118
71 4.設計検証及び妥当性確認文書の概要 4.1 一般情報 4.1.1 規格への適合宣言 (添付資料 ニ-1本品の規格への適合宣言書を添付資料ニ-1 に添付する。 適合宣言書 販売名:「COOK Spectrum MR 含浸中心静脈カテーテルキット」を承認申請するにあた り、製造販売する品目が下記の基準に適合することを宣言する。 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令 (平成 16 12 17 厚生労働省令第 169 号) 薬事法第 41 条第 3 項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準 (平成 17 3 29 厚生労働省告示第 122 号) 平成 25 7 16 住所 東京都中野区中野 4-10-1 氏名 Cook Japan 株式会社 代表取締役 矢込 和彦

4 設計検証及び妥当性確認文書の概要 - Pmda...ISO 10993-11: 2006 適合 XXXXX 添付資料ホ-1-8 XXXXXXXXXX プロトタ イプA 生物学的 安全性 亜慢性毒性

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71

4.設計検証及び妥当性確認文書の概要

4.1 一般情報

4.1.1 規格への適合宣言 (添付資料 ニ-1)

本品の規格への適合宣言書を添付資料ニ-1 に添付する。

適合宣言書

販売名:「COOK Spectrum M/R 含浸中心静脈カテーテルキット」を承認申請するにあた

り、製造販売する品目が下記の基準に適合することを宣言する。

医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令

(平成 16 年 12 月 17 日 厚生労働省令第 169 号)

薬事法第 41 条第 3 項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準

(平成 17 年 3 月 29 日 厚生労働省告示第 122 号)

平成 25 年 7 月 16 日

住所 東京都中野区中野 4-10-1

氏名 Cook Japan 株式会社

代表取締役 矢込 和彦

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4.2 機器の設計の妥当性確認の概要

総括

本品について、物理的・化学的特性試験、生物学的安全性試験、機械的安全性試験、安定性及び

耐久性試験、性能を裏付ける試験を実施した。検体については以下を参照すること。

全ての試験を表 4.2-1 に要約する。全ての試験は設定された判定基準を満たした。

表 4.2-1 機器の安全性及び性能を裏付ける試験

試験項目 試験方法 試験結果

実施

施設 資料番号 検体*

該当する

品目仕様

物理的、化学的特性

重力下流速

機器の各ルーメンの重力下における流速を評価

BS EN ISO 10553-3: 1997

適合 Cook Inc. 添付資料ホ-1-1

XXXXXXXXXX

本申請品カテーテル

エックス線不透過性

機器のエックス線不透過性をヒツジで評価

適合 XXXXX 添付資料ホ-1-2

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A

プロトタイプ A(抗菌薬なし、親水性コーティングなし)

エックス線不透過性

溶媒比較試験

XXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXX

N/A Cook Inc. 添付資料ホ-1-3

XXXXXXXXXX 類似機器A ―

薬剤溶出量

模擬使用下で、本品のカテーテルシャフトから溶出した抗菌薬剤量をX時間毎にXX時間解析

N/A Cook Inc. 添付資料ホ-1-4

XXXXXXXXXX

本申請品カテーテル

生物学的安全性

細胞毒性

ISO 溶出法による試験

(1×MEM 抽出液)

ISO 10993-5: 1999

適合 XXXXX 添付資料ホ-1-5

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A

生物学的安全性

感作性

マウス感作性試験

(局所リンパ節試験)

ISO 10993-10: 2002

適合 XXXXX 添付資料ホ-1-6

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A

生物学的安全性

皮内反応 ウサギ試験(抽出液)

ISO 10993-10: 2002 適合 XXXXX

添付資料ホ-1-7

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A

生物学的安全性

全身毒性 マウス試験(抽出液)

ISO 10993-11: 2006 適合 XXXXX

添付資料ホ-1-8

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A

生物学的安全性

亜慢性毒性

4 週間毒性試験

(ラット皮下埋植)

ISO 10993-11: 2006

適合 XXXXX 添付資料ホ-1-9

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A

生物学的安全性

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試験項目 試験方法 試験結果

実施

施設 資料番号 検体*

該当する

品目仕様

遺伝毒性

In Vitro マウスリンフォーマ試験(DMSO 及び生理食塩水による抽出)

ISO 10993-3: 2003

適合 XXXXX 添付資料ホ-1-10

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A

生物学的安全性

遺伝毒性

In Vivo マウス小核試験

(生理食塩液及び綿実油)

ISO 10993-3:2003

適合 XXXXX 添付資料ホ-1-11

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A

生物学的安全性

発熱性

ウサギ発熱性試験

USP 151

ISO 10993-11: 2006

適合 XXXXX 添付資料ホ-1-12

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A

生物学的安全性

埋植

ウサギ筋組織埋植試験

(6 週間)

ISO 10993-6 : 1994 適合 XXXXX

添付資料ホ-1-13

XXXXXXXXXX

プロトタイプ B

生物学的安全性

溶血性

溶血性試験

(PBS による抽出試験)

ASTM F756-08: 2010

ISO10993-4:2002

適合 XXXXX 添付資料ホ-1-14

XXXXXXXXXX

本申請品カテーテル

生物学的安全性

機械的安全性

液体漏れ

液体漏れの要求事項に対する機器の適合性を評価

BS EN ISO 10553-1: 2009 適合 Cook Inc.

添付資料ホ-1-15

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A(抗菌薬なし、親水性コーティングなし)

液体漏れ

気体漏れ

気体漏れの要求事項に対する機器の適合性を評価

BS EN ISO 10553-1: 2009

適合 Cook Inc. 添付資料ホ-1-16

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A(抗菌薬なし、親水性コーティングなし)

気体漏れ

接合部強度

機器の接合部を評価(エクステンションチューブ:ハブアセンブリ、エクステンションチューブ:マニフォールド、マニフォールド:カテーテルシャフト)

ISO 10555-1: 1995

適合 Cook Inc. 添付資料ホ-1-17

XXXXXXXXXX

プロトタイプ A(抗菌薬なし、親水性コーティングなし)

接合部強度

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試験項目 試験方法 試験結果

実施

施設 資料番号 検体*

該当する

品目仕様

安定性及び耐久性

液体漏れ

(3 年加速)

液体漏れの要求事項に対する機器の適合性を評価

BS EN ISO 10553-1: 2009 適合 Cook Inc.

添付資料ハ-1-1

XXXXXXXXXX

本申請品

カテーテ

ル(抗菌薬

なし、親水

性コーテ

ィングな

し)

気体漏れ

(3 年加速)

気体漏れの要求事項に対する機器の適合性を評価

BS EN ISO 10553-1: 2009

適合 Cook Inc. 添付資料ハ-1-2

XXXXXXXXXX

本申請品

カテーテ

(抗菌薬

なし、親水

性コーテ

ィングな

し)

接合部強度

(3 年加速①)

機器の接合部を評価

(エクステンションチューブ:ハブアセンブリ)

BS EN ISO 10553-3: 1997

適合 Cook Inc. 添付資料ハ-1-3

XXXXXXXXXX

本申請品

カテーテ

(抗菌薬

なし、親水

性コーテ

ィングな

し)

接合部強度

(3 年加速②)

機器の接合部を評価

(エクステンションチューブ:マニフォールド)

BS EN ISO 10553-1: 2009

適合 Cook Inc. 添付資料ハ-1-4

XXXXXXXXXX

本申請品カテーテル

(抗菌薬なし、親水性コーティングなし)

接合部強度

(3 年加速③)

機器の接合部を評価

(マニフォールド:カテーテルシャフト)

BS EN ISO 10553-1: 2009

適合 Cook Inc. 添付資料ハ-1-5

XXXXXXXXXX

本申請品カテーテル

(抗菌薬なし、親水性コーティングなし)

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試験項目 試験方法 試験結果

実施

施設 資料番号 検体*

該当する

品目仕様

接合部強度

(3 年実時間)

機器の接合部を評価

(エクステンションチューブ:ハブアセンブリ、エクステンションチューブ:マニフォールド、マニフォールド:カテーテルシャフト)

ISO 10553-1: 1995

適合 Cook Inc. 添付資料ハ-1-6

XXXXXXXXXX

プロトタイプ B

In Vitro 抗菌能

(XX 実時間)

S. epidermidis に対する機器使用後 31 日までの増殖阻止円の直径を評価し、同時に使用前の抗菌薬の量を評価

適合 Cook Inc. 添付資料ハ-1-7

XXXXXXXXXX

プロトタイプ B

(親水性コーティングなし)

In Vitro 抗菌能

(3 年実時間)

S. epidermidis に対する機器使用後 31 日までの増殖阻止円の直径を評価し、同時に使用前の抗菌薬の量を評価

適合 Cook Inc. 添付資料ハ-1-8

XXXXXXXXXX

プロトタイプ B

(親水性コーティングなし)

性能

In Vitro 抗菌能①

S. epidermidis に対する機器使用後 31 日までの増殖阻止円の直径を評価し、同時に使用前の抗菌薬の量を評価

適合 Cook Inc. 添付資料ホ-1-18

XXXXXXXXXX

プロトタイプ B

プロトタイプ B(親水性コーティングなし)

In Vitro 抗菌能

In Vitro 抗菌能②

CRBSI の原因となる様々な微生物に対する機器使用0日目の増殖阻止円の直径を評価

適合 Cook Inc. 添付資料ホ-1-19

XXXXXXXXXX

プロトタイプ B

In Vitro 抗菌能

In Vitro 抗菌能③

Klebsiella pneumonia に対する機器使用0日目の増殖阻止円の直径を評価

適合 XXXXX 添付資料ホ-1-20

XXXXXXXXXX

本申請品カテーテル

In Vitro 抗菌能④

MRSA に対する機器使用0日目の増殖阻止円の直径を評価

適合 XXXXX 添付資料ホ-1-21

XXXXXXXXXX

本申請品カテーテル

In Vitro 抗菌能⑤

Candida に対する機器使用0日目の増殖阻止円の直径を評価

N/A XXXXX 添付資料ホ-1-22

XXXXXXXXXX 類似機器 B ―

In Vitro 抗菌能⑥

CRBSI の原因となる様々な微生物に対する機器使用1~31日目の増殖阻止円の直径を評価

N/A Cook Inc. 添付資料ホ-1-23

XXXXXXXXXX 類似機器 B ―

In Vitro 抗菌能⑦

CRBSI の原因となる様々な微生物に対する機器使用1~31日目の増殖阻止円の直径を評価

N/A Cook Inc. 添付資料ホ-1-24

XXXXXXXXXX 類似機器 B ―

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* 特別記載がない場合は、検体のカテーテルシャフトには抗菌薬および親水性コーティングが施

されている。

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使用した試験検体

使用した試験検体について、XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX カテーテルシャ

フトの長さが本申請品と同じかどうかを以下の表に示す。

試験検体 試験項目 品番 抗菌薬含

浸の有無

親水性コ

ーティン

グの有無

ハブア

センブ

リ等再

設計の

有無

カテーテ

ルシャフ

トの長さ

について

本品との

同一性

本申請品カ

テーテル

重力下流速 XXXXXXXXXXX あり あり あり 同一

溶血性 XXXXXXXXXXX

薬剤溶出量 XXXXXXXXXXX

In Vitro 抗菌

能③

XXXXXXXXXXX

In Vitro 抗菌

能④

XXXXXXXXXXX

本申請品カ

テーテル

(抗菌薬な

し、親水性コ

ーティング

なし)

液体漏れ

(3 年加速)

XXXXXXXXXXX なし なし あり 同一

気体漏れ

(3 年加速)

XXXXXXXXXXX

接合部強度

(3 年加速①)

XXXXXXXXXXX

接合部強度

(3 年加速②)

XXXXXXXXXXX

接合部強度

(3 年加速③)

XXXXXXXXXXX

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試験検体 試験項目 品番 抗菌薬含

浸の有無

親水性コ

ーティン

グの有無

ハブア

センブ

リ等再

設計の

有無

カテーテ

ルシャフ

トの長さ

について

本品との

同一性

プロトタイ

プ A

エックス線

不透過性

XXXXXXXXXXX あり あり あり 異なる

(本申請

品 XXXX

XXXXX)

細胞毒性 XXXXXXXXXXX

感作性 XXXXXXXXXXX

皮内反応 XXXXXXXXXXX

全身毒性 XXXXXXXXXXX

亜慢性毒性 XXXXXXXXXXX

遺伝毒性 XXXXXXXXXXX

遺伝毒性 XXXXXXXXXXX

発熱性 XXXXXXXXXXX

プロトタイ

プ A

(抗菌薬な

し、親水性コ

ーティング

なし)

エックス線

不透過性

XXXXXXXXXXX なし なし

液体漏れ XXXXXXXXXXX

気体漏れ XXXXXXXXXXX

接合部強度 XXXXXXXXXXX

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試験検体 試験項目 品番 抗菌薬含

浸の有無

親水性コ

ーティン

グの有無

ハブア

センブ

リ等再

設計の

有無

カテーテ

ルシャフ

トの長さ

について

本品との

同一性

プロトタイ

プ B

接合部強度

(3 年実時間)

XXXXXXXXXXX あり あり なし 異なる

(本申請

品 XXX

XXXXX)

埋植 XXXXXXXXXXX

In Vitro 抗菌

能①

XXXXXXXXXXX

In Vitro 抗菌

能②

XXXXXXXXXXX

プロトタイ

プ B

(親水性コ

ーティング

なし)

In Vitro 抗菌

能①

XXXXXXXXXXX あり なし

In Vitro 抗菌

(2 年実時間)

XXXXXXXXXXX

In Vitro 抗菌

(3 年実時間)

XXXXXXXXXXX

類似機器 A 溶媒比較試

XXXXXXXXXXX あり あり 非該当* 同一

類似機器 B In Vitro 抗菌

能⑤

XXXXXXXXXXX あり なし あり 異なる

(本申請

品 XXXX

XXXXX)

In Vitro 抗菌

能⑥

XXXXXXXXXXX

In Vitro 抗菌

能⑦

XXXXXXXXXXX

* 類似医療機器 A は、本申請品カテーテルとは異なる XXXXXXXXXXXXXX である。本申請品

カテーテルのようにマニフォールド、及び各ルーメン毎にエクステンションチューブがあるが、XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

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使用した試験検体の妥当性

1. 本申請品カテーテル

以下の試験については、本申請品カテーテルである Spectrum 中心静脈カテーテルに対し実施した。

本申請品カテーテルの最も代表的なサイズを試験検体とした。

添付資料ホ-1-1 重力下流速試験

添付資料ホ-1-4 薬剤溶出量試験

添付資料ホ-1-14 溶血性試験

添付資料ホ-1-20 In Vitro 抗菌能試験③

添付資料ホ-1-21 In Vitro 抗菌能試験④

2. 本申請品カテーテル(抗菌薬なし、親水性コーティングなし)

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

添付資料ハ-1-1 3 年加速劣化後液体漏れ試験

添付資料ハ-1-2 3 年加速劣化後気体漏れ試験

添付資料ハ-1-3 3 年加速劣化後接合部強度試験①

添付資料ハ-1-4 3 年加速劣化後接合部強度試験②

添付資料ハ-1-5 3 年加速劣化後接合部強度試験③

3. プロトタイプ A

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

添付資料ホ-1-5 細胞毒性試験

添付資料ホ-1-6 感作性試験

添付資料ホ-1-7 皮内反応試験

添付資料ホ-1-8 全身毒性試験

添付資料ホ-1-9 亜慢性毒性試験

添付資料ホ-1-10 遺伝毒性試験-インビトロマウスリンフォーマ試験

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添付資料ホ-1-11 遺伝毒性試験-インビボマウス小核試験

添付資料ホ-1-12 発熱性試験

添付資料ホ-1-2 エックス線不透過性試験

添付資料ホ-1-15 液体漏れ試験

添付資料ホ-1-16 気体漏れ試験

添付資料ホ-1-17 接合部強度試験

4. プロトタイプ B

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

添付資料ホ-1-13 埋植試験

妥当性の説明:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

添付資料ハ-1-6 3 年実時間劣化後接合部強度試験

妥当性の説明:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

Page 12: 4 設計検証及び妥当性確認文書の概要 - Pmda...ISO 10993-11: 2006 適合 XXXXX 添付資料ホ-1-8 XXXXXXXXXX プロトタ イプA 生物学的 安全性 亜慢性毒性

82

添付資料ホ-1-18 In Vitro 抗菌能試験①

妥当性の説明:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

添付資料ホ-1-19 In Vitro 抗菌能試験②

妥当性の説明:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

添付資料ハ-1-7 2 年実時間劣化後 In Vitro 抗菌能試験

妥当性の説明:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

Page 13: 4 設計検証及び妥当性確認文書の概要 - Pmda...ISO 10993-11: 2006 適合 XXXXX 添付資料ホ-1-8 XXXXXXXXXX プロトタ イプA 生物学的 安全性 亜慢性毒性

83

添付資料ハ-1-8 3 年実時間劣化後 In Vitro 抗菌能試験

妥当性の説明:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

5. 類似機器 A

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

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添付資料ホ-1-3 溶媒比較試験

妥当性の説明:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

6. 類似機器 B

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

添付資料ホ-1-22 In Vitro 抗菌能試験⑤

添付資料ホ-1-23 In Vitro 抗菌能試験⑥

添付資料ホ-1-24 In Vitro 抗菌能試験⑦

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85

4.2.1 機器の設計の安全性を裏付ける試験

4.2.1.1 物理的、化学的特性

総括

物理的、化学的特性試験として、BS EN ISO 10555-3: 1997「血管カテーテル-滅菌及び使い捨て

カテーテル-第 3 部:中心静脈カテーテル」に準じた重力下流速及び本品のエックス線不透過性

を評価した。

また、溶媒比較試験(XXXXXXXXXX)によって In vitro 抗菌能試験において試験溶媒として

XXXXX を用いる妥当性を確認し、カテーテルシャフトからの薬剤溶出量を測定するための試験

(XXXXXXXXXX)を行った。

結論:

全ての検体が設定した判定基準を満たした。以下に試験の概要を記載する。

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86

4.2.1.1.1 重力下流速試験 (添付資料ホ-1-1)

()

試験目的 本申請品カテーテルの各ルーメンの重力下における流速を特性付けることである。

試験検体

試験検体名 品番 (ロット番号) 寸法 数量

本申請品カテーテル XXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXX サイズ:7.0 Fr

長さ:21.5 cm XX

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルと同一である。また、長さ 21.5 cm は本申請品カテー

テルの最も代表的なサイズである。重力下における流速の上限および下限許容値が

算出され、これらは XX %の信頼度で母集団の XX %を占めると統計学的に計算され

た。よって、検体数は妥当であると考える。

試験方法 試験は BS EN ISO 10553-3: 1997、および社内規格 QSI01_49 に基づいて実施した。試

験に用いた液体は XX ºC ± XX ºC に保った処理水であり、XXXX ± XX mmの高さ(静

水ヘッド高さ)に置いた、水平なタンクから XXX ± XX mL/分の流速(自由落下)

で流した。試験実施日は、試験開始前と開始後、さらに、システムが XX 分間以上

使用されなかった際に、検体なしの状態で自由落下流速の確認作業を実施した。試

験中は検体のルーメンをシステムに接続させ、XX 秒間、ルーメンからカテーテルの

末端へ流れる処理水を集め、この体積を測った。全検体の全てのルーメンにつき、

それぞれ連続で 3 回ずつ本操作を繰り返した。試験は全てアクセス制限付きの実験

室において、空気中で実施した。

各検体のルーメン毎に、3 回計測した流速の平均値および標準偏差を算出した。また、

XX 検体について平均値、標準偏差、最小値、最大値を算出した。XXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXX データが正規分布している場合は、統計的な許容限界値を両

側検定によって求め、これを XX %の信頼度で XX %の検体が該当する流速の範囲

とした。データが正規分布していない場合は、データをべき乗変換するか、あるい

はより適切な分布に当てはめ、正規分布させた値で統計的な許容限界値を両側検定

で求めた。

判定基準 当該試験の目的は特性確認のみであるため、判定基準は設定していない。

判定基準

の妥当性

該当しない。

試験結果

試験検体名 数量

重力下における流速

(mL/min) 統計的

許容限界値

(mL/min)* 平均 標準偏

差 最小 最大

本申請品

カテーテル

(試験番

号:XXX)

ディスタ

ルルーメ

XX

XX XXX XX XX 上限:XX

下限:XX

ミッドル

ーメン XX XXX XX XX

上限:XX

下限:XX

プロキシ

マルルー

メン

XX XXX XX XX 上限:XX

下限:XX

* 信頼度 XX%、母集団の XX%

結論 試験の結果、重力下における流速について、各ルーメンにおける統計的な許容限界

値(上限・下限)を母集団 XX %について XX %の信頼度で特徴付けることができた。

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87

4.2.1.1.2 エックス線不透過性試験 (添付資料ホ-1-2)

(XXXXXXXXXX) 試験目的 ヒツジを用いて本申請品カテーテルのエックス線不透過性を評価すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 寸法 数量

プロトタイプ A

XXXXXXXXXXXXXXX

サイズ:7.0 Fr

長さ:20 cm XX

プロトタイプ A

(抗菌薬なし、親水性コ

ーティングなし)

XXXXXXXXXXXXXXXX

サイズ:7.0 Fr

長さ:20 cm XX

検体選択

の妥当性

試験検体は、本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本

申請品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャ

フトの長さの違いであり、これは本試験結果に影響しない。検体数は、両側の t 分

布により、母集団を統計学的にモデルするのに充分な数であることを確認した。

試験方法 試験検体をヒツジの左外頸静脈から挿入し、上大静脈まで血管内をトラッキングさ

せた後、透視下でカテーテルのエックス線不透過性を評価した。本申請品の試験検

体と抗菌薬のない本申請品の対照検体それぞれを、術者が定性的に評価する。エッ

クス線不透過性の評価はスコア化され、1 が「不適切」、2 が「(通常の臨床使用に

おいて)適切」、3 が「良好」とする。

判定基準 全ての検体が、2「(通常の臨床使用において)適切」以上のスコアであること。

判定基準

の妥当性

2 以上のスコアであれば、通常の臨床使用において適切であると考えられる。

試験結果

試験検体名 機器 スコア* 合否

プロトタイプ A 試験検体 XX 合格

プロトタイプ A(抗菌薬なし、親水

性コーティングなし) 対照検体 XX 合格

* 試験検体、対照検体いずれの検体も、スコアが XX であった。

術者は、ガイドワイヤを通した状態で透視させた際、試験検体が対照検体と比べ若

干見易いと述べた。当該試験中、被験動物に合併症はなかった。

結論 全ての検体のスコアが XX 以上であった。従って、判定基準を満たし、検体は充分

なエックス線不透過性を有すると判断した。

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88

4.2.1.1.3 溶媒比較試験 (添付資料ホ-1-3)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 本試験の目的は、3 つの異なる溶媒 XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX を用いて、それぞれの条件下における検体の溶出プ

ロフィール XXXXXXXXXXXXXXX を特徴付けることである。検体の薬剤濃度は

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX により測定した。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 溶媒 数量

類似機器 A

(Cook 12Fr. ABRM

acute hemodialysis

catheter)

XXXXXXXXXX

XXXXXXXX

XXXXXX XXX 個の

XX cm カテーテル切片

(各時点の溶媒につきそれぞれ XX 個)

XXXXXX

XXXXXX

検体選択

の妥当性

試験検体の類似機器 A は本申請品カテーテルと同じ 2 種類の抗菌薬(ミノサイクリン

とリファンピシン)を使用した 12 Fr.の急性血液透析カテーテルである。本試験の目

的(3 つの異なる溶媒それぞれの条件下における溶出プロフィールを評価すること)、

さらに、XXXXXXXXXXXXXXXXXX 及び含浸工程が本品カテーテルと同じことを

考慮すると、試験検体は本申請品を代表すると言える。XXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

試験方法 カテーテルシャフトを XX cm 長の小片に切断して検体として準備した後、各溶媒

(XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX)につき 2 つ

のフラスコを用意し、各フラスコには XXcm 長の小片を無作為に XX つ選択した。こ

れを適切な時間で(XX 日目、XX 日目、XX 日目、XX 日目、XX 日目)同様に準備

した。溶出を行わないベースラインの XX 日に関しては直後に測定した。他の時点に

ついては対応する各溶媒に入れ、XX °C の培養機に XX RPM で振とうさせた。各溶

出時点に到達した後、XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX の測定については、

社内基準に従った。

試験検体の詳細

時点 XXXXXX XXXXXX XXXXXX

X 日目 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX

X 日目 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX

X 日目 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX

X 日目 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX

X 日目 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX

判定基準 本品の特性を評価するために行ったため、判定基準は該当しない。

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試験結果 表:各時点における薬剤濃度(平均値)

時点

XXXXXX XXXXXX XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

XXXXXX

X 日目 XXX XXX XXX XXX XXX XXX

X 日目 XXX XXX XXX XXX XXX XXX

X 日目 XXX XXX XXX XXX XXX XXX

X 日目 XXX XXX XXX XXX XXX XXX

X 日目 XXX XXX XXX XXX XXX XXX

図 1:XXXX によるミノサイクリンの測定値

図 2:XXXX によるリファンピシンの測定値

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試験計画

書からの

逸脱

試験計画書においては、検体数については以下のように指定された。

試験検体の詳細

時点 XXXXXX XXXXXX XXXXXX

X 日目 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX

X 日目 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX

X 日目 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX

X 日目 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX

X 日目 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX

逸脱によ

る影響

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

結論 時間ごとのミノサイクリン及びリファンピシンの薬剤濃度は上記に示す表及び図の

とおりである。XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

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4.2.1.1.4 薬剤溶出量試験 (添付資料ホ-1-4) (XXXXXXXXXX)

試験目的 模擬使用下での本品から溶出した抗菌薬剤の量を最初の XX 時間を XX 時間ごと

に解析すること。

試験検体

試験検体名

品番

(ロット番号) 数量

本申請品カ

テーテル

XXXXXXXXXX

XXXXXX

XX

(溶出時点

毎に X 本)

検体選択の

妥当性

試験検体は本申請品カテーテルである。当該試験は特性評価の試験であり、検体

数 X 本で十分と考えた。

試験方法 各検体のカテーテルから Xcm のセグメント部分を確保し、生理食塩水入りのバイ

アル瓶に入れた後、このバイアル瓶を XX℃、毎分 XX 回転の設定にした回転培

養器内で回転させる。予め指定した時点でバイアル瓶を取り出し、社内 SOP に準

拠し、XXX を用いてセグメント部分の薬剤(ミノサイクリン、リファンピシン)

の濃度を測定する。測定は、XX 時間後に行う(XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX)。

判定基準 本試験は特性評価を目的とするため、判定基準はない。

試験結果 ミノサイクリンの平均溶出量 (µg/cm) (該当するモデルの平均値)

溶出時点 ミノサイクリン濃度

の平均値 (µg/cm) 溶出時点区間

平均溶出量(µg/cm)

XXXXX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XX 時間の総溶出量 XXX

リファンピシンの平均溶出量 (µg/cm) (該当するモデルの平均値)

溶出時点 リファンピシン濃度

の平均値 (µg/cm) 溶出時点間隔

平均溶出量(µg/cm)

XXXXX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XXXXX 時間後 XXX XX 時間後 XXX

XX 時間の総溶出量 XXX

結論 本品のカテーテルから XX 時間にわたって溶出されたミノサイクリンの溶出量は

XXµg/cm で、リファンピシンの溶出量は XXµg/cm であった。溶出量が最大にな

るのは、ミノサイクリン、リファンピシン共に XX 時間後の時点であり、最大溶

出量はそれぞれ XXµg/cm、XXµg/cm であった。

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4.2.1.2 電気的安全性及び電磁両立性

本品には電気部品は組み込まれていない。従って、電気的安全性及び電磁両立性に関する試験は

不要と判断した。

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4.2.1.3 生物学的安全性

総括

本品は「循環血液」に短・中期間(24 時間を超えて 30 日未満)接触することを意図した機器で

あり、「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について」

(平成 24 年 3 月 1 日付薬食機発 0301 第 20 号)、及び ISO 10993-1「医療機器の生物学的評価-第

一部:リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験」に基づき分類され、制限される機器

である。ISO 10993-1 に基づき、細胞毒性、感作性、急性皮内反応、全身毒性、亜慢性毒性、遺

伝毒性、発熱性、埋植、及び血液適合性をそれぞれ評価した。

試験検体の抽出条件(溶媒、比率、温度、時間)は、それぞれの試験において参照されている規

格等にて別途規定されていない限り、全て ISO 10993-12: 2007「医療機器の生物学的評価-第 12

部:試料の調製及び標準物質」に準拠した。

結論:

全ての検体が設定された判定基準を満たした。以下にそれぞれの試験の概要を示す。

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4.2.1.3.1 細胞毒性試験 (添付資料ホ-1-5)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 試験検体から抽出された溶出物が細胞毒性を誘発するか否かを判定すること。

試験検体

試験検

体名

品番

(ロット番号) 抽出溶媒

比率

(検

体:抽

出溶

媒)

対照

プロト

タイプA

XXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXX

ウシ胎仔血清

5 %、抗生物質2 %

及び L-グルタミ

ン酸 1 %を添加し

た、アール塩含有

最小必須培地

(1XMEM)

4 g :

20 mL

陰性対照 : 高

密度ポリエチ

レン(HDPE)、

60 cm2 : 20 mL

試薬対照 :1X

MEM

陽性対照 : ス

ズ安定剤入り

ポリ塩化ビニ

ル、60 cm2 :

20 mL

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本申請

品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャフトの

長さの違いであり、これは本試験結果に影響しない。

試験方法 試験方法は ISO 10993-5「医療機器の生物学的評価-第 5 部:インビトロ細胞毒性試験」

の要求事項に基づく。検体試料を 37 °C で 24 時間 1X MEM で抽出した。陰性対照、

試薬対照、陽性対照それぞれを同様に準備した。亜融合性のマウス L-929 線維芽細胞

を入れた 3 連式の培養ウェルを使用した。それぞれの培養ウェルに含まれた成長培地

を 2 mL の検体抽出液と差替えた。試薬対照、陰性対照、及び陽性対照も同様に、そ

れぞれ 2 mL の抽出液と差替えた。ウェルを 37˚C 、CO2 5 %で 48 時間培養した。培養

後、100 倍の顕微鏡で培養物を観察し、細胞の特性及び溶解の割合を評価した。毒性反

応の指標は 0(無毒性)から 4(重度)のスケールで等級(グレード)化した。試験液

の色も観察し pH の変化の有無を判定した。黄色の試験液は pH が酸性域に移行してい

ることを示し、赤紫色~紫色は pH がアルカリ性域に移行していることを示す。

判定基準 丸みを帯びた細胞、および細胞質内顆粒の消失が 50 %以下で、かつ広域の細胞溶解及

び細胞間の間隙が無い場合(グレード 2 あるいは軽度の毒性反応以下)、検体は試験

の要求事項を満たす。試験が有効であるためには、試薬対照及び陰性対照が無毒性反

応(グレード 0)であり、陽性対照がグレード 3 あるいは 4 と判定されなければならな

い。

判定基準

の妥当性

ISO 10993-5 に準拠し設定した。

試験結果

項目 数量 丸み率 細胞質内顆粒の

消失割合

溶解の

割合 グレード 反応性

検体抽出液 3 0 0 0 0 無

陰性対照 3 0 0 0 0 無

試薬対照 3 0 0 0 0 無

陽性対照 3 100 100 100 4 重度

結論 検体抽出液で培養したウェルは無毒性反応(グレード 0)であったことから、検体は試

験の要求事項を満たした。さらに試薬対照及び陰性対照は無毒性反応(グレード 0)を

示し、また陽性対照は重度の毒性反応(グレード 4)を示し、それぞれ予想通りの結果

であった。

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4.2.1.3.2 感作性試験 (添付資料ホ-1-6)

(XXXXXXXXXXXXX)

試験目的 感作性の指標として、試験検体の抽出液が耳下腺リンパ節内でリンパ球の分裂を促進

するか否かを判定すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 抽出溶媒

比率(検体:

抽出溶媒) 対照

プロトタイ

プ A

XXXXXXXX

XXXXXXXX

XXXXXXX

USP の 0.9%

塩化ナトリウ

ム溶液(SC)

及びジメチル

スルホキシド

(DMSO)

4 g : 20 mL

水溶性陽性対照:ホ

ルムアルデヒド溶

非水溶性陽性対照:

α-ヘキシルシンナ

ムアルデヒド

(HCA)陰性対

照:SC 及び DMSO

(溶媒のみ)

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本申請

品の最も代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャフトの長さの違

いであり、これは本試験結果に影響しない。

試験方法 試験は ISO 10993-10「医療機器の生物学的評価-第 10 部:炎症及び皮膚感作性の試

験」に基づいて実施した。試験検体を 2 種類の溶液(USP の 0.9%塩化ナトリウム溶液

(SC)及びジメチルスルホキシド(DMSO) それぞれ 50 ºC で 72 時間抽出した。溶

媒対照についても 50 ºC で 72 時間攪拌した。検体抽出液、陰性対照、陽性対照用の

各マウスに、3 日連続して対応する溶液 25 µL を両耳の背側に局所投与した(試験 1

~3 日目)。最後の局所投与から少なくとも 72 時間後(試験 6 日目)にマウスを安楽

死させ、耳下腺リンパ節を摘出し、DNA 採取の処置を施した。一昼夜かけて 5 °C で

沈殿させた後、放射活性レベルを各マウスにつき 3 回測定した(1 分あたりの分裂数

(dpm)を求めた)。3 回の測定値の平均値をマウス、また処置群ごとに算出した。

呼応する陰性対照の dpm に対する検体の dpm の比率を判定し、これを刺激指数(SI)

とした。

判定基準 検体抽出液の刺激指数(SI)は 3.0 未満でなければならない。

判定基準

の妥当性

ISO 10993-10 に準拠し設定した。

試験結果

処置群 dpm (平均値 ±標準偏差) 刺激指数

(SI)

統計学的

有意性*

SC の 陰性対照 615 ± 188 - -

SC の 検体抽出液 400 ± 140** 0.6 無

水溶性陽性対照 3936 ± 1728 6.4 有

DMSO の陰性対照 775 ± 246 - -

DMSO の 検体抽出液 1202 ± 250 1.6 有

非水溶性陽性対照 6914 ± 2396 8.9 有

*p < 0.05、 陰性対照との比較

**グラブス検定法を使用し、外れ値は平均値及び統計学的分析から除外した。

試験 2~6 日目、水溶性陽性対照群のマウスに毛並みの乱れが観察された以外は臨床

的な懸念は観察されなかった。

結論 本試験の条件下で、SC 及び DMSO での検体抽出液の刺激指数は、それぞれ 0.6 、1.6

であった。従って、検体は試験の判定基準を満たし、マウスへの感作性は陰性である

と判断された。陰性対照及び陽性対照はそれぞれ予想通りの結果を示した。

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4.2.1.3.3 皮内反応試験 (添付資料ホ-1-7)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 検体抽出液をウサギの皮膚に注入することにより、皮膚に局所的な炎症反応を誘発

するか否かを判定すること。

試験検体

試験検体名

品番

(ロット番号) 抽出溶媒

比率

(検体:

抽出溶媒)

対照

プロトタイ

プ A

XXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXX

USPの0.9 %塩

化ナトリウム

溶液(SC)及

び NFのゴマ

油(SO)

4 g : 20

mL

溶媒対

照:

SC また

は SO

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルの原材料と同一であるプロトタイプ A である。本申

請品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャフ

トの長さの違いであり、これは本試験結果に影響しない。

試験方法 試験は ISO 10993-10「医療機器の生物学的評価-第 10 部:炎症及び皮膚感作性の試

験」、及び USP-NF(米国薬局方及び国民医薬品集)の「総論 88:In Vivo での生物

学的反応性試験」の要求事項に基づいて実施した。試験検体を 2 種類の溶液(0.9%

の USP 塩化ナトリウム溶液 (SC)及び NF のゴマ油)それぞれで抽出した。投与

の前日に 2 羽のウサギの背部及び脊柱の両側の毛を刈り、体重を測定し、識別した。

ウサギに以下の要領で抽出液を注入した。対応する検体抽出液 0.2 mL を各ウサギの

背中右側 5 箇所にそれぞれ皮内注入し、同様に、対応する溶媒対照を背中左側 5 ヵ

所に注入した。注入箇所は適切な間隔を取った。注入直後に注入箇所を観察した。

また注入後 24 時間、48 時間、及び 72 時間に紅斑 (ER)と浮腫 (ED)をウサギ

ごとに観察し、主観的なスコア(0~4)で評価した。0 は ER または ED なし、1 は

非常に軽微な ER または ED、2 ははっきり識別できる ER または ED、3 は中等度

の ER または ED、4 は重度の ER または ED とした。各評価時のスコアから、検体

抽出液及び溶媒対照の全体的な平均値を算出した。検体抽出液の全体平均値から対

応する溶媒対照の全体平均値を引き、その差異を算出した。

判定基準 検体抽出液と対応する溶媒対照の平均スコアの差は 1.0 以下でなければならない。

判定基準

の妥当性

判定基準は ISO 10993-10 に基づいて設定した。

試験結果

抽出液 試料数 検体抽出液

全体の平均値

溶媒対照

全体の平均値

全体平均値の差異

(検体-対照)

SC 12 0.1 0.0 0.1

SO 12 0.5 0.4 0.1

注入直後全ての注入部位は正常であった。SC、SO を用いた検体抽出液からはいずれ

も浮腫は認められなかった一方、いずれも非常に軽微な紅斑(スコア:1)が認めら

れた。

結論 本試験の条件下で、SC 及び SO のいずれの抽出液についても、検体抽出液の平均

スコアと対応する対照液の平均スコアとの差は 1.0 未満であった。従って、試験検体

は判定基準を満たした。

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4.2.1.3.4 全身毒性試験 (添付資料ホ-1-8)

(XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX)

試験目的 試験検体から抽出した溶出物をマウスに注入後、全身毒性を誘発するか否かを判定

すること。

試験検体

試験検体名

品番

(ロット番号) 抽出溶媒

比率

(検体:

抽出溶媒)

対照

プロトタイ

プ A

XXXXXXXXXXXXXXX

USP の 0.9 %塩

化ナトリウム

溶液(SC)及び

NFのゴマ油

(SO)

4 g : 20 mL

溶媒対

照:SC

及び

SO

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本申

請品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャフ

トの長さの違いであり、これは本試験結果に影響しない。

試験方法 試験は ISO 10993-11「医療機器の生物学的評価-第 11 部: 全身的毒性の試験 」に

基づいて実施した。検体を 2 種類の溶液(0.9 %の USP の塩化ナトリウム溶液 (SC)

及び NFのゴマ油 (SO))それぞれ 50 ºC で 72 時間で抽出した。投与に先立ち、

マウスを識別して体重を測定した。単回投与分(50 mL/kg)の検体抽出液を、各抽

出溶媒につきそれぞれ 5 匹のマウスに注射した。SC の抽出液は皮内注射し、SO の

抽出液は腹腔内からの経路で注入した。同様に対応する溶媒対照についても、それ

ぞれ 5 匹のマウスに投与した。マウスに投与直後及び投与後 4 時間、24 時間、48 時

間、72 時間にマウスの全身毒性の兆候を観察した。投与後 3 日間は毎日マウスの体

重を測定した。

判定基準 検体抽出液を投与されたマウスは、いずれも対応する溶媒対照投与マウスより有意

に強い生物学的反応が観察されてはならない。2 匹以上のマウスが死亡、2 匹以上の

マウスに痙攣あるいは全身衰弱などの医学的異常反応が発現、または 3 匹以上のマ

ウスに 2 グラムを超える体重減少が認められた場合、検体は不合格とした。

判定基準

の妥当性

判定基準は ISO 10993-11 に基づき設定した。

試験結果

処置群 マウス数 致死率 毒性の臨床

的兆候 体重

検体抽出液 – SC 5 0 %(0/5) 0/5 異常なし

対照溶媒 – SC 5 0 % (0/5) 0/5 異常なし

検体抽出液 – SO 5 0 % (0/5) 0/5* 異常なし

対照溶媒 – SO 5 0 % (0/5) 0/5* 異常なし

* SO 溶液を注射した試験マウス、対照マウス共に注射の 4 時間後に毛並が乱れてい

た。溶液は脂質が高い特性を有することから、この所見は想定内の影響と考えた。

その他のマウスは試験期間を通して全て臨床的に正常であった。

結論 本試験条件において、検体抽出液による死亡例、あるいは全身毒性のエビデンスは

確認できなかった。従って、試験検体は判定基準を満たした。

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4.2.1.3.5 亜慢性毒性試験 (添付資料ホ-1-9)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 試験検体から抽出した溶出物を 28 日間毎日ラットに静脈内注入(IV)し、亜慢性全

身毒性を誘発するか否かを判定すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 抽出溶媒

比率

(検体:

抽出溶

媒)

プロトタイ

プ A

XXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXX

0.9 % の生理

食塩水 (NS)

120 cm2:

20 mL

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本申

請品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャフ

トの長さの違いであり、これは本試験結果に影響しない。

試験方法 試験は ISO 10993-11「医療機器の生物学的評価-第 11 部: 全身的毒性の試験」に

基づいて実施した。試験検体を NS で 50 °C 、72 時間抽出した。投与に先立ち、

検体抽出液を放置沈殿させ、調製後 24 時間以内に投与した。ラット(試験ラット 10

匹、対照ラット 10 匹)に NS の検体抽出液、または検体を含まずに調製した生理食

塩水を溶媒対照として静脈投与した。体重を投与 0 日目、それ以後は 7 日ごとに記

録した。毒性の兆候及び死亡数を毎回の投与直後及び毎日 1 回観察した。試験終了

時、心臓に穿刺して血液採取し、血液学的及び臨床化学的な項目を解析した。ラッ

トを安楽死させ全体解剖を行った。選定された組織を試験ラット及び対照ラットか

ら採取し、10 %の中性緩衝ホルマリンで固定し、病理学者(有資格者)による顕微

鏡観察用に調整した。

判定基準 以下の項目を毒性の兆候として使用し、陰性対照のラットと相関させた。

各群における 1 匹を超えるラットの死亡

各群における体重減少の平均値

各群において 1 匹を超えたラットに発現した毒性の臨床兆候

血液学的及び臨床化学的数値からの毒性パターンの検証

試験群、対照群の組織における病理組織学的な毒性パターン

判定基準

の妥当性

判定基準は ISO 10993-11 に基づく。

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99

試験結果 試験群、対照群の全てのラットは 28 日間の試験期間の完了時まで生存し、明らかな

毒性の兆候もなかった。

臨床的観察事項

群 死亡数 異常の臨床兆候 解剖時の異常病変

試験 0/10 0/10 0/10

対照 0/10 0/10 0/10

体重 (g) 及び体重変化 (g) の平均値 ± 標準偏差

項目 雄

第 0 日 第 28 日 変化

試験 135.8 ± 5.4 362.5 ± 21.3 226.6 ± 16.5

対照 135.2 ± 4.0 356.3 ± 33.7 221.2 ± 31.0

項目 雌

第 0 日 第 28 日 変化

試験 115.1 ± 7.8 227.0 ± 13.4 111.9 ± 10.8

対照 112.9 ± 9.9 234.7 ± 27.0 121.8 ± 20.4

試験期間中、全てのラットは体重が増加し、群間に体重増加の統計学的有意差はな

かった(P > 0.05)。加えて、試験中いずれの群においても平均体重の減少はなかっ

た。 試験群、対照群全てのラットにおいて、解剖時の肉眼検査で異常は認められな

かった。本試験の条件下で、血液学的項目のいくつかにおいて統計学的差異が確認

されたが、毒性の傾向の指標あるいは生物学的に有意な差異を示すものではなかっ

た。なお、外れ値は生物学的に些細であり重要ではないと見なした。

結論 本試験の条件下で、NS による検体の抽出液については、もたらす全身毒性の兆候は

陰性であると考えられた。従って、本試験の判定基準は満たされた。

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100

4.2.1.3.6 遺伝毒性試験-In Vitro マウスリンフォーマ試験 (添付資料ホ-1-10)

(XXXXXXXXXXX)

試験目的 マウスリンパ腫細胞 L5178Y のコロニー形成後、トリフルオロチミジン(TFT)の存在

下における変異を測定することで、検体のチミジンキナーゼ(TK) 遺伝子座に対する

突然変異誘発性を判定すること。

試験検体

試験

検体名

品番

(ロット番号) 抽出溶媒

比率

(検

体:抽出

溶媒)

対照

プロト

タイプ A

XXXXXXXXXX

生理食塩

水または

ジメチル

スルホキ

シド

(DMSO)

4 g : 20

mL

陽性対照(S9 代謝活

性化無し):

メタンスルホン酸メ

チル (MMS)-低

用量(5 µg/mL)及び

高用量(15 µg/mL)

陽性対照(S9 代謝活

性化有り):

シクロホスファミド

(CP)-低用量

(3 µg/mL)及び高用

量(5 µg/mL)陰性対

照:

溶媒のみ(生理食塩

水又は DMSO)

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本申請品

カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプAの違いはカテーテルシャフトの長さ

の違いであり、これは試験結果に影響しない。

試験方法 試験は ISO 10993-3「医療機器の生物学的評価-第 3 部: 遺伝子毒性、発がん(癌)性

及び生殖毒性の試験」の要求事項に基づいて実施した。検体を 2 種類の溶液(生理食塩

水および DMSO)で 50 ± 2 °C 、 72 ± 2 時間抽出した。 L5178Y 細胞に検体あるいは

対照溶液(代謝活性化の有無による)を加え、最終的に細胞濃度が 6 x 105 細胞数/mL

になるように 10 mL 調合した(細胞総数 6 x 106 )。生理食塩水による検体抽出液、及

び陰性対照溶液の投与量は 1.0 mL とした。DMSO の検体 抽出液、DMSO の陰性対照溶

液、および陽性対照溶液の投与量は 0.1 mL として、溶媒毒性を最少に留めた。代謝活

性化有りの場合は、1.0 mL 分を投与して活性化させた。投与後、試験管を 80 rpm で攪拌

させながら約 5 % CO2、37 ± 2 °C で培養した。約 4 時間の暴露後、細胞を洗浄し、成

長培地 20 mL で再懸濁し、再度培養した。

約 24 時間後、20 mL の成長培地で 3 x 105/mL の細胞数になるよう各試験管を調節した。

一昼夜培養後、コロニー形成直前に最終濃度調節を行った。この 2 日間の培養期間を取

ることで TK-/- 表現型の回復、成長及び発現を可能にした。

コロニー形成直前に、各試験管を 20 mL で最終濃度 2 x 105 細胞数/mL になるよう調節

した。コロニー形成率を判定するため、これらの試験管から 1:100 の希釈率で、生存

細胞のコロニー形成用の試験液を作成した。細胞数約 200 を含む 100 µL のアリコート

を 25 mL のコロニー形成用の寒天培地に加え、撹拌し、シャーレに注いだ。試験管 1

本で 3 つのシャーレを調合した。突然変異性を判定するために、各試験管から 5 mL (2

x 105 細胞数/mL の割合、合計 1 x 10

6 の細胞数が播種) を抑制剤トリフルオロチミジ

ン(TFT)を含む選択的コロニー形成培地 20 mL に懸濁した。再度、各試験管で 3 つの

シャーレを調合した。全てのシャーレを約 37 °C、5%の CO2で 12 日間培養した。培養

終了後、ソフトウエアを含む画像解析機で コロニー数を数えた。

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101

判定基準 検体を加えた培養の突然変異頻度 (MF)は、対応する陰性対照の 1.8 倍未満でなけれ

ばならない。さらに、検体群の MF は通常の陰性範囲内でなければならない。

判定基準

の妥当性

判定基準は ISO 10993-3 に基づく。

試験結果

試験群

突然変異

(x 10-6)

増加倍数

(FI)*

生食での検体抽出液-S9 代謝活性化存在下 58.0 0.8

生食での検体抽出液-S9 代謝活性化非存在下 63.3 0.8

生食での陰性対照- S9 代謝 活性化存在下 70.8 -

生食での陰性対照-S9 代謝活性化非存在下 79.0 -

DMSO での検体抽出液-S9 代謝活性化存在下 74.2 1.1

DMSO での検体抽出液-S9 代謝活性化非存在下 60.9 1.0

DMSO での陰性対照-S9 代謝活性化存在下 68.9 -

DMSO での陰性対照-S9 代謝活性化非存在下 63.6 -

低用量の陽性対照(CP)- S9 代謝活性化存在下 394.9 5.6 (生食)

5.7 (DMSO)

高用量の陽性対照(CP)-S9 代謝活性化存在下 737.8 10.4(生食)

10.7(DMSO)

低用量の陽性対照(MMS)- S9 代謝活性化非存在下 210.5 2.7 (生食)

3.3 (DMSO)

高用量の陽性対照(MMS)- S9 代謝活性化非存在下 509.1 6.4 (生食)

8.0 (DMSO)

*FI は、試験群を対応する陰性対照群と比較している。

検体抽出液を投与した群は対応する陰性対照と比較して、培養の突然変異頻度(MF) が

全て 1.8 倍未満であった。さらに、陰性対照の突然変異度及びコロニー形成率は、従来

の陰性対照のデータで想定される範囲内であった。また、全ての高用量の陽性対照で、3

倍以上の増加が認められた。

結論 本試験の条件下で、生理食塩水及び DMSO いずれの抽出液についても、検体の突然変異

頻度(MF)は対応する陰性対照の 1.8 倍未満であり、検体は本試験の判定基準を満たし

た。従って、試験検体は「突然変異性無し」と考えられた。

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102

4.2.1.3.7 遺伝毒性試験-In Vivo マウス小核試験 (添付資料ホ-1-11)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 試験検体がマウスの骨髄から得た多染性赤血球中の有糸分裂紡錘体に in vivo で染色

体異常誘発または損傷を引き起こすか否かを評価すること。

試験検体

試験

検体名

品番

(ロット番号) 抽出溶媒

比率

(検体:

抽出溶媒)

対照

プロトタ

イプ A

XXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXX

生理食塩

水 (NS)

及び綿実

(CSO)

4 g : 20 mL

陽性対照:シ

クロホスファ

ミド(CP)

陰性対照:

NS 又は

CSO(溶媒の

み)

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本申

請品カテーテルの代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャフトの

長さの違いであり、これは本試験結果に影響しない。

試験方法 試験は ISO 10993-3「医療機器の生物学的評価-第 3 部: 遺伝子毒性、発がん(癌)

性及び生殖毒性の試験」の要求事項に基づいて実施した。検体を 2 種類の溶液(NS

及び CSO)で 50 ± 2 °C 、 72 ± 2 時間抽出した。各検体抽出液及び陰性対照につ

いて、雄雌のマウスそれぞれ 10 匹に適切な溶液 20 mL/kg を腹腔内注射で投与した。

陽性対照は、雄雌それぞれ 5 匹に 75 mg/kg(体重)のシクロホスファミドを投与し

た。検体及び陰性対照は半数のマウスを投与後 24 時間に屠殺処理し、陽性対照は全

てのマウスを投与後 24 時間に屠殺処理した。検体及び陰性対照の残存マウスは投与

後 48 時間に屠殺処理した。各マウスから大腿骨 1 つを摘出し、ウシ胎仔血清で骨髄

を洗い出した。骨髄の摘出直後に各マウスから骨髄の 3 標本を透明のスライドグラ

ス上に作製した。スライドはアクリジン・オレンジで固定、染色し、40 倍の蛍光望

遠鏡で観察した。各マウスにつき、それぞれ 2個のスライド毎に多染性赤血球 (PCE)

1000 個あたりの小核数を数えた。また、毒性の評価として 500 個の成熟赤血球に対

する PCE の割合もスライドごとに判定した(赤血球増殖率への影響)。

判定基準 検体抽出液投与群は、小核化した PCE が陰性対照と比較して統計学的に有意に増加

せず、かつアッセイが有効とされなければならない。アッセイが有効であるために

は、陽性対照存在下で、小核化した PCE の増加率が陰性対照に比較して統計学的に

有意でなければならない。

判定基準

の妥当性

判定基準は ISO 10993-3 に基づき設定した。

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試験結果 マウスは臨床観察時に、検体抽出液(NS または CSO)に対して明らかな有害反応

の兆候を身体的にも行動的にも示さなかった。また、体重のデータは正常の範囲内

であった。

小核化した PCE 数(1000 個当たり)

処置群 雌 雄

24 時間後 48 時間後 24 時間後 48 時間後

NS 検体抽出液 0.8 1.7 0.8 1.2

NS 陰性対照 1.5 0.3 1.1 0.9

CSO 検体抽出液 1.4 1.6 1.3 2.0

CSO 陰性対照 0.6 1.0 0.5 0.7

CP 陽性対照 25.8* - 22.8* -

* 小核化はいずれも対応する陰性対照より有意に高かった (p < 0.001)。

Dunnett 多重比較検定(ポストホックテスト)での分散分析(ANOVA)を用いて、

上記の処置群間の有意差を判定した。その結果、確認された唯一の有意差は陽性対

照における小核誘発数であった (p < 0.001)。

赤血球増殖率への影響

投与群 雌 雄

24 時間後 48 時間後 24 時間後 48 時間後

NS 検体抽出液 1.0 1.0 1.0 1.0

NS 陰性対照 1.1 1.0 1.0 1.2

CSO 検体抽出液 1.1 1.0 1.0 1.1

CSO 陰性対照 1.0 1.1 1.1 1.0

CP 陽性対照 1.0 - 1.0 -

検体抽出液を投与したマウスの赤血球増殖率は、陰性対照群と比較して顕著な差異

がなかった。48 時間後、いずれの検体群でも赤血球増殖率の有意な減少はなかった。

結論 本試験の条件下で、肉眼的に明らかな毒性の兆候あるいは有意な赤血球増殖への影

響は見られなかった。検体抽出液投与群は、陰性対照に比較して統計学的に有意な

小核化 PCE の増加が認められず、さらに、陽性対照及び陰性対照は予想通りの結果

を示した。従って試験の判定基準は満たされ、検体は「突然変異性無し」と考えら

れた。

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4.2.1.3.8 発熱性試験 (添付資料ホ-1-12)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 試験検体から抽出した溶出物をウサギに静脈注入後、発熱反応を誘発するか否かを

判定すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 抽出溶媒

比率

(検体:

抽出溶媒)

プロトタイプA

XXXXXXXXXX

XXXXXXXX

滅菌、非発熱性の

0.9%塩化ナトリウ

ム溶液(SNPS)

4 g : 20 mL

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本申

請品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャフ

トの長さの違いであり、これは本試験結果に影響しない。

試験方法 試験は USP 総則 151、発熱性試験 (2008) 及び ISO 10993-11「医療機器の生物学

的評価-第 11 部: 全身的毒性の試験 」に基づいて実施した。試験検体は SNPS で

50 °C で、72 時間抽出した。注射に先立ち、検体抽出液を 10 分以上 37 °C の湯せ

んに掛けた。本試験の実施前に、予備試験を実施した。予備試験ではウサギに抽出

溶媒を注射し、体温上昇を観察した。体温の上昇があったウサギは試験から除外し

た。本試験においては、各ウサギを固定器に取付け、体温計プローブを直腸に挿入

した。体温測定を開始する 15 分以上前にウサギを固定器に掛けて馴化させた。2 回

の対照体温を 30 分以上の間隔をあけて測定した。2 回目の体温は注射前の最大 30

分以内に測定し、それを試験のベースライン体温とした。ウサギ 3 羽にそれぞれ検

体抽出液 10 mL/kg を耳静脈周辺部に単回注射した。投与後 1~3 時間の間の 30 分毎

に直腸体温を測定し記録した。各ウサギの最大体温上昇率(ベースラインと比較)

を判定した。

判定基準 体温がベースラインより 0.5°C を超えて上昇したウサギが 1 羽もないこと。

判定基準

の妥当性

USP<151>「発熱性試験」に準拠し設定した。

試験結果

ウサギ

番号

体温 (°C)

ベース

ライン

注射後の時間 最大

体温

上昇 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

93529 39.6 39.6 39.7 39.8 39.7 39.7 0.2

93532 38.9 38.8 38.8 38.8 38.9 38.9 0.0

93534 38.8 38.9 39.0 39.0 39.0 39.0 0.2

最大体温上昇の合計 0.4

体温がベースラインより 0.5°C 以上上昇したウサギは 1 羽もなかった。また、3 羽の

ウサギの最大体温上昇率の合計は 0.4 °C であった。

結論 本試験の条件下において、3 時間の観察時間に体温がベースラインより 0.5°C 以上上

昇した個体はなかった。従って、本試験の判定基準は満たされ、試験検体は発熱性

物質ではないと判定した。

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4.2.1.3.9 埋植試験 (添付資料ホ-1-13)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 試験検体を筋組織に直接接触させて植え込み、局所炎症又は毒性反応の有無につい

て評価すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号)

埋植物の

サイズ 陰性対照

プロトタイ

プ B

XXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXX 1 mm x

10 mm

USP指定ポリエチレン 片

(1 mm x 10 mm)

検体選択

の妥当性

試験検体のカテーテルシャフトは本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロト

タイプ B である。本申請品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ B の違

いは、XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXX 本試験結果に影響しない。

試験方法 試験は ISO 10993-6「医療機器の生物学的評価-第 6 部: 埋込後の局所的影響の試

験 」の要求事項に基づいて実施した。ウサギの傍脊椎筋に沿って毛刈りした。麻酔

及び無菌操作の標準的な手順に従い、ウサギの傍脊椎筋を背中の両側で露出し、両

側それぞれの筋繊維の間にくぼみを形成した。各ウサギの右傍脊柱筋に、等間隔を

あけて検体 4 切片を埋植した。同様に、陰性対照の 4 切片を各ウサギの左傍脊柱筋

に埋植した。埋植したウサギの数は合計 3 羽である。全身の健康状態を毎日観察し、

埋植前と試験終了時の体重を測定し記録した。埋植後 6 週間でウサギを標準的手順

に従い安楽死させ、傍脊椎筋を摘出しホルマリンで固定した後、組織プレパラート

を作製し、観察した。

試験検体試料及び対照試料の全てにおいて、被膜形成及びその他の炎症的兆候につ

いて、肉眼評価で 0 から 4 のスコアを付けた(すなわちスコア 0 は被膜無し・毒性

反応無し、スコア 4 は被膜あるいは炎症領域が 2.0 mm を超えた場合)。試験検体

試料と対照試料の肉眼的反応スコアの平均値を比較した。その差異(試験検体試料

スコア-対照試料スコア)については 0.0~0.5 =有意差なし、 0.6~1.0 =極微、

1.1-2.0 =低度、 2.1~3.0 =中等度、3.1 以上=顕著とした。さらに、病理学者が埋

植部位の顕微鏡評価を行い、炎症スコア(試験検体試料の平均スコア-陰性対照の

平均スコア)を算出した。炎症スコアは 0.0~2.9=無炎症性、3.0~8.9=軽度の炎症

性、 9.0~15.0 =中等度の炎症性、15.1 以上=重度の炎症性とした。

判定基準 陰性対照試料と比較して、試験検体試料は埋植部位で有意に強い炎症性を誘発して

はならない。

判定基準

の妥当性

判定基準は ISO10993-6 に基づき設定した。

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106

試験結果

*埋植部位のうち 1 ヵ所は肉眼で場所を特定できず、検証されなかった。

ウサギ 1 羽は試験の第 30 日目に糞便の減少が留意されたが、翌日は正常に戻った。

その他は試験期間を通して、全てのウサギは臨床的に異常がなかった。

種類 埋植

個数 体重

肉眼 顕微鏡

平均

スコア

反応

スコア

(ランク)

平均

スコア

炎症

スコア

(ランク)

試験検体 12 正常 0 0.0 8.3* 4.0 (軽度)

陰性対照 12 正常 0 0.0 4.3 -

結論 本試験の条件下において、肉眼検査による反応性については、試験検体は陰性対照

と比較して有意差なしと評価された。また顕微鏡検査では、陰性対照と比較して試

験検体は「軽度の炎症性」と結論付けた。従って、本試験の判定基準を満たした。

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4.2.1.3.10 溶血性試験 (添付資料ホ-1-14)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 試験検体からの溶出物が溶血を引き起こすかどうかを in vitro 試験で判定するこ

と。

試験検体

試験

検体名

品番

(ロット番号) 抽出溶媒

比率

(検

体:抽

出溶

媒)

対照

本申請

品カテ

ーテル

XXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXX

リン酸緩

衝生理食

塩水

(PBS)

120

cm2 :

20 mL

陽性対

照:

ニトリル

陰性対

照:

高密度ポ

リエチレ

溶媒対

照:PBS

検体選択の

妥当性

試験検体は本申請品カテーテルである。ワーストケースを考慮して、最も表面積の

大きなサイズを選択した。

試験方法 試験方法は ISO 10993-4「医療用具の生物学的評価-第 4 部:血液との相互作用の

試験の選択」、および ASTM F756-08「材料の溶血性評価の標準試験」の要求事項

に基づく。 3 羽のウサギから血液を採取し、適切な量の PBS で希釈した。この希

釈した血液を、検体を入れた PBS 試験管に添加し、37°C で少なくとも 3 時間培養

した。各試験管の内容物が混和するよう、約 30 分置きに穏やかに 2 回反転させた。

陰性対照、陽性対照及び溶媒対照を調製し、検体と同様に培養した。培養後、細胞

形成成分と分離するため懸濁液を 2400 RPM で 15 分間遠心分離した。各サンプル

の上清に試薬を添加し、室温で 5 分間培養させた後、分光光度法により、吸光度を

波長 540 nm で測定した。この測定結果から溶血指数を算出した。

判定基準 検体の平均溶血指数は 2 %以下でなければならない。

判定基準の

妥当性

ASTM F756-08 に準拠し設定した。

試験結果 初回の試験 (n=3) においては 1 つの値が溶血性を示したため、倍の検体数 (n=6)

で再試験を実施した(初回試験とは別の検体を使用)。この結果を下の表に示す。

なお、初回の試験においては検体の平均溶血指数(溶媒対照の値で補正後)は 0.0

であった。

項目 吸光度

平均溶血率* 平均溶血指数* 平均値 標準偏差

検体** 0.0083 0.0858 6.2 0.8

溶媒対照 0.0000 0.0000 0.0 0.0

陰性対照 0.0000 0.0000 0.0 0.0

陽性対照 0.0870 0.0038 64.2 8.0

* これらの値は、溶媒対照の値で補正している。

** PBS および試薬によるノイズが除去された。

結論 試験検体は、非溶血性であると判断された。予測どおり、陰性対照は溶血性を示さ

ず、陽性対照は溶血性であった。

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108

4.2.1.4 放射線に関する安全性

本品は、放射線に関する部品を含まず、放射線を発する機器でもない。従って、放射線に関する

安全性を検証する試験はないと判断した。

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4.2.1.5 機械的安全性

総括

機械的安全性試験は、BS EN ISO 10555-1「血管カテーテル-滅菌及び使い捨てカテーテル-第 1

部:一般要求事項」に沿い、本品と同等の製品に対し、液体漏れ試験、気体漏れ試験、および接

合部強度試験を実施した。

結論:

全ての検体が設定された判定基準を満たした。以下にそれぞれの試験の概要を示す。

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110

4.2.1.5.1 液体漏れ試験 (添付資料ホ-1-15)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 試験検体を BS EN ISO 10555-1: 2009, Annex C に従い試験し、液体漏れの要求事項を

満たすことを確認すること。

試験検体

試験検体名 品番 (ロット番号) ルーメン数 数量

プロトタイプ A

(抗菌薬なし・親水性コ

ーティングなし)

XXXXXXXXXX

XXXXXXXX XX XX

検体選択

の妥当性

試験検体は、本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本

申請品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャ

フトの長さの違いであり、これは本試験結果に影響しない。また、抗菌薬および親

水性コーティングをカテーテルシャフトに施さない点も異なるが、本試験には影響

しない。本試験は合否試験である。よって、XX 個の検体全てが判定基準を満たした

場合、二項分布表を用いて、同様の条件下で同様の機器を再度試験した場合、XX %

の信頼度で検体の XX %が判定基準を満たすと言える。よって、検体数は充分であ

ると判断した。

試験方法 試験はBS EN ISO 10555-1: 2009, Annex Cに従って実施した。試験は空気中で行った。

試験前に、検体および包装の外観検査を実施した。各検体について、最も近位側に

あるサイドポート(プロキシマルポート)から若干内側の位置をクランプさせた。

22 ± X ºC の蒸留水を加圧媒体として用いた。X mL のシリンジを使用し、最低 X 秒

間、XXXX kPa の圧力をかけた。検体に水滴(液体漏れ)がないか確認した。

判定基準 試験中、いずれの検体にも液体漏れが起きないこと。

判定基準

の妥当性

判定基準は BS EN ISO 10555-1: 2009, Annex C に基づき設定した。

試験結果

試験検体名 数量 ルーメン番号 合否

プロトタイプ A

(抗菌薬なし・親水性コーティングなし) XX

X 合格

X 合格

X 合格

外観検査において、全ての検体およびその包装に異常は観察されなかった。試験中、

いずれの検体からも液体漏れはなかった。

結論 いずれの検体からも液体漏れは観察されなかった。従って、X %の信頼度をもって

同様の機器 X %が判定基準を満たすと言える。

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111

4.2.1.5.2 気体漏れ試験 (添付資料ホ-1-16)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 試験検体を BS EN ISO 10555-1: 2009, Annex D に従い試験し、気体漏れの要求事項を

満たすことを確認すること。

試験検体

試験検体名 品番 (ロット番号) ルーメン数 数量

プロトタイプ A

(抗菌薬なし・親水性

コーティングなし)

XXXXXXXXXX

XXXXXXXX XX XX

検体選択

の妥当性

試験検体は、本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本

申請品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャ

フトの長さの違いであり、これは本試験結果に影響しない。また、抗菌薬および親

水性コーティングをカテーテルシャフトに施さない点が異なるが、本試験結果に影

響しない。本試験は合否試験である。よって、XX 個の検体全てが判定基準を満たし

た場合、二項分布表を用いて、同様の条件下で同様の機器を再度試験した場合、XX %

の信頼度で検体の XX %が判定基準を満たすと言える。よって、検体数は充分であ

ると判断した。

試験方法

試験前に、試験検体および包装の外観検査を実施した。試験は BS EN ISO 10555-1:

2009, Annex D に従って実施した。試験は空気中で行った。脱気水(22 ± X °C)を吸

引する際の液体として使用した。X mL のシリンジを使用し、検体のルーメンから途

中まで脱気水を引いた。検体をクランプして、ルーメンを閉塞させた。シリンジの

プランジャーを引いて陰圧を生じさせ、XX 秒間保った。最初の XX 秒以降に気体漏

れ(泡)が発生しなかったか、検体およびシリンジを観察した。

判定基準 試験中、いずれの検体にも気体漏れが起きないこと。

判定基準

の妥当性 判定基準は BS EN ISO 10555-1: 2009, Annex D に基づき設定した。

試験結果

試験検体名 数量 ルーメン番号 合否

プロトタイプ A

(抗菌薬なし、親水性コーティングなし) XX

X 合格

X 合格

X 合格

外観検査においては、全ての検体およびその包装に異常は観察されなかった。試験

中、いずれの検体からも気体漏れは観察されなかった。

結論 いずれの検体からも気体漏れは観察されなかった。従って、XX %の信頼度をもって

同様の機器 XX %が判定基準を満たすと言える。

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4.2.1.5.3 接合部強度試験 (添付試験ホ-1-17)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 ISO 10555-1: 1995 (E) に従い、試験検体の接合部(カテーテルシャフト:マニフ

ォールド、エクステンションチューブ:ハブアッセンブリ、エクステンションチュ

ーブ:マニフォールド)の引張強度を測定すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 寸法 数量

プロトタイプ A

(抗菌薬なし・親水性コーテ

ィングなし)

XXXXXXXXXX

XXXXXXXX

サイズ: 7 Fr

長さ: 20 cm XX

検体選択

妥当性

試験検体は本申請品カテーテルと原材料が同一であるプロトタイプ A である。本申

請品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ A の違いはカテーテルシャフ

トの長さの違いであり、これは本試験結果に影響しない。また、試験検体には抗菌

薬及び親水性コーティングが塗布されていないが、これらの有無が接合部強度に影

響を及ぼすとは考えにくい。XX %の信頼度で同様な機器の XX %以上が判定基準を

満たすことが示された場合、検体数は妥当であると結論される。

試験方法 試験は、ISO 10555-1: 1995 (E), Annex B に基づいて実施した。試験検体及び包装

を実時間劣化前後、および試験前に検査した。引張試験前に各検体を 37 ± 2 °C の水

槽に XX 時間以上含浸し準備した。各検体につき、合計 7 箇所の接合部(カテーテ

ルシャフト:マニフォールド、エクステンションチューブ①:ハブアッセンブリ、

エクステンションチューブ②:ハブアッセンブリ、エクステンションチューブ③:

ハブアッセンブリ、エクステンションチューブ①:マニフォールド、エクステンシ

ョンチューブ②:マニフォールド、エクステンションチューブ③:マニフォールド)

を評価した。不具合が発生するまで各接合部に引張荷重をかけた。テスト制御ソフ

トウェアが荷重対引張を測定し、各接合部の最大荷重、故障時の荷重、最大荷重で

の引張、および不具合時の引張が記録された。

判定基準 各接合部の最大強度は 15 N 以上でなければならない。

判定基準

の妥当性

判定基準は ISO 10555-1: 1995 (E) に記載された、不具合時の最低強度以上とした。

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試験結果

接合部 数量

最大荷重(N) 判定

基準

(N)

許容

下限値*

(N)

否 平均値 標準

偏差 最小値* 最大値

エクステンション

チューブ①:ハブア

ッセンブリ

XX XX XX XX XX ≧15 XX 合

エクステンション

チューブ②:ハブア

ッセンブリ

XX XX XX XX XX ≧15 XX 合

エクステンション

チューブ③:ハブア

ッセンブリ

XX XX XX XX XX ≧15 XX 合

エクステンション

チューブ①:マニフ

ォールド

XX XX XX XX XX ≧15 XX 合

エクステンション

チューブ②:マニフ

ォールド

XX XX XX XX XX ≧15 XX 合

エクステンション

チューブ③:マニフ

ォールド

XX XX XX XX XX ≧15 XX 合

カテーテルシャフ

ト:マニフォールド XX XX XX XX XX ≧15 XX

* 全ての接合部において、統計学的に算出した許容下限値、および最小値はいずれ

も判定基準の 15 N を満たした。

** 正規性検定からは、これらの検体の最大荷重データ値は正規分布していなかっ

た。XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

よって、データ値を除外する理由はなく、全ての検体を含め正規分布を仮定し、

統計的許容下限値を計算した。

試験計画

書からの

逸脱

1. 試験検体は、準備の際にカテーテルシャフトが切断されなかった。

2. 試験検体は、計画書にある記載とは異なった方法・場所で保管された。

3. エクステンションチューブ①:マニフォールド接合部のみ、他の同様な接合部(エ

クステンションチューブ②:マニフォールド、エクステンションチューブ③:マ

ニフォールド)とは異なり、ゲージ長 XX mm、および XXX mm/分の速度で試験

した。当該接合部ではゲージ長 XX mm での試験は不可能であった。

4. 3 年加速試験の記載があるが、これは別試験で実施した。

5. 統計学ソフトウェアに関して、特定のバージョンではなく、最新のバージョンを

使用した。

6. 試験前の検体を隔離した環境の温度及び相対湿度を図式化するとの記載がある

が、図は作成されなかった。

逸脱によ

る影響

1. カテーテルシャフトの切断は不要であるため、試験に影響はない。

2. いずれの保管箇所も管理環境下であるため、試験に影響はない。

3. ISO 10555-1: 1995 (E) に記載の XX mm/分/ゲージ長 (mm)で試験できてい

ることから、試験に影響はない。

4. 試験に影響はない。

5. 最新バージョンにおいても同じ算出法が用いられたため、試験に影響はない。

6. 図のかわりに温度及び相対湿度の範囲が記録された。試験に影響はない。

結論 各試験検体の接合部で得られた最大荷重は、 ISO 10555-1: 1995 (E) 規定の数値

以上であった。そのため本申請品カテーテルは判断基準を満たす。

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4.2.1.6 安定性及び耐久性

総括

本申請品カテーテルの安定性及び耐久性を表すため、気体漏れ試験、液体漏れ試験、接合部強

度試験、および In Vitro 抗菌能試験を実施した。気体漏れ試験及び液体漏れ試験は、加速 3 年劣

化後の検体に対し行った。接合部強度試験は、加速 3 年劣化後の検体、および 3 年実時間劣化

後の検体に対し行った。In Vitro 抗菌能試験については、2 年実時間劣化の検体、および 3 年実

時間劣化後の検体に対し行った。

重力下流速試験及び親水性コーティングについては、安定性試験を実施していない。重力下流

速試験において重要なのはカテーテルシャフトの直径であり、これは経年劣化による影響を受

ける項目ではないことから、試験を実施する必要はないという結論に至った。親水性コーティ

ングにおいて同じコーティング剤が既承認品(販売名「XXXXXXXXXXXXXXXXX(承認番号:

XXXXXXXXXXXXX)」等)に使われていることから、コーティング剤の安定性及び耐久性は

担保されていることから、試験を実施する必要はないという結論に至った。

接合部強度の評価については実時間 3 年劣化後に実施しているが、試験検体は本申請品カテー

テルを代表するプロトタイプ機器を使用しており、これらは本申請品カテーテルと比較して寸

法がより小さいことから、最悪条件であると考える。また、加速 3 年劣化後の検体についても

追加で接合部強度を評価した。

加速劣化条件

加速劣化試験において、加速劣化係数 (AAF) は 以下の式に示す「アレニウス反応速度関数」

に基づいた。

AAF = Q10 [(TAA

– TRT

)/10]

TAA = 加速劣化温度 (°C)

TRT = 環境温度 (°C

Q10 = 反応速度乗数

変数はそれぞれ加速劣化温度 XX°C、環境温度(室温)XX°C、および反応速度乗数 X である。

従って加速劣化係数は XXX となり、加速 3 年劣化を達成するためには検体を XX°C で XX 日間

と XX 時間 XX 分の期間保管しなければならない。実際の試験に使用した検体は全ておよそ XX

日間加速劣化の条件下で保管され、3 年間相当の加速劣化試験を達成した。

In Vitro 抗菌能試験および抗菌薬の安定性

In Vitro 抗菌能試験を、2 年実時間劣化の検体、および 3 年実時間劣化後の検体に対し実施した。

非経年劣化試験から(4.2.4 「機器の性能を裏付ける試験」参照)、親水性コーティングのある

検体と親水性コーティングのない検体は、いずれも同じ増殖阻止円および抗菌薬量の判定基準

を満たすことが示された。よって、2 年実時間および 3 年実時間の試験には、共に親水性コー

ティングのない検体を使用した。実時間劣化試験の結果、本申請品カテーテルは、3 年実時間

保存後も Staphylococcus epidermidis に対し充分な増殖阻止円を示した。

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115

増殖阻止円の評価は、以下の文献で示された試験方法を用いて実施した 47,48。

原材料としての抗菌薬の安定性に関しては、それぞれの原材料供給会社から報告書が提供されて

おり、本申請においてはこれらを参考資料として添付している(ミノサイクリンの供給会社・XXX

およびリファンピシンの供給会社・XXX)。報告書から、いずれの抗菌薬も温度 25 ± 2 ºC および

相対湿度 60 ± 5%の保存条件下(ICH Q1A (R2) – Stability Testing of New Drug Substances and

Products「新薬及び新製品に対する安定性試験」と同等)、36 ヵ月後も設定された基準を満たすこ

とが示された。

結論:

全ての安定性試験の概要を以下に示す。全ての試験は予め設定した判定基準を満たした。試験

の結果から、本申請品カテーテルは 3 年間の保存期間にわたり、想定される使用目的で安定性

及び耐久性を維持することが示された。

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4.2.1.6.1 3 年加速劣化後の液体漏れ試験 (添付資料ハ-1-1)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 加速劣化させた試験検体を BS EN ISO 10555-1: 2009, Annex C に従い試験し、液体漏

れの要求事項を満たすことを確認すること。

試験検体

試験検体名 品番 (ロット番号) ルーメン数 数量

本申請品カテーテル

(抗菌薬なし・親水性コー

ティングなし)

XXXXXXXXXX

XXXXXXXX XX XX

検体選択

の妥当性

試験検体は、抗菌薬及び親水性コーティングをカテーテルシャフトに含まないこと

以外は申請品と同一である。試験検体は、最も代表的なサイズである。また、試験

検体は抗菌薬及び親水性コーティングが塗布されていないが、本試験結果に影響を

与えない。なぜなら、本試験に影響が及ぼされることが想定される箇所に抗菌薬及

び親水性コーティングがないからである。本試験は合否試験である。よって、XX

個の検体全てが判定基準を満たした場合、二項分布表を用いて、同様の条件下で同

様の機器を再度試験した場合、XX %の信頼度で検体の XX %が判定基準を満たすと

言える。よって、検体数は充分であると判断した。

試験方法

試験は BS EN ISO 10555-1: 2009, Annex C に従って実施した。試験は空気中で行っ

た。試験前に、検体および包装の外観検査を実施した。各検体について、最も近位

側にあるサイドポート(プロキシマルポート)から若干内側の位置をクランプさせ

た。22 ± XX ºC の蒸留水を加圧媒体として用いた。XX mL のシリンジを使用し、最

低 XX 秒間、XXXXX kPa の圧力をかけた。検体に水滴(液体漏れ)がないか確認し

た。

判定基準 試験中、いずれの試験検体にも液体漏れが起きないこと。

判定基準

の妥当性 判定基準は BS EN ISO 10555-1: 2009, Annex C に基づき設定した。

試験結果

外観検査において、全ての検体および包装に異常は観察されなかった。試験中、い

ずれの検体からも液体漏れはなかった。

試験検体名 数量 ルーメン番号 合否

本申請品カテーテル

(抗菌薬なし、親水性コーティングなし) XX

XX 合格

XX 合格

XX 合格

試験計画

書からの

逸脱

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

逸脱によ

る影響

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

結論 いずれの試験検体からも液体漏れは観察されなかった。従って、XX %の信頼度をも

って同様の機器 XX %が判定基準を満たすと言える。

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4.2.1.6.2 3 年加速劣化後の気体漏れ試験 (添付資料ハ-1-2)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 加速劣化させた試験検体を BS EN ISO 10555-1: 2009, Annex D に従い試験し、気体漏れ

の要求事項を満たすことを確認すること。

試験検体

試験検体名 品番 (ロット番号) ルーメン数 数量

本申請品カテーテル

(抗菌薬なし、親水性コーテ

ィングなし)

XXXXXXXXXXXX

XXXXXXXX XX XX

検体選択

の妥当性

試験検体は、抗菌薬及び親水性コーティングをカテーテルシャフトに含まないこと以

外は申請品と同一である。抗菌薬及び親水性コーティングの有無は本試験結果に影響

を与えない。なぜなら、本試験に影響が及ぼされることが想定される箇所に抗菌薬及

び親水性コーティングがないからである。本試験は合否試験である。よって、XX 個

の検体全てが判定基準を満たした場合、二項分布表を用いて、同様の条件下で同様の

機器を再度試験した場合、XX %の信頼度で検体の XX %が判定基準を満たすと言え

る。よって、検体数は充分であると判断した。

試験方法 試験前に、検体および包装の外観検査を実施した。試験は BS EN ISO 10555-1: 2009,

Annex D に従って実施した。試験は空気中で行った。脱気水 (22 ± XX °C) を吸引

する際の液体として使用した。XX mL のシリンジを使用し、検体のルーメンから途中

まで脱気水を引いた。検体をクランプして、ルーメンを閉塞させた。シリンジのプラ

ンジャーを引いて陰圧を生じさせ、XX 秒間保った。最初の XX 秒以降に気体漏れ(泡)

が発生しなかったか、検体およびシリンジを観察した。

判定基準 試験中、いずれの検体にも気体漏れが起きないこと。

判定基準

の妥当性

判定基準は BS EN ISO 10555-1: 2009, Annex D に基づき設定した。

試験結果

試験検体名 数量 ルーメン番号 合否

本申請品カテーテル

(抗菌薬なし、親水性コーティングなし) XX

XX 合格

XX 合格

XX 合格

外観検査において、XX の検体はカテーテルシャフトのマニフォールド付近に僅かな

窪みが観察されたが、これらは本試験においてクランプする位置であるため、試験結

果に影響はなかった。試験中、いずれの検体からも気体漏れはなかった。

結論 いずれの試験検体からも気体漏れは観察されなかった。従って、判定基準は満たされ

た。

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4.2.1.6.3 3 年加速劣化後の接合部強度試験 ① (添付資料ハ-1-3)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 3 年加速劣化させた試験検体のハブアッセンブリ:エクステンションチューブ接合部

の引張強度を測定すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) ハブ番号・色 数量

本申請品カテーテル

(抗菌薬なし、親水性コ

ーティングなし)

XXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXX

1 – 赤 XX

2 – 青 XX

3 – 白 XX

検体選択

妥当性

試験検体は、抗菌薬及び親水性コーティングをカテーテルシャフトに含まないこと以

外は申請品と同一である。試験検体は最も代表的なサイズである。抗菌薬及び親水性

コーティングの有無は、本試験結果に影響を与えない。なぜなら、本試験に影響が及

ぼされることが想定される箇所に抗菌薬及び親水性コーティングがないからである。

検体数は、XX %の信頼度で母集団の XX %の最大荷重が XX N 以上である事を推測す

るためには十分であると判断した。

試験方法 試験検体を加速劣化させ、試験は BS EN ISO 10555-3: 1997 に基づいて実施した。本検

体と包装は、試験前に目視検査された。各検体のエクステンションチューブは中間点

で切断された。各検体を 37 ± 2 °C の水槽に XX 時間以上含浸した。検体は、電気機

械試験装置に固定された。初回のゲージ長を XX mm に、クロスヘッド速度を XX mm/

分に設定した。不具合が発生するまで又は最大荷重が XX %に降下するまで接合部に

引張荷重をかけた。不具合発生前の最大荷重、および最大荷重での引張を試験ソフト

ウェアが測定した。不具合モードと発生箇所は試験者が記録した。接合部の平均値、

標準偏差、ピーク時の最大・最小荷重、ピーク時の引張、そして検体の外径を記録し

た。

判定基準 母集団 XX %の最大荷重が、XX % の信頼度で 15 N 以上でなければならない。

判定基準

の妥当性

判定基準は BS EN ISO 10555-3: 1997 に基づき設定した。

試験結果

試験検体名

ハブ

号・

最大荷重(N) 判定

基準

(N)

下限許

容値

(N)/

合否

平均値 標準

偏差 最小値 最大値

本申請品カ

テーテル

(抗菌薬な

し、親水性

コーティン

グなし)

1 –

赤 X XX XX XX XX

≧15

XX

2 –

青 X XX XX XX XX XX

3 –

白 X XX XX XX XX XX

* XX %の信頼度、母集団の XX %、片側分析

試験検体と包装の目視検査において、赤ハブアッセンブリにキャップがなかったこと

がわかったが、試験結果に影響しないと判断した。赤ハブアッセンブリと白ハブアッ

センブリの最大荷重データは正規分布していたので検体数 XX 個は母集団の統計的モ

デリングに十分であると確認した。青ハブアッセンブリ検体のデータモデルには 2 項

分布表を使用し、検体数 XX 個は母集団を統計的にモデルするのに十分であると判明

した。

結論 各検体の接合部で得られた最大荷重は 15 N 以上であった。従って、全ての試験検体

が判定基準を満たした。

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4.2.1.6.4 3 年加速劣化後の接合部強度試験 ② (添付資料ハ-1-4)

(XXXXXXXXXX)

試験

目的

3 年加速劣化させた検体のエクステンションチューブ:マニフォールド接合部の引張強度

を測定すること。

試験

検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 接合部 数量

本申請品カテーテル

(抗菌薬なし、親水性コ

ーティングなし)

XXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXX

プロキシマルポート XX

ミッドポート XX

ディスタルポート XX

検体

選択

の妥

当性

試験検体は、抗菌薬及び親水性コーティングをカテーテルシャフトに含まないこと以外は

申請品と同一である。試験検体は、最も代表的なサイズである。抗菌薬及び親水性コーテ

ィングの有無は本試験結果に影響しない。なぜなら、本試験に影響が及ぼされることが想

定される箇所に抗菌薬及び親水性コーティングがないからである。検体数は、XX % の信

頼度で母集団の XX %が判定基準を満たすことを示すためには充分と判断した。

試験

方法

試験検体を加速劣化させ、試験を BS EN ISO 10555-1: 2009 に基づいて実施した。本検体

を、試験前に目視検査した。カテーテルシャフトを、マニフォールドの遠位端から XX mm

で切断した。各検体を 37 ± 2 °C の水槽に XX 時間以上含浸し、電気機械試験装置に設置

した。プロキシマルポート検体は初回のゲージ長を XX mm に、クロスヘッド速度を XX

mm/分に設定した。ミッドポートとディスタルポートは初回のゲージ長を XX mm に、ク

ロスヘッド速度を XX mm/分に設定した。接合部に不具合が発生するまで、又は最大荷重

が XX %に降下するまで引張荷重をかけた。不具合発生前の最大荷重、および最大荷重で

の引張を試験ソフトウェアで測定した。不具合モードおよび発生箇所は試験者が記録し

た。接合部の平均値、標準偏差、ピーク時の最大値・最小値、ピーク時の引張、そして検

体の外径を記録した。

判定

基準

母集団 XX %の最大荷重が、XX % の信頼度で 15 N 以上でなければならない。

判定

基準

の妥

当性

判定基準は BS EN ISO 10555-1: 2009 に基づき設定した。

試験

結果

試験検体名 接合部 数量

最大荷重(N) 判

下限

許容

値*

(N)

平均値 標準

偏差

最小

最大

本申請品カ

テーテル(抗

菌薬なし、親

水性コーテ

ィングなし)

プロキシ

マルポー

X XX XX XX XX

15

N

XX

ミッド

ポート X XX XX XX XX XX

ディスタ

ルポート X XX XX XX XX XX

* XX % の信頼度、母集団の XX%、片側分析

** 1 検体はグリップから外れてしまったため、データ算出から除外した。

目視検査で異常はなかった。プロキシマルポートで 1 検体が遠位グリップから外れてしま

ったため、試験結果より除外した。各接合部の最大荷重データは正規分布していた。

結論 各接合部における最大荷重の下限許容値が 15 N 以上であった。従って、本申請品カテー

テルは判断基準を満たした。

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4.2.1.6.5 3 年加速劣化後の接合部強度試験③ (添付資料ハ-1-5)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 3 年加速劣化させた検体のマニフォールド:カテーテルシャフト接合部の引張強度を

測定すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 数量

本申請品カテーテル

(抗菌薬なし、親水性コーティングなし)

XXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXX XX

検体選択

妥当性

試験検体は、抗菌薬及び親水性コーティングをカテーテルシャフトに含まないこと以

外は申請品と同一である。試験検体は最も代表的なサイズである。抗菌薬及び親水性

コーティングの有無は本試験結果に影響を与えない。なぜなら、本試験に影響が及ぼ

されることが想定される箇所に抗菌薬及び親水性コーティングがないからである。検

体数は、XX %の信頼度で母集団の XX %の最大荷重が≧15 N であることを推測する

ためには十分であると判断した。

試験方法 検体を 3 年加速劣化させ、試験は BS EN ISO 10555-1: 2009、Annex B に基づいて実施

した。試験前に本検体は、目視検査された。各検体を 37 ± 2 °C の水槽に XX 時間以上

含浸した。検体を引張制御する電気機械試験装置に固定された。初回のゲージ張を

XX mm に、クロスヘッド速度を XX mm/分に設定した。不具合が発生するまで、又は

最大荷重が XX %に降下するまで接合部に引張荷重をかけた。テストソフトウェアが

不具合発生前の最大荷重と最大荷重での引張を測定した。試験者が不具合のタイプと

発生箇所を記録した。接合部の平均値、標準偏差値、ピーク時の最大値・最小値、及

び引張、検体の外径が記録された。

判定基準 母集団 XX %の最大荷重が、XX %の信頼度で 15 N 以上でなければならない。

判定基準

の妥当性

判定基準は BS EN ISO 10555-1: 2009 に基づき設定した。

試験結果

試験検体名 数量

最大荷重 (N) 判定

基準

(N)

下限許

容値*

(N) 平均値

標準

偏差 最小値 最大値

本申請品カテ

ーテル(抗菌薬

なし、親水性コ

ーティングな

し)

XX XX XX XX XX ≧ 15 XX

* XX %の信頼度、母集団の XX %、片側分析

目視検査で検体に異常はみつからなかった。

結論 最大荷重の下限許容値は 15 N 以上であった。従って、本申請品カテーテルは判断基

準を満たした。

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121

4.2.1.6.6 3 年実時間劣化後の接合部強度試験 (添付資料ハ-1-6)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 ISO 10555-1: 1995 (E) に従い、3 年実時間で劣化させた検体の接合部(カテーテル

シャフト:マニフォールド、エクステンションチューブ:ハブアッセンブリ、エクス

テンションチューブ:マニフォールド)の引張強度を測定すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 寸法 数量

プロトタイプ B XXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXX

サイズ: 7 Fr

長さ: 25 cm XX

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルと原材料は同一であるプロトタイプ B である。本申請

品カテーテルの最も代表的なサイズとプロトタイプ B の違いは XXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX これらの違いは本試験結果に影響しな

い。試験検体の構成部品が本申請品カテーテルの構成部品より寸法が小さいため、最

悪条件となる。XX %の信頼度で同様な機器の XX %以上が判定基準を満たすことが示

された場合、検体数は妥当であると結論される。

試験方法 試験は、ISO 10555-1: 1995 (E), Annex B に基づいて実施した。試験前に、検体を実

時間で 3 年劣化させた。本検体及び包装を実時間劣化前後、および試験前に検査した。

引張試験前に各検体を 37 ± 2 °C の水槽に XX 時間以上含浸し準備した。含浸後、検

体の各位置の外径を測定した。各検体につき、合計 7 箇所の接合部(カテーテルシャ

フト:マニフォールド、エクステンションチューブ①:ハブアッセンブリ、エクステ

ンションチューブ②:ハブアッセンブリ、エクステンションチューブ③:ハブアッセ

ンブリ、エクステンションチューブ①:マニフォールド、エクステンションチューブ

②:マニフォールド、エクステンションチューブ③:マニフォールド)を評価した。

コンピューター制御の電気機械試験装置を使用し、不具合が発生するまで接合部に単

軸方向の引張荷重をかけた。テスト制御ソフトウェアが荷重対引張を測定し、各接合

部の最大荷重、故障時の荷重、最大荷重での引張、および不具合時の引張が記録され

た。

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判定基準 各接合部の最大強度は 15 N (XX lbf) 以上でなければならない。

判定基準

の妥当性

判定基準は ISO 10555-1: 1995 (E) に基づき設定され、不具合時の最低強度以上とし

た。

試験結果

接合部 数

最大荷重 (N)

判定

基準

許容

下限

値*

(N)

否 平均値 標準

偏差 最小値 最大値

エクステンシ

ョンチューブ

①:ハブアッセ

ンブリ

XX

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

≧15

N

(XX

lbf)

XXX 合

エクステンシ

ョンチューブ

②:ハブアッセ

ンブリ

XX

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

≧15

N

(XX

lbf)

XXX 合

エクステンシ

ョンチューブ

③:ハブアッセ

ンブリ

XX

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

≧15

N

(XX

lbf)

XXX 合

エクステンシ

ョンチューブ

①:マニフォー

ルド**

XX

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

≧15

N

(XX

lbf)

XXX 合

エクステンシ

ョンチューブ

②:マニフォー

ルド

XX

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

≧15

N

(XX

lbf)

XXX 合

エクステンシ

ョンチューブ

③:マニフォー

ルド

XX

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

≧15

N

(XX

lbf)

XXX 合

カテーテルシ

ャフト:マニフ

ォールド XX

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

XXX

XXX

lbf)

≧15

N

(XX

lbf)

XXX 合

* XX %の信頼度、母集団の XX %、片側検定。

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123

** 同様の検体で観察された剥離を最小限にするため、XX の検体に XXX インチの

XXXXX をマニフォールドの後に差込んだが、効果的でなかったためその他の検体

には使用しなかった。

*** 遠位側グリップから外れた XX の接合部は統計解析から除外した。

**** XX の接合部は遠位側グリップで不具合が生じ、試験中に XXXXX が発生したた

め統計解析から除外した。

エクステンションチューブ:ハブアセンブリの接合部に関しては、全ての不具合はチ

ューブがハブから離断するものだった。エクステンションチューブ①:ハブアセンブ

リの検体 XX において、ゴム製面版の遠位側グリップを使用したが、その他の検体に

は刻み付きの面版を使用した。エクステンションチューブ:マニフォールドの接合部

に関しては、不具合はチューブのマニフォールドからの離断、マニフォールド内での

チューブの離断、またはその両方によるものであった。エクステンションチューブ

②:マニフォールドの検体 XX においては、遠位グリップから検体が外れたため統計

解析から除外した。カテーテルシャフト:マニフォールドの接合部に関しては、統計

解析に含めた検体は全て、不具合はマニフォールドからシャフトが外れたことによる

ものであった(XX は観察されなかった)。例外として XX の検体で遠位グリップに

不具合が生じたが、試験中に XXXXX が観察され、他の検体と異なるため統計解析か

ら除外した。また、これら XX の検体は他の検体とは異なり、カテーテルシャフトの

みが試験装置におけるディスクの穴に挿入されており、マニフォールドは一切穴に挿

入されていなかった。

結論 各検体の接合部で得られた最大荷重は、 ISO 10555-1: 1995 (E) 規定の数値以上で

あった。従って、本申請品カテーテルは判断基準を満たす。

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4.2.1.6.7 X年実時間劣化後の In Vitro抗菌能試験 (添付資料ハ-1-7)

(XXXXXXXXXXXX)

試験目的 X 年実時間劣化させた検体を用いて、抗菌能の評価として S. epidermidis に対する 31

日までの増殖阻止円試験、および HPLC を実施すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 数量

プロトタイプ B

(親水性コーティングなし)

XXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXX XX

検体選択

の妥当性

試験検体のカテーテルシャフトは、抗菌薬の含浸も含めて、本申請品カテーテルと原

材料が同一であるプロトタイプ B である。本申請品カテーテルの最も代表的なサイズ

とプロトタイプ B の違いは、XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

これらの違いは本試験結果に影響しない。試験検体には親水性コーティングがない

が、非経年劣化試験(4.2.4 「機器の性能を裏付ける試験」参照)の試験結果から、

親水性コーティングの有無は影響を及ぼさないことが示されている。また、カテーテ

ルチップの形状、およびサイドポートの有無も本試験の結果に影響することはないと

考えられる。検体数については、本試験は XXXXXX であり、統計的に算出した許容

値が増殖阻止円試験および HPLC 評価両方において判定基準を満たし、XX %の信頼

度で母集団の XX %が包含されたため、妥当性の説明は不要である。

試験方法 増殖阻止円試験に関しては、各検体からカテーテルシャフトの X cm 切片を用意し、

XXXXXX ガラス瓶に入れ、XX °C の培養機に XX RPM で振とうさせた。適切な時間

で(1 日目、3 日目、7 日目、14 日目、21 日目、28 日目、31 日目)、ガラス瓶を取り

出して増殖阻止円を評価した。ただし、ベースラインの 0 日に関しては、検体の劣化

直後に増殖阻止円を評価した(生理食塩水入りのガラス瓶には加えない)。増殖阻止

円試験は、ディスク法(Kirby-Bauer disc diffusion method)により実施した 47,48。カテ

ーテルシャフトの X cm 切片を、S. epidermidis を接種させた寒天培地上に突き立てた。

プレートを XX °C で最低 XX 時間培養し、ミリメートル単位で増殖阻止円の直径を測

定した。

HPLC 評価に関しては、同じカテーテルシャフト検体上の異なる切片を用いて試験し

た。抗生剤含有医療機器におけるミノサイクリンおよびリファンピシンの薬剤量測定

に関する社内規格を使用した。

判定基準 S. epidermidis に対する増殖阻止円直径は、XX %の信頼度で母集団の XX%が直径 10

mm 以上であること。HPLC に関しては、各検体についてミノサイクリンの薬剤量が

XXX µg/cm 未満、リファンピシンの薬剤量が XXX µg/cm 未満であること。

判定基準

の妥当性

増殖阻止円直径の判定基準については、文献および広範囲に及ぶ臨床使用実績から、

in vivo における効果を示す値として 10 mm 以上が適切であることが示されている47,48。チャレンジ病原体として使用した S. epidermidis は皮膚表面に生息することが多

く、カテーテル感染症との関連性が高い 49。また、本申請品カテーテルの使用期間は

XX 日以内とされる。

HPLC の判定基準に関しては、機器におけるミノサイクリンおよびリファンピシンの

薬剤量は、1 日の最大推奨治療用量の 1/XX 以下でなければならない。1 日の最大治療

用量は、世界中で使用される医薬品や薬物を網羅した完全医薬品集である XXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX においてミノサイクリンが XX mg、リファンピシ

ンが XX mg とされる。本申請品カテーテルにおけるカテーテルシャフトの最大長(誤

差を含め)XX cm を想定し、可能性としてはありえないが、最悪条件として一度に全

ての抗菌薬量がカテーテルから溶出したと仮定すると、各検体についてミノサイクリ

ンの薬剤量は XX µg/cm 未満、リファンピシンの薬剤量は XX µg/cm 未満でなければ

ならない。

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試験結果 増殖阻止円試験

試験検体名 時点

(日数)

平均増殖阻止円

(mm)

判定基準

(mm)

統計的許容

下限値* (mm)

プロトタイプ B

(親水性コーティ

ングなし)

0 XXX

> 10

XXX

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

28 XXX XXX

31 XXX XXX

* XX %の信頼度、母集団の XX %

HPLC の評価

試験検体名 抗菌薬 平均薬剤量

(µg/cm)

判定基準

(µg/cm)

統計的許容

上限値**

(µg/cm)

プロトタイプ B

(親水性コーテ

ィングなし)

ミノサイクリン XXX < XXX XXX

リファンピシン XXX < XXX XXX

* 全ての検体が判定基準を下回る値であった。

** XX %の信頼度、母集団の XX %

結論 XX 年実時間劣化させた検体は、in vitro において充分な抗菌能を示した。S. epidermidis

に対する増殖阻止円直径は 31 日目まで判定基準を満たすと同時に、抗菌薬量が要求

される範囲内の値であった。XXXXXXXXXXXXXX の XX mg とは異なり、本邦にお

けるリファンピシンの最大治療用量(1 日)は 450 mg であるが、全ての検体がこの値

をも満たす(XX µg/cm 未満)。

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4.2.1.6.8 3年実時間劣化後の In Vitro抗菌能試験 (添付資料ハ-1-8)

(XXXXXXXXXXXXXX)

試験目的 3 年実時間劣化させた検体を用いて、抗菌能の評価として S. epidermidis に対する 31

日までの増殖阻止円試験、および HPLC を実施すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 数量

プロトタイプ B

(親水性コーティングなし)

XXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXX XX

検体選択

の妥当性

試験検体のカテーテルシャフトは、抗菌薬の含浸も含めて、本申請品カテーテルと原

材料が同一であるプロトタイプ B である。本申請品カテーテルの最も代表的なサイズ

とプロトタイプ B の違いは、XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

これらの違いは本試験結果に影響しない。試験検体には親水性コーティングがない

が、非経年劣化試験(4.2.4 「機器の性能を裏付ける試験」参照)の試験結果から、

親水性コーティングの有無は影響を及ぼさないことが示されている。また、カテーテ

ルチップの形状、およびサイドポートの有無も本試験の結果に影響することはないと

考えられる。検体数については、本試験は XXXXX であり、統計的に算出した許容値

が増殖阻止円試験および HPLC 評価両方において判定基準を満たし、XX %の信頼度

で母集団の XX %が包含されたため、妥当性の説明は不要である。

試験方法 増殖阻止円試験に関しては、各検体からカテーテルシャフトの 1 cm 切片を用意し、

生理食塩水入りのガラス瓶に入れ、XX °C の培養機に XXX RPM で振とうさせた。適

切な時間で(1 日目、3 日目、7 日目、14 日目、21 日目、28 日目、31 日目)、ガラス

瓶を取り出して増殖阻止円を評価した。ただし、ベースラインの 0 日に関しては、検

体の劣化直後に増殖阻止円を評価した(生理食塩水入りのガラス瓶には加えない)。

増殖阻止円試験は、ディスク法(Kirby-Bauer disc diffusion method)により実施した 47,48。

カテーテルシャフトの X cm 切片を、S. epidermidis を接種させた寒天培地上に突き立

てた。プレートを XX °C で最低 XX 時間培養し、ミリメートル単位で増殖阻止円の直

径を測定した。

HPLC 評価に関しては、同じカテーテルシャフト検体上の異なる切片を用いて試験し

た。抗生剤含有医療機器におけるミノサイクリンおよびリファンピシンの薬剤量測定

に関する社内規格を使用した。

判定基準 S. epidermidis に対する増殖阻止円直径は、XX %の信頼度で母集団の XX %が直径 10

mm 以上であること。HPLC に関しては、各検体についてミノサイクリンの薬剤量が

XXX µg/cm 未満、リファンピシンの薬剤量が XXX µg/cm 未満であること。

判定基準

の妥当性

増殖阻止円直径の判定基準については、文献および広範囲に及ぶ臨床使用実績から、

in vivo における効果を示す値として 10 mm 以上が適切であることが示されている47,48。チャレンジ病原体として使用した S. epidermidis は皮膚表面に生息することが多

く、カテーテル感染症との関連性が高い 49。また、本申請品カテーテルの使用期間は

30 日以内とされる。

HPLC の判定基準に関しては、機器におけるミノサイクリンおよびリファンピシンの

薬剤量は、1 日の最大推奨治療用量の 1/XX 以下でなければならない。1 日の最大治療

用量は、世界中で使用される医薬品や薬物を網羅した完全医薬品集である XXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX においてミノサイクリンが XX mg、リファンピシ

ンが XX mg とされる。本申請品カテーテルにおけるカテーテルシャフトの最大長(誤

差を含め)XXX cm を想定し、可能性としてはありえないが、最悪条件として一度に

全ての抗菌薬量がカテーテルから溶出したと仮定すると、各検体についてミノサイク

リンの薬剤量は XXX µg/cm 未満、リファンピシンの薬剤量は XXX µg/cm 未満でなけ

ればならない。

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試験結果 増殖阻止円試験

試験検体名 時点

(日数)

平均増殖阻止円

(mm)

判定基準

(mm)

統計的許容

下限値* (mm)

プロトタイプ B

(親水性コーテ

ィングなし)

0 XXX

> 10

XXX

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

28 XXX XXX

31 XXX XXX

* XX%の信頼度、母集団の XX %

HPLC の評価

試験検体名 抗菌薬 平均薬量

(µg/cm)

判定基準

(µg/cm)

統計的許容

上限値**

(µg/cm)

プロトタイプ B

(親水性コーテ

ィングなし)

ミノサイクリン XXX < XXX XXX

リファンピシン XXX < XXX XXX

* 全ての検体が判定基準を下回る値であった。

** XX %の信頼度、母集団の XX %

結論 3 年実時間劣化させた検体は、in vitro において充分な抗菌能を示した。S. epidermidis

に対する増殖阻止円直径は 31 日目まで判定基準を満たすと同時に、抗菌薬量が要求

される範囲内の値であった。XXXXXXXXXXXXXXX の XX mg とは異なり、本邦に

おけるリファンピシンの最大治療用量(1 日)は 450 mg であるが、全ての検体がこの

値をも満たす(XXX µg/cm 未満)。

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4.2.2 機器の性能を裏付ける試験

総括

本品の性能を評価するために、In Vitro 抗菌能試験を 7 つ実施した。In Vitro 抗菌能①試験

XXXXXXXXXX では Staphylococcus epidermidis に対する 31 日までの増殖阻止円、および、使用

前(0 日目)の抗菌薬の量を評価した。In Vitro 抗菌能②試験 XXXXXXXXXX では CRBSI の原因

となる様々な微生物に対する使用前(0 日目)の増殖阻止円を評価した。残りの試験(In Vitro 抗

菌能③~In Vitro 抗菌能⑦)については、CRBSI の原因となる様々な微生物に対する 31 日までの

増殖阻止円を評価したが、これまで試験されていなかった微生物(Klebsiella pneumonia、MRSA、

及び Candida)についても評価した。

増殖阻止円の評価は、以下の文献で示された試験方法で実施した 47,48。また、In Vitro 抗菌能①試

験 XXXXXXXXXX の検体として、親水性コーティングを含むカテーテル、および親水性コーテ

ィングを含まないカテーテル両方を使用した。さらに、In Vitro 抗菌能⑤~In Vitro 抗菌能⑦では

検体に類似機器 B を用いたが、本品と類似機器 B の違いは試験結果に影響を及ぼさない。

本品の性能を評価するために実施した抗菌能試験全て(In Vitro 抗菌能①~In Vitro 抗菌能⑦)の

結果を、以下の表にまとめた。

表:本邦で発生頻度の高い CRBSI 起因菌に対する本申請品の ZOI(mm、統計学的許容下限値)

微生物 溶出期間 (日)

分類 属 種 ATCC

番号 0 1 3 7 14 21 31

グラ

陽性

Staphylococcus Staphylococcus

epidermidis XXX XX XX XX XX XX XX XX

Enterococcus Enterococcus

faecalis XXX XX XX XX XX XX XX XX

Staphylococcus Staphylococcus

aureus XXX XX XX XX XX XX XX XX

Staphylococcus Methicillin-resista

nt S. aureus

(MRSA)

XXX XX XX XX XX XX XX XX

Exiguobacteriu

m

Exiguobacterium

mexicanum XXX XX XX XX XX XX XX XX

グラ

陰性

Klebsiella Klebsiella

pneumonia XXX XX XX XX XX XX XX XX

Enterobacter Enterobacter

aerogenes XXX XX XX XX XX XX XX XX

Acinetobacter Acinetobacter sp. XXX XX XX XX XX XX XX XX

Stenotrophomon

as

Stenotrophomona

s maltophilia XXX XX XX XX XX XX XX XX

Escherichia Escherichia coli XXX XX XX XX XX XX XX XX

真菌 Candida Candida XXX XX XX XX XX XX XX XX

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XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

* より古い試験であるため下限値の計算が該当する検体数ではない。従って、平均値を記載した。

結論:

検体は設定された判定基準を満たした。以下に試験の概要を示す。

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4.2.2.1 In Vitro 抗菌能試験①- S. epidermidis に対する~31 日目 (添付資料ホ-1-18)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 性能の評価として S. epidermidis (ATCC: XXX)に対する 31 日までの増殖阻止円試験お

よび HPLC を実施すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 数量

プロトタイプ B

(親水性コーティングなし)

XXXXXXXXXX

XXXXXXXX XX

プロトタイプ B

(親水性コーティングあり)

XXXXXXXXXX

XXXXXXXX XX

検体選択

の妥当性

試験検体のカテーテルシャフトは抗菌薬の含浸も含めて、本申請品カテーテルと原材

料が同一であるプロトタイプ B である。本申請品カテーテルの最も代表的なサイズと

プロトタイプ B の違いは、XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

これらの違いは本試験結果に影響しない。また、試験には親水性コーティングのある

検体と、親水性コーティングがない検体がない両方を含めた。本申請には本品に関す

る臨床使用を臨床評価報告書においてまとめているが、親水性コーティングがない世

代の製品を用いた臨床試験も存在する。本試験はカテーテル表面に親水性コーティン

グを追加することが、性能に影響を与えない(親水性コーティングがある機器とない

機器が、同じ判定基準を満たす)ことを確認するためである。また、カテーテルチッ

プの形状、およびサイドポートの有無も本試験の結果に影響することはないと考えら

れる。検体数については、本試験は XXXXXXX であり、統計的に算出した許容値が

増殖阻止円試験および HPLC 評価両方において判定基準を満たし、XX %の信頼度で

母集団の XX %が包含されたため、妥当性の説明は不要である。

試験方法 増殖阻止円試験に関しては、各検体からカテーテルシャフトの XX cm 切片を用意し、

生理食塩水入りのガラス瓶に入れ、XX °C の培養機に XX RPM で振とうさせた。適切

な時間で(1 日目、3 日目、7 日目、14 日目、21 日目、31 日目)、ガラス瓶を取り出

して増殖阻止円を評価した。ただし、ベースラインの 0 日に関しては直後に増殖阻止

円を評価した(生理食塩水入りのガラス瓶には加えない)。増殖阻止円試験は、ディ

スク法(Kirby-Bauer disc diffusion method)により実施した 47,48。カテーテルシャフト

の XX cm 切片を、S. epidermidis を接種させた寒天培地上に突き立てた。プレートを

XX °C で最低 XX 時間培養し、ミリメートル単位で増殖阻止円の直径を測定した。

HPLC 評価に関しては、同じカテーテルシャフト検体上の異なる切片を用いて試験し

た。抗生剤含有医療機器におけるミノサイクリンおよびリファンピシンの薬剤量測定

に関する社内規格を使用した。

判定基準 S. epidermidis に対する増殖阻止円直径は、XX %の信頼度で母集団の XX %が直径 10

mm 以上であること。HPLC に関しては、各検体についてミノサイクリンの薬剤量が

XXX µg/cm 未満、リファンピシンの薬剤量が XXX µg/cm 未満であること。

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判定基準

の妥当性

増殖阻止円直径の判定基準については、文献および広範囲に及ぶ臨床使用実績から、

in vivo における効果を示す値として 10 mm 以上が適切であることが示されている47,48。チャレンジ病原体として使用した S. epidermidis は皮膚表面に生息することが多

く、カテーテル感染症との関連性が高い 49。また、本申請品カテーテルの使用期間は

30 日以内とされる。

HPLC の判定基準に関しては、機器におけるミノサイクリンおよびリファンピシンの

薬剤量は、1 日の最大推奨治療用量の 1/XX 以下でなければならない。1 日の最大治療

用量は、世界中で使用される医薬品や薬物を網羅した完全医薬品集である XXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX においてミノサイクリンが XXX mg、リファ

ンピシンが XXX mg とされる。本申請品カテーテルにおけるカテーテルシャフトの最

大長(誤差を含め)XXX cm を想定し、可能性としてはありえないが、最悪条件とし

て一度に全ての抗菌薬量がカテーテルから溶出したと仮定すると、各検体についてミ

ノサイクリンの薬剤量は XXX µg/cm 未満、リファンピシンの薬剤量は XXX µg/cm 未

満でなければならない。

試験結果

S. epidermidis (ATCC: XXX)に対する増殖阻止円

試験検体名 時点

(日数)

平均増殖阻止円

(mm)

判定基準

(mm)

統計的許容

下限値* (mm)

プロトタイプB

(親水性コー

ティングなし)

0 XXX

> 10

XXX

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

プロトタイプB

0 XXX

> 10

XXX

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

* XX %の信頼度、母集団の XX %

** これらについては、それぞれ全て同じ値であったため、標準偏差が 0 となり、結

果的に許容下限値は平均値と同じとなった。

HPLC の評価

試験検体名 抗菌薬 平均薬剤量

(µg/cm)

判定基準

(µg/cm)

統計的許容

上限値**

(µg/cm)

プロトタイプ B

(親水性コーテ

ィングなし)

ミノサイクリン XXX < XXX XXX

リファンピシン XXX < XXX XXX

プロトタイプ B ミノサイクリン XXX < XXX XXX

リファンピシン XXX < XXX XXX

* 全ての検体が判定基準を下回る値であった。** XX %の信頼度、母集団の XX %

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132

結論 試験検体は、in vitro において充分な抗菌能を示した。S. epidermidis に対する増殖阻止

円直径は 31 日目まで判定基準を満たすと同時に、抗菌薬量が要求される範囲内の値

であった。XXXXXX の XXX mg とは異なり、本邦におけるリファンピシンの最大治

療用量(1 日)は 450 mg であるが、全ての検体がこの値を満たす(XXX µg/cm 未満)。

また、本試験結果から、親水性コーティングのある試験検体と親水性コーティングの

ない検体試験は、共に同じ判定基準を満たすという点で同じであることが示された。

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133

4.2.2.2 In Vitro抗菌能試験②-様々な微生物に対する 0日目 (添付資料ホ-1-19) (XXXXXXXXXX)

試験目的 様々な微生物に対する増殖阻止円の直径を評価することにより、試験検体の性能を評

価すること。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 数量

プロトタイプ B XXXXXXXXXX

XXXXXXXX XX

検体選択

の妥当性

試験検体のカテーテルシャフトは抗菌薬の含浸も含めて、本申請品カテーテルと原材

料が同一であるプロトタイプ B である。本申請品カテーテルの最も代表的なサイズと

プロトタイプ B の違いは、XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

これらの違いは本試験結果に影響しない。また、カテーテルチップの形状、およびサ

イドポートの有無も本試験の結果に影響することはないと考えられる。検体数につい

ては、本試験は XXXXX であり、従来の増殖阻止円試験と同等の検体数であるので、

統計的な算出は不要である。

試験方法 増殖阻止円試験は、改良ディスク法(Kirby-Bauer disc diffusion method)により実施し

た 47,48。カテーテルシャフトの XX cm 切片を、Staphylococcus aureus、Escherichia coli、

Enterococcus faecalis、Stenotrophomonas maltophilia、Acinetobacter、Exigubacterium、及

び Enterobacter aerogenes を接種させた寒天培地上に突き立てた。プレートを XX˚C で

最低 XX 時間培養し、ミリメートル単位で増殖阻止円の直径を測定した。

判定基準 Staphylococcus aureus、Escherichia coli、Enterococcus faecalis、Stenotrophomonas

maltophilia、Acinetobacter、Exigubacterium、及び Enterobacter aerogenes に対する増殖

阻止円直径は、直径 XX mm 以上であること。

判定基準

の妥当性

増殖阻止円直径の判定基準については、文献および広範囲に及ぶ臨床使用実績から、

in vivo における効果を示す値として 10 mm 以上が適切であることが示されている47,48。本試験ではより厳格にするため、増殖阻止円直径の判定基準を XX mm 以上に設

定した。

試験結果 様々な微生物に対する増殖阻止円

試験検体名 微生物 平均増殖阻止円

(mm)

判定基準

(mm) 結果

プロトタイ

プ B

Staphylococcus aureus

(ATCC: XXX) XXX

≥ XX

適合

Acinetobacter species

(ATCC: XXX) XXX 適合

Stenotrophomonas

maltophilia (ATCC: XXX)

XXX 適合

Enterobacter aerogenes

(ATCC: XXX) XXX 適合

Escherichia coli

(ATCC: XXX) XXX 適合

Enterococcus faecalis

(ATCC: XXX) XXX 適合

Exigubacterium species

(ATCC: XXX) XXX 適合

結論 試験検体は、in vitro において充分な抗菌能を示した。Staphylococcus aureus、Escherichia

coli、Enterococcus faecalis、Stenotrophomonas maltophilia、Acinetobacter、Exigubacterium、

及びEnterobacter aerogenesに対する試験検体のカテーテルの増殖阻止円の直径は判定

基準を満たした。

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4.2.2.3 In vitro 抗菌能試験③- Klebsiella pneumonia に対する 0 日目 (添付資料ホ-1-20)

(XXXXXXXXXXX)

試験目的 抗菌能の評価として Klebsiella pneumonia(ATCC: XXX)に対する試験検体の 0 日目

の発育阻止円半径(ZOI)を評価すること(溶出は行わない)

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 数量

本申請品カテーテル XXXXXXXXXX

XXXXXXXX XX

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルである。検体数については、真の平均値の±1 標準偏

差内で検体の平均値を求める上で、必要最小限の検体数は XX であるため、本試験で

は検体数 XX で試験を実施した。

試験方法 試験は、外部試験施設で増殖阻止円試験のプロトコールに従い実施された 47,48。本品

カテーテルシャフトの XX cm 目盛りから XX cm 目盛りまで、各 XX cm の切片を試験

検体として用意した。カテーテルシャフトの XX cm 切片を、Klebsiella pneumonia を

接種させた寒天培地上に突き立てた。プレートを培養し、ミリメートル単位で増殖阻

止円の直径を測定した。

判定基準 ZOI の統計学的許容下限値(XX %の信頼度で母集団の XX %を占める)が 10 mm 以

上であること。

判定基準

の妥当性

増殖阻止円直径の判定基準については、文献および広範囲に及ぶ臨床使用実績から、

in vivo における効果を示す値として 10 mm 以上が適切であることが示されている47,48。一方で、本試験では判定基準が設定されたものの、本来であれば設計要件に基

づき、本試験において判定基準を設けることは必須ではなかった(0 日目における

Klebsiella pneumonia に対する性能は本品の要求事項に含まれないため)。

試験結果

Klebsiella pneumonia (ATCC: XXX) に対する増殖阻止円

検体 細菌名

統計学的

許容下限値 (mm)

判定基準

(mm) 結果

XXXXXXXXXX

XXXXXXXXXX

Klebsiella pneumonia

(ATCC: XXX) XXX ≥ 10 合格

結論 Klebsiella pneumonia に対する 0 日目の ZOI は XXX mm(統計学的許容下限値)であ

り、判定基準を満たした。本試験では判定基準が設定されたものの、本来であれば設

計要件に基づき、本試験において判定基準を設けることは必須ではなかった(0 日目

における Klebsiella pneumonia に対する性能は本品の要求事項に含まれないため)。

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4.2.2.4 In vitro 抗菌能試験④- MRSA に対する 0 日目 (添付資料ホ-1-21)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 抗菌能の評価として MRSA(メチシリン耐性 Staphylococcus aureus、ATCC: XXXXX)

に対する試験検体の 0 日目の発育阻止円半径(ZOI)を評価すること(溶出は行わな

い)。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 数量

本申請品カテーテル XXXXXXXXXX

XXXXXXXX XX

検体選択

の妥当性

試験検体は本申請品カテーテルである。検体数については、真の平均値の±1 標準偏

差内で検体の平均値を求める上で、必要最小限の検体数は XX であるため、本試験で

は検体数 XX で試験を実施した。

試験方法 試験は、外部試験施設で増殖阻止円試験のプロトコールに従い実施された 47,48。本品

カテーテルシャフトの XX cm 目盛りから XX cm 目盛りまで、各 XX cm の切片を試験

検体として用意した。カテーテルシャフトの XX cm 切片を、MRSA を接種させた寒

天培地上に突き立てた。プレートを培養し、ミリメートル単位で増殖阻止円の直径を

測定した。

判定基準 ZOI の統計学的許容下限値(XX %の信頼度で母集団の XX %を占める)が 10 mm 以

上であること。

判定基準

の妥当性

増殖阻止円直径の判定基準については、文献および広範囲に及ぶ臨床使用実績から、

in vivo における効果を示す値として 10 mm 以上が適切であることが示されている47,48。一方で、本試験では判定基準が設定されたものの、本来であれば設計要件に基

づき、本試験において判定基準を設けることは必須ではなかった(0 日目における

MRSA に対する性能は本品の要求事項に含まれないため)。

試験結果 MRSA に対する増殖阻止円

検体 細菌名

統計学的

許容下限値

(mm)

判定基準

(mm) 結果

XXXXXXXX

XXXXXXXX

Methicillin-resistant

Staphylococcus

aureus (MRSA)

(ATCC: XXX)

XXX ≥ 10 合格

結論 MRSA に対する 0 日目の ZOI は XXX mm(統計学的許容下限値)であり、判定基準

を満たした。本試験では判定基準が設定されたものの、本来であれば設計要件に基づ

き、本試験において判定基準を設けることは必須ではなかった(0日目におけるMRSA

に対する性能は本品の要求事項に含まれないため)。

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4.2.2.5 In vitro 抗菌能試験⑤- Candida albicans に対する 0 日目 (添付資料ホ-1-22)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 抗菌能の評価として Candida albicans (ACTT: XXX)に対する試験検体の 0 日目の発育

阻止円半径(ZOI)を評価すること(溶出は行わない)。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 数量

類似機器 B XXXXXXXXXX

XXXXXXXX XX

検体選択

の妥当性

試験検体は、先端が XXXXXXXX 型の 7 Fr. Spectrum CVC である。カテーテルシャフ

トが本申請品カテーテルと同じ原材料(XXXXXX)であり、本申請品カテーテルと

同じ含浸工程を使用している。検体数については、真の平均値の±1 標準偏差内で検

体の平均値を求める上で、必要最小限の検体数は XX であるため、本試験では検体数

XX で試験を実施した。

試験方法 試験は、外部試験施設で増殖阻止円試験のプロトコールに従い実施された 47,48。本品

カテーテルシャフトの XX cm 目盛りから XX cm 目盛りまで、各 XX cm の切片を試験

検体として用意した。カテーテルシャフトの XX cm 切片を、Candida albicans を接種

させた寒天培地上に突き立てた。プレートを培養し、ミリメートル単位で増殖阻止円

の直径を測定した。

判定基準 本品の特性を評価するために行ったため、判定基準は該当しない。

判定基準

の妥当性

本品の設計要件から、Candida albicans に対する本試験において判定基準を設けるこ

とは必須ではない(Candida albicans に対する性能は本品の要求事項に含まれないた

め)。統計学的許容下限値(XX %の信頼度で母集団の XX %を占める)は、特性を

評価するために計算した。

試験結果 Candida albicans に対する増殖阻止円

検体 細菌名 平均値 (mm)

統計学的

許容下限値

(mm)

XXXXXXXXXX

XXXXXXXX

Candida albicans

(ACTT: XXX) XX XX

結論 Candida albicans に対する 0 日目の ZOI は平均値 XX mm、統計学的許容下限値 0 mm

であった。本品の設計要件から、本試験において判定基準を設けることは必須ではな

かった(Candida albicans に対する性能は本品の要求事項に含まれないため)。

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4.2.2.6 In vitro 抗菌能試験⑥-様々な微生物に対する 1、3、7、14、21、31 日目

(添付資料ホ-1-23)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 抗菌能の評価として、CRBSI の起因菌として知られる様々な微生物に対する試験検体

の発育阻止円半径(ZOI)を評価する。検体の溶出期間(時点)はそれぞれ 1 日目、3

日目、7 日目、14 日目、21 日目、31 日目である。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 数量

類似機器 B XXXXXXXXXX

XXXXXXXX

合計 XXX

(各微生物ににおける各時点に

つきそれぞれXつのX cm切片)

検体選択

の妥当性

試験検体は、先端が XXXXXXXX の 7 Fr. Spectrum CVC である。カテーテルシャフト

が本申請品カテーテルと同じ原材料(XXXXXXXX)であり、なおかつ本申請品カテ

ーテルと同じ含浸工程を使用している。検体数については、真の平均値の±1 標準偏

差内で検体の平均値を求める上で、必要最小限の検体数は XX であるので、本試験で

は検体数 XX で試験を実施した。

試験方法 各検体からカテーテルシャフトの XX cm 切片を用意し、生理食塩水入りのガラス瓶

に入れ、XX °C の培養機に XX RPM で振とうさせた。適切な時間で(1 日目、3 日目、

7 日目、14 日目、21 日目、31 日目)、ガラス瓶を取り出して増殖阻止円を評価した。

増殖阻止円は、改良ディスク法(Kirby-Bauer disc diffusion method)により評価した 47,48。

カテーテルシャフトの XX cm 切片を、微生物を接種させた寒天培地上に突き立てた。

プレートを培養し、ミリメートル単位で増殖阻止円の直径を測定した。

判定基準 本品の特性を評価するために行ったため、判定基準は該当しない。

判定基準

の妥当性

本品の設計要件から、本試験において判定基準を設けることは必須ではない(S.

epidermidis 以外の微生物に対する 0 日以降の性能は本品の要求事項に含まれないた

め)。統計学的許容下限値(XX %の信頼度で母集団の XX %を占める)は、特性を

評価するために計算した。

試験結果 様々な微生物に対する増殖阻止円

微生物 時点

(日)

平均値

(mm)

統計学的許容

下限値

(mm)

Staphylococcus aureus

(ATCC #XXX)

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

Acinetobacter sp

(ATCC #XXX)

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

Stenotrophomonas

maltophilia

(ATCC #XXX)

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

Enterobacter aerogenes 1 XXX XXX

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138

(ATCC #XXX) 3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

Escherichia coli

(ATCC #XXX)

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

Enterococcus faecalis

(ATCC# XXX)

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

Exiguobacterium species

(ATCC #XXX)

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

注記:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

試験計画

書からの

逸脱

微生物の ZOI が複数の時点で XX mm であった場合、合理性を考慮し、さらなる時点

での試験を実施しない場合もあった。

逸脱によ

る影響

さらなる時点での試験結果は XX mm となることが予測されたため、この逸脱は本試

験の完全性、及び結果・結論等に科学的な影響を与えるものではないと判断した。

結論 本試験から、CRBSI の起因菌として知られる様々な微生物に対する、試験検体の 31

日目までの発育阻止円半径(ZOI)の平均値、及び統計学的許容下限値が判明した。

本品の設計要件から、本試験において判定基準を設けることは必須ではなかった(S.

epidermidis 以外の微生物に対する 0 日以降の性能は本品の要求事項に含まれないた

め)。

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4.2.2.7 In vitro 抗菌能試験⑦- Klebsiella pneumonia, Candida albicans, MRSA に対する 1、3、7、14、

21、31 日目 (添付資料ホ-1-24)

(XXXXXXXXXX)

試験目的 抗菌能の評価として、CRBSI の起因菌として知られる様々な微生物に対する試験検体

の発育阻止円半径(ZOI)を評価する。検体の溶出期間(時点)はそれぞれ 1 日目、3

日目、7 日目、14 日目、21 日目、31 日目である。

試験検体

試験検体名 品番

(ロット番号) 数量

類似機器 B XXXXXXXXXX

XXXXXXXX

合計 XXX

(各微生物ににおける各時点に

つきそれぞれXつのX cm切片)

検体選択

の妥当性

試験検体は、先端が XXXXXXXX の 7 Fr. Spectrum CVC である。カテーテルシャフト

が本申請品カテーテルと同じ原材料(XXXXXXXX)であり、本申請品カテーテルと

同じ含浸工程を使用している。検体数については、真の平均値の±1 標準偏差内で検

体の平均値を求める上で、必要最小限の検体数は XX であるので、本試験では検体数

XX で試験を実施した。

試験方法 各検体からカテーテルシャフトの XX cm 切片を用意し、生理食塩水入りのガラス瓶

に入れ、XX °C の培養機に XX RPM で振とうさせた。適切な時間で(1 日目、3 日目、

7 日目、14 日目、21 日目、31 日目)、ガラス瓶を取り出して増殖阻止円を評価した。

増殖阻止円は、改良ディスク法(Kirby-Bauer disc diffusion method)により評価した 47,48。

カテーテルシャフトの XX cm 切片を、微生物を接種させた寒天培地上に突き立てた。

プレートを培養し、ミリメートル単位で増殖阻止円の直径を測定した。

判定基準 本品の特性を評価するために行ったため、判定基準は該当しない。

判定基準

の妥当性

本品の設計要件から、本試験において判定基準を設けることは必須ではない(S.

epidermidis 以外の微生物に対する 0 日以降の性能は本品の要求事項に含まれないた

め)。統計学的許容下限値(XX %の信頼度で母集団の XX %を占める)は、特性を

評価するために計算した。

試験結果 様々な微生物に対する増殖阻止円

微生物 時点

(日)

平均値

(mm)

統計学的許容

下限値

(mm)

Klebsiella pneumonia

(ATCC #XXX)

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

Candida albicans

(ATCC #XXX)

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

Methicillin-resistant

Staphylococcus aureus

(MRSA)

(ATCC #XXX)

1 XXX XXX

3 XXX XXX

7 XXX XXX

14 XXX XXX

21 XXX XXX

31 XXX XXX

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XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

* この結果ついては、検体の測定値が全て同じ値であったため、標準偏差が 0 となり、

結果的に許容下限値は平均値と同じとなった。

試験計画

書からの

逸脱

微生物の ZOI が複数の時点で XX mm であった場合、合理性を考慮し、さらなる時点

での試験を実施しない場合もあった。

逸脱によ

る影響

さらなる時点での試験結果は XX mm となることが予測されたため、この逸脱は本試

験の完全性、及び結果・結論等に科学的な影響を与えるものではないと判断した。

結論 本試験から、CRBSI の起因菌として知られる様々な微生物に対する、試験検体の 31

日目までの発育阻止円半径(ZOI)の平均値、及び統計学的許容下限値が判明した。

本品の設計要件から、本試験において判定基準を設けることは必須ではなかった(S.

epidermidis 以外の微生物に対する 0 日以降の性能は本品の要求事項に含まれないた

め)。

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141

4.2.3 効能を裏付ける試験

本品の効能については、臨床評価報告書の中でおこなっており、非臨床試験としては行っていな

い。

4.2.4 使用方法を裏付ける試験

本品の使用方法を裏付ける試験については、物理的、化学的特性の試験と重複するので省略する。

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142

4.3 臨床試験の試験成績

4.3.1 臨床試験成績のまとめ

本申請品カテーテルの安全性及び有効性は、非臨床試験、および長期にわたる臨床使用を通し

て充分に立証されている。本品について、Cook 社をスポンサーとした臨床試験は実施されてい

ないが、医師主導による臨床試験が複数存在し、これらが本品の安全性と有効性を担保するエ

ビデンスとなる。本品の新規性を考慮した上で、本品の特性に関わる安全性と有効性の確認の

ため、追加的な臨床試験の実施は必要ないと判断した。

4.3.2 本申請品カテーテルの安全性

4.3.2.1 アレルギー反応あるいは過敏性反応のリスク

複数の試験において、M/R 使用 CVC の使用に関連する局所的あるいは全身性の過敏性反応は認

められなかったことが報告されている 28,29,32,40,41。本臨床評価報告書で評価したその他の試験にお

いても、Spectrum CVC で治療した患者に局所的あるいは全身性の過敏性反応が発生したことを指

摘する報告はない。

Spectrum CVC が日本の市場に導入された場合、Spectrum カテーテル上のミノサイクリン/リファ

ンピシン抗菌薬濃度は、それぞれの抗菌薬の全身投与量に比較して極微量であるため、本品によ

る過敏性反応の発生率は、既知である全身投与において知られている低い発生率を超えることは

ないと思われる。リファンピシンの全身投与(450 mg/日)によるアレルギー反応の発生率は本

邦では 0.18%と報告されている。重篤なアレルギー反応(すなわちショック/アナフィラキシー

様反応、腎不全/間質性腎炎、または溶血性貧血)の発生頻度については不明であるものの、承

認時までの調査及び承認時以降の使用調査において報告されている重篤なアレルギー反応の発

生率は非常に低いことから、重篤なアレルギー反応の発生率は極めて低いものと思われる 62。本

邦での製造販売を中止した CHSS 使用 CVC とは異なり、Spectrum CVC の使用に関し、生命を脅

かす重篤な過敏性反応はこれまで 1 件も報告されていない。

添付文書(案)に記載のとおり、ミノサイクリンを含むテトラサイクリン又はリファンピシンに

対してアレルギー反応のある、あるいはアレルギー反応の既往のある患者に対する Spectrum CVC

の使用は禁忌である。加えて、過敏性反応の発現に際しては担当医の判断でカテーテルを抜去し、

適切な処置を施す対応が求められる。

4.3.2.2 抗生物質耐性発現のリスク

4.3.2.2.1 ミノサイクリン/リファンピシン含浸 CVC の in vitro ・ in vivo 試験

4.3.2.2.1-1 Sampath LA, Tambe SM, Modak SM. In vitro and in vivo efficacy of catheters

impregnated with antiseptics or antibiotics: evaluation of the risk of bacterial resistance to the

antimicrobials in the catheters. Infect Control Hosp Epidemiol.2001;22(10): 640-646. (CER 8.4.2.2 項、

文献番号 60)

目的: 内腔及び外側表面に M/R 含浸されたカテーテルの有効性、外側にスルファジアジン銀

(AgSD)及びクロルヘキシジン(CHA)、内側にクロルヘキシジンが含浸されたカテーテルの

有効性を、一連の in vivo 及び in vitro 法で比較する。

方法: この実験的な試験は、各タイプのカテーテルに使用されている消毒薬及び抗菌薬の様々な

組み合わせ(スルファジアジン銀及びクロルヘキシジンが外側に含浸され、内腔にクロルヘキシ

ジンが含浸された Arrowgard Plus トリプルルーメンカテーテルと、M/R が含浸された Spectrum

CVC)に対する耐性菌の発現リスクを評価した。ニューヨーク市のコロンビアメディカルセンタ

ー、及び同市ハーレム病院からの臨床分離株や、ATCC(アメリカ細胞バンク)からの様々な株

に対し in vivo 及び in vitro 試験を実施した。

消毒薬及び抗菌薬を使用したカテーテルの抗菌能(スペクトラム)を決定するため、増殖阻止円

(ZOI)試験を実施し、阻止円の直径を測定した。内腔のコロニー形成に対する耐性は、7 日間潅

流させた後に Staphylococcus epidermidis 又は Staphylococcus aureus の培養でカテーテル内腔をロ

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ックして、in vitro 試験を行った。In vitro 試験ではカテーテルにおける消毒薬及び抗菌薬の組み合

わせに対する耐性の発現を調べた。In vivo での有効性(ラット皮下モデルを使用)は、感受性を

有するバクテリア、又は抗生物質耐性のバクテリアで惹起して試験した。リファンピシン耐性株

はリファンピシンを 10 回継代後に獲得した。ミノサイクリン及びリファンピシンを 20 回継代後

に分離株(MR-r)を獲得、スルファジアジン銀及びクロルヘキシジン(CHA/AgSD-p)も 20 回継

代後に獲得し、また、感受性を有する親株も獲得した。留置後 7 日目及び 14 日目において、カ

テーテル挿入箇所と挿入経路にそれぞれ 20 µL /108コロニー、及び 10 µL/10

8コロニーの S. aureus

をそれぞれ植え付けた(1 mL につき)。感染 7 日後にカテーテルは抜去され(7 日目、14 日目に

カテーテルが感染した場合、それぞれ 14 日目、21 日目に抜去した)、粘着したバリテリアを定

量測定した。100 CFU/cm 以上が粘着していた場合、そのカテーテルはコロニー形成されていると

した。

結果: 消毒薬及び抗菌薬使用のカテーテルは、CRBSI と関連があるとされる多くの病原体に対し

て増殖阻止円半径が 9~20mm であり広範囲の抗菌能を示したが、Spectrum CVC はカンジダ菌(平

均値:0~1.4mm)、緑膿菌(平均値:1.7mm)に対しては抗菌能を示さなかった。ラットモデル

において皮下挿入箇所を対照群と比較した場合、いずれのカテーテルも植え込み 14 日目目、21

日目の時点で S. aureus の粘着は少なかった(平均 0-27 CFU/cm、p < 0.05)。留置後 14 日目及び 21

日目、抗菌薬カテーテルの S. aureusに対する増殖阻止円半径は平均 13.8~14.3mmであった一方、

消毒薬カテーテルは平均 5.5mm であった。

カテーテルを 7 日間連続して潅流後に Staphylococcus epidermidis 又は Staphylococcus aureus でロ

ックした場合、内腔表面に付着したバクテリアは対照群のカテーテル(平均 2.0 x 103 ~ 2.9 x 10

3

CFU/cm)と比較し、Spectrum CVC(平均 2.0 CFU/cm)や Arrowgard-plus カテーテル(平均 2.1 ~

7 CFU/cm)はほとんどあるいは全く付着していなかった。

S. epidermidis の培養菌を消毒薬(スルファジアジン銀及びクロルヘキシジン)や抗菌薬(ミノサ

イクリン及びリファンピシン)の組合せに in vitro で繰り返し晒すことで、最小発育阻止濃度(MIC)

が若干増加した。Arrowgard-plus カテーテルでは 0.5 µg/mL から 1 µg/mL に、Spectrum CVC では

0.02 µg/mL から 0.31 µg/mL に増加したが、これは耐性が低いレベルであることを意味する。

S. epidermidis の抗生物質耐性分離株に対する Spectrum CVC の in vitro 有効性を評価した結果、ミ

ノサイクリン/リファンピシンに対し上昇した MIC を有する MR-r 株に対する Spectrum CVC 留置

後 14日目及び 21日目の増殖阻止円半径は、親株と比較して著しく低下した(それぞれ平均 7.3 mm

(55.8%減)及び 7.0 mm(51.7%減))*。 Spectrum CVC は、リファンピシン継代の分離株 R-r

に対し試験した場合に、その有効性が最も減少した。Spectrum CVC 留置後 7 日目までに増殖阻止

円半径は 60%以上減少し(平均 6.5 mm)、14 日目、21 日目での低下率は 100%(0 mm)であっ

た。一方、Arrowgard-plus カテーテルの増殖阻止円半径は親株(平均 6.4 mm)と植え込み後(平

均 6.5 mm)で同等だった。また、Arrowgard-plus カテーテルは 14 日目、21 日目の時点において、

親株、MR-r 株及び R-r 株のいずれに対しても同様の増殖阻止円半径を示した。

抗菌薬カテーテルと異なり、消毒薬カテーテルの in vivo 有効性は留置後 7 日目にリファンピシン

耐性の Staphylococcus epidermidis 株による影響を受けなかった(消毒薬カテーテル:平均 80

CFU/cm、抗菌薬カテーテル:平均 3.6 x 103 CFU/cm、p < 0.05)。

結論: 消毒薬カテーテル及び抗菌薬カテーテルは、同様の有効性を示した。しかし、リファンピ

シン耐性菌で惹起させると、抗菌薬カテーテルは消毒薬カテーテルと比較してコロニー形成に対

する感受性が高まった。

考察: In vitro 及び in vivo で実施した本文献の試験デザインにおいては、M/R 含浸 CVC はカンジ

ダ、緑膿菌を除く多くの CRBSI 起因菌に対して有効性を示した。著者らの主張によると、M/R

含浸 CVC の使用はリファンピシン耐性の S. epidermidis 菌の増加に関係する可能性があるとされ

るが、サンプルサイズが小さかったこと、それにさらに重要なことに、リファンピシン耐性菌の

定義が文献に記載されていなかったことから、決定的な結論は導き出せない。リファンピシン耐

*文献においては、MR-r に対する ZOI は留置後 14 日目及び 21 日目のそれぞれで 53%減及び 42%減と

しているが、文献に記載のデータを再計算すると実際にはそれぞれ 55.8%減及び 51.7%減となる。

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性の S. epidermidis 菌は 15 本の M/R 含浸した Spectrum CVC でコロニー形成した一方、消毒薬使

用の Arrowgard-plus CVC では 4 本にコロニー形成が観察されたのみであったが、著者らが動物モ

デルに CRBSI を発生させた S. epidermidis の分離株の詳細に関して触れていないため、試験結果

の解釈は困難である。加えて、妥当な試験デザインを有するその他の試験においては、Spectrum

CVC の使用をリファンピシン/ミノサイクリンの耐性と関連づけたものはなかった。

この研究においてはM/R含浸 CVCがリファンピシン耐性 S. epidermidisのコロニー形成を減少さ

せていないことから、リファンピシン耐性 S. epidermidis 菌の増加に関連がありうることを示唆し

ているが、本研究の過去又は以後の両方において同様の結論を導いた研究(試験デザインが妥当

であったもの)がないことから、この小規模の実験的な試験は例外であり、Spectrum CVC の安全

性及び有効性を代表する試験ではないと考える 27, 29-33, 41。

4.3.2.2.1-2 Tambe SM , Sampath L, Modak SM. In vitro evaluation of the risk of developing

bacterial resistance to antiseptics and antibiotics used in medical devices. J Antimicrob

Chemother.2001;47(5): 589-98. (CER 8.4.2.2 項、文献番号 61)

目的: M/R 含浸 CVC、クロルヘキシジン/スルファジアジン銀含浸 CVC における Staphylococcus

epidermidis 耐性菌発現のリスクを評価する。

方法: この実験的な in vitro 試験においては、消毒薬や抗菌薬が含浸された CVC を使い、

Staphylococcus epidermidis の耐性菌発現のリスクを評価した。検体として使用するのは、トリプル

ルーメンの 7Fr M/R 含浸カテーテル(Cook Spectrum, Cook Critical Care; Bloomington, IN)、外面

のみにクロルヘキシジン/スルファジアジン銀の消毒薬が含浸された消毒薬カテーテル I

(Arrowgard Blue)、そして外面にはスルファジアジン銀及び高濃度のクロルヘキシジン、内面

にはクロルヘキシジンのみが含浸された消毒薬カテーテルⅡ(Arrowgard Plus)である。In vitro

試験には S. epidermidis のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌株(ATCC 35983)や、ニューヨーク市の

コロンビア長老派教会病院からの臨床分離株(リファンピシン耐性菌株 RIF-r1)、同市ハーレム

病院からの臨床分離株(H)等が使われた。

最小阻止濃度(MIC)は、トリプチックソイブロス(TSB)での標準化された試験管希薄法によ

り判定した。2 倍段階希釈法の薬液が 5 mL の TSB に調整された。50%の試薬用アルコールで作

られた全ての薬剤の保存溶液(10,000 mg/L 及び 2,000 mg/L)を希釈し、TSB の入った試験管に

加え、対照検体を含む全ての試験管のアルコール濃度が 2.5% v/v となるようにした。最小殺菌濃

度(MBC)の判定については、目視確認できる成長を示さない全ての試験管からの 0.1mL の試料

を、薬剤中和寒天に植え込み、37°C で 24~48 時間培養した。MBC は播種株の 99.9%以上を死滅

できる抗菌薬の最低濃度と定義した。

抑制濃度以下の抗菌薬を 10~20 回継代させ、耐性菌を獲得した。臨床分離株 H はミノサイクリ

ン/リファンピシン(MR-r)、クロルヘキシジン/スルファジアジン銀(CHA/AgSD)、およびリ

ファンピシンのみ(RIF)に対する耐性を評価した。

Kirby-Bauer 法により、親株及び培養分離株に対する抗菌薬カテーテル及び消毒薬カテーテル両方

において増殖阻止円(ZOI)半径を評価した。37°C で培養後、カテーテルの直径、及び増殖阻止

円半径を測定した。消毒薬カテーテルと抗菌薬カテーテルそれぞれの MIC と増殖阻止円半径の相

関性を評価するため、耐性株を使用し、カテーテルの浸漬前、浸漬後 7 日目及び 14 日目それぞ

れの時点で増殖阻止円半径を判定した。

薬剤がコーティングされていない対照カテーテル、抗菌薬カテーテル及び消毒薬カテーテルそれ

ぞれの切片(両端を閉鎖させた 4 cm 長のセグメント)をタンパク質の培地(1 mL/cm)に 7 日間

及び 14 日間浸漬し、S. epidermidis ATCC 35983 の in vitro 粘着性を調べた。

カテーテルの薬剤濃度を測定するため、1 cm のカテーテル片(内腔表面から薬剤を拡散させるた

めに両端を開いた)を 5 mL の塩化メチレンを使って 15 分間音波処理し、45 分間断続的に撹拌し

て抽出した。抽出物を乾燥させ、残留物を緩衝液で再懸濁し、pH を 3.25 に調整した。200 µL の

検体を緩衝液で予備洗浄させ、SEP-PAK C18 カートリッジ(Waters Corporation, Milford, MA, USA)

に取り付けた。1 mL/min の流速で溶出させ、1 mL 留分を集めた。

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結果: ミノサイクリン及びリファンピシンの組合せでは MIC が 10~16 倍増加した。一方、ミノ

サイクリンのみでは MIC の有意な増加は無かった。ATCC の親株及び臨床分離株 H と比較する

と、リファンピシンの MIC は、リファンピシンのみでの 10 継代後に 25,000 倍となった。一方、

ミノサイクリンとの組み合わせにすると 20 継代後に 80 倍となった。継代された全ての分離株の

MIC は安定しており、薬剤無しの媒体による 20 継代後も変化はなかった。クロルヘキシジンへ

の感受性については、単独使用の場合でも、スルファジアジン銀またはトリクロサンとの組合せ

(MIC が 8 倍増加)で使用した場合でも、実質的な変化は無かった。

感受性のある ATCC 株、及び、20 継代後に得たクロルヘキシジン/スルファジアジン銀の培養物、

ミノサイクリンのみの培養物、リファンピシンのみの培養物それぞれに対する消毒薬カテーテル

の増殖阻止円半径は、いずれも同等であった(13 ~14 mm)。消毒薬カテーテル I (Arrowgard Blue)

は、7 日間及び 14 日間の浸漬後、感受性のある ATCC 株 に対する増殖阻止円半径がそれぞれ 4.3

mm、3.5 mm であった。消毒薬カテーテル II(Arrowgard plus)は、7 日間及び 14 日間の浸漬後、

感受性のある ATCC 株に対する増殖阻止円半径はそれぞれ 7.2 mm、5.6 mm であった。一方、抗

菌薬カテーテル(Spectrum CVC)においては、RIF-r1、RIF-r2 及び M/R 株に対する増殖阻止円

半径は、感受性のある ATCC 株と比較して、より小さかった。7 日間及び 14 日間の浸漬後、抗

菌薬カテーテルの RIF-r2 株に対する増殖阻止円半径は、それぞれ 9 mm、4 mm であった。同様に、

抗菌薬カテーテルの RIF-r1 株に対する 7 日間及び 14 日間の浸漬後の増殖阻止円半径は、それぞ

れ 6 mm、0 mm であった。はこれらと比較した場合、抗菌薬カテーテルにおける M/R 株に対す

る増殖阻止円半径はより大きく、7 日後及び 14 日後でそれぞれ 14 mm、10 mm であった。

殺菌力を評価する time-kill 試験においては、クロルヘキシジンとトリクロサンの組み合わせ、ク

ロルヘキシジンとスルファジアジン銀の組み合わせの両方において、相乗効果が観察された。M/R

含浸カテーテルの ZOI 試験から、リファンピシン耐性株に対する作用は感受性のある ATCC 株

に対する作用より低いことが示された。その一方で、リファンピシン耐性株及びリファンピシン

感受性株に対する消毒薬(クロルヘキシジン/スルファジアジン銀)カテーテルの作用は類似して

いた。

7 日間及び 14 日間の浸漬後、消毒薬カテーテル II の増殖阻止円(それぞれ 7.8 mm 、5.6 mm)は、

抗菌薬カテーテルの増殖阻止円(それぞれ 18 mm、14 mm)より小さかった。消毒薬カテーテル

からはいかなる有機物の付着も検出されなかったが、7 日間及び 14 日間の浸漬後、抗菌薬カテー

テルにおけるバクテリアの粘着量は平均で 1.8 x 101 ~5.2 x 10

2 CFU/cm であった。

結論: 抗菌薬カテーテルは、消毒薬カテーテルと比較し抗菌薬耐性バクテリアによるコロニーが

形成されるリスクが高いことが示唆されるが、この結果の意義は臨床現場で判定する必要がある。

考察: 本文献( in vitro の実験的デザイン)において著者らは、M/R 含浸 CVC の使用がリファン

ピシン耐性の S. epidermidis 菌の増加に関連する可能性があると示唆しているが、それぞれの実験

に使用したカテーテルの本数については記載がない。各タイプのカテーテルをそれぞれ 1 本ずつ

使用したものと推察されるが、このようにサンプルサイズの少ない試験からは明確な結論を導き

出すことは不可能であるに加え、特に、この文献においてはリファンピシン耐性菌の定義に関す

る記載がなかった。試験の結果、リファンピシンの MIC はリファンピシンのみで 10 回継代した

後、25,000 倍に増大した。一方、リファンピシンをミノサイクリンと組み合わせると 20 回継代

後の MIC の増加は 80 倍であった。この違いはリファンピシン耐性の発現に対する、ミノサイク

リンの保護能を明確に表している。また論者は、この実験結果は臨床現場において評価される必

要があると述べている。Spectrum CVC を使用した、正確にデザインされた試験においては、

Spectrum CVCの使用をリファンピシン・ミノサイクリンの耐性と関連付けた文献はない 27, 29-33, 41。

この試験ではM/R 含浸 CVCがリファンピシン耐性の S. epidermidis菌の増加に関連しうることを

示唆しているが、正確にデザインされた試験では同様の結論を下した文献がないことから、この

小規模な in vitro の実験研究は例外であり、Spectrum CVC の安全性及び有効性を代表する研究で

はないと考える。

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4.3.2.2.3 In vitro 及び in vivo データの評価

ミノサイクリン及びリファンピシンに対する耐性菌の発現リスクが、Spectrum カテーテルを使用

した in vitro 及び in vivo の実験的な試験で評価された。M/R 使用 CVC を用いて臨床分離菌のミ

ノサイクリン・リファンピシン感受性について検証した 2 報の実験的試験では、リファンピシン

耐性の S. epidermidis の増加は M/R 使用 CVC と関連性があった 63,64。

だが注意すべき点は、どちらの試験もサンプル数の少ない試験であるため、これらの試験からは

決定的な結論を導き出すことができないことである。さらに、これらの試験ではリファンピシン

耐性の定義を規定していなかった。Tambe らが述べているように、これらの実験結果は臨床現場

において評価される必要がある 64。正確にデザインされた試験においては、Spectrum CVC の使用

とリファンピシン及び/またはミノサイクリンの耐性との関連性を確認したものはない 27, 29-33, 41。

M/R含浸CVCに対する、これらの in vitro及び in vivoの小規模な実験研究は例外であり、Spectrum

CVC の安全性及び有効性を代表する研究ではないと考える。

総じて、公表された臨床試験のデータからは、Spectrum CVC の使用は臨床分離菌のミノサイクリ

ン及び/又はリファンピシンへの耐性の増加をもたらさないとされている。

4.3.2.2.3 臨床試験のデータの評価

Spectrum CVC の使用によるミノサイクリン/リファンピシンに対する微生物耐性発現のリスク

について評価した。成人に使用された CVC についてのメタ解析から、ミノサイクリン及びリフ

ァンピシンに対する耐性菌発現の可能性が示唆された 26 。このメタ解析で検証された 4 報の試験

のうち、2 報は臨床上のエビデンスとして本臨床評価報告書(CER)に要約しており、また、残

りの in vitro 及び in vivo の実験的試験 2 報については上記に要約したとおりである 37,46,63,64。前

述のように、これら実験的試験 2 報については、サンプル数が少ないため決定的な結論は導き出

せない。さらに、これらの試験ではリファンピシンの耐性について定義付けがされていなかった。

以下に説明する臨床試験(上記メタ解析からの臨床試験 2 報も含めて)は、Spectrum CVC の使

用によるリファンピシンへの耐性の増加はないことを示唆している。

臨床分離菌のミノサイクリン/リファンピシンへの感受性について検証したM/R 使用CVCを用

いた 5 報の前向き試験では、Spectrum CVC の使用に関連する抗生物質感受性のパターンに変化は

ないことが示された 29-32,41。一方、Wright らによる小規模試験では、試験デザインに課題があっ

たものの、Spectrum CVC の使用が抗生物質耐性の発現に関連する可能性を示唆した46。この試験

では、Spectrum CVC 導入以前の 1998 年には表皮ブドウ球菌の分離株 12 のうちの 3 株がリファン

ピシンに耐性を示したが、1999 年以降 Spectrum CVC が使用された 6 ヶ月間では同 ICU において

8 株中 8 株の表皮ブドウ球菌の臨床分離株にリファンピシン耐性が示された(25% 対 100%、P =

0.005)。その他の菌については感受性のパターンに変化はみられなかった。ただし、この試験報

告では、どのように抗生物質耐性が判定され特定されたかについては明記されていなかった。さ

らに、試験期間中に当該 ICU でリファンピシンの全身投与や、その他の通常診療の内容に変化が

あったかどうかも明確にされていなかった。

M/R 使用 CVC 導入後の抗生物質感受性の変化を検証した前向き試験は、実施期間が比較的短く、

経年の抗生物質耐性の発現を評価するようにはデザインされていなかった。一方、以下に記す調

査研究では施設での長期間のミノサイクリン/リファンピシン含浸 CVC の使用の影響を評価し

ており、短期間の試験で提供できないような、抗生物質耐性の発現に関する貴重な情報を提供し

ている。

Chatzinikolaou らによる調査研究では、4 年間 (1997 年~2001 年) に、骨髄移植の治療で約 600

本、延べ約 27,600 カテーテル日のミノサイクリン/リファンピシン含浸 CVC が使用された 27。

ミノサイクリン/リファンピシン CVC とテトラサイクリン/リファンピシンの全身投与の併用

にも関わらず、BSI が発生した患者から分離したブドウ球菌株は、すべてミノサイクリンへの感

受性を維持し、そのうちの93% はリファンピシンへの感受性も示した。さらに ブドウ球菌 の ミ

ノサイクリン/リファンピシンへの感受性パターンは 4年間のミノサイクリン/リファンピシン

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含浸 CVC の使用開始以後もミノサイクリン/リファンピシン含浸 CVC の導入の 5~7 年前にあ

たるベースライン時の感受性と同程度であった。包括すると、この調査研究から、ミノサイクリ

ン/リファンピシン含浸 CVC によるブドウ球菌のミノサイクリン/リファンピシン耐性の発

現のリスクは非常に低いことが示された。

また、別の調査研究では、癌センター内の ICU 及びその他の高リスクエリア(例:幹細胞移植及

び黒色腫の治療)で使用されたミノサイクリン/リファンピシン含浸 CVC 導入後の 7 年間(1999

年~2006年)における、ブドウ球菌の臨床分離株の抗生物質耐性パターンの解析が報告された 33。

この期間に 9,200 本のミノサイクリン/リファンピシン含浸 CVC が、施設全体で延べ 511,520

カテーテル日使用され、癌患者に感染症を引き起こした 8,254 のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌分

離株、及び 11,183 の黄色ブドウ球菌分離株が臨床微生物学研究施設で評価された。その結果、

コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 及び黄色ブドウ球菌分離株のミノサイクリン/リファンピシン耐

性は、ミノサイクリン/リファンピシン含浸 CVC の導入以後、有意に低下あるいは、変わらず

に安定していたことが示された。

包括すると、発表された試験データからは、ミノサイクリン/リファンピシン含浸 CVC 使用に

よる臨床の細菌性分離株におけるミノサイクリン/リファンピシンへの耐性の増加はないとい

うことが示されている。

4.3.2.2.4 Spectrum CVC による結核菌のリファンピシン耐性獲得についてのリスク評価

本邦においては結核(TB)患者が米国に比べ高いが、本品の導入がリファンピシン耐性 M.

tuberculosis の発現に影響を及ぼすとは考えられない。以下にその根拠を説明する。まず、M.

tuberculosis 菌が、最適な治療用量に満たないリファンピシンに一定期間接触した場合、耐性菌の

発現に対しリファンピシンにより選択圧がかかる。しかし本邦において、活動性のある結核又は

潜在性の結核を有する患者は標準的な治療により、リファンピシンを含む複数の抗菌薬が全身投

与されるため、そのような状況が発生することは考えにくい。本品に含浸されたミノサイクリン

の濃度は平均で XXX µg/cm、リファンピシンの濃度は平均で XXX µg/mL であるが、機器あたり

の総用量はいずれも 1 日あたりの全身最大用量の XX%未満である。なお、本邦における 1 日あ

たりの全身最大用量はミノサイクリンで200 mg、リファンピシンで450~600 mgである。従って、

結核と診断された患者が本品を使用した場合、本品挿入による血液および肺におけるリファンピ

シン濃度の増加は極微であり、患者に対する抗菌治療法、および抗菌耐性の結核菌の発現に影響

を及ぼすことはないと判断される。

結核と診断されていないが、潜在性の結核を有する患者に本品を使用した場合も、リファンピシ

ン耐性の結核菌の発現に影響を及ぼすことはないと考えられる。そもそも、このような患者群は、

通常中心静脈カテーテルの使用の必要はない(年 120症例以下)。また、このような患者に Spectrum

中心静脈カテーテルを使用したとしても、本品から患者の肺へ溶出するリファンピシン量は検出

不能なほど極めて微量であり、リファンピシン耐性菌の発現に寄与する可能性は非常に低い。な

ぜなら、潜在性の結核を有する患者は細菌量が少なく、増殖率も極めて低い。さらには、ヒト型

結核菌が rpoB 遺伝子の自然突然変異によってリファンピシンに対する耐性が発現する確率も、

極めて低い 51。Spectrum 中心静脈カテーテルの挿入時は、検出不可なほど極微な量のリファンピ

シンが肺に存在している可能性があるが、M. tuberculosis 菌自体が少なく、増殖がない限り、リフ

ァンピシンに対する耐性が突然変異によって発現する可能性は非常に低い。リファンピシンの全

身投与量が XXX mg であれば肺組織内の最高濃度は 4.2~4.8 µg/mL である 52。一方、本品から溶

出する 1 日のリファンピシンの量は最大で XXX µg/mL と推定できる(下記の注釈参照)。たとえ

M. tuberculosis 菌 1 つがリファンピシン耐性を得たとしても、潜在性結核の患者においては菌増殖

率が低いため、耐性菌が大量に増加することはない。また、そもそも潜在性結核の患者が活動性

結核に移行することは稀であり 53、その患者の結核菌が他人(90%超の確率で正常な免疫機能を

有する)に感染して伝播が成立する可能性はさらに低い 54。このように、結核を診断されていな

い潜在性結核患者において、リファンピシン耐性の結核菌が本品の使用により発生する可能性は

極めて低いと考えられ、さらに、そのような患者が耐性菌発生後に活動性結核に移行する可能性

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の低さ、さらには患者の耐性菌が他者に感染する可能性の低さ、および、感染を受けた人が活動

性結核に移行する可能性の低さを全て重ねて考慮すると、本品の使用により耐性菌の伝播が成立

する可能性はほぼありえないと考える。以上のことから、本邦における本品 Spectrum 中心静脈カ

テーテルの導入によって、リファンピシン耐性 M. tuberculosis の発症率に影響を及ぼすとは考え

られない。

また、Weber らは熱傷治療等を必要とする免疫不全者に対し本品を使用し、それらの患者が恩恵

を受けているのを確認した 37。免疫不全者を評価した 2 件の調査研究からも、ミノサイクリン/

リファンピシン含浸 CVC は耐性菌感染リスク高めることはないことが示されている 27-33。

注釈:本品のリファンピシンの平均濃度は XXX µg/cm である。in vitro の溶出試験に基づき、本

品からのリファンピシン溶出が最大なのはカテーテルXXXXであり、XX cm長の本品ではXX mg

に相当する。人体の血液量を XX L とした場合、本品挿入後のリファンピシンの最高血中濃度は

XXXµg/mL になると考えられる。肺組織内のリファンピシン最高濃度は、血中最高濃度の XX%

であることが XXXXXXX により実験的に決定されている。これを用いて算出すると、肺組織内

のリファンピシン最高濃度は XXX µg/mL と推定される。また、この算定値は、本品からのリフ

ァンピシン溶出の徐放性、体内からのリファンピシンの排泄、血漿タンパクに結合するリファン

ピシンの割合(即ち、60~90%)などを考慮に入れていないため、リファンピシンのピークレベ

ルを過大に見積もった値と考えられる。

4.3.2.3 カンジダ感染症のリスク

M/R 使用 CVC におけるカンジダのコロニー形成、または感染に言及した 10 報のうち、2 報にお

いて Spectrum CVC 使用によりカテーテル上のカンジダ菌コロニー形成が増加する可能性が示唆

された。1 報は無作為化対照試験であり、カテーテルの カンジダコロニー形成率が、 Spectrum

CVC が 薬剤使用の無い CVC と比較して有意に高いことを示した (6.2 件/1000 カテーテル日

に対し、 1.1 件/1000 カテーテル日、RR=5.84、95% CI: 1.31~26.1)38。しかしながら、この報

告によるカンジダ菌に起因する CRBSI は非常に低く、Spectrum CVC で治療した患者から実際に

発生したカンジダ CRBSI は 1 件のみであった。

また、1 報は小規模の対照試験であり、Spectrum CVC 群でカテーテル先端部から 15 を超えるコ

ロニー形成単位が分離されたカテーテルのうち、25% (7/23) がカンジダ菌コロニーであった

ことが報告された 46。 一方、薬剤使用の無い対照 CVC 群では、カテーテル先端部から 15 を超え

る コロニー形成単位が分離されたカテーテルのうち、 4% (4/32) のみがカンジダ菌コロニー

であった。しかしながら、カンジダに起因する CRBSI の発生率 は、2 つの群間で同程度であっ

た (Spectrum CVC 群: 2.0% (1/51)、対照群:2.1% (2/96) )。また、この試験は 2 つの群の前向

きの比較ではなく、ヒストリカル対照群に基づいているため、結論については慎重になるべきで

ある。

一方、カンジダのコロニー形成あるいは BSI に言及した M/R 使用 CVC に伴うその他の 8 報の文

献では、カンジダのコロニー形成又はカンジダによる CRBSI は発生しなかった、あるいは発生し

た場合でも対照 CVC と同程度の発生率だったと報告されている 28,29,31,32,37,39,41,42。以上、報告され

た 10 報のうち 2 報が M/R 使用 CVC によるカテーテル上のカンジダ菌コロニー形成の有意な増

加を示唆したが、Spectrum CVC の使用とカンジダによる血流感染発生率の増加を関連付ける報告

は無かった。

4.3.2.4 CVC 閉塞のリスク

Spectrum CVC を使用した小規模の試験の 1 報で、治験実施医師がカテーテル閉塞の多発を観察し

たことが報告された 46。3 ヶ月間に 45.5% (25/55) の Spectrum CVC が挿入後に閉塞したとさ

れた。治療の障害となる閉塞が高率で発生したために、この試験は 6 ヶ月早めて中止された。治

験実施医師はヘパリンによる CVC フラッシュが、当該施設における CVC の標準操作手順に含ま

れていなかったことに注目し、それが CVC 閉塞の高発生率の原因である可能性を指摘した。そ

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の他の試験においては M/R 使用 CVC の閉塞/血栓発生率は 1~3% であり、 対照 CVC とほぼ

同等である 28,29,32,41。Wright らによる、この小規模試験はヘパリンフラッシュが通常の手順に含

まれないことによる特異的な例と思われ、Spectrum CVC を使用したその他の試験における閉塞率

とは明らかに異なるものであった。

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150

4.3.3 その他

4.3.3.1 対面助言に対する見解

本申請品について、XXXXXXX、独立行政法人医療機器総合機構(以下、「機構」とする)と

XXXXXXXXXXXXXXXX 相談(XXXXXXX)を実施した。本相談の主な目的は、XXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

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4.3.3.2 臨床評価報告書における本品の名称および区別について

臨床評価報告書の中では、機器を様々な名称で呼称しているが、これらの Spectrum 製品群はいず

れも Spectrum の基盤技術を有する。この技術は Cook 社で長期に渡って開発されてきたものであ

り、諸外国では数世代に渡る複数の製品が販売されてきた。本申請品の安全性及び有効性を担保

するエビデンスとして、ミノサイクリン/リファンピシン含浸のポリウレタン製中心静脈カテー

テル(本品)を使用した文献全て(7 件の臨床試験)を本報告書に含めた 29,31,37-39,41,46。本申請品

は、ミノサイクリン/リファンピシン含浸のポリウレタン製中心静脈カテーテルであるが、Cook

社においては複数の類似品が存在する。これらは XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX の点でバリエーションを有するが、いずれも CRBSI

のリスク低減に寄与するという点において相違はない。また、機器の設計に係わるこのような些

細な違いは文献の中で触れられておらず、詳細を把握するのはほぼ不可能である。従って、報告

書においてこの違いは区別していない。報告書において実際に本申請品カテーテルと区別してい

る Spectrum 基盤技術の類似品は、本申請品の先行品であるミノサイクリン/リファンピシン被覆

のポリウレタン製中心静脈カテーテル、および長期使用を目的としたミノサイクリン/リファン

ピシン含浸のシリコーン製中心静脈カテーテルである。これら類似品を使用した文献は本申請品

と同一の薬剤(ミノサイクリン及びリファンピシン)がほぼ同量使われていることから、ミノサ

イクリン/リファンピシン使用中心静脈カテーテルの安全性に関して追加的なエビデンスとな

り、耐性菌発現のリスク検証に関しても適切なデータとして使用される。また、中心静脈カテー

テルに抗菌薬を含めることで CRBSI のリスクを低減することに対する追加的なエビデンスにも

なる。

本申請品の有効性を評価するための判定方法は、7 件の臨床試験それぞれで異なるが、いずれ

の判定方法も臨床的に意義がある。

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4.3.3.3 臨床データの文献的検証

臨床評価報告書の中で行った文献的検証は、本品の安全性及び有効性を十分サポートするもので

ある。この検証に基づき、本品の適応の範囲での使用におけるリスクベネフィットは良好である

と結論付けられる。

この文献的検証は、本品の使用に伴う安全性と CRBSI の発生に関連する臨床データに重きを置い

ている。CRBSI は、血管内留置用カテーテルの使用によって最も起こりやすい重篤な合併症であ

る。本邦における年間の中心静脈カテーテル使用本数は 180 万本に達する 3。また、本邦の中心

静脈カテーテル使用について公表された文献では CRBSI の発生率は一般に 1,000 カテーテル日

当たり、およそ 1.5 件から 7 件であるが、大腿動脈からの挿入の場合、1,000 カテーテル日当た

り、およそ 15.7 件にまでに高まるとされる 3-11。

高度バリアプリコーション、及びその他の無菌操作法バンドルを採用することは CRBSI のリスク

を低減するには効果があるが、CRBSI 発生率をゼロにまで下げるのに十分ではない 25。複数の臨

床試験では、従来の無菌操作法に加えて抗菌作用カテーテルを使用することで、CRBSI 発生率を

更に低下できる事が明らかにされている 26-35。

合計 19 報の文献が、本品の使用上の安全性と有効性を評価する上で関連性があると判断した 26-31,

33-35, 37-44, 46特定された文献は、ミノサイクリン/リファンピシン含浸 のポリウレタン製中心静脈

カテーテル(本申請品)、ミノサイクリン/リファンピシン被覆のポリウレタン製 中心静脈カテ

ーテル(本申請品の先行開発品)およびミノサイクリン/リファンピシン含浸シリコーン製中心

静脈カテーテル(本申請品より長期留置を適用とする類似機器)について言及するものである。

ミノサイクリン/リファンピシン含浸の中心静脈カテーテルは全て本申請品の製造所である

Cook Medical で製造された Spectrum 製品群内の製品である。この文献的検証にミノサイクリン

/リファンピシン被覆 ポリウレタン製中心静脈カテーテルおよびミノサイクリン/リファンピ

シン含浸シリコーン製中心静脈カテーテルに関する試験から得たデータを含めた理由は、これら

のデータが抗生物質に対する耐性発現のリスクに関連するデータを提供するとともに、同一の薬

剤(ミノサイクリン/リファンピシン)をほぼ同量用いた中心静脈カテーテルを使うことによる

CRBSI の発生頻度低下を明らかにする上で追加的なエビデンスとなるからである。

合計 19 報の文献のうち、本申請品の安全性及び有効性を担保するエビデンスとして位置付けら

れるのは、本品を使用した 7 件の臨床試験である 29, 31, 37-39, 41, 46。7 件の臨床試験のうち、本品と

対照を比較する無作為化試験は 3 件である。これらの試験において、本品と薬剤被覆なし中心静

脈カテーテル及びその他の抗菌薬含浸中心静脈カテーテルと比べ、CRBSI の発生に対する代替指

標であるカテーテルコロニー形成が有意に低かった 29,38,39。加えて、CRBSI の発生率の違いを評

価するための充分な検出力を有する無作為化対照試験において、本品で治療を受けた患者は、薬

剤被覆なしカテーテルより CRBSI の発生率を低下させることが示されているクロルヘキシジン

/スルファジアジン銀含浸中心静脈カテーテルで治療した患者と比較し、CRBSI の発生率が有意

に低かった 29。注目すべきは、これらの無作為化試験で、本品の有害事象の発生率は対照機器と

比べて同等であることが示されたことである。

また、無作為化されていない臨床試験 3 件の結果は、本品の使用が薬剤使用のない中心静脈カテ

ーテル及びクロルヘキシジン/スルファジアジン銀含浸中心静脈カテーテルの使用より CRBSI

の発生率の低下に結びつくという結論を導いた 31,37,41,46。

更に、本品及び類似品に関して報告された複数の臨床試験データから、本品の使用によって臨床

分離株におけるミノサイクリン/リファンピシンの薬剤耐性を増加させることは無いことが示

唆された 29-32,41。

総括すると、本品を用いた臨床試験データは、本申請品を使用することにより薬剤使用のない中

心静脈カテーテル及びクロルヘキシジン/スルファジアジン銀含浸中心静脈カテーテルと比べ、

CRBSI の発生率の低下に結びつくという結論を裏付けている。さらには、Spectrum 製品群の類似

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機器であるミノサイクリン/リファンピシン被覆ポリウレタン製中心静脈カテーテルおよびミ

ノサイクリン/リファンピシン含浸シリコーン製中心静脈カテーテルに関する試験結果からも、

追加的な安全性が示されており、抗生物質耐性発現のリスクが非常に低いことを示唆するもので

ある。

4.3.3.4 CRBSI の起因菌

文献より特定された、本邦における主な CRBSI 起因菌としては、表皮ブドウ球菌を代表とするコ

アグラーゼ陰性ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、大便連鎖球菌、

桿菌、緑膿菌、エンテロバクター属、及びカンジダ等が挙げられます 4, 5, 7, 9, 10, 18, 21。

ミノサイクリン/リファンピシン含浸中心静脈カテーテルを使用した CRBSI 発生率の低下に関

する文献データは米国、スペイン、およびオーストラリアに限られている。しかし、ミノサイク

リン/リファンピシン含浸中心静脈カテーテルは、本邦においても CRBSI 発生率の低下に貢献で

きると考えられる。その理由は、米国と本邦における、CRBSI 又は CLABSI の起因菌は同じであ

る。即ち CDC(米国疾病対策管理センター)における全米医療安全ネットワーク(NHSN)が収

集 し た 2009-2010 年 の デ ー タ か ら 、 CLABSI に 最 も 関 連 性 の 高 い 病 原 体 は 、

Staphylococcus epidermidis を含むコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)、S. aureus、Enterococcus 属,

Klebsiella 属、および Candida 属である 17。本邦の施設における CRBSI 感染率を報告した文献か

ら、CRBSI の起因菌としてこれらと同じ病原菌が特定された 5, 7-10, 18-21。

特筆すべきは、本品が CRBSI の主要な起因菌を含む広範囲な病原菌に対し有効であることである。

CRBSI 発生率を低下させることで知られるクロルヘキシジン/スルファジアジン銀含浸中心静

脈カテーテルと本品を非臨床試験で比較した場合、5 種類の敗血症状に関わる 11 種類の微生物に

対する抑制作用は、本品の方がより顕著に大きかった。これらの微生物には、グラム陽性菌

(Staphylococcus epidermidis, Staphylococcus aureus, and Enterococcus faecalis)、グラム陰性菌

( Pseudomonas aeruginosa, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter species, Proteus mirabilis,

Acinetobacter baumanii, Escherichia coli, and Stenotrophomonas maltophilia)、および真菌(Candida

albicans)が含まれる 50。以上から、本邦において特定されている CRBSI 起因菌と Spectrum 中心

静脈カテーテルが抑制作用を示す病原菌は一致しており、本邦における Spectrum 中心静脈カテー

テルの使用が CRBSI 発生率の低下につながると考えられる。

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4.3.3.5 CVC の留置及び操作時の感染対策

CRBSI 発症のリスクを低減するためには、数々の独立し、かつ補完的なアプローチが用いられる。

米国においては、CDC が以下のことを推奨している 22。

① カテーテルの挿入及び管理に関わる者は皆、適切な教育及びトレーニングを受けるべきで

あること。

② 中心静脈カテーテルの挿入時には高度バリアプリコーションを実施すること。

③ 皮膚の消毒には濃度 0.5%以上のクロロヘキシジンを使用すること。

④ 感染防止策として中心静脈カテーテルの定期的な入れ換えを避けること。

⑤ 感染予防にも関わらず感染率が下がらない場合は、消毒薬・抗菌剤含浸の短期間用の中心

静脈カテーテルを使用し、クロロヘキシジン含浸ドレッシングで皮膚の清拭を行うこと。

同様に、本邦では厚生労働省も中心静脈カテーテル挿入の際は高度バリアプリコーション(滅菌

手袋、ガウン、マスク、キャップ、大きな清潔覆布)を推奨している。本邦における集中治療医

223 名を対象にした最近の調査では、9 割以上の医師が中心静脈カテーテル挿入時には高度バリ

アプリコーションを採用していることが判明した 24。また、同調査では中心静脈カテーテル挿入

前の皮膚消毒に関しては 10% ポピドンヨードの使用が 77%、0.5%アルコール添加クロロヘキシ

ジンの使用が 15%であった。同様に、本邦の施設による文献からは、一般的な措置として高度バ

リアプリコーションの採用、および 0.05~0.5%のクロロヘキシジンまたは 10% ポピドンヨード

による消毒が報告されている 3, 5, 8, 9。施設によってガイドラインに多少の違いはあるものの、抗

菌カテーテル使用の有無を除けば、海外と本邦で感染予防対策は概ね同じである。米国を含む、

抗菌カテーテルが使用できる国々と同様、本邦において抗菌カテーテルが導入されれば、特にこ

れまで他の感染対策を実施してきたにも拘らず感染の低下が見られない本邦の施設などにおい

ては、CRBSI 発症率の低下が期待できる。

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4.3.3.6 抗菌効果の持続期間

本添付資料 4.2.2.6 および 4.2.2.7 項「In vitro 抗菌能試験」(添付資料ホ-1-23 およびホ-1-24)の増

殖阻止円試験によって、本品の抗菌効果が 31 日間持続することを明らかにした。

臨床的には、抗菌効果はコロニー形成率の低下によって評価が可能である。カテーテル上におけ

るコロニー形成は CRBSI と関係していることから、コロニー形成率は CRBSI の代替的な評価項

目として認識されている 16。本品に関する 3 件の無作為化対照試験がコロニー形成率について報

告しており、本品の使用によるコロニー形成率の減少が示された 29,38,39。これらの無作為化対照

試験における、カテーテル挿管期間の平均日数は 6 日~9 日であった。これは、ICU 患者に関す

る本邦の院内感染サーベイランスシステム(JANIS)が報告したカテーテル挿管期間 9.4 日と同等

である 19。

また、Chelliah らによる観察研究では、CABSI を発生した患者に対し、カテーテル挿管時から

CABSI と診断されるまでの時間について調査した結果、本品の使用による CABSI 発生の遅延化

が示された 41。

これらを踏まえて、本品の抗菌効果の持続期間は短期使用 CVC としては十分であると考える。

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4.3.3.7 本品を使用した場合の起因菌に対するカバー率

本品により「本邦における CRBSI 起因菌」の何割程度がカバーできるか評価するため、臨床評価

報告書(CER)の「12.1 添付資料 A」に記載されている文献を調査した。以下の文献は、評価か

ら除外した(除外した文献及びその理由を記載)。

Tsuchida 2007(CER 文献番号 5)、Ishikawa 2010(CER 文献番号 2)、Morikane 2009(CER

文献番号 10)は起因菌に関する記載が無いため除外。

Ishizuka 2009(CER 文献番号 7)は患者集団が Ishizuka 2009(CER 文献番号 8)と重複す

るため除外。

Ishihara 2008(CER 文献番号 18)は感染の定義に関する記載が無いため除外。

JANIS 2011(CER 文献番号 17)は科学ジャーナルの論文ではなく、さらに上位 5 位以降

の起因菌が特定されていないため除外。

上記 4 報を除き残りの 7 報の文献を評価に用いた。薬剤コーティングのない標準的な CVC につ

き、各文献において分離された起因菌及びその数を調べた。感染の定義は文献によって若干異な

るが、いずれも CRBSI 起因菌の特定に血液培養又はカテーテル切片による検出、あるいはその両

方を用いており、CDC に基づく CRBSI 又は CLABSI の定義と同じであった。それぞれの文献に

おける定義の詳細は、CER の「12.1 添付資料 A」に記載している。文献で複数の検出法(例:血

液培養の検出結果とカテーテル切片の検出結果)が別々に記載されている場合は、一般的により

厳密な検出法であると認識されている方の結果を用いた。各文献において分離された起因菌及び

その数をまとめた結果、下の表 4.3.3.7-1 に示すとおり、分離菌の合計数は 316 であった。これを

もって、暫定的ではあるが、本邦における CRBSI 起因菌及びその確率をまとめた表を作成した。

本品を全ての起因菌に対し試験するのは困難である。しかしながら同表には一般的に最も頻繁に

CRBSI を引き起こすとされる CRBSI 起因菌について、本品を in vitro で試験した結果(0 日の時

点)も併せて示している。表 4.3.3.7-1、グラム陽性菌の Coagulase-Negative Staphylococci(CNS)

については、血流感染を引き起こすものの大多数が Staphylococcus epidermidis(9 割以上)である

ことが判明している 55,56。よって、CNS の全種については本品で試験しなかったものの、CNS は

Staphylococcus epidermidis の試験結果で外挿可能(ZOI ≥ 10 mm)であると考える。また、Ishizuka

2009(CER 文献番号 8)では、CLABSI の 14 件が「Staphylococcus」と記載されておりそれ以上特

定されていないが、Staphylococcus 属のうち CRBSI・CLABSI を引き起こすものはそのほとんどが

Staphylococcus epidermidisかあるいはStaphylococcus aureusであることが判明している 57。よって、

Staphylococcus 属の全てについては本品で試験しなかったものの、 Staphylococcus 属は

Staphylococcus epidermidisかあるいはStaphylococcus aureusの試験結果で同じく外挿可能(ZOI ≥ 10

mm)であると考える。さらに、Yoshida 2010(CER 文献番号 3)では Corynebacterium による CLABSI

が1件報告されているが、ATCC(米国微生物系統保存機関)の情報によるとこれはExiguobacterium

mexicanum と同じである。よってこれも外挿可能(ZOI ≥ 10 mm)と考える。総括すると、本品は

本邦におけるカテーテル由来血流感染症(CRBSI)又は中心ライン関連血流感染症(CLABSI)の

起因菌の 69.9%(分離菌:221/316)に対し有効性を示しました(0 日の時点で ZOI ≥ 10 mm)(表

4.3.3.7-1 参照)。

試験報告書から、本品は Staphylococcus epidermidis 及び Staphylococcus aureusに対し、31 日目ま

で in vitro で有効性を保つ(ZOI ≥ 10 mm)ことが示された。上記で説明した外挿法から、この 2

つで本邦の起因菌の 49%を占めると言える(下表 4.3.3.7-1 の Staphylococcus epidermidis、

Staphylococcus aureus、Coagulase-negative staphylococci、及び Staphylococcus を合計した場合の割

合)。よって、本邦の起因菌の約 49%が本品により 31 日目までカバー可能であると予測できる。

また、本品は Enterococcus faecalis、MRSA、Stenotrophomonas maltophilia、及び Acinetobacter sp.

の起因菌についても、少なくとも 3 日目まで有効性を示した。一方で、下表 4.3.3.7-1 の 16.8%

(53/316)については、本品を用いた in vitro 試験を実施していないため、本邦における割合が低

いこれらの起因菌に対し有効性を示すかは確認できない。

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外国におけるカテーテル由来血流感染症(CRBSI)又は中心ライン関連血流感染症(CLABSI)の

起因菌についても、本品により何割程度がカバーできるか同様に評価した。臨床評価報告書(CER)

の文献を調査し、薬剤コーティングのない標準的な CVC から分離された菌のみ集計したのが下

表 4.3.3.7-2 である。同表には本品を in vitro で試験した結果(0 日の時点)も併せて示している。

その結果、本品は外国におけるカテーテル由来血流感染症(CRBSI)又は中心ライン関連血流感

染症(CLABSI)の起因菌の 58.5%(分離菌:83/142)に対し有効性示す(0 日の時点で ZOI ≥ 10 mm)

ことがわかった(表 4.3.3.7-2 参照)。これは上記の本邦におけるカバー率の 69.9%より若干低い

数字である。一方で、下表 4.3.3.7-2 の 30.3%(43/142)については、本申請品を用いた in vitro 試

験を実施していないため、外国における割合が低いこれらの起因菌に対し有効性を示すかは確認

できなかった。

本品を用いた in vitro 試験を実施した起因菌のうち、0 日の時点で有効性を示さなかったのは

Candida 菌のみである。Candida 菌に関しては表より、本邦における割合は 13.3%(42/316)であ

り、これは外国における割合の 11.3%(16/142)と同等の結果だった。

CRBSI 感染は、血管内に留置される中心静脈カテーテル(CVC)の先端にコロニーが形成される

ことから始まることが文献からわかっている 15。CVC 使用に伴う感染で最も多い機序は、皮膚常

在菌がカテーテル挿入部位から経路に侵入し、これによりカテーテルチップ(先端)にコロニー

が形成される場合である 15, 58。CVC 挿入後、カテーテル表面は瞬時に細胞外タンパク質の膜に覆

われ、この膜が微生物の付着を促し、バイオフィルムが形成される 59。これに対し、本品を使用

した場合は微生物の付着、及びバイオフィルムの形成を防御し低下させることで、CRBSI のリス

クをさらに低減することが可能になる 59。

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表 4.3.3.7-1 本邦における起因菌のまとめ

分類

起因菌

(薬剤コーティングのない標準的な

CVC から分離)

CER「12.1 添付資料 A」に記載の文献から分離された菌及びその数 a

(カッコ内は CER 文献番号及び用いられた感染定義) 各起因菌の

合計分離数

本申請品による 0日の in

vitro 試験結果 b Ishizuka 2009

(#8) (CRBSI)f Nagashima 2006

(#6) (BSI)

Yoshida 2010

(#3) (CLABSI)

Yoshida 2008

(#4) (CRBSI)

Imaizumi 2012

(#16) (CRBSI)

Kayashima 2012

(#9) (CLABSI)

Kondo 2000

(#19) (CRBSI)

グラム陽性菌

Staphylococcus epidermidis ‒ 19 ‒ 28 ‒ ‒ 3 50 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Enterococcus faecalis ‒ 3 3 3 2 ‒ ‒ 11 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Staphylococcus aureus ‒ ‒ 2 ‒ 10 ‒ 3 15 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Methicillin-resistant S. aureus (MRSA) ‒ 22 7 10 ‒ 3 ‒ 42 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Methicillin-sensitive S. aureus (MSSA) ‒ 7 ‒ 2 ‒ 2 ‒ 11 試験未実施

Corynebacterium ‒ ‒ 1 ‒ ‒ ‒ ‒ 1 ZOI ≥ 10 mm を満たす c

Coagulase-negative staphylococci ‒ ‒ 40 ‒ 27 9 ‒ 76 ZOI ≥ 10 mm を満たす d

Staphylococcus 14 ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ 14 ZOI ≥ 10 mm を満たす e

Bacillus 1 ‒ 9 6 5 ‒ ‒ 21 試験未実施

Propionibacterium avidum ‒ ‒ 1 ‒ ‒ ‒ ‒ 1 試験未実施

Streptococcus mitis ‒ ‒ 1 ‒ ‒ ‒ ‒ 1 試験未実施

グラム陰性菌

Klebsiella pneumonia ‒ ‒ ‒ 3 ‒ ‒ ‒ 3 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Pseudomonas aeruginosa 1 ‒ 2 4 ‒ 1 ‒ 8 試験未実施

Enterobacter 1 ‒ 5 2 ‒ ‒ ‒ 8 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Bacteroides 1 ‒ 2 ‒ ‒ ‒ ‒ 3 試験未実施

Citrobacter koseri ‒ ‒ 1 ‒ ‒ ‒ ‒ 1 試験未実施

Fusobacterium nulceatum ‒ ‒ 1 ‒ ‒ ‒ ‒ 1 試験未実施

Serratia marcescens ‒ 4 ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ 4 試験未実施

Proteus mirabilis ‒ ‒ ‒ 2 ‒ ‒ ‒ 2 試験未実施

Escherichia coli 1 ‒ ‒ ‒ ‒ 1 ‒ 1 ZOI ≥ 10 mm を満たす

真菌

Candida 1 ‒ 6 2 28 5 ‒ 42 ZOI ≥ 10 mm を満たさな

合計数 316

a 以下の文献は、評価から除外した。Tsuchida 2007(CER 文献番号 5)、Ishikawa 2010(CER 文献番号 2)、Morikane 2009(CER 文献番号 10):起因菌に関する記載が無いため除外。

Ishizuka 2009(CER 文献番号 7):患者集団が Ishizuka 2009(CER 文献番号 8)と重複するため除外。Ishihara 2008(CER 文献番号 18):感染の定義に関する記載が無いため除外。JANIS

2011(CER 文献番号 17)は科学ジャーナルの論文ではなく、さらに上位 5 位以降の起因菌が特定されていないため除外。 b 本品を用いた in vitro 試験では、Staphylococcus epidermidis に対し ZOI ≥ 10 mm を判定基準に用いる。 c ATCC(米国微生物系統保存機関)の情報によると、Corynebacterium は Exiguobacterium mexicanum と同じ。よって Exiguobacterium mexicanum を用いた試験結果を外挿できると考え

る。 d Coagulase-Negative Staphylococci(CNS)は、血流感染を引き起こすものの大多数が Staphylococcus epidermidis(9 割以上)であることが判明している。よって、CNS の全種について

試験しなかったものの、CNS については Staphylococcus epidermidis の試験結果を外挿できると考える。 e Staphylococcus 属のうち CRBSI・CLABSI を引き起こすものはほとんどが Staphylococcus epidermidis あるいは Staphylococcus aureusであると判明している 1。よって、Staphylococcus

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159

属の全てについて試験しなかったものの、Staphylococcus 属については Staphylococcus epidermidis あるいは Staphylococcus aureusの試験結果を外挿できると考える。 f 血液培養、又はカテーテルチップの培養における陽性反応をもって CRBSI と定義された。当該表に記したのは、血液培養により陽性と出た数字。

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160

表 4.3.3.7-2 海外における起因菌のまとめ

分類

起因菌

(薬剤コーティングのない標準

的な CVC から分離)

CER に記載の文献から分離された菌及びその数 a

(カッコ内は CER 項目番号及び用いられた感染定義) 各起因菌の

合計分離数

本申請品による 0 日の

in vitro 試験結果 b León 2004

(8.3.1.1-2)

(CRBSI)

Raad 1997

(8.3.1.2-1)

(CRBSI)

Weber 2012

(8.3.2-1)

(CABSI)

Hanna 2003

(8.3.2-3)

(CRBSI)

Wright 2001

(8.3.2-4)

(CRBSI)

Darouiche 2005

(8.3.3-1)

(CRBSI)

Hanna 2004

(8.3.3-2)

(CRBSI)

Chemaly 2010

(8.3.3-3)

(CRB)

グラム陽性菌

Staphylococcus epidermidis 7 6 4 ‒ 2 ‒ ‒ ‒ 19 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Enterococcus faecalis 1 1 3 ‒ 1 ‒ 1 ‒ 7 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Staphylococcus aureus ‒ ‒ 2 3 ‒ 1 4 ‒ 10 ZOI ≥ 10 mm を満たす

MRSA ‒ ‒ 3 ‒ ‒ ‒ 1 1 5 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Corynebacterium 1 ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ 1 ‒ 2 ZOI ≥ 10 mm を満たす c

Coagulase-negative staphylococci ‒ ‒ ‒ 16 ‒ 3 5 ‒ 24 ZOI ≥ 10 mm を満たす d

Vancomycin-sensitive enterococci ‒ ‒ ‒ 9 ‒ ‒ ‒ ‒ 9 試験未実施

Vancomycin-resistant enterococci ‒ ‒ ‒ 8 ‒ ‒ ‒ ‒ 8 試験未実施

Methicillin-Resistant

coagulase-negative staphylococcus ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ 3 3 試験未実施

その他のグラム陽性菌 ‒ ‒ ‒ 5 ‒ ‒ ‒ ‒ 5 試験未実施

グラム陰性菌

Klebsiella pneumonia 1 ‒ 4 ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ 5 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Pseudomonas aeruginosa 1 ‒ 2 3 ‒ ‒ 2 2 10 試験未実施

Acinetobacter species ‒ ‒ 1 ‒ ‒ 1 1 ‒ 3 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Enterobacter ‒ ‒ 1 2 ‒ 1 1 1 6 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Stenotrophomonas maltophilia ‒ ‒ 1 ‒ ‒ ‒ 1 2 4 ZOI ≥ 10 mm を満たす

Escherichia coli ‒ ‒ 1 2 ‒ ‒ ‒ ‒ 3 ZOI ≥ 10 mm を満たす

その他のグラム陰性菌 ‒ ‒ ‒ 2 ‒ ‒ ‒ ‒ 2 試験未実施

真菌

Candida ‒ ‒ 8 4 2 1 1 ‒ 16 ZOI ≥ 10 mm を満たさない

酵母

Saccharomyces cerevisiae ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ 1 ‒ ‒ 1 試験未実施

合計数 142

a Darouiche 1999(CER 文献番号 27)、Fraenkel 2006(CER 文献番号 39)、Marik 1999(CER 文献番号 42)、Chatzinikolaou 2003(CER 文献番号 25)、Ramos 2011(CER 文献番号 31):

薬剤コーティングのない標準的な CVC を使用していないため除外。Chelliah 2007(CER 文献番号 41):起因菌に関する記載が無いため除外。 b 本品を用いた in vitro 試験では、Staphylococcus epidermidis に対し ZOI ≥ 10 mm を判定基準に用いる。 c ATCC(米国微生物系統保存機関)の情報によると、Corynebacterium は Exiguobacterium mexicanum と同じ。よって Exiguobacterium mexicanum を用いた試験結果を外挿できると考え

る。 d Coagulase-Negative Staphylococci(CNS)は、血流感染を引き起こすものの大多数が Staphylococcus epidermidis(9 割以上)であることが判明している。よって、CNS の全種について

試験しなかったものの、CNS については Staphylococcus epidermidis の試験結果を外挿できると考える。

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161

4.3.3.8 臨床評価報告書における臨床データの概要

本品の安全性と有効性を評価するため、臨床使用に関する論文を MEDLINE/PubMED で電子検索

した。その結果、合計 19 報の文献が本品の臨床評価をする上で関連性があると判断した26-31,33-35,37-44,46。これらの文献で使用した機器、多様なエビデンスレベル及びその根拠について、

下記の表 4.3.3.8-1 に示した。

MEDLINE/PubMED で電子検索する際に使用した探索アルゴリズム(およびブール演算子)を以

下に示す。

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

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表 4.3.3.8-1. 臨床評価報告書に記載されている 19 報の文献のまとめ(*M/R=ミノサイクリン・リファンピシン)

カテーテル 臨床評価報告書の項

(文献数計=19)

カテーテル

シャフト

原材料

カテーテルへ

の M/R 塗布の

製造プロセス

エビデンスのレベル及び根拠

本品代表製品:

M/R-含浸ポリウレタ

ン製 CVC

(STED4.2 の「プロト

タイプ B(親水性コー

ティングなし)」と同

一)

8.3.1.1 M/R-含浸ポリ

ウレタン製 CVC を

用いた無作為化対照

試験

(文献数 = 3 ) ポリウレタン

含浸

エビデンス:Primary(主要)

根拠:カテーテルシャフトの原材料及び M/R 含浸プロセスが本品と同

一。カテーテル表面に限定すると、本品との唯一の差異は、これらの

試験で使用したほとんどの機器が遠位端に親水性コーティングが無

いことである。STED 4.2.2.6 および 4.2.2.7 項「In vitro 抗菌性能試験」

に基づくと、親水性コーティングの有無に関わらず、薬剤濃度および

抗菌性効果の判定基準は満たされる。従ってこれら 7報の臨床試験は、

本品の安全性及び有効性を裏付けるエビデンスレベルが最も高い。

8.3.2 M/R-含浸ポリ

ウレタン製 CVC を

用いたその他の臨床

試験

(文献数 = 4)

8.3.4 M/R-含浸 CVC

の調査研究

(文献数 = 2) ポリウレタン 含浸

エビデンス:Secondary(副次的)

根拠:これらの調査研究は M/R-含浸ポリウレタン製 CVC が臨床分離

菌のミノサイクリン及び/又はリファンピシンへの耐性を高めない

というエビデンスを提示している。

類似品:

M/R-被覆ポリウレタ

ン製 CVC

(STED 4.2 に本デバ

イスへの試験は含め

ていない)

8.3.1.2 M/R-被覆ポリ

ウレタン製 CVC を

用いた無作為化対照

試験

(文献数 = 2)

ポリウレタン 被覆

エビデンス:Supportive(補完的)

根拠:M/R をカテーテルに施す製造工程が本品の工程と異なる。この

類似品では M/R はデバイスの表面に被覆され、M/R 濃度は本品より

低い。これらの試験は CRBSI の発生率低減のため CVC に M/R を採用

する安全性及び有効性のエビデンスとして補完的な位置付けである。

類似品:

M/R-含浸シリコーン

製 CVC

(STED 4.2 に本デバ

イスへの試験は含め

ていない)

8.3.3 M/R-含浸シリ

コーン製 CVC を用

いた臨床試験

(文献数 = 3) シリコーン 含浸

エビデンス:Supportive(補完的)

根拠:カテーテルシャフトの原材料が本品と異なる(シリコーン製)。

この類似品の M/R濃度は本品の濃度より低い。これらの試験は CRBSI

の発生率低減のため CVC に M/R を採用する安全性及び有効性のエビ

デンスとして補完的な位置付けである。

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カテーテル 臨床評価報告書の項

(文献数計=19)

カテーテル

シャフト

原材料

カテーテルへ

の M/R 塗布の

製造プロセス

エビデンスのレベル及び根拠

本品代表製品:

M/R-含浸ポリウレタ

ン製 CVC

及び

類似品:

M/R-被覆ポリウレタ

ン製 CVC

8.3.5 ミノサイクリ

ン/リファンピシン

CVC のメタ解析

(文献数 =5) ポリウレタン 含浸及び被覆

エビデンス:Supportive(補完的)

根拠:全てのメタ解析が少なくとも 4 件の臨床試験を含み、その集合

体について複合的に結果が示されている。薬剤が含浸された CVC に

関するメタ解析では、主に本品の有効性についてのみ言及し、本品の

安全性については特に記載されていない。また、これらのメタ解析の

ほとんどは、薬剤が含浸された CVC か薬剤が被覆された CVC かを識

別していない。従って、全 5 報のメタ解析は補足的なエビデンスと見

なした。

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164

合計 19 報の文献のうち、主要(primary)なエビデンスであると考える 7 つの試験(CER の 8.3.1.1

項及び 8.3.2 項)は、いずれも M/R 含浸のポリウレタン製 CVC を他の抗菌薬使用又は非被覆の

CVC と比較したものであり、本品の有効性を裏付けていいる。これらとは別に、M/R 含浸のポリ

ウレタン製 CVC を使用した 2 つの後ろ向き調査研究(CER の 8.3.4 項)もあり、これらは本品の

有効性を裏付ける上で副次的(secondary)な証拠となり、本品がミノサイクリン及びリファンピ

シンへの臨床分離菌の耐性菌を増大させないことのエビデンスとなり得ると考える。一方、本品

の類似品である M/R 被覆ポリウレタン製 CVC を使って実施した 2 つの無作為試験(8.3.1.2 項)、

同じく類似品であるM/R含浸シリコーン製CVCを使って実施した 3つの試験(8.3.3項)は、CRBSI

発生リスクを低下させるために CVC にミノサイクリン・リファンピシンを使用することの安全

性及び有効性を裏付ける補完的(supportive)なエビデンスであると考える。最後に、M/R 含浸の

ポリウレタン製CVC及びM/R被覆ポリウレタン製CVCの両方を用いた臨床試験について複合的

に記載したメタ解析の文献が 5 つ存在し、これらも補完的(supportive)なエビデンスであるとみ

なす。

参考のため、以下に臨床評価報告書における 19 報の概要を掲載する。

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4.3.3.8.1 ミノサイクリン/リファンピシン含浸ポリウレタン製 CVC を用いた無作為化対照試験

(CER の 8.3.1.1 項に掲載)

4.3.3.8.1-1: Darouiche RO, Raad II, Heard SO, et al.

A comparison of two antimicrobial-impregnated central venous catheters(2 種類の 抗菌剤含浸の

中心静脈カテーテルの比較)

N Engl J Med. 1999;340(1):1-8. (CER 8.3.1.1-1 項、文献番号 27)

目的: ミノサイクリン/リファンピシン(M/R)含浸の CVC とクロルヘキシジン/スルファジ

アジン銀(CH/SS)含浸 CVC を用い、CVC コロニー形成率 及び CRBSI の発生率を比較する。

方法: この多施設共同、二重盲検、無作為化対照試験は 1995 年 12 月から 1997 年 7 月の間に実

施され、いずれもポリウレタン製トリプルルーメンの M/R 含浸カテーテル(Cook Spectrum, Cook

Critical Care, Bloomington, IN)あるいは CH/SS 含浸カテーテル(ARROWgard Blue, Arrow

International, Reading, PA)が比較された。この試験は米国内の 12 の大学附属病院で実施された。

CVCを 3日以上継続して留置することが予測されていた高リスクの成人患者にCVCを留置した。

全てのカテーテルは 7Fr 径、20 cm 長であった。

CVC は高度バリアプリコーションで鎖骨下静脈、頸静脈、大腿静脈から挿入された。挿入部位は

CVC 挿入時及びドレッシング交換の都度 10% のポビドンヨードで消毒された。週 3 回ドレッシ

ングは交換され、挿入部位を観察した。患者は CVC が抜去されるまで毎日評価された。CVC は

必要が無いと判断された時、あるいは有害事象の発生で抜去が必要な場合 (すなわち CVC 関連

の感染症、あるいは CVC 閉塞)の際に抜去された。

無菌的に抜去した CVC の先端部と皮下のセクションからおのおの 4cm を切除し、ロールプレー

ト法で培養し、その後に超音波処理法で培養した。実施 4 施設で、カテーテル挿入時及びカテー

テル抜去時に得られた周辺皮膚のスワブ培養を得た。CVC 関連の感染が疑われた場合は、カテー

テル抜去前あるいは抜去直後に 1 つ以上の末梢血のサンプルを得て培養した。回収された微生物

は標準の微生物分析で特定された。さらに CRBSI 患者の血液、CVC、および皮膚の培養物から分

離した菌については、反復成分ポリメラーゼ連鎖反応、すなわち DNA 指紋法によってタイプ分

類された。M/R 含浸 CVC が抗生物質耐性の発現を引き起こすかどうかを評価するために、標準

微量液体希釈法で、2 つのタイプの CVC から分離した菌について最小抑制濃度及び最小殺菌濃度

を決定した。

CVC コロニー形成の定義は、ロールプレート法で CVC 先端あるいは 皮下セグメント から 15

以上の コロニー形成単位 (CFU)が分離されるか、超音波処理法で 1,000 を超える CFU の分離

が認められる場合とした。CRBSI の定義は、敗血症の臨床的徴候があり、他に明確な血流感染源

をもたないない患者において、コロニー形成した CVC と患者の末梢血から同一の微生物(すな

わち、同一の抗菌剤感受性を持つ同一種)が分離されることとされた。

結果: 合計で 865 本の CVC が 817 名の患者に使用された。そのうち完全なデータで評価できた

のは、356 本の M/R 含浸 CVC 及び 382 本の CH/SS 含浸の CVC であった。評価が可能であった

2 つの患者群における、患者背景、留置期間及び抜去理由には差異がなかった。

CVC コロニー形成は CH/SS 含浸 CVC の 22.8% (87/382) から、また M/R 含浸 CVC の 7.9%

(28/356)から検出された (p < 0.001)。コロニー形成率は M/R 含浸 CVC が CH/SS 含浸 CVC より

有意に低く、CVC 挿管期間 7 日以内では (6.0% 対 21.4%、p < 0.001) また 8 日以降は (10.8%

対 24.4%、p < 0.002) であった 。CH/SS 含浸 CVC の CVC コロニー形成率は M/R 含浸 CVC と

比較し、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(18% 対 4%、p < 0.001)、グラム陽性 桿菌(2% 対 0.3%、

p = 0.04)及びグラム陰性菌 (4% 対 1%、p = 0.007)についていずれも有意に高かった。

しかし 黄色ブドウ球菌 (1% 対 0%)、腸球菌 (2% 対 2%)及びイースト菌 (2% 対 3%)

のそれぞれのコロニー形成率については、統計学的差異が認められなかった。

CH/SS 含浸 CVC を留置した患者では 13 例の CRBSI が発生した。うち 2 例は CRBSI により死

亡した。一方、M/R含浸CVCを留置した患者では、CRBSIの発生は1例であった (3.4% 対0.3% 、

p < 0.002)。留置期間が 7 日を超えた CVC において、CRBSI の発生率は CH/SS 含浸 CVC が

M/R 含浸 CVC より有意に高かった(11/172、6.4% 対 1/139、0.7%、p = 0.01)。1,000 カテー

テル日当たりの CRBSI 発生率は M/R 含浸 CVC が 0.3 例、CH/SS 含浸 CVC が 4.1 例であった

(p < 0.001)。M/R 含浸 CVC 群では、大便連鎖球菌が原因となった CRBSI が 1 件発生した。一

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166

方、CH/SS 含浸 CVC 群では、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (8 件)、メチシリン耐性 黄色ブ

ドウ球菌、バンコマイシン耐性大便連鎖球菌 、 エンテロバクタークロアカ、肺炎かん菌及び緑

膿菌 (各 1 件) による CRBSI が発生した。

多変量のロジスティック回帰モデルを使用した解析で、CH/SS 含浸 CVC の使用は CVC コロニ

ー形成及び CRBSI の明らかな因子であると特定された。

2 群の CVC からの分離された表皮ブドウ球菌、及び腸球菌の分離株における、ミノサイクリン及

びリファンピシンに対する感受性は類似性のあることが微量液体希釈法で確認された。Spectrum

CVC 挿入前と抜去後の皮膚から同一の微生物が分離したの 2 症例(表皮ブドウ球菌 1 件、腸球

菌 1 件)では、ミノサイクリンあるいはリファンピシン感受性の変化はいずれも検出されなかっ

た。

2 つのタイプの含浸 CVC の使用に関連した、局所的あるいは全身性の過敏性反応は、いずれも発

生しなかった。

結論: M/R 含浸ポリウレタン製 CVC の使用は、CH/SS 含浸 CVC の使用より有意に低い CVC

コロニー形成、と CRBSI 発生率をもたらすと結論づけられる。

考察: この大規模、無作為化対照試験から、M/R 含浸 CVC の使用によって対照機器である CH

/SS 含浸 CVC の使用より CVC コロニー形成および CRBSI 発生率が有意に低かったことが明

らかとなった。CH/SS 含浸 CVC は薬剤含浸なしの標準型 CVC に比べ、CRBSI 発生を低下さ

せるのに有効であることがわかっているため 42, 48、M/R 含浸 CVC の有効性を評価する対照機器

として適切である 。

さらにこの試験では M/R 含浸 CVC の使用は、臨床分離菌における抗生物質耐性の発現と関連性

をもたらさなかった。また患者の限局的及び全身の過敏症反応とも関連性がなかった。全体とし

て、これらのデータは Spectrum CVC の使用の安全性及び有効性を裏付けている。

4.3.3.8.1-2: León C, Ruiz-Santana S, Rello J, et al.

Benefits of minocycline and rifampin-impregnated central venous catheters: a prospective,

randomized, double-blind, controlled, multicenter trial. (ミノサイクリン / リファンピシン含浸

の 中心静脈カテーテルの利点:前向き、無作為化、二重盲検の対照、多施設共同試験)

Intensive Care Med. 2004; 30(10):1891-1899. (CER 8.3.1.1-2 項、文献番号 38)

目的: CVC コロニー形成、CRBSI 及び CVC の感染症の発生率について、ミノサイクリン /リ

ファンピシン(M/R)含浸の CVC と含浸なしの対照 CVC とを比較する。

方法: この前向き、無作為化、二重盲検、対照、多施設共同試験は 1999 年 11 月から 2002 年 4

月までの期間における、集中治療室の患者への M/R 含浸 CVC 群と薬剤含浸なしの対照 CVC の使

用群を比較したものである。この試験はスペインの7ヵ所の教育実習病院で行われた。全てのCVC

は 7Fr 径でトリプルルーメンの ポリウレタン製カテーテルであった (Cook Critical Care,

Bloomington, IN)。高度バリアプリコーションで、 鎖骨下静脈あるいは内頸静脈の新規の静脈穿

刺部位より CVC が挿入された。挿入部位は CVC 挿入時及びドレッシング交換の都度 10% のポ

ビドンヨードで消毒した。ガーゼドレッシングの交換ならびに挿入部位の観察は週 3回行われた。

患者は CVC が抜去されるまで毎日評価された。CVC の必要がなくなった時点、あるいは有害事

象の発生により抜去が必要になった時点で CVC を抜去した。

無菌的に抜去した CVC から先端部と皮下のセクションからおのおの 4cm をカットし、ロールプ

レート法で培養し、その後に超音波処理法で培養した。CVC コロニー形成は ロールプレート法

で 15 以上の CFU を、あるいは超音波処理法で 100 以上の CFU を先端部あるいは皮下セグメン

トで形成することと定義された。

CRBSI の疑いのある患者については、CVC 抜去時に 2 つ以上の末梢血液と、静脈に投与した薬剤

のサンプルを回収して培養した。CRBSI は敗血症の臨床徴候のある患者で、他に血液感染源が考

えられない患者において、CVC セグメントと、1 つ以上の末梢血液の培養から同一菌株が分離す

ることと定義された。制限エンドヌクレアーゼで消化されたゲノム DNA のパルスフィールドゲ

ル電気泳動法を使用して、CRBSI 患者から分離した微生物の分子を確認した。

結果: 患者は M/R 含浸 CVC 群 (n = 228)、あるいは対照 CVC 群 (n = 237)に無作為割付け

された。また小数の好中球減少患者が対照群で治療された。しかしベースラインでのその他の患

者特性は、治療群間で同一とした。両治療群は、挿入したカテーテルの長さ、ICU での合併症罹

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167

患率、及び 30 日間の合併症罹患率共に同一であった。

M/R 含浸 CVC のコロニー形成率は、対照 CVC より有意に低かった(相対危険度 (RR) = 0.57、

95% の信頼区間 (CI) 0.4~0.82)。コアグラーゼ陰性ブドウ球菌のコロニー形成は対照 CVC に

おいて M/R 含浸 CVC より多く発生した。一方 カンジダ種のコロニー形成は M/R 含浸 CVC にお

いて対照 CVC より多く発生した。1,000 カテーテル日当たりの CVC 先端部のコロニー形成は、

ロールプレート法、超音波法のいずれにおいても、M/R 含浸 CVC が対照 CVC より有意に低かっ

た(10.4 対 24、相対リスク = 0.43、 95%の CI = 0.26~0.73)。1,000 カテーテル日当たりの皮

下の CVC セグメントのコロニー形成は、ロールプレート法で M/R 含浸 CVC が対照 CVC より

有意に低かったが(10.4 対 25.1、 RR = 0.41、 95% CI= 0.25~0.7)、超音波処理法では有意な差

異は見られなかった(13.5 対 21.4、RR = 0.63、 95% CI 0.39~1.04)。

1,000 カテーテル日当たりの CRBSI 発生率は 、M/R 含浸 CVC 群の患者が対照 CVC 群の患者よ

り低かったが、発生率におけるこの差異は、統計学的に有意ではなかった(3.1 対 5.9、RR = 4.87、

95% CI =1.07~22.2)。M/R 含浸 CVC の使用に関連する CRBSI の 6 例は、原因細菌がコアグラ

ーゼ陰性ブドウ球菌 (n = 1)、大便連鎖球菌 (n = 1)、セラチア・マルセッセンス(n = 2)、

肺炎桿菌 (n = 1)、及びカンジダアルビカンス(n = 1)によるものであった。対照 CVC の使用

に関連する CRBSI の 11 件は 、原因細菌が表皮ブドウ球菌 (n = 7)、大便連鎖球菌(n = 1)、

コネリバクテリウム種 (n = 1)、肺炎かん菌(n = 7)、及び緑膿菌(それぞれ 1 例)であった。

17 例の内 7 例は DNA 分子のタイプが、血液、皮膚及びカテーテルから培養された微生物におい

ていずれも同一であったことが確認された。10 例は、サンプルの保管が適切でなかったために分

析できなかった。

1,000 カテーテル日あたりの CVC 関連の感染合併症発生率(CRBSI + 挿入部位の化膿)は、非

経口栄養患者 (n = 135)において CVC 群間で有意な差が見られた。CVC 関連の感染症による合

併症発生率は、M/R 含浸 CVC で 0.5 件の感染症/1,000 カテーテル日であり、一方、対照 CVC

では 5.3 件の 感染症/1,000 カテーテル日であった(RR = 0.1、95% = 0.01~0.76)。発生率のこ

の差は主に CVC 関連の感染症による合併症発生率が、脂肪乳剤の非経口栄養を投与された患者

において、対照 CVC 群の値が高かったことに起因するものであった。

結論: 薬剤含浸無しの対照 CVC に比較して、M/R 含浸ポリウレタン製 CVC の使用は CVC コロ

ニー形成率を有意に低下させる結果となった。CRBSI 発生率は CVC 群間で有意差は認められな

かった。

考察: この無作為化、二重盲検対照試験は、一般に認められた CRBSI の代替指標である CVC

コロニー形成率において、M/R 含浸 CVC が薬剤含浸無しの対照 CV より低かったことを立証し

た。1,000 カテーテル日当たりの CRBSI 発生率は、M/R 含浸 CVC の患者群が対照 CV の患者群

より低かった。しかしこの試験は 2 つの CVC 群間の CRBSI 発生率について、統計学的な差を評

価するだけの十分な検出力を有していなかった。治験実施医師は検出力の分析を試験開始に先立

って行っているが、分析は試験中に実際に発生した CRBSI 率より高い予測でおこなわれた。著者

はこの試験のほぼ全ての患者は免疫正常者であり、大腿静脈から挿入された CVC が 1 本もなか

ったことに注目している。この 2 つの要因が CRBSI 発生を低下させ、それ故、2 つの患者群の間

の CRBSI 発生率に統計的優位差が出ることを妨げたものと思われる。

非経口栄養投与患者において、1,000 カテーテル日当たりの CVC 関連臨床的感染症の合併症発生

率(CRBSI + 挿入部位の化膿)は対照 CVC 群で M/R 含浸 CVC 群より有意に高かった。

CVC コロニー形成率は、一般に認められた CRBSI の代替指標である。本試験は CVC 群間の

CRBSI 発生率について、統計学的な差を正確に評価するには検出力が低かった。しかし、CVC

コロニー形成については M/R 含浸 CVC が対照 CV より有意に低く、M/R-含浸 CVC は CRBSI

のリスクを低下する可能性があると言える。全体として本試験は Spectrum CVC の使用の安全性

及び有効性を裏付けている。

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4.3.3.8.1-3: Fraenkel D, Rickard C, Thomas P, et al.

A prospective, randomized trial of rifampicin-minocycline-coated and

silver-platinum-carbon-impregnated central venous catheters. (ミノサイクリン/リファンピシン

被覆中心静脈カテーテルとスルファジアジン銀含浸の 中心静脈カテーテルを用いた 前向き、無

作為化試験)*

Crit Care Med. 2006;34(3):668-675. (CER 8.3.1.1-3 項、引用文献 39)

*注:本著者らは本カテーテルをミノサイクリン/リファンピシン被覆と述べているが、本臨床

試験実施時期には、ミノサイクリン/リファンピシン含浸カテーテルのみが流通していたため、

本試験にはミノサイクリン/リファンピシン含浸のポリウレタン製 CVC が使用されたと考えら

れる。

目的: ミノサイクリン /リファンピシン (M/R)含浸 CVC、及び銀/プラチナ/カーボン(SPC)

含浸 CVC の使用に関連する CVC コロニー形成及び CRBSI 発生率を比較する

方法: この前向き、単一施設、無作為化試験により、M/R 含浸 CVC(Spectrum、Cook Critical Care、

Bloomington, IN)あるいは SPC 含浸 CVC(Vantex、Edwards Lifesciences、Irvine, CA)のいずれか

の CVC の留置に割り付けた、集中治療室の患者における CVC コロニー形成率、及び CRBSI 発

生率の比較を行った。この試験はオーストラリア、ブリスベンの大規模メトロポリタン高度専門

病院で行われた。70%アルコール/0.5% クロルヘキシジンで皮膚を消毒した後に高度バリアプリ

コーションで CVC が挿入された。挿入部位の選択は鎖骨下静脈が第一選択、それに続いて内頸

静脈および大腿静脈が選ばれた。透明な半透水性のポリウレタン製ドレッシングを使用し、無菌

的に週 1 回、あるいは汚染や劣化が認められた場合に交換した。

CVC は必要がなくなった時点、あるいは CVC 関連の敗血症が疑われた時点で抜去した。CVC は

無菌的に抜去し、CVC 先端部 4cm をロールプレート法及び超音波法で培養した。CVC コロニー

化は ロールプレート法で 15 以上の CFU を、あるいは超音波処理法で 1,000 以上の CFU を形成

することと定義された。

培養血液のため CVC 抜去時に周辺の静脈穿刺により、あるいは新規の CVC 挿入時に採血を行っ

た。 CVC 関連の菌血症はその特性によって「確定」(すなわちパルスフィールドゲル電気泳動

法でクローン的に識別された同一の微生物が、コロニー形成が認められた CVC セグメントと血

液の両方から確認され、かつその微生物は菌血症源の可能性のあるその他の部位で一切確認され

ないこと)、あるいは 「疑いがある」とに分類された。また「疑いがある」は、「タイプ 1 」

(パルスフィールドゲル電気泳動法でクローン的に識別された同一の微生物が、コロニー形成を

認めた CVC セグメントと血液から確認されている。CVC は最も可能性の高い菌血症感染源であ

り、同一の微生物のコロニー形成が確認されているが、その他の部位で感染をを起こしていない)、

「タイプ 2」(コロニー形成した CVC、敗血症の臨床的徴候、薬剤含浸 CVC 抜去後の解熱、菌

血症は検査確認されていない)、及び「タイプ 3 」(菌血症、敗血症の臨床的徴候、薬剤含浸

CVC 抜去後の解熱、CVC コロニー形成は検査確認されていない)とした。

抗菌剤耐性は標準の NCCLS 法で判定した。

結果: 合計で 646 本の CVC (319 本の M/R CVC、及び 327 本の SPC CVC)が留置された。574

本 (89%)の CVC(280 本の M/R CVC 及び 294 本の SPC CVC)に対し微生物学的な評価が実

施された。CVC コロニー形成率は、M/R 含浸 CVC が SPC 含浸 CVC より有意に低かった(8.9%

対 14.6%、 p = 0.039)。カテーテル由来の確定菌血症 (すなわち CRBSI)は 両方の CVC 群と

も低い頻度であった(M/R CVC で 1.4%、4 件に対し、SPC CVC で 1.7%、5 件)。カテーテル

由来の確定菌血症例の原因菌は、M/R 含浸 CVC では肺炎桿菌、エンテロバクタークロアカ、緑

膿菌、及びカンジダグラブラータ、また SPC 含浸 CVC では黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、

大便連鎖球菌、エンテロバクタークロアカ、及びセラチア菌属であった。カテーテル由来の確定

菌血症と疑いがある菌血症の症例を併せると、M/R 含浸 CVC の使用で 20 件 (7.1%)、SPC 含

浸 CVC の使用で 28 件(9.5%)、であった (p = 0.366)。

結論: M/R 含浸 CVC は、SPC 含浸 CVC よりコロニー形成率が低かった。しかしカテーテル由

来の菌血症の発生率については、両 CVC 間で同等であった。

考察: この無作為化対照試験では、一般に認められた CRBSI の代替指標である CVC コロニー形

成率において、M/R 含浸 CVC が SPC 含浸 CVC より低いことが示された。また CRBSI の発生率

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が両群とも低かったため、本試験は M/R 含浸 CVC 及び SPC 含浸 CVC の CRBSI 発生率につい

て、統計学的な差を正確に評価するには検出力が低かった。さらに本試験では CRBSI の定義に“臨

床的徴候のある感染症があること”を含めていない。M/R 含浸 CVC 使用した他の無作為化対照試

験 25 ,26, 44-46では殆どの場合、CDC による CRBSI の定義である“臨床的徴候のある感染症があるこ

と”を規定しており、この点が他の試験と大きく異なっている。注目点として、本試験では薬剤非

含浸CVCを対照CVCに含めなかったため、標準非含浸CVCに対する抗菌剤含浸 CVC のCRBSI

発生率を比較できないことである。この試験においては M/R 含浸 CVC の使用に関連する安全性

の懸念は報告されていない。全体としてこれらのデータは Spectrum CVC の使用の安全性及び有

効性を裏付けるものである。

4.3.3.8.2 ミノサイクリン/リファンピシン含浸ポリウレタン製 CVC を用いたその他の臨床試

験(CER の 8.3.2 項に掲載)

4.3.3.8.2-1: Weber MJ, Sheridan RL, Fagan S, et al.

Incidence of catheter-associated bloodstream infection after introduction of minocycline and

rifampin antimicrobial-coated catheters in a pediatric burn population. (熱傷治療の小児患者群

におけるミノサイクリン/リファンピシン 抗菌剤含浸カテーテル使用に対するカテーテル関連

の血流感染症の発生)*

J Burn Care Res. 2012; 33:539-543.(CER 8.3.2-1 項、文献番号 37)

*注:本著者らは本カテーテルをミノサイクリン/リファンピシン被覆と述べているが、本臨床

試験実施時期においては、ミノサイクリン/リファンピシン含浸カテーテルのみが流通していた

ため、本臨床試験にはミノサイクリン/リファンピシン含浸ポリウレタン製 CVC(本申請品)が

使用されたと考えられる。

目的: ミノサイクリン/リファンピシン (M/R) 含浸 CVC が小児の熱傷治療の患者に対して、中

心ライン関連血流感染症(CABSI)の発生を低下させるかどうかを評価する 。

方法: この試験は、後ろ向き単一施設のコホート試験であり、2006 年 1 月から 2008 年 12 月ま

でに熱傷、あるいは他の開放創と診断され、当該施設へ入院し、ダブルルーメンあるいはトリプ

ルルーメンの CVC を中心静脈に挿入する必要のあった全ての小児患者を対象とした(他の開放

創とは、熱傷の治療と同様の治療を要する中毒性表皮剥離症、壊疽性筋膜炎、ブドウ球菌性熱傷

様皮膚症候群及び外傷性開放創)。この試験は米国メトロポリタン小児病院で行われた。

2007 年 7 月以降は、この患者集団には M/R 含浸 CVC が限定して使用された。よって、対照群

は 2006 年 1 月から 2007 年 6 月までに非含浸 CVC が使用された全ての患者、試験群は 2007 年 7

月から 2008 年 12 月までに M/R 含浸 CVC が使用された全ての患者とした。

CVC は両群ともに 7 日ごとに定期的に交換された。CVC 交換は通常は新しい部位に穿刺し、ガ

イドワイヤーによる交換は頻繁には行なわれなかった。また、カテーテル由来の感染症が確定さ

れた場合、あるいは疑わしい場合、また CVC の継続使用を損なう機械的な合併症が生じた場合

に CVC を交換した。挿入の臨床診療には高度バリアプリコーションの使用、手指消毒、及び CVC

不必要の可能性と抜去の可能性の評価を毎日行うことが含まれた。カテーテルの挿入の局所的グ

ルコン酸クロルヘキシジンの使用は、2006 年 9 月より導入された。

CABSI は「検査で確認された血流感染症」とする疾病対策予防センター(CDC)の定義に基づき、

診断された。

結果: 2006 年 1 月から 2007 年 6 月までに、患者 66 名に対し 252 本の薬剤被覆無し CVC が合計

1,780 カテーテル日使用された。2007 年 7 月から 2008 年 12 月までに、患者 75 名に対し 263 本

の M/R 含浸 CVC が合計 1,633 カテーテル日使用された。この 2 群は患者背景 (すなわち年齢、

熱傷の割合、熱傷患者数、過去の熱傷のある患者数、非熱傷患者数)及び CVC 関連 (すなわち

挿入部位、挿入方法、ルーメンの数)に関して同等の特性を有していた。

CABSI に関連性のある M/R 含浸 CVC の割合は、薬剤被覆無し CVC より有意に低かった(4.9%

に対し 9.9%。p = 0.032)。さらに、1,000 カテーテル日 当たりの CABSI 発生率についても同様

に、M/R 含浸 CVC 群が有意に低かった (8.0 に対し 14.0。p = 0.047)。一方、M/R 含浸 CVC の

留置日数は、薬剤被覆無し CVC より 1 日短かった (7.1 日に対し 6.2 日。p = 0.0001)。

感染症の発生率の低減が CVC 留置日数の短さに起因するものかを判定するために、CVC の留置

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が 4日を超える患者の感染症発生率についても評価した。CABSIに関連性のあるCVCの割合は、

M/R 含浸 CVC 群が薬剤被覆無し CVC 群より有意に低かった(3.9% に対し 9.2%、p = 0.03)。

また 1,000 カテーテル日あたりの CABSI 発生率についても M/R 含浸 CVC 群が有意に低かった

(5.7 に対し 12.3、p = 0.046)。

2006 年に開始した CVC の診療の変化が結果に影響を与えたかどうかを判定するために、2006 年

1 月から 8 月までに検査確認された血流感染発生率と 2006 年 9 月から 2007 年 6 月までの発生率

とを比較した。その結果、この 2 つの期間における検査確認された血流感染発生率は統計学的差

異が見られなかった。

2 つの CVC 群間で、カンジダ性の検査確認された血流感染発生率の差はなかった。しかし、菌に

起因し検査確認された血流感染発生率については、薬剤被覆無し CVC が M/R 含浸 CVC より顕

著に高かった (73% 対 47%)。

結論: 小児の熱傷患者集団において、M/R 含浸 CVC の使用は薬剤被覆無し CVC の使用と比較

して、CABSI の発生を有意に低下させた。

考察: ヒストリカル・コントロールを用いた、この後ろ向きコホート試験では、M/R 含浸 CVC

で治療した患者群と薬剤被覆無し CVC で治療した患者群における CABSI 発生率を比較した。こ

の文献の著者は治験機器を「薬剤被覆 CVC」として 、デバイスの製造業者名を明らかにしてい

ないが、ミノサイクリン/リファンピシンを使用した CVC の製造業者は Cook 社のみであること

から(すなわち Spectrum CVC)、当該試験の実施期間に入手可能であった Spectrum CVC のバ

ージョンはミノサイクリン/リファンピシンを含浸した製品である。CVC を構成している原材料

についても記述されていなかったが、CVC の使用日数が 7 日以下であったことから、ポリウレタ

ン製である可能性が高い。 従って、この試験のデータは、Spectrum CVC の臨床使用に関するデ

ータであると考えられる。

試験のデザインに関し、いくつかの弱点も指摘している。本試験はもともと後ろ向きであるため、

患者は CVC 群分けに関して無作為化されていない。とはいえ治験実施医師は時間の経過と共に

変化した臨床診療が CABSI の転帰に影響を及ぼしているかについてデータを検証して判定して

いる。薬剤被覆無し CVC は M/R 含浸 CVC より留置日数が長い傾向にあるため、治験実施医師は

CVC 留置日数についても CABSI の転帰に影響を及ぼしているかについてデータを検証して判定

している。

M/R 含浸 CVC の使用に関する多くの試験と異なり、本試験は CRBSI (カテーテル関連血流感染

症)ではなく CABSI (中心ライン関連血流感染症)を検証している。CRBSI ではカテーテルが感

染源として特定されなければならない。血流感染症の中には中心静脈ライン以外の感染源(膵炎、

粘膜炎)からの続発性のものもあるが、容易に確認できないこともあり、CABSI の定義では正真

の CRBSI の発生率より過大に見積もられる可能性がある。

薬剤被覆無し CVC と比較して、M/R 含浸 CVC の使用は小児の熱傷患者集団において CABSI の

発生を有意に低下させた。全体として、これらのデータは含浸タイプの Spectrum CVC の使用の

安全性及び有効性を裏付けている。

4.3.3.8.2-2: Chelliah A, Heydon KH, Zaoutis TE, et al.

Observation trial of antibiotic-coated central venous catheters in critically ill pediatric patients. *(重

篤疾患の小児患者へ使用した 抗生物質被覆の中心静脈カテーテルの観察試験)

Pediatr Infect Dis J. 2007; 26:816-820. (CER 8.3.2-2 項、文献番号 41)

*注:本著者らは本カテーテルをミノサイクリン/リファンピシン被覆と述べているが、本臨床

試験実施時期においては、ミノサイクリン/リファンピシン含浸製品のみが流通していたため、

本臨床試験にはミノサイクリン/リファンピシン含浸のポリウレタン製 CVC が使用されたと考

えられる。

目的: ミノサイクリン /リファンピシン (M/R)含浸 CVC、あるいは薬剤被覆無し CVC で治療

を受けた重篤疾患の小児患者における中心ライン関連血流感染症(CABSI)の発生、合併症の発

生率及び感染症を微生物学的に比較する。

方法: この前向き単一施設試験は、2003 年 9 月から 2004 年 10 月まで小児集中治療室(PICU)

の症例について実施した。本試験は米国の学究的な小児病院内の専門治療施設で行われた。PICU

に入院中に、トンネル形成ではなく、経皮的に CVC を留置した全ての小児を対象とした。ただ

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し試験は試験期間中の各患者の初回の PICU の入院、かつ初回の CVC 留置のみを対象にし、2 回

目以降の PICU 入院及び/または CVC 留置は除外した。患者に対し薬剤被覆の無い CVC、また

は M/R 含浸 CVC (Cook Critical Care, Bloomington, IN)が非差別的に使用された。即ち、PICU

の医師は、サイズとルーメン数に基づいて留置用の CVC を選択した。PICU の自動振り分け機械

はサイズ及びルーメン数によって、薬剤被覆無し CVC のみ、あるいは M/R 含浸 CVC のみが選択

されるように在庫管理されていた。CVC は必要ないと判断されるまで、あるいは有害事象(CABSI

あるいはラインの閉塞)の発生で抜去が必要になるまで留置された。CVC のタイプは留置時に医

師によって記録され、患者の CABSI の発生が前向きに監視された。

主要転帰は検査確認された CABSI の発生であり、疾病対策予防センターの全米医療安全ネット

ワーク (National Healthcare Safety Network)の規定に基づいたものである。CABSI を発症した患

者については、最初に陽性判定された血液培養検査の時期を記録した。副次的転帰は血栓症であ

り、CVC 先端部の超音波検査時に出現したエコー密度によって確認された。超音波検査は CVC

ルーメンの機能不全を起こした患者に対して行われた。

結果: 合計で 263 本の CVC が、患者 225 名に留置された。38 本の CVC は、当該患者の PICU

入院での最初の留置 CVC ではなかったか、あるいは 2 回目以降の PICU 入院での留置であったた

めに分析から除外した。従って 225 本の CVC(69 本の M/R 含浸 CVC、156 本の薬剤被覆無し

CVC)が本分析に使用された。年齢、CVC 留置部位の解剖学的形態、及び PICU 入院時の疾患の

重篤度における患者背景には、群間で差がなかった。しかしながら薬剤被覆無し CVC を受けた

患者は、外傷によって入院しているケースがより多かった (16% 対 6%、p = 0.05)。CVC の大

多数(86%、193/225)は大腿静脈に留置された。

M/R 含浸 CVC を留置した患者に発生した CABSI は 4 件、薬剤被覆無し CVC を留置した患者に

発生した CABSI は 8 件であった。1,000 カテーテル日当たりの CABSI の発生件数について、群

間で有意な差は認められなかった(M/R 含浸 CVC:7.53 件に対し、薬剤被覆無し CVC:8.64 件、

p = 1.0)。また CABSI を発生した患者の臨床特性について、CVC 群間で違いはなかった。CABSI

を発生した患者の感染に至るまでの時間の中央値については、M/R 含浸 CVC では、薬剤被覆無

し CVC より 3 倍長かった(18 日対 5 日、p = 0.053)。

超音波検査で確認された CVC 遠位先端部の血栓は、患者 5 名に発生した(うち 2 名は M/R 含浸

CVC 、3 名は薬剤被覆無し CVC )。局所的反応の発現は 1 件も観察されなかった。

分離菌株の抗菌剤耐性のタイプについては、M/R 含浸 CVC 患者と薬剤被覆無し CVC 患者の間で

は明らかな違いは見られなかった。

結論: M/R 含浸 CVC 及び薬剤被覆無し CVC について CABSI の発生率に違いは見られなかっ

たものの、M/R 含浸 CVC の使用は PICU 入院患者の CABSI の発現を遅らせる可能性が認められ

た。

考察: この前向き単一施設のコホート試験は、13カ月間のM/R含浸CVC及び薬剤被覆無しCVC

に関連する CABSI の発生率を比較したものである。患者は CVC 群分けにおいて無作為化されて

いないが、CVC は非差別的に選択され留置された。当該施設では、CABSI 発生率の違いを評価

することができるだけの十分な検出力を有する試験を実施するには、多数の症例が必要となるで

あろうことを考慮して、無作為化治験は実行可能ではないと予め決定していた。M/R 含浸 CVC と

薬剤被覆無し CVC において CABSI の発生率に違いは認められなかったが、M/R 含浸 CVC の使

用により PICU 入院患者の CABSI の発現が遅くなった。

当試験では CRBSI (カテーテル関連血流感染)ではなく CABSI (中心ライン関連血流感染)

を検証している点は重要である。CABSI とは、血流感染の発生に先立つ 48 時間以内に中心静脈

ラインが留置されており、その他の部位の感染とは血流的な関連性の無い患者における一次的な

血流感染と定義される。一方、CRBSI ではカテーテルが感染源として特定されなければならない。

血流感染症の中には中心静脈ラインの他の感染源(膵炎、粘膜炎)からの続発性のものもあるが、

容易に確認できないこともあり、CABSI の定義では正真の CRBSI の発生率より過大に見積もら

れる可能性がある。

本試験では血栓の発生率と局所的皮膚の反応についても検証している。M/R 含浸 Spectrum CVC

は薬剤被覆無し CVC と比較し、血栓の発生率、あるいは局所的皮膚の反応率の増加との関連は

無かった。さらに、2 つの CVC 群間では抗菌剤耐性に明らかな違いは見られなかった。

これらのデータは Spectrum CVC の使用の安全性及び有効性を裏付け、また Spectrum CVC が重

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篤疾患の小児患者における CABSI の発現を遅らせる可能性を示唆している。

4.3.3.8.2-3: Hanna HA, Raad II, Hackett B, et al.

Antibiotic-impregnated catheters associated with significant decrease in nosocomial and

multidrug-resistant bacteremias in critically ill patients. (抗生物質含浸カテーテルによる重篤患

者における院内感染多剤耐性菌の有意な低下)

Chest. 2003;124(3):1030-1038.(CER 8.3.2-3 項、文献番号 29)

目的: ICU 入院癌患者群におけるミノサイクリン /リファンピシン (M/R)含浸 CVC による院

内血流感染(BSI)発生率、合併症罹患率、及び死亡率を評価する 。

方法: この前向き単一施設の調査研究は 1997年 9月から 1999年 8月まで米国の高度専門病院の

外科 ICU 及び内科 ICU にて行われた、2 相から成る試験である。1997 年 9 月から 1998 年 8 月ま

で(= FY1998 年)の時期はほぼ全ての症例に薬剤被覆無し CVC(Arrow International 社, Reading,

PA)が使用され、1998 年 9 月から 1999 年 8 月まで(= FY1999 年) の時期はほぼ全ての症例

に M/R 含浸 CVC(Cook Critical Care, Bloomington, IN)が使用された。全てのカテーテルは 20cm

長あるいは 25 cm 長のカフ無し、ダブルまたはトリプルルーメンのポリウレタン製 CVC であっ

た。全ての CVC は高度バリアプリコーションで留置され、挿入部位は CVC 挿入時及び 3 日ごと

のドレッシング交換の都度 10% のポビドンヨードで消毒した。CVC の抜去と培養検査の実施決

定は、主治医が行った。患者がカテーテル部位に膿性分泌物または発熱を伴う局所的炎症を起こ

したとき、あるいは血液培養の結果が陽性であるなしにかかわらず、その炎症が抗生物質による

治療から 48 時間継続し、かつ CVC 以外に感染源の無い場合に、CVC を抜去し培養を行った。

感染症の疑いのある患者から CVC を抜去した後、CVC 先端 4cm をカットしてロールプレート法

で培養した。CVC コロニー形成は、いかなる微生物であれ CVC 先端部 4cm のセグメントから

15 以上の CFU を分離することと定義された。CVC から培養された微生物及び血液は微生物分析

法で判定された。ミノサイクリン及びリファンピシンの最低抑制濃度はバンコマイシン耐性腸球

菌 (VRE) の分離株によって決定された。VRE の分離株に対する M/R 含浸 CVC の抗菌剤活性

作用についても改良 Kirby-Bauer 法で試験した。

院内主要血流感染(BSI)は、ICU 入院した重篤患者において、入院 48 時間経過した後に認めら

れた発熱、悪寒など感染症の臨床的徴候を伴い、血液培養検査の陽性判定で CVC 以外に BSI 感

染源が無い場合と定義された。一方、確定カテーテル由来 BSI は、CVC 以外に明確な BSI 感染源

の無い患者において、当該患者の末梢血の培養から分離された微生物が、15 以上の CFU を形成

した CVC から分離した微生物と同一の抗菌剤感受性を有する同一種であることが確定された院

内血流感染(BSI)と定義された。局所的 CVC 部位感染は、CVC 挿入口の炎症あるいは化膿を

認めた場合と定義された。カテーテル関連感染症には、CRBSI の全てと CVC 部位の局所的感染

症が含まれる。

結果: 内科 ICU には FY1998 年に患者 653 名が、また FY1999 年には患者 764 名がそれぞれ入

院した。一方、外科 ICU には、FY1998 年に患者 1128 名が、また FY1999 年に患者 1,585 名が入

院した。M/R含浸 CVC の使用は両 ICU において FY1998年から FY1999年まで顕著に増加した。

内科 ICU での M/R 含浸 CVC の使用は、FY1998 年においては全 CVC の 1% であったが、FY1999

年においては全 CVC の 96% にまで増加した。同様に外科 ICU での M/R 含浸 CVC の使用は、

FY1998 年の 4% から FY1999 年には 72% まで増加している。抗生物質の使用は、1000 患者日当

たりのグラム換算で FY1998 年と FY1999 年は同等であった。予防薬としての抗生物質は FY1999

年より FY1998 年に頻繁に使用された。

内科 ICU 及び 外科 ICU での院内 BSI の発生率は、1,000 患者日当たり FY1998 年の 6.3 件から

FY1999 年の 2.2 件 に低下した (p = 0.02)。この 院内 BSI の低下には CVC 由来感染症の有意

な減少が含まれる(1,000 患者日当たり 3.2 から 0.6 、p < 0.001)。 FY 1999 年における CVC 由来

感染症の減少は、1,000 患者日当たり 3.1 から 0.7 であった(p = 0.02)。また CRBSI 発生率は 1,000

患者日当たり 1.4 から 0.46 に減少し (p = 0.04)、局所的 CVC 感染は 1,000 患者日当たり 1.8 か

ら 0.12 に減少した (p < 0.001)。さらに院内バンコマイシン耐性腸球(VRE)の菌血症も有意に減

少した。FY1999 年の ICU 滞在日数についても、内科 ICU 及び 外科 ICU いずれの患者において

も有意に減少した(内科 ICU : p < 0.01 ;外科 ICU: p = 0.03) 。また入院日数についても、FY1999

年に 外科 ICU 患者において有意に減少した (p < 0.01)。

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VRE 分離株の抗生物質感受性についても評価され、試験が可能であった 7 株の VRE 分離菌のう

ち、6 株はミノサイクリンまたはリファンピシンに対する感受性を有しおり、1 株の分離菌はミ

ノサイクリン に対して中等度の感受性、リファンピシンに対しては耐性を有していた。

結論: 内科 ICU 及び 外科 ICU での M/R 含浸 CVC の使用により、院内 BSI、VRE 菌血症、CVC

由来感染、及び ICU 滞在日数それぞれに対し有意な減少が示された。

考察: この前向き単一施設の調査研究は、内科 ICU 及び 外科 ICU における M/R 含浸のポリウ

レタン製 CVC の使用が、院内 BSI、VRE 菌血症、CVC 由来感染それぞれの発生率の有意な減少、

及び ICU 滞在日数、入院日数の有意な減少に影響を及ぼすかどうかを判定するためにデザインさ

れた。M/R 含浸 CVC は FY1999 年に使用された唯一のタイプの CVC というわけではないが、 内

科 ICU で使用された CVC の 96%、また外科 ICU で使用された CVC の 72% が M/R 含浸 CVC で

あった。注目すべきは、M/R 含浸 CVC の使用を広範に採用するようになって以降、院内 BSI、

VRE 菌血症、CRBSI 及び CVC 部位の局所的感染症を含む CVC 由来の感染症それぞれの発生率

の全てが有意に減少したことである。治療に用いられた抗生物質の使用は試験の時期をとおして

変化がなかった。従って抗生物質使用の変化で感染症発生率が低下したという可能性は低い。試

験に関するその他に要素についても、広範な M/R 含浸 CVC の採用以外に感染症発生率の低下に

関連する事象はなかった。

VRE 分離株のミノサイクリン及びリファンピシンへの感受性について試験が行われた。試験が可

能であった 7 件の VRE 分離株のうち、6 株は ミノサイクリン 及び/またはリファンピシンに対

して感受性があり、1 株はミノサイクリン に対して中等度の感受性を有したが、リファンピシン

に対しては耐性があった。VRE 分離株のミノサイクリン及びリファンピシン 感受性 についての

試験のデータは、M/R 含浸 CVC が広範に採用されるより以前には揃っていなかった。注目すべ

きは VRE 菌血症が M/R 含浸 CVC の広範な採用で有意に減少したことから、CVC 上のミノサイ

クリンとリファンピシンが抗生物質耐性発現に選択圧を加えていなかった点である。本試験の弱

点の 1 つは、その他の菌分離株のミノサイクリン とリファンピシンへの感受性については試験

していないことである。

全体として、これらのデータは Spectrum CVC の使用の安全性及び有効性を裏付けている。

4.3.3.8.2-4: Wright F, Heyland DK, Drover JW, et al.

Antibiotic-coated central lines: do they work in the critical care setting? (抗生物質被覆の中心静脈

ライン:救急救命医療現場で効果を表すか)*

Clinical Intensive Care. 2001; 12:21-28.(CER 8.3.2-4 項、文献番号 46)

*注:本著者らは本カテーテルをミノサイクリン/リファンピシン被覆と述べているが、本臨床

試験実施時期においては、ミノサイクリン/リファンピシン含浸カテーテルのみが流通していた

ため、本臨床試験にはミノサイクリン/リファンピシン含浸のポリウレタン製 CVC が使用され

たと考えられる。

目的: ミノサイクリン/リファンピシン (MR) 含浸 CVC の使用が CVC コロニー形成率、及び

CRBSI の発生率、抗菌剤耐性の発現に影響するかを評価する。

方法: この単一施設ヒストリカル対照の試験では、集中治療室に入院し人工呼吸器を使用し、中

心静脈カテーテルを留置した連続患者群において、CVC コロニー形成、CRBSI、抗菌剤耐性につ

いて、M/R 含浸 CVC 導入前と導入後の比較を行った。本試験はカナダの大学附属高度専門病院

の内科/外科 ICU にて行われた。1998 年には薬剤被覆無し CVC (Arrow マルチルーメン CVC、

Arrow International 社, Reading, PA, USA) が使用され、CVC コロニー形成、及び血流感染症の疑い

についてのデータを前向きに収集した。1999 年 2 月には、M/R 含浸のトリプルルーメン CVC

(Spectrum, Cook Critical Care, Bloomington, IN) が通常使用として ICU に導入され、標準的な調査

が継続して行われた。全期間を通し、CVC 挿入法や維持管理に関する変更はなかった。CVC は

高度バリアプリコーションで挿入し、管理が行われた。挿入部位にはポビドンヨウ素軟膏付き透

明ドレッシングあるいはガーゼドレッシングが当てられ、ドレッシング交換は 72 時間ごとに定

期的に行われた。 CVC 挿入部位及び周辺の皮膚は 12 時間ごとに、炎症、腫れ、圧痛、あるいは

抜去の可能性について観察/評価した。CVC は必要性がなくなった時、菌血症と診断された時、

または CVC が閉塞した時に抜去された。ヘパリンによるフラッシュは ICU では実施されなかっ

た。

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菌血症の疑いのあるときは、CVC を抜去し先端部を培養した。血液培養は 2 ヵ所以上から採取し

た。CVC 先端部はロールプレート法で培養された。中心静脈ライン関連血流感染の定義は、末梢

血液培養の陽性反応と CVC 先端部からのものと同一の微生物(同一種で同一の抗菌剤感受性を

有する)が分離され、かつ菌血症の徴候があって、他に菌血症の感染源の無い場合とされた。

CVC から回収された微生物の抗菌剤感受性は、好気性グラム陽性球菌については Vitek GPI カー

ドを、またグラム陰性菌については GNI カードを用い、自動微生物培養液希釈法を用いて判定さ

れた。1998 年には抗生物質感受性は 15 を超える CFU が分離された場合に評価されたが、1999

年には数の如何に関わらず、回収された全ての微生物について評価された。

CVC の閉塞についてのデータは 1998 年には収集されていなかった。1999 年には、内腔の閉塞が

以前より頻発していることがわかり、CVC 閉塞のデータが 1999 年 6 月から 8 月にかけて組織的

に集められた。

試験は当初は 1999年末まで続く予定であった。しかしM/R含浸 CVC の閉塞が多発したために、

開始後 6 ヵ月で打ち切られた。

結果: 1998 年には、267 本の CVC が延べ 1,701 日間使用され、96 本(36%)の CVC 先端部

が培養に供された。1999 年の 2 月から 7 月までに、142 本の CVC が延べ 803 日使用された。 74%

(105/142) の CVC は M/R 含浸 CVC であった。105 本中 51 本の M/R 含浸 CVC が培養に供さ

れた。薬剤被覆無し CVC 及び M/R 含浸 CVC 共に、留置期間は平均で 6 日間であった。1998 年

と 1999 年には菌の発生は、同一割合(55%)で検出された。培養された薬剤被覆無し CVC 96 本

のうち、CVC 先端部から 15 を超える CFU が検出された本数は 32 本(33%)であり、一方、培

養された M/R 含浸 CVC では 23/51 本 (45%)であった。15 以上の CFU が CVC に形成された患者

の特性は、両年度とも類似していた。先端部に 15 を超える CFU が検出され培養された CVC の

うち、M/R含浸CVC 23本中 7本、及び 4 /32 本の薬剤被覆無しCVCにはカンジダ種 (5% 対 4%、

p = 0.03)のコロニーが形成されていた。

1998 年には 3 例の CRBSI が発生し、感染率は 1.8 件/1,000 カテーテル日であった。原因微生

物は 1 例が大便連鎖球菌、2 例がカンジダ種であった。1999 年 2 月から 8 月にかけては 3 件の

CRBSI が発生し、感染率は 3.7 件/1,000 カテーテル日であった。原因微生物は MRSA、エンテ

ロバクターコアグラーゼ、およびカンジダアルビカンスであった。CRBSI の発生率は、この 2 年

間で有意な差異はなかった(p > 0.10)。

表皮ブドウ球菌 のコロニーはリファンピシンに対して 1998 年には 3 例/12 例(25%)で耐性が

あり、1999 年には 8 例/8 例(100%)で耐性があった (p = 0.005)。他の微生物に対しては感受

性の型の変化はみられなかった。

1999 年 6 月から 8 月までの期間に挿入された 55 本の M/R 含浸 CVC のうち 25 本が閉塞した。大

半の閉塞 (80%) は遠位側のポートで生じた。この試験は患者ケアの障害となる閉塞が高率で発

生したために、早期に中止された。

結論: 本試験では、M/R 含浸 CVC の使用により、CVC コロニー形成 あるいは CRBSI の発生

率の低下には影響を与えなかった。

考察: M/R 含浸のポリウレタン製 CVC を使用した他の試験とは異なり、この小規模、単一施設

のヒストリカル対照試験は、当該集中治療室での M/R 含浸 CVC の使用には臨床的利得が無かっ

たことを示唆している。

本試験は CVC 閉塞の多発により早期に中止されたため、本報告書に提示されているデータを過

不足なく評価することは困難である。1999年 6月から 8月までの期間に使用されたM/R含浸CVC

のほぼ半数(45%, 25/55)が CVC 内の凝血塊発生のために抜去しなければならなかった。著者ら

はヘパリンによるCVCフラッシュが、当該の ICUでは標準の手順に含まれていなかったことが、

CVC 血栓化の高発生率の原因である可能性を指摘している。注目すべき事項として、発表された

他のより大規模の試験の報告書では、M/R 含浸 CVC あるいは M/R 含浸 ポリウレタン CVC の閉

塞率は非常に低く、2~3%という成績が報告されている 25, 46 。

本試験では、標準の薬剤被覆無し CVC と比較して M/R 含浸 CVC の使用による CVC コロニー形

成あるいは CRBSI の発生の低下との関連性は示されなかった。本試験では菌血症の疑いのある

症例で患者から抜去された CVC のみ培養されているのに対し、通常の M/R 含浸 CVC あるいは

M/R 含浸 CVC の使用についての無作為化対照試験についての発表文献では、抜去後全ての CVC

を培養している。本試験では M/R 含浸 CVC の一部のみを培養していることから M/R 含浸 CVC

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が CVC コロニー形成率 の減少に関連性があるかどうかを明確に判定することはできない。さら

に、医療従事者は使用する CVC のタイプについては盲検化されていなかったので、バイアスが

かかった可能性、あるいは M/R 含浸 CVC をより多く抜去しがちな傾向があった可能性もある。

さらにカテーテル閉塞は細菌コロニー形成と関係があることから、カテーテルコロニー形成につ

いてM/R含浸 CVCにバイアスがかかった可能性がある。1998年に留置後培養された CVCでは、

ほとんど 50%に達する M/R 含浸 CVC が培養された一方、標準の薬剤被覆無し CVC で培養され

たのは 36%にとどまった。

著者はまた標準の薬剤被覆無し CVC に比較して M/R 含浸 CVC のカンジダ種のコロニー形成率

が有意に高いこととの関連性についても示唆している。コロニー化した CVC の中で、 23 本中 7

本の M/R 含浸 CVC 及び 32 本中 4 本の標準の薬剤被覆無し CVC に カンジダ種のコロニーが

形成されていた(25% 対. 4%, p = 0.03)。しかしながら、カンジダ種の CRBSI はほとんど診断

されておらず、カンジダ種は 1998 年には 2 例の CRBSI の原因微生物、1999 年では 1 例の原因微

生物であった。そのなかで著者は 1999 年のカンジダ CRBSI の症例が が M/R 含浸 CVC の使用

と関連性があるかについて言及していない。1999 年には、使用された CVC の大半は M/R 含浸

CVC であったが、全てが M/R 含浸 CVC であったわけではない。

1999 年に計算された CRBSI 発生率は、M/R 含浸 CVC 及び標準の薬剤被覆無し CVC のいずれも

対象であったようである 。試験では 142 本の CVC が延べ 803 日使用され、うち 105 本 の CVC

は M/R 含浸 CVC であった。著者は 1999 年の 2 月から 8 月までに 3 例の CRBSI が発生し、CRBSI

発生率は 3.7 件/1000 カテーテル日であったと述べている。著者はこれら 3 例全ての CRBSI が

M/R 含浸 CVC を受けた患者に発生したかどうかについては言及していない。

また著者は M/R含浸CVCはリファンピシン耐性のある表皮ブドウ球菌の発生率の増加に関連が

ある可能性も示唆している。1 年~1 年半の間に、20 例の表皮ブドウ球菌の分離株のみがリファ

ンピシン耐性について評価されたが、断定的な結論はそのような少ない検体数では下すことはで

きない。しかもリファンピシン耐性の定義は報告書に提示されていないためなおさらである。表

皮ブドウ球菌のリファンピシンへの耐性菌は 8 本の M/R 含浸 CVC にコロニーを発生させたが、

その表皮ブドウ球菌の分離株によって CRBSI が生じなかったことは注目に値する。CVC 上のミ

ノサイクリンの 顕在は制菌効果として作用し細菌の発生率を抑えた可能性がある。重要な点は、

この他のどの分離株も本試験ではリファンピシン あるいはミノサイクリンに耐性がなかったこ

とである。さらに、 Spectrum CVC の使用についての他のどの試験も Spectrum CVC の使用とリ

ファンピシン 及び/またはミノサイクリン の耐性との関連性を特定した試験はなかったこと

である 25, 28, 30, 43, 45-47。

本試験では M/R 含浸 CVC が血栓性の閉塞を起こしやすい傾向を示唆し、 CVC コロニー形成率

あるいは CRBSI 発生率を低下することはないとしているが、本試験以前に発表された試験、ある

いは以後の試験で同様の結論を出している報告は無い。この M/R 含浸 CVC についての小規模の

単一施設試験はデザインが粗雑なために異例であると思われ、Spectrum CVC 使用の安全性及び有

効性を表すものではない。

4.3.3.8.3 ミノサイクリン/リファンピシン含浸 CVC の調査研究(CER の 8.3.4 項に掲載)

4.3.3.8.3-1: Chatzinikolaou I, Hanna H, Graviss L, et al.

Clinical experience with minocycline and rifampin-impregnated central venous catheters in bone

marrow transplantation recipients: efficacy and low risk of developing staphylococcal resistance.

(骨髄移植受容者におけるミノサイクリン/リファンピシン含浸の中心静脈カテーテルの臨床

経験:有効性及びブドウ球菌耐性発現の低リスク )

Infect Control Hosp Epidemiol. 2003; 24(12):961-963.(CER 8.3.4 項、文献番号 25)

目的: M/R 含浸 CVC の使用が抗生物質耐性の発現を引き起こす可能性について、またブドウ球

菌類による血流の初感染率を低下させるかについて、骨髄移植患者を対象に評価する。

方法: 本後ろ向き単一施設の調査研究では、米国の高度専門病院において、M/R 含浸 CVC の導

入後 4 年間における、ブドウ球菌による血流の初感染率、及びブドウ球菌類における抗生物質耐

性の発現の有無を評価した。M/R 含浸 CVC を受けた骨髄移植患者からのデータを、M/R 含浸 CVC

を受けなかった白血病患者からのデータと比較した。

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ブドウ球菌による血流の初感染率に対する M/R 含浸 CVC の影響を調べるために、骨髄移植 およ

び 白血病の治療で 2001 年 7 月 から 12 月 までの間に入院した全患者の記録から、ブドウ球菌

による血流の初感染率を抽出した。使用した全ての M/R 含浸 CVC はトンネル使用を行わないシ

リコーン製あるいはポリウレタン製のカテーテルであった。ブドウ球菌による血流の初感染の定

義は、黄色ブドウ球菌の血液培養で陽性反応 1 つ、あるいは 50 を超えるコロニー形成、または

他に明らかな臨床的原因がなく、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌の血液培養で 2 つ以上の陽性反応

があるものとされた。

M/R 含浸 CVC の使用による抗生物質耐性の発現への影響を調べるために、2011 年 7 月 から 12

月 までの間にブドウ球菌による血流の初感染に罹患した患者から収集した全てのブドウ球菌の

細菌分離株を検査した。M/R 含浸 CVC を留置した骨髄移植患者から回収した分離株を M/R 含浸

CVC を留置しなかった白血病患者から回収した分離株と比較した。また、これらのデータを同

一施設で 1990 年から 1992 年まで、すなわち M/R 含浸 CVC 導入より 5~7 年前に治療を受けた患

者からのブドウ球菌のカテーテル由来 BSI の分離株であるヒストリカル対照群と比較した。ミノ

サイクリンへの耐性は MIC90 ≥ 16 mg/L 及びミノサイクリン感受性は MIC90 ≤ 4 mg/L、リファン

ピシンへの耐性は MIC90 ≥ 4 mg/L 及びリファンピシン感受性は MIC90 ≤ 1 mg/L と定義した。

結果: 試験期間中に患者 212 名が骨髄移植を受け、患者 460 名が白血病の治療を受けた。 全て

の骨髄移植患者、及び 90%の白血病患者に CVC が留置された(p < 0.001)。カテーテル使用の平

均期間は 骨髄移植患者の方が白血病 患者より有意に長かった(112 ± 53 日 対 102 ± 63 日、 p

= 0.03)。リファンピシン投与量の平均は群間で同一であったが、骨髄移植の治療ではテトラサ

イクリンの集中使用が多かった(1 日服用量:7.5 ± 8 対 4 ± 3、p = 0.02)。

試験期間中に 14 例のブドウ球菌 BSI(3 例の 黄色ブドウ球菌 感染、11 例のコアグラーゼ陰性

ブドウ球菌感染)が骨髄移植群に発生し、53 例のブドウ球菌 BSI (4 例の黄色ブドウ球菌感染

及び 49 例のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌感染)が白血病群に発生した。骨髄移植群のブドウ球

菌による初感染 BSI 発生率は 1,000 患者日当たり 1.2 件であったが、これは白血病群の 1,000 患

者日当たりの 5.4 件と比較すると有意に低い (p = 0.003)。全てのブドウ球菌種の分離株は ミ

ノサイクリンへの感受性を認めたが、骨髄移植治療からの分離株 1 つと白血病治療からの 9 つの

分離株はリファンピシン耐性を認めた (p = 0.7)。4 年間、約 600 本の M/R 含浸 CVC による

27,600 カテーテル日の骨髄移植治療群において、ブドウ球菌微生物のミノサイクリン/リファン

ピシンに対する感受性のパターンは、M/R 含浸 CVC が院内に導入される以前である 5~7 年間に

報告されたものと類似であった。

結論: M/R 含浸 CVC の使用によりブドウ球菌による初感染 BSI の発生率が低下すること、なら

びにミノサイクリン/リファンピシン耐性発現のリスクは極めて低いことが示された。

考察: この後ろ向き、単一施設調査研究では、骨髄移植患者において、M/R 含浸 CVC の使用は

ブドウ球菌による血流の初感染の発生率の低下をもたらし、ミノサイクリン/リファンピシン

に対する耐性に対しては極めて低リスクであると結論付けられた。ブドウ球菌による血流の初感

染率について、6 ヵ月間にわたり 2 つの群を比較した。骨髄移植患者には M/R 含浸 CVC を使用

し、一方で白血病患者には M/R 含浸 CVC を使用しなかった。シリコーン製、およびポリウレタ

ン製両方の CVC が使用された。M/R 含浸 CVC の使用は 、その他の CVC の使用に比較して、一

次ブドウ球菌血流感染率を有意に下げると結論づけた。

M/R 含浸 CVC の使用による抗生物質耐性発現に対しては、極めて低リスクと考えられる。腎臓

移植患者及び白血病患者からの臨床的ブドウ球菌分離株のミノサイクリン/リファンピシンの

感受性については統計学的な有意差は見られなかった。さらに感受性パターンは M/R 含浸 CVC

の使用が導入される以前である 5~7 年前に試験した分離株と類似していた。

総括すると、これらのデータは Spectrum CVC の使用の安全性及び有効性を裏付けていると考え

られる。

4.3.3.8.3-2: Ramos ER, Reitzel R, Jiang Y, et al.

Clinical effectiveness and risk of emerging resistance associated with prolonged use of

antibiotic-impregnated catheters: more than 0.5 million catheter days and 7 years of clinical

experience. (抗生物質含浸カテーテルの長期使用に関連する臨床的有効性と耐性発現のリスク:

50 万超のカテーテル日 ならびに 7 年間の臨床経験)

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Crit Care Med. 2011; 39(2):245-251.(CER 8.3.4-2 項、文献番号 31)

目的: 重篤患者に対する中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)率、また病院全体と集中治療室

における抗生物質耐性に関する、ミノサイクリン/リファンピシン (M/R) 含浸 CVC の使用の

効果を評価する。

方法: この後ろ向き調査研究は、米国の大学附属病院癌センターで 1999 年から 2006 年の期間の

重篤患者における CLABSI の発生率について評価した。ポリウレタン製の M/R 含浸 CVC が内科

ICU(MICU)に初めて導入されたのは 1999 年であった。シリコーン製 M/R 含浸 CVC は ICU 以

外(例: 幹細胞移植及び黒色腫の治療)でも高リスク症例にて使用されてきた。感染症予防の

管理として、鎖骨下からの挿入を優先し、CVC 挿入時には手指消毒を含む完全バリアプレコーシ

ョンを用い、不必要な CVC の抜去を実施した。また 2004 年以前は、皮膚は 70% のアルコール

及び 10% のポビドンヨードで消毒していたが、2004 年以降はクロルヘキシジンで消毒するよう

になった。

MICU での M/R 含浸 CVC の使用には、以下の 4つの段階があった。FY1998年は M/R 含浸 CVC、

および感染症予防のためバンドル戦略による管理を導入する前であった。FY1999 年~2000 年は

初めてM/R含浸 CVC が導入され、M/R 含浸 CVCの使用のコンプライアンスは MICU 患者の 50%

に達した。FY2001 年~FY2002 年は M/R 含浸 CVC の使用が中止され感染症予防のバンドル戦略

が初めて導入された。そして FY2003 年~FY2006 年になると、M/R 含浸 CVC と感染症予防管理

策が必須になり、薬剤被覆無し CVC は使用されなくなった。

CLABSI(中心静脈ライン関連血流感染症) は中心静脈ラインを留置してから、あるいは抜去後

48 時間以内に生じた原発性の血流感染と定義された。MICU の CLABSI は、患者が MICU に入

院後 48 時間以内に診断された CLABSI と定義された。

テトラサイクリン及びリファンピシンに対する抗生物質感受性を、院内の癌患者が感染した全て

の黄色ブドウ球菌、及びコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の分離株について判定した。抗生物質感受

性 は E 試験 (AB Biodisk North America Inc., Culver City, CA)及び BACTEC (Becton-Dickson,

Sparks, MD)で判定された。ミノサイクリンへの耐性は、最低抑制濃度 (MIC)が≥16 mg/L、ミ

ノサイクリンへの感受性は MIC ≤ 4 mg/L とされた。またリファンピシンへの耐性は MIC ≥ 4

mg/L 、リファンピシンへの感受性は MIC90 <1 mg/L とされた。さらに 社会獲得型関連のメチシ

リン耐性 黄色ブドウ球菌 (MRSA USA 300) の抗生物質の感受性と院内関連の MRSA(MRSA

USA 100)の抗生物質の感受性とを比較した。

結果: 1999 年から 2006 年までに、9200 本の M/R 含浸 CVC が病院全体で延べ 511,520 カテーテ

ル日使用された。留置の中央値はポリウレタン製 M/R 含浸 CVC が 7 日(範囲:1 日~21 日)、

シリコーン製 M/R 含浸 CVC が 38 日 (範囲 2 日~420 日)であった。CVC 使用の適用期間は 、

本試験の 4 段階の期間を通して変動がなかった。試験期間中にリファンピシンの全身投与は 36%

増加し(1,768 g から 2,403 g)、 またミノサイクリンの全身投与は 141% 増加した(406 g から

981 g)。

試験期間中に、患者 8,009 名が MICU に入院した。FY1998 年には、MICU における CLABSI の

発生は 1000 患者日当たり 8.3件であった。FY1999年~2000年にはM/R含浸 CVC の導入で M/R

含浸CVC使用のコンプライアンスが 50% になったことで CLABSIは FY1999年には 50%減少し、

1000 患者日当たり 3.5 件になった。また FY2000 年には 69% 減少し、1000 患者日あたり 2.6 件

になった。FY2001 年~FY2002 年には、MICU で M/R 含浸 CVC の使用は 一時中止となり、感染

症予防管理策が運用された。その結果 FY2001 年に MICU の CLBSI 発生率は 1000 患者日当た

り 3.9 件に増加、また FY2002 年には 1000 患者日あたり 4.9 件に増加した。FY2003 年~FY2006

年の期間には M/R 含浸 CVC の使用と感染症予防管理策の両方が行われ た。FY2003 年には、

MICU の CLABSI 発生率は FY2001 年~FY2002 年から 73%減少(1000 患者日あたり 4.9 件から

1.3 件 )、また FY1998 年からは 84% 減少(1000 患者日あたり 8.3 件から 1.3 件)。 MICU の

CLABSI 発生率は FY2003 年~FY2006 年では同等に推移し、FY2006 年には 1000 患者日あたり

MICU の CLABSI 発生率は 1.2 件であった。

1999 年から 2006 年の間に、院内の癌患者への感染原因とされた 8,254 のコアグラーゼ陰性ブド

ウ球菌分離株と 11,183 の黄色ブドウ球菌分離株を臨床微生物ラボで評価した。 1999 年から

2006 年の間に、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌分離物のテトラサイクリンへの耐性は病院全体で、

また ICU でそれぞれ有意に低下した(それぞれ p < 0.001、p < 0.04)。 黄色ブドウ球菌 のテト

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ラサイクリンへの耐性も院内全体、ICU でおのおの有意に低下したが、低下率は院内全体ではよ

り顕著であった。同時期にコアグラーゼ陰性ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌 のリファンピシン

耐性も有意に低下あるいは、安定を維持した。被試験の 4,626 件の MRSA 分離株の中で、テトラ

サイクリン耐性は 42% 低下し(p = 0.015)、またリファンピシン耐性は 67% 低下した(p < 0.01)。

MRSA USA 300 株の増加はしばしばみられたが、MRSA USA 100 株と MRSA USA 300 株の間で

ミノサイクリン/リファンピシン感受性 に違いは見られなかった。

結論: M/R 含浸 CVC は MICU 内の CLABSI 発生率をそれ自体で独自に有意に低下させ、また感

染症予防管理策を補完するものとしても CLABSI 発生率を有意に低下させるものであった。M/R

含浸 CVC の長期使用はブドウ球菌分離株のテトラサイクリン及びリファンピシンへの耐性の増

加とは関連していないことが示された。

考察: この単一施設、後ろ向き調査研究は7年間のM/R含浸CVCの使用でどのように CLBSI 発

生率が変化したか、またブドウ球菌類の臨床分離株の抗生物質耐性が変化したかを調べたもので

ある。本研究ではシリコーン製およびポリウレタン製両方の CVC が使用された。総括すると、

M/R 含浸 CVC の使用は CLABSI の発生率を有意に低下させた。注目すべきは、この低下は独自

の効果によるものであり、この他の感染症予防管理策を補完するということである。

また重要な点は、ミノサイクリンまたはリファンピシンへの耐性を有するブドウ球菌分離株の割

合は、この試験期間を通して同レベル又は低下している点である。これらのデータから、M/R 含

浸 CVC の使用でブドウ球菌分離株の中に抗生物質への耐性が高まることはないということが示

された。

総括すると、これらのデータは Spectrum CVC の使用の安全性及び有効性を裏付けている。

4.3.3.8.4 ミノサイクリン/リファンピシン被覆ポリウレタン製 CVCを用いた無作為化対照試験

(CER の 8.3.1.2 項に掲載)

4.3.3.8.4-1: Raad I, Darouiche R, Dupuis J, et al.

Central venous catheters coated with minocycline and rifampin for the prevention of

catheter-related colonization and bloodstream infections: a randomized, double-blinded trial. (カテ

ーテル由来のコロニー形成及び血流感染予防のためのミノサイクリン /リファンピシン含浸の

中心静脈カテーテル:無作為化二重盲検臨床試験)

Ann Intern Med. 1997; 127(4):267-274.(CER 8.3.1.2-1 項、文献番号 30)

目的: CVCコロニー形成と CRBSI防止に対するミノサイクリン/リファンピシン (M/R)被覆の

CVC の有効性を評価する

方法: 1994 年 9 月から 1995 年 3 月までの多施設、二重盲検、無作為化対照試験により、入院患者

に M/R 被覆 CVC と薬剤被覆無し対照 CVC を使用し比較を行った。この試験は米国 5 ヵ所の大学

附属病院で行われた。カテーテルはすべてポリウレタン製 7Fr、20cm 長のトリプルルーメンであ

った。CVC 挿入は高度バリアプリコーションで行った。CVC 挿入時、及びドレッシング交換時

は挿入部位をクロルヘキシジングルコン酸塩または 10% ポビドンヨードで消毒した。72 時間ご

とに挿入部位の感染の兆候を観察した。

無菌的に抜去した CVC から先端部と皮下のセクションからおのおの 4cm をカットし、ロールプ

レート法で培養、その後に超音波処理法で培養した。加えて、CVC 挿入時及び CVC 抜去した後

24 時間以内に挿入部位から細菌サンプルを得た。全ての回収微生物は標準微生物法で特定した。

留置 CVC から分離された菌に対して改良 Kirby-Bauer 法を用い、M/R 被覆の CVC の抗菌作用を

テストした。M/R 被覆の CVC から分離されたブドウ球菌の阻害ゾーンを薬剤被覆なし対照 CVC

から分離されたブドウ球菌の阻害ゾーンと比較した。CVC 先端部、皮下セグメント及び皮膚の挿

入部位からそれぞれ分離されたブドウ球菌に対するミノサイクリン塩酸塩及びリファンピシン

の最小抑制濃度を決定した。

CVC のコロニー形成の定義は、ロールプレート法による先端部あるいは皮下セグメントからの

あらゆる微生物の 15 以上のコロニー形成単位(CFU)の分離、あるいは超音波処理法による、先

端部あるいは皮下セグメントからのあらゆる微生物の 1,000 を超える CFU の分離とした。CRBSI

の定義は、敗血症の併発臨床徴候のある患者の血流から微生物が分離され、かつ血管用カテーテ

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ル以外に血液感染源が考えられない場合において、種、耐性記録、DNA の分子タイプともに同一

性が確認された(すなわちパルスフィールドゲル電気泳動法)同一の微生物により CVC 上にコ

ロニー形成が存在することとした。

結果: 合計 281 名の患者が 298 本の CVC (M/R 被覆 CVC:147 本、及び対照 CVC:151 本) を受け

た。32 本の CVC は抜去されたものの、培養されなかったため解析から除外された。両方の治療

群は類似の患者特性及び CVC 特性を有していた。カテーテル挿管の中央値は 6 日間であった。

抜去後に培養された CVC のうち、対照 CVC の 26% (36/136) 及び M/R 被覆 CVC の 8% (11/130)

にコロニー形成が認められた。多変量解析では、M/R 被覆の CVC は CVC のコロニー形成に対

して独立した防御因子であると判定された(オッズ比: 0.25;信頼区間: 0.12-0.53)。表皮ブ

ドウ球菌 (25 対 3、 p < 0.001)及びグラム陽性菌(31 対 4、p < 0.001)のコロニー形成にお

いて、対照 CVC の本数が M/R 被覆 CVC の本数より多かった。グラム陰性菌 及びカンジダ種は、

M/R 被覆 及び 対照 CVC 共に同程度の頻度でコロニー形成を認めた。

M/R 被覆 CVC 群では CRBSI 例は 1 例もなかったが、対照 CVC 患者群では 7 例において表皮ブ

ドウ球菌(n = 6)または 大便連鎖球菌(n = 1)による CRBSI が発生した。対照 CVC は

1,000 カテーテル日あたりの CRBSI の発生率が M/R 被覆 CVC より有意に高かった(7.34

CRBSI/1000 カテーテル日 に対し、0 CRBSI/1000 カテーテル日、p < 0.01)。

ミノサイクリン あるいはリファンピシンに耐性のある細菌はM/R被覆CVCあるいはその挿入部

位から分離されなかった。

結論: 薬剤被覆なし対照 CVC と比較して、M/R 被覆の CVC は有意に CVC コロニー形成率およ

び CRBSI の発生率を低下させた。

考察: この二重盲検, 無作為化対照試験において、CVC が薬剤及び血液製剤の点滴及び中心静脈

栄養法に使用された。ミノサイクリン /リファンピシン被覆 CVC の使用は薬剤被覆なし対照

CVC と比較して、CVC コロニー形成率および CRBSI の発生率を有意に低下させた 。さらに

M/R 被覆の CVC の使用に伴う、ミノサイクリン あるいはリファンピシン に耐性のある臨床分

離株の発現はなかった。この試験で使用された M/R 被覆のポリウレタン製 CVC は 初期の

Spectrum 技術によるデバイスであったが (すなわち CVC は抗生物質で被覆されたもので、抗生

物質含浸ではない)、これらのデータは CVC コロニー形成 および CRBSI 防止を目的とする、

CVC への ミノサイクリン 及びリファンピシン使用の安全性と有効性を裏付けるものである。

4.3.3.8.4-2: Marik PE, Abraham G, Careau P, et al.

The ex vivo antimicrobial activity and colonization rate of two antimicrobial-bonded central venous

catheters. (2 種類の抗菌剤被覆の中心静脈カテーテルの ex vivo での 抗菌剤 の活性化とコロ

ニー形成率)

Crit Care Med. 1999; 27(6):1128-1131.(CER 8.3.1.2-2 項、文献番号 42)

目的: 抗菌剤の活性化及びコロニー形成率についての CVC: 薬剤無し CVC、クロルヘキシジン

/スルファジアジン銀(CH/SS)含浸 CVC 及び ミノサイクリン/リファンピシン (M/R)被

覆 CVC との比較

方法: この前向き非盲検の試験では、中心静脈カテーテルを必要とした連続する集中治療室の患

者を対照に、無作為に薬剤被覆無し CVC、CH/SS 含浸 CVC(ARROWgard、AK-22703、Arrow

International 社)、及び M/R 被覆 CVC の 3 群に振り分けた。この試験は米国の大学附属教育実

習病院で行われた。全ての CVC は 7 Fr 径、トリプルルーメンのポリウレタン製カテーテルであ

った。CVC は内頸静脈、鎖骨下または大腿静脈のいずれかより高度バリアプリコーションで挿入

した。挿入の前に、挿入部位を 10%ポビドンヨード液で消毒し、ドレッシングは最低 48 時間ご

とに交換、その部位はアルコール/ アセトン液で消毒した。CVC は必要がなくなった時点、あ

るいは CVC 関連の敗血症 が疑われた時点で抜去した。挿入から 24 時間以内に抜去された CVC

は解析から除外した。

抜去した CVC の遠位側 より 2cm づつの 6 つのセグメントをカットした。最遠位端部は半定量

的技法を用いて培養し、その他のセクションでは改良 Kirby-Bauer 法により、メチシリン耐性の

黄色ブドウ球菌(MRSA)、表皮ブドウ球菌、大便連鎖球菌、アシネトバクター・バウマニ及び

カンジダアルビカンスに対する抗菌活性を検査した。未使用の CVC のセクションは微生物試験

にも使用した。

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CVC コロニー形成は、15 を超えるコロニー形成単位 (CFU)の分離と定義された。また CRBSI

は、CVC セグメントと末梢血液の培養物からの同一の菌株(すなわち、同一の抗菌剤感受性を持

つ同一種)の 1 つ以上の分離と定義された。

結果: 合計で患者 120 例を薬剤被覆無し CVC、CH/SS 含浸 CVC、あるいは M/R 被覆 CVC の

いずれかの群に無作為割付けした。7 例のデータは入手できなかった。うち 3 例は 24 時間以内

に CVC を抜去したもので、4 例の CVC は不注意により抜去された。患者の年齢、早期の生理学

的数値、及び晩期の Health Evaluation II スコア、CVC 挿入の部位は、群間で差が無かった。M/R

被覆 CVC のコロニー形成率は、対照の薬剤被覆無し CVC より有意に低かった (11%(4/38) に

対し、28%(11/39)。p = 0.05)。一方、対照 CVC と CH/SS 含浸 CVC とではコロニー形成

率に顕著な差異は見られなかった(19%(7/36)に対し 28%(11/39)。p = 0.4)。CVC コロニーを

形成した微生物で最も多く見られたのはコアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (対照 CVC で 6 例、CH

/SS 含浸 CVC で 4 例、及び M/R 被覆 CVC で 3 例)、ならびに黄色ブドウ球菌(対照 CVC で 2

例、CH/SS 含浸 CVC で 1 例及び M/R 被覆 CVC で 1 例)であった。

M/R 被覆 CVC 群の患者には 1 例も CRBSI が発生しなかったが、対照 CVC では 2 例(5%) 、

また CH/SS 含浸 CVC では 1 例 (3%)に発生した。

ex vivo 試験においては、M/R 被覆 CVC は、カンジダアルビカンスを除き、試験された全ての

微生物の成長を有意に阻害した (p < 0.05)。 さらに MRSA、 表皮ブドウ球菌及び大便連鎖球菌

において、阻害ゾーンは M/R 被覆 CVC が CH/SS 含浸 CVC より有意に大きかった(p ≤ 0.002)。

結論: M/R 含浸 CVC のコロニー形成率は、薬剤被覆無しの対照 CVC より有意に低かった。さ

らに、M/R 含浸 CVC の使用に関連した CRBSI は 1 件もなかった。

考察: この小規模、無作為化対照試験は M/R 被覆 CVC の使用が、薬剤被覆無しの対照 CVC と

比較して有意にコロニー形成を低下させる結果となったことを明確にしている。本試験は、各

CVC 群間の CRBSI 発生率については、統計学的な差異を評価するための正確な検出力で評価さ

れているわけではないものの、M/R 被覆 CVC の使用に関連した CRBSI は 1 件もなかった。また

本試験では、M/R 含浸 CVC ではなく、先行開発品である M/R 被覆のポリウレタン製 CVC が使

用されているものの、全体としてこれらのデータはリファンピシン/ミノサイクリンの組み合わ

せが、CRBSI 発生率の代替指標となる CVC コロニー形成を抑制するという有効性を裏付けてい

るものと言える。

4.3.3.8.5 ミノサイクリン/リファンピシン含浸シリコーン製 CVC を用いた臨床試験(CER の

8.3.3 項に掲載)

4.3.3.8.5-1: Darouiche RO, Berger DH, Khardori N, et al.

Comparison of antimicrobial impregnation with tunneling of long-term central venous catheters: a

randomized trial. (抗菌剤含浸 CVC と長期使用中心静脈トンネル型カテーテルとの比較:無作

為化臨床試験)

Ann Surg. 2005; 242:193-200.(CER 8.3.3-1 項、文献番号 26)

目的: 長期挿管を要する患者において、ミノサイクリン/リファンピシン (M/R) 含浸 CVC とト

ンネル型 CVC のコロニー形成率及び CRBSI 発生率を比較する。

方法: この前向き、無作為化治験には米国の 7 つの大学附属病院が参加し、中心静脈に 2 週間以

上のアクセスを要する成人患者を対象とした。患者はカフ無し、非トンネル型の M/R 含浸 CVC

(Cook Critical Care, Bloomington, IN)、あるいは M/R 含浸無しのカフ付きトンネル CVC のどち

らかに無作為割付けされた。CVC には 9.5 Fr シングルルーメンあるいは 9.0 Fr ダブルルーメン

のシリコーン製カテーテルの何れかを使用した。M/R 含浸 CVC はベッドサイドにて留置し、M/R

含浸無しのトンネル CVC は手術室あるいは特別処置室にて留置した。最大無菌操作を用い、鎖

骨下静脈あるいは頸静脈の新規の静脈穿刺部位から CVC を留置した。全ての CVC 挿入部位は

CVC 挿入時及びドレッシング交換の都度 10% のポビドンヨウ素液で消毒した。毎週 3 回、透明

のドレッシングを交換し、挿入部位を観察した。CVC は必要ないと判断されるか、あるいは有害

事象(例 CVC 不具合あるいは CVC 由来の感染症)の発生で抜去が必要になった場合は取り外さ

れた。

CVC は無菌状態で抜去し、CVC 先端部と皮下のセクション 4cm のセグメントをロールプレート

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法で培養し、その後超音波処理法で培養した。CVC 関連の感染が疑われた時は、カテーテル抜去

前あるいは抜去直後にそれぞれ 1 つ以上の末梢血のサンプルを得て培養を行った。微生物の分離

株は標準の微生物分析で特定された。分子指紋法で血液から及び CVC からの分離株を調べ、95%

を超える同一の DNA プロフィールである場合は類似性が高いと判断した。

CVC コロニー形成の定義は、ロールプレート法で 15 以上の CFU、あるいは超音波処理法で 1,000

以上の CFU を先端部あるいは皮下セグメントで形成することとされた。CRBSI の定義 は、敗血

症の臨床的徴候のある患者で他に血流感染の明確な原因のない患者のコロニー化した CVCから、

また患者の末梢血液から、同一の微生物(すなわち、同一の抗菌剤感受性を持つ同一種)が分離

されることとした。

結果: 合計 351 本の CVC が留置され、312 本の CVC で CVC コロニー形成の評価が可能であ

った。CVC コロニー形成の発生率については M/R 含浸 CVC と M/R 含浸無しのトンネル CVC

との間で類似性が高かった(24.7%(41/166)に対し 28.1%(41/146)、p = 0.58)。さらに、2 つ

の群間には 1,000 カテーテル日あたりの CVC コロニー形成率に有意差が無く (M/R で 7.9 に対

しトンネルで 6.3、p = 0.46)、また Kaplan-Meier 推定値による CVC コロニー形成のリスクと CVC

留置期間の関連性ついても 2 つの群間に有意差はなかった(log-rank 試験で p = 0.20 )。

合計で 346 本の CVC が CRBSI 分析に使用され、うち 186 本は M/R 含浸 CVC、160 本は薬剤含

浸無しのトンネル CVC であった。5 本の CVC は CRBSI 分析から除外された(4 本は CVC を

挿入された患者がフォローアップ不能、1 本は CVC を挿入された患者の死亡原因が不明)。CRBSI

分析の対象となった 2 つの群は、ほとんどの特性について差異がなかった。たとえば 抗生物質

の全身投与を受けた患者の割合(M/R で 95% に対しトンネル CVC で 96% )など。しかしトン

ネル CVC の平均留置期間は M/R 含浸 CVC の平均留置期間より有意に長かった(43.8 ± 37.8 日

に対し、30.2 ± 21.2 日。p < 0.001)。血液培養陽性判定のために抜去された CVC は、トンネル

CVC がM/R含浸CVC より 3倍多い傾向があった(11.9%(19/160)に対し 3.8%(7/186)、p = 0.008)。

合計で 12 件の CRBSI が試験実施中に発生した(CVC 留置期間の中央値 は 19 日、 範囲: 9 日

~ 275 日。10 件 (6.3%) の CRBSI は薬剤含浸無しのトンネル CVC 患者に発生し、2 件(1.1%)

の CRBSI が M/R 含浸 CVC 患者に発生した(相対危険度:5.81、 95% CI :1.29~26.1、 p = 0.015)。

トンネル CVC 患者 2 名では CVC の実質的な使用を終えたあとに CRBSI が発生した。トンネル

CVC 患者 1 名は、エンテロバクター菌による CRBSI のため死亡した。

1,000 カテーテル日あたりの CRBSI 発生率は、治療群間で有意差を示さなかった(M/R =0.36 件

/1000 カテーテル日に対し、トンネル CVC= 1.43 件/1000 カテーテル日、 p = 0.13)。しかし

挿管日数を考慮した上での CRBSI リスクの Kaplan-Meier 推定値は有意に異なった (log-rank 試

験、p = 0.03 )。 CV の使用が 30 日以下の患者においては、M/R 含浸 CVC の使用は 薬剤含浸

無し CVC と比較して CRBSI のリスクも有意に減少した(log-rank 試験、p = 0.02)。多変量解析

では、トンネル CVC の使用は CRBSI の明らかな素因として特定された(オッズ比:6.25、95%

CI:1.32~25、p = 0.02)。

M/R 含浸 CVC 群患者に発生した 2 例の CRBSI は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、及び大便連鎖

球菌に起因するものであった。トンネル CVC 群患者の 10 例の CRBSI はコアグラーゼ陰性ブド

ウ球菌 (3 例)、黄色ブドウ球菌 (1 例)、エンテロバクターアエロジーン (1 例) 、アシ

ネトバクター・バウマニ (1 例) 、 カンジダアルビカンス (1 例) 、C. パラプシローシス (1

例) 、サッカロマイセス・セレヴィシエ (1 例)、C. パラプシローシス 及びコアグラーゼ陰

性ブドウ球菌 (1 例)であった。CVC の使用に伴う菌類による CRBSI の発生率については、

M/R 含浸 CVC での治療群が薬剤含浸無しトンネル CVC 治療群と比較して有意に低かった(0%

(0/186)に対し 2.5%(4/160)、p = 0.04)。

M/R含浸 CVCの使用に関連する局所的、あるいは全身性過敏症反応は 1例も報告されなかった。

結論: M/R 含浸 CVC 及び薬剤含浸無しのトンネル CVC のコロニー形成率については有意な差

異は見られなかったが、Kaplan-Meier 分析による CRBSI のリスクは M/R 含浸 CVC 群が有意に低

かった (p = 0.03)。

考察: 本前向き多施設共同、無作為化治験は長期間にわたる M/R 含浸 CVC の使用と薬剤含浸無

しのトンネル CVC の使用を比較したものである 。CVC のコロニー形成率については M/R 含浸

CVC と薬剤含浸無しのトンネル CVC は同等の発生率であった(7.9 対 6.3 例/1,000 カテーテル

日)。CVC コロニー形成率では統計学的に有意な低下はみられなかったものの、CVC 挿管日数

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を Kaplan-Meier 推定法で分析した CRBSI のリスクについては、M/R 含浸 CVC を使用した患者は

薬剤含浸無しのトンネル CVC を使用した患者に比べ、統計学的に有意な低下が見られた。

本試験で使用された M/R 含浸 CVC はシリコーン製で、ポリウレタン製の Spectrum CVC よりさ

らに長期使用を目的とした CVC であった。それにもかかわらずこれらのデータは、M/R 含浸 CVC

が効果的に CRBSI 発生率を低下させる可能性を明らかにし、時間、留置にかかる労力、コストの

高いトンネルカテーテルの使用が減少できることを示した。さらにこれらのデータからは M/R 含

浸 CVC の使用に関連する局所的あるいは全身性過敏症反応は 1例も報告されなかったことから、

M/R 含浸 CVC 使用の安全性が裏付けられた。全体として、これらのデータは Spectrum CVC の使

用の安全性及び有効性を裏付けるものである。

4.3.3.8.5-2: Hanna H, Benjamin R, Chatzinikolaou I, et al.

Long-term silicone central venous catheters impregnated with minocycline and rifampin decrease

rates of catheter-related bloodstream infection in cancer patients: (癌患者における長期使用のミ

ノサイクリン/リファンピシン含浸のシリコーン製中心静脈カテーテルによるカテーテル関連

血流感染症の低下:前向き 無作為化治験)

J Clin Oncol. 2004; 22:3163-3171.(CER 8.3.3-2 項、文献番号 28)

目的: 長期の中心静脈のアクセスを要する癌患者における、ミノサイクリン/リファンピシン含

浸 CVC と、薬剤含浸無し CVC の使用に関連する CRBSI 発生率を比較する。

方法: この前向き、単一施設無作為化二重盲検の試験は 1999 年 9 月から 2002 年 5 月にかけて米

国の高度専門病院で行われた。患者は全て癌患者で、トンネル化しない経皮的挿入のCVC(PICC)、

あるいはシングルまたはダブルルーメンの鎖骨下 CVC が新規に留置された。患者は無作為に

M/R 含浸 CVC、もしくは薬剤含浸無し CVC (Cook Critical Care, Bloomington, IN)に割付けられ

た。

高度バリアプリコーションを用い、PICC は肘前窩から尺側皮静脈または橈側皮静脈へ、鎖骨下

CVC は 鎖骨下静脈に挿入された。患者は点滴療法実施施設にドレッシング交換のため毎週 1 回

以上来院し、その際に CVC 及び挿入部位は感染の徴候の有無が観察された。CVC は必要ないと

判断されるか、あるいは有害事象(例:CVC 由来の感染症の疑い、CVC 不具合あるいは閉塞)

の発生で抜去が必要になるまで留置された。CVCが取り外されるまで、あるいは留置後100日間、

患者をフォローアップ観察した。

発熱あるいは CRBSI の疑いがある場合は、CVC 及び末梢血管から同時に定量的血液培養を行っ

た。CVC の抜去に続き、CVC 先端 5~7cm のセグメント及び皮下の CVC のセグメントをロール

プレート法及び超音波処理法で培養した。CVC の留置が 100 日を超えた場合は、100 日間終了時

に CVC を通して採血されたサンプル血液で定量的血液培養を行った。微生物は標準微生物法に

より特定された。

M/R 含浸 CVC が抗生物質耐性を高めるかどうか 評価するために、無作為に選んだ患者に対し、

CVC 挿入直前と CVC 抜去時に CVC 挿入部位の皮膚のスワブ培養を行った。分離株の抗生物質

感受性は微量液体希釈法で判定された。最小抑制濃度 (MIC) は 35ºC で 16~20 時間の培養後に

菌の成長が目視確認できない、抗菌剤ごとの最少濃度と規定された。

CRBSI の定義は、感染症の併発臨床徴候のあり、CVC 以外に血液感染源が考えられない患者の血

流からの微生物の分離、かつ以下の 1 つ以上に該当することとした: CVC のコロニー形成がロ

ールプレート法で 15 以上の CFU、あるいは超音波処理法で 1,000 以上の CFU を認め、血流から

の分離物と同一菌(すなわち同一種で同一の抗生物質感受性のプロフィール)が分離されるこ

と;または CVC を通して採取した定量的陽性血液培養が、末梢静脈からの同時に採取した定量

的血液培養と比較して 5 倍以上の同一菌のコロニー形成を認めるもの。

結果: 患者 370 例が無作為割付けされ、合計 371 本の CVC (192 本の M/R 含浸 CVC と 179

本の 薬剤含浸無しの CVC) が留置された。患者 15 例において試験の CVC の挿入が不成功に終

わった。従って 182 本の M/R 含浸 CVC(PICC:64 本、鎖骨下:118 本)及び 174 本の 薬剤含

浸無し CVC( PICC:66 本、鎖骨下:108 本)が患者合計 355 例に留置された。2 年半の試験期

間中に、患者 1 例が 2 本の薬剤含浸無し CVC を受けた。

356 本の試験 CVC の中で、239 本(67%) は 100 日以内に抜去され培養された。62 本 (17%)

は 100 日を超えて留置が続けられ、55 本 (15%)は廃棄されたか、あるいはフォローアップ不

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183

能となった。試験期間の終了時に、CVC の留置が続けられていた患者 62 名から血液サンプルを

採取し培養した。2 つの群間の患者と CVC の特性は類似していた。

CRBSIは薬剤含浸無しCVCを受けた患者 14名 (8%) 、M/R含浸CVC を受けた患者3名 (1.6%)

に発生した (8.0% 対 1.6%、相対危険度 [RR] = 1.8、95% CI: 1.4~2.3、 p = 0.003)。CRBSI

を発生した症例のカテーテル挿管期間の平均値は、薬剤含浸無し CVC 群と M/R 含浸 CVC 群間で

有意差はなかった(52.1 ± 32.7 日 対 66.7 ± 7.0 日、p = 0.2)。しかしながら 1,000 カテーテル

日あたりの CRBSI 発生率は M/R 含浸 CVC 群が対象群より有意に低かった (0.25 件/1000 カテ

ーテル日に対し、1.28 件/1000 カテーテル日、 p = 0.003)。 Kaplan-Meier 解析より、M/R

含浸 CVC の使用は対照 CVC の使用と比較して CRBSI のリスクの有意な低下に関連性があるこ

とが示された(log-rank 試験で p = 0.003)。多重ロジスティック回帰分析では、M/R 含浸 CVC の

使用は、単独で CRBSI の予防要因になると特定された (オッズ比: 0.1、95% CI: 0.01~0.44、p

< 0.001)。

対照 CVC の使用に関連した 14 例の CRBSI の原因微生物は、グラム陽性球菌 (9 例)、グラム

陰性菌 (3 例)、混合感染のグラム陽性球菌 (1 例)、及びイースト菌 (1 例)であった。

M/R 含浸 CVC の使用に関連した 3 例の CRBSI の原因微生物は、ステノトロフォモナス・マルト

フィリア、シトロバクター種、及び肺炎かん菌とカンジダ ・パラプシローシスの両方であった。

静脈炎は PICC ラインの患者の 11.7%(15/130)に発生した (M/R含浸で 7例、対照CVCで 8 例)。

鎖骨下 CVC を受けた患者群には静脈炎の発生は 1 例もなかった。

ミノサイクリン/リファンピシンの MIC(最低抑制濃度)の平均値は、表皮ブドウ球菌 につい

ては、M/R 含浸 CVC からの分離が対照 CVC からの分離より低かった。さらに M/R 含浸 CVC 挿

入時及び抜去時に回収された皮膚の分離株の表皮ブドウ球菌はミノサイクリン/リファンピシ

ンについて MIC は同一であった。

M/R 含浸 CVC の使用に関連するアレルギー反応または過敏性反応は認められなかった。

結論: 癌患者への長期のトンネル化しない M/R 含浸 CVC の使用は安全かつ有効的であり、

CRBSI を低下させる。

考察: この前向き, 単一施設 無作為化試験は、癌患者に対する長期使用の M/R 含浸 CVC と被

覆無しの対照 CVC を比較したものである。ほぼ全ての CVC は鎖骨下静脈より挿入されたが、一

部では PICC ラインも使用された。M/R 含浸 CVC の使用により CRBSI の発生率が対照 CVC と

比較して有意に低下した(0.25 対. 1.28 例/1000 カテーテル日、 p = 0.003)。さらに、M/R 含

浸 CVC の使用は表皮ブドウ球菌 のミノサイクリン またはリファンピシンへの感受性の低下と

は関連性がなかった。

本試験で使用された ミノサイクリン/リファンピシン含浸タイプの Spectrum CVCはシリコーン

製であり、ポリウレタン製の Spectrum CVC より長期使用を目的としているが、これらのデータ

はリファンピシン 及びミノサイクリン 含浸の CVC は効果的に CRBSI の発生を抑制する可能

性を示している。さらに、これらのデータでは Spectrum CVC の使用に関連して局所的または全

身性の過敏症反応が 1 例も報告されていないことから、Spectrum CVC の使用の安全性を裏付けて

いる。全体として、これらのデータはミノサイクリン/リファンピシン含浸タイプの Spectrum

CVC の使用の安全性及び有効性を裏付けるものである。

4.3.3.8.5-3: Chemaly RF, Sharma PS, Youssef S, et al.

The efficacy of catheter coated with minocycline and rifampin in the prevention of catheter-related

bacteremia in cancer patients receiving high-dose interleukin-2. *(インターロイキン‐2 を多量投

与する癌患者に対するミノサイクリン/リファンピシン被覆カテーテルのカテーテル由来の菌

血症の予防効果 )

In J Infect Dis. 2010; 14:e548-e552.(CER 8.3.3-3 項、文献番号 40)

*注:本著者らは本カテーテルをミノサイクリン/リファンピシン被覆と述べているが、本臨床

試験実施時期においては、ミノサイクリン/リファンピシン含浸カテーテルのみが流通していた

ため、本臨床試験にはミノサイクリン/リファンピシン含浸のポリウレタン製 CVC が使用され

たと考えられる。

目的: インターロイキン 2 を多量投与(HDIL-2) する癌患者に対して、ミノサイクリン/リフ

ァンピシン (M/R)含浸の CVC が、カテーテル由来の菌血症(CRB)を低下する有効性を評価

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184

する 。

方法: この後ろ向き単一施設の試験は、2003 年 12 月から 2006 年 8 月までにインターロイキン 2

で治療を受けた黒色腫又は腎細胞癌 (RCC) の患者を対象として、米国の高度専門病院で行わ

れた。薬剤被覆なし CVC は 2004 年 12 月 以前に使用されており、2004 年 12 月 以降に M/R

含浸の長期使用のシリコーン製 CVC の使用が推奨された。すべての CVC はトンネル化しないカ

テーテルであった。患者は全て入院患者で、インターロイキン 2 の最終投与後に最長で 48 時間

の抗生物質の予防的投与を受け、患者の 67%はナフシリンを受けた。挿入部位のケアには 2% の

グルコン酸クロルヘキシジンと 70%のイソプロピル・アルコールによる消毒を用いた。カテーテ

ル由来の感染症例は、微生物学関連のデータベースから後ろ向きに特定された。

CVC コロニー形成の定義は、CVC先端部、あるいは他の臨床症状が同時発生していない皮下セ

グメントから、ロールプレート法によりいかなる微生物のCFUを15以上、あるいは超音波処理法

により1,000 以上のCFUを分離すること、あるいは発熱していない時の定期検査でCVCから採取

した血液の培養血から10 CFU/mLのいかなる微生物が認められた場合とされた。カテーテル由来

の局所的感染症は、微生物を有するCVC部位に排膿が認められ、血流感染の併発の有無は問わず、

あるいはCVCが抜去された場合は紅斑、圧痛及び腫れがCVC出口から2 cm以内に認められ、CVC

のコロニー形成が認められた場合とした。CRBは患者が末梢静脈からの最低1つの陽性血液培養

を伴う留置型CVCを有し、感染の臨床徴候があり、またCVC以外に血流感染の明確な原因が考え

られない時に、疑わしいCRBと考えられた。 確定のCRBは疑わしいCRBの基準を満たした患者

において、同一の有機物の陽性の CVCの コロニー形成がCVCのセグメントからと末梢血液から

同時に分離された場合、あるいはCVCと末梢静脈からの同時に定量的な血液培養の結果が 5:1、

あるいは陽性に至るまでの時間差があることとされた (すなわち CVCから得た培養血液の陽性

反応は、 同時に行った末梢静脈からの培養血液の陽性反応より2時間以内のうちに早く陽性反転

している)。

結果: 2003年 12月から 2006年 8月までの期間に、インターロイキン2の多量投与療法(HDIL-2)

を受けた、連続症例 78 例に対して合計で 107 本の CVC が使用された。薬剤被覆無し CVC は

77 例に、また M/R 含浸 CVC は 30 例に使用された。全患者はインターロイキン 2 の最終投与後

に最長で 48時間、以下のいずれかの抗生物質の予防的投与を受けた (ナフシリン:患者の 67% 、

クリンダマイシン:患者の 15% 、レポフロキサシン:患者の 13% )。

薬剤被覆なし CVC を受けた患者群で、6 例の疑わしい CRB と 3 例の確定 CRB が発生した。一

方、 M/R 含浸 CVC 群では CRB の発生が 1 例も無かった(0% 対 12%、p = 0.06)。菌血症まで

の中央値は 11 日 (範囲:1~315 日)であった。 IL-2 の治療回数及び 予防薬としての抗生物

質タイプは、菌血症が発生した/しない患者で差異はなかった。カテーテル由来のカンジダ性敗

血症が疑われる症例 1 例が M/R 含浸 CVC 患者に発生した。

結論: IL-2 の多量投与療法を受けた患者において、M/R 含浸 CVC の使用は、薬剤被覆なし CVC

と比較し、CRB の発生率を低下する傾向がある。

考察: この小規模、後ろ向き単一施設のヒストリカル対照試験は、M/R 含浸 または薬剤被覆無

しのシリコーン製 CVC で治療を受けた HDIL-2 療法中の患者 78 名の CRB 発生率を評価したも

のである。この試験には幾つかのデザイン上の弱点があったが(例えば、後ろ向き、ヒストリカ

ル対照群の使用、小規模)、M/R 含浸 CVC の使用に関連した明らかな CRB は 1 例も発生してい

なかった。カテーテル由来カンジダ性敗血症の疑いのある症例が 1 例、M/R 含浸 CVC 群で特定

されている。本試験は小規模であり、CRB 発生率に関して、M/R 含浸及び 薬剤被覆無し CVC と

の統計学的な有意差の有無は記されていなかった。しかしながら、M/R 含浸 CVC 患者には CRB

発生率の低下の傾向が認められた。

この臨床試験で使用されたミノサイクリン/リファンピシン含浸 CVC はシリコーン製であり、

ポリウレタン製 CVC より、より長期の留置を意図した機器であるが、これらのデータは、ミノ

サイクリン/リファンピシン含浸 CVC の安全性と、CRB 発生率を低下させる有効性を示唆して

いる。総括すると、これらのデータは Spectrum CVC の使用の安全性及び有効性を裏付けている。

4.3.3.8.6 ミノサイクリン/リファンピシン CVC のメタ解析(CER の 8.3.5 項に掲載)

M/R 含浸ポリウレタン製 CVC、M/R 被覆ポリウレタン製 CVC、及び M/R 含浸シリコーン製 CVC

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による抗菌剤 CVC の使用を検証する数多くのメタ解析が報告されている。M/R 含浸ポリウレタ

ン製 CVC(本申請品目)の使用に関する 2 つ以上の無作為化対照試験について言及する全てのメ

タ解析を、以下に集合的に要約する。各メタ解析に含まれる個別の M/R 含浸ポリウレタン製 CVC

についての無作為化対照試験の多くは、本報告書ですでに報じている報告である 28-30, 32, 38, 39, 42。

M/R 含浸血液透析カテーテルの使用についての 1 報 60は、Spectrum ポリウレタン 製 CVC の使

用目的とは異なるため前項までは要約しなかった。ミコナゾール/リファンピシン含浸の CVC

の使用についての試験が、意図せずに Ramritu による M/R 使用カテーテル使用のメタ解析に含ま

れていた 61。また、メタ解析それぞれに含まれている M/R 含浸 CVC 試験には重複するものがあ

ることに留意されたい。

4.3.3.8.6-1: Novikov A, Lam MY, Mermel LA, Casey AL, Elliott TS, Nightingale P. Impact of

catheter antimicrobial coating on species-specific risk of catheter colonization: a meta-analysis. (カ

テーテルコロニー形成における菌種に特異なリスクに対する抗菌剤被覆カテーテルの効果:メタ

解析)Antimicrob Resist Infect Control. 2012;1:40.(CER 8.3.5-1 項、文献番号 44)

4.3.3.8.6-2: Wang H, Huang T, Jin J, et al. Effectiveness of different central venous catheters for

catheter-related infection: a network meta-analysis.(カテーテル関連感染症に対するさまざまな中

心静脈カテーテルの有効性: ネットワークメタ解析 ) J Hosp Infect. 2010;76:1-11.(CER 8.3.5-2

項、文献番号 33)

4.3.3.8.6-3: Casey AL, Mermel LA, Nightingale P, Elliott TSJ. Antimicrobial central venous

catheters in adults: a systemic review and meta-analysis. (成人への抗菌剤中心静脈カテーテル:

体系的検証及びメタ解析) Lancet Infect Dis. 2008;8:763-776.(CER 8.3.5-3 項、文献番号 24)

4.3.3.8.6-4: Ramritu P, Halton K, Collignon P, et al. A systematic review comparing the relative

effectiveness of antimicrobial-coated catheters in intensive care units.(集中治療室での 抗菌剤被覆

カテーテルの相対的な有効性を比較した体系的検証)Am J Infect Control. 2008;36:104-117.(CER

8.3.5-4 項、文献番号 32)

4.3.3.8.6-5: Falagas M, Fragoulis K, Bliziotis IA, Chatzinikolaou I. Rifampicin-impregnated central

venous catheters: a meta-analysis of randomized controlled trials.(Rifampicin 含浸の 中心静脈カ

テーテル: 無作為化対照試験のメタ解析 )J Antimicrob Chemother. 2007;59:359-369.(CER

8.3.5-5 項、文献番号 43)

発表された各メタ解析には、試験の選択基準が以下のように設定されている(表 4.3.3.9.6-1)。

表 4.3.3.8.6-1: 発表されたメタ解析それぞれの臨床試験の選択基準

著者 試験の選択基準

Novikov 201244

1995 年から 2012 年までに発表された、抗菌剤被覆 CVC と薬剤被覆無し

CVC を比較した無作為化対照試験

Wang 201035

1996 年 1 月から 2009 年 11 月までに発表された、抗菌剤 CVC についての無

作為化対照試験

Casey 200826

2008 年 4 月以前に発表された抗菌剤 CVC についての無作為化対照試験

Ramritu 200834

抗菌剤またはヘパリン被覆 CVC を薬剤被覆無し CVC、あるいは別の抗菌剤

またはヘパリン被覆 CVC と比較した観察研究、または無作為化対照試験。

全ての CVC は非トンネル CVC で 、使用期間は 21 日未満であること。ま

た ICU 状況下で管理された CVC を最低 50% 含む。

1985 年 1 月から 2006 年 1 月までに報告された試験とする。

Falagas 200743

リファンピシンのみ含浸の CVC 、あるいはその他の抗菌剤との複合薬剤含

浸 CVC を受けた患者と、リファンピシン含浸無しの CVC を受けた患者とを

比較する無作為化対照試験。

2006 年 10 月以前に報告された試験。

上記のうち 4 報において、M/R 含浸、もしくは被覆 CVC と薬剤被覆無し CVC を比較した複数の

無作為化対照試験から得られた CRBSI 発生率、及び CVC コロニー形成率が比較された(表

4.3.3.8.6-2)26,34,35,43。

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表 4.3.3.8.6-2:M/R CVC と 薬剤被覆無し CVC を比較した無作為化対照試験のメタ解析におけ

る CRBSI 及び CVC コロニー形成率 の比較

著者

CRBSI コロニー形成

M/R CVC を検

体に用いた臨床

試験の数

比較の結果

M/R CVC を検

体に用いた臨床

試験の数

比較の結果

Wang

201035

628,30,32,38,42,60

オッズ比:0.18

95% CI: 0.08~0.34*

628,30,32,38,42,60

オッズ比:0.28

95% CI: 0.17~0.43*

Casey

200826

432,38,42,60

オッズ比:0.29

95% CI: 0.16~0.52*

432,38,42,60

オッズ比:0.39

95% CI: 0.27~0.55*

Ramritu

200834

532,38,42,60,61

相対危険度:0.39

95% CI: 0.17~0.92*

532,38,42,60,61

相対危険度:0.40

95% CI: 0.23~0.67*

Falagas

200743

430,32,38,60

オッズ比:0.23

95% CI: 0.11~0.46*

332,38,60

オッズ比:0.38

95% CI: 0.26~0.56*

* Spectrum CVC と標準の薬剤被覆無し CVC との間に有意差あり

各比較において、M/R 含浸もしくは被覆 CVC は、標準型の薬剤被覆無しの CVC に比べ、CVC コ

ロニー形成率が有意に低いこと、および CRBSI の発生率が有意に低いことが示された。

これらとは別の 1 報のメタ解析は、M/R 含浸もしくは被覆 CVC を薬剤被覆無し CVC と比較した

3 報の無作為化対照試験 32,38,42 からのデータ得て、種特異的な CVC コロニー形成について検証を

行った 44。コロニー形成率について報じたその他の試験と異なり、このメタ解析はコロニー形成

された CVC からのデータのみを考慮している。留意すべきは、著者は全体的なコロニー形成率

あるいは CRBSI 発生率は考慮しなかった点である。コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(オッズ比:

0.24、95% CI: 0.03~1.67)あるいは黄色ブドウ球菌(オッズ比: 0.95、 95% CI: 0.09~10.2)で

コロニー形成された CVC の割合については、M/R 含浸又は被覆 CVC と薬剤被覆無し CVC との

間に、有意差は認められなかった。しかしながら、カンジダ菌でコロニー形成された M/R 含浸又

は被覆 CVC 全体の割合は、同じくカンジダ菌でコロニー形成された薬剤被覆なしカテーテル全

体と比較し、大きかった(オッズ比:13.56、95% CI: 4.24~43.37)。

また 3 報のメタ解析では、M/R 作用 CVC と他の抗菌剤 CVC とを比較した無作為化対照試験に

おける CRBSI 発生率、及び CVC コロニー形成率についても検証された(表 4.3.3.9.6-3)26,34,35。

各々のメタ解析の中で、合計で 3 報の無作為化対照試験の考察がなされた。それらは、クロルヘ

キシジン/スルファジアジン銀含浸 CVC と M/R 含浸ポリウレタン CVC とを比較した 1 報 29、

クロルヘキシジン/スルファジアジン銀含浸 CVC と M/R被覆ポリウレタンCVCとを比較した

1 報 42 、及び銀イオントフォレーゼ CVC と M/R 含浸 CVC を比較した 1 報 39の無作為化対照

試験のデータである。

表 4.3.3.8.6-3:M/R CVC とその他の 抗菌剤 CVC とを比較した無作為化対照試験における

CRBSI 発生率及び CVC コロニー形成率の比較

著者 対照 CVC

CRBSI コロニー形成率

M/R CVC

試験の数 比較の結果

M/R CVC

試験の数 比較の結果

Wang

201035

CH/SS 229,42

オッズ比:0.28

95% CI: 0.12~0.55*

229,42

オッズ比:0.58

95% CI: 0.34~0.93*

銀イオントフ

ォレーゼ

139

オッズ比: 0.55

95% CI: 0.16~1.36

139

オッズ比:0.51

95% CI: 0.26~0.90*

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Casey

200826

CH/SS 2

29,42 オッズ比: 0.18

95% CI: 0.07~0.51*

229,42

オッズ比:0.34

95% CI: 0.23~0.49*

銀イオントフ

ォレーゼ

139

オッズ比:: 0.84

95% CI: 0.22~3.13

139

オッズ比:0.58

95% CI: 0.35~0.96*

Ramritu

200834

CH/SS 2

29,42 相対危険度: 0.12

95% CI: 0.02~0.67*

229,42

相対危険度: 0.36

95% CI: 0.25~0.53*

銀イオントフ

ォレーゼ

139

相対危険度: 0.82

95% CI: 0.33~2.05

139

相対危険度: 0.60

95% CI: 0.37~0.95*

CH/SS = クロルヘキシジン スルファジアジン銀

*Spectrum CVC と対照 CVC との間に有意差あり

考察: M/R 含浸ポリウレタン製 CVC、M/R 被覆ポリウレタン製 CVC、及び M/R 含浸シリコー

ン製 CVC を用いた無作為化対照試験データを統合し、CVC コロニー形成率及び CRBSI 発生率に

関する M/R 使用 CVC の有効性を検討した。無作為化対照試験による 4 報のメタ解析では、カテ

ーテルのコロニー形成率及び CRBSI 発生率を、M/R 使用 CVC と標準型の薬剤使用無し CVC と

の間で比較が行われた 26,34,35,43。いずれのメタ解析においても、CRBSI の代替的評価項目である

カテーテルのコロニー形成率及び CRBSI 発生率が、M/R 使用 CVC において標準的な薬剤被覆無

し CVC より有意に低いと結論付けている。うち 3 報のメタ解析では 、M/R 使用 CVC とクロル

ヘキシジン 及びスルファジアジン銀含浸 CVC とを比較した複数の試験についても検証し、M/R

使用 CVC はカテーテルのコロニー形成率の低下、及び CRBSI の低下に関連性があると結論付け

た 26,34,35。1 報の無作為化対照試験で M/R 使用 CVC と銀イオントフォレーゼ CVC との間で比較

がなされた。M/R 使用 CVC と銀イオントフォレーゼ CVC との間には CRBSI 発生率についての

統計学的有意差は認められなかったとされた。

1 報のメタ解析ではコロニー形成された CVC からのデータのみを検証し、さまざまな細菌に対し

て陽性であるコロニー形成 CVCの割合の比較がなされた 43。一方、コロニー形成率及び CRBSI 発

生率は検証されなかった。このメタ解析の M/R 使用 CVC を用いた 3 つの無作為化対照試験のな

かでは、いずれも比較対照として薬剤使用の無い CVC が使用された。コアグラーゼ陰性ブドウ

球菌あるいは黄色ブドウ球菌でコロニー形成された CVC の割合については、M/R 使用 CVC と薬

剤被覆無し CVC との間に有意差は認められなかった。しかし、カンジダ菌でコロニー形成され

た CVC の割合については、薬剤被覆なしカテーテルより M/R 使用 CVC の方が高かった。留意す

べきは、著者らがカンジダ菌のコロニー形成率を、使用した CVC の総本数を基に算出しなかっ

たことである。使用した CVC の総本数を基に算出した場合、カンジダ菌のコロニー形成率は、

薬剤被覆無し CVC において 1% (4/355)、M/R 使用 CVC において 3%(12/355)である 32,38,42。

加えて、CVC を留置した患者は合計 800 例以上であったが、カンジダ菌による CRBSI の発生が

確定されたのは 1 例のみであった。よって、カンジダについては M/R 使用 CVC の方がコロニー

形成された割合がより高かったものの、これらの患者において真菌の CRBSI 発生リスクは増加

していないものと思われる。

全体としてこれらのメタ解析は、標準型 CVC 及びクロルヘキシジン/スルファジアジン銀 CVC

に比較して Spectrum CVC が CRBSI の発生率をより低下させるという、有効な性能を裏付けて

いる。

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