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慈恵ICU勉強会 2017912芦⽥薫 脳卒中急性期における体位 NEJM 2017;376:2437-47

脳卒中急性期における体位慈恵ICU勉強会 2017年9 12 芦 薫 脳卒中急性期における体位 NEJM 2017;376:2437-47 Introduction •脳梗塞の予後は梗塞巣の場所と

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慈恵ICU勉強会2017年9⽉12⽇芦⽥薫

脳卒中急性期における体位NEJM2017;376:2437-47

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Introduction

• 脳梗塞の予後は梗塞巣の場所と⼤きさ、側副⾎⾏路の程度、再開通までの時間によって決まるとされている。

Stroke 2016;47:1972-3.

• 広範な脳梗塞後の患者にとって、フラットな体位は脳の主要⾎管の⾎流を増やし、酸素運搬を増やすが、頭部挙上体位は頭蓋内圧を下げることが分かっている。

Neurology 2005;64:1354-7.Cerebrovasc Dis 2014;37:401-8.

Stroke 2002;33:497-501.

• 脳卒中急性期の体位については、循環呼吸の機能障害などの合併症や、肺炎予防に対するガイドラインは曖昧なものしか存在しない。

ClinRehabil2004;18:863-71.Stroke 2013;44:870- 947.

JStroke Cerebrovasc Dis 2015;24:1564-9.

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背景⑴

Design:Systematicreview.Setting:PREMEDLINEandMEDLINE,Psychinfo,EMBASE,CINAHL,PEDro,allEBMReviewsandScottishIntercollegiateGuidelinesNetwork(SIGN).を使⽤して、キーワードを設定し、レビューを⾏なった。Purpose:脳卒中患者の体位による酸素飽和度の違いを明らかにすること

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背景⑴−2

Results:4つの関連のある雑誌から183の脳卒中に関する話題の研究が抽出された。そのうち、3つの研究のエビデンスレベルは⾼いものであったが、どれも盲検化されていなかったり、推奨されるSpO2が異なったりと、⼀貫性はなかった。Conclusion:⑴脳梗塞患者における酸素飽和度やその他疾患の罹患率が体位によって変化する可能性についての強いエビデンスは存在しない。⑵低酸素⾎症がある、もしくは低酸素⾎症の危険性がある脳卒中患者は、安全な場合にはできるだけ直⽴して椅⼦に座るべきであり、臥位(仰臥位または側臥位)は避けるべきである、という限られたエビデンスがある。

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背景⑵

Design:cross-sectionalsurvey横断研究Purpose:最近の脳梗塞急性期の患者に対してどのような体位での管理がなされているのかを明らかにすること。Results:16の国の298⼈の医師の参加協⼒が得られ、42.9%の回答が得られた。52.8%の医師が座位の姿勢を好み(95%confidenceinterval[CI],43.7-61.0)、47.2%の医師がフラットな体位を好んだ(95%CI,38.2-55.5)。Conclusion:医師によって治療介⼊の⽅法が異なり、多くの国で治療⽅法の⼀致がなされていなかった。

JStroke Cerebrovasc Dis 2015;24:1564-9.

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背景⑵−2

91.4%の医師が神経内科の医師で、78.9%の医師が⼤学病院で勤務している者であった。

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背景⑵−3• あなたの病院で、脳梗塞患者への最もよいとされている体位は何ですか?

• あなたの病院では脳卒中患者の体位について明記されたプロトコルはありますか?

• 脳梗塞の患者の最も良い体位について知っていますか?

• 患者によって適切な体位を適応させていますか?

• 次のどのような患者の脳梗塞において、フラットな体位を適応させていますか?

• 体位の研究脳卒中患者を参加せようと思いますか?

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背景⑶

AHAによって作成された脳梗塞ガイドライン。脳梗塞発症後48時間以内の患者ケアを担当する医療従事者のための読み物(全78ページにも及ぶ。)。

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背景⑶–2Infectionsその中から肺炎の項⽬のみ抜粋• 脳梗塞によって深刻な影響を受けている不動の患者や、⼗分な咳をすることができない⼈では肺炎を発症する可能性が⾼く、脳梗塞後の重要な死因である。

• Aslanyanらは、肺炎の発症が、死亡率(危険率2.2、95%CI1.5-3.3)または有害事象(OR3.8、95%CI2.2~7.7)につながることを⽰した。

• 脳梗塞に伴う肺炎は、滞在期間、死亡率、病院費⽤を増加させる。• 不動および無気肺は、肺炎の発症につながる可能性があり、早期離床と良好な肺ケアは肺炎の予防に役⽴つ可能性がある。

• 挿管された患者の予防措置には、軽度ギャッジアップでの換気、気道の位置決め、吸引、早期の移動、および可能であれば挿管期間の短縮が含まれる。

• 嘔気嘔吐のコントロールは肺炎のリスクを低下させる。深呼吸を促す運動やケアは無気肺の発症を軽減するのに役⽴つ。脳梗塞後の発熱は肺炎の検索に重要な項⽬であり、適切な抗⽣物質投与を速やかに実施すべきである。ある研究では、レボフロキサシンの予防的投与は脳梗塞後に肺炎または他の感染症のリスクを低下させなかったとしている。

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背景⑶–2Infectionsその中から肺炎の項⽬のみ抜粋• 脳梗塞によって深刻な影響を受けている不動の患者や、⼗分な咳をすることができない⼈では肺炎を発症する可能性が⾼く、脳梗塞後の重要な死因である。

• Aslanyanらは、肺炎の発症が、死亡率(危険率2.2、95%CI1.5-3.3)または有害事象(OR3.8、95%CI2.2~7.7)につながることを⽰した。

• 脳梗塞に伴う肺炎は、滞在期間、死亡率、病院費⽤を増加させる。• 不動および無気肺は、肺炎の発症につながる可能性があり、早期離床と良好な肺ケアは肺炎の予防に役⽴つ可能性がある。

• 挿管された患者の予防措置には、軽度ギャッジアップでの換気、気道の位置決め、吸引、早期の移動、および可能であれば挿管期間の短縮が含まれる。

• 嘔気嘔吐のコントロールは肺炎のリスクを低下させる。深呼吸を促す運動やケアは無気肺の発症を軽減するのに役⽴つ。脳梗塞後の発熱は肺炎の検索に重要な項⽬であり、適切な抗⽣物質投与を速やかに実施すべきである。ある研究では、レボフロキサシンの予防的投与は脳梗塞後に肺炎または他の感染症のリスクを低下させなかったとしている。

肺炎に関する項⽬においても体位については明⾔されているものはない

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つまり、

1. 体位が酸素飽和度に関係するかもはっきりしておらず

2. 世界各国の臨床現場でも統⼀した体位の基本⽅針があるわけでもなく

3. 脳梗塞ガイドラインにも急性期において推奨される体位については明⾔されていない

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Purpose

VS

さまざまな医療環境におけるさまざまな脳卒中患者において、頭部挙上体位とフラットな体位を発症早期に開始し24時間維持することによる効果を⽐較する

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Methods

Design:cluster-randomized,crossover,open-labeltrialSetting:9ヶ国の中から114の病院が参加対象:18歳以上で急性期病棟へ⼊院しており、急性期脳梗塞と診断されている患者。Excludedcriteria→医師の診断が⼀時的な虚⾎性発作であった場合、または患者が試験に参加することを拒否した場合、割り当てられた体勢が⼀貫して維持できない場合。Primaryoutcome:90⽇後の障害の有無(ModifiedRankinScaleで評価)Secondaryoutcome:90⽇後の死亡率、その他健康障害・⼊院期間・90⽇後のEQ-5Dスコア・7⽇⽬のModifiedRankinScaleの分布、およびNIHSSスコアまたは7⽇⽬の死亡率による神経障害の増加の7つのレベルの分布

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Methods• RCT:clusterrandomization• 盲検の有無:openlabel(アセスメントの段階から盲検開始)。• 分析:Intention-to-treat• 割り付けられた体位は救急外来もしくはその他の部署でもできるだけ早期に開始され、⼊院病棟に移動する間も継続された。⾷事や排泄などによって定められた体位を維持できない時も、その間を30分以内とした。• サンプルサイズの算出⽅法:αレベル0.05ロジスティック回帰分析において、介⼊群間での90⽇後の障害のレベルが16%以上の相対的な変化を検出する90%の⼒を持つようにした。

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Methods

患者背景の特徴:

• 両群間の9割以上が公的医療機関

• 両群間の7割以上が都市部に位置する病院

• 両群間の8割以上が専⾨的な医療機関

• 両群間の6割以上が年間の脳卒中患者の受け⼊れが500⼈以上

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ModifiedRankinScale

• 脳卒中の概括予後評価尺度として頻⽤されている• 神経内科医、その他の医師、コメディカルの結果が⼀致する割合が⾼く、信頼されているスケール。

Jpn JStroke29:6-13,2007

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概要・健康関連QOLを測定するために開発された包括的な評価尺度・⾃⼰記⼊式・1987年に設⽴されたEuroQolクルーフか開発・102の⾔語ハーションか存在し、世界各国て⽤いられている。・⽇本語版は、2001年に研究者によって開発され、調査研究等て使⽤されている。・各項⽬か3段階てある→世界各国て5段階版か開発中–内容・5項⽬の質問て構成mobility,self-care,usualactivities,pain/discomfortandanxiety/depression・換算表は、EuroQol本部(所在:ロッテルタム)か定める共通の⽅法を⽤いて、各国ての調査に基つき、それそれの国て独⾃に作成される。

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Results

施設の選定

患者の選定

1. 研究に参加する施設を⼆つに分ける

2. ⼆つに分けられた施設の中で

フラットな体位群では619例(11.7%)、頭部挙上体位群では726例(12.5%)の患者で、MRSスケールのスコアのアウトカム評価は実施できなかった、またはフォローアップ中に失われてしまった。

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Results2群間において患者背景に有意差はなし。→NIHSS、発症から介⼊、病院到着から介⼊までの時間などにおいても有意差はなし。両群間において、約85%が最終的な診断は脳梗塞であった。

既往歴:高血圧、脳卒中、冠動脈疾患、心房細動、心不全、糖尿病、喫煙…

最終的な診断• 脳梗塞ではなかった• TIA発作• 脳梗塞• 脳内出血

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MRSスコアによって評価されるように、90⽇間の障害のに有意差はなかった。

Results

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Results

Primaryoutcomeに有意差なし

90⽇以内のMRSスコアが3〜6のであった患者(重症な障害を有した、もしくは死亡)

90⽇死亡率

7⽇後におけるMRS

NIHSSのスコアと死亡転帰を7つに分類した結果

いずれも有意差なし

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Results

有害事象の発⽣の有無についても有意差はなし。有害事象:⼼⾎管系のイベントや肺炎を含む感染など。

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Results

脳梗塞と脳内出⾎との疾患群毎にMRSを⽐較したが、有意差なし。

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Discussion

• 90⽇後の障害発⽣の⽐較において、⼆群間に明らかな差がなかったことは、おそらく死亡率や肺炎を含む有害事象にも明らかな差がないことを意味していると考えられる。

• 結果に有意差は出なかったが、24時間以内に開始された体位による介⼊の結果として起こった可能性のある脳⾎流の変化は、急性脳卒中に伴う神経学的障害を減少させるには不⼗分であった。計画されたサンプルサイズに達していないが、群毎の分析では、試験が事前指定された介⼊効果を評価する⼒を保持していることを⽰していた。⼀次分析では介⼊効果のオッズ⽐が1.0に近く、狭い信頼区間を有していたので、真の差異が⾒逃されたとは考えにくい。

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Discussion

•肺炎の発⽣率は先⾏研究よりも低かったが、急性虚⾎性脳卒中患者のフラットな体位の後ろ向き研究の結果と類似していた。本研究において肺炎の発症率が低かった理由として、嚥下障害スクリーニングプロトコルの使⽤や栄養補給療法の使⽤、挿管を受けた患者などの⾼リスク患者の除外など、患者の注意深い評価とケアがあったことが理由としてあげられるだろう。

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Conclusion

来院早期に開始し24時間継続したフラットな姿勢は、同様に⾏なった頭部挙上体位と⽐較して、脳卒中患者の機能予後に影響を与えなかった。

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Editorial• Methodsの除外基準に挿管患者の記載がないが、discussionで初めて除外されていることが記載されている。

• 体位を⼆つの群に分けていることは分かるが、急性期脳卒中に対して具体的にどのような治療介⼊がなされていたか(外科的介⼊の有無など)によっても体位の影響⼒が異なるだろう。

• 介⼊後24時間の体位が、その後の機能予後に影響を与えないことは明らかになったが、今後は治療としての体位の設定を⽰唆する研究を期待したい。

• 脳浮腫のピークは病態によっても異なるが、24時間を超えた時点からピークに達することも⼗分に考えられる。もう少し⻑い期間での体位の影響が明らかになることは期待できるだろうか。

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私⾒

• 脳梗塞急性期の患者でICUに⼊室する患者の対応をしていると、検査や処置などで体位に⼗分な配慮をできないことがあると思う。24時間もあれば、その後はケアにも集中することができ、患者の病態にあった体位を考えながらケアすることができると思うので、24時間の影響があまりないことは正直嬉しい結果だと感じた。

• 急性期の患者にとっての数時間は予後を決める⼤切な時間。ICUで患者と向き合う時間を“予後を決める時間”と思いながら向き合いたい。