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18 インドにおけるダイキン ダイキンは2000年、インドのシエル社との合弁会 社であるダイキン・シュリラム・エアコンディショ ニング社(Daikin Shriram Airconditioning Pvt. Ltd.-DSAL) を設立、インド市場に進出した。当初、ダイキンの 持ち株比率は80%だったが、2004年、シエル社が 保有していた残りの20%を取得した。その結果、同 社はダイキン工業の100%子会社となり、現在は、 ダイキン・エアコンディショニング・インディア ( Daikin Airconditioning India Private Limited.- DAIPL.; 以下「ダイキン・インディア」と表記)と して知られている。 目下のところインドは、親会社であるダイキン工 会社概要 ダイキン工業株式会社(Daikin Industries, Ltd.; 以 下「ダイキン工業」と表記)は、さまざまな製品を 供給するグローバル企業である。ダイキンは、空調、 化学品、運輸、冷凍装置、油圧機器、防衛関連機器、 電子機器など多岐にわたる製品や技術を提供してい る。その中でも空調機器事業は同社最大の売上高を 誇り、2006年度の純売上高の約81%を占めている。 同社の2006年度の純売上高は70億1,700万ドル。 2005年度時点における従業員数は19,000人で、世界 各地に118の子会社および関連会社を擁している。 ダイキン工業

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インドにおけるダイキン

ダイキンは2000年、インドのシエル社との合弁会社であるダイキン・シュリラム・エアコンディショニング社(Daikin ShriramAirconditioningPvt. Ltd.-DSAL)を設立、インド市場に進出した。当初、ダイキンの持ち株比率は80%だったが、2004年、シエル社が保有していた残りの20%を取得した。その結果、同社はダイキン工業の100%子会社となり、現在は、ダイキン・エアコンディショニング・インディア(Daikin Airconditioning India Private Limited.-DAIPL.; 以下「ダイキン・インディア」と表記)として知られている。

目下のところインドは、親会社であるダイキン工

会社概要

ダイキン工業株式会社(Daikin Industries, Ltd.; 以下「ダイキン工業」と表記)は、さまざまな製品を供給するグローバル企業である。ダイキンは、空調、化学品、運輸、冷凍装置、油圧機器、防衛関連機器、電子機器など多岐にわたる製品や技術を提供している。その中でも空調機器事業は同社最大の売上高を誇り、2006年度の純売上高の約81%を占めている。

同社の2006年度の純売上高は70億1,700万ドル。2005年度時点における従業員数は19,000人で、世界各地に118の子会社および関連会社を擁している。

ダイキン工業

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由貿易協定(FTA)」により、輸入税減税の恩恵を受けている。

強力な技術基盤ダイキン工業は最新技術をベースとしたグローバ

ルで豊富な空調製品群を持っている。これにより、ダイキン・インディアは先進技術を駆使した製品をインド市場に導入することが可能となっている。ダイキン工業は、ビル用マルチエアコンである可変冷媒流量制御(VRV)システムを世界で初めて導入した企業でもあり、エネルギー効率に優れた技術やオゾン層を破壊しない冷媒の研究開発も積極的に行っている。この積極的な研究開発努力により、今後もインド市場に先進的な製品を供給していくものと思われる。親会社のダイキン工業は、世界随一の空調メーカーとして、冷媒からコンプレッサにいたるまで、空調機器に必要な部品やシステムをトータルで開発している。

インド企業とのコラボレーションダイキン工業は、シッダールト・シュリラム・グ

ループと提携関係を結び、インド市場に参入した。ダイキンは、同グループとの間で設立した合弁会社を通じ、契約条件のひとつとしてシッダールト・シュリラム・グループの空調事業や水冷システムの工場やその他資産を獲得、さらにウシャ・インターナショナルの空調部門の販売・マーケティング事業部門の経営権を獲得。これらによって、ダイキン工業はインド市場参入に必要な足がかりを容易に手に入れることができた。

業の販売拠点としての位置づけにあり、タイや日本では同国の工場から製品を輸入している。ダイキン・インディアは、インド全土に11ヵ所の販売サービス拠点、3ヵ所のスペア部品センター、200店舗の系列販売店の物流ネットワークを擁している。販売サービスの各支店、スペア部品センターともに専門のトレーニングを受けた人材を置き、部品の在庫も十分に揃え、ツールやその他の設備も整っている。系列販売店も、すべての店舗において販売、サービス、機器設置に関するあらゆる活動をサポート、実施する体制が整っている。

2004年-2005年におけるダイキン・インディアの総売上高は3,350万ドルである。

ダイキン・インディアでは特殊空調分野に力を入れており、同分野での市場シェアは50%を誇る。しかし、分離空調部門のシェアは10%に満たない。同社の過去5年間の成長率は400%を超えている。全体の売上のうち、商業用が70%を占める一方、一般家庭用製品の売上は30%にとどまっている。 インドにおける有名な顧客には、インフォシス・テクノロジーズ、ウイプロ、オベロイ・ホテル、日本大使館、カナダ領事館などが含まれている。

成功の要因

インドとタイの通商関係現在、ダイキン・インディアは、タイと日本から

完成部品を輸入し、インドで組立を行っている。タイからの輸入は同社の輸入総額の約60%を占める。インドとタイの間で結ばれている「インド・タイ自

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して技術的に高度な製品を導入し、会社組織とディーラー網をさらに拡充させることによって目標達成を果たす計画である。

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今後の計画

ダイキン・インディアでは、2010年までの売上目標を2億3,000万ドルとしている。同社は、インドでの年間販売台数が10万台を超えればインド国内での組立あるいは生産工場の建設を計画している。同社の2004年度の販売台数は約2万台であった。

ディーラー向け研修ダイキン・インディアでは、ディーラーのすべて

を対象とした研修に投資をしている。同社はインド全土で200を超えるディーラーを擁しており、実際の据え付けやアフターサービスを通じて技術者の質的向上のための集中技術研修を提供している。

市場シェアの拡大ダイキン・インディアでは、最近の不動産、ホテ

ル、IT、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)業界などのブームを背景に、インド国内でのシェア拡大を計画している。インド南部の空調市場は年30%という高成長率を記録しており、同社では継続