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平成 26 年度理科教育に関する研究Ⅰ「学力向上につながる小学校理科の授業づくりⅡ」研究成果物 第 6 学年「水溶液の性質」授業プラン ~ はじめに ~ 本授業プランは、小学校第6学年単元「水溶液の性質」において、児童の主体的な学びを引き出し、 科学的な思考力・表現力を高めることを目的に構成している。 下に示す、授業づくりの「さしすせそ」の視点で単元および単位時間をデザインすることで、指導 と評価を一体化し、児童の学びを支援することをめざした。 料理の世界では、砂糖、塩、酢、醤油、味噌の「さしすせそ」がある。これらは調味料だが、「さ しすせそ」の順番には、粒子の小さな塩を先に入れると、粒子の大きな砂糖の甘みが付かなくなる、 醤油や味噌は後にしないと熱で風味が変わってしまうといった、味付けのための科学的な根拠がある。 本研究で提案する授業づくりの「さしすせ そ」は、科学的な思考力・表現力を高める手 立てである。児童が自ら問題を発見し、学び、 解決していくための筋道を立て、これを検証 し、このプロセスを次につなげるための支援 ・指導のあり方、それを「さしすせそ」の言 葉に集約している。 ~ 目 次 ~ 本授業プランの特徴・・・・・・・p.1 単元「水溶液の性質」の構想・・・p.3 ① 小学校学習指導要領の内容 ② 単元の目標 ③ 内容の関連と系統 ④ 本単元で児童に付けたい力 ⑤ 単元の評価規準 指導計画・・・・・・・・・・・・p.4 ○「活用課題」 ○ 記述による評価問題 授業展開例(全12時間)・・・・p.7 板書例・・・・・・・・・・・・・p.18 ワークシート例・・・・・・・・・p.24 使用薬品・実験器具について・・・p.30 授業づくりの「さしすせそ」 さわり 単元で付けたい力を明確にした単元の構想 仕掛け 自然事象のきまりや法則の「見える化」 筋道 結論につながる学習課題の設定 説得力 体験活動を基盤とした言語活動の充実 そうなんだ! 学習を振り返る場面の設定

第6 学年「水溶液の性質」授業プラン · 第6 学年「水溶液の性質」授業プラン ~ はじめに ~ 本授業プランは、小学校第6学年単元「水溶液の性質」において、児童の主体的な学びを引き出し、

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平成 26 年度理科教育に関する研究Ⅰ「学力向上につながる小学校理科の授業づくりⅡ」研究成果物

第 6学年「水溶液の性質」授業プラン

~ はじめに ~

本授業プランは、小学校第6学年単元「水溶液の性質」において、児童の主体的な学びを引き出し、

科学的な思考力・表現力を高めることを目的に構成している。

下に示す、授業づくりの「さしすせそ」の視点で単元および単位時間をデザインすることで、指導

と評価を一体化し、児童の学びを支援することをめざした。

料理の世界では、砂糖、塩、酢、醤油、味噌の「さしすせそ」がある。これらは調味料だが、「さ

しすせそ」の順番には、粒子の小さな塩を先に入れると、粒子の大きな砂糖の甘みが付かなくなる、

醤油や味噌は後にしないと熱で風味が変わってしまうといった、味付けのための科学的な根拠がある。

本研究で提案する授業づくりの「さしすせ

そ」は、科学的な思考力・表現力を高める手

立てである。児童が自ら問題を発見し、学び、

解決していくための筋道を立て、これを検証

し、このプロセスを次につなげるための支援

・指導のあり方、それを「さしすせそ」の言

葉に集約している。

~ 目 次 ~

1 本授業プランの特徴・・・・・・・p.1

2 単元「水溶液の性質」の構想・・・p.3

① 小学校学習指導要領の内容

② 単元の目標

③ 内容の関連と系統

④ 本単元で児童に付けたい力

⑤ 単元の評価規準

3 指導計画・・・・・・・・・・・・p.4

○「活用課題」

○ 記述による評価問題

4 授業展開例(全12時間)・・・・p.7

5 板書例・・・・・・・・・・・・・p.18

6 ワークシート例・・・・・・・・・p.24

7 使用薬品・実験器具について・・・p.30

授業づくりの「さしすせそ」

さ さわり 単元で付けたい力を明確にした単元の構想

し 仕掛け 自然事象のきまりや法則の「見える化」

す 筋道 結論につながる学習課題の設定

せ 説得力 体験活動を基盤とした言語活動の充実

そ そうなんだ! 学習を振り返る場面の設定

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1 本授業プランの特徴

■指導計画

○学習のゴールとして「活用課題」および記述による評価問題の設定

これらの課題や問題を解決するために必要な力を児童が主体的な学びによって習得していける

よう単元を構想する。

○自然事象の「見える化」を視点とした体験活動(観察・実験)の設定

■授業展開例

○結論につながる学習課題の設定

自然事象との出合いの後、児童の疑問や気付きを整理する中で、「~だろうか?」と結論につ

ながる疑問文の学習課題を設定する。こうすることで、児童は、結果を見通した予想・仮説を立

てることができる。そして、そのことを検証するために観察や実験を行うという問題解決の筋道

がイメージできると考える。なお、この学習課題に対する結論は、その時間に児童に付けたい科

学的な見方・考え方となるようにする。

○体験活動を基盤とした言語活動の充実

各時間の展開例に、以下の視点を示し、児童の科学的な思考・表現を支援できるようにした。

・主体的な学びを引き出すポイント

・科学的な思考・表現を引き出す問いかけ・働きかけ

また、評価のポイントを絞り、児童のつまずきに対して適切に支援を行う。表現力に課題のあ

る児童が思考力にも課題があるということにならないよう、空欄を埋めて予想や考察につなげる

ような話型を示したり、発言から思考を見取ったりして評価を行う。また、児童の思考が前に進

もうとするときや進んだときには全体の場で認めたり、称賛したりして児童の意欲を引き出す。

○思考を「見える化」するイメージ図

自然事象の仕組みや現象が起こる原因につい

て、児童に自分の考えを言葉だけでなく、右の

ようなイメージ図で表現させる。

しかし、個々が思い思いの表現をしていると、

イメージ図を交流し、思考を共有することがで

きない。

そこで、単元導入時からイメージ図による表

現を仕組むとともに、児童の実態に合わせて表

現の約束やきまりを段階的に統一していく。指導者は、イメージ図での位置関係や大小等につい

て、理由を問うことで、科学的な思考・表現を引き出し、評価につなげる。

鉄は、消えてなくなっ

=塩化水素

鉄は、見えないくら

い小さな粒になっ

て残っている

=鉄

泡が出ていたから鉄

は、気体になってい

=気体になった鉄

イメージ図の例(塩酸に溶けた金属の行方を予想)

*「活用課題」は、児童が習得した知識・技能を活用することで解決できる課題とする。

詳細は、当センター平成 26 年度理科教育に関する研究Ⅰの研究紀要参照。

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■板書計画例

○問題解決の流れに対応した板書計画(p.18-23)により、ノート指導を支援

問題解決の過程で、児童の思考を表出させることを明確にしたノート指導を行う。

予想・仮説、計画、考察の各場面においては、児童の表現や記述から科学的な思考・表現を見

取るとともに、児童のつまずきに対して支援を行う。また、ワークシート例(p.24 ー 27)は結果を

整理し、考察につなげることを支援する。

■スッキリ!もやもや?

○学習を振り返る場面の設定(各時間の終末)

学習を通して、自然事象のきまりや法則に納得することができた場合は「スッキリ」、別の

疑問が生まれた場合は「もやもや」と表記させる。指導者は、再度、自然事象を「見える化」

したり、個別に指導したりする。また、その時間の学習により、別の疑問が生まれた場合の「も

やもや」に対しては、次時の学習課題につなげたり、疑問を解決するための知識や情報を示し

たりする。そして、児童の記述から、その時間が児童にとって主体的な学びとなっていたのか

を見取る。

問いかけの例

学習のめあて 各時間の問題解決の対象(自然事象、

教材)および行動目標として指導者が

設定する。

学習課題

自然事象に対する児童の気付きや疑問

を受け、結論につながる課題になるよう

指導者が設定する。

予想・仮説

計画

結果(表、グラフ、イメージ図等)

考察(結果から考えられること)

結論 (「学習課題」に対する結論)

振り返り

問いかけの例

何を調べるのか、何を比較するのか、変える条件・変えない条件は何か、 などが記述できているか。

「~ならば、~になる」等、事象とその変化の要因が記述できているか。

考察 ・予想に対して、

結果はどうで

したか。 ・他のグループの

結果と合わせ

て考えよう。 ・~から、どんな

ことが言える

でしょうか。

予想・仮説 ・経験したことや

今までの学習

から、理由を考えましょう。

計画 ・変える条件と同

じにする条件に気をつけて、

実験の計画を

立てよう。 ・もし、結果が~

になれば、どん

なことが言えるでしょうか。

評価の視点

評価の視点

振り返り ・「スッキリ」か

「もやもや」の

どちらですか。納得した理由

や新しい疑問

を書きましょう。

見開きでのノート例

観察・実験の結果が根拠となるような 表現ができているか。

評価の視点

ある操作に対する変化の様子や事 実、数値などを適切に表現できてい るか。

評価の視点

重要だと思ったり、実感したりしたことを表現できているか。 次の疑問につなげられているか。

評価の視点

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2 単元「水溶液の性質」の構想

①小学校学習指導要領の内容

いろいろな水溶液を使い、その性質や金属を変化させる様子を調べ、水溶液の性質や働きについての

考えをもつことができるようにする。

ア 水溶液には、酸性、アルカリ性及び中性のものがあること。

イ 水溶液には、気体が溶けているものがあること。

ウ 水溶液には、金属を変化させるものがあること。

②単元の目標

身のまわりの水溶液に興味をもち、水溶液には固体や気体が溶けているものがあることを調べたり、

リトマス紙を使って水溶液を酸性、中性、アルカリ性に仲間分けしたりすることを通して、水溶液の性

質をとらえることができるようにする。また、水溶液は金属を変化させるかに興味をもち、推論しなが

ら追究していくなかで、金属が水溶液によって質的に変化していることをとらえることができるように

する。

③内容の関連と系統

本単元は、小学校学習指導要領の第6学年の目標(1)、内容A(2)であり、第5学年の内容A(1)「物

の溶け方」の学習をふまえ、「粒子」についての基本的な見方や概念を柱とした内容のうち、「粒子の結

合」、「粒子の保存性」にかかわるものである。

具体的には、いろいろな水溶液の性質や金属を変化させる様子について興味・関心をもって追究する活

動を通して、水溶液の性質について推論する能力を育てるとともに、それらについての理解を図り、水溶

液の性質や働きについての見方や考え方をもつことができるようにすることがねらいである。

④本単元で児童に付けたい力

問題解決を通して、水溶液の性質や働きについて推論する能力

⑤評価規準

自然事象への関心・意欲・態度

科学的な思考・表現 観察・実験の技能 自然事象についての知識・理解

・いろいろな水溶液の液性や

溶けている物及び金属を変

化させる様子に興味・関心

をもち、自ら水溶液の性質

や働きを調べようとしてい

る。

・水溶液の性質や働きを適

用し、身の回りにある水溶

液を見直そうとしている。

・水溶液の性質や働きにつ

いて予想や仮説をもち、推

論しながら追究し、表現して

いる。

・水溶液の性質や働きにつ

いて、自ら行った実験の結

果と予想や仮説を照らし合

わせて推論し、自分の考え

を表現している。

・水溶液の性質を調べる

工夫をし、リトマス紙や

加熱器具などを適切に

使って、安全に実験をし

ている。

・水溶液の性質を調べ、

その過程や結果を記録

している。

・水溶液には、酸性、アル

カリ性及び中性のものが

あることを理解している。

・水溶液には、気体が溶け

ているものがあることを理

解している。

・水溶液には、金属を変化

させるものがあることを理

解している。

4年 物の体積と温度

○金属、水及び空気は、温めたり冷やしたりすると、その体積が変わること。

4年 水のすがたとゆくえ

○水は、温度によって水蒸気や氷に変わること。

5年 物のとけ方 ○物が水に溶ける量には限度があること。

○物が水に溶ける量は水の温度や量、溶ける物によって違うこと。

また、この性質を利用して、溶けている物を取り出すことができること。

6年

水溶液の性質

中学校

(1分野1年)

(2) 身の回りの物質

ア 物質のすがた

イ 水溶液

ウ 状態変化

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3 指導計画(全12時間)

学習のめあて

★学習課題

◇主体的な学びを引き出す

自然事象・体験活動

◆言語活動の充実

◎結論 (児童に付けたい科学的な

見方・考え方)

気体が溶けている水溶液

第1次(4時間)

①②時 水溶液の秘密を調べよう

★三つの水溶液は何がちがうのだ

ろうか。

(食塩水、炭酸水、アンモニア水)

◇固体が取り出せる水溶液と取り出

せない水溶液

◆イメージ図による水溶液の概念の

共有

◆見通しを持つための実験方法の

話合い

◎水溶液には、においの違い

だけでなく、固体が溶けて

いるものと、気体が溶けて

いるものとの違いがある。

③④時 炭酸水の正体を明らかにしよう

★炭酸水に溶けている気体の正体

は何だろう。

★二酸化炭素は本当に溶けるのだ

ろうか。

◇炭酸水を振って二酸化炭素を取

り出す。

◇二酸化炭素が水に溶けることで容

器がへこむ。

◆イメージ図を用いた二酸化炭素が

溶ける様子の推論

◎炭酸水には、二酸化炭素が

溶けている。

◎二酸化炭素は水に溶ける。

水溶液の仲間分け

第2次(3時間)

⑤⑥時 リトマス紙の力を調べよう

★リトマス紙を使うと、水溶液をいく

つの仲間に分けられるのだろう

か。

★身の回りにある水溶液も三つの

仲間に分けられるのだろうか。

◇液性により、リトマス紙の色が変化

する。

◇身近な水溶液の液性による分類

◆表による結果の整理、リトマス紙の

色を根拠とした考察

◎リトマス紙の色の変化で、

水溶液は酸性・中性・アル

カリ性の三つに仲間分け

することができる。

◎身の回りにある水溶液も

三つの仲間に分けられる。

⑦時 ぶどうジュースの秘密を調べよう

★ぶどうジュースを使って酸性・中

性・アルカリ性を見分けられるだ

ろうか。

◇液性によってぶどうジュースの色

が変化する。

◆表による結果の整理

◎植物の汁の中には、酸性・

中性・アルカリ性によって

色が変わるものがある。

金属を溶かす水溶液

第3次(3時間)

⑧⑨時 鉄の行方を調べよう

★塩酸に溶けた鉄はどこに行った

のだろうか。

★黄色いものは鉄なのだろうか。

◇蒸発によって取り出した固体の性

質を調べる。

◆イメージ図を用いた水溶液の変化

の様子の推論

◎溶けた鉄は黄色い粉とな

って塩酸に残っている。

◎黄色いものは、鉄ではな

い。鉄は塩酸に溶けて、別

のものに変化した。

⑩時 アルミニウムの運命を調べよう

★アルミニウムは塩酸や水酸化ナトリ

ウム水溶液に溶けるのだろうか。 ◇水溶液による溶ける金属の違い

◆結果から結論を導く話合い

◎アルミニウムは、鉄と違っ

て塩酸にも水酸化ナトリウ

ム水溶液にも溶ける。

◎水溶液によって変化させ

る金属が違う。

「活用課題」

(2時間)

⑪⑫時 6種類の水溶液を特定しよう

★中身が分からない6種類の水溶

液を特定できるだろうか。

【記述による評価問題】

◇自分たちで考えた方法による水溶

液の特定

◆思考・表現を引き出すチャート図

◎水溶液の性質を手がかり

にして、水溶液を特定する

ことができる。

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○「活用課題」

「活用課題」では、身に付けた知識・技能を活用し、

正体の分からない水溶液の特定を行う。児童に右に示

すようなチャート図を作成させることで、水溶液の性

質と現象を関連付けながら、結果を見通した実験計画

を立てられるようにする。自分の立てた計画による主

体的な問題解決によって水溶液に関する知識が実感を

伴ったものになると考える。

なお、下に示すワークシート例(28ページ)は、児童

が水溶液を特定するための科学的な手順を考えられる

よう支援するためのものである。

理科室にラベルがはがれて、中身が分からない6種類の液体がありました。

6種類は炭酸水、水、石灰水、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液、食塩水のいずれかということです。

リトマス紙をあまり使わず、安全な方法で、それぞれがどんな水溶液かを特定できるでしょうか。

水溶液を特定するためのチャート図の例

「活用課題」を解決する様子

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○ 記述による評価問題

単元末において児童が身に付けた科学的な思考力・表現力を見取るため、下に示す評価問題を設

定する。

観察・実験等の体験を通して得た複数の事実を関係付けることで、児童は謎の水溶液の正体を推

論できると考える。根拠を明確にしながら、実験方法と水溶液名を記述できていれば「おおむね達

成している」と評価できる。また、実験方法と結果、水溶液名の三つの要素を適切に記述できてい

る場合「十分達成している」と評価する。なお、「おおむね達成している」に達しなかった児童に対

しては、実際に実験させる機会を持ち、水溶液の性質と現象について再度関係付けを行う。

評価

【十分達成している】:方法、結果、水溶液名の要素を適切に記述できている。

【おおむね達成している】:方法あるいは結果と水溶液名を記述できている。

「おおむね達成している」に達しなかった児童に対しては、実際に実験させる機会をもち、水溶液の性質

と現象について再度関係付けを行う。

期待される解答の要素

方法 結果 水溶液名

・観察する。

・においを調べる。

・液性を調べる。

・蒸発させる(残留物の有無を調べる)。

・泡が出ている。

・においがある。

・リトマス紙が〇色になる。

・粒が出る。

炭酸水

台所用洗剤

食塩水

解答例

【十分達成している】

・泡が出ていれば、炭酸水だ。

・蒸発させて白い粒が出てくれば食塩水だ。

・青リトマス紙が赤くなれば、炭酸水か酢だ。泡が出ていれば炭酸水で、泡が出ていなければ酢だ。

・ぶどうジュースを入れて、赤くなれば炭酸水か酢だ。

(すっぱい臭いがすれば、酢だ。臭いがしなければ、炭酸水だ。)

・赤リトマス紙が青くなれば、アルカリ性の台所用洗剤だ。

・ぶどうジュースを入れて、(黄)緑色になればアルカリ性の台所用洗剤だ。

*生活体験だけを根拠として、要因と結果を関係付けているものは【おおむね満足している】

・かき混ぜたときにシャボン玉のような泡ができれば、台所用洗剤だ。

・くぎをつけて、変化させれば酢だ。くぎをつけて、さびれば食塩水だ。

太郎さんは、おばあちゃんから台所の棚の整理をたのまれました。そして棚の奥に、何が入っているの

か分からないビンを見つけました。おばあちゃんの話では、この棚にあったのは、炭酸水、酢、食塩水、

台所用洗剤の四つのうちのどれかだったそうです。学校で「水溶液の性質」を学習している太郎さんは、

おばあちゃんにもらったぶどうジュースを飲みながら、謎の液体の正体が何か考えていました。

問 題

この水溶液の正体を安全につきとめるための方法と、その方法でどんな結果になれば、どの水溶液だと

いえるのか、太郎さんがスッキリするように説明しましょう。 ワークシートは 29ページ

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4 授業展開例

【第1次】第1・2時のねらい

・水溶液に溶けているものに興味を持ち、水溶液を蒸発させて残ったものから、水溶液には固体や気体が溶

けているものがあることをとらえる。

学習活動

◇体験活動 ◆言語活動 ・予想される児童の反応 ○支援 ★指導のポイント ◆評価規準

象 の

題 設

計 画

【第1時】

◇内側にフェノールフタレイン溶液を塗ったグラス

に、無色透明な石灰水を入れ、赤く色が変化する様

子を見る。次にレモン汁を加え、再び色が透明にな

る様子を観察する。

・石灰水は石灰が溶けていて、二酸化炭素があると白くなっ

たけど、どうして赤くなるのかな。

・レモン汁を入れるとまた透明に・・・なぜ?

◆水溶液の定義を確認する。

・溶ける量には限度がある。

・溶けて見えなくても重さは変わらない。

・食塩水ならば蒸発させると食塩が出てくる。

◇正体の分からない3種類の水溶液(A炭酸水・B食塩

水・Cアンモニア水)を観察する。

・泡が出ているのは炭酸水だ。

◆3種類の水溶液を見分ける方法について考える。

・においをかいでみるといい。

・蒸発させて、何が溶けているか調べてみるといい。

◇実験用具を準備する。

○学習のめあてを提示するとともに、フェノールフタレ

イン溶液による科学マジックを紹介し、本単元は目に

見えない水溶液の秘密を探っていく学習であること

を知らせる。

○「溶ける」と「混ざる」の違いを確認する。

○食塩を水に溶かす様子

を演示し、食塩水をイメ

ージ図で表現させ、水溶

液の定義を確認する。

○3本の試験管には、A、B、Cのラベルのみ付けておく。

○食塩水の他、炭酸飲料、虫刺され用の薬(アンモニア水)の

容器を提示し、A・B・C は食塩水、炭酸水、アンモニア水

のいずれかであることを知らせる。アンモニア水は市販の

もの(約 30%)を 3%程度に薄めておく。

○3種類とも無色透明で、見た目だけでは分からないこ

とを確認し、教科書などをもとに、水溶液を扱うとき

の注意事項を確認する。

◆3つの水溶液を特定する方法を進んで考えることが

できる。(思・表)

【ピペット、蒸発皿、アルコールランプ、マッチ、三脚、金網】

(スライドガラスと電熱器を用いる方法も可能)

1・2 3・4 5・6 7 8 9 10 11・12

★主体的な学びを引き出すポイント

無色透明な石灰水が赤くなったり、透明になったりする

様子から水溶液の見えない性質に着目させる。本単元の

学習を進めていく中で、水溶液の色が変化する謎が解け

ることを知らせ興味・関心を高める。

★言語活動のポイント:イメージ図の交流

イメージ図で表現することで、水溶液とは、ものが水に均一に溶けていて、透明であること(5 年で既習)を理解で

きているか見取る。粒の位置、線種など個々の表現の根拠を説明させる活動により、「溶ける」現象についての

思考と表現をつなげるようにする。

★言語活動のポイント:グループでの話合い

実験方法を考えさせる手立てとして、話型「~ならば、~だろう」を示す。そして、各自が考えた方法をグル

ープ内で出し合うことで、水溶液を見分けるための考え方を共有し、実験の見通しを持てるようにする。また、

各グループが考えた方法を学級全体で確認することで、実験への意欲を高める。

学習のめあて:水溶液の秘密を調べよう。

学習課題:三つの水溶液は何がちがうのだろうか。

言語活動の充実

言語活動の充実

言語活動の充実

言語活動の充実

言語活動の充実

言語活動の充実

言語活動の充実

言語活動の充実

言語活動の充実

水溶液には秘密がありそうです。見えない秘密をみんなで調べていきましょう。

水溶液について知っていることは?

透明な食塩水の中が見えるとしたら、どんな

様子なのでしょう? 図で表してみましょう。

「~ならば、~だろう」というように実験方法を考えてみよう。

言語活動の充実

言語活動の充実

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結 論

返 り

【第2時】

◇水溶液の違いを調べる実験を行う。

・A は泡があまり出なくなってきた。気が抜けたのかな。

◆結果をまとめる。

◆結果から分かったことを話し合う。

・A は泡が出ているから、炭酸水だ。

・B は蒸発させると食塩が出てきたから食塩水だ。

・C は、強いにおいがあるからアンモニア水だ。

・様子やにおい、溶けているもので見分けることができる。

・炭酸水とアンモニア水は、蒸発させたときに何も残らなかった

から、溶けている物は、空気中に出ていったのだろう。

◆結論を書く。

◆学習を振り返る。

・私はスッキリです。気体が溶けた水溶液は蒸発させると気

体もいっしょに蒸発するので何も出なかったことに納得

しました。

◇実験用具の片付けを行う。

様子 におい 蒸発

A(炭酸水) 透明、泡 なし 残らない

B(食塩水) 透明 なし 食塩

C(アンモニア水) 透明 有 残らない

○3種類の水溶液をそれぞれ入れた試験管を配付する

とともに、実験の手順が安全か確認する。

◆実験用具を適切に使って、安全に実験をしている。

(技)

○各グループの実験結果を黒板の表にまとめていく。

◆水溶液を蒸発させて、溶けているものが固体か気体か

見分け、記録することができる。(技)

○まず個人でノートに記述させ、それを発表させる。

○出された意見を比較させたり、関係付けさせたりして

話合いを進める。

◆水溶液には固体や気体が溶けているものがあること

をとらえることができる。(思・表)

○混ぜると危険な場合あることから、本単元では水溶液

ごとに回収することを確認する。

◎水溶液には、においの違いだけでなく、固体が

溶けているものと、気体が溶けているものとの

違いがある。

★言語活動のポイント:結果の整理・分析

結果を表で整理することで、比較・分析しやすくなる

ことを実感させる。また、実験結果として、観点に対

する事実を的確に記録できているかを見取る。

★主体的な学びの評価

学習したことについて、「スッキリ」「もやもや」のいずれかの

立場で振り返らせ、主体的に学習することができていたか、

また気体が溶けている水溶液があることを実感できている

か記述を通して見取る。

★言語活動のポイント:考察の話合い

結果を比較・分析することにより、それぞれの水溶液

の共通点と相違点を明らかにする。同様の結果が得ら

れることから本時の実験の再現性に気付かせる。

言語活動の充実

★主体的な学びを引き出すポイント

蒸発させたとき、何も残らない水溶液があることを

確認し、何が溶けているか投げかけることで、次時

の学習課題につなげる。

結果からどんなことが分かるでしょう?

今日の学習課題は「三つの水溶液は何が違うのか」です。何が違うのでしょう?

学習課題の答えになるようにすれば、水溶液の秘密を明らかにした素晴らしい結論になります。

今日の学習は、「スッキリ」か「モヤモヤ」のどちらでしたか。 今日の学習に納得した人は、「スッキリ」です。どんなことに納得したのか、どうして納得したのかをまとめましょう。

今日の学習でよくわからないところがあった人や別の疑問が生まれた人は「モヤモヤ」です。どんなことがわからな

かったのか、どんな疑問がうまれたのかをまとめましょう。

固体は取り出せるけれど、何も残らなかっ

た水溶液には何が溶けていたのでしょう?

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【第1次】第3・4時のねらい

炭酸水から出る気体の性質を調べ、炭酸水には二酸化炭素が溶けていることを推論することができる。

学習活動

◇体験活動 ◆言語活動 ・予想される児童の反応 ○支援 ★指導のポイント ◆評価規準

題 設

予 想

計 画

【第3時】

◆炭酸水から出る泡の正体を予想する。

・泡の正体は普通の空気じゃないかな。

・泡の正体は酸素だと思う。

・泡の正体は二酸化炭素だと思う。

◆調べるための実験方法を考える。

・泡を取り出して石灰水で調べる。

・泡を取り出して気体検知管で調べれば分かる。

・取り出した気体で火がよく燃えたら酸素だ。

◇炭酸水から発生した気体を集め、石灰水の様子を観

察する。

【実験用具】

水槽、ガラス管付ゴム栓、ゴム管、試験管、炭酸水、

石灰水、気体検知管

・炭酸水を振ると泡が大量に出てくる。

◆結果からわかったことを話し合う。

・石灰水が白くなったから二酸化炭素だ。

・火が大きくならなかったから酸素ではない。

◆結論をまとめる。

○前時の学習を振り返り、蒸発させたときに、何も残

らなかった炭酸水には、何が溶けているのか考えさ

せるようにする。

○炭酸水の気泡に着目させて正体を考えさせる。

◆泡の正体を調べる方法を考えることができる。

(思・表)

○水上置換の方法を確

認する。

○未知の気体に点火す

ることは危険である

ことを確認し、酸素を

調べるための火を近

づける実験は指導者

が演示する。

○各グループの結果を一覧できるよう黒板に整理す

る。結果を比較できるようにすることで、実験の再

現性、客観性を実感させる。

1・2 3・4 5・6 7 8 9 10 11・12

◎炭酸水に溶けているのは二酸化炭素だ。

学習のめあて:炭酸水の正体を明らかにしよう。

学習課題:炭酸水に溶けている気体の正体は何だろうか。

★言語活動のポイント:話型を用いた記述の支援

既習の気体の中から炭酸水に溶けている気体を予想すると考えられるが、この段階で児童が根拠を持つのは難しい。

そこで、話型を示すことで、既習の気体について、結果を見通して実験方法を考えられるようにする。予想した気

体を確かめるための実験方法と結果の予想を記述できているかを見取る。

★言語活動のポイント:話型を用いた記述の支援

結果を根拠とした考察になるよう「~(結果)~から、~だ」の話型を示す。

言語活動の充実

言語活動の充実

話型「~(気体名)~であれば、~(方法)~すると、~(結果)~だろう」 (実験の見通しをもたせる手立て)

泡の正体は?

何の気体が溶けているのでしょう?

★主体的な学びを引き出すポイント 二酸化炭素を取り出すことができたことから、自分

たちで溶かすことができるのかという視点で次時の

学習課題につなげる。

学習課題の答えになるようにすれば、炭酸水の秘密を明らかにした素晴らしい結論になります。

溶けていた二酸化炭素を取り出すことができました。

溶かすこともできるのでしょうか?

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設 定

実 験

り 返

【第4時】

◆予想を話し合う。

・二酸化炭素が水にとければ、ペットボトルはへこむだろう。

◇水を入れたペットボトルに、ボンベの二酸化炭素を

入れて、よく振る。

・ペットボトルがへこんだ。

・二酸化炭素が溶けたから、容器がへこむんだ。

◆結果からわかったことを話し合う。

・二酸化炭素が水に溶けたから、その分の体積が減って、ペ

ットボトルがへこんだ。

・食塩と同じように気体もよく混ぜたからとけたのだろう。

◆ペットボトルの中の様子

をイメージ図に表す。

・二酸化炭素の粒は小さくなって

いるだろう。

・二酸化炭素の粒が水のすき間に

入ったのだろう。

◆結論をまとめる。

◆学習を振り返る。

・ペットボトルを振ったらつぶれたので、二酸化炭素が溶け

たことに納得しました。

・二酸化炭素が溶けたり、出たりしても炭酸水の体積が変わ

らなかったことにもやもやしている。

・二酸化炭素を溶かせば、たぶんいろんな飲み物がサイダー

になるだろう。

◇片付けを行う。

○水を満たしたペットボトルに水上置換の方法で、ボ

ンベより二酸化炭素を容器の7割程度注入する。

○5年「ものの溶け方」の学習で、溶かすために棒で

かき混ぜたり、ふたをした容器を振ったりしたこと

を想起させる。

○二酸化炭素を注入していないものと比較させるこ

とで、容器がへこんだことと二酸化炭素が溶けたこ

とを関係付けられるようにする。

○容器がへこむ要因には、気圧も関係しているが、本

時では「気体が溶けた」ことに焦点化する。

○容器の中の様子をイメージ図と言葉で表現させる。

○本時のイメージ図では、「燃焼」の学習とのつなが

りから、気体を表す粒の形を「○」にすることを確

認し、大きさや線種について考えさせる。

○食塩水のイメージ図を振り返らせ、食塩が溶けた場

合と関係付けながら考えられるようにする。

◆二酸化炭素が水に溶けている様子を図で表現する

ことができる。(思・表)

○導入で用いたアンモニア水はアンモニアという気

体が溶けていることを知らせる。

◎二酸化炭素は水に溶ける。

★言語活動のポイント:イメージ図

気体が水に溶けることで、溶けた分の体積が減少し、容器がへこむ様子をイメージ図で表現させる。グループ内で交流した後、代表が学級全体に説明するようにする。

話合いの中で、二酸化炭素の粒が「小さくなった」「水の間に入った」などの考え

が出てきた場合、水の粒を追加して考えを深めさせたい。

★主体的な学びの評価

学習したことについて、「スッキリ」「もやもや」のいずれかの立場で振り返らせ、気体が溶けている水溶

液があることを実感できているか、また、主体的に学

習することができていたか、記述を通して見取る。 「そういえば」「たぶん」のキーワードを用いて日常

生活と結びつくような視点を与える。

学習課題:二酸化炭素は本当に水に溶ける

のだろうか。

言語活動の充実

ペットボトルをよく振ったらどうなるでしょう?

結果からどんなことが分かるでしょうか?

へこんだ容器の中で、見えない二酸化炭素はどうなって

いるのでしょう?容器の中の様子を想像して図で表しま

しょう。言葉の説明があるとわかりやすいです。

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【第2次】第5・6時のねらい

リトマス紙を使って水溶液の性質を調べ、仲間分けすることができる。

学習活動

◇体験活動 ◆言語活動 ・予想される児童の反応 ○支援 ★指導のポイント ◆評価規準

課題

実験

【第5時】

◆水溶液を見分ける方法について話し合う。

・蒸発させれば、粒が残るものと残らないものに分けられた。

・最初の実験で、水溶液の色が変わったのが利用できないかな。

◇リトマス紙に各水溶液をつけて、それぞれ色の変化を

調べ、結果をまとめる。

・赤青両方で調べないと酸性かアルカリ性か分からない。

・どちらも色が変わらない水溶液がある。

実験用具

【7種類の水溶液(試験管)、リトマス紙、ピンセット、

ガラス棒、ビーカー(ガラス棒水洗用)、乾いた布 】

◆結果を表に整理し、わかったことを交流する。

・青リトマス紙を赤くしたから、塩酸は酸性だ。

・どちらのリトマス紙にも反応しない水と食塩水は中性だ。

◆結論をまとめる。

赤色リトマス紙 青色リトマス紙 液性

塩酸 変化なし 赤に変化 酸性

炭酸水 変化なし 赤に変化 酸性

食塩水 変化なし 変化なし 中性

水 変化なし 変化なし 中性

石灰水 青に変化 変化なし アルカリ性

アンモニア水 青に変化 変化なし アルカリ性

水酸化ナトリウム 青に変化 変化なし アルカリ性

○水溶液の性質を調べる方法の一つに、リトマス紙

を使って調べる方法があることを知らせ、使い方

を演示しながら、酸性とアルカリ性のみ説明す

る。

○実験ごとにガラス棒をよく洗い、乾いた布でふき

とることを知らせる。

○濡れて色が濃く見えただけでは、変化したとはい

えないことを確認する。

◆リトマス紙を適切に使って、安全に実験をしてい

る。(技)

○水溶液が手や目につかないようにすることを確

認する。

○リトマス紙の色の変化の組み合わせから液性は

3種類になることを確認する。

◆リトマス紙の色の変化で酸性・中性・アルカリ性

の三つに仲間分けできることを理解している。

(知・理)

1・2 3・4 5・6 7 8 9 10 11・12

◎リトマス紙の色の変化で、水溶液は酸性・中性・

アルカリ性の三つに仲間分けすることができる。

学習課題:リトマス紙を使うと、水溶液はどのように仲間分けできるのだろうか。

★言語活動のポイント:結果の整理・分析

結果を表で整理することで、比較・分析しやすく

なることを実感させる。また、実験結果として、

観点に対する事実を的確に記録できているかを

見取る。

学習のめあて:リトマス紙の力を調べよう。

言語活動の充実

【安全な実験のために】本時より扱う塩酸はトイレ用洗剤の成分であること、水酸化ナトリウムは石鹸や洗剤の成分であることを知らせる。また、どちらも危険な薬品であるため、学校では薄めたものを使うが、有毒なガスが発生するため、決して混ぜてはいけないことを指導する。

*赤青ともに変化しなかったものが中性です。

リトマス紙に赤青 2種類あるのは、中性を分けるため

なのです。

学習課題の答えになるようにすれば、リトマス紙の力を

明らかにした素晴らしい結論になります。

水溶液を見分けるにはどういう方法があったでしょう?

リトマス苔という植物の汁を染み込ませて乾燥させた紙をリトマス試験紙といいます。このリトマス紙には赤と青

の2色があります。

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考 察

り 返

【第6時】

◆予想を話し合う。

・酸性・中性・アルカリ性の三つ以外は聞いたことがない。

・食べ物は中性が多いと思う。

・アルカリ食品というのを聞いたことがある。

◇身の回りにある水溶液が何性かリトマス紙で調べる。

実験用具

【6種類の水溶液(試験管)、リトマス紙、ピンセット、

ガラス棒、ビーカー(ガラス棒水洗用)、乾いた布 】

◆結果を整理し、わかったことを交流する。

・身の回りの水溶液にも酸性、中性、アルカリ性がある。

・洗剤はどちらもアルカリ性だから、アルカリ性は汚れを落と

す働きがあるのだろう。

・人が飲むものは酸性が多い。

◆結論をまとめる。

◆学習を振り返る。

・水溶液はどれも三つの仲間に分けられることにスッキリした。

・そういえば、中性洗剤や弱酸性シャンプー、酸性雨とか聞いたこ

とがある。

・お酢もレモンもすっぱいにおいがするから、たぶん、酸性の

ものはすっぱいのだろう。

赤色リトマス紙 青色リトマス紙 液性

レモン汁 変化なし 赤に変化 酸性

酢 変化なし 赤に変化 酸性

スポーツ飲料 変化なし 赤に変化 酸性

お茶 変化なし 変化なし 中性

台所洗剤 青に変化 変化なし アルカリ性

風呂用洗剤 青に変化 変化なし アルカリ性

○スポーツ飲料、酢、レモン汁、台所洗剤、風呂用

洗剤等の容器とそれぞれ試験管に入れたものを

提示する。

○グループで活動するが、6種類の水溶液を分担し

て調べさせることで、表にまとめるときは話し合

うことができるようにする。

◆リトマス紙を適切に使って、安全に実験をしてい

る。(技)

◆性質を生かしながら生活の中で使っている水溶

液があることを見直し考えることができる。

(思・表)

学習課題:身の回りにある水溶液も三つの仲間に

分けられるのだろうか。

★主体的な学びの評価

学習したことについて、「スッキリ」「もやもや」

のいずれかの立場で振り返らせ、リトマス紙により

水溶液を分類できることを実感できているか、ま

た、主体的に学習することができていたか、記述を

通して見取る。

「そういえば」「たぶん」のキーワードを用いて日

常生活と結びつくような視点を与える。

◎身の回りにある水溶液も三つの仲間に分けられる。

言語活動の充実

学習のめあて:リトマス紙の力を調べよう。

★言語活動のポイント:結果の整理・分析

結果を表で整理することで、比較・分析しやすく

なることを実感させる。また、実験結果として、

観点に対する事実を的確に記録できているかを

見取る。

★主体的な学びを引き出すポイント

リトマス紙で身の回りの水溶液が 3種類の液性に分け

られたことから、他のものでも液性が調べられるかと

いう視点で次時の学習課題につなげる。

結果からどんなことが分かるでしょう?

それぞれの水溶液が使われている目的や場所と

水溶液の性質には何か関係があるのでしょうか?

★言語活動のポイント:話型を用いた推論の支援

結果を根拠とした考察になるよう「~(結果)~から、~だろう」の話型を示す。

学習課題の答えになるように結論をまとめましょう。

理科室で使う薬品が酸性、中性、アルカリ性に分けられることは分かりました。身の回りにある水溶液も三つの

仲間に分けられるのでしょうか?

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【第2次】第7時のねらい

水溶液の分類に興味を持ち、身近な材料を用いて進んで分類することができる。

学習活動

◇体験活動 ◆言語活動 ・予想される児童の反応 ○支援 ★指導のポイント ◆評価規準

の 提

実 験

り 返

【第7時】 ◇紅茶にレモン汁を入れた時と重曹水を入れた時の色の違いを観察する。

・レモン汁を入れると紅茶の色が薄くなった。

・重曹水を入れると色が濃くなった。

・リトマス紙もリトマスゴケの汁の性質を利用しているからぶどうの

汁にも同じような性質があってもいい。

◇既習の5種類の水溶液(塩酸、炭酸水、食塩水、石灰水、水酸化ナトリウム水溶液)を用いて実験する。

◆結果を交流する。

塩酸 炭酸水 食塩水 石灰水 水酸化

ナトリウム

ぶどう ジュース

赤 ピンク 紫 黄緑 緑

液性 酸 性 ← ← ← ← 中性 → → → → アルカリ性

◆結果からわかったことを話し合う。

・ぶどうジュースも、リトマス紙と似ていて酸性の場合は赤くなり、

アルカリ性の場合は青っぽくなる。 ・中性から酸性、中性からアルカリ性の間でも色の違いがある。

◆学習を振り返る。

・ぶどうジュースでも酸性・中性・アルカリ性によって色が変化して、

水溶液の仲間分けができることに納得しました。

・そういえば、アジサイの花の色は土が酸性かアルカリ性かで変わる

ときいたことがある。酸性だと赤くなるのだろう。

○酸性(レモン汁)、アルカリ性(重曹水)それぞ

れの液を加えた時の変化から、身近な材料を

用いて、酸性・中性・アルカリ性を調べる方

法があることを知らせる。

○本時は、ぶどうジュースを利用する。ムラサキ

キャベツ、ナスなど成分にアントシアニンを

含むものであれば利用できることを知らせ

る。

◆器具を適切に使って、安全に実験をしてい

る。(技)

○色の違いに着目させ、液性には強弱があるこ

とに気付かせる。

◆性質を生かしながら生活の中で使っている

水溶液があることに気付くことができる。

(思・表)

1・2 3・4 5・6 7 8 9 10 11・12

◎ぶどうジュースで酸性・中性・アルカリ性が見分けられる。

植物の汁の中には水溶液で色が変わる物がある。

学習課題:ぶどうジュースを使って酸性・中性・アルカリ性を見分けられるだろうか。

学習のめあて:ぶどうジュースの秘密を調べよう。

★主体的な学びの評価

学習したことについて、「スッキリ」「もやも

や」のいずれかの立場で振り返らせ、身近な材

料で水溶液を分類できることを実感できているか、また、主体的に学習することができてい

たか、記述を通して見取る。

「そういえば」「たぶん」のキーワードを用いて日常生活と結びつくような視点を与える。

言語活動の充実

★主体的な学びを引き出すポイント: 第 1 次で紹介したフェノールフタレイン溶液を使った科学マジックの種明かし

をし、水溶液の液性に対する関心を持たせる。

★言語活動のポイント:結果の整理・分析

結果を表で整理することで、比較・分析しや

すくなることを実感させる。また、実験結果

として、観点に対する事実を的確に記録でき

ているかを見取る。

学習課題の答えになるように 結論をまとめましょう。

それぞれの水溶液に入れるぶどうジュースの量をそろえておこう。(条件制御)

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【第3次】第8時のねらい

塩酸に溶けた鉄が、どうなったのか確かめる方法を考えることができる。

学習活動

◇体験活動 ◆言語活動 ・予想される児童の反応 ○支援 ★指導のポイント ◆評価規準

の提

設定

考察

結論

【第8時】

・色が変わっている。さびだろう。

◇塩酸と水酸化ナトリウム水溶液に、

それぞれ鉄を入れて様子を観察する。

【鉄はスチールウールを使用】

・水酸化ナトリウムの方は、変化がない。

・塩酸の方は泡が出てきた。試験管が熱くなっている。

・塩酸には鉄を溶かすはたらきがあるんだ。

◆溶けた鉄はどうなったか予想し、イメージ図に表す。

◆鉄が水溶液の中にあるかどうかを確認する方法を考える。

・ろ過すれば取り出せるかもしれない。

・蒸発させて何も出てこなければ、消えたか、気体になったかだ。

◇鉄が溶けた後の塩酸を蒸発させる。

(液を 1ml 程度ピペットでとり、蒸発皿に入れて加熱する。)

実験用具【安全メガネ、ピペット、蒸発皿、アルコールランプ、三脚、金網】

◆実験結果を交流し、結論をまとめる。

・熱すると黄色い粉みたいなものが出てきた。

・見えない小さい粒になって残っていたことになる。

・気体になったものもあるかもしれない。

・黄色い粒は鉄なのかな?

消えてなくなった。 見えないくらい小さな粒

になって残っている。

泡が出ていたから気体

になっている。

○腐食した金属像などの画像を見せ、その原

因などを話し合わせ、酸性雨などの金属を

変化させる水溶液に興味を持たせる。

○気体が発生することや発熱することなど

これまでと違う溶け方であることを意識

させる。

○塩酸には塩化水素が溶けていることを確

認する。

○食塩と同様に、元の鉄が取り出せるか考え

させる。

◆溶けた鉄がどうなったのか確かめる方法

を考えることができる。(思・表)

○ろ過後の液が透明なことを確認する。

○対照実験として塩酸だけを蒸発させる対

照実験を演示し、塩酸だけならば何も残ら

ないことを確認する。

○食塩水から食塩を取り出した場合との違

いを考えさせる。

1・2 3・4 5・6 7 8 9 10 11・12

学習のめあて:鉄の行方を調べよう。

学習課題:塩酸に溶けた鉄はどこに行ったのだろうか。

◎溶けた鉄は黄色い粉となって塩酸に残っている。

★言語活動のポイント:イメージ図

溶けて見えない鉄がどうなっているのかをイメージすることが難しい児童には、鉄が溶けてなくなってしまったのか、

それとも見えない粒として残っているのか、いずれかで予想してみるよう助言する。また、鉄の質的変化を意識している児童には、粒の表し方を工夫するよう助言する。

言語活動の充実

★主体的な学びを引き出すポイント

元の鉄とは見た目が違うことに問題意識

をもたせ、次時の学習課題につなげる。

この銅像で気が付いたことはありませんか?

強い酸性の塩酸と強いアルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液に、

それぞれ鉄を入れてみるとどうなるのでしょう?

塩酸に入れた鉄は溶けて見えなくなりました。

どこに行ったのでしょう?

食塩水は水の中で食塩が見えないくらい小さ

い粒になって残っていました。鉄はどこに行っ

たのでしょう。イメージ図で考えよう。

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【第3次】第9時のねらい

水溶液に金属を入れると起こる変化について、実験の結果と予想を照らし合わせて推論し、表現する

ことができるようにする。

学習活動

◇体験活動 ◆言語活動 ・予想される児童の反応 ○支援 ★指導のポイント ◆評価規準

題設

実験

り返

【第9時】

◇前時の塩酸から析出した黄色いものを観察する。

◆出てきた黄色いものの正体を予想し、調べる方法を考

える。

・黄色い粉は鉄ではないと思う。

・電気を通せば鉄だ。

・鉄ならば磁石につく。

◇黄色いものが鉄なのか調べる。

・磁石につかない。

・電球がつかない。

・塩酸に入れると

溶けるが泡は出ない。

◆実験結果を交流し、わかったことを話し合う。

・残った黄色い物は、磁石に付かず、電気も通さないから、

鉄ではない。

◆結果からイメージ図を修正する。 ・塩化水素が鉄にくっついて溶かした。

・塩化水素が鉄にぶつかって泡がでている。 ・鉄は塩化水素と一つになって、別のものになったのだろう。

◆結論をまとめる

◆学習を振り返る。 ・やっぱり塩酸は鉄を溶かすだけでなく、別のものに変化させて

いた。 ・鉄が溶けたときに出てきた泡が何だったのか、もやもやする。

磁石 電気 塩酸に入れる

元の鉄 付く 通す 泡を出して溶ける

残ったもの 付かない 通さない 溶ける。 泡は出ない。

○溶ける前の鉄の性質を確認し、後から出てきたも

のが鉄と同じか考えさせる。

○外見だけでなく、質的にも鉄が変化したことをと

らえられるよう、再度塩酸に溶かしたらどうなる

かという視点も与える。

○磁石、電球、電池、導線を準備しておく。

○比較できるよう元のスチールウールでも実験し

ておくことを確認する。

○鉄にはない性質を示すことから、何が鉄を変化さ

せたのか推論させる。

○塩酸に溶けた鉄はどうなったのか、イメージ図を

修正させる。鉄の質的変化を粒の形で表現するよ

う助言する。

◆鉄が別のものに変化したことを表現することが

できる。(思・表)

1・2 3・4 5・6 7 8 9 10 11・12

◎黄色いものは、鉄ではない。

鉄は塩酸に溶けて、別のものに変化した。

★言語活動のポイント:イメージ図

化学変化の概念に迫っている児童には、粒を分割したり、結合させたりするなど工夫するよう助言する。

化学変化(Fe+2HCl→FeCl2+H2)により、塩

化鉄と水素ができることを知っている児童には、そのことを表現できるか挑戦させる。

学習課題:黄色いものは鉄なのだろうか。

★主体的な学びの評価

学習したことについて、「スッキリ」「もやもや」

のいずれかの立場で振り返らせ、塩酸により鉄が変化したことを実感できているか、また、主体的に学

習することができていたか、記述を通して見取る。

「そういえば」「たぶん」のキーワードを用いて日常生活と結びつくような視点を与える。

★主体的な学びを引き出すポイント 塩酸に鉄が溶けたことから、他の金属も溶けるのか問

題意識を持たせ、次時の学習課題につなげる。

言語活動の充実

言語活動の充実

★言語活動のポイント:話型を用いた記述の支援

「鉄ならば、~」「鉄でないならば、~」と話型を示すことで、

結果を見通した予想につなげる。

★言語活動のポイント:話型を用いた記述の支援 「~(結果)~から、~(結論)~だ」と話型を示す

ことで、結果を根拠として、考察をまとめられる

ようにする。

塩酸に溶けている塩化水素はどのように鉄を変化

させたのだろう?

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【第3次】第 10時のねらい

実験を通して、水溶液によって変化する金属が異なることを理解することができる。

学習活動

◇体験活動 ◆言語活動 ・予想される児童の反応 ○支援 ★指導のポイント ◆評価規準

題設

実験

振り

【第 10時】

◆予想を話し合う。

・塩酸は鉄を変化させたから、アルミニウムも溶かせるかもしれ

ない。

・水酸化ナトリウム水溶液は鉄を溶かさなかったから、アルミニ

ウムも溶けないだろう。

◇塩酸、水酸化ナトリウム水溶液それぞれにアルミニウム

片を入れて様子を観察する。

・塩酸は鉄の時と同じように泡を出してアルミを溶かしている。

・水酸化ナトリウム水溶液の方も泡を出してアルミを溶かしている。

◆結果をまとめ、わかったことを話し合う。

・酸性雨は金属を変化させていた。塩酸は酸性だから、どちら

の金属も溶かせる。

・アルミニウムは酸性でもアルカリ性でも溶ける。

・鉄は溶ける水溶液と溶けない水溶液がある。

・アルミニウムは鉄と違う。

◆結論をまとめる。

◆学習を振り返る。

・アルミ缶はコーティングされているから、酸性の炭酸水が入っ

ていても溶けないようになっていることに納得した。

・たぶん、金属を溶かす水溶液は、ガラスやプラスチックの容器

に入れておかないと容器を溶かすから危ない。

鉄 アルミニウム

塩酸 泡を出して溶ける 泡を出して溶ける

水酸化ナトリウム

水溶液 変化しない 泡を出して溶ける

○アルミはくとアルミ缶を提示し、身近にある金

属としてアルミニウムを調べることを確認す

る。

○前時の鉄の様子を根拠に、見通しを持って予想

を立てさせる。

○鉄の場合との共通点、相違点を見つけさせる。

○水溶液の性質によって溶ける金属に違いがある

ことが比較しやすいよう表に記録させる。

○鉄やアルミニウムが溶けるという見方だけでな

く、それらを溶かす水溶液の性質にも着目させ

る。

○アルミ缶等は、直接液が触れないよう、表面に

コーティング加工がされていることを知らせ

る。また、アルミは鉄と違って、酸性・アルカ

リ性のどちらにも反応する特殊な金属であるこ

とを知らせる。

◆水溶液によって変化させる金属が異なることを

理解することができる。(知・理)

1・2 3・4 5・6 7 8 9 10 11・12

学習のめあて:アルミニウムの運命を調べよう。

学習課題:アルミニウムは塩酸や水酸化ナトリウム水溶液

に溶けるのだろうか。

★主体的な学びの評価

学習したことについて、「スッキリ」「もやもや」のいずれかの立場で振り返らせ、水溶

液や金属の種類によって溶けたり、溶けなか

ったりすることを実感できているか、また、主体的に学習することができていたか、記述

を通して見取る。

◎アルミニウムは、鉄と違い、塩酸にも水酸化ナトリ

ウム水溶液にも溶ける。

水溶液によって変化させる金属が違う。

言語活動の充実

★言語活動のポイント:話型による記述の支援

「~(結果)~から、~(結論)~だ」と話型を示すことで、結果を根拠として、結論をまとめられる

ようにする。

学習課題に対する回答として結論が記述できているかを見取る。

鉄と同じように溶けるのでしょうか?

鉄の時と同じところと違うところはどこでしょう?

結果から、アルミニウムは鉄と同じといえるでしょうか?

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【活用課題】第 11・12時のねらい

6種類の無色透明な水溶液がそれぞれ何であるかを特定することができる。

学習活動

◇体験活動 ◆言語活動 ・予想される児童の反応 ○支援 ★指導のポイント ◆評価規準

・計

【第 11時】

◆班ごとにチャート図で実験の方法と手順を考える。

・鉄を変化させるのは塩酸だけだ。

・石灰水は二酸化炭素で白くなった。

・水酸化ナトリウム水溶液はアルミを溶かせる。

・水と食塩水は蒸発させて比べればいい。

○6種類の水溶液(A炭酸水・B塩酸・C水酸化ナト

リウム水溶液・D食塩水・E石灰水・F水)を入れ

た各試験管を提示する。試験管にはAからFまでの

記号だけを貼り付けておく。

○危険な実験がないか、また、効率のよい手順となっ

ているかの確認を促す。

◆チャート図を用いて水溶液を特定する実験方法を

考え、表現している。(思・表)

実 験

返 り

【第 12時】

◇計画に従って実験を行い、チャート図を完成させる。

【安全メガネ、ピペット、蒸発皿、アルコールランプ、三脚、

金網、スチールウール、アルミニウム片、二酸化炭素ボンベ

リトマス紙、ピンセット】

◆チャート図をもとに結果を交流する。

・リトマス紙をたくさん使うけれど、始めに3種類に分けてし

まうと、早く特定できる。

・消去法で一つづつ特定していけば、リトマス紙を使わなくて

も全て特定できた。

◆学習を振り返る。

・におい・金属の変化・蒸発など、水溶液の特徴や性質を手が

かりにすることで、水溶液の正体を特定することができた。

○実験を選択できるようにすることで、自分の進めた

い方法で調べることができ、実験に意欲的に取り組

むことができるようにする。

◆水溶液の特定を進んでしている。(関・意・態)

◆安全に実験を行うことができる。(技能)

1・2 3・4 5・6 7 8 9 10 11・12

理科室にラベルがはがれて、中身が分からない6種類の液体がありました。

6種類は炭酸水、水、石灰水、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液、食塩水のいずれかということです。

リトマス紙をあまり使わず、安全な方法で、それぞれがどんな水溶液か特定できるでしょうか。

言語活動の充実

★言語活動のポイント:話型による説明の支援

話型「私たちは、まず、(手段・条件)の、(結果)から、

○が(水溶液名)だと分かりました。次に、~。最後に、~。この方法で、6つの水溶液が特定できました」を示

すことで、方法と結果を関係付けながら説明できるよう

にする。

★主体的な学びの評価

単元を通して学習したことについて、「スッキリ」「も

やもや」のいずれかの立場で振り返らせ、水溶液の性

質やきまりを実感できているか、また、主体的に学習

することができていたか、記述を通して見取る。

言語活動の充実

★言語活動のポイント:チャート図

外見で特定できる炭酸水を例にしてチャート図の説明をする。ひし形の中には水溶液を特定するための手

段・条件が入ることを確認する。

「~ならば、~だろう。そうすると、~は~である」というように、筋道を立てて推論しながらチャート図

で実験計画が立てられるよう助言をする。

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5 板書例

指導者が提示する話型および問いかけは、★印で示している。

【第1・2時】

フェノールフタレイン溶液を用いた科学マジックについて

フェノールフタレインを内側に塗ったビーカーにアルカリ性の液体を注ぐことで、液体が赤く変色す

るというものである。この赤く変色した液体に、酸性の液体を注ぐと中和反応により、再び無色透明の

液体になる。色の変化を数回繰り返すことで、透明な液体の中に、何かが溶けていることについての児

童の興味・関心を高められると考える。

ビーカーの内側にフェノールフタレイン溶液を塗っておく。

アルカリ性の透明な液体を注ぐと、 液体が赤く変色する。

赤く変色している液体に、酸性の液体を注ぐと、再び無色透明の液体になる。

学習のめあて:水溶液の秘密を調べよう。

★水溶液とは? (食塩水ならば・・・)

・水に食塩が溶けたものだ。

・水を蒸発させると食塩が出てくる。

・溶ける量には限度がある。

・溶けて見えなくても重さは変わらない。

透明

三つの水溶液 A B C

【食塩水、アンモニア水、炭酸水のどれか】

課題 三つの水溶液は何がちがうのだろうか。

(どんな方法で確かめられるだろう。)

★「~(結果)~なら、~(水溶液名)~だろう」

計画 ・二酸化炭素を入れて石灰水が白くなるか調べる。

白くなれば、石灰水だろう。

・蒸発させて出てきたものを調べる。

様子 におい 蒸発

A(炭酸水) 透明、泡 ない 残らない

B(食塩水) 透明 ない 白い物

C(アンモニア水) 透明 ある 残らない

結果

考察 ★「~(結果)~から、~だ」

・Aは泡が出ているから炭酸水だ。

・Bは蒸発させると食塩が出てきたから食塩水だ。

・Cは、強いにおいがあるからアンモニア水だ。

・様子やにおい、溶けているもので見分けることができる。

結論 水溶液は、においだけでなく、固体が溶けているものと、

気体が溶けているものとの違いがある。

振り返り スッキリしているか、モヤモヤしているか、理由も合わせて書く。 「スッキリ」:今日の学習のどんなことに納得したのか。

また、どうして納得したのか。

「モヤモヤ」:よくわからないところがあった。(どんなことが) 別の疑問が生まれた。(どんな疑問)

気体

固体

気体

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【第3時】

【第4時】

学習のめあて:炭酸水の正体を明らかにしよう。

課題 炭酸水に溶けている気体の正体は何だろう。

(泡の正体は何か)

★気体の集め方

水上置換

予想

・泡の正体は普通の空気だろう。 ・泡の正体は酸素だ。 ・泡の正体は二酸化炭素だと思う。

★「~(気体名)~であれば、~(方法)~すると、~(結果)~だろう」

計画 はじめに水上置換で気体(泡)を集める。

・泡を取り出して気体検知管で調べる。

・泡を取り出して石灰水で調べる。

「二酸化炭素であれば、石灰水に入れると白くなるだろう」

・取り出した気体で火がよく燃えたら酸素だ。

「酸素であれば、ろうそくを近づけると火がよく燃えるだろう」

結果

考察 ★「~(結果)~から、~だ」

実験 結果

石灰水に入れる。 白くなった。

ろうそくの火を近づける。 火はよく燃えなかった。

・石灰水が白くなったから二酸化炭素だ。

・火が大きくならなかったから酸素ではない。

結論 炭酸水に溶けているのは二酸化炭素だ。

学習のめあて:炭酸水の正体を明らかにしよう。

課題 二酸化炭素は本当に水に溶けるのだろうか。

↓ ★水と二酸化炭素を入れたペットボトルを振るとどうなるだろう。

予想 ★「二酸化炭素が溶ければ、~(結果)~だ」 ・二酸化炭素が水に溶ければ、ペットボトルは

へこむ。 ・二酸化炭素が水に溶けなければ、ペットボトルは

変化しない。

結果 ペットボトルはへこんだ。

★ペットボトルの中の様子を

イメージ図と言葉で表そう。

考察 ★「~(考えたこと)~から、~だろう」

・二酸化炭素が水に溶けたから、その分の体積が減って、

ペットボトルがへこんだ。

・二酸化炭素の粒が小さくなって、水のすき間に入った

から溶けたのだろう。

・食塩と同じように気体もよく混ぜたから溶けたのだろう。

結論 二酸化炭素は水に溶ける。

振り返り スッキリしているか、モヤモヤしているか、理由も合わせて書く。 「スッキリ」:今日の学習のどんなことに納得したのか。

また、どうして納得したのか。

「モヤモヤ」:よくわからないところがあった。(どんなことが) 別の疑問が生まれた。(どんな疑問)

石灰水が白くなる。

火がよく燃える。

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【第5時】

【第6時】

学習のめあて:リトマス紙の力を調べよう。

★水溶液を見分ける方法は?

・におい、泡、蒸発させて取り出す。

課題 リトマス紙を使うと、水溶液をいくつの仲間

に分けられるのだろうか。

★青リトマス紙が赤に変化→酸性

★赤リトマス紙が青に変化→アルカリ性

・塩酸:トイレ用洗剤の成分

・水酸化ナトリウム:石鹸や洗剤の成分

注意すること ○水溶液が体につかないようにする。

○水溶液を混ぜない。 ○リトマス紙は、ピンセットであつかう。

○実験ごとにガラス棒をよく洗い、乾いた布でふきとる。

赤色リトマス紙 青色リトマス紙 液性

塩酸 変化なし 赤に変化 酸性

炭酸水 変化なし 赤に変化 酸性

食塩水 変化なし 変化なし 中性

水 変化なし 変化なし 中性

石灰水 青に変化 変化なし アルカリ性

アンモニア水 青に変化 変化なし アルカリ性

水酸化ナトリウム 青に変化 変化なし アルカリ性

結果

考察 ★「~(結果)~から、~だ」

・青リトマス紙を赤くしたから、塩酸は酸性だ。

★どちらのリトマス紙も変化しない→中性

・どちらのリトマス紙にも反応しない水と食塩水は中性だ。

結論 リトマス紙の色の変化で、水溶液は酸性・中性

・アルカリ性の三つに仲間分けすることができる。

学習のめあて:リトマス紙の力を調べよう。

課題 身の回りにある水溶液も三つの仲間に

分けられるのだろうか。

予想

・酸性・中性・アルカリ性の三つ以外は聞いたことが

ない。

・食べ物は中性が多いと思う。

・アルカリ食品というのを聞いたことがある。

結果

赤色リトマス紙 青色リトマス紙 液性

レモン汁 変化なし 赤に変化 酸性

酢 変化なし 赤に変化 酸性

スポーツ飲料 変化なし 赤に変化 酸性

お茶 変化なし 変化なし 中性

台所洗剤 青に変化 変化なし アルカリ性

風呂用洗剤 青に変化 変化なし アルカリ性

考察

・洗剤は、台所用より風呂用の方がリトマス紙の色が

濃く変わった。

・スポーツ飲料はアルカリだと聞いたことがあったけ

ど酸性だった。

結論 身の回りにある水溶液も三つの仲間に分けられ

る。

振り返り

スッキリしているか、モヤモヤしているか、理由も合わせて書く。

「スッキリ」:今日の学習のどんなことに納得したのか。

また、どうして納得したのか。

「モヤモヤ」:よくわからないところがあった。(どんなことが) 別の疑問が生まれた。(どんな疑問)

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【第7時】

【第8時】

学習のめあて: ぶどうジュースの秘密を調べよう。

課題 ぶどうジュースを使って酸性・中性・アルカリ性

を見分けられるだろうか。

予想

・リトマス紙もリトマスゴケの汁の性質を利用している

からぶどうの汁にも同じような性質があってもいい。

結果

塩酸 炭酸水 食塩水 石灰水 水酸化

ナトリウム

ぶどう ジュース

赤 ピンク 紫 黄緑 緑

液性 酸性 ← ← ← 中性 → → → アルカリ性

考察 ・ぶどうジュースも、リトマス紙と似ていて酸性の場合は

赤くなり、アルカリ性の場合は緑っぽくなる。

・中性から酸性、中性からアルカリ性の間でも色の違い

がある。

結論 身の回りにある水溶液も三つの仲間に分けら

れる。

振り返り

スッキリしているか、モヤモヤしているか、理由も合わせて書く。

「スッキリ」:今日の学習のどんなことに納得したのか。

また、どうして納得したのか。

「モヤモヤ」:よくわからないところがあった。(どんなことが) 別の疑問が生まれた。(どんな疑問)

学習のめあて:鉄の行方を調べよう。

課題 塩酸に溶けた鉄はどこに行ったのだろうか。

予想

消えてなくなった。 見えないくらい小さな粒

になって残っている。

泡が出ていたから気体

になっている。

方法 蒸発させて鉄が出てくるか調べる。

結果 熱すると黄色い粉みたいなものが出てきた。 考察

・熱すると黄色い粉みたいなものが出てきた。

・見えない小さい粒になって残っていたことになる。

・気体になったものもあるかもしれない。

結論

溶けた鉄は黄色い粉となって塩酸に残っている。

元の鉄とは見た目が違う

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【第9時】

【第 10時】

学習のめあて:鉄の行方を調べよう。

課題 黄色いものは鉄なのだろうか。

★「鉄ならば、~だろう」

★「鉄でないならば、~だろう」

予想

・電気を通せば鉄だ。

・鉄ならば磁石につく。

・塩酸に溶ければ鉄だ。

結果

磁石 電気 塩酸に入れる

元の鉄 付く 通す 泡を出して溶ける

残ったもの 付かない 通さない 溶ける

(泡は出ない)

考察 ・鉄が別のものになった。

・塩化水素が鉄にくっついて溶かした。

・塩化水素が鉄にぶつかって泡をだしていた。

・鉄は塩化水素と一つになって、別のものになった。

★鉄の溶けた塩酸の中の様子をイメージ図で表そう

結論 黄色いものは、鉄ではない。

鉄は塩酸に溶けて、別のものに変化した。

振り返り

スッキリしているか、モヤモヤしているか、理由も合わせて書く。

「スッキリ」:今日の学習のどんなことに納得したのか。

また、どうして納得したのか。

「モヤモヤ」:よくわからないところがあった。(どんなことが)

別の疑問が生まれた。(どんな疑問)

学習のめあて:アルミニウムの運命を調べよう。

課題 アルミニウムは塩酸や水酸化ナトリウムに

溶けるのだろうか。

予想

・塩酸は鉄を変化させたから、アルミニウムも溶かせるかも

しれない。別のものに変化するだろう。

・水酸化ナトリウム水溶液は鉄を溶かさなかったから、アル

ミニウムも溶けないだろう。

結果

鉄 アルミニウム

塩酸 泡を出して溶ける。 泡を出して溶ける。

水酸化ナトリウム

水溶液 変化しない。 泡を出して溶ける。

考察 ・酸性雨は金属を変化させていた。塩酸は酸性だから、

どちらの金属も溶かせる。

・アルミニウムは酸性でもアルカリ性でも溶ける。

・金属によって溶ける水溶液が違う。

結論 アルミニウムは、鉄と違って、塩酸にも

水酸化ナトリウム水溶液にも溶ける。

水溶液によって変化させる金属が違う。

振り返り

スッキリしているか、モヤモヤしているか、理由も合わせて書く。

「スッキリ」:今日の学習のどんなことに納得したのか。

また、どうして納得したのか。

「モヤモヤ」:よくわからないところがあった。(どんなことが)

別の疑問が生まれた。(どんな疑問)

強い酸性

強いアルカリ性

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【第 11・12時】

チャート図の例

学習のめあて:中身が分からない6つの水溶液を特定しよう。

チャート図の作り方

説明するときのヒント

★私たちは、まず、〈手段や方法〉の、〈結果〉から、〈記号〉が(水溶液名)だと分かりました。

次に、~。 、、、最後に、~。 この方法で、6つの水溶液が特定できました。

振り返り 「水溶液の性質」を学習してきてスッキリしているか、モヤモヤしているか、理由も合わせて書く。

「スッキリ」:水溶液の学習でどんなことに納得したのか、また、どうして納得したのか。

「モヤモヤ」:よくわからないところがあった。(どんなことが) 別の疑問が生まれた。(どんな疑問)

■ひし形には、水溶液を見分けるための方法が入る。

■四角形には、その方法の結果と、水溶液の記号が入る。

例 「泡があれば炭酸水だろう。

そうすると、A は炭酸水である。」

理科室にラベルがはがれて、中身が分からない6種類の液体がありました。

6種類は炭酸水、水、石灰水、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液、食塩水のいずれかということです。

リトマス紙をあまり使わず、安全な方法で、それぞれがどんな水溶液か特定できるでしょうか。

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6 ワークシート例

必要な部分をノートに貼りつけることで、各時間の結果の整理や考察において、児童の思考・表

現を支援できるようにしている。

第1時【食塩水イメージ図】

第2時【結果】

水溶液の秘密を調べよう

実験から、A・B・C がどの水溶液か分かるかな…

見分ける方法

水溶液

A( )

B( )

C( )

食塩

とう明な食塩水の中が 見えるとしたら…。 イメージ図で表してみよう。

言葉の説明があるとわかりやすい。

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第4時【イメージ図】

第5時【結果】

( )紙 ( )紙 液性え き せ い

塩酸え ん さ ん

炭酸た ん さ ん

水す い

食塩水

石灰せ っ か い

水す い

アンモニア水

水酸化す い さ ん か

ナトリウム 水溶液

へこんだ容器の中で、見えない二酸化

炭素はどうなっているのでしょう?

容器の中の様子を想像して図で表し

てみましょう。

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第6時【結果】

第7時【結果】

第8時【イメージ図】

赤色リトマス紙 青色リトマス紙 液性

レモン汁じ る

酢す

スポーツ飲料い ん り ょ う

お茶

台所用だ い ど こ ろ よ う

洗剤せ ん ざ い

風呂用ふ ろ よ う

洗剤せ ん ざ い

塩酸 炭酸水 食塩水 石灰水 水酸化 ナトリウム

ぶどうジュース

を入れた時の色

液性

塩酸に溶けた鉄はどこに

行ったのだろう?

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第9時【イメージ図】

第 10時【結果】

水溶液に金属を入れると…

金属

水溶液 鉄 アルミニウム

塩 酸

水酸化ナトリウム水溶液

塩酸はどのようにして鉄を

変化させたのだろう。

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第 11・12時【「活用課題」チャート図】

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【記述による評価問題ワークシート】

6年「水溶液の性質」たしかめ問題

名前

太郎さんは、おばあちゃんから台所の棚た な

の整理を

たのまれました。そして棚た な

の奥に、何が入っている

のか分からないビンを見つけました。

おばあちゃんの話では、この棚た な

にあったのは、炭酸た ん さ ん

水す い

、酢す

、食塩水、台

所用洗剤せ ん ざ い

の4つのうちのどれかだったそうです。

学校で「水溶液の性質」を学習している太郎さんは、おばあちゃんにも

らったぶどうジュースを飲みながら、謎な ぞ

の液体の正体が何か考えていまし

た。

問題 この水溶液の正体を安全につきとめるための方法と、

その方法でどんな結果になれば、どの水溶液だといえる

のか、太郎さんがスッキリするように説明しましょう。

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7 使用薬品・実験器具について

本単元で使用する「塩酸」、「水酸化ナトリウム水溶液」は、児童の安全を考慮し、それぞれ濃度

3%程度の「うすい塩酸(希塩酸)」、「うすい水酸化ナトリウム水溶液」とする。ただし、第3次で

は、金属との反応を速めるため、9%程度にする。また、廃棄する場合は、中和してから、多量の水

で薄めて廃棄する。

薬品、溶液、実験器具等

●基本セット【試験管6本、試験管立て、ピペット、ピンセット②、ガラス棒②、ビーカー②、乾いた布、ふきん】

●蒸発セット【三脚、金網、蒸発皿、アルコールランプ、マッチ】あるいは【スライドガラス、試験管はさみ、電熱器】

*スライドガラスに液を一滴とり、電熱器で蒸発させることもできる。

気体が溶けている水溶液

第1次(4時間)

①②時 水溶液の秘密を調べよう

薬品等 炭酸水、食塩水、アンモニア水(3%程度)

【演示用】フェノールフタレイン溶液、レモン汁(市販のレモン果汁を3倍に薄めたもの)、石灰水

【紹介用】アンモニアを含む虫刺され治療薬:市販されているものは数種類しかない

実験器具 基本セット、蒸発セット(液を一滴垂らしたスライドガラスを電熱器で蒸発させても可能)、

安全メガネ

③④時 炭酸水の正体を明らかにしよう

薬品等 炭酸水、石灰水

実験器具 基本セット、水槽、ガラス管付ゴム栓、ゴム管、ペットボトル、二酸化炭素ボンベ、

(気体検知管)

水溶液の仲間分け

第2次(3時間)

⑤⑥時 リトマス紙の力を調べよう

薬品等

【⑤時】 塩酸、炭酸水、食塩水、蒸留水、石灰水、アンモニア水 水酸化ナトリウム水溶液

【紹介用】塩酸を含む洗剤、水酸化ナトリウムを含む洗剤

【⑥時】 レモン汁、酢、スポーツ飲料、お茶、台所洗剤、風呂用洗剤

実験器具 基本セット、リトマス紙

⑦時 ぶどうジュースの秘密を調べよう

薬品等 塩酸、炭酸水、食塩水、石灰水、水酸化ナトリウム水溶液、ぶどうジュース

【演示用】紅茶、レモン汁、重曹水 【紹介用】ぶどうジュース

2本の試験管に紅茶を入れ,1 本はレモン汁を入れると紅茶の色がうすくなり、もう 1 本には重曹液をいれると色が

濃くなる。

実験器具 基本セット

金属を溶かす水溶液

第3次(3時間)

⑧⑨時 鉄の行方を調べよう

薬品等 塩酸(9%)、水酸化ナトリウム水溶液(9%)、スチールウール

実験器具 基本セット、蒸発セット、安全メガネ、ろうと、ろうと台、ろ紙

⑩時 アルミニウムの運命を調べよう

薬品等 塩酸(9%)、水酸化ナトリウム水溶液(9%)、アルミニウム片(アルミはく)

実験器具 基本セット

・アルミニウムは、表面に酸化アルミニウムの被膜を作って、安定な状態になっているため、すぐに塩酸とは反応しに

くい。表面の酸化被膜などを紙ヤスリなどで除去するか、8~10%塩酸を用いる。

活用課題

(2時間)

⑪⑫時 6種類の水溶液を特定しよう

薬品等 炭酸水、蒸留水、石灰水、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液、食塩水、

スチールウール、アルミニウム片

実験器具 基本セット、蒸発セット、二酸化炭素ボンベ、リトマス紙