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1 物理学序論2 (電磁気学入門) 第14160122 電磁波と光

物理学序論2 (電磁気学入門) 第14講 160122osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~naga/kogi/handai-buturi...球面波 3次元空間で、点源から発せられる波は球面状に広がる。

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物理学序論2 (電磁気学入門)

第14講 160122

電磁波と光

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波数ベクトル k : 波の進行方向を向き、|k|=2p/l

電場ベクトル E : 媒体の振動方向を示し、最大振幅が|E| = E0

横波であれば、振幅方向と波数ベクトル k は直交するので k・E=0

電磁波の3次元空間における平面波は

E = E0 sin(w t - k・r) = (E0x , E0y , E0z ) sin (w t- k・r) k・r = kx x + ky y + kz z

真空中のガウスの法則: ∇・E = 0 k・E=0

証明:

すなわち、ガウスの法則は電磁波が横波であることを示す。

r ¢E = 0 ! @Ex

@x+@Ey

@y+@Ez

@z= 0

! (kxE0x + kyE0y + kzE0z) cos(! t¡ k ¢ r) = 0 ! k ¢E0 = 0

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3次元空間で、点源から発せられる波は球面状に広がる。

波源が考えるサイズに比べて十分小さければ点源となる。

エネルギー密度が距離の2乗に反比例して減少するので、振幅は ~1/r に比例する。

波動関数は

の形となる。上の波動関数は実際に3次元波動方程式を満たす。

注:平面波波動関数との差に注意

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球面波 (spherical wave)

Ã(r; t) =1

ru(!t¡ kr+ Á)

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付録

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3D 平面波を絵として表現

平面波 : 1次元表現 2次元表現 3次元表現 波形を描けない

位相を色で示す

k

u = u0 sin(!t¡ k ¢ r)= u0 sin(!t¡ kxx¡ kyy ¡ kzz)

u= u0 sin(!t¡ kx)

x y

x 方向進行波

u0 sin(!t¡ kxx¡ kyy)

x y

x-y 方向進行波

k

3次元平面波の振幅を絵で表現するには4次元空間が必要。

そこで、3次元空間における波面と波面での振幅を

分けて表現することとする。

上右図: 3次元空間において、平面波の振幅 と位相が

一定の波面を表す。

右図では、波面上の電場の振幅と方向を矢印で表現し、

同時に振幅を進行方向に設定した座標の関数として描く。

この座標軸を x 軸として振幅を (x,t) の関数として

表すと1次元表現となる。

1次元表現では、 y, z 方向には一様なので ∂ /∂y = ∂ /∂z=0 となる。

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(前回導いた)

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(再掲)

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発見的手法:heuristic method

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電磁波発生の基本は電気双極子振動。

静的な電気双極子の電場

電気双極子が振動すると

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ダイポールアンテナは振動する電気双極子と同等

電磁波の発信と電場の向く方向

電磁波は横方向に偏極しているという

放送業界では偏波

光では偏光という言葉を使う。

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VHF

UHF

日本の放送では水平偏波が基本。

田園地方などでは混信を防ぐため垂直偏波の中継局あり

(五月山にあるテレビ大阪池田中継局は垂直偏波)

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水平偏波と垂直偏波

受信アンテナを放送局の偏波に合わせる

携帯は垂直偏波

八木・宇田アンテナ

VHF超短波

30-300 MHz

UHF極超短波

300-3000 MHz

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(b) スイッチオン。電流増加。磁場と電場発生

(c) t =T/4. 完全帯電。電場最大。電流と磁場ゼロ

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⦿ 電波の進行方向

アンテナの向き

垂直アンテナからの電磁波を

P 点で見た時の時間変化

ダイポールアンテナ発信器

電場の時間変化。

電磁場の変化を下流 P 点から見る

½ l

E =³0; E0 sin(!t¡ kx); 0

´

B =³0; 0; B0 sin(!t¡ kx)

´

y

z

ここを t=0

にとる

P点を x=0

と設定

Ey = E0 sin

µ2¼

Tt¡ 2¼

¸x

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偏光: 電場の振動面が特定の方向を向いている光

電磁波の電場はアンテナ軸に平行。

偏極は進行方向に垂直な平面内にあり、

ベクトルで表せる。重ね合わせの原理により

互いに垂直な2つの偏極のベクトル和として表せる。

自然光はあらゆる方向の偏極を一様に含む(非偏光)

偏光板を通すと特定の振動方向のみ通過する。

偏光板の原理: 電磁波が金属格子を通過すると、導体中の

電子は電場力を受けて振動し、オームの法則に

よりエネルギーを消費する。

電子は格子に沿って振動できるが、

格子をまたいでの振動はできない。

従って格子に平行な成分は、エネルギー

を消費して減衰するが

垂直な成分は素通りする。

光は、偏光軸が互いに

垂直な2枚の偏光板を

通過できない。

直線偏光

偏光板:異方性のある結晶。またポリビニルアルコール

という高分子材を特定の方向に伸ばすと、細かいシマ

模様の並ぶ偏光板が作れる。

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[やってみよう] 電波の性質を調べよう

実験2 実験1の板の所に金網(すだれ状)を置いたらどうなるか。 また,面の向きはそのままでゆっくり回転させたらどうなるか。

金網を立てた様子 金網を90度回転させた様子

www.saga-ed.jp/kenkyu/kenkyu_chousa/h17/buturi/.../Phys2_2.ppt より

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ヘルツの実験②

発信器

バチバチ

ループ受信器(電場E 磁場Bとも受信可能)

(c) (d)

(e) (f)

E

B B 平行

垂直

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電磁波のエネルギーは振幅の2乗に比例する。

非偏光の光が偏光板を通過すると、2成分のうち

1成分が失われるので強度は1/2。

しかし、偏光している光が偏光板を通過する場合

偏光軸が q だけ傾いていると、通過振幅は cosq

に比例するので、強度は I = I0 cos2q となる。

(教科書p281 例題34-3)

非偏光の光 (b) をまず鉛直偏光板 (c) を通して、

水平成分を除去する 。次に (e) に水平偏極板を置けば

鉛直成分を遮断するので、光は完全に除去できる。

光は (a) に到達しない。

ところが、間に角度 q だけ傾いた偏光板 (d) を置くと

水平方向の偏光が復活する (e)。

垂直偏光の光は図のベクトル1で表されるが、

60°偏光板を通るときはベクトル 2 と 3 の合成として

表され、 60°偏光板はベクトル2を通す。

ベクトル 2 は水平成分 4 を含み、その振幅は元の垂直

ベクトルの cos60°cos30°=1/2×√3/2=√3/4 となる。

元のベクトル1はすでに非偏光強度 I0 の1/2に

なっているので、最終的な強度は

I3 = ½ ×(√3/4)2I0 = 0.094 I0 である。

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遮断した偏光の再生 (a)

偏光板通過後の電磁波が持つエネルギー

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電磁波のスペクトル

同じグラフ対数目盛

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大気の窓

生物は、地球の環境に合わせて進化してきた。生物は当初水の中で進化した。

大気の窓は光とマイクロ波以上の電波に開いている。しかし、水は電波を吸収する。

またエネルギー(∝ hn )は圧倒的に周波数の高い領域に集中している。

故に使える電磁波は光のみ

ヒトはなぜ光だけを感知できて他の周波数帯に不感なのか?

大気は電磁波を吸収する。しかし開いている窓もある。

ヒトは3色のみ:ほ乳類は通常2色

魚類、両生類、は虫類、鳥類は4色を持つ

ものが多い。

各種動物は生態に合わせ感覚を進化させた

初期のほ乳類は夜行性で赤青の2色のみ

霊長類が緑を獲得。果実発見に有利。

太陽の恩恵は計り知れない。生物は太陽にはぐくまれた。

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猫は赤が見えない。ヒトの赤緑色盲に近い感覚。また遠くの景色はぼける。

猫の網膜は桿体細胞が多く、楕円形の瞳孔と大きな角膜を持つので、

暗いところではヒトの~8倍よく見える。

桿体細胞は切り替え速度が速くネズミの素早い動きに対応できる (高速撮影低速映写)。

逆に人間の目は、亀の遅い動きを検知できる (低速撮影高速映写)。

人の目

猫の目

人の目

猫の目

http://buzzap.jp/news/20131017-cats-eye-view/

4色が見える画家 Concetta Antico サンディエゴ在住

通常人が100万色を視ることができるのに対して

その100倍に当たる1億色を視ることができる。

X染色体異常 or 進化?:女性の2~3%が持つといわれる 画家:Concetta Antico, 作品は

http://concettaantico.com/oil-paintings/

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電磁場の異なる物質面における境界条件 物質中のマクスウェル方程式は、形式的には e0e, m0m として得られるが、 D (= e E), H (=B/m) と E, B の使い分けに注意する必要がある。 また、物質中の光速度は、 v = w/k = 1/√em である。

境界条件1: E の接線成分が連続

証明: ファラデーの法則 の積分型 を使う。

線積分の経路 C を両境界にまたがり、境界に平行な四角な微小ループに設定する。 長辺の長さを l 短辺の長さを Dh とし、短辺が境界を横切るものとする。 長辺に沿った電場の接線成分を、長辺 に沿って Et1, Et2,

短辺に沿っての成分をそれぞれ Et2, Et4 とする。

ファラデーの法則を微小ループに適用すると

ここで Dh 0 とすれば、短辺からの寄与と面積分は共に消える。 したがって、 Et1 = Et2,

(同様にして, アンペールの法則を使えば、 Ht1 = Ht2 Bt1/m1 = Bt2/m2 )

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l(Et1 ¡Et3) +¢h(Et2 ¡Et4) = ¡@B

@tl¢h

反射と屈折の法則

I

C

Etds = ¡@

@t

Z

A

BndA

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境界条件2: D (=eE) の法線成分が連続。

証明: ガウスの法則 (∇・D = 0 )の積分型を使う。 ガウス面を境界を横切って垂直に立てた円柱とし, 円柱上下端の面積を A, 面に垂直な電束密度成分を Dn1 , Dn2 , 円柱の側面積を A’, 側面の電束密度の法線成分を D’n とする。 真電荷は存在しないからガウス積分は、

∫ADndA = A(Dn1 - Dn2 )+ A’D’n = 0

となる。ここで円柱の高さを0とする極限をとれば、側面積 A’ 0 となるので

Dn1 - Dn2=0

を得る。境界面の電束密度の境界条件は

Dn1 = Dn2 e1En1= e2En2,

(同様にして、磁場に関するガウスの法則より Bn1 = Bn2 ) 境界条件まとめ: 電場の接線成分 Et , 電束密度の法線成分 Dn が境界の両側で等しい。 磁場の接線成分 Ht , 磁束密度の法線成分 Bn が境界の両側で等しい。

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光の反射と屈折の法則

Et1=Et2 は

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光の反射と屈折の法則 (続)

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屈折のより直観的な説明: 光速度の異なる媒質の境界では屈折が生じる

屈折により像が違うところに見える。

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蜃気楼:富山湾魚津:上:建物群の上に反転像

が現れ、背中合わせになっている上位蜃気楼。

1994年4月6日、魚津埋没林博物館から

黒部市生地(いくじ)方向。下:実景

屈折率が変化すると

光は屈折率の大きい方に曲がる。

暖かい空気: 屈折率小

上にあると下に曲がり(上位蜃気楼) 実像の上に虚像ができる

下にあると上に曲がる(下位気楼) 実像の下に虚像ができる。

浮島現象、アスファルトの逃げ水現象

砂漠のオアシス幻覚

上の実像

蜃気楼: 屈折率が起こす自然現象

エジプト砂漠の蜃気楼 http://olaf-mama.at.webry.info

/201210/article_13.html

http://www.city.uozu.toyama.jp/nekkolnd/mirageex/

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倒立像を正常に戻し光経路を長くする

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全反射の使用例

一眼レフファインダー

光学的に密から疎の物質へ

入るとき臨界角以上は全反射

光ファイバーは全反射を

使い損失~0で伝達する

全反射

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色分散

図7

図8

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ブリュースター角

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反射による偏光:

P偏光

● S 偏光

反射や屈折を起こす際、媒質の振動方向は変わらないが

光の進行方向が変わる。偏光ベクトルのうち進行方向に垂直な成分

のみが生き残るので偏光度が変わる。

このため反射光は偏光するので、

偏光めがねで反射光を遮ることができる。S 波は反射屈折により

垂直性を失わないので反射強度 R は反射角と共に単調増大する。

P 波には反射強度が 0 になる角度がある(ブリュースター角)

ブリュースター角がある理由

ブリュースター角は入射角と屈折角の和が90°になるところで。

簡単のため媒質1は真空とする。

反射波と屈折波は、共に媒質2の振動により生じる電磁波である。

ブリュースター角では振動方向が屈折波に垂直であるため、

P偏光成分は反射波の方向に光が放出されない。

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偏光ベクトルの互いに垂直な2成分が同位相であれば、

分解しても合成して振動面が変わるだけで直線偏光である

ことに変わりはない。

2成分の振幅が同じで位相が90°ずれると円偏光になる。

中間はだ円偏光。枠内の波動関数

は x = 0 でそれぞれ右(左)回りの円運動

を表す。 (RH/LH はright/left-handed)

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左巻き円偏光

右巻き円偏光

図参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Circular_polarization

RH=LH circular polarizatiom

Ey = E0 cos(kx¡ !t)

Ez = §E0 sin(kx¡ !t)

右円偏光 左円偏光

フィルター フィルター

円偏光

右巻きの定義1:上流から見て、定点で右回り or 時計まわりに回転する。

時刻を固定し、空間の波形を見るときは左ねじの形 (電気工学、理学・天文学)

定義2:下流から見る (光学)

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円偏光を作るには: 直線偏光板と1/4波長板

を通す。逆に円偏光を

1/4波長板に通すと

線偏光になる。

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複屈折結晶では、屈折率が直線偏光の振動方向によって異なるため、互いに直交する直線偏光成分で屈折角が異なり、光線が二つに分離する。一本の線が複屈折により二本に見える。

それぞれで伝播速度が異なるので、結晶を透過した後に直交する直線偏光成分の間には位相差が生じる。

直線偏光を楕円偏光や円偏光に、また逆に楕円偏光や円偏光を直線偏光に変える偏光素子がλ/4板(quarter wave plate)である。

複屈折と1/4波長板