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SDGs 「産業・技術革新」で注目を集める AI。その研究の最先端を走る組織の 一つが、日本のベンチャー企業「プリ ファード・ネットワークス(PFN)で す。高校生向けの国際情報オリンピッ ク出場経験者や、国際的なプログラミ ング大会の入賞者らが所属する若き技 わ とおる 術者集団です。その指揮をとる西川徹 社長(36)に、最新技術から予測される 2030年の社会について聞きました。 西 25 65 15 64 15 30 西 30 30 西 16 西 45 10 年後、家事の担い手に育児も介護も 10 年後、家事の担い手に育児も介護も 人間の能力も一つ上がる 人間の能力も一つ上がる 西川徹さん=「プリファード・ネットワークス(PFN)」社長 西 ミニドラと心通う サッカーもできる? 2019年(令和元年)5月19日 プリファード・ネットワークスの「全自動お片付けロボット」。 天井カメラの位置情報から物の位置をとらえ、アームで物をつ かみ、元の位置に戻します=2018年10月 AI AI いま 「ドラえもん」作りの研究を手伝う岡井 基紘さん(右)と大畑幸風さん=横浜市 の慶応義塾大学理工学部矢上キャンパス サッカーをするロボット作りに挑戦す る齋藤尊さん=本人提供 (第三種郵便物認可) (人工知能)

AI はいま 人間の能力も一つ上がる (人工知能) · 人 間 が 無 意 識 に 行 ... 心 配 も あ り ま す ... プリファード・ネットワークスの「全自動お片付けロボット」。

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Page 1: AI はいま 人間の能力も一つ上がる (人工知能) · 人 間 が 無 意 識 に 行 ... 心 配 も あ り ま す ... プリファード・ネットワークスの「全自動お片付けロボット」。

SDGs

つかむ・持つ難しさ

法整備と能力制御を

「産業・技術革新」で注目を集める

AI。その研究の最先端を走る組織の

一つが、日本のベンチャー企業「プリ

ファード・ネットワークス(PFN)で

す。高校生向けの国際情報オリンピッ

ク出場経験者や、国際的なプログラミ

ング大会の入賞者らが所属する若き技に し か わ とおる

術者集団です。その指揮をとる西川徹

社長(36)に、最新技術から予測される

2030年の社会について聞きました。

PFNは昨年家庭用の﹁全

自動お片付けロボト﹂を初公

開しました部屋中にある物の

位置や形を把握し持ちやすい

部分をアムが選んでつかみ

指定された場所に片付けます

西川さんは﹁いろいろな形状

の物を正確につかんで持て

いくのが非常に難しい﹂と話し

ますたくさんの画像デタを

覚えさせて物を判断する﹁目﹂

︵画像認識︶の精度は上がて

きたものの﹁手﹂が追いついて

いません人間が無意識に行う

﹁持ちやすい場所を選ぶ感覚﹂

がAIにはないためです

現在AIが最も活用されて

いるのは工場などの産業用ロボ

トです2025年までには

家庭にもさまざまなAIロボ

トが入てくるとみられます

﹁洋服をたたんだり料理をし

たりと手のかかる家事の大部

分をロボトが代替するように

なります﹂

国立社会保障・人口問題研究

所の推計では25年の日本は人

口の約3割が65歳以上の高齢者

という社会を迎えます内閣府

の高齢社会白書によると高齢

者1人を何人の働き手︵1564

歳︶で支えるかをみたとき15

年は2・3人でしたが30年は

1・9人と推計され負担が増

えるとの心配もあります

この問題への切り札がAIだ

という西川さん﹁30年には

より安全性が求められる介護や

育児といた領域に入り家庭

内での肉体的なストレスはほ

ぼなくなると思います﹂

30年に目を向けると自動運

転車が普及し街全体で渋滞を

回避するなど最適化を図るよ

うに物流では再配達を極力

なくすため小型のモビリテ

︵乗り物︶が必要な時に運び

ます病院ではレントゲン写

真などをAIが分析し見落と

しのない診断ができる

んな効率的な社会になりそうで

す一方道路交通法など関連

する法律の修正が実用化への

課題と西川さんは指摘します

AIと人間は今後どう付き

合ていけば良いのでしう

か将棋の世界では藤井聡太

七段︵16︶を始め小さい時から

コンピタと勝負してきた

若い世代の活躍が目立ちます

西川さんは﹁人間の限界を簡単

に超えてしまう部分もありま

す超えた力と人間が戦うこと

で人間の能力も一つ上がると

思います﹂

ただ人間の非常に高度な能

力はいまだ解明できていない

ところがあります﹁AIが人間

の知能を超えるとされる45年ま

でにAIをどうコントロル

するかが重要になるでしう﹂

AIを研究する高校生の団体もあります

大学院生らに混じてロボト作りに励んだ

りシミレシンを重ねてサカロボ

の制作に取り組んだりしています

1面の写真は﹁ドラえもん﹂

に出てくるキラクタ﹁ミニ

ドラ﹂をイメジした小型ロボ

トです慶応義塾大学大学院

理工学研究科の大学院生らを中

心に脳やAIを研究する﹁全

脳アキテクチ若手の会﹂が

作りました

2月会の高校生支部が立ち

上がり代表の岡井基紘さん︵東

京・高校3年︶と副代表の大畑

幸風さん︵東京・高校3年︶も

この研究を手伝ています

現在は第1ステプとして

﹁ミニドラ﹂作りの真最中岡

井さんは﹁ミニドラは言葉を話

せませんがなんとなく心が通

じているような気がします﹂

うたける

メンバの一人齋藤尊さん

︵東京・高校3年︶はコンピ

タ上で二足歩行ロボト

を歩かせてその動きを実世界

のロボトに装備しようと考え

ています

挑戦しているのはサカを

するロボト選手の動きは複

雑で﹁歩く﹂﹁ボルをゴル

に運ぶ﹂という動きをそれぞれ

強化学習で学ばせ二つを組み

合わせてサカの動きにしま

すシミレシンは2億回

以上挑戦時間は約168時間

に及びました

現在はロボトへの装備に向

けて戦略を覚えさせたり歩

行自体の質を高めたりしている

ところです

AIを恐れる人もいる中齋

藤さんは﹁今の中高生は生ま

れながらにしてスマホやパソコ

ンがある世代当たり前に接し

ているぶん大人よりもAIを

受け入れやすいのだと思いま

す﹂

10年後、家事の担い手に 育児も介護も10年後、家事の担い手に 育児も介護も

人間の能力も一つ上がる人間の能力も一つ上がる

西川徹さん=「プリファード・ネットワークス(PFN)」社長

西川徹さん

高校生もロボト研究に参加ミニドラと心通う� サッカーもできる?

2019年(令和元年)5月19日

プリファード・ネットワークスの「全自動お片付けロボット」。

天井カメラの位置情報から物の位置をとらえ、アームで物をつ

かみ、元の位置に戻します=2018年10月

AIAI はいま

�「ドラえもん」作りの研究を手伝う岡井基紘さん(右)と大畑幸風さん=横浜市

の慶応義塾大学理工学部矢上キャンパス

�サッカーをするロボット作りに挑戦する齋藤尊さん=本人提供

(第三種郵便物認可)

(人工知能)