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AVFにおける
超音波検査によるVA管理
池田バスキュラーアクセス・透析・内科クリニック
川原田貴士、岩下廉史、上野庸介
谷口英治、安田透、池田潔
背景
• 昨年4月の診療報酬改定より経皮的シャント拡張術(PTA)・血栓除去術は「3ヵ月に1回に限り算定する」とされている。
• 当クリニックでは、月平均100例の血管エコーを施行している。
• 当クリニックでは、PTA症例に対して全例施行前後に血管エコーを行っている。
AVF患者を対象に、PTAの実際と血管エコー検査の関連性を検証し、当院でのVA管理について検討した。
目的
下記期間内にPTAを施行したAVF症例188例
期間:平成23年9月~平成24年11月
症例数 188例
男:女 104:84
平均年齢 66.7歳(±33.7)
平均PTAの回数 2.24回
対象
データ抽出方法 AVF患者のPTA施行前後に血管エコーを行い、機能的評価にてR.I.(Resistance Index;抵抗係数)・F.V.(Flow Volume;血流量)・P.I.(Pulsatility Index;
拍動係数) をそれぞれ3回測定し、平均値を算出。形態的評価にて狭窄部の血管径を測定。
使用機器:LOGIQe(GE)
7.75MHzプローブ使用 (携帯可能のため透析室およびOPE室への移動が簡便。血流関係の計測ソフトが搭載済み)
シャント肢上腕動脈をパルスドップラにて計測
R.I.=PSV-EDV/PSV P.I.=PSV-EDV/TAMV
F.V.(ml/min)=Vm-mean×area×60(s)×100
R.I.(抵抗係数)・ P.I.(拍動係数)・F.V.(血流量)の計算式
PSV:収縮期最大速度
EDV:拡張期最大速度
TAMV:平均血流速度
Vm-mean:時間積分値の平均速度(cm/s)
Area:血管断面を正円と仮定したときの血管径より求められた断面積(㎠) PSV
EDV TAMV
方法 • PTA前の狭窄径でみた場合、一時開存率に影響する狭窄径が存在するかどうかをKaplan-
Meier法・ログランク検定にて検討する。
• 各狭窄径における3ヵ月開存の割合を算出する。
• PTAの適応と血管エコー検査値との相関を比較する。
狭窄径による開存率の比較
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
開存率
開存期間
Kaplan-Meier 開存曲線
狭窄径:0.6mm以下
P=0.24 有意差なし
狭窄径:0.7mm以上
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0 100 200 300 400 500
開存率
開存期間
Kaplan-Meier 開存曲線
A群
B群
A群:狭窄部径:0.6mm以下 B群:狭窄部径:0.7mm以上
0
10
20
30
40
50
60
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80
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100
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
開存率
開存期間
Kaplan-Meier開存曲線
狭窄径:0.7mm以下
狭窄径:0.8mm以上
P=0.06 有意差なし
狭窄径による開存率の比較
0
10
20
30
40
50
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70
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90
100
0 100 200 300 400 500
開存率
開存期間
Kaplan-Meier 開存曲線
A群
B群
A群:狭窄部径:0.6mm以下 B群:狭窄部径:0.7mm以上
0
10
20
30
40
50
60
70
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100
0 100 200 300 400 500
開存率
開存期間
Kaplan-Meier開存曲線
A群
B群
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
開存率
開存期間
Kaplan-Meier 開存曲線
狭窄径:0.9mm以上
P=0.002 有意差あり
狭窄径:0.8mm以下
狭窄径による開存率の比較
結果 ・狭窄径0.8~0.9mmを境にKaplan-Meier法・ログランク検定で、一時開存率に有意差が生じた。
3ヵ月開存した割合
3ヵ月開存しなかった割合
3ヵ月開存した割合
3ヵ月開存しなかった割合
結果
・狭窄径1.5~1.6mmを境に開存成績が飛躍的に上昇した。
狭窄径とF.V.(血流量)の相関
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
1800
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4
r=0.312 P<0.001(P=0.0001)
PTA前狭窄径(mm)
F.V.(m
l/min
)
狭窄径とF.V.(血流量)の相関
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
1800
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4
r=0.312 P<0.001(P=0.0001)
0.8~0.9
480
PTA前狭窄径(mm)
F.V.(m
l/min
)
F.V.(血流量)とR.I.(抵抗係数)・P.I.(拍動係数)の相関
00.10.20.30.40.50.60.70.80.9
1
0 200 400 600 800 1000
r=ー0.643 P<0.001(P=0.0001)
0.74
480 F.V.(ml/min)
R.I.
F.V.(血流量)とR.I.(抵抗係数)・P.I.(拍動係数)の相関
00.10.20.30.40.50.60.70.80.9
1
0 200 400 600 800 1000
r=ー0.643 P<0.001(P=0.0001)
0.74
480 F.V.(ml/min)
R.I.
-1
0
1
2
3
4
5
6
0 200 400 600 800 1000
F.V.(ml/min)
P.I.
2.1
480
r=ー0.562 P<0.001(P=0.0001)
PTA前狭窄径0.8~0.9mmに相当する
血管エコー機能評価値
R.I.(抵抗係数)・F.V.(血流量)・P.I.(拍動係数)
は以下の通りであった。
・R.I.:0.74
・F.V.:480 (ml/min)
・P.I.:2.1
結果
PTA前狭窄径0.8~0.9mmに相当する
血管エコー機能評価値
R.I.(抵抗係数)・F.V.(血流量)・P.I.(拍動係数)
は以下の通りであった。
・R.I.:0.74 以下
・F.V.:480 以上(ml/min)
・P.I.:2.1 以下
結果
• 臨床的なシャントトラブルの症状に加え、血管エコー検査にて知り得た狭窄径・R.I.・F.V.・P.I.
の数値を参考にすることでPTA後の開存期間に影響することが示唆される。
• それぞれの患者さんのPTAの適応が見えてくる可能性がある。
考察
• 血管エコー検査値が効率のよいPTAを行う判断材料になり得る。
まとめ
日本透析医学会
CO I 開示
筆頭発表者名: 川原田 貴士
演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある
企業などはありません。