 とらえる必要性 うとする 【観察】 応していく。。に気付かせる。 ②空間図形としてのと ○ ②空間では一方向からの見 ②必要なことをワークシ(コンテンツ※1) らえ方を知り,点や直 方では正しく表現できない ートに記入させ,本人に(コンテンツ※2) 線が平面上にあるとい ことを説明でき,直方体に コンテンツを操作させた

    (コンテンツ※3) うことの意味を理解し おける平面上の点や辺を正 り,具体物を手に取らせている。 確に答えることができる。 たりしながら個別指導を観察・ワークシート 行う。【 】

    1 ○2平面のつく ○2点を含む平 ①空間内の2点を通る ○ ①空間の2点を含む平面の ①個別指導により,語句

    る角と平面と平 面の様子を観察 (含む)平面は2点を通 様子から,平面と平面の角 を確認しながら本人にコ面の垂直 し,平面と平面 る直線を軸とした周り 度に気付き,平面と平面の ンテンツを操作させるな○平面が3点で の交わりが直線 にできることや平面と 垂直について説明できる。 どして特徴に気付かせ決まること になる様子や平 平面の交わりは直線と る。

    面が2点を通る なることを理解してい【 】直線を軸とした る。観察・ワークシート

    周りに無数にで ②空間内の3点を含む ○ ②平面の決定について,空 ②平面が決まると言う考きる様子をとら 平面の決定について論 間において3点のうちの2 え方を,一例として平面

    えやすくさせる 理的に考えることがで 点を含む平面は,その2点 がぐらつかない状態と考。○三つの点を含 きる。 を通る直線を軸とした周り え,三脚や1本だけ足のむ平面は一つに 観察・ワークシート に無数にできるが,三つ目 長さが違う四脚テーブル【 】決まることを, の点を通る平面はそのうち を例に出しながら説明す

    とらえやすくさ の一つしかない。よって平 る。せる。 面は三つの点で決まるなど(コンテンツ※4) と説明できる。

    1 ○平面と平面の ○平行な平面に ①空間内の直線や平面 ○ ①直方体以外の立体におい ①平行という意味を確認

    平行 一つの平面が交 の平行を理解し,空間 ても辺の平行や平面の平行 し,直方体の具体物を手,○直線と平面の わった様子を観 においては直線と直線 辺と平面の平行や辺のねじ に取らせながら個別指導平行 察させ,とらえ が交わらなくても平行 れの位置にある辺を正しく を行う。○ねじれの位置 させる。 でない場合があること 指摘することができる。

    にある意味 ○提示の工夫に を理解している。【 】○平行な二つの より平行な平面 観察・ワークシート

    平面に一つの平 に一つの平面が ②平行な2平面に一つ ○ ②二つの交線はそれぞれ平 ②平行の定義を確認し,面が交わってで 交わった交線が の平面が交わったと 行な平面上の直線であるか 考え方の一つ一つについきる二つの直線 平行になる理由 き,交線はどうなって ら交わらない。また同時に て確認しながら説明して

    について に気付かせる。 いるのか考察できる。 交わっている一つの平面上 いく。

    空間図形のとらえ方を豊かにし学習内容の理解を深める指導の一試み

  • - YK補助資料22 -

    (ねじれの位置) (コンテンツ※5) 観察・ワークシート にあるので,同じ平面上に【 】あって交わらないから平行

    。といえるなどと説明できる1 ○直線と平面の ○一方向から見 ①空間における点や直 ○ ①身近な具体物や図などを ①生徒の様子を観察し,垂直とその判定 ると平面と直線 線や平面の位置関係に 用いて,空間内の直線や平 励ましの言葉掛けを行う○点と平面の距 が垂直に交わっ 関心をもち,それらの 面の位置関係について表現 とともに,具体物などを

    離 ている様子を示 空間での様子を考えよ しようとする。 手に取らせるなどして対○柱体,錐体の し,いろいろな うとする 【観察】 応していく。。高さ 方向から確認し ②身近なものなどを用 ○ ② ②紙やペンなどの具体物直線や平面の位置関係を○問題練習 なければならな い,空間における直線 を用いながら,どのよう用語を用いて的確に説明し

    ○空間内の直線 いことに気付か や平面の位置関係に, な位置関係があるか一つたり,分類したりすることや平面の位置関 せる。 どんな場合があるか表 一つ考えさせながらまとができる。係を分類する。 (コンテンツ※6) 現することができる。 めていく。

    【 】観察・ワークシート

    ※評価観点は必修授業のもので示しているが,本校の選択数学の評価観点は「学習への関心・意欲・態度 「表現や技能 「学習の成果」である。そのなかの「表現や技能」」 」

    は,必修授業の観点である数学的な見方や考え方(考)と,数学的な表現処理(表),数量,図形についての知識・理解(知)を含んだものと考える。

    ※文章中の略記表現は次の通り 関:数学への関心・意欲・態度 考:数学的な見方や考え方 表:数学的な表現・処理 知:図形についての知識・理解

    6 本時の学習指導計画

    (1) 題材名 「立体のいろいろな見方」 (本時1/4時間)

    (2) 本時のねらい

    ① 空間における点や直線や平面の位置関係に関心をもち,それらの空間での様子を考えようとする。

    ② 空間図形としてのとらえ方を知り,点や直線が平面上にあるということの意味を理解する。

    (3) 授業仮説

    「空間における直線と平面の位置関係」の学習において,空間図形をいろいろな方向から見ることができるIT

    コンテンツを活用することで,生徒の興味・関心を喚起するとともに生徒の空間図形のとらえ方を豊かにし,空

    間における直線と平面の位置関係について理解を深めることが�