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1530

70.615. 31: 615. 761

「オ ル ニ ツ ー ル」酸 ノ 藥 理 學 的 作 用 ニ 就 テ

大阪帝國大學醫學部藥理學教室(長崎教授)

中 野 滿 隆

[昭和7年3月2日 受稿]

The Pharmacological Laboratory, Osaka Imperial University

(Director: Prof. Dr. S. Nagasaki).

A Contribution to the Pharmacology of Ornithuric Acid.

By

Dr. Mitsutaka Nakano.

Received for Publication 2. Mar 1932.

The pharmacological action of phenol-glycuronic acid, urochloralic acid, glycuronic

acid and benzoyl-glycuronic acid have been investigated in our Laboratory by Ishii,

Matsushima, Tanaka and Sakata.

Following the line of these investigations the author has studied the pharmacological action of ornithuric acid prepared from the urine of hen by giving sodium benzoate.

The results obtained are as follows:

(1) Ornithuric acid when given to the rabbit in its general circulation gives rise to a marked diuresis. Meanwhile it causes practically no change in general blood pressure,

nor in the water content of the blood, and only the oncometric record shows an augmenta

tion of kidney volume in every case. And in denervated or isolated kidney an increased

perfusion rate is obtained. So it seems that in this vasomotor reaction the central nervous mechanism plays no part.

(2) Ornithuric acid exerts diuretic action also on cold blooded animal. Analysis effected on perfused toad kidney showed that it concerns in this diuresis the glomerular system only, and that tubular system has nothing to do with.

(3) The action of ornithuric acid on the blood vessel of the organs other than kidney is as follows: - Hind leg vascular system of the frog is dilated by low and constricted by high con

centration of this substance in the perfusing fluid. Vascular system of the rabbit's ear

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「オルニツール」酸 ノ藥理學的作用 ニ就テ 1531

shows similar reaction toward this substance. But coronary vascular system is constricted

notwithstanding the concentration of this substance in the perfusing fluid.

(4) Isolated hearts of toad and rabbit augment their tone and diminish the amplitude

of their contraction by middle dosage and especially in the beginning, but then tone

returns gradually to normal, accompanying an increase in the amplitude of contraction.

By larger dosages there occurs an increase in amplitude of the heart beat during only a

very short period at the beginning, then the amplitude decreases progressively to be finally

arrested at systole. It must be noted that in every case there is no change in the fre

quency of heart beat.

(5) In isolated smooth muscular organs of the rabbit, such as intestine, uterus and bladder, an augmentation in the tone and the spontaneous movement are observed for an

appropriate dosage. Atropine has no influence on this effect, also the isolated trigonal

and basal parts of the rabbit's bladder have shown no difference in their reaction toward

this substance.

(6) From these upper three results it may be concluded that ornithuric acid does not exert its action by way of the nervous mechanism but directly on the smooth muscular

system. (Summary).

目 次

緒 論

實 驗

「オルニツール」酸

I  循環器系ニ及ボス影響

1 心臟 ニ及ボス影響

a 剔出家兎心臟 ニ及 ボス作用

b 剔出蟇心臟 ニ及ボス作用

2 末梢血管ニ及ボス影響

a 青蛙後肢血管 ニ對 スル作用

b 家兎耳殼血管ニ對スル作用

c 心冠状血管ニ對スル作用

d 腎血管 ニ對 スル作用

II 一般血壓 ニ及ボ ス影響

III 呼吸ニ及ボス影響

IV 滑平筋臟器 ニ及ボス影響

1 剔出家兎腸管 ニ對 スル作用

2 剔出家兎子宮ニ對スル作用

3 剔出家兎膀胱ニ對スル作用

V  腎臟 ニ及ボス影響

1 温 血動物 ニ於ケル尿形成 ニ及ボス影響

2 血壓 ト利尿 トノ關係

3 腎 血管ニ及ボス影響

a 「オ ンコメー ター」試驗

b 腎灌流試驗

4 血液水分 ニ及 ボス影響

5 冷血動物ニ於 ケル利 尿作用

a 腎絲毬體灌流試驗

b 腎細尿管灌流試驗

考 察

結 論

引用書目

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1532 中 野 滿 隆

緒 論

動物 體 ニ種 々 ノ薬物 例 ヘバ 「カ ン フエル」1),「フエ ノー ル」2),「メ ン トール」3),抱水 「クロラ

ー ル」4),「 ナ フ トー ル」5),「チモー ル」6),「テル ペ ンチ ン」7),安 息香 酸8)等 ヲ輸 入 スル ニ,之 等

毒物 ノ一部 ハ硫 酸 ト結 合 シテ「エー テル 」硫 酸 トナル ト共 ニ,一 部 ハ抱 合性 「グル ク ロン」酸 ヲ形

成 シ尿 中 ニ移 行 ス.而 シテ抱合 性「グル ク ロ ン」酸 ハFluckiger9), Mayer u. Neuberg10)ノ 立

證 セル如 ク,恒 ニ常尿 中 ニモ含 有 スル モ ノニ シテ,其 ノ主 ナル モ ノハ腸内腐敗 産物 ヨ リ移行 セ

ル「フエ ノー ル グル ク ロ ン」酸,「 イ ン ドオ キ シール グル ク ロ ン」酸,及 ビ「スカ トキシール グルク

ロ ン」酸等 ナ リ.曩 ニ當教 室 ニ於 テ石 井11)ハ「フエノール グルク ロ ン」酸 ガ 温 血動 物竝 ニ 冷 血動

物 ニ對 シ利 尿 的 ニ作 用 シ,而 モ其 本 態 ガ 純 末梢性 ナル コ トヲ 立證 シタ リ,次 デ松 島12)ハ「ウロ

ク ロ ラー ル」酸 ニ就 キ,田 中13)ハ「グル ク ロ ン」酸其 ノ モノ ニ就 キ 各 々 其 ノ藥理學 的作 用 ヲ研究

シ,特 ニ利 尿 作 用 ノ顯 著 ナル コ トヲ發 表 セ リ.佐 方14)ハ犬 及 ビ山羊 ニ安息 香酸 ヲ與 へ,其 尿 中

ヨ リ「ベ ンツオ イール グ ルク ロ ン」酸 ヲ分 離 シ,其 藥 理學 的 作用 ヲ攻究 セ リ.

由 來 安息 香酸 ヲ種 々 ノ動 物 ニ與 フル ニ,一 部 ハ體 内 ニ於 テ「グ リココル」ト結 合 シテ馬尿酸 ヲ

形 成 スル ハ生化 學 ノ示 ス所 ナ リ,然 レ共動 物 ノ種 類,投 與量,其 ノ他 ノ條件 ニ ヨ リテハ必 ズ シ

モ馬 尿 酸 ノ ミヲ形成 スル モ ノニ アラズ シテ,其 他 ノ異 常成 分 ヲ形成 スル コ トア リ,即 チ佐方 ノ

分 離獲 得 セル ガ如 ク,犬 及 ビ山羊 及 ビ多 クノ場 合 空腹 時 ノ家 兎 ニ安息 香酸 ノ大 量 テ與 フル ニ於

テハ 馬尿 酸 ト共 ニ,「 ベ ンツオ イー ル グル ク ロ ン」酸 ヲ生成 シ尿 中ニ排 泄 移 行 ス.其 他 又鷄 及 ビ

一般 鳥 類 ニ安 息香 酸 テ與 フル ニ,體 内 ニ於 テ 「オ ル ニ チ ン」 ト結 合 シ 「オ ル ニ ツー ル」酸 ヲ形成

ス.而 シテ哺 乳動 物 ト烏 類 トニ ヨ リテ其 形成 セラル ル酸 ノ異 ナル ハ兩者 ノ機能 各 々同 ジカ ラザ

ル ニ歸 因 スべ ク,又 之 ヲ立 證 スル ノ事實 ハSalkowski15)及 ビ吉川16)ノ 研 究 ニ ヨ リテモ明 カナ

リ.往 年 既 ニShepard17)ハ 鳥類 ニ安息 香 酸 ヲ與 フ レバ 馬尿 酸 ニ移行 セザ ル重要 ナル事實 ヲ決定

セル ト共 ニ,尿 中 ヨ リ一新 物質 ヲ分 理 スル コ トニ成 功 セ リ,次 デJaffe18)ハ 該新物 質 ニ就 キ研

鑽 シ遂 ニ「オ ル ニ ツー ル」酸Ornithursaure C19H20N2O4ナ ル コ トヲ決 定 セ リ.又 菅19)ハ鷄體 内

ニ「グ リココル」ヲ含 有 スル ニ拘 ラズ安息 香酸 ヲ與 フル ニ,毎 常馬尿 酸 ヲ生成 セザル コ トヲ實驗

證明 セ リ.前 述 ノ如 ク「オ ル ニ ツール」酸 ハ其 ノ化學 的構造 及 ビ性質 ニ於 テ上記各種 抱合性「グ

ル ク ロ ン」酸 ト稍 々趣 ラ異 ニスル物質 ナ レバ,其 藥 理學 的 作用 ノ追求 ハ 興 味深 キモ ノナルベ シ,

是 レ余 ガ本研 究 ヲ企 圖 セル所 以 ナ リ.

實 驗

M. Jaffe,吉 川 氏 ノ記 載 ニ 從 ヒ「オル ニ ツール」酸

ヲ製 セ リ,即 チ強健 ナル牝 鷄 ノ總 排泄 孔 ノ上 部 ニ於

テ直 腸 ヲ結 紮 シ,次 デ人工 肛 門 ニ造 リ,總 排 泄 孔 ニ

適合 セル「カ ニュ レ」ニゴ ム嚢 ヲ聯 結 シ,以 テ糞 便 ヲ

混 ゼザ ル尿 ヲ採 集 ス ル ニ便 ナ ラ シメ タ リ.上 記 ノ手

術 ヲ施 行 シタル後2-3日 ニ シテ安 息香 酸「ナ トリウ

ム」2.0gヲ 適量 ノ水 ニ溶解 シテ經 口的 ニ嚥下 セシメ,

24時 間 ニ排 泄 セル尿 ヲ採集 セ リ(約60cc).斯 クテ

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「オ ルニ ツー ル」酸 ノ藥理 學的 作 用 ニ就テ 1533

尿 ニ5倍 量 ハ酒精 ヲ加 へ温 メ ツツ振盪 シテ數 時間放

置 シタル後 濾過 ス.濾 液 ハ 低温(35°-40℃)低 壓 ノ

下 ニ蒸發 セ シメ,沈 渣 ヲ少 量 ノ水 ニテ洗 ヒ取 リ,之 ニ

鹽酸 ヲ加 ヘテ強 酸 性 トナ シ タル後5倍 容 量 ノ 「エ ー

テル」ニテ振 盪 ス次 デ振 出 エ ーテ ル ヲ 放置 スル ニ漸

次無色 ハ結 晶 ヲ折 出 ス,又 「エ ーテ ル」ニ移 行 セ ズ シ

テ水溶液 中 ニ浮游 セル結 晶 ハ 濾過後 水洗 シ,少 量 ノ

「アル コール」ニ溶 カ シ獸 炭 ヲ以 テ脱 色 シ,適 源 ニテ

濃縮 シ之 ニ「エ ーテ ル」ヲ加 ヘテ結 晶 セシメ,硫 酸 乾

燥器内 ニテ乾燥 セ リ.該 結晶 ハ 無 色針 状 ニ シテ,水

ニ難 溶,純 「エ ーテ ル」ニハ 不溶,「 アル コ ール」ニハ

溶解 シ易 シ,熔 融點 ハ182℃ ヲ示 シM. Jaffeノ 「オ

ル ニ ツー ル」酸 ニ全 ク一 致 セ リ.

本 劑 ハ水 ニ難溶 性 ナ ル ヲ以 テ 之 ガ實 驗 ニ當 リテハ

温 メ タル生 理 的食 鹽 水 ニ重曹 ヲ加 へテ 中和 シタ ルモ

ノヲ使 用 セ リ,

(以 下O. S.ト アル ハ 「オル ニ ツール」酸. B-Nト ア

ルハ安 息香 酸 「ナ トリウ ム」ノ略號 ニ シテ,兩 者 ノ分

子 量 ニ應 ジテ 各用 量 ヲ選 定 セ リ,從 ツテ安 息香 酸 ハ

前 者 ノ約1/2量 ヲ使 用 セ リ.)

I 循環器系ニ及ボ ス影響

1 心臟 ニ及ボス影響

a 剔出家兎心臟ニ及ボス作用

Langendorff氏 法20)ニ 從 ヒRinger Locke氏 液 ニ酸

素ヲ飽和 セ シモ ノヲ38℃ ニ温 メ,剔 出 家 兎心臟 ヲ灌

流ス.「 オル ニ ツール」酸0.001g乃 至0.2gヲ 生理 的

食鹽水1ccニ 溶解 シ,之 ヲ接 續 ゴ ム管 内 ニ多 ク ノ例

ニ於テハ約1分 間 ニ亙 リ テ 注 入 セ リ.即 チ0.001-

0.003gニ ア リテ ハ僅 カ ニ心 筋 緊張 ノ上 昇,心 收縮 ノ

減退 ヲ來 ス ト雖 モ心搏 數 ニハ 認 ム ベ キ 變 化 ヲ呈 セ

ズ.(第1表 其1). 0.005-0.01gニ 於 テ ハ 稍 々趣 ヲ

異ニ シ僅カニ緊張上昇,收 縮 ノ減退即チ振幅 ノ縮小

ヲ來シ,衣 デ緊張復歸シ心擴張及ビ心收縮共ニ(殊

ニ收縮)旺 盛 トナ リ振幅 増 大 ス.(第1表 其 ノ2,第1

圖), 0.02-0.1gニ 至 リテハ 心運 動 一時 旺 盛 ナル モ

直 チ ニ微 弱 トナ リ,人 工 養 液流 出 ノ停 止 スル ト共 ニ

收 縮期 的 心停 止 ニ移 行 ス(第2表 其 ノ2,第2圖).而

シテ 一定 時 ヲ經 レバ再 ビ心 運 動自 カラ開 始 シ,漸 次

復舊 ス ト雖 モ,大 量0.2gニ 於 テハ 心動 全 ク停 止 ス.

第1表  (其 ノ1) 第1表  (其 ノ2)

第1圖  摘 出 家兎心 臟(第1表 共 ノ2)  時 記(5〃)

↓-↑: 0.005g O, S.注 射

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1534 中 野 滿 隆

第2表  (其 ノ1) 第2表  (其 ノ2)

第2圖  摘 出 家兎 心 臟(第2表 其 ノ2)

↑-↓: 0.02g O. S.注 射(注 射 時 間30〃)  (時 記5〃)

b 剔出蟇心臟ニ及ボス作用

A. T. Clark21)氏 法 ニ 從 ヒGlark氏 液10ccヲ 以テ

剔 出 蟇心 臟 ヲ灌 流 シタル ニ.其 作用 ハ家 兎 心臟 ニ於

ケル モ ノ ト略 ボ同 樣ナ レ ドモ,同 一作用 ヲ呈 セ シム

ル ニハ 比較 的多 量 ヲ要 スル傾 向 ア リ(第3, 4表).

第3表  (其 ノ1) 第3表  (其 ノ2)

第3圖  剔 出 蟇心 臟 第3表 其 ノ1)  時 記(5〃)

↓0.01g: O. S. 0.01g注 加436

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「オルニツール」酸 ノ薬理學的作用 ニ就テ 1535

第4圖  剔 出 蟇心 臟(第3表 其 ノ2)  時記(5〃)

↓ Atr: 0.1%硫 酸「ア トロピ ン」2滴 注 加

↓ 0.01g: 0. S. 0.01g注 加

第4表  (其 ノ1) 第4表  (其 ノ2)

第5圖  剔出 蟇 心臟(第4表 其 ノ2)  時記(5〃)

↓: 0.15g O. S.注 加

前記剔 出 家兎竝 ニ蟇心 臟 ノ灌流 試 驗 ニ於テ,豫 メ

硫 酸「ア トロピ ン」(家兎 ニ於 テハ0.1%液1cc,蟇 ニ

於 テハ2滴)ヲ 以 テ 處 置 セ ル モ ノ ト,然 ラザ ルモ ノ

トヲ比較 スル ニ其 間認 ム ベキ差異 ナキ モ,唯 「ア トロ

ピ ン」處 置 セル際 ニ ハ後 期 振幅増 大 ハ 爲 メニ抑 制 セ

ラル ルガ如 シ(第3, 4表 第3, 4, 5圖),之 ヲ要 ス ル ニ

本劑 ハ心臟 殊 ニ家 兎心 臟 ニ對 シ極 メテ強 力 ナ ル作用

ヲ呈 ス.

2 血壓ニ及ボス影響

a 青蛙後肢血管ニ對スル作用

Lawen-Trendelenburg22)氏 法 ニ從 ヒ青 蛙後 肢 血管

灌流試 驗 ヲ施 行 シ タルニ,「オ ル ニ ツール」酸0.001-

0.003gニ 於 テ ハ 血管僅 カ ニ擴 張 シ(第5表,第6圖),

0.005-0.01gニ 至 レバ注 射後 擴 張的 ニ,次 デ收 縮的

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1536 中 野 滿 隆

ニ作用 スル コ トヲ認 メ タ リ.安 息 香酸 ニ於 テ モ效果 同 樣 ナ リ(第6表,第7圖).

第5表  (其 ノ1) 第5表  (其 ノ2)

第6圖  青 蛙 後肢 血 管灌 流 試驗(第5表 其 ノ1)  時記(5〃)

↓-↑: 0.001g O. S.注 射

第6表  (其 ノ1) 第6表  (其 ノ2) .

第7圖  青蛙 後肢 血 管 灌流 試驗(第6表 其 ノ1)  時 記(5〃)

↓-↑: 0.005g O. S.注 射

b 家兎耳殻血管ニ對スル作用

Krawkow-Pissemski23)氏 法 ニ從 ヒ38℃ ニ温 メ タ

ルRinger氏 液 ヲ以 テ,家 兎 耳 殻 血管 ヲ 灌流 シ,「オ

ル ニ ツ ール」酸 ノゴ ム管 内注 入 ニ ヨル 作 用 ヲ 觀 察 シ

タル ニ,前 記 青蛙後 肢 血管 ノ成 績 ニ異 ナ ラズ(第78

表第8, 9圖).

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「オルニツール」酸 ノ藥理學的作用 ニ就テ 1537

第7表  (其 ノ1) 第7表  (其 ノ2)

第8圖  家兎 耳 殻 血管 灌 流試 驗(第2表 其 ノ2)時 記 (10〃)

↓-↑: 0.05g O. S.注 射

第8表  (其 ノ1) 第8表  (其 ノ2)

第9圖  家兎 耳殼 血 管灌 流試 驗(第8表 其 ノ1)

↓-↑: 0.1g O. S.注 射

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1538 中 野 滿 隆

c 心冠状血管ニ對スル作用

前 記剔 出 家兎 心 臟 灌流 ニ 際 シ本 劑0.02-0.2gヲ

ゴム 管内 ニ注 入 スル ニ,灌 流 液急 激 ニ減少 シ遂 ニ收

縮 期 的心 停 止 ニ 移 行 ス,是 ニ於 テKrawkow24)氏 法

ニ從 ヒ心 冠 状 血管 ノ灌 流 ヲ施 行 セ リ,即 チ完全 ニ停

止 セ シメ タル家 兎 心臟 ノ冠 状血 管 ヲLangendorff氏

法 ト同一 裝 置 ノ下 ニ本劑 ヲ注 入 シタル ニ, 0.005g以

下 ニ於 テ ハ殆 ド何 等 ノ變 化 ヲ認 メザ レ ドモ, 0.01-

0.05gニ 於テ ハ 著明 ニ血 管收 縮 ヲ來 シ 後 漸次恢復 ス

ル モ, 0.1g以 上 ニ於 テ ハ遂 ニ其 ノ滴 數恢復 セズ,(第

9, 10表 第10, 11圖),安 息香酸 ニ於テハ 常 ニ血管擴

張 ヲ示 ス(第10表 其 ノ2).

第9表  (其 ノ1) 第9表  (其 ノ2)

第10圖  家兎 心 臟冠 状 血管 灌 流試 驗(第9表 其 ノ2)

↓-↑: 0.01g O. S.注 射 時記 (10〃)

第10表  (其 ノ1) 第10表  (其 ノ2)

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「オルニツール」酸 ノ薬理學的作用 ニ就テ 1539

第11圖  家兎 心臟 冠状 血管灌 流試 驗(第10表 其 ノ1)  時記(10〃)

↓-↑ 0.05g O. S.注 射

d 腎血管ニ對 スル作用

腎 血管 ニ對 ス ル「オ ル ニツ ール 」酸 ノ作 用 ニ就テ ハ後章 ニ讓 ル.

II 一般血壓ニ及 ボス影響

家兎 ヲ「ウ レ タ ン」ニヨ リ麻 醉 セシ メ(體 重1kgニ

ツキ10%10cc)頸 動脉 ニ「カ ニュ レ」ヲ挿入 シ,コ レ

ヲ水銀「マ ノメ ー ター」ニ連 結 シテ血壓 ヲ測 定 ス,耳

殻 靜脉 内 ニ生理 的 食鹽水1ccニ 溶解 セ ル「オ ル ニ ツ

ー ル」酸 ヲ靜 カ ニ注 入 セ シ ニ何 等 ノ變 化 ナ キ カ,或 ハ

輕度 ノ血 壓 上昇 ヲ來セ リ,然 レ共 安息 香酸 ニ於 テ ハ

其0.05-0.1gハ 毎常 明 カ ナル血 壓 上昇 ヲ認 メ タ リ.

第12圖  家兎 頸動 脉 血壓  時 記(5〃)

↓-↑: 0.1g O. S.注 射

III 呼吸ニ及ボス影響

健 康 家兎 ニ「ウ レ タ ン」麻 醉 ヲ 施 シ,之 ニ氣管 「カ

ニュ レ」ヲ挿入 シ空 氣傳 導法 ニ ヨ リ其 呼 吸運 動 ヲ煤

紙 上 ニ描 寫 セ シメ,本 劑(0.1g)ヲ 食 鹽 水1ccニ 溶解

シ耳殼 靜脉 ニ注入 シ タル ニ何等 變 化 ナキ カ,或 ハ僅

カ ニ増 大 ス(第13圖).

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1540 中 野 滿 隆

第13圖  家 兎 呼吸運 動曲線  時記(10〃)

↓-↑: 0.1g O. S.注 射

VI  滑平筋臟器ニ及ボス影響

1 剔出家兎腸管ニ對スル作用

失 血 死 ニ 至 ラ シ メ タ ル 家兎 小 腸約2cmヲMa

gnus25)氏 法 ニ 從 ヒ 豫 メ39℃ ニ温 メ タル含 酸素Ty

rode氏 液100cc中 ニ懸垂 ン,一 定 時間 ヲ經 タル後,

本剤0.05gヲ1ccニ 溶 解 シ39℃ ニ温 メ注 加 ス ルニ,

一 時的 ニ緊張 度 ノ増 加,振 幅 ノ縮 小 ヲ來 シ,次 デ緊

張 度 ノ減 退 ト共 ニ振幅 ノ増 大 ヲ來 ス,然 レ ドモ未 ダ

Rhythmusニ ハ 變化 ヲ認 メズ(第14圖),豫 メ0.1%

硫 酸「ア トロピ ン」4滴 ヲ注加 シテ 腸筋緊 張度 ノ減弱

セ ル モ ノニ於テ ハ一 時緊 張 ノ上昇 ヲ來 ス ト雖 モ,ソ

ハ本劑 投 與 ノ一 瞬時 ノ ミニ シテ直 チ ニ復舊 シ,爾 後

振 幅稍 々増 大ス(第15圖).當 教室 佐 方 ノ成 績 ニ 從

ヘ バ安 息 香酸 ニ於 テ モ同 樣 ナル關 係 ヲ示 ス.

第14圖  剔 出 家兎 腸 管  時記(10〃)

↓: 0.05g O. S.注 加

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「オルニツール」酸 ノ藥理學的作用 ニ就テ 1541

第15圖  剔 出 家兎 腸管  時(10〃)

↓Atr: 0.1%硫 酸「ア トロ ピ ン」4滴 注 加

↓O. S.: 0.05g O. S.注 加

2 剔出家兎子宮ニ對スル作用

Fuhner26)氏 法 ニ従 ヒ失 血致 死 セ シ メ タ ル 家兎 子

宮角1cmヲ 半 切 シ,之 ヲ含酸 素Tyrode氏 液100cc

(39℃)中 ニテ試 驗 ス,本 劑0.05gハ 初 メ緊 張 上昇 シ,

次 デ弛 緩 的 ニ作 用 シ,且 子宮運 動 ノ頻 數 ヲ來 ス,

0.1gニ 於 テ緊 張 上昇 ト共 ニ運 動頻 數微 弱 トナ リ遂

ニ收 縮 状態 ヲ 以 テ 停 止 ス.又 豫 メ0.1%「 ア トロピ

ン」3滴 ヲ注 入 シタ ル後 ニ 於 テ モ亦 正常 子 宮 ニ於 ケ

ルガ如 ク,興 奮 作 用 ヲ呈 ス(第16圖).

第16圖  剔出家 兎 子 宮  時 記(10〃)

↓Atr: 0.1%硫 酸「ア トロピ ン」3滴 注 加

↓O. S.: 0.05g O. S.注 加

3 剔出家兎膀胱ニ對スル作用

Young and Macht27)氏 法 ニ從ヒ 膀 胱三 角 部及 ビ底

部 ノ1cm, 0.3cmノ 切片 ヲ 含 酸 素Tyrode氏 液100

cc(39℃)中 〓懸垂 シテ 本劑 ヲ作 用 セ シメ タル ニ,兩

部共ヨク輕度 ノ緊張上昇 ヲ來ス.由 來兩氏ノ説ニ從

ヘバ膀胱三角部 ヲ收縮 シ底部ヲ弛強セシムル物質ハ

交感神經末梢ニ作用 シ,膀 胱三角部ヲ弛緩 シ底部 ヲ

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1542 中 野 滿 隆

収 縮 セ シム ル藥 劑 ハ 副交 感神 經 ヲ麻痺 セ シム ルモ ノ

ニシテ,兩 部共 ニ収縮 又 ハ弛 緩 セ シム ル藥 劑 ハ筋 自

己 ニ作 用 ス ル モ ノナ リ ト云 ヘ リ.是 ニ ヨ リテ 之 ヲ觀

レバ「オルニ ツール」酸ハ筋自己ニ作用シテ 其緊張ヲ

高ムルモノナ リト云 フヲ得ベ シ(第17, 18圖).

第17圖  剔 出家 兎 膀胱 底 部  時記(10〃)

↓: 0.05g. O. S.注 加

第18圖  剔出 家 兎膀 胱 三角 部  時記(10〃)

↓: 0.05g. O. S.注 加

V  腎臟 ニ及 ボス影響

1 温血動物 ニ於ケル尿形成ニ及ボス影響

「オ ル ニ ツー ル」酸 ノ利 尿 作用 ノ如 何 ヲ檢 セ ン ト欲

シ,健 康雄 性 家 兎 ニ「ウ レタ ン」麻醉 ヲ施 シ,膀 胱 三

角 部 ニ「カ ニュ レ」ヲ裝 置 シ置 キ,耳 殼 靜脉 内 ニ本劑

0.1g,次 デ一 定 時 ノ後 安息 香 酸「ナ ト リウ ム」0.05g

(1ccノ 生 理的 食 鹽水 ニ溶解)ヲ 注 射 シタル ニ,何 レ

ノ場合 ニ於テモ著明ノ尿量増加ヲ示 セリ.而 シテ注

射後3-8分 ニ於 テ最 高度 ヲ示 シ10-15分 ニ シテ復

舊 ス.但 シ「オル ニツ ール」酸 ニ於 テ其效 果顯著 ナル

ヲ認 メタ リ(第11表 第19圖).

第11表

444

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「オ ルニ ツー ル」酸 ノ藥 理學 的作用 ニ就 テ 1543

第19圖  家兎血壓 竝ニ利尿實驗

上段:血 壓  中段:尿 滴數  下段:時 記(10〃)

2  血壓 ト利 尿 トノ關 係

一 般血 壓 ノ昇降 ガ尿 分 泌 ニ一 定 ノ關係 ヲ有 ス ルハ

C-Ludwig28), Goll29), Heidenhain30) Hermann31)等

ノ研 究ニ依 ル モ明 カナ リ.然 レ共「オ ル ニ ツール」酸

0.1gハ 之 ガ血壓 ニ對 スル影 響 ノ時 ニ無變 化 ナ ル カ,

或 ハ僅 カニ上 昇 ス ル 場 合ハ 固 ヨ リ,又 第20圖 ニ示

スガ如 ク血壓一時著明 ニ下降セル實驗例 ニ於テモ常

ニ利 尿 ヲ招 來 ス.サ レバ 本劑 ニ依 ル利 尿 ハ血 壓上 昇

其 ノモ ノ ノ結果 トシテ來 ル モ ノニ アラズ シテ,寧 ロ

藥 劑 其 ノモ ノ ノ直接 作用 ニ因 ルモ ノ ト云 フ ヲ妥 當 卜

認 ム(第20圖).

第20圖  家兎血壓竝ニ利尿實驗

上段:血 壓  中段:尿 滴數  下段:時 記(5〃)

3 腎血管ニ及ボス影響

腎血管ヲ流ルル血量ノ増減及ビ灌流ノ遅速ハ腎機

能ニ對シ重要ナル要約 ヲナスモノナ リ.即 チ尿分泌

ノ増減ハ腎内流過 ノ血量ニ比例 シ,通 過血量 ノ増加

ハ絲毬體ニ於ケル濾過作用 ヲ旺盛ナラシメ,他 面灌

流 ノ旺盛ハ養素及ビ酸素 ノ供給 ヲ充分ナラシメ、以

テ「エネルギー」源 トシテ共活動カヲ與へ,頽 廢産物

除 去ヲ速 カニシ以テ尿分泌 ノ増加ヲ招來セシムル モ

ノナ リ.余 ハ以 上 ノ事實 ヲ參 酌 シ腎容 積 ノ變 化 ヲ窺

ハ ン トシ,「 オ ンコメ ー タ ー」試 驗竝 ニ腎人 工 灌流 試

驗 ヲ施 行 セ リ,是 レ血管 管 腔 ノ變 化ハ 必 ズ シモ腎 容

積 ニ一致 スル モ ノニア ラザ レバ ナ リ.

a 「オ ンコ メー ター」試 驗

「ウ レタン」麻醉ヲ施 シタル雄性家兎 ノ左頸動脉 ニ

於 テ一般 血壓 ヲ測 定 ス ル ト共 ニ,左 腎 ニ「オ ンコメ

ー ター」ヲ裝 置 シ,本 劑0.1g(1cc生 理 的 食鹽 水 ニ

溶解)ヲ 耳 穀靜 脉 ニ注 入 セ リ.此 ノ際 血壓 曲線 ハ 異

常 ナキカ,又 ハ輕度ノ上昇 ヲ來スモ,腎 容積曲線ハ

常ニ徐々ニ上昇 シ約3-4分 ニ シテ恢復ス(第21, 22

圖).

左右兩側 ノ 内臟神經切斷後30分 乃至1時 間 ヲ經

445

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1544 中 野 滿 隆

テ(血歴40-60mmHg)同 樣 ノ檢査ヲ行 フニ血壓ハ

注射直後 明カニ上昇 シ,約3-4分 ニシテ正常 ニ復 シ,

腎容積ハ注射直後一時縮小 スルモ 約30-06秒 ニシ

テ恢復 シ更ニ増大シ,血 壓正常 ニ復スル ト略ボ同時

ニ腎容積モ3-4分 ニシテ正常 ニ復スルヲ認 メタリ

(第23圖).

第21圖  血壓竝 ニ腎容積曲線(注 射時40〃)

上段:血 壓  中段:腎 容積曲線  下段:時 記(10〃)

第22圖  血壓竝ニ腎容積曲線(注 射時20〃)

上段:血 壓  中段:腎 容積曲線  下段:時 記(10〃)

第23圖  血壓竝ニ腎容積曲線(兩 側内臟神經切斷)

上段:血 壓  中段:腎 容積曲線  下段:時 記(10〃)

b  腎 灌 流 試 驗

「ウレタ ン」麻醉 ノ下 ニ背位ニ固定セル家兎 ヲ腹部

正中線 ニ沿 ヒテ開腹 シ,左 側腎動脉分枝部以下 ニ存

スル腹部大動脉 ノ分枝血管及ビ左腎動脉 ヨリ副腎ニ

至 ル動脉 ヲ結紮 シ,左 腎動脉下部ニ於テ大動脉 ニ灌

446

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「オルニツール」酸 ノ藥理學的作用ニ就テ 1545

流用 「カ ニュ レ」ヲ心臟 ニ向 ツテ挿 入 シ,同 時 ニ大 動

脉 ヲ左腎 動脉分 肢 直 上部 ニテ結紮 ス,次 デ左 腎靜脉

ニ流 出用「カ ニュ レ」ヲ挿 入 シ,動 脉「カニ ュレ」ヨ リ

38℃ ニ温 メタル酸 素飽 和Ringer-Locke氏 法 ヲ灌 流

シ一 定 時 間 ヲ經 タ ル後,灌 流 ゴ ム管 内 ニ本劑0.05-

0.1g(Ringer-Locke氏 液1ccニ 溶解)ヲ 注 入 ス ル ニ

灌 流液 流 出量 顯著 ニ増 加ス(第2表 第24圖).

第12表  家兎 〓 體重2.3kg灌 流壓50cm(水)

(其 ノ1) (其 ノ 2)

第24圖  家兎 腎 灌流 試 驗

↓-↑: 0.1g. O. S「 ゴ ム」管 内注 射

茲 ニ於テ本劑 ン腎血管擴大作用 ノ本態 ヲ知 ラント

欲 シ,耳 殼 靜脉 内 ニ0.05-0.1gヲ 注入 スル ニ 灌 流

液流出滴 出滴 數 ニ認 ム ベキ増 減 ヲ來 サ ズ(第13表,

第25圖).惟 フニ本劑 ニヨル腎血管擴張作用ハ本態

末梢性 ノモ ノニシテ血管運動神經中樞 ノ關與 スル所

ニ非ラザルベシ.

第13表  家 兎 〓 體 重2.3kg灌 流 壓50cm(水)

(其 ノ1) (其 ノ2)

447

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1546 中 野 滿 隆

第25圖  家 兎 腎灌 流 試驗  時記(10〃)

↓-↑: 0.1g. O. S.耳 殼 靜脉 内注 射

更 ニ腎 血管擴張作用 ノ本態 ガ血管反射機轉 ニ基 ク

ヤ否 ヤヲ檢セ ント欲 シ,兩 側 内臟神經 ヲ太陽神經節

ニ入 ルニ先ダチ切斷 シタル後, 30分 乃至1時 間 ヲ經

テ灌流「ゴム」管内 ニ再 ビ本劑0.05-0.1gヲ 注射シ

タルニ,等 シク灌流養 液流出量 ノ著明ナル増加 ヲ來

セ リ,而 シテ注對直後一時僅 カニ滴數ノ減少 ヲ來 ス

コ トアルハ(第14表,第26圖)前 述 ノ「オ ンコメ ー

ター」試 驗 ニ於 ケル兩 側 内臟神 經 切斷 後 ノ成 績(一 過

性腎 容 積 ノ縮 小)ニ 一 致 シ血 管 ノ異 常弛 緩 ニ基 ヅク

一 現 象 ニ シテ,恐 ラク「ア トロピ ン」ヲ以 テ前處置 シ

タル 剔出 腸管 及 ビ子 宮等 ノ臟 器 ニ於 ケル成績 ニ比 ス

べ キ モ ノナ ル べ シ.

第14表  家兎 〓 體 重2.3kg灌 流壓50cm(水)

(其 ノ1)(其 ノ2)

第26圖  家 兎腎 灌 流試 驗  時 記(10〃)

↓-↑: 0.1g. O. S.「 ゴム 」管 内 注射

以上 ノ事實 ニ徴 スルニ本劑 ノ利尿的用量ハ正常腎

血 管ヲ一時擴張 シ,且 腎容積 ノ増大 ヲ招來 スルモノ

ニ シテ,而 モ其作用本態ハ中樞性又 ハ血管反射性擴

張 ニ基 因 ス ルモ ノニ非 ラズ シテ,寧 ロ純末 梢性 ニシ

テ血 管 自己 ヲ侵襲 スル モノ ナ リ ト云 フべ シ.

4 血液水分ニ及ボス影響

水 血 状態 ガ利 尿 作用 ニ 一 定 ノ 關 係 ヲ 有 ス ル ハ

Starling32)ノ 研 究 ニヨ リテ 明 カナ ル所 ナ リ,是 レ水 血

症 ニ依 ル一時的多血症ガ毛細管内ノ血壓ヲ上昇シ,

爲 メニ腎絲毬體ニ於ケル血壓上昇ヲ來 シ,利 尿ヲ惹

448

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「オルニツール」酸 ノ藥理學的作用 ニ就テ 1547

起 スレ バナ リ,然 レ ドモMagnus33)ハ 動 物 ニ 輸 血 ヲ

行 ヒ一過 性多 血症 ヲ起 サ シメタ ルニ,之 ニ依 リテ生

ズル血壓 ハ利尿 ヲ惹起 セ ズ,蓋 シ利 尿 ハBlutspen

decトBlutempfangerト ニ於 ケ ル 血壓 構成 成 分 ニ相

違 アル場合 ニ發現 スル現 象,即 チ血液 ノ化學 的 性状

變 化 ニ基 クモ ノニ シテ,毛 細 管 血壓 ノ増 加 ニ ヨルモ

ノ ニ非 ズ ト云 フ, Becker34)ハ 尿素 利尿 ニ於 テ モ利 尿

ト水 血状 態 トハ時 間的 ニモ相 關的 聯絡 ヲ有 セ ズ ト報

告 セ リ.

果 シテ然 ラバ「オル ニ ツール」酸 ノ利 尿 ハ水 血状 態

ヲ招 致 スル モ ノナ リヤ否 ヤ ヲ探 究 ス ル ノ要 ア リ,是

ニ於 テBang35)氏 法 ニ從 ヒ豫 メ硫 酸 乾燥 器 中 ニ放 置

シ重 量 不變 トナ リタル吸 取紙 ヲ家 兎 耳殼 靜 脉 ヨ リ時

間的 ニ採 取 セ シメ,直 チ ニ之 ヲ秤 量 瓶 ニ納 メ秤 量 シ

タル後, 100℃ ニテ乾 燥 シ,次 デ 硫 酸 乾燥 器 内 ニ冷

却 シ其重 量 ヲ秤 量 シ,以 テ血液 水 分 ヲ算 出 シ タ リ,

而 シテ 「オル ニ シー ル」酸 ニ於 テ ハ何等 認 ムベ キ變 化

ヲ來 サ ズ ト雖 モ,安 息 香 酸 ニ於 テ ハ寧 ロ血液 含 水 量

ノ減少 ヲ來 スハ佐 方 ノ實 驗 ニ依 リテ明 カナ リ(第15

表).

第15表  (其 ノ1)家 兎 〓 體重2.65kg 第15表  (其 ノ2)家 兎 〓 體 重2.55kg

5 冷血動物ニ於ケル利尿作用

冷 血動物殊 ニ 蛙 及 ビ 蟇 ノ 腎臟 ニ ア リテ ハNns

sbaum38)氏 ノ研 究發表 セ シガ如 ク特殊 ノ血管 分布 ヲ

受 ク,即 チ腎絲 毬體 ハ腎 動脉 ヨ リ,腎 細 尿管 ハ主 ト

シテ腎 門脉 ヨ リ夫 レ夫 レ血液 ヲ受 ケ,相 合 シテ 腎靜

脉 ヲ形 成 ス,サ レバ一 定 ノ檢 査法 ニ依 リテハ 利 尿 作

用 ガ腎 自己 ノ機 能亢 進 ニ基 クモ ノナ リヤ,或 ハ腎臟

以外 ノ因子 ニ ヨル モ ノナ リヤ ヲ決定 シ得 べ シ,其 他

利 尿機 轉 ガ腎臟 自己 ニ存 ス ル場 合ニ於 テ モ,或 ハ絲

毬 體 濾過 作用 ノ増進 ニ歸 ス ベキ モ ノナ リヤ,或 ハ細

尿 管 ニ於 ケ ル水分 逆吸 収 ノ抑 制 ニ因 ル モ ノナ リヤ ヲ

モ決 定 スル ニ便 ア リ,是 ニ於 テ 余 ハ田村37)氏 法 ニ從

ヒ腎動 脉或 ハ腎門 脉 ヨ リ入工 養 液 ヲ灌流 シ,輸 尿 管

「カ ニュ レ」ヨ リ流出 スル尿 滴數 ノ變 化 増減 ヲ精 査セ

リ.

449

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1548 中 野 滿 隆

a 腎絲毬體灌流試驗

田 村氏 法 ニ從 ヒ雄蟇 ヲ 「ウレ タ ン」麻 醉 ノ下 ニ背

位 ニ固定 シ,腹 壁 ヲ十 字 ニ開 キ腎 動 脉 ニ流 入 「カニ

ュ レ」 ヲ挿 入 シ,反 對側 腎 ニ至 ル 總テ ノ腎 動脉 ヲ結

紮 シ,輸 尿 管 ニ尿流 出「カニ ュ レ」ヲ挿 入 シ, 0.03%

ノ比 ニ葡萄 糖 ヲ 混和 セ ルRinger氏 液 ヲ 灌 流 シ流 出

尿 ノ滴 數 ヲ描寫 セ シムル ニ,本 劑0.001-0.02gヲ 灌

流 「ゴム」 管内 ニ注入 スル ニ毎 常尿 滴數 ノ増加 スル

ヲ認 メ タ リ,更 ニ本劑 ノ量 的 關係 ヲ考 察 スル ニ少量

(0.001-0.01g)ニ 於 テ ハ,毎 常 尿量増 加 ス ト雖 モ用

量 多 キ ニ過 グ レバ(0.02g以 上)却 ツテ 減少 スル ガ如

キ傾 向 ア リ(第16表 第27圖,第17 .表第28圖).

第16表  (其 ノ1) 第16表  (其 ノ2)

第27圖  蟇 腎 絲毬 體 灌流 試驗(第16表 其 ノ1)  時記(10〃)

↓-↑: 0.005g O. S.注 入

第17表  (其 ノ1) 第17表  (其 ノ2)

第28圖  蟇 腎絲 毬體 灌 流試 驗(第17表 其 ノ1例)  時 記(10〃)

↓-↑: 0.01g O. S.注 入

450

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「オル ニ ツー ル」酸 ノ藥理 學 的作 用 ニ就 テ 1549

b 腎細尿管灌流試驗

前 法 ニ従 ヒ 腎門脉 ヨ リ 「カニ ュ レ」 ヲ 挿 入 シテ

Ringer氏 液(0.03%葡 萄 糖 ヲ加 フ)ヲ 以 テ灌 流 シ,

輸 尿管 ニ挿 入 セル流 出「カ ニュ レ」ヨ リノ尿 滴 數 ヲ檢

ス ル ニ認 ムベ キ尿 量 ノ變 化 ヲ來 サ ザ ル カ或ハ 減少 ス

(第18表 第29圖.第19表 第30圖).

第18表  (其 ノ1) 第18表  (其 ノ2)

第29圖  蟇 腎 細尿 管灌流 試 驗(第18表 其 ノ2)  時 記(10〃)

↓-↑: 0.005g O. S.注 入

第19表 (其 ノ1) 第19表 (其 ノ2)

第30圖  蟇 腎細 尿管灌 流試 驗(第19表 其 ノ2)  時 記(10〃)

↓-↑: 0.02g O. S.注 入

之 ヲ要 スルニ本劑ハ冷血動物ニ於テモ利 尿作用ヲ

呈 シ,而 モ其 ノ本態ハ腎絲毬體ニ存 シ能 ク其ノ機能

ヲ増 進 シ,以 テ 尿 量 ヲ 増 加 セ シ ム ル モ ノ ナ ル ヲ 知

ル.而 シテBieter u. Hirschfelder36)ハ 蛙 ノ 腎 臟 ヲ

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1550 中 野 滿 隆

人工灌流 シタルニ,安 息香酸ニ於テハ腎絲毬體 ニ作

用 シ馬尿酸 ニ於テハ腎細尿管ニ作用 シテ尿増加 ヲ來

セ リト報告 セリ,本 「オルニツール」酸ハ之等物質ニ

化學上密接ナル關係 ヲ有スル點ヨ リ考察スルニ,寧

ロ安息香酸 ニ近キ作用ヲ示 スモノト言 フヲ得ベシ.

考 察

以上 ノ實驗成 績 ヲ通覽 スル ニ

1)「 オ ル ニツー ル」酸 ハ家 兎 ノ腎 臟 ニ常 シ利 尿 的 ニ作用 ス,而 モ該作用 ハ血 壓上昇 等 ニヨル

二 次 的現 象 ト見做 ス能 ハ ザル ハ腎 容積 試 驗竝 ニ腎 人工 灌 流成績 ニ徴 スルモ明 カ ナ リ,即 チ腎 容

積 ハ血壓 ト關 係 ナク常 ニ一 時 増大 シ腎 血管 ヲ擴 張 ヲ招 致 ス,蓋 シ其 ノ本態 ハ中樞性 又 ハ血 管反

射 機 轉 ニ因 ル モ ノ ニア ラズ シテ,寧 ロ末 梢性 ニ シテ 血管 自己 ヲ 侵 スモ ノノ 如 シ.「オ ル ニツー

ル」酸 ハ又 冷 血動物 ニ對 シテ モ利尿 作 用 ヲ呈 シ,且 腎細 尿管 部 ノ灌 流試 驗 ニ於 テハ 尿量 ニ變化

ナ キ カ,或 ハ寧 ロ僅 カニ減 少 ス ト雖 モ,腎 絲毬 體部 ノ灌 流試驗 ア於 テ ハ顯 著 ニ尿量 増加 ヲ來 ス

點 ヨ リ考 フ レバ,本 劑 ノ利 尿作 用 ハ腎 絲毬 體細 胞 ノ機 能増 進 ニ依 ル濾 過作用促 進 ニ歸 スベ キモ

ノナ ラン.

2)「 オル ニツ モル」酸 ハ青 蛙 後肢 竝 ニ家 兎耳殻 血 管 ニ對 シ少量 ハ擴 張的 ニ,大 量 ハ却 ツテ收

縮 的 ニ作用 シ,心 臟 冠状 血管 ニ對 シテハ毎 常收縮 的 ニ作 用 ス.

3)家 兎竝 ニ蟇 ノ心臟 其他家 兎 ニ於 ケ ル腸,子 宮 及 ビ膀 胱等 ノ剔 出滑平筋 臟器 ニ對 シテ ハ一

定 ノ用 量 ニ於 テハ,常 ニ緊張 ノ上昇 及 ビ運 動 ノ旺 盛 ヲ來 ス,而 モ 作 用 ハ「ア トロ ピン」ヲ以 テ

前處 置 シタ ル場 合 ニ於 テ モ略 ボ同樣 ナル點,及 ビ就 中膀 胱筋 ニ及 ボ ス影響 ヨ リ考 察 ス レバ,蓋

シ本劑 ハ各臟 器 ニ於 ケル神經 裝 置 ヲ侵 スモ ノニ ア ラズ シテ,寧 ロ筋 自己 ニ作用 スル モ ノナルベ

シ.

4)本 劑 ハ家 兎 ノ呼吸,血 壓竝 ニ血液 水分 等 ニ對 シテ著 シキ作用 ヲ呈 セズ.

5)當 教 室 ニ於 テ研究 發 表 セラ レタル「フエ ノール グル ク ロ ン」酸,ウ ロクロ ラール 」酸,「 ベ

ンツオ イー ル グル ク ロ ン」酸 及 ビ「グル ク ロ ン」酸 其 モ ノ等各等 「グル ク ロ ン」酸 類 ト「オ ルニ ツー

ル」酸 トノ藥 理學 的 作用 ヲ比 較研 究 スル ニ本 劑 ハ心臟 殊 ニ家 兎 ノ 心臟 ニ對 シ比較 的少量 ニ シテ

克 ク其 ノ心動 ヲ旺 盛 ニスル外,上 記 「グ ルク ロ ン」酸類 ハ心 冠状 血管 ヲ擴 張 シ,其 ノ大 量 ハ擴 張

期 的 心停 止 ニ移 行 スル ニ反 シ,本 劑 ハ心冠 状 血管 ニ對 シ常 ニ收縮 的 ニ作用 シ而 モ其 ノ大量 ハ收

縮 期 的停止 ヲ招 致 スル ノ相 違 ア リ,而 シテ腎臟 ニ對 シテ ハ之等 各種 「グル ク ロ ン」酸 ハ何 レモ著

明 ナル利尿 作 用 ヲ呈 レ ドモ,其 ノ本態 ニ 就 キテ ハ徑 庭 ノ存 スル所 ア リ,即 チ「ウ ロクロラール」

酸,及 ビ「グル ク ロ ン」酸 其 ノ モ ノニ依 ル利 尿 作用 ハ腎 細尿 管 ニ於 ケ ル水 分逆 吸收 ノ抑 制 ニ基 因

ス ト雖 モ,「 フエ ノー ル グル ク ロ ン」酸,竝 ニ「ベ ンツオ イー ル グルク ロ ン」酸 ハ共 ニ腎 絲毬體 ニ

於 ケ ル濾過 作用 ノ促 進 ニ歸 スベ キモ ノ ニ シテ,其 ノ作用 ハ寧 ロ本劑 タル 「オ ル ニ ツール」酸 ニ類

似 ス.

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「オルニツール」酸 ノ藥理學的作用 ニ就テ 1551

結 論

1)「 オ ル ニ ツー ル」酸 ハ剔 出 家兎 心臟,及 ビ蟇 心臟 ニ對 シテハ 其 ノ中等 量 ニ於 テ初 期 ニハ緊

張 ノ上昇 及 ビ收 縮 ノ減 退,即 チ心 幅 ノ縮 小 ヲ來 シ,次 デ緊張復 歸 シ,心 擴 張 及 ビ收 縮 共 ニ旺 盛

トナリ,振 幅 増 大 ス.大 量(0.02-0.1g)ニ 至 リテ ハ一時 心運 動 旺盛 トナル モ,直 チニ微弱 トナ

リ遂 ニ收 縮的 停止 ヲ來 ス,サ レ ド未 ダ摶數 ニハ著 シキ變 化 ヲ來 サズ,蓋 シ本劑 ハ主 トシテ心筋

自己 ニ作用 シテ,心 臟 神經系 ニハ何等 影 響 セザ ル モ ノナルベ シ.

2)「 オ ル ニ ツール」酸 ハ家兎 耳殼 血管 及 ビ青蛙 後肢 血 管 ニ對 シテ ハ少 量 ハ擴 張 的,稍 々大 量

ハ收縮 的 ニ作 用 ス,心 臟 冠状 血管 ニ對 シテハ著 明 ニ収 縮 的 ニ作用 ス.

3)家 兎 一般 血壓 ニ對 シテハ多 ク ノ場 合何 等變 化 ナ キ カ,或 ハ輕度 ノ血壓 上昇 ヲ來 ス.

4)家 兎呼 吸 ニ對 シテ ハ實 驗的 使用量 ニ於 テハ變 化 ナ キカ,或 ハ僅 カ ニ増 進 ス.

5)家 兎 ニア リテ ハ明 カ ニ利尿 作 用 ヲ惹起 ス.

6)家 兎血 液水 分 ニハ認 ムベ キ變 化 ヲ致 サズ.

7)家 兎腎 血管 ニ對 シテハ適 當量 ニ於 テ擴張 的 ニ作用 ス,而 シテ其 ノ本態 ハ純 末梢 性 ノモ ノ

ナ リ.

8)蟇 ニ對 シテ モ利尿 的 ニ作用 ス,而 シテ其 ノ本態 ハ腎 絲毬體 細 胞 ノ機能 亢 進 ニ歸 スベ キモ

ノア リ.

9)剔 出 家兎腸,子 宮 及 ビ膀胱 ニ對 シテハ初 期 ニ於 テ ハ緊張 ノ上 昇,及 ビ運 動 ノ旺盛 ヲ促 ス

ト雖 モ,後 期 ニ在 リテ ハ却 ツテ緊張 ノ降下,及 ビ運動 ノ減 弱 ヲ來 ス,而 シテ其 ノ作 用 本態 ハ筋

自己ニ存 シ,神 經系 ハ毫 モ之 ニ關與 セザ ルモ ノ ノ如 シ,

引 用 書 目

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453

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1552 中 野 滿 隆

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