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お問合せ窓口 環 境 省 指定廃棄物に関するお問合せ窓口 福島 024-523-5391(8:30~17:15 土日祝除く) 東京 03-6741-4535(9:30~18:15 土日祝除く) 【ホームページURL】http://shiteihaiki.env.go.jp/ 平成25年10月 第1版 放射線の基礎知識 東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、みなさまから放射線についてのご質問がたくさん 寄せられております。みなさまの不安を少しでも解消し、 お役に立てるよう、 放射線に関する 基礎的な知識についてご紹介します。 放射線とは!? 放射線とは! 呼吸から 食べ物から 宇宙から 大地から 自然界に もともと 存在する! 存在する! 放射線による発がんリスクと、 他の要因による発がんリスクについて 今回の原発事故による被ばくのリスクを、みずから選択できる他のリスク要因(下図参照)などと単純に比較することは 必ずしも適切ではありませんが、他のリスクとの比較は、発がんリスクの程度を理解するのに有効です。 放射線防護上は、100ミリシーベルト以下の放射線量であっても、被ばく線量に比例して発がんリスクが増加するとい う考え方を採用しています。 この考え方にしたがってリスクを評価した場合、年間20ミリシーベルトを被ばくすると仮定した場合のリスクは、他の発 がん要因(喫煙、肥満、野菜不足など)によるリスクと比べても低いこと、また、放射線防護措置に伴うリスク(避難による ストレス、屋外活動を避けることによる運動不足など)と比べられる程度であると評価されています。 放射線の影響を少なくするためのポイント ●放射性物質を適切に管理する 体の外側にある放射性物質から発せられる放射線を受ける ことを “外部被ばく” といいます。その影響を少なくするため、 放射線を遮へいする、放射性物質から距離を取る、射性物質に近づく時間を短くする、ということが重要です。 ●体内にとりこまない 飲食や呼吸によって体内に入った放射性物質から発せられ る放射線を受けることを “内部被ばく” といいます。それを 避けるため、 食品からの内部被ばく線量の上限を年間1ミリ シーベルトと定め、 これをもとに放射性セシウムの新基準値 が設定されています。国は放射能濃度が基準値を超える食品 が流通しないよう、出荷制限などの措置をとっています。 ❶放射線を遮へいする。 ❸放射性物質に近づく 時間を短くする ❷放射性物質から距離をとる。 放射線を正しく理解することが“安心”につながります。 ※1 夫が非喫煙者である女性のグループに対し、夫が喫煙者である女性のグループのリスク。 ※2 BMI(身長と体重から計算される肥満指数)23.0~24.9のグループに対し、BMI≧30のグループのリスク。 ※3 1日当たり420g摂取のグループに対し、1日当たり110g摂取のグループのリスク(中央値) 出典:「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書 平成23年12月 内閣官房」 〈参考〉発がんリスクの要因など 1,000~2,000 ミリシーベルト相当 喫 煙 100~200 ミリシーベルト相当 受動喫煙 ※1 100~200 ミリシーベルト相当 野菜不足 ※3 200~500 ミリシーベルト相当 肥 満 ※2 合格! STORE

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お問合せ窓口

環 境 省 指定廃棄物に関するお問合せ窓口福島 024-523-5391 (8:30~17:15 土日祝除く) 東京 03-6741-4535 (9:30~18:15 土日祝除く) 【ホームページURL】 http://shiteihaiki.env.go.jp/ 平成25年10月 第1版

放射線の基礎知識東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、みなさまから放射線についてのご質問がたくさん寄せられております。みなさまの不安を少しでも解消し、お役に立てるよう、放射線に関する基礎的な知識についてご紹介します。

放射線とは!?放射線とは!?

呼吸から

食べ物から

宇宙から

大地から

自然界にもともと

存在する!存在する!

放射線による発がんリスクと、他の要因による発がんリスクについて

今回の原発事故による被ばくのリスクを、みずから選択できる他のリスク要因(下図参照)などと単純に比較することは必ずしも適切ではありませんが、他のリスクとの比較は、発がんリスクの程度を理解するのに有効です。

放射線防護上は、100ミリシーベルト以下の放射線量であっても、被ばく線量に比例して発がんリスクが増加するという考え方を採用しています。この考え方にしたがってリスクを評価した場合、年間20ミリシーベルトを被ばくすると仮定した場合のリスクは、他の発がん要因(喫煙、肥満、野菜不足など)によるリスクと比べても低いこと、また、放射線防護措置に伴うリスク(避難によるストレス、屋外活動を避けることによる運動不足など)と比べられる程度であると評価されています。

放射線の影響を少なくするためのポイント●放射性物質を適切に管理する体の外側にある放射性物質から発せられる放射線を受けることを“外部被ばく”といいます。その影響を少なくするため、❶放射線を遮へいする、❷放射性物質から距離を取る、❸放射性物質に近づく時間を短くする、ということが重要です。

●体内にとりこまない飲食や呼吸によって体内に入った放射性物質から発せられる放射線を受けることを“内部被ばく”といいます。それを避けるため、食品からの内部被ばく線量の上限を年間1ミリシーベルトと定め、これをもとに放射性セシウムの新基準値が設定されています。国は放射能濃度が基準値を超える食品が流通しないよう、出荷制限などの措置をとっています。

❶放射線を遮へいする。

❸ 放射性物質に近づく時間を短くする

❷放射性物質から距離をとる。

放射線を正しく理解することが“安心”につながります。

※1 夫が非喫煙者である女性のグループに対し、夫が喫煙者である女性のグループのリスク。※2 BMI(身長と体重から計算される肥満指数)23.0~24.9のグループに対し、BMI≧30のグループのリスク。※3 1日当たり420g摂取のグループに対し、1日当たり110g摂取のグループのリスク(中央値)出典:「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書 平成23年12月 内閣官房」

〈参考〉発がんリスクの要因など

1,000~2,000ミリシーベルト相当

喫 煙

100~200ミリシーベルト相当

受動喫煙※1

100~200ミリシーベルト相当

野菜不足※3

200~500ミリシーベルト相当

肥 満※2

合格!STORE

Page 2: 放射線の基礎知識 - envshiteihaiki.env.go.jp/pamphlet/pdf/booklet_01_04_131023.pdf放射線って意外と 身近にある ものなんだ。アルファ (α)線 ベータ

放射線って意外と身近にあるものなんだ。

アルファ(α)線

ベータ(β)線

ガンマ(γ)線

放射線を、正しく理解することが安心につながります。

身の回りにある放射線 放射線の種類と特徴

放射線の人体への影響

私たちは、ふだん、身の回りにあるさまざまな放射線を受けて生活しています。放射線は、もともと自然界に存在するもので、原子力施設や病院など特別な場所にだけあるものではありません。

放射線は、細胞に当たると細胞中のDNAに傷をつけることがあります。この傷は体の中に備わっているシステムで修復されます。少しの傷なら修復が成功し、元に戻ります。修復が不完全の場合、遺伝子の突然変異が起こり、がん細胞が生じる可能性がありますが、必ずがんが起こるわけではありません。 東京・ニューヨーク

飛行機の旅(往復)~0.19ミリシーベルト

胃エックス線検診(1回当たり)

3ミリシーベルト程度

主な放射線のうち、アルファ線は紙一枚で、ベータ線はプラスチックやアルミニウムの薄い板などで止めることができます。ガンマ線は通り抜ける性質が強いですが、鉛や鉄の板、厚いコンクリートなどで止めることができます。

東京電力福島第一原子力発電所の事故で問題となっているものは、ほとんどが放射性セシウムです。放射性セシウムは主にガンマ線を出すことがわかっており、しっかりと遮へいすることが大切です。

放射能は、時間の経過とともに小さくなって(減衰して)いく性質を持っており、放射能が半分になるまでの時間を「半減期」と呼びます。半減期は、放射性物質の種類によって異なり、例えば、セシウム134の半減期は約2年、セシウム137の半減期は約30年です。また、体内にとりこまれた放射性物質については、代謝などにより体外に排出されることで減っていきます。

身の回りの放射線からの被ばく量海外旅行の場合

ベクレル(Bq)とは シーベルト(Sv)とは

医療の場合

放射性物質・放射能・放射線ってどう違うの? ベクレル、シーベルトって?

放射線を出す能力(放射能)の強さを示す単位のことです。

放射線が人体に与える影響の度合いを表す単位のことです。

放射線の種類によって、それぞれものを通り抜ける力が異なります。放射線の種類

放射線を出す力(放射能)は、時間の経過とともに小さくなっていきます。放射能の特徴

放射性物質

放射性物質

放射線

放射線

放射性物質

放射性物質

放射線

放射線

大気中のラドンなど0.48ミリシーベルト 宇宙から

0.3ミリシーベルト

大地から0.33ミリシーベルト食べ物から

0.99ミリシーベルト

紙 プラスチック、アルミニウムの薄い板など

鉛、鉄の板、厚いコンクリート

など

放射性物質が、放射線を放出して別の原子核に変化し、半分に減るまでの期間です。

物理学的半減期体内に取り込まれた放射性物質が、代謝などにより体外に排出されることで半分に減るまでの期間です。

生物学的半減期

セシウム134、セシウム1371歳まで: 9日  30歳まで:70日9歳まで:38日  50歳まで:90日

セシウム134 セシウム137

約2年 約30年

●生物学的半減期〈ヒト(全身)の場合〉

●物理学的半減期 最初の半減期

最初の半減期

次の半減期

放射線

放射性物質

最初の半減期

最初の半減期

次の半減期

放射線

放射性物質

年間2.1ミリシーベルト

例えばセシウム134の場合、約2年間で半分ほどのセシウムが放射線を出さない別の原子核(バリウム134など)に変わります。つまり放射能は、2年後には2分の1、4年後には4分の1、6年後には8分の1になります。

さらに約2年

さらに約2年

約2年

最初はすべてが放射線を出す力がある

2年の間に、約半分が放射線を出す力がなくなる

さらに2年の間に、約半分が放射線を出す力がなくなる

出典:(独)放射線医学総合研究所ホームページより

出典:放射線医学総合研究所ホームページより