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1. はじめに 今まさに世界中で環境保全, 改善への要請が高まり, 国際会議の場において議論と, 更には挑戦が始まって いる. IMO においても NOx および SOx の排出に対する 規制のみならず,トン・マイル当たりの CO2 排出量 EEDI)も規制することが批准されている. これらの解決策の一つとして,此まで主として使用 していた重油燃料を LNG 燃料への転換を図ることも 検討,実施されている. LNG は硫黄分を含有してお らず, SOx フリーだけでは無く,燃焼による CO2 発生 も低減する傾向にあり, その将来は有望と思われる. 本稿では GHG 対策にも有効な LNG 燃料機関に焦 点を当て,現状開発されている舶用 LNG 燃料機関の 特徴整理と, それを船舶に適用した際の特質,並びに 課題等を紹介したい. 2.国際海運の GHG 排出 全世界の CO2 排出に締める、輸送機器からの排出割 合は約 22%である. その内, 国際海運の締める割合は 2.2% 排出 (輸送機器内数では 10%)と言われてい る. (1 参照) 中でも船舶は最も輸送効率の高いシステム・機器の 一つとして認識されてはいるが(2 参照),その排出 している量としては決して無視できるものでは無い. また, 国際海運として, 更なる削減対策を講じない 場合, 2050 年には現状の 8 億トンから 1228 億トン のレベルまで増加推移する事も予測されており,削減 のための施策・継続が求められている. IMO においても数年間の議論を経て, MAROL ANNEX VI の改正案が採択され, 新造船からの CO2 排出に関する EEDI(エネルギー効率指標)による規 制を発行している. (図 3 参照) 1 国際海運の CO2 排出割合 2 海運の輸送効率 3 EEDI 規制 3.LNG 燃料機関 3.1 LNG 燃料使用による環境負荷低減 燃料油を LNG 燃料に転換することにより,特にオ ットーサイクル機関では最も厳しい環境規制に適合す るだけでは無く,それを超える環境特性を有すること が確認されている. 舶用天然ガス焚き機関 雲 石 隆 司 ** *原稿受付 平成 26 12 17 日. **正会員 三菱重工業株式会社 (港区港南二丁目16 5 号). 0 100 200 300 400 500 600 Grams per tonne-km 15 Cargo vessel over 8,000 dwt 21 Cargo vessels over 2,000-8,000 dwt 50 Heavy truck with trailer 540 Air freight 747-400 1,200km flight 舶用天然ガス焚き機関 雲 石 隆 司 ** Journal of the JIME Vol. 50, No. 2(2015) 日本マリンエンジニアリング学会誌 第50巻 第2 号(2015) ― 84 ―

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Journal of the JIME Vol.00,No.00(2005) -1- 日本マリンエンジニアリング学会誌 第 00 巻 第 00 号 (2005)

1. はじめに

今まさに世界中で環境保全, 改善への要請が高まり,

国際会議の場において議論と, 更には挑戦が始まって

いる. IMO においても NOx および SOx の排出に対する

規制のみならず,トン・マイル当たりの CO2 排出量

(EEDI)も規制することが批准されている. これらの解決策の一つとして,此まで主として使用

していた重油燃料を LNG 燃料への転換を図ることも

検討,実施されている. LNG は硫黄分を含有してお

らず,SOx フリーだけでは無く,燃焼による CO2発生

も低減する傾向にあり, その将来は有望と思われる. 本稿では GHG 対策にも有効な LNG 燃料機関に焦

点を当て,現状開発されている舶用 LNG 燃料機関の

特徴整理と, それを船舶に適用した際の特質,並びに

課題等を紹介したい.

2.国際海運の GHG 排出

全世界の CO2 排出に締める、輸送機器からの排出割

合は約 22%である. その内, 国際海運の締める割合は 約 2.2% 排出 (輸送機器内数では 10%)と言われてい

る. (図 1 参照) 中でも船舶は最も輸送効率の高いシステム・機器の

一つとして認識されてはいるが(図 2 参照),その排出

している量としては決して無視できるものでは無い. また, 国際海運として, 更なる削減対策を講じない

場合,2050 年には現状の 8 億トンから 12~28 億トン

のレベルまで増加推移する事も予測されており,削減

のための施策・継続が求められている. IMO においても数年間の議論を経て, MAROL

ANNEX VI の改正案が採択され, 新造船からの CO2排出に関する EEDI(エネルギー効率指標)による規

制を発行している. (図 3 参照)

図 1 国際海運の CO2排出割合

図 2 海運の輸送効率

図 3 EEDI 規制

3.LNG 燃料機関

3.1 LNG燃料使用による環境負荷低減

燃料油を LNG 燃料に転換することにより,特にオ

ットーサイクル機関では最も厳しい環境規制に適合す

るだけでは無く,それを超える環境特性を有すること

が確認されている.

舶用天然ガス焚き機関*

雲 石 隆 司**

*原稿受付 平成 26年 12月 17日. **正会員 三菱重工業株式会社

(港区港南二丁目16番5号).

0 100 200 300 400 500 600

Grams per tonne-km

15 Cargo vessel over 8,000 dwt

21 Cargo vessels over 2,000-8,000 dwt

50 Heavy truck with trailer

540 Air freight 747-400 1,200km flight

舶用天然ガス焚き機関*

雲 石 隆 司**

Journal of the JIME Vol. 50, No. 2(2015) 日本マリンエンジニアリング学会誌 第50巻 第 2 号(2015)― 84 ―

LNG 燃料使用による環境負荷低減船舶の検討

Journal of the JIME Vol.47,No.06(2012) -2- 日本マリンエンジニアリング学会誌 第 47 巻 第 06 号 (2012)

LNG の主成分メタンは C/H 比が低いため同じ発熱

量を発生する際に生成される CO2 が 20%以上減少す

る. 特に Spark ignitor 着火方式の Gas 専焼機関に於

いては排ガス中の Sox およびPM も 100%削減が可能

であり,NOx においては 90%以上の削減が可能とな

る. (図 4 ロールスロイス機関の例, 参照) LNG 燃料の供給インフラ整備,価格等,解決すべ

き課題も多いが,GHG 削減も含めた環境対策に適し

た燃料と言える.

図 4 RR 4Cycle Diesel Emmission 比較

3.2 LNG燃料機関の形式・種類

LNG 燃料機関の種類に関しては以下の種別に分け

られる. まず,ガスのみを燃料とする専焼機関か, ガス及び燃料油の両方を燃料とするDual Fuel機関であ

るか. また, 適用している燃焼サイクルがオットーサ

イクルかディーゼルサイクルであるかどうか. 更に 2サイクル機関か 4サイクル機関であるかどうかである. 尚,現在開発されている舶用 LNG 燃料機関は以下の

4 種類に大別される. (図 5 参照)

図 5 LNG 燃料機関の種類

3.3 LNG 燃料機関の特質 先に述べた 4 種類の舶用 LNG 燃料機関の特質概要を

以下に解説する.図 6 にそれを纏める. 3.3.1 Gas専焼 4サイクル・予混合機関 主機関として採用の場合, ガス燃料供給停止時の冗

長性確保のため,補助推進システムの装備が IGF codeにて要求されている. 更に LNG タンク設備としても

2 タンク以上の装備要件もある. 燃料ガス供給圧力は

5bar 程度と低いが, 過早着火, ノッキング防止のため, 燃焼制御及びメタンナンバーに配慮が必要である.本

機関はCO2削減に加え IMO Tier-III規制を満足する.

この機関製造の代表例はロールスロイス社及び三菱で

ある. 3.3.2 2元燃料 4サイクル・予混合機関 主機関として採用の場合, ガス燃料供給停止時は燃

料油運転への自動切り替え機能があるため,補助推進

システムは不要. LNGタンク設備も 1タンクで可能.

燃料ガス供給圧力は5bar程度と低いが, 過早着火, ノッキング防止のため, 燃焼制御及びメタンナンバーに

配慮が必要である.ガス燃焼時はCO2削減に加え IMO Tier-III 規制を満足する.この機関製造の代表例は

Wartsila, MAN Diesel で MAK, 川崎重工業, 新潟原

動機 ,DAIHATSU も開発済みである.

3.3.3 2元燃料 2サイクル・予混合機関 主機関として採用の場合, ガス燃料供給停止時は燃

料油運転への自動切り替え機能があるため,補助推進

システムは不要. LNGタンク設備も 1タンクで可能. 燃料ガス供給圧力は 16bar 程度と比較的高い.過早着

火、ノッキング防止のため、同じ体格のディーゼルサイ

クル機関より Pme を抑える必要があり, 最大出力を

約 80%程度にディレ-ティングしている.そのため、

燃料油運転ディーゼルサイクル時の燃焼効率・燃費率

を多少犠牲にしている.またメタンナンバーにも配慮

が必要である.ガス燃焼時は CO2 削減に加え IMO Tier-III 規制を満足する.この機関は Wartsila が開発

中である.

3.3.4 2元燃料 2サイクル・直噴機関

主機関として採用の場合, ガス燃料供給停止時は燃

料油運転への自動切り替え機能があるため,補助推進

システムは不要. LNGタンク設備も 1タンクで可能. 燃料ガス供給圧力は 300bar の超臨界と高圧であるた

め、燃料供給システム設計に配慮が必要.ディーゼル

サイクルを採用しているため過早着火、ノッキングの

発生は無く, メタンナンバーの配慮も不要.また燃料

Journal of the JIME Vol. 50, No. 2(2015) 日本マリンエンジニアリング学会誌 第50巻 第 2 号(2015)― 85 ―

舶用天然ガス焚き機関 220

LNG 燃料使用による環境負荷低減船舶の検討

Journal of the JIME Vol.47,No.06(2012) -3- 日本マリンエンジニアリング学会誌 第 47 巻 第 06 号 (2012)

油運転の燃焼効率・燃費率も最適化が保全される. 但

し , ガス燃焼時に CO2 削減は図られるが,IMO Tier-III規制を満足しないため, EGRまたはSCR等の

排ガス Treatment device を追加装備する必要がある.

この機関はMAN Dieselが開発済みである.三菱UECも同様な方式を採用し, 開発中である.

図 6 LNG 燃料機関の特質

以上, 各々機関の特徴を解説したが, オットーサイ

クル機関に共通する大きな課題として 1~2%のメタ

ンスリップ (未燃焼メタンの排出)があげられ,此を削

減するための技術が継続検討されている.尚,メタン

の温暖化係数は CO2対比 25 倍であることが知られて

いる. 既存機関として最も燃費の良い重油燃料低速Diesel

機関をベースに低速 Diesel(高圧 DF),低速 Diesel(低圧 DF)及び中速 Diesel(DF 電気推進)の

Emission に関する参考比較を図7に示す.

図 7 LNG 燃料機関比較 Emission 比較

4.LNG 燃料機関と適用船舶考察

LNG 燃料機関は前項にて解説の通り, 各々特質を

有しているため,適用する船舶の要件により採用に当

たっては選択・配慮が必要と思われる. 以降に機関種類毎に船種別の考察を試行してみた.

尚,これが的を射ているかどうかは読者のご判断に委

ねる.

4.1 Gas専焼 4サイクル・予混合機関 本機関は大型フェリー, PSV,或いは主に ECA 域内

を航行する船種に採用実績がある.ガス供給圧が 5barであり,比較的小型~中型のLNG燃料タンク Type-Cで Pressure built up unit 式供給装置との組み合わせ

でシンプルなシステムとなる. プロペラのトルク変動

が大きいと想定される際はノッキング防止の観点から

機関出力に余裕を持たせた設定が望ましい.

4.2 2元燃料 4サイクル・予混合機関 本機関は LNGC, 及び大型フェリー, PSV や, 主に

ECA 域内を航行する船種に採用実績が多い. ガス供

給圧が 5bar であり, LNGC においてタンクから発生

する BOG (Boil Off Gas) を燃料ガスとして

Compressor にて加圧供給する際は比較的低い消費電

力である.また,フェリー, PSV 等の比較的小型~中

型の LNG 燃料タンク Type-C を搭載する場合, Pressure built up unit 式供給装置との組み合わせで

シンプルなシステムとなる. プロペラ直結の場合で,

トルク変動が大きくなり, ノッキング発生の際でも自

動的にガス燃料から重油燃料に切り替えが出来るため,

運航への影響が少ないと思われる.

4.3 2元燃料 2サイクル・予混合機関

本機関を LNGC に採用の場合,LNG タンクから発

生する BOG (Boil Off Gas) を燃料ガスとして

Compressor にて加圧供給する事が出来る.ガス燃料

供給圧力が 16bar と比較的高いが, 消費電力も過大と

はならないと思われる.但し,低速域では余剰 BOGの処理設備を考慮する必要がある. 大洋航海をする船種に採用する場合で, ECA 域外で

は重油燃料を使用する際は燃料消費率が比較的多いた

め,本機関の特質を考慮した配慮が必要となる.また

LNG 燃料タンク Type-C を搭載する場合でも , Pressure built up unit 式供給装置のみの供給では難

しいため,LNG 供給ポンプや加圧・加熱供給装置が

必要と思われる.大型の LNG 燃料タンク Type-B 等

を搭載する船種の場合は BOG の処理設備も考慮する

Journal of the JIME Vol. 50, No. 2(2015) 日本マリンエンジニアリング学会誌 第50巻 第 2 号(2015)― 86 ―

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LNG 燃料使用による環境負荷低減船舶の検討

Journal of the JIME Vol.47,No.06(2012) -4- 日本マリンエンジニアリング学会誌 第 47 巻 第 06 号 (2012)

必要がある. また 2 元燃料 2 サイクル・直噴機関に

較べ,最大出力を抑えているため,同等の出力を得る

ためには大きな機関体格を考慮する必要がある.

4.4 2元燃料 2サイクル・直噴機関

本機関の燃料供給圧力は 300bar と高圧のため, LNGC に採用の場合,LNG タンクから発生する BOG (Boil Off Gas) を燃料ガスとし使用するには高圧の

Compressor が必要となり,消費電力も過大になる可

能性がある. LNG を液にて高圧に加圧・加熱供給す

る際には BOG の処理設備を考慮する必要がある. 大洋航海をする船種に採用する場合で、ECA 域外で

は重油燃料を使用する際も,ディーゼルサイクルの最

適燃料消費率にて運航できる.また LNG 燃料タンク Type-C を搭載する場合でも, Pressure built up unit式供給装置との組み合わせが出来ないため,LNG 供

給ポンプや高圧の加圧・加熱供給装置が必要となる.

大型の LNG 燃料タンク Type-B 等を搭載する船種の

場合は BOG の処理設備も考慮する必要がある.

5.LNG 燃料船の実例

バルト海域周辺の国々は NOx 対策の為の資金を助

成する目的に基金(NOx Fund)が設立されている.ノ

ルウェーに於いても同様で,国レベルでの NOx 削減

への意欲と,海運会社,LNG 供給会社,船級協会,

ファンド会社等の協力で LNG 燃料船が多数就航して

いる. 近年,ノルウェーのみならず,スウェーデン,ドイ

ツ,米国等でも多数の LNG 燃料船計画,建造が進行

中で,船種もフェリー,RORO,PCTC,オフショア

ーサプライ船,ケミカルタンカー等,多岐にわたり,

既に 100 隻を超えるに至っている.(図 8 参照) また中国ではLNG燃料供給バージ13隻の建造計画

が発表され,河川などで運航する船舶 2,000 隻向けに

LNG を供給する予定も発表されている.

図 8 LNG 燃料船の実績と計画数

以下に欧州,米国及び日本の具体例の写真のみを掲

載する.

図 9 欧州の実施・計画例

図 10 米国の実施・計画例

図 11 日本の実施・計画例

6.LNG 燃料適用時の留意点

先に述べたように,オットーサイクル機関の場合, LNG 燃料の性状, 発熱量によっては機関の運転制限

が出てくる可能性がある. ある機関においては 100%負荷まで運転するためには,燃料ガスのメタンナンバ

ーが 80 程度以上が必要とされている.またメタンナ

ンバーが 60 程度まで低下すると運転上限は約 80%負

荷に制限されると言われている.

Journal of the JIME Vol. 50, No. 2(2015) 日本マリンエンジニアリング学会誌 第50巻 第 2 号(2015)― 87 ―

舶用天然ガス焚き機関 222

LNG 燃料使用による環境負荷低減船舶の検討

Journal of the JIME Vol.47,No.06(2012) -5- 日本マリンエンジニアリング学会誌 第 47 巻 第 06 号 (2012)

LNGC の様に BOG を燃料とする際はメタンリッ

チのガスのため, 高いメタンナンバーを保持している

ため,運転制限することはほとんど無いと思われるが,

LNG 燃料船においては, LNG をガス化供給する際に

LNG の産地・性状によっては考慮する必要が出てく

ると思われる.また, Type-B 等の LNG タンクを採用

した際に,ある程度長期に亘って LNG 燃料を消費せ

ず,BOG の発生によりメタンを放出した結果, メタン

ナンバーの低下に至った場合も同様である. 以下に日本に輸入されている LNG をベースにメタ

ンナンバーを試算したものを表 1 に示す. 多少、メ

タンナンバー80 を下回るものもあるが,通常の船舶の

常用運転負荷は 85%程度であり, 負荷制限を設けるま

での影響は出ていない.

表 1 メタンナンバー試算

LNG 燃料を適用した船舶に関する留意点として,

定期ドック時の考慮が必要と思われる. 船舶の場合,2.5 年,乃至は 5 年毎の定期入渠検査

が義務付けられいるが,現状では国内外のほとんどの

修繕ヤードにはガス処理設備を保有していない. そのため,入渠期間中の安全性担保のため,入渠前

に何らかの方法でガスフリー作業を終了しておく必要

があると思われる.

図 12 ガス処理 Warm up 参考図

ガスフリー作業する場合の概略手順としては以下と

なる.LNG tank warm-up → Inerting → Aeration. この作業の為には Gas compressor / Warm-up

heater / Gas combustion unit 等の機器に加え LN2も

必要と思われる. 図 12 に Warm up 処理作業の概念を示す. また,出渠後の LNG 燃料受入準備のためにも,

Inerting → Cool down → Initial LNG filing の作業

が必要となり,この作業にもほぼ同様の機器,並びに

LN2が必要と思われる. これらの機器を船上に固定設備として搭載するかど

うかは船主殿 / オペレター殿の判断によるが,運航航

路や修繕ヤード近傍の陸上ガス処理設備の有無,或い

はその処理作業時間,及びその為の避航に要する時間

との見あいになると考える.

7. おわりに

LNG 燃料は非常に高い環境負荷特性を有している

ことは明白であり,それを燃料とする舶用 Diesel 機関

の開発,並びに適用船舶の計画がスピードを持って進

行している. LNG 燃料に転換するに当たり,船舶設計・改造の

みならず,LNG 燃料運搬,供給設備も含め,相当な

投資を伴うが、今後使用される燃料油には環境に配慮

した仕様が要求され,それに伴い低硫黄付加価値に加

え,CO2のサーチャージも加算されると推測され,価

格の大幅な上昇が予測されている状況に対し,シェー

ルガス由来の LNG 燃料には割安期待も作用し,相当

なプロジェクトが実現することも推測できる. そのため,当社としてもその実現,発展に向け,微

力ながら貢献していきたいと考える.

参考文献

1) Rolls-Royce LNG PROPULSION MACHINERY 2013

2) IEA: CO2 emission from fuel combustion, highlight (2012 edition)

著者紹介

雲石 隆司 ・日本マリンエンジニアリング学会 正会員

・1954 年生.

・所属.三菱重工業株式会社 船海エンジニアリング部

・最終学歴.国立松江工業高等専門学校

・専門分野.推進プラント、環境技術

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