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コココココココココココ B Communication Systems Engineering B ココ ココ ココココココココココ 2010 コ 1/25, 2/1, 2/8 コココ ココココココココココココ http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe

コミュニケーション工学 B

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Communication Systems Engineering B. コミュニケーション工学 B. 2010 年 1/25, 2/1, 2/8 講義分. 光ファイバー通信入門. 山田 博仁. 本講義資料のダウンロード   http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe. 1/25 、 2/1 、 2/8 3 回分の講義内容. 1. 講義の目的 : 光ファイバー通信のしくみを理解してもらう 2. 講義内容 1 日目   ・ ブロードバンド・インターネットを支える光ファイバー通信   ・ 光通信とは ? 、電気通信との相違、光通信の歴史 - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: コミュニケーション工学 B

コミュニケーション工学 B

Communication Systems Engineering B

山田 博仁

光ファイバー通信入門

2010 年 1/25, 2/1, 2/8 講義分

本講義資料のダウンロード   http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe

Page 2: コミュニケーション工学 B

1/25 、 2/1 、 2/8   3 回分の講義内容

1. 講義の目的 : 光ファイバー通信のしくみを理解してもらう

2. 講義内容  1 日目  ・ ブロードバンド・インターネットを支える光ファイバー通信  ・ 光通信とは ? 、電気通信との相違、光通信の歴史  ・ レーザーとコヒーレント光、何故コヒーレント光が必要か ?  2 日目  ・ 光通信の要素デバイス ( 光ファイバー、 LD 、 PD 、光変調器、光増幅器など )  ・ レーザーの原理、半導体レーザ (LD)  ・ 光ファイバーにおける光伝搬、導波モード、分散  3 日目  ・ 光伝送システム ( 分散管理、中継技術、信号多重化技術 )  ・ 光変調方式と光多重化方式

3. 成績評価  毎回の講義中での演習レポート点を合計  (20 点満点 )

4. 参考書  末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社  伊藤弘昌 編著、フォトニクス基礎、朝倉書店

5. 質問等  E-mail: [email protected] 、電気系 2 号館 203 号室

Page 3: コミュニケーション工学 B

インターネット利用者数及び人口普及率の動向

出展 : 総務省 平成 21 年版 情報通信白書

Page 4: コミュニケーション工学 B

出展 : 総務省 平成 21 年版 情報通信白書

国内におけるブロードバンド契約者数の推移

ADSL は H18 年度から減少に転じたそれに代わって FTTH が急激に伸びている

ブロードバンド契約者数の推移 DSL と FTTH の契約純増数の推移

Page 5: コミュニケーション工学 B

http://www.jpix.ad.jp/en/techncal/traffic.html

ネットワーク上を飛び交うデータ量の増加

1 台のネットワーク基幹ノードが処理しているデータ量の推移

2 倍 /2.5 ~ 3 年

最近では約 2 年半から 3 年で倍増傾向

デー

タ量

(G

bit/

s)

月 / 日 / 年

2 倍 / 年

国内の全インターネット トラフィックは平均で約 1Tbps

Page 6: コミュニケーション工学 B

昨日 1/24( 日 ) の IP トラフィックの変化

Page 7: コミュニケーション工学 B

海底光ケーブル網

出展   http://www1.alcatel-lucent.com/submarine/refs/index.htm

Page 8: コミュニケーション工学 B

出展 : http://premium.nikkeibp.co.jp/ftth/part2/top_f.html

身近になった光ファイバー通信

FTTH(Fiber To The Home):   B フレッツ (NTT), TEPCO ひかり ( 東京電力 ) などがサービス

光回線終端装置( 左 )とルーター ( 右 )

AV 機器のデジタル入出力ケーブル

AV 機器のデジタル入出力ケーブルとコネクタ

Page 9: コミュニケーション工学 B

光 Universal Bus Interface “Light Peak”

Light Peak は Intel が提唱する新ユニバーサル バスインターフェースの規格

VICSEL と PIN PD をチップ実装

Light Peak の光送受信チップ出典 : Intel 社 White Paper

光ファイバーにより 10G双方向通信を実現、 5 年以内に 100Gへ

Page 10: コミュニケーション工学 B

USB3.0 vs Light Peak

USB3.0 Light Peak (Intel)

最大データ転送速度 5Gbps, 全二重

伝送距離 3m

ケーブル径 ϕ6mm

電力伝送 5V, 900mA

10Gbps , 全二重

100m

ϕ125μm(4 本 )

不可

出荷開始時期 2010 年2009 年

後方互換性 USB1.1や USB2.0 なし

光ファイバシールド銅線伝送媒体

* USB 機器の現在の出荷台数 : 年間約 30億台

次世代ユニバーサル シリアルバス規格の比較

Page 11: コミュニケーション工学 B

通信とは

情報を送り手から受け手に伝えること

情報の送り手 情報の受け手

Alice Bob

情報の搬送媒体

便箋、はがき

電流、電波

手紙を書く 手紙を読む

情報を搬送媒体に載せる 搬送媒体から情報を取り出す搬送媒体を送る

郵便システム

電話

搬送媒体 送る手段

マイクロフォン イヤフォン、スピーカ

Page 12: コミュニケーション工学 B

各種通信方式

有線

無線

情報搬送媒体(carrier)

重力波

電波 ( 電磁波 )

音波

音波

電流 ( 電磁波 )

光 ( 電磁波 )

光 ( 電磁波 )

機械振動

光ファイバー通信

電話、インターフォン

糸電話

伝声管

会話

携帯電話

光通信

重力波通信

衛星間光通信腕木通信狼煙 手旗信号

アマチュア無線航空・船舶無線

デジタル AV 機器 FTTH海底光ケーブル

衛星通信

導波機構の有無

( 導波機構無、自由空間伝搬 )

用途

( 導波機構有 )

通信方式

船内、潜水艦内通信

電気通信

無線通信

腕木通信塔テレパシー?

教材

Page 13: コミュニケーション工学 B

自由空間伝搬による光通信ビル間光通信 http://www.icsa.gr.jp/system/index_03.htm

大学キャンパス内レーザ光通信システム (Canon)

衛星間光通信

NICT 小金井本部の光地上局

実験衛星「きらり」による衛星間光通信実験に成功 (H18 年 3月 )

Page 14: コミュニケーション工学 B

衛星間光通信

Ex.) 波長 1μm のレーザー光を、直径 1m のビームにして月に送った   場合、月面でのビーム径はどのくらいになるか ?   ただし、月までの距離は約 38万 km である

答 直径約 240m

ガウスビーム波の広がり角 radw02

2w0

2Δθ

λ: 光の波長

)/exp()0()( 20

2 wrIrI ガウスビーム波

r

強度分布

w0: ビームウエストサイズ

Page 15: コミュニケーション工学 B

レンズ焦点でのビーム径

f

a

レンズの開口数 (Numerical Aperture: NA)

sinnNA

f : 焦点距離a : レンズの有効半径n : 媒質の屈折率 (空気中の場合は 1)

焦点でのビーム径

ff n

w

sin

22

n

f2w0

2wf

θf < θ

Ex.) 波長 1μm のレーザー光を、 NA=0.5 のレンズの有効径を   フルに活用して絞った場合、どの程度まで絞れるか ? 答 直径約 1.3μm

Page 16: コミュニケーション工学 B

電気通信のしくみ

発信器 復調変調電線

同軸ケーブル

伝送路

電気信号

搬送波に情報を載せ

搬送波を作る

搬送波から情報を取り

出す

搬送波 : 情報搬送の担い手

情報の送り手 情報の受け手

Page 17: コミュニケーション工学 B

光ファイバー通信の構成

光源

レーザーLED 、電球

光検出器 復調光変調光ファイバー

伝送路LN 変調器EA 変調器

フォトダイオード (PD)APD

光信号

電気信号

電子回路

搬送波は光

情報の送り手 情報の受け手

xxxx

xxxx 電子デバイス/ 回路

光デバイス

Page 18: コミュニケーション工学 B

電磁波の波長

光通信には、波長 1μm前後の近赤外域を使用

Page 19: コミュニケーション工学 B

1.広帯域 (高速、大容量通信が可能 )   シリカ光ファイバーの伝送帯域 >100 THz (THz = 1012Hz)    1 本の光ファイバーで、 10Tbps(Tbps は 1012bit/sec のこと )以上の   高速伝送が可能。最近、 14Tbps, 160km の光伝送にも成功 (NTT)

   参考 )  同軸ケーブルの帯域:最大でも 10GHz程度

2.長距離伝送が可能   中継間隔    同軸ケーブル:数 km ~ 10km    光ファイバー: 100km以上の無中継伝送も可能

3.漏話が少ない、電磁誘導の影響を受けない   光ファイバーは非導電性であるため、外部からの電磁誘導ノイズ   の影響を受けない。また、光ファイバー自体からの電磁波の放射も   無いので、光ファイバー間の信号干渉が少ない。

4.多重化が容易   光ファイバーが細く軽量のため、多芯化、長尺化が可能

光ファイバー通信の特長

Page 20: コミュニケーション工学 B

光ファイバー通信の歴史

年 代 人または機関 事  項

1962 年 半導体レーザの発振IBM, GE, MIT(米 )

ルビーレーザ , He-Ne の発振1960 年 Maiman(米 ), Javan(米 )

川上 ,西澤 ( 東北大 ) Graded-index型光ファイバーの発明

1955 年 光メーザーの着想Townes(米 ), Schawlow (米 ),

Basov(ソ ) ら

1976 ~ 79 年

1970 年 AlGaAs 半導体レーザ室温連続発振林 , Panish ら (米 )

電電公社 , 藤倉電線 ( 日 )

1968 年

シリカ光ファイバー伝送損失が 0.2dB/km に

光ファイバー増幅器の発明と実用化

1980 年代NEC, 富士通 , 日立 , 東工大他通信用半導体レーザの開発と高性能化

1957 年 半導体による超短波増幅・発振のアイデア渡辺 , 西澤 ( 東北大 )

1930 年代 石英ファイバー ( ロッド ) による光伝送Lamb(独 ) 、関 ( 日本 )

1970 年代 半導体レーザの長寿命化、発振安定化NEC, 電電公社 , 日立 , 三菱 ( 日 ), Bell研 (米 ),

STL(英 )

1990 年代Southampton大 (英 ), NTT( 日 )

Kao, Hockham(英 ) 低損失シリカ光ファイバーの可能性示唆1966 年Charles K. Kao

Page 21: コミュニケーション工学 B

光ファイバー通信の要素デバイス

光検出器 (PD, APD)

デバイス 役 割

半導体レーザー

光ファイバー

光合分波器光スイッチなど

搬送波としてのコヒーレントな光を発生させる。さらに、搬送波に情報を載せるための光変調も可能

光信号を導く伝送路

光増幅器伝送中に減衰などで弱くなった光信号を光のまま増幅する

搬送波に載っている情報を電気信号として取り出す

光信号を分配したり、光の経路を切り換えたりするもの

イメージ

Page 22: コミュニケーション工学 B

光ファイバー

住友電工 http://www.sei.co.jp/news/press/02/prs221_s.html

光ファイバーの伝送損失

通信用シリカ光ファイバー

 伝搬損失 < 0.2dB/km   @ λ=1.55 μm

光ファイバー低損失化の歴史

Page 23: コミュニケーション工学 B

光ファイバーの構造

光ファイバー屈折率分布

n2

n1

n1 >n2

コア クラッド

3000心光ケーブル

石英ガラス or プラスチック

シリコン樹脂で被覆

コアクラッド

光ファイバー素線

光ファイバー芯線

ナイロン繊維で被覆 1 本

光ファイバー

Page 24: コミュニケーション工学 B

光ファイバーの製法

母材製造(プリフォーム )

出展 : Wikipedia

VAD( Vapor phase axial deposition: 気相軸付け)法

Page 25: コミュニケーション工学 B

レーザーとコヒーレント光

光搬送波になるべく多くの情報を乗せるためには、コヒーレントな光が望ましい

コヒーレントな光を人工的に発生させる装置がレーザー

コヒーレントとは、波の位相が揃った状態。高スペクトル純度、良好な収束性を有する

自然界に存在する光は全てインコヒーレント光

 例 : 太陽光、炎から出る光、蛍の光、白熱電球、蛍光灯、 LED

コヒーレント光

t光

の電界

f 又は λ

光の

強度

インコヒーレント光( コヒーレントでない )

t光

の電界

f 又は λ

光の

強度

時間的コヒーレンス空間的コヒーレンス

Page 26: コミュニケーション工学 B

何故コヒーレント光が望ましいのか

インコヒーレントな電磁波を用いた初期の通信

1887 年ヘルツは誘導コイルによる火花放電式電磁波発生器を発明

1896 年マルコーニ(Marconi)は、ヘルツの電磁波発生器にアンテナとアースを付けて 2.5km の無線電信に成功

出展 : http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/intercomp/wireless/transatrananticexp.htm

その後真空管が発明されて、コヒーレントで強力な電磁波が発生できるようになり、通信距離が比較的に延びることとなる

1905 年日本海海戦において、ロシア・バルチック艦隊の発見が「敵艦見ユ」と無線電信で通報され、日露戦争の勝利を導く糸口となった

軍艦三笠に搭載の三六式無線電信機は明治 36 年 (1903)旧制二高の木村駿吉教授が開発。送信機は火花放電、受信機はコヒラー検波器を使ってコイル駆動で記録紙に出力するもので、 80 海里以上の通信到達距離を達成

出展 : http://blog.zaq.ne.jp/rootakashi/article/163/

電磁ノイズによる通信

Page 27: コミュニケーション工学 B

コヒーレントな電磁波を用いる利点

コヒーレントな電磁波はスペクトル純度が高い (つまり、単一周波数 ) ので、受信機において、周波数同調 (選択 ) を行い、狭帯域の信号増幅を行うことにより、微弱な信号でも受信できる。 (長距離伝送が可能 )

スペクトル純度が高く、占有スペクトル幅が不必要に広がらないので、同一周波数帯を多くのチャンネルで共用できる。 (周波数利用効率が高い )

スペクトル純度が高く搬送波の位相が揃っているので、より早い速度での変調が可能。また、位相や周波数を変調することも可能となり、高い伝送レートでの信号伝送が可能。 ( 送れる情報量が多い )

スペクトル純度が高い (単一周波数 ) ので、狭帯域の指向性アンテナなどを用いることができ、特定の方向にのみ強く信号を送ることができる。つまり、伝送の指向性が高い。 (長距離伝送が可能 )

何故コヒーレント光が望ましいのか

このように、コヒーレントな電磁波を用いる通信は、インコヒーレントな電磁波を用いる場合に比べて多くの利点を有している。従って、白熱電球やLED のようなインコヒーレント光を用いるよりも、レーザのようにコヒーレント光を用いる方が望ましい。

Page 28: コミュニケーション工学 B

コヒーレントな電磁波の発生法

真空管やトランジスタによる発振器

周波数

~ 数十 kHz

数十 kHz ~ 数百 kHz

クライストロン、マグネトロンGunn ダイオード

メーザー

各種レーザー

SOR (synchrotron orbital radiation)

低周波

長波

電磁波の呼び名

マイクロ波

ミリ波

THz 波

赤外光

可視光

紫外光

X 線

 

 

中波

短波

超短波

数百 kHz ~ 数 MHz

数 MHz ~ 数十MHz

数百MHz ~ 数 GHz

数十 GHz

数百 GHz ~ 1013 Hz

数十MHz ~ 数百MHz

パラメトリック発振器量子カスケードレーザー

1013 Hz ~ 3.8×1014 Hz

3.8×1014 Hz     ~ 8×1014 Hz8×1014 Hz ~ 1018 Hz

1018 Hz ~

コヒーレント電磁波の発生法

Page 29: コミュニケーション工学 B

以下について述べよ。 ( 本日の講義後に提出 ) (6 点満点 )

1. DSL に代わって今後ブロードバンド インターネットの主役となり得るのは何か ?

2. Intel が提唱している新しい Bus インターフェースの規格とは何か ?またそれは従来の規格とは何が違うのか ?

3. 波長 1μm のレーザー光を、直径 1m のビームにして月に送った場合、月面でのビーム径はどのくらいになるか ?

4. 電気通信と光ファイバー通信との構成上の違いは何か ?

5. コヒーレント光とはどのような性質の光なのか ?また ( 光 )通信にはどうしてコヒーレント光が望ましいのか ?

本日 (1/25) のレポート問題

Page 30: コミュニケーション工学 B

レーザー

レーザとは、光の発振器

光増幅媒体

光の正帰還回路

レーザー

光増幅媒体とはどのようなものか ?

Amp.

電気の発振器

正帰還回路

+

二準位系( 原子など )

E1

E2

電子など

光の吸収 自然放出誘導放出

減衰 増幅

入射光 出射光 入射光 出射光

発光

物質 ( 原子系 ) と光との相互作用以下の 3つの課程が同時に起きている

Page 31: コミュニケーション工学 B

熱平衡状態

熱平衡状態では、吸収の確率 > 誘導放出の確率となり、入射光は減衰して出てくる

正味では減衰

吸収

誘導放出

吸収 吸収

n2: 励起状態の原子数

n1: 基底状態の原子数

E1

E2

Maxwell-Boltzmann 分布

kT

E

eEP

)(

P(E)

E

熱平衡状態では、励起準位の原子数は基底準位の原子数よりも少ない

k: ボルツマン定数T: 媒質の温度

n1> n2

誘導放出の起きる確率 = Bn2 I

吸収の起きる確率 = Bn1 I

I: 入射光の強度

B: アインシュタインの B係数自然放出の起きる確率 = An2 A: アインシュタインの A係数

Bn1 I > Bn2 I

Page 32: コミュニケーション工学 B

反転分布

レーザーとは、何らかの方法で反転分布を作り出し、放射の誘導放出(Stimulated emission) を用いて光を増幅する装置

反転分布では、誘導放出の確率 > 吸収の確率となり、入射光は増幅されて出てくる

正味では増幅誘導放出 吸収

誘導放出誘導放出

n2: 励起状態の原子数

n1: 基底状態の原子数

反転分布

E1

E2

kT

E

eEP

)(

P(E)

E

励起準位の原子数が基底準位の原子数よりも多い状態を反転分布という

T が負 (負温度状態 )

n1< n2

Bn1 I < Bn2 I

Page 33: コミュニケーション工学 B

電子

ホール

p型n型

半導体レーザー

半導体レーザー (Laser Diode: LD)  光を増幅する媒体が半導体からなり、pn接合への電流注入により、電子の反転分布状態を作り出せる

特徴 : ・ コンパクト (チップ本体は 0.3mm角程度 )    ・ 取り扱い容易 (乾電池 2 本程度で動作可能 )    ・ 直接変調で数 Gbps の高速変調が可能    ・ 高信頼性 ( 通信用の InGaAsP レーザは 100万時間以上の寿命に )    ・ 安価 (FTTH 用 LD はチップコストで数百円、 CD 用 LD は数十円に )

出展 : www.phlab.ecl.ntt.co.jp/master/04_module/002.html

へき開面 (鏡面 )

チップの構造

Page 34: コミュニケーション工学 B

半導体レーザの発振特性

縦多モード発振

Fabry-Perot (FP) 共振器レーザー

発振スペクトル

2枚の平行に向き合った鏡による FP型光共振器によって正帰還が得られ発振するレーザー

へき開面 (鏡面 )

FP レーザーの構造

発振波長間隔

Lneff2

20

λ0 : 発振波長の中心値neff : 実効屈折率L : 素子長

λ0

Δλ

単一縦モード発振

分布帰還 (DFB)型レーザー

出展 : www.matsuoka-lab.imr.tohoku.ac.jp/purposes.html

回折格子による Bragg反射により、光の分布帰還が得られ、 Bragg 波長近傍の単一波長で発振

発振スペクトル

DFB レーザーの構造

発振波長

Λ : 回折格子の周期neff : 実効屈折率

effn2

回折格子

Page 35: コミュニケーション工学 B

光変調器半導体レーザの直接変調 光変調器

電界吸収 (EA)型光変調器

LiNbO 3 (LN) による MZI型光変調器

半導体レーザの電流 - 光出力 (I-L)特性

光信号

変調信号 ( 電気 )

電流

光出力

40GbpsEA 変調器 (沖電気 )

化合物半導体などのpn接合に逆バイアスを印加すると、印加電界によって光吸収特性が変化し、これを利用して光の強度変調を行うもの

LiNbO 3(LN)光変調器(住友大阪セメント )

LN は、電圧を印加すると屈折率が変化する電気光学 (E-O)効果を有している。 LN による光導波路によって Mach-Zehnder(MZ)型の光干渉計を構成し、屈折率変化による光の位相変化を強度変化に変換して光変調を行うもの

Page 36: コミュニケーション工学 B

光検出器

PIN フォトダイオード (PIN-PD)

アバランシェ フォトダイオード (APD)

ホール電子

p+

n+

i

逆バイアスされた pn接合に光が照射されると強度に比例した光電流が取り出せる

逆バイアス状態の半導体 pin接合

基本的には PIN フォトダイオードと同じであるが、アバランシェ効果により、光電流を増倍するしくみを有している (高感度 )

n+

ip+

光光電流

電極

電極

Page 37: コミュニケーション工学 B

光増幅器

半導体光増幅器

光ファイバー増幅器

半導体レーザーの両端面に無反射膜を形成するなどして、光共振器をなくしたもの ( 光の正帰還がかからなくなるのでレーザー発振はしない ) 半導体レーザーチップ

無反射加工

無反射加工

ラマン増幅器

光ファイバに非常に強い励起光を入射すると、石英ガラスの分子振動エネルギーに対応して、励起光波長より 100 nm程度長い波長域に光利得が得られる

Er添加光ファイバー増幅器コアに、エルビウム( Er3+)などの希土類を添加

Er3+ の準位 光増幅器の構成

波長 980nm などの光で励起すると波長 1.54 μm付近に光増幅利得発生

Page 38: コミュニケーション工学 B

光合分波器

50 mm

Arrayed Waveguide Grating (AWG)

Arrayed Waveguide Grating

AWG の動作原理

12 N

スラブ導波路

光を波長によって分ける ( 分光器あるいは分波器 )/多波長の光を束ねる ( 合波器 )

コア

クラッド

Si 基板

0.5 m

0.5 m

石英光導波路

この一本一本がこのような光導波路からなる

Page 39: コミュニケーション工学 B

光スイッチ

電気制御 - 光スイッチ  ( 光の経路を切り換えるが、 ON-OFF の制御は電気で行う )

光制御 - 光スイッチ  ( 光 - 光スイッチ or All 光スイッチ )

ON-OFF制御も光でやる現在研究開発中 将来の全光信号処理システムに使われるかも ?

スイッチング機構 特 徴

メカニカル(MEMS)

熱光学 (T-O)効果

その他に、磁気光学 (M-O)型、音響光学 (A-O)型などもある

電気光学 (E-O)効果 nS オーダーの高速切換え高価

mS オーダーの遅い切換え速度安価

mS ~ S オーダーの切換え速度比較的安価

Port1Port2

入力ファイバー

出力ファイバー

入力 1

入力 2 出力 2

出力 1

ヒーター

+

-電界印加

Page 40: コミュニケーション工学 B

光導波路の構造

光ファイバー屈折率分布

n2

n1

n1> n2

コアクラッド

スラブ導波路

屈折率分布

n1

n2

n1> n2

コアクラッド

Page 41: コミュニケーション工学 B

光導波路が光を導くメカニズム

Snell の法則

1

2

2

1

sin

sin

n

n

n2

n1

φ1 φ1

2

入射波

屈折波

反射波

n1< n2 の場合

全反射

全反射

全反射

n1

n2

n2 n1> n2

φ1 φ1

φ2

入射波

屈折波

反射波

n2

n1

n1> n2 の場合

全反射

1

21cosn

nc臨界角

c

2θmax

開口数 : NA= sin(θmax)光が伝搬可能な入射角度の範囲

放射モード

c

Page 42: コミュニケーション工学 B

全反射角

従って、 n1 と n2 との差が小さい時、全反射角 θc は以下の式で与えられる

コアとクラッド界面での全反射角 θc は、前スライドの臨界角より

21cos1sin

21

22

21

2

1

22

n

nn

n

ncc

1

21cosn

nc

で与えられるが、

ここで、        と置いたが、 Δ は比屈折率差と呼ばれている21

22

21

2n

nn

]rad[22sin 1 c

さらに、導波路が受け入れることのできる受光角 (2θmax) は、

1max 2sinNA n

222sin2)sin(sin22 111

11

max nnn c

また特に、 を開口数  (Numerical Aperture) という

Page 43: コミュニケーション工学 B

導波路内での光伝搬

n1

n2

n2 n1> n2

ϕ

ϕ

ϕ

ϕ: Goos-Haenchen Shift

k0n1

θk0n1cosθ

k0n1sinθ

真空中での伝搬定数 : k0=2π / λ   (λ: 波長 ) 、媒質中では k0n1

コア

Nank 22sin4 10

a

-a

N: モード番号 (0, 1, 2 )‥‥

クラッドへの光の浸み出し

光の伝搬と垂直方向の伝搬定数成分 (k0n1sinθ) に対して、以下の式が成り立つ時、光伝搬と垂直方向に定在波ができる

光の伝搬方向の伝搬定数成分 β は、 β = k0n1cosθ

光が伝搬方向に伝わる速度は、 であり、 vg を群速度(Group Velocity) という  (c は光速度 )

cos1n

cvg

Page 44: コミュニケーション工学 B

導波モードと定在波

N = 0

Δϕ = 0

N = 1

N = 2

E

E

E

モード番号 N は、横方向の強度分布における節の数を表す

Page 45: コミュニケーション工学 B

入射角度

モード番号がある値よりも大きくなると、全反射条件が満たされなくなり、伝搬できなくなる。つまり、伝搬可能なモードは、以下の条件を満たす。

cN

]rad[),2,1,0()1(2

sin01

NNaknNN

従って、モード番号 N に対する入射角度 θN は、

Nank NN 22sin4 10

光伝搬と垂直方向での定在波条件の式より、モード番号 N に対する入射角度 θN は、

ここで、 Goos-Haenchen Shift の値 ϕN は一般的には入射角度 θN の関数になるが、 θN が全反射角 θc よりも十分に小さい場合には、      と近似できる。

N

従って、導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmax が存在し、以下の条件を満たす。

cN max

Page 46: コミュニケーション工学 B

モードの数

導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmax は以下の式で与えられる。

)1()2(

1max V

N

ここで V は、 Vパラメータ或いは規格化周波数と呼ばれている

21022

210 anknnakV

Nmaxよりも大きなモード番号のモードは伝搬できないので、カットオフにあると言う

導波路の分散関係

gv群速度

曲線の傾きは vg /c で 、群速度に対応

モードによって群速度の値は異なる

β

ω/c(k0)

1/n1

1/n2

カットオフ領域(放射モード )

N=0

N=1

N=2

N=3

単一モード条件 : V < π /2

Page 47: コミュニケーション工学 B

光ファイバーの種類

単一モード

モード数

多モード

屈折率分布 材 料 特 徴、用 途

コア : 石英ガラスクラッド : 石英ガラス

コア : 石英ガラスクラッド : 石英ガラス

コア : プラスチッククラッド : プラスチック

コア : 石英ガラスクラッド : 石英ガラス

光ファイバー通信網に幅広く使用( 海底、幹線、メトロ、加入者系 )

様々な光部品 ( 光スイッチ、光合分波器、光増幅器など ) に加工されて使用

接続や取り扱いが容易なので、AV 機器用データ通信に利用

短距離の光伝送、光インターコネクション ( コンピュータ、ストレージ筐体間データ通信 ) 、接続容易

一部の光ファイバー通信網で使用(接続が容易なので主に LAN 用 )比較的高価

コア : 屈折率 n1

5 ~ 10μm

コア : 屈折率 n1

約 50μm

n2

n2

コア径約 50μm

屈折率分布

Graded Index型

Step Index型

Step Index型

Page 48: コミュニケーション工学 B

光ファイバーにおける導波モード

Step Index型多モード光ファイバー

210ankV21

22

21

2n

nn Vパラメータ

n1

n2

2a

22

8VM

導波モードの数 V≦2.4  単一モード条件

ファイバー内の基本モード (HE11)パターン出典 : 末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社

Page 49: コミュニケーション工学 B

光ファイバーの分散

モード分散 (Mode Dispersion)

多モード光ファイバーにおける分散

伝搬モードによって群速度 vg が異なる

光パルスの幅が広がるため、符号間干渉が起こり、符号識別誤りが起こる

モード 1: vg1 vg1 > vg2 > vg3モード 3: vg3 モード 2: vg2

入射光パルスは複数のモードに分配されて伝搬していく

モード 1を伝搬してきた光パルス モード 2モード 3

伝搬モードによって群速度が異なるため、光パルスの出射時刻が異なる

Page 50: コミュニケーション工学 B

波長分散  Chromatic Dispersion

偏波モード分散  Polarization Mode Dispersion

単一モード光ファイバーにも存在する分散

石英ガラスの材料分散  母材の石英ガラスの屈折率が波長に依存

導波路の構造分散  導波路の伝搬定数が波長に依存

光ファイバーの分散

1: vg1 vg1 < vg2 < vg33: vg32: vg2

波長によって群速度が異なるため、出射光パルスの時間幅が広がる

入射光パルスが多波長成分を有すると

ファイバーにねじれなどがあると、直交する 2つの偏波モードの縮退が解け、2つのモード間で群速度に違いが生じるようになる

Page 51: コミュニケーション工学 B

光ファイバーの波長分散

単一モード光ファイバー (SMF) の波長分散出典 : 末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社

光ファイバーの伝搬損失と分散特性

通常の SMF では、波長約 1.31μm において、材料分散と構造分散が打ち消し合いゼロ分散となる

通常の SMF は、波長約 1.31μm においてゼロ分散となるが、伝搬損失は波長 1.55μm付近で最小となる

Page 52: コミュニケーション工学 B

様々な分散特性を有する光ファイバー

分散シフト光ファイバー (Dispersion Shift Fiber: DSF)

逆分散光ファイバー (Reverse Dispersion Fiber: RDF)

DSF の構造 ・単純ステップ型 ・ 2 重コア/セグメントコア型

分散フラット光ファイバー (Dispersion Flat Fiber: DFF)

ノン零分散シフト光ファイバー (Non-Zero Dispersion Shift Fiber: NZ-DSF)

ゼロ分散となる波長を、 1.55μm帯にシフトさせた光ファイバー

分散補償光ファイバー (Dispersion Compensation Fiber: DCF)

単一モード光ファイバー (SMF) の分散を補償するためのもので、 SMF とは逆の符号の大きな分散を有する

単一モードファイバー (SMF) と全く逆の分散特性を有する

広い波長域に渡り分散をフラットにしたファイバー

WDM 用途のため、分散を完全には零にせず、使用波長域で若干の分散を持たせたもの

Page 53: コミュニケーション工学 B

偏波保持 (保存 ) 光ファイバー

その他の光ファイバー

プラスチック光ファイバー (POF)

PANDA: (polarization-maintaining and absorption reducing)型ファイバーHE11even モードと HE11odd モードの伝搬定数差が大きく、少々の外乱では両モード間に結合が生じないため、ファイバーの固有偏波方向と一致する光を入射させるとその偏波が保存されたまま伝搬する

HE11x モード HE11y モード

コア断面が真円から歪んでいたり、特定方向に応力がかかると基本モードの縮退が解ける

PANDA型ファイバーの断面

850nm 波長帯での短距離光リンク用に開発された光ファイバーで、 AV 機器のデジタルデータ伝送用ケーブルとして身近になっている

高非線形光ファイバー

波長変換やラマン効果など、非線形光学効果を利用するための特殊な光ファイバー

コア

Page 54: コミュニケーション工学 B

フォトニック結晶光ファイバー

T. A. Birks et al., 12B3-1 OECC2000

1. 高屈折率コア型 Holey Fiber特徴: ・ 分散量を自由に設計可能 ・ 高効率非線形光学効果利用可

2. 低屈折率コア型  ( コアが空気 )              Photonic Bandgap Fiber特徴: ・ コアが空気なので非線型効果小 ・ 超低損失材料の必要は無い

Page 55: コミュニケーション工学 B

分散補償技術

電気的分散補償 (Electronic Dispersion Compensation)

光学的分散補償

・分散補償光ファイバー ( Dispersion Compensation Fiber)

・分散補償素子

単一モード光ファイバー (SMF) とは逆符号の大きな分散を有する光ファイバーで、 (長さに応じて )大きな分散でも広帯域に補償できる。補償可能分散量は光ファイバーの長さで決まり、固定。波長分散の補償のみに対して有効 (偏波モード分散には効果無し )

様々なタイプのものが有るが、比較的小さな分散を補償可能。補償する分散量を可変できるものも有る。ただし、応答速度は比較的遅い

比較的小さく、時々刻々変化する分散量を電気的信号処理により補償可能。高速応答。偏波モード分散にも効果有り

原理 : 伝送路としての光ファイバーとは逆の分散特性を有するデバイスを接続する    ことにより、伝送路である光ファイバーの分散を打ち消すもの分散補償デバイスとしては、以下のものがある

Page 56: コミュニケーション工学 B

 以下の中から、いずれか 2つを選んで述べよ。 1 問について、A4 レポート用紙 1枚程度を目安とする。  (7 点満点 )

1.レーザの原理について述べよ。また、半導体レーザが光通信用の光源として特に優れている点について述べよ。

2.光ファイバーの中を光が伝搬するメカニズムについて述べよ。特に、導波モードとは何かについては詳しく記述せよ。

3.光ファイバー伝送中に光信号波形が歪む要因について述べよ。特に、分散が生じるメカニズムについては詳しく記述せよ。

本日 (2/1) のレポート問題

提出期限 : 2/8( 月 ) の講義開始前

Page 57: コミュニケーション工学 B

学生アルバイト募集

於 : 電子情報通信学会総合大会

勤務地 : 川内キャンパス

勤務日 : 3 月 15 日~ 19 日 (5 日間通してやっていただけると                                有り難い )

勤務内容 : 会場係他

給与 : 日当 7,000円、交通費不支給。超勤 :15 分単位で200円、  ※午前午後通しの勤務については昼食費 500円を別途支給

勤務時間 : 8:30 ~ 17:30

本大会でのアルバイトは、ボランティア精神によるお手伝いですので、バイト代が安いことはご容赦頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

Page 58: コミュニケーション工学 B

光伝送方式

強度変調 -直接検波 (Intensity Modulation - Direct Detection: IM-DD) 方式

現在の光通信で最も広く用いられている方式。光のコヒーレンス性はあまり利用して                                                いない

アナログ変調方式

コヒーレント方式

CATV による映像のアナログ伝送や、マイクロ波の光伝送、リモートアンテナなど、ごく限られた用途で用いられている

光のコヒーレンスをより積極的に利用する先進的方式。光の振幅、周波数、位相などに情報を載せる ASK, FSK, PSK などがある。 IM-DD 方式に対して受信感度が改善される。今後、主流になっていくものと思われる

電流

光信号

LD の I-L特性

光出力

変調信号 ( 電気 )

PD による直接検波LD の強度変調

検波出力信号 ( 電気 )

PD

Page 59: コミュニケーション工学 B

光変調方式

変調対象

振幅変調

周波数変調

位相変調

偏波変調

アナログ変調デジタル変調

多値二値  ( バイナリ )

FM FSK

AM (IM)

PM

ASK (OOK)

PSK

16QAM

1 10 0

1 10 0

1 00

x

y0 1 0

x

y

QPSK

I

Q01 11

00 10

光ファイバー通信で用いられる変調方式

I

Q

QASK

I

Q

Page 60: コミュニケーション工学 B

デジタル変調方式

ASK : amplitude-shift keying

OOK : on-off keying

FSK : frequency-shift keying

PSK : phase-shift keying

QAM : quadrature amplitude modulation

QPSK : quadrature phase-shift keying

QASK : quadrature amplitude-shift keying

constellation map

I

Q

QASK

I

Q

o t

Em

e

t

-Em

0I

Q e(t) = Em sin (t + )

I

Q

I

Q

16QAM4QAM

(QPSK)

I

Q

OOK の場合、位相は関係無いつまり、コヒーレントでなくても良い

DPSK : differential phase-shift keyingI

Q

QPSK

1101

00 10

I

Q

BPSK

0 1I

Q

8PSK

000

001

010011

101100

110

111

Page 61: コミュニケーション工学 B

伝送帯域

Loss2/B = 一定 Loss: 伝搬損失 (dB/m), B: 伝送帯域 (Hz)

同軸ケーブルによる伝送

出展 : http://www.hitachi-cable.co.jp

光ファイバーによる伝送

多モード光ファイバー  主にモード間の群速度差によるモード分散によって制限

単一モード光ファイバー  波長分散と偏波モード分散によって制限

1n

cBL B: 帯域 (Hz), L: 長さ (m)Δ = 0.005 とすると、 BL = 40MHz ・ km

同軸ケーブルの場合、伝搬損失によって帯域が制限される

Page 62: コミュニケーション工学 B

単一モード光ファイバーの伝送帯域

波長分散による帯域制限

i) 光源の波長スペクトル幅 Δλs が広い (FP-LDや LED を使用の )場合

sBL

13105 B: 帯域 (Hz) 、 L: 長さ (m) 、 Δλs: 光源のスペクトル幅 (nm)

例えば、 Δλs = 1nm 、 L = 50km の時、 B = 1GHz

ii) 光源の波長スペクトル幅 Δλs が狭い (DFB-LD を使用の )場合

121015.2 LB B: 帯域 (Hz) 、 L: 長さ (m)

従って、 L = 100km に対して、 B = 6.8 GHz

光ファイバーの場合、伝搬損失は通常 0.2dB/km と同軸ケーブルに比べて遥かに小さいので、分散による信号波形の歪が伝送帯域を制限している。分散による光パルスの広がりは、多モード光ファイバーの場合はモード分散によって制限される。一方、単一モード光ファイバーでは、モード分散はないが波長分散などによって制限される。

Page 63: コミュニケーション工学 B

伝送中継技術

光 - 電気変換 OE/EO による 3R (Reamplification 、 Reshaping 、 Retiming)再生

光増幅器による 2R (Reamplification 、 Reshaping)再生

OE/EO中継器

OE/EO中継器

OE/EO中継器送信機 受信機

光中継器の構成

光増幅器 光増幅器 光増幅器送信機 受信機

光信号を一旦電気信号に変えることなく、光のまま増幅、等化を繰り返して中継

出典 : 末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社

Page 64: コミュニケーション工学 B

3R再生とは

振幅増幅 (Reamplification)  弱くなった信号強度を増幅して強くする

波形整形 (Reshaping)  分散などの影響で劣化した波形を整える

タイミング再生 (Retiming)  符号のビットタイミングがズレたのを修正する

1 1

t

10 0

1 1

t

10 0

1 1

t

10 0ファイバー 減衰増幅

1 1

t

10 0 1 1

t

10 0ファイバー波形劣化

波形整形1 1 10 0

1 1

t

10 0 1 1

t

10 0ファイバー タイミング修正

1 1

t

10 0タイミングのズレ

Page 65: コミュニケーション工学 B

信号の多重化伝送

時分割多重  Time Division Multiplexing (TDM)

多重化方式

周波数多重 Frequency Division Multiplexing (FDM)

波長分割多重 Wavelength Division Multiplexing (WDM)

サブキャリヤ多重 Subcarrier Multiplexing (SCM)

複数の信号を 1 本の伝送路に乗せる手法

電気信号の時間

光の波長

多重化を行う領域

空間多重 Space Division Multiplexing (SDM) 空間

電気信号の周波数

電気信号の周波数

偏波分割多重 Polarization Division Multiplexing (PDM) 光の偏波 (偏光 )面

符号分割多重 Code Division Multiplexing (CDM)

光時分割多重  Optical Time Division Multiplexing (OTDM)

光符号分割多重 Optical Code Division Multiplexing (OCDM) 光信号の符号

光信号の時間

電気信号の符号

Page 66: コミュニケーション工学 B

電気信号の多重化

時分割多重化

t1 t3t2

周波数多重化

利用可能な周波数帯域

f1

一人当たりの帯域

f2 f3 f4

周波数

時間t1 t2 t3

1秒

Page 67: コミュニケーション工学 B

制限速度 15 mph の一般道路 ( 多重化無し )

制限速度 60 mph の 1車線高速道路 (時分割多重、周波数多重 )

制限速度 15 mph の 4車線一般道路 ( 波長多重、空間多重 )

多重化の方法

Page 68: コミュニケーション工学 B

電気による TDM および FDM伝送

光源 光検出器 復調光変調光ファイバー

2.4 Gbps 2.4 Gbpsbps: bit per second

1Gbps100 Mbps

64 kbps 64 kbps

100 Mbps1Gbps

2.4 Gbps

時間領域または周波数領域で多重化

DemultiplexerMultiplexer

Page 69: コミュニケーション工学 B

複数本の光ファイバーによる空間多重伝送

光源 光検出器

復調

光変調

1Gbps100 Mbps

64 kbps 64 kbps

100 Mbps1Gbps

光変調

光源

光源 光変調 光検出器

光検出器復調

復調

1Gbps

64 kbps

100 Mbps

光ファイバー

Page 70: コミュニケーション工学 B

一本の光ファイバーによる波長多重伝送

光源 光検出器

復調1Gbps100 Mbps

64 kbps 64 kbps

100 Mbps1Gbps

光変調

光源

光源 光変調 光検出器

光検出器復調

復調

光変調

WavelengthMultiplexer

WavelengthDemultiplexer

1 本の光ファイバー1Gbps

64 kbps

100 Mbps

λ1

λ2

λ3

λ1

λ2

λ3

Page 71: コミュニケーション工学 B

電気通信における多重化 (時分割多重、周波数 )

光ファイバー通信における超多重化

1 本の同軸ケーブル

数~数十 Gbps の高速道路

電気領域での多重化 (時分割多重、周波数多重 )+ 光領域での波長多重化

光ファイバー通信における多重化

1 本の光ファイバー

各々が数~数十 Gbps の高速道路

波長によ

る多重化

( 数十~数百波長 )

だから光ファイバー伝送は、超ブロードバンド

Page 72: コミュニケーション工学 B

ノードの処理速度がボトルネック

光リンク( 光ファイバ )ノード

( ルータ )

ノード

ノード

ノード( ルータ )

料金所渋滞高速道路

リンク容量 : 10Tbps(40Gbps × 256 波 WDM) ノード処理速度 : 100Gbps

Page 73: コミュニケーション工学 B

フォトニックノードによるボトルネック解消

光リンク( 光ファイバ )ノード

( ルータ )

ノード

ノード

ノード( ルータ )

ETC システム高速道路

リンク容量 : 10Tbps(40Gbps × 256 波 WDM) ノード処理速度 : 100Tbps

Page 74: コミュニケーション工学 B

広がりを見せる光通信

今後光通信は、より近距離の通信にも浸透していくことであろう

出典 : C. Gunn, “CMOS Photonics™ Technology Enabling Optical Interconnects” Luxtera, Inc.

Light Peak

Page 75: コミュニケーション工学 B

広がりを見せる光通信

Active optical cable( 光トランシーバー )

サーバーの Backplane

サーバーの筺体間データ通信は、今や電気から光へ

Page 76: コミュニケーション工学 B

ムーアの法則

Intel 社の創設者の一人である Gordon Moore氏が 1965 年に提唱

半導体素子に集積されるトランジスタの数は、 18ヶ月で倍増するという経験則による半導体技術の進歩に関する予測

ムーアの法則に従う Intel MPU の進化

Page 77: コミュニケーション工学 B

LSIチップの断面 ( 出展 : 米 Intel 社 )130nm 6層銅配線

LSI の性能限界

・ クロック周波数高速化の限界  -  バッファ導入による回路複雑化、               消費電力増大  -  クロック高速化によるノイズ問題顕在化

電気配線の限界

マルチコア化の流れ

・ コア間、プロセッサ -メモリ間データ伝送 の高速化限界、多層配線の限界

Page 78: コミュニケーション工学 B

LSIチップ内光配線

グローバル電気配線層

ローカル配線層Tr層

電気配線

電気配線による LSIチップ 光配線による LSIチップ

光配線

・ 光配線による高速データ通信

・ 電磁ノイズの低減

・ 消費電力の低減

光配線層

電気配線

Page 79: コミュニケーション工学 B

 以下の中から、いずれか 2つを選んで述べよ。 1 問について、A4 レポート用紙 1枚程度を目安とする。 (7 点満点 )

1.光ファイバーの伝送帯域は何によって決まるのか ?また、単一モード光ファイバーと多モード光ファイバーでは、どちらがより多くの情報を送ることができるのか ? その理由と併せて述べよ。

2.光 3R とは何か ?   3R の中で光増幅器による中継ではできないものはどれか ?

3.光ファイバー通信における信号多重化方式について述べよ。

本日 (2/8) のレポート問題

提出期限 : 2/11(木 )  ← 当初アナウンスより一日早めましたのでご注意願います。

注 )  成績を取り纏められる安達先生への報告が 2/12(金 )17:00 となったため、   私の方での採点・成績処理の都合上、一日早くしました。

Page 80: コミュニケーション工学 B

学生アルバイト募集

於 : 電子情報通信学会総合大会

勤務地 : 川内キャンパス

勤務日 : 3 月 15 日~ 19 日 (5 日間通してやっていただけると                                有り難い )

勤務内容 : 会場係他

給与 : 日当 7,000円、交通費不支給。超勤 :15 分単位で200円、  ※午前午後通しの勤務については昼食費 500円を別途支給

勤務時間 : 8:30 ~ 17:30

本大会でのアルバイトは、ボランティア精神によるお手伝いですので、バイト代が安いことはご容赦頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。