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- 166 - オ 教頭及び教諭(高等部基本)【公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関 する法律】 教頭 6学級以上の高等部のみを置く学校数×1 同法第17条の1 教諭 学級数×2 同法第17条の2 教諭(進路) 6学級以上 1名 同法第17条の3 教諭(学科) 専門学科数×2 専門教育を主とする学科のみを置く学校数×1 同法第17条の4 教諭(自立活動) 学校数×α+(学級数−3)/6 盲学校 α=1 聾学校 α=1 知的障害養護学校 α=1 肢体不自由養護学校 α=2 病弱養護学校 α=1 同法第17条の5 舎監 入舎児童生徒数 80人以下 81〜200人 201人以上 2人 3人 4人 同法第17条の6 カ その他の教職員 養護教諭 学校数×1 (30学級以上は2) 同法第18条 実習助手 専門教育を主とする学科数×2 同法第19条 寄宿舎指導員 児童生徒数(肢体不自由児を除く)/5 肢体不自由児/3 最低指導員数 12人 同法第20条 キ 職員の配置 職員の配置は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する 法律、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律及び 各都道府県教育委員会が定めた教職員定数に従い、職員個々の保有免許、経験、 専門性、年齢等を学校経営の視点から総合的に判断の上、校長が決定し、配置す る。 なお、特別支援教育コーディネーターや進路指導担当者などは、その業務の特 性から学級、学科に所属せず、専任として配置する学校もある。 (3)内規 ア 校内規程(学校内規) 学校がその円滑な管理を行っていくために、校長が定める内部的な規程のこと を通常「校内規程」と呼んでいる。校内規程は、学校における日常の諸活動を律 していくための内部規範として、児童生徒や教職員などを拘束することになる。 また、校内内規は、学校内規や学校管理規程と呼ばれることもある。 イ 校内規程の性格

盲学校 α=1 聾学校 α=1 知的障害養護学校 α=1archive.criced.tsukuba.ac.jp/data/doc/pdf/2007/05/...専門教育を主とする学科のみを置く学校数×1 同法第17条の4

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オ 教頭及び教諭(高等部基本)【公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関

する法律】

教頭 6学級以上の高等部のみを置く学校数×1 同法第17条の1

教諭 学級数×2 同法第17条の2

教諭(進路) 6学級以上 1名 同法第17条の3

教諭(学科) 専門学科数×2

専門教育を主とする学科のみを置く学校数×1

同法第17条の4

教諭(自立活動) 学校数×α+(学級数−3)/6

盲学校 α=1

聾学校 α=1

知的障害養護学校 α=1

肢体不自由養護学校 α=2

病弱養護学校 α=1

同法第17条の5

舎監 入舎児童生徒数 80人以下

81〜200人

201人以上

2人

3人

4人

同法第17条の6

カ その他の教職員

養護教諭 学校数×1

(30学級以上は2)

同法第18条

実習助手 専門教育を主とする学科数×2

同法第19条

寄宿舎指導員 児童生徒数(肢体不自由児を除く)/5

肢体不自由児/3

低指導員数 12人

同法第20条

キ 職員の配置

職員の配置は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する

法律、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律及び

各都道府県教育委員会が定めた教職員定数に従い、職員個々の保有免許、経験、

専門性、年齢等を学校経営の視点から総合的に判断の上、校長が決定し、配置す

る。

なお、特別支援教育コーディネーターや進路指導担当者などは、その業務の特

性から学級、学科に所属せず、専任として配置する学校もある。

(3)内規

ア 校内規程(学校内規)

学校がその円滑な管理を行っていくために、校長が定める内部的な規程のこと

を通常「校内規程」と呼んでいる。校内規程は、学校における日常の諸活動を律

していくための内部規範として、児童生徒や教職員などを拘束することになる。

また、校内内規は、学校内規や学校管理規程と呼ばれることもある。

イ 校内規程の性格

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学校規程(内規)も行政規則の一つであって、校長の職務命令のうち一般的、

かつ恒常的なものを法条の形で制定したもので、行政規則の一面的拘束性を有す

る。また、公教育の機関であれば、「法令、条例、規則等に違反しない限度」で

定められているものである。

ウ 校内規程の手続き

これらの諸規定は、校長の内部管理権に基づいて制定されるもので、制定の

終責任は校長にあるが、制定の過程では職員会議に諮るなどして、所属職員の理

解・協力を得ながら進めることが望ましい。

エ 校内規程の例

項目 内容

服務関係 教職員の服務規程

各種職員の服務要領

勤務割り振り表

各種届け出(出張伺、復命書、外勤簿等)

管理関係 公文書作成要領

防災管理規程

スクールバス管理規定

団体会計等事務処理要領

学校徴収金会計事務処理要領

教務関係 校務分掌

校務分掌規程

運営機構図

業務内容

会議規程

寄宿舎関係 寄宿舎運営

宿直規程

勤務割り振り表

寄宿舎入舎基準

情報関係 情報公開に関する規程

個人情報の保護に関する規程

情報ネットワーク理容に関する規程

関連内規 PTA会会則

後援会会則

親睦会規約

マイカークラブ会則

(神田英治)

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2 施設・設備

(1)学校の設置基準

特殊教育諸学校の設置基準は、単独には制定されていないが、「学校教育法施行規則6章に

規定するもののほか、別に定める。」(学校教育法施行規則73条)として、学校教育法及び同法施行

規則において設置基準の一部を構成する規定が定められている。

学校種別 内容 特色

教育の対象 全く視力のない「盲児」と、少しは見えるが普通の児童生徒用

教科書を読んだり、細かな作業を続けることが困難な「弱視

児」に大別でき、教育内容・方法は両者で異なる。

設置形態 小・中学部を置く盲学校と高等部のみの高等聾学校がある。

教育の目標 小・中、高等学校等に準じた教育と、併せて障害に基づく種々

の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態

度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う。

学部等の編

幼稚部、小学部、中学部、高等部に分かれ、高等部(専攻科を

含む)には、普通科のほかに専門学科として、保健理療科、音

楽科、調律科、理療科、理学療法科等が設置され、特色ある教

育が行われる。

教育課程等 各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間のほか、自立活

動において視覚障害に基づく種々の困難を克服し、より良く社

会参加ができるよう特別な指導が行われる。

盲学校

教育方法等 盲児には点字の読み書きや点字を使った教育を行い、弱視児に

は触聴覚機器や電子機器等による文字などの拡大をはじめ、視

聴覚障害による外界からの刺激不足からのマイナス面を補う教

育を積極的に取り入れて行う。

教育の対象 聴覚に障害があり、全く聞こえない「聾児」と、会話音を聞き

取ることが困難な「難聴児」に大別される。

設置形態 小・中学部を置く聾学校と高等部のみの高等聾学校がある。

教育の目標 小・中、高等学校等に準じた教育と、併せて障害に基づく種々

の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態

度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う。

学部等の編

幼稚部は小学部の設置学校にほとんど設けられている。高等部

(専攻科を含む)には、普通科のほかに専門学科として、生活

情報科、産業技術科、クリーニング科、専攻科として歯科技工

科、情報デザイン科など職業に関する特色ある学科が設けられ

ている。

教育課程等 生後数カ年間が、言葉の発達を含め精神発達面において特に重

要な時期といわれている。このため、早期教育から一貫した教

育指導を行い、適切な聴覚活用を行うとともに言葉の指導を重

要視した特別な教育を行う。

聾学校

教育方法等 聴覚障害の状況に合わせて、適切な補聴器による言葉の増幅や

学習用の各種補聴器等を用いた指導、また口話法(読話、発

音・発語)や、口話法以外の効果的な方法など、いろいろ工夫

された学習方法を取り入れて行う。

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教育の対象 知的発達の遅滞により、他人との意思疎通が困難で日常生活を

営むのに頻繁に援助を必要とする、社会生活への適応が著しく

困難な者を対象としている。

設置形態 単置養護学校と福祉施設、病院に併設された併設養護学校があ

る。また、高等部のみの単置高等養護学校もある。

教育の目標 全人的発達を図り可能な限り能力を伸ばし、社会自立の適応性

を助長して、社会参加のための知識・技能・態度を養う。

学部等の編

小学部・中学部・高等部に分かれ、高等部には、普通科、紙

工、セメント、木工、縫工、クリーニング、農業、産業、工

業、窯業、家庭などの職業科が置かれている。

教育課程等 特に抽象的能力が遅れているので、教科内容を系統的に学習す

ることは困難なことから、具体的な生活経験を通した学習が重

視される。特に重度の子供には、徹底した個別教育が工夫され

て行われる。

知的障害

養護学校

教育方法等 個々の障害の実態に応じた指導方法がとられ、「作業学習」「日

常生活の指導」「遊びの学習」「生活単元学習」など領域・教科

を合わせた指導が中心となる。教科書も障害の特性により特別

配慮されたものを使用している。

教育の対象 補装具の使用によっても歩行、筆記等日常生活における基本的

な動作が不可能又は困難であったり、常時の医学的観察指導を

必要とする程度の者。

設置形態 単置養護学校と福祉施設、病院に併設された併設養護学校があ

る。また、高等部のみの単置高等養護学校もある。通常、医療

機関に併設の学校では、入院している児童生徒を入学させてお

り、医療機関を退院すると同時に養護学校からも転出すること

となる。

教育の目標 小・中、高等学校等に準じた教育と、併せて障害に基づく種々

の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態

度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う。

学部等の編

小学部・中学部・高等部に分かれ、小・中、高等学校等に準じ

た教育と、併せて障害に基づく種々の困難を主体的に改善・克

服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養う。高等部

には普通科が置かれている。

教育課程等 肢体不自由の状態を改善・克服するための自立活動が重視され

ている。

肢体不自

由養護学

教育方法等 知的障害を併せ持つ生徒については、個々の障害の実態に応じ

た指導方法がとられ、「作業学習」「日常生活の指導」「遊びの学

習」「生活単元学習」など領域・教科を合わせた指導を取り入れ

ている。教科書も障害の特性により特別配慮されたものを使用

している。

教育の対象 慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患及び神経疾患、悪性新生物その他

の疾患の状態が継続して医療又は生活帰省をする程度の者のほ

か、身体虚弱の状態が継続して生活規制を必要とする程度の

者。 設置形態 病院等の医療機関に併設されている。

病弱養護

学校

教育の目標 小・中、高等学校等に準じた教育と、併せて障害に基づく種々

の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態

度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う。

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(神田英治)

引用文献

下村哲夫監修 花輪稔 編 2003 年 【新版】学校運営便覧 教育出版

学部等の編

小学部・中学部・高等部に分かれ、小・中、高等学校等に準じ

た教育と、併せて障害に基づく種々の困難を主体的に改善・克

服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養う。高等部

には普通科が置かれている。

教育課程、

教育方法等

病状により医療規制があり、身体活動の制限を受けるので、教

育内容・方法ともに、一人一人の状態に応じた対応が工夫され

ている。指導時数も弾力的に扱われており、症状によっては、

ベッドサイドでの個別学習が行わ

れる。

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(2)設備

特殊教育諸学校における施設・設備は、小・中学校及び高等学校に準ずると共に、在籍する

児童生徒の障害の状況、地域環境などに応じて整備されている。

学校種 主な設備 各校共通 コンピュータ室、エレベーター、出入り

口のスロープ、盲導鈴、点字ブロック、

固定遊具、プール、床暖房、エアーコン

ディショナー

盲学校

(専攻科)

聴知覚学習室

視知覚学習室

視聴覚学習室

鍼灸実技室

あんま実技室

マッサージ実技室

聾学校

聴能検査室

肢体不自由養護学校 水治指導室

全天候型グラウンド

自立活動室

トイレ(転倒防止具、シャワー、着替え

用ベッド、オストメイト)

上下可動式黒板

上下可動式流し台

知的障害養護学校

(職業学科)

生活指導室(和室、キッチン)

トイレ(シャワー、洗濯スペース)

コンクリート実習室(工業科)

農場、養鶏舎、温室(農業科)

木工室(木工科)

窯業室(生活窯業科)

クリーニング実習室(クリーニング科)

病弱養護学校 バリアフリー構造

コンピュー

ター室

戸外遊具

赤外線補聴システム

水治指導室

自立活動室

生活指導室

木工作業室

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トイレの概要

【トイレの構造】

・暖房便座

・ウオシュレット

【トイレ周り】

・オストメイト(直腸がんや膀胱がんな

どにより、臓器に機能障害を負い、腹

部に人工的に排泄のための孔(ラテン

語でストーマ)を造設した人のこと)

対応

・転落防止バー

・つかまり棒

・着換え用簡易ベッド

・手荒い用自動栓

・ジェットタオル

・校内電話

電動上下可動式流し台(肢体不自由)

形状の異なる男子用便器

生活自立室(肢体不自由)

教室の流し台(肢体不自由)

(神田英治)

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(3)寄宿舎

特殊教育諸学校における寄宿舎は、心身に障害のある児童等が遠隔等の理由によっ

て家庭から通学することが困難なことから、学校付設の寄宿舎で養育を行い、就学さ

せるための措置として設置されている。

北海道においては、各校が広範囲な校区を受け持っていることから、道立57校中、

43校に寄宿舎が設置され、1939名の児童生徒が入舎している。

高等盲、高等聾、高等養護学校の多くは、全寮制の学校となっており、仲間たちが

集団生活を通して助け合いながら寄宿舎日課(下表)に従って「規則正しい生活」を

送り、「基本的生活習慣の習得」や卒業後の生活を支える力としての「より良い対

人関係」「余暇時間の活用」等を学んでいる。

寄宿舎には男子棟、女子棟が用意され、舎室は基本的には4人部屋となっている。

その他、食堂、浴場、談話室、娯楽室、洗面所、洗濯場、乾燥室などの施設がある。

日課表

就 寝 準 備消     灯

就 寝 準 備

ミーティング

余 暇 時 間

(ニュース)

男子分担区掃除女子分担区掃除

夕     食

余 暇 時 間

配     膳

余暇時間(買い物・入浴など)

下校14:15

登     校

下校16:00

下校15:05下校15:05

昼  食

配  膳

余暇時間

朝   食

(健康チェック)

朝  の  会

配   膳

(掃除・整理整頓)登 校 準 備

掃   除朝食(健康チェック)

配膳(掃除・整理整頓)起床・洗面

掃       除

起 床 ・ 洗 面

日土金木水火月

7:00

7:30

7:50

8:15

17:00

17:30

18:05

19:00

21:00

21:15

21:45

8:40

12:00

12:20

12:50

6:30

7:00

7:10

7:30

8:00

8:30

17:00

17:30

18:05

18:15

18:30

19:00

21:00

21:15

8:35

21:45

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(4)スクールバス

通学が困難な児童等への支援措置として、北海道においては13校にスクールバスが配置されてい

る。運行にあたっては、民間に委託する学校が多くなっている。

ア)運行時間・経路

多くの学校は校外に立地しており、交通アクセスが整っている学校は希有である。

また、肢体不自由など児童生徒それぞれに有する障害はもちろんのこと、登校時間が市民の

通勤、通学時間と重なることから、公共交通機関の利用ができない、保護者等による送迎が

困難といった理由から、スクールバスの利用希望は少なくない。

しかしながら、希望者全員が乗車するには、運行台数を増やし、運行時間を延ばすしか手

だてはなく、どちらも限界があることから、保護者の理解を得ながら乗車者及び経路を決定

している。運行時間は、児童生徒の疲労度を視点に、おおむね1時間の乗車を想定している

が、積雪時には渋滞が頻発しダイヤ通りの運行が困難なことが多い。また、経路及びバス停

の設置にあたっては、保護者がバスを待っている間の保護者車輌の駐車スペース、徒歩者の

ための待機場所、交通状況を鑑みたバス停車場所及び車いす昇降用のスペースなどを総合的

に検討して決定している。

イ)車中の様子

介護員が同乗して、車中の安全確保を図ると共に、往路においては登校に向けて期待感を

高め、帰路においては一日の出来事について話し相手になるなど、生徒指導にあたっている。

肢体不自由児の姿勢のチェック、室内の温度調整などの日常点検はもちろんのこと、隣座

席児とのトラブル、発作や車酔いによる嘔吐、交通事故など、安全確保に係る対応は、緊急

対応マニュアルなどを作成して備えている。

ウ)装備

時刻表、児童生徒名簿の他、携帯電話、応急手当用品などを備えている。また、肢体不自由

児の多くは、姿勢の保持が困難なことから、個々の状態に応じて座位保持いす、股ベルトを利用

するほか、スクールバスには、車いす昇降用リフトが備えられている。

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(5)給食

学校給食は、自校の共同調理場で調理される場合と、給食センター等外部委託によるものとに分け

られる。いずれも、栄養職員の管理のもと、育ち盛りの児童生徒の栄養改善及び健康の増進を図ると

ともに、地域の食材を使うことにより食料の生産、配分及び消費についての理解の促進など、食を通

じた学習の場となっている。

(ア)食事の形態

給食は、学校施設の状況及び児童生徒の状況に応じて、食堂で教師と児童生徒が一堂に会し

て食べる、ホール等で隣接学年が会して食べる、教室で学級毎に食べる、といった形態がとられ

ている。

いずれも、給食の準備、後片付け、食事中のマナーなど、食事に対する正しい理解と望まし

い習慣を養う機会であるとともに、友達と一緒に食べることによる社交性を養う場ともなってい

る。

(イ)教育的な配慮

児童生徒の中には、肥満や糖尿病などにより、カロリー制限を要する場合がある。栄養教諭

や養護教諭、栄養職員の指導のもと、友達と一緒に食べることによる心理面を考慮しながら、

個々の状態にあった食事が用意される。

また、通常に出される調理の状態では、嚥下が困難などの場合がある。調理の段階で児童生

徒個々の状態に合わせて細かく刻むなどの加工が困難な場合は、担任等が調理ばさみやフードプ

ロセッサーを用いて細かくしたり、とろみを付ける加工食品を加えるなどして、個々の状態に対

応している。

食物アレルギー等の安全配慮については、事前に保護者からの聞き取り調査などによって把

握すると共に、学校給食として可能な範囲で代替え品を出したり、保護者からアレルギーのある

食材を抜いた食事を持参してもらうなどの方法により、給食の目的を果たしている。

(神田英治)

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(6)備品

特殊教育諸学校における備品は、小・中学校の備品に準ずるとともに、在籍する児童生徒の障害の

状況や専門学科に対応したものを備えている。

学校種別 主な備品

共通 コンピュータ、担架、

盲学校 点字盤、点字本、点字タイプライター、点字プリンター、弱視レン

ズ、拡大読書器、拡大図書(大活字本)

聾学校 オージオメータ、補聴器特性試験装置、プレイオウジオメータ

知的障害養護学校 トランポリン、ボールプール、エアートランポリン、

【専門学科】

バッチャープラント、陶芸釜、耕耘機、かんな盤、旋盤

肢体不自由養護学校 昇降機能付き机、角度調整機能付き学習机、手すりつき学習いす

セラピーマット、セラピーボール

病弱養護学校 電動可動式調理台、各種パソコン入力機器

(神田英治)