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CORPORATE PROFILE 2019

CORPORATE PROFILE 2019 - Zuken · 変化していかなければなりません。最先端の製品開発を目指す モノづくり企業を支えるため、お客様のモノづくりのプロセスに

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CORPORATEPROFILE2019

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設計・製造連携構想設計支援 MBSE・MBD※

グローバルな開発・販売体制

幅広い分野の顧客基盤

健全な財務体 質

課題解決力

設計データマネジメント

導入コンサルティング・運用サポート

※MBSE:モデルベースシステムズエンジニアリング/MBD:モデルベース開発

インテグレーション能力

先進技術への対応力

経営基盤

コアコンピタンス

お客様の構想力・実現力を支えるソリューション群

電気・電子設計自動化/最適化お客様とともに

挑戦者であり続けたい

構想力×実現力=最強のモノづくり。だから、図研がやります。

Our Value未来のモノづくりを託せるパートナー

CEO Message

情報処理とネットワーク技術の目覚ましい発展によって、「つな

がる」ことで革新的な価値を創出する製品やサービスが生まれ

ています。一方、そうした新製品を開発するために、今モノづくり

企業はこれまでと比べて格段に複雑かつ高度になった開発要件

を、製品の構想段階でクリアしていく必要に迫られています。従

来のモノづくりのプロセスそのものに大きな影響を及ぼすような

進化が求められているといえるでしょう。

図研も、そういったお客様の挑戦に遅れることなく、常に進化し、

変化していかなければなりません。最先端の製品開発を目指す

モノづくり企業を支えるため、お客様のモノづくりのプロセスに

おいてこれから成功の要となる「構想する力」を、ソフトウェアと

サービスで支援するさまざまな取り組みに踏み出しています。

図研は、常にお客様とともに挑戦者であり続けたいと考えています。

株式会社 図研 代表取締役社長

ZUKEN Inc. Corporate Profi le01 02

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メカトロニクス業界向けの電気CADの開発・販売・サポート、2D/3D汎用メカニカルCAD・CAEの販売やカスタマイゼーションなどを行っています。新たな事業として、今後普及が予想される3Dモデリング技術の建築分野への適用も推進しています。

図研アルファテック株式会社

モノづくりに関わる膨大な情報を設計から製造・販売・保守まで滞りなく行き渡らせ双方向で活用していくためには、設計と製造のITインフラがタイトに連携する必要があります。設計と製造で分断しないIoT時代の新しいモノづくりITを企画・開発しています。

株式会社ダイバーシンク

CADの導入・立ち上げ・運用をはじめとした、設計開発業務を幅広く支援するための各種コンサルティング、オンサイトマネージャ・エンジニア派遣、受託サービスなどを提供しています。

エレクトロニクス設計ソリューション

日々進化するエレクトロニクス製品の高度な機能を実現する電子部品、電子システムの設計自動化ソフトウェアを開発・販売しています。また、創業以来培ってきた電気設計分野での知見に基づく独自の部品情報・設計データ管理ソリューション(PDM/PLM)は、設計自動化ソフトウェアとともに世界中のエレクトロニクスメーカーに採用されています。

オートモーティブ&マシナリー設計ソリューション

高度化・複雑化するエレクトロニクスシステムを多数搭載する昨今の自動車。その開発の中核となる電装設計自動化ソフトウェアや、各種産業機器をはじめとした装置の制御設計自動化ソフトウェアの開発・販売を行っています。3Dデータ活用技術を工場内配線検討まで拡張し、スマートファクトリーにつながる「工場の見える化ソリューション」も提供しています。

図研テック株式会社

主な事業内容

グローバルにソリューションを提供している産業分野

今や企業活動にとって不可欠のインフラである情報ネットワーク。セキュリティソリューションやストレージなどの企業ネットワークに係る最新技術のハードウェア・ソフトウェアの販売・サポートや、構築コンサルティングなどを行っています。

図研ネットウエイブ株式会社

「通信」をキーワードにセキュリティ、産業用ネットワーク、車載通信などの分野を支える、組込みシステムのミドルウェアライブラリ、ソフトウェア、関連ハードウェアの開発・販売・サポートを行っています。

図研エルミック株式会社

軽量化された三次元データと部品表(BOM)を連携させる技術をベースにした製品ライフサイクルマネージメント(PLM)システムや、ユーザーに負荷をかけないナレッジ活用ソリューションなど、製造業を支援する独創的な製品を企画・開発しています。

株式会社図研プリサイト

電気・電子(Electrical & Electronic)設計の自動化・効率化を通じて、幅広い分野の製造業における製品開発業務全体の高度化・最適化の実現に貢献しています。

産業機器 コンシューマエレクトロニクス

自動車/特殊車両

電子部品

鉄道

医療機器

航空宇宙

図研グループの事業領域Our Business

図研および図研の海外法人

国内グループ会社

ZUKEN Inc. Corporate Profi le03 04

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1991.10

1992.1

1992.11992.8

1994.4

1994.6

1994.9

EDA企業として 初めて株式を東証2部に上場ドイツにZuken Europe GmbH

(現・Zuken GmbH)を設立韓国ソウル市にZuken Korea Inc.を設立シンガポールに Zuken Singapore Pte. Ltd.を設立EDA垂直統合ソリューション

「CR-5000」を開発レーカル・リダック社(英)の 全株式を買収東証1部へ指定替え

2010.5

2011.62011.102013.9 2014.8

2014.122015.22015.32015.7

2016.42017.12

2019.8

ラティス・テクノロジー(株)と資本提携、 トヨタ自動車(株)に次ぐ第二位の株主にBOMと超軽量三次元フォーマットXVLを統合した「visual BOM」を発表次世代電子機器設計システム「CR-8000」を世界同時発表アメリカ、シリコンバレーにZuken SOZO(創造)Centerを開設 ドイツにグローバル・オートモーティブ& トランスポーテーション・コンピテンス・センターを開設東洋ビジネスエンジニアリング(株)と資本業務提携

(株)ダイバーシンクを設立インドにZuken India Private Limitedを設立

(株)ワイ・ディ・シーの「CADVANCE事業」 (電気系CAD・PDM関連事業)を継承プリサイト事業部を分社化し、(株)図研プリサイトとして発足アルファテック(株)(現・図研アルファテック(株))の 発行済株式を100%取得、子会社化米国Vitech社を買収

連結売上高推移

【 エレクトロニクス製品の変遷 】

1970 1980

着実に積み重ねてきた提供価値Our History

エレクトロニクス産業の発展とともに、確固たる事業基盤を築く

エレクトロニクス製品の小型化に貢献

国内初のCAD/CAMシステムで、プリント基板設計自動化への道を拓く

発表当時のクリエイト2000

研究開発・事業開発体制のグローバル化を推進

Zuken SOZO Center設立

事業領域の拡大と積極的なパートナーシップ戦略

Zuken Innovation World 2018 パートナー展示

1983.11

1988.1

米国にZuken America Inc. (現・Zuken USA Inc.)を設立CADの新システム

「CR-3000」を開発

1976.121978.6

(株)図形処理技術研究所として設立国産初のプリント基板設計用CAD/CAM システム 「クリエイト2000」を開発

パソコン

CDプレーヤー

家庭用ゲーム機 携帯電話

液晶テレビ

ポータブルオーディオプレーヤー

2008年 初めて売上200億円を超える

1990年 初めて売上100億円を超える

2000.32002.32002.62004.2

2005.82006.52007.62009.6

インケイシス社(独)の全株式を買収自動車用ワイヤハーネス設計環境の提供開始中国上海市に上海テクニカルセンターを設立E&E業界に特化したPLMソリューション

「ePLMプラットホームDS-2」発表台湾にZuken Taiwan Inc.を設立CIM-TEAM社(独)(現 Zuken E3 GmbH)を買収CATIA V5をベースとした「V54EE」を発売PLMソリューションの新製品「PreSight」を発表

2000

2010

図研は1976年の創業以来、エレクトロニクス産業の発展とともに歩んできました。

社会を豊かにするさまざまな電子機器の開発を陰で支えながら、エレクトロニクスが使われる分野の広がりとともに、

そのソリューションの幅を広げ、事業領域を着実に拡大してきました。

新たなテクノロジーに挑戦する世界中のお客様とともに、図研も挑戦し続けます。

家庭用ロボット

DVDプレーヤーノートパソコン

スマートフォン

ウェアラブル端末

量産電気自動車自動運転技術

1990

ZUKEN Inc. Corporate Profi le05 06

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本社  エリア本社  ビジネス拠点  主なR&D拠点  販売拠点

Japan & Asia● ■ 本社・中央研究所 (横浜)● センター南ビル (横浜)● 新横浜ビル (横浜)● 関西支社 (大阪)● 名古屋支社 (名古屋)● Zuken Korea Inc.● Zuken Singapore Pte. Ltd.● Zuken Taiwan Inc.● Zuken Shanghai Technical Center● Zuken Inc.  Shenzhen Representative Office● Zuken India Private Limited

日本

韓国シンガポール台湾中国

インド

Americas Zuken USA Inc. (American Headquarters)● ■ Zuken SOZO Center (Zuken Inc., US branch)● ■ Vitech Corporation

米国

Europe■ Zuken Ltd. (Zuken Technology Center)● Zuken Group Ltd.● Zuken UK Ltd. Zuken GmbH (European Headquarters)● ■ Zuken E3 GmbH (Laemmerweg)● Zuken E3 GmbH (Sedanstr.)■ Zuken GmbH (EMC Technology Center)● Zuken E3 GmbH Office Nord■ Zuken E3 GmbH (Global Automotive and Transportation Competence Center)● Zuken E3 GmbH Sp.z o.o● Zuken E3 GmbH,  Zweigniederlassung● Zuken S.A.● Zuken S.r.l.● Zuken GmbH, Sales Office Benelux

イギリス

ドイツ

ポーランドスイス

フランスイタリアオランダ

創業の地でもある横浜では、グローバル本社機能を持つ拠点として、

日本をはじめ、世界各地の製品開発や事業展開を統括しています。

製造業を取り巻く環境がグローバル化・ボーダーレス化する中、製造

拠点としてだけでなく製品開発でもその重要性が高まるアジアでは、

中国、韓国、台湾、シンガポールに加え、インドに現地法人を設置。各

国のお客様のニーズを的確に捉え、最善の提案ができる体制を整えて

います。

Japan & Asia Americas Europe世界のモノづくりに大きな影響を与えるイノベーティブな企業が多

い北米は、図研にとって重要な事業開発の拠点でもあり、この市場で

図研はトップクラスの在米ハイテク企業を多数顧客に持ち、最先端の

ソリューションを提供しています。また、「図研創造センター(Zuken

SOZO Center)」では、革新的な技術を持つ企業との戦略的なパート

ナーシップの構築を促進し、グローバル市場に向けた製品開発や事業

展開を行っています。

産業機械や自動車関連などの分野で世界市場をリードする企業が

多数存在する欧州において、図研は確固たる事業基盤を築いてい

ます。販売拠点だけでなく、自動配線技術・解析技術など、エレクト

ロニクス設計ソリューションの核となる技術開発を行う拠点も有し

ています。ドイツでは「Global Automotive and Transportation

Competence Center」が、図研のグローバル市場に向けた次世代

自動車電装設計ソリューション開発の一翼を担っています。

図研および図研の海外法人の従業員数(2019年3月末時点)

※国内関係会社の人員および海外駐在員は含みません。

日本で生まれ、世界で育てられたソフトウェアGlobal Network

図研

395名

海外法人

362名

ZUKEN Inc. Corporate Profi le07 08

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売上高

(百万円)

25,000

15,000

5,0000

20182017201620152014 2019 (3月期)

営業利益

(百万円)

2,500

1,500

5000

20182017201620152014 2019 (3月期)

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

2,000

1,500

1,000

500

020182017201620152014 2019 (3月期)

総資産

(百万円)

50,000

30,000

10,0000

20182017201620152014 2019 (3月期)

自己資本

(百万円)

35,000

25,000

15,000

5,0000

20182017201620152014 2019 (3月期)

配当金 ※2016年の配当金には記念配当10円が含まれています。

(円)

25

15

50

20182017201620152014 2019 (3月期)

11.4%営業利益率

69.1%自己資本比率

334.7%流動比率

26,787百万円

3,050百万円

2,113百万円

47,190百万円

32,607百万円

26円記念配当

安定した財務基盤Financial Information

製造業にとって、将来の成長を左右する重要な基幹業務である製品開発。

図研が提供するのは、そこで求められるさまざまなソリューションです。お

客様の製品開発戦略を支え、長期にわたって安心してお使いいただくため

には、ソリューションを提供する会社として私たち自身が安定した経営基

盤をもつことが必要です。

また、技術革新の激しい情報技術の世界において、最先端の技術をタイム

リーに提供し続けていくためには、機動的に投資を行っていかなければな

りません。

だからこそ、図研は創業以来、健全な財務基盤を確立し維持していくこと

を、重要な経営戦略の一つと考えています。

ZUKEN Inc. Corporate Profi le09 10

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2019年8月、図研は米国Vitech社を買収したことを発表しました。Vitech社社長のディビッド・ロング氏は、

この発表に先立って2018年10月、図研のプライベートイベント「Zuken Innovation World 2018」に登壇し、次のように話しました。

「今、エンジニアリングの世界は大きな変換点を迎えています。自動車産業、鉄道産業、航空、防衛、エネルギー、ヘルスケアなど、

ありとあらゆる産業界において起こりつつある現象で、ひとことで言うと「複雑さ」の性質の変化です。

以前の製品における複雑さとは「要素の複雑性(complication)」のことでした。今の製品においては、それに「接続の複雑性(complexity)」

が加わったものに変化しているのです。このことは、従来のモノづくりのやり方を進化させる必要があることを意味しています」

図研がVitech社をグループの一員として迎えた理由は、まさにこのロング氏の言葉にあらわれています。

 現在、世界中の自動車メーカーが、自動運転機能を備えた自動車の

開発を競っています。自動運転といっても、限定的な運転支援を行うもの

から、いかなる状況でも常にシステムが完全な自動運転を行うレベルま

で、さまざまな段階があります。この中で、レベル2とレベル3の間には大

きな違いがあります。レベル2までは、あくまでドライバー(人間)が主体と

なってクルマの制御を行うものですが、レベル3以上になると、状況次第

では人間ではなく「システム」が主体となって、走る・止まる・曲がるといっ

たクルマの制御を行うものになります。つまり、レベル3からはクルマ自体

が、これまで人間が行っていた複雑で高度な状況判断をする能力を持た

なければいけません。そのためには、クルマ本体に搭載されたレーダー類、

カメラ類、加速度センサーなどのセンシングデバイスから得られる膨大

な情報を総合的に判断し、安全にクルマの挙動を制御する機能が必要

になります。また、クルマ同士を通信で接続したり、死角にいるクルマや人

の存在を捉えている交差点カメラ、信号機などの交通インフラとも通信

接続したりするなど、ネットワークを通して外部のシステムと連携する機

能も考えられています。

 こうした自動運転機能は、クルマに搭載される個々のシステムが正しく

動作するというだけでなく、他のさまざまなシステムとも連携して全体と

して適切に動作することで実現します。ロング氏の言う「接続の複雑性」

とはこのことであり、製品開発をするメーカーにとっては、個々のシステム

の機能設計だけでなく、システム全体の機能設計の重要性が非常に高

まってきたと言えます。

 このような数多くの要素が相互作用している「接続の複雑性」を持つ

製品の開発では、構想段階で検討すべき要件や、扱う情報、技術分野、

要素の数が圧倒的に多くなっている上に、それらが複雑に関係し合って

いるので、多数の専門分野を連携させた分業が前提になり、すべての要

素を結合した時、最終的に期待したとおりの機能を発揮するかどうかの

検証も難しいものになります。そのような難しさを解決するための技術

的アプローチが、Vitech社の専門分野である「システムズエンジニアリン

グ」です。この始まりは、1960年代の米国での航空宇宙分野、アポロ計

画での開発だと言われています。それは、当時としても非常に多くの技術

領域にまたがるスペシャリストやチーム、サプライヤーによる分業が必要

な開発でした。さらに、宇宙船というものの性格上、実際の使用環境で試

行錯誤を通して完成に導くという、モノづくりでは普通のプロセスがほぼ

不可能という課題もありました。そこで生み出されたのが抽象度の高い

ところでシステムの全体像を把握し、モノづくりのプロセスに伴って段階

的に詳細にしていくという、システムズエンジニアリングの考え方です。半

世紀以上を経て、この考え方、モノづくりの手法が、私たちの身の回りの

製品を開発するためにも有効なものになってきたということになります。

 また、多くの技術要素を扱うシステムズエンジニアリングの仕事を文

章で書かれた書類ベースで行うのは非常に大変なので、10年くらい前

から”システムモデル”という概念を用いてシステムズエンジニアリングを

行うことが広がってきました。これはMBSE(Model-based Systems

Engineering)と呼ばれ、共通の記号やルールを定めた言語を使ってシス

テムの全体像を記述します。システムモデルをうまく使うことによって、「も

ともと何がしたかったのか」を設計や検証の各段階で反復的に確認する

ことができるようになりますし、分業している他分野の相手にも共通の言

語で、誤解なく必要な情報を伝えることができるようになります。これは、

開発しようとする製品が「接続の複雑性」を持っている場合には大変効果

的です。加えて、システムモデルはデジタル化してITツールで扱えるので、複

雑な要件定義の段階で矛盾がないか、開発過程でも随時システム間の接

続はどうか、などを検証しながら関係者間で効率良く運用することができ

ます。このようにMBSEは、システムズエンジニアリングのアプローチを効

果的・効率的に行いたい場合の有力な選択肢となります。

レベル 概要 安全運転に係る監視、対応主体

自動運転システムがすべての運転タスクを実施

レベル 5■ 完全運転自動化

・ システムがすべての運転タスクを実施(限定領域内※ではない) ・ 作動継続が困難な場合、利用者が応答することは期待されない

レベル 4■ 高度運転自動化

・ システムがすべての運転タスクを実施(限定領域内) ・ 作動継続が困難な場合、利用者が応答することは期待されない

レベル 3■ 条件付運転自動化

・ システムがすべての運転タスクを実施(限定領域内) ・ 作動継続が困難な場合、運転者はシステムの介入要求等に対して適切に応答することが期待される (作業継続が困難な場合は、運転者)

運転者がすべてあるいは一部の運転タスクを実施

レベル 2 ■ 部分運転自動化 ・ システムが前後/左右の両方の車両制御に係る運転タスクのサブタスクを実施

レベル 1 ■ 運転支援 ・ システムが前後/左右のいずれかの車両制御に係る運転タスクのサブタスクを実施

ができます。Vitechは図研グループの一員として、複雑な課題に迅速に

対応し、高品質のソリューションを提供してお客様を支援します」。

 「接続の複雑性」を持ち、難しい要件を製品の構想段階から検証まで

クリアしなければならないという製品開発での課題は、今では航空宇宙

や自動車に限られた話ではありません。これまで図研は、エレクトロニク

ス製品開発に携わる多くのお客様の品質、コスト、開発期間の最適化

のために必要なソリューションを提供してきました。その多くは、お客様

が「何をつくるか」を決めた後、「どうつくるか」を最適化するために使わ

れるソリューションでした。「つながる」ことによってこれまでになかった

素晴らしい価値を生み出す製品の開発は、同時に「何をつくるか」を検

討する時点で、これまでにないレベルの複雑さ・高度さが求められるよう

になります。図研は、これまで培ってきた「どうつくるか」を最適化する技

術とVitech社が有する構想設計段階でのシステムズエンジニアリング、

MBSEの知見を融合していくことにより、お客様がより効率的に安全・安

心で高度な機能を持った製品を世に送り出せるよう、貢献していきたい

と考えています。

 ロング氏は今回、図研グループに加わるにあたり、次のように述べています。

 「Vitechの豊富なシステムエンジニアリング・MBSEの専門知識を、図

研が持つエレクトロニクス製品設計分野での専門知識と融合させれば、

お客様が複雑な課題に効率的かつ効果的に対応できる体制を築くこと

「衝突しない」クルマづくりは、エンジニアリングをどう変えるのか

システムズエンジニアリングというアプローチ

安全・安心な「つながる世界」の実現に、モノづくりを通して貢献

MBSEのエキスパート集団である米国Vitech社を率い、25年以上にわたって航空・宇宙産業、自動車産業の多くの顧客を支援してきた実績を持つ。INCOSE※の会長を務めた経験もあるシステムズエンジニアリング・MBSE分野の第一人者。※INCOSE(The International Council on Systems Engineering): 世界のシステムエンジニアリングをリードしている国際的な専門組織

「つながる世界」をエンジニアリングするために米国Vitech社が図研グループに

ディビッド・ロング 氏

※ 限定領域 : 運転自動化システムが機能すべく設計されている特有の条件。運転モード(高速道路、低速交通など)を含むが、これに限らない。 地理、道路、環境、交通状況、速度や一時的な限界を含む。

(出典:「官民ITS構想・ロードマップ2017」をもとに作成) Zuken Innovation World 2018 講演時の様子

システム

運転者

自動運転レベルの定義の概要

Close up

01

ZUKEN Inc. Corporate Profi le11 12

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【写真3】 インドのRV College of Engineering “Team Chimera” 「学生フォーミュラ日本大会2017」出場時の様子【写真1】 「学生フォーミュラ日本大会」の様子

 学生フォーミュラは、学生たちがオープンホイールでコックピットが覆

われていない一人乗りのフォーミュラカーを自ら構想・設計・製作し、クル

マの走行性能だけでなく、設計コンセプトや量産コスト、販売戦略を含め

た総合成績で競う、学生モノづくりコンペティションです。学生フォーミュ

ラはその原型であるフォーミュラSAE®が1981年にアメリカで始まり、そ

の後、イギリス、イタリア、オーストラリア、オーストリア、ドイツ、日本、ブラ

ジルなどで同一ルールによる大会が世界各地で行われています。日本大

会は2003年に開催が始まり、国内の学生に加え、欧州、中国、インドなど

から海外の学生も含め、約100チームが参加しています。

 図研はこれまで、欧州を中心にフォーミュラSAEに参加するこうした国々

の学生を積極的に応援してきました。フィレンツェ大学(イタリア)の “Firenze

Race Team” 【写真2】、ウルヴァーハンプトン大学(イギリス)の “Formula

Student Team”、ラーフェンスブルク=ヴァインガルテン大学(ドイツ)の

“Several Formula Student race teams” などの学生チームは、図研の欧

州現地法人がそれぞれ応援しています。またアジアでは、図研のインドの拠

点であるZuken India Private Limited【写真3】が、インドのRV College of

Engineeringの“Team Chimera”のフォーミュラカー制作を支援しています。

 クルマづくりに求められる知識は、機械・工学系から電気・電動の専門

技術、ソフトウェアによる制御技術、製造技術など、広範囲にわたります。

クルマを設計し、実際に製作するためには、学生フォーミュラに参加する

学生の一人ひとりが、幅広い技術知識を身につけるとともに、多種多様

なバックグラウンドを持つ仲間と協力し合って、衝突を恐れずにさまざま

な意見やアイデアを出し合い、ベストな結果を探っていく姿勢が必要と

なります。これは、クルマづくりに限らずあらゆるモノづくりに通じるもの

であり、学生フォーミュラに参加した各チームの学生は、少しでも性能の

良いクルマをつくるためのプロセスを通して、単なる技術知識を得るだけ

ではなく、モノづくりの本質を学ぶことができるといえるでしょう。

 図研はこれまで、世界の自動車先進国のお客様のニーズに合っ

た設計ソリューションを提供してきました。そうしたお客様との取り

組みの中で少しずつ発展してきたソリューションを、学生チームに

も提供しています。学生たちは、企業が試行錯誤して到達した最先

端の技術を活用して、自分たちのプロジェクトを進めることができる

のです。一方、学生たちは、過去にとらわれない発想で自分たちのク

ルマづくりに挑戦します。先進技術と斬新な発想の接点である学生

フォーミュラは、図研のように学生を支援する企業にとっても貴重な

体験となります。

 2017年にフランスが「2040年までにガソリン車とディーゼル車の

新たな販売を禁止する」と発表したのを皮切りに、欧州の主要国や新

興国の一部ではガソリン車の新車販売を禁止する措置を相次いで発

表し、クルマのEV(Electric Vehicle:電気自動車)シフトが進んでい

ます。内燃機関の技術ではもはや先進国企業に追いつくことが難し

かった新興国では、このパラダイムチェンジを契機にEV技術で優位に

立とうという動きが始まっています。かつて一部先進国企業のみが関

わってきた自動車開発は、現在大きく変化しています。それと呼応して

学生フォーミュラも、今後はインドをはじめとした新興国からの参加

も増加していくことになるでしょう。そこで新たな自動車技術が生まれ、

未来の自動車産業を担うことになるスーパーエンジニアが登場するか

もしれません。

 未来のモビリティ、未来のモノづくりを創造するエンジニアを一人で

も多く生み出すため、図研は挑戦し続ける若い学生たちの情熱を今後

も応援していきます。

学生フォーミュラとは クルマづくりから学ぶモノづくりの本質

クルマづくりへの情熱がチャレンジ精神を育てる

【写真2】 フィレンツェ大学 情報工学部 “Firenze Race Team”

「学生フォーミュラ日本大会-ものづくり・デザインコンペティション-」【写真1】には、日本だけでなく

海外の学生チームも多く参加し、学生自ら制作したフォーミラカーの完成度を競っています。

図研は、各国の拠点を通じてかねてよりこうした学生チームの支援を積極的に行ってきましたが、2019年8月開催の

「学生フォーミュラ日本大会」ではその大会スポンサーとして参加しています。

未来のモビリティ、未来のモノづくりを担う若い世代への支援を通して、より豊かな社会の実現に貢献することは、

私たち図研にとって大きな価値を持つミッションでもあると考えています。

未来のスーパーエンジニアと情熱を共有図研の学生フォーミュラ支援

Close up

02

※写真は2018年開催時のものです。

ZUKEN Inc. Corporate Profi le13 14

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社 名

設 立

本社所在地

資 本 金

従 業 員

株 式

事 業 内 容

役 員 代表取締役社長 金子 真人代表取締役副社長 勝部 迅也常務取締役 仮屋 和浩常務取締役 相馬 粛一 取締役 大澤 岳夫取締役 早乙女 幸一取締役 佐野 高志※1

取締役 荒井 洋一※1

監査役(常勤) 和田 扶佐夫監査役 尾崎 靖※2

監査役 半田 高史※2

株式会社 図研 [ ZUKEN Inc.]

1976年12月17日

〒224-8585 横浜市都筑区荏田東2-25-1

101億1,706万5,000円

407名 連結1,328名 (2019年3月末現在)

上場証券取引所 東証第一部

製造業における製品設計・開発業務全体の高度化・最適化を支援する、各種ITシステムの開発・製造・販売や、コンサルティングサービスなど

※1 佐野 高志氏、荒井 洋一氏は、会社法第2条第15号に定める社外取締役です。※2 尾崎 靖氏、半田 高史氏は、会社法第2条第16号に定める社外監査役です。