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2-1 章章 章章章 章章章章章 章章章章章章章章章章 章章章章章章章章章 ・・、、 出出 a 出出出出 “出出 出出出出” 出出出出出出出出 出出出出 )、 11 (、) b) 出出出出出 ”出出出出出出”出出出 1969 c 出出出出出 出出出出出 出出出出 出出 ”出出出出出出”出出出出 )、、一、 1976 d) 出出出出 出出出 出出出出出 e) Wikipedia 出出 出出出出出出出出出出出 出出出 出出出出 出出出 1)(++) 出出出出出出出出出出 出出出 出出出→出出出出 出出出出出 2)(= 出出出出出出出出出出出出出 3) 出出出出 4)

2 . 1) 元素発見の歴史と原子

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2-1章  電子・原子・原子構造、電子の配置と周期表、原子構造と量子化学 出典  a )桜井弘著、“元素111の新知識”(ブルーバックス、講談社) b) 井口洋夫著、”元素と周期律”裳華房( 1969 ) c )近角聰信、木越邦彦、田沼静一著、”最新元素知識”東京書籍 ( 1976 ) d) 元素図鑑 中井泉 ベスト新書 e ) Wikipedia 目的 1)原子の構成粒子の種類(陽子+中性子+電子) 2)元素の種類と構成内容(陽子数=電子数→元素種、中性子数) 3)元素の性質の周期性と周期表 4)量子入門. 2 . 1) 元素発見の歴史と原子. - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

2-1章 電子・原子・原子構造、電子の配置と周期表、原子構造と量子化学

出典 a )桜井弘著、“元素111の新知識”(ブルーバックス、講談社) b) 井口洋夫著、”元素と周期律”裳華房( 1969 ) c )近角聰信、木越邦彦、田沼静一著、”最新元素知識”東京書籍 ( 1976 ) d) 元素図鑑 中井泉 ベスト新書e) Wikipedia目的1)原子の構成粒子の種類(陽子+中性子+電子)2)元素の種類と構成内容(陽子数=電子数→元素種、中性子数)3)元素の性質の周期性と周期表4)量子入門

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2 . 1) 元素発見の歴史と原子● 元素に関する知識の蓄積と周期表(不完全)の作成1)錬金術時代からの分析化学的手法により、 18 世紀末まで約 30 種の元素2) 19 世紀に入ると、電気化学分析 ( デービー、 K 、 Na 、 Mg 、 Sr 、 Ba 、 Ca) 、発光スペ  クトル分析 ( 炎色反応、ブンゼン、キルヒホフ , Cs 、 Rb) などにより、半世紀強の間  にそれまで知られていたものとほぼ同数の未知元素が発見された3)その結果、元素の分類整理が可能となり、原子量の順に並べると 8 番目ごとに  類似の性質が現れる ( オクターブの法則 ) などの周期性が確認された4) 1869 年 メンデレーフによる 62 種元素の周期表の発表● 周期表の完全化1)周期表の隙間を埋める仕事  ○ケイ素と錫の間: エカ - ケイ素→ Ge  ○エカ - ホウ素→ Sc 、○エカ - アルミニウム→ Ga2)第 18 族元素(周期表に無い系):不活性ガス、希ガス ( 単原子分子 )の発見  ○気体の液化技術と分別蒸留技術の開発による  ○ 19 世紀末 Ne 、 Ar(Ar の発見は、空気から O2 と N2 を化学反応で取り除いた残 留気体の分光による ) 、 Kr 、 Xe が発見された。また、一番沸点の低いHe ( 沸 点 -268.9 , 4.18K℃ 、常圧では固体とならない)は 1868 年に太陽の輝線スペ クトル中の未知元素に命名されたもの。

Page 3: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

● 周期表の完全化3 )周期表の隙間を埋める仕事 ○ランタノイド元素 (La ~ Lu の 15 元素 ) とアクチノイド元素 (Ac ~ Lr の 15元素 ) は、  各 15 種の元素の化学的性質が互いに極めて類似し、発見、解明に長時間を要 した○ モーズリーの法則( 1913 年、モーズリーは原子番号 (Z) と元素の特性 X 線の波 長 () の平方根の間に直線関係 (2.3 式、 a, Z0 は全ての元素について一定 ) を発見

          

)(1

0ZZa

図 2.1

Page 4: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

○ 長岡半太郎(土星型原子模型、 1904 )→ラザーフォードの原子模型( 1911 ) →ボーアの原子模型 (1913)

KL

MN

1. 電子衝撃により K 電子が飛び出す

2. L 電子が K 殻に飛び込む

3. 振動数の X   線が発生

Ka

Kb

Kg

La

Lb

Lg

hckhc

hE

: 振動数、 h :プランク定数、c :光速 ,   λ :波長、 k :波数

プランク・アインシュタインの式(2.4)

図 2.2

Page 5: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

特性 X 線の測定により、メンデレーフの周期表が改善された。1)原子量順に並べることに伴う元素順位の逆転の訂正   [K( 原子量 =39.102) Ar(39.948), Ni(58.71) Co(58.9332),   I(126.90) Te(127.60)] 。原子番号(原子核の陽子数 = 電子数) 順に並べることで解決された [Ar(18) K(19), Co(27)Ni(28), Te(52) I(53)] 。原子番号順と原子量順の逆転は、同位元素の 存在比に原因があった。2)原子番号 92 の U より前にある周期表に空白であった元素( Tc(43), Pm(61), Hf(72), Re(75), At(85), Fr(87) )の発見がおこなわれた。3)ランタノイド系列の確定が行われた。1914 年にオクスフォード大学に戻って研究を続けるが、第一次

世界大戦がはじまるとイギリス軍工兵隊に所属して出征。ガリポリの戦いに参加し、同地で命令を電話連絡している際に狙撃兵に頭部を撃ち抜かれて戦死した。 27 歳だった。早すぎる死がなければノーベル賞の受賞は間違いなかったといわれている。彼が戦死した事件を受けて、以後イギリスや他国の政府は自国の科学者が戦闘に従事することを禁ずるようになったと言われる。ちなみに、この戦いを指揮した当時の海軍大臣チャーチルは 1953 年にノーベル文学賞を受賞するのは、歴史の皮肉である。

Page 6: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

Following conversations in 1913 with Niels Bohr, a fellow worker in Ernest Rutherford's Cavendish laboratory, Moseley had become interested in the Bohr model of the atom, in which the spectra of light emitted by atoms is proportional to the square of Z, the charge on their nucleus (which had just been discovered two years before).Moseley's law is an empirical law concerning the characteristic x-rays that are emitted by atoms. It is historically important in quantitatively justifying the conception of the nuclear model of the atom, with all, or nearly all, positive charges of the atom located in the nucleus, and associated on an integer basis with atomic number.

Henry Gwyn Jeffreys Moseley (1887 –1915) was an English physicist. Moseley's outstanding contribution to the science of physics was the justification from physical laws of the previous empirical and chemical concept of the atomic number. This stemmed from his development of Moseley's law in X-ray spectra. Moseley's Law justified many concepts in chemistry by sorting the chemical elements of the periodic table of the elements in a quite logical order based on their physics.

When World War I broke out in Western Europe, Moseley left his research work at the University of Oxford behind to volunteer for the Royal Engineers of the British Army. Moseley was assigned to the force of British Empire soldiers that invaded the region of Gallipoli, Turkey, in April 1915, as a telecommunications officer. Moseley was shot and killed during the Battle of Gallipoli on 10 August 1915, at the age of 27. Some prominent authors have speculated that Moseley could have been awarded the Nobel Prize in Physics in 1916, had he not died in the service of the British Army.

Page 7: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

ウラン以降の超ウラン元素の合成に、原子核への放射線線(ヘリウム原子核 He2+) 、線(原子核の崩壊により放出される電子)、線 ( 高エネルギー電磁波 )) の照射、加速器により人工的に得た高エネルギー粒子 ( 中性子、陽子、他 ) の照射、 U や超ウラン元素の中性子照射、超重元素の重イオン照射が用いられた ( 原子番号 93 から 114 まで)

電磁波

電子

He2+

1)線:正電荷をもつ質量の重い線は少し曲げられる。無磁場では気体中を直線的に進行し、進路に沿って多くの分子をイオン化する。2)線:質量が軽い負電荷の線は、線と反対の方向に大きく曲げられる。3)線:波長の短い電磁波で、透過力は強く、磁場の影響を全く受けない。人体に極めて危険である。

図 2.3

Page 8: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

線: He2+

「ポロニウム210はウランの百億倍の比放射能を有するが、所詮アルファ―線だ、紙一枚でも防ぐことができる。飲み込んで体内被曝しなければ平気だ・・・傭兵代理店(渡辺裕之) リトヴィネンコ事件・・・・・・・の不正と陰謀を暴こうとしていた・・・の元中佐だったリトヴィネンコは、亡命先の英国で放射性物質のポロニウム210で毒殺された。「ポロニウムをもられてから22日間リトヴィネンコは苦しみぬき、骨と皮と化し死亡(44歳)」電磁波( Electromagnetic wave )は、空間の電場と磁場の変化によって形成される波(波動)である。いわゆる光や電波は電磁波の一種である。電磁放射( -輻射、 Electromagnetic radiation )とも呼ばれる。電磁波は波であるので、散乱や屈折、反射、また回折や干渉などの現象を起こし、 波長によって様々な性質を示す。このことは特に観測技術で利用されている。微視的には、電磁波は光子と呼ばれる量子力学的な粒子であり、物体が何らかの方法でエネルギーを失うと、それが光子として放出される。また、光子を吸収することで物体はエネルギーを得る。

Page 9: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

元素の分類典型元素: 1 族、 2 族、 12 族 -18 族の 47 元素。これら以外は遷移元素遷移元素: 3 族― 11 族の 64 元素(原子番号 111 までに限り) d または f軌道に電子が入る。アルカリ金属元素: 1 族中の 6 元素( Li, Na, K, Rb, Cs, Fr )アルカリ土類元素: 2 族中の 4 元素( Ca,Sr,Ba, Ra )ハロゲン元素: 17 族中の 5 元素 (F, Cl, Br, I, At)希ガス元素: 18 族中の 6 元素( He, Ne, Ar, Kr, Xe, Rn)意味のない暗記法:すいへいりーべぼくのふね、なまあるけいりんいえんある、かっかすかっちばくろーまん2.2) 原子の構成  原子は、半径 105 ~ 104Å ( 1Å= 10-8 cm = 0.1 nm) の原子核を中心として電子が半径 1 ~ 2Å の電子軌道を廻るモデルで説明される。 原子核は陽子 (+ 1価 ) と中性子 (0価 ) より構成され、陽子の数 N が原子番号つまり元素を規定する。陽子の数 (+N価 ) に相当する数の電子が電子軌道に存在し原子は 0価である。

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○ 質量 電子静止質量 (me = 9.1091031 Kg) 陽子 (1.67261027 Kg) や中性子 (1.67491027 Kg) の 1/1836 原子の質量はほとんど原子核が決定○ 同位元素また同位体:陽子の数が同一で、中性子の数が異な る元素。 水素の場合 1)質量数が1の1 H 2)一個の中性子が加わった重水素 ( 2 H または D :デューテリウム ) 、   3)さらに一個の中性子が加わった三重水素 ( 3 H または T :トリチウム )     D は自然の水素中に 1/3500~ 1/5000含まれている。 T は自然界にも存在するが、主に核反応により人工的に作られる放射性元素である。

– 電子

中性子

陽子+原子核

水素 1H 、重水素 2H(D) 、三重水素 3H(T) の構成

+

+

+

–1H 2H(D) 3H(T)

図 2.4

Page 11: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

図 2.5  水素原子のスペクトル系列とエネルギー準位。 n = ∞ より上のエネルギー準位からの光の放出は連続スペクトルを与える。左縦軸は n = 1の準位からのエネルギー( V単位)、右縦軸は n = ∞ の準位からのエネルギー準位( cm1単位 ) で、各系列の数字は波長である( Å単位)。

)11

(1

22

21 nn

R

実験結果

2 . 3) 水素原子の電子軌道、発光スペクトルとボーア模型 放電管に封入された水素に電圧をかけ放電する

と、2.5 式に従った多くの輝線スペクトルが紫外~赤外領域に観測された

2.5 式

Page 12: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

E2

E1

E2

E1

n=4

K 殻

L 殻

M 殻N 殻O 殻

n=2

n=1

水素

n= 3

n=5

K 殻

L 殻

M 殻N 殻O 殻

電子励起

励起された電子が下の軌道に落ち込むとき光を出す

E2 – E1 = hn

エネ

ルギ

イオン化エネルギー

電子励起

自由電子状態

Page 13: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

K 殻

L 殻

M 殻N 殻O 殻

n=2

n=1  

2個

8個 2s軌道 2p軌道3 重縮退

1s軌道

エネ

ルギ

18個

自由電子状態

3s軌道n=3

3p軌道3d軌道5重縮退

Page 14: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

図 2.15 s軌道

図 2.16 p軌道

図 2.17 d軌道

Page 15: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

n=2

n=1  

2s軌道 2p軌道3 重縮退

1s軌道

3s軌道n=3

3p軌道 3d軌道5重縮退遷移金属

H, He

Li, Be B, C, N, O, F, Ne

Na, Mg Al, Si, P, S, Cl, Ar

Page 16: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

表 2.3  水素からネオンまでの電子配置およびスピン状態

1s1

1s2

1s2 2s1

1s2 2s2

1s2 2s2 2p1

1s2 2s2 2p2

1s2 2s2 2p3

1s2 2s2 2p4

1s2 2s2 2p5

1s2 2s2 2p6

1s    2s   2px   2py   2pz

電子配置

H

He

Li

Be

B

C

N

O

F

Ne

Page 17: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

n殻

l = n1,・・・ 0

m=0,1,••l  軌道数 2l+1

総軌道数n2

殻に入る総電子数2n2

総電子数

1 K 0 1s 0 1 1 2 22 L 0 2s

1 2p01,0

13

4 8

3 M 0 3s1 3p2 3d

01, 02, 1, 0

135

9 18 28

4 N 0 4s1 4p2 4d3 4f

01, 02, 1, 03, 2, 1, 0

1357

16 32 60

5 O 0 5s1 5p2 5d3 5f4 5g

01, 02, 1, 03, 2, 1, 04, 3, 2, 1, 0

13579

25 50 110

Page 18: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

2) 電子は原子核を中心とした半径rの軌道を速度vで回転している(定常状態)。角運動量  L = mvr は次式で規定される ( 角運動量の量子化 ) 。    L = nħ (ħ=h/2, デ ラックのhイ 、 n: 主量子数) (2.7)

1)光の放出、吸収は、原子核 ( 電荷 +Ze) の周りを運動している電子 ( 質量m ) の異なった二つの定常状態 ( エネルギー E1, E2) 間の遷移に相当し、 2.4 式 (E=hν) が成立する。従って、各一つのスペクトル線の振動数は式で表される。

hν=E1 E2 (2.6)

量子( quantum)は、 1900年にマックス・プランクが発見・提唱した物理量の最小単位。不連続な量であり、物理量はこの最小単位の整数倍をとることになる。量子を扱う自然科学の理論を量子論と総称する。量子の発見は、 20世紀の科学に革命を起こした。

(2.7 式は仮定である )

ボーアの原子模型と以下の条件を用いると、水素原子の発光スペクトルは矛盾なく説明できた(Rの値まで)

図 2.6

Page 19: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

図 2.7 原子核の周りを回転するように強制された電子波の概略図。実線は定常波の一つである。破線の波の波長はそれよりも少し短いので干渉により破壊される。

r

ドブローイの提案(光は波と粒子の 2 重性をもつ)○整数がごく自然に現れる物理現象として波動運動の方程式の定常状態の解がある。は、原子中の電子の安定な運動の決定に整数が必要である (L=nħ) ことから、電子を単に粒子とみなさないで , 周期性 ( 波の性質 ) も与えられなければならない。○原子核の周囲を回転する電子の場合、電子軌道の円周の長さ (2r) が電子波の波長 () の整数倍なら定常波であり ( 2 r = n   2.13 式 ) 、その条件を満たさない波ならば波動は干渉により破壊され、存在しえなくなる。

2. 4)電子は粒子と波の2重性をもつ:ドブローイの業績ハイゼンベルグの不確定性原理と零点エネルギー

光を粒子とすれば  E = mc2 、光を波とすれば   E = hν両者の性質を持つならば  mc2 = hν = hc/ より =c /ν=h /mc =h /p (2.15)2 r = n に 2.15 式を入れると2 r =n h /mc で、変形し mcr =n h / 2→ L=nħ となる。     電子も光と同様に粒子と波の二重性をもつ。

Page 20: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

hnEn )2

1(

hE2

10

粒子が波動性を帯びると、粒子の位置と運動量の積、またはエネルギーと時間の積に不確定性が生じる ( ハイゼンベルグの不確定性原理)。     p•q = E•t ħ/2             (2.16)古典量子論による調和振動子 ( 分子振動のモデル ) のエネルギーは En = nhνで与えられるが、これは正しくない。これならば、最低エネルギー準位は n = 0 で、エネルギー零つまりポテンシャル曲線の極小点となる(図 2.8 )。しかし、これでは完全に定まった位置と完全に定まった運動量を持つことになり、不確定性原理から許されない。波動として取り扱うと、振動子のエネルギー準位は 2.17 式で、基底状態においても 2.18 式に等しい残留零点エネルギーを持つ。

 

(2.18)

(2.17)

図 2.8  水素分子のポテンシャルエネルギー曲線。振動エネルギー準位( = 0~13) も示す。二個の水素原子は安定な水素分子を形成し、その解離エネルギー(分光学的解離熱 De )は109.5 kcal/mole (458.1 kJ/mole), 核間距離は 0.740Åである。化学的解離熱 D0 と De は De = D0 + hν/2 で関係する。

Page 21: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

2.5)  波動関数、波動方程式運動エネルギー (T) とポテンシャルエネルギー (U) の和を全エネルギー (E) と

いう。運動エネルギーを運動量 p = mv で示すと T = mv2/2 = p2/2m となる。

運動エネルギー T を運動量の関数で、ポテンシャルエネルギー U を位置xの関数

して表した場合 ,   T と U の和をハミルトン関数という( 2.19式)。 ExUpm

xUpTxpH )(2

1)()(),( 2 (2.19)

電荷 Ze の原子核から距離r離れた電子(電荷 e )はクーロン力、 F=Ze2/4peor2  を受けるので、そのポテンシャルエネルギーは   U(r)=     = Ze2/4peor となり、           

r

Zeppp

mH zyx

0

2222

4)(

2

1

(2.20)

drF /

Page 22: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

電子波の運動を扱うため、波動を考える。空気中で振動する音叉は時間および空間で周期的に変化する音波を出し、振動している電気的双極子は空間中に電磁波を出す(図 2.9 )。時間および空間で周期的に変化する波が波動である。

このような波動は、サインまたはコサイン関数で記述できる。フックの法則に従うバネにつながれている粒子(調和振動子:電磁場は調和振動子の集まりとして理解できる)の運動は 2.21 式で表せる。                      (2.21)

単位の長さに含まれる波長の数は波数 (wave number) である。 2.21 式を振動数、波数を用いて表すと 2.22 式となる。                     (2.22)

)(2sin vtx

A

)(2sin tkxA

図 2.9

Page 23: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

図 2.10 は の 2 つの波

2 は1にくらべ x 方向に /2k ずれている。これを、1と 2 は位相( phase) がずれ

ているという。 = 2n (n = 1,2••) ならば同一位相の波といい、がの奇数倍なら

逆位相という。逆位相の波を重ねると合成された波の振幅は零である。   2.22式の波は x 方向に速度 ν/k で進む進行波である。前方にも後方にも進

まない定在波は、                                  

      (2.23)

となる。 2.23式を (x,t) = (x) cos2νt として時間を含まない波動 (x) を考え , 2.23

を x で二回微分した 2.24式は時間を含まない波動方程式である。

                                 (2.24)

])(2sin[)(2sin 21 tkxAtxA    と

tkxA

tkxAtkxA

2cos2sin2

)(2sin)(2sin

  または

0)2( 22

2

kx

図 2.10

Page 24: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

2.24式にドブローイの関係( k=1/l=p/h )を入れると電子の波動方程式であるシュレディンガー方程式が得られる [ 2.19式から p2 = 2m(E U) を得、   

より、  

となりハミルトン演算子を

と定義すると、一次元のシュレディンガー方程式 (2.25) となる。                H = E              (2.25)つまり、                                    (2.26)

結局、量子力学では、 2.25式 , 2.26式のシュレディンガー方程式を解き、一定値 E を与える波動関数を求める。エネルギー値 E を系の固有値( eigen-value) 、これに対する波動関数を固有関数 (eigen-function) という。

0)(8

)(24)2()2(

2

2

2

2

22

2

22

2

22

2

2

h

UEm

x

h

UEm

xh

p

xk

x

EUxm

h

2

2

2

2

8

Uxm

hH

2

2

2

2

8

EUxm

hH

)8

(2

2

2

2

Page 25: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

例1) 自由電子(長さ a の一次元の箱にある電子を考える、図 2.11 :これは金属中の電子の運動を考えるモデル)。ポテンシャルエネルギーは箱の中で零、箱の外で∞とすれば、

                を 2.25 式に代入、変形し  

( 2.28 )この形は二回微分して元の関数の形に戻るので、その解は指数関数または三角関数で

あり、 = c sin Ax で示すことにすると , x = 0 で電子密度が 0 また、 x = a でも = 0 で

あるから、Aa = n (n = 1,2,3••) となり、 = c sin nx/a である。これを 2.28 式に入れるとエネルギー E

が得られる。 より  

( 2.29 )以上をまとめると、1)nは整数値であるから電子エネルギー E は不連続な、とびとびの値になる。2)箱の大きさ a が大きくなると、運動エネルギーは減少する(電子の動き回る空間

が広いほどその運動エネルギーは低くなる)。 

2

22

22

1

xmp

mH

08

2

2

2

2

Eh

m

x

0)sin(8

)sin()(2

22

a

xncE

h

m

a

xnc

a

n

)8

(2

22

ma

hnE

Page 26: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

一定のポテンシャルエネルギー U の領域の波動方程式は (d2/dx2) + (82m/h2)(E U) = 0 である。これは次のような一般解をもつ。            (2.30)

箱の中では、 E > U で平方根の中は正であるが、箱の外では U > E で、 2.30 式の平方根の中は負である。従って -1 を掛け合わせると、箱の外(障壁が無限に高くなくまた無限に広くない限り)での波動関数の挙動は 2.31 式で示される。               (2.31)

波動力学では、電子が負のエネルギー領域に入る確率は零ではなく、箱の外に(漏れ)でる距離とともに指数関数的に減少するようなある正の値である。これをトンネル効果という(図 2.11右)。

])(22

[exp UEmh

ixA

])(2)2

[(exp EUmh

xA

図 2.11  一次元の箱の中の電子。左)ポテンシャル関数中)許される電子波の形とエネルギー準位右)トンネル効果

Page 27: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

図 2.12  円軌道上の電子のエネルギー準位とベンゼンの p 電子の占有 ( ベンゼン環を多数持った芳香族炭化水素(多環芳香族炭化水素、ナフタレン、アントラセンなど)や金属の電子状態を考察するモデルとして重要 )

例2)ベンゼンの p 電子の粗い近似波動関数を 2.32式で表すことができる。            

(2.32)円軌道の半径をrとすると、波動関数が一価で連続であるとの条件から         (2.33)従って、 cos2prA = 1 ・・・・・・ Ar = n (n = 0, 1, 2, 3 ・・・ ) 。これを、 2.32式にいれる

と       (2.34)これを 2.28式に入れて E を求めると       E=n2h2/8p2mr2     

(2.35)n=0 の場合を除いて、電子の円軌道上の運動は右回り、左回りの 2 つがあり、各エネルギー値に対応して 2 つの準位が共存する。これを 2 つの準位が縮重 (縮退 )しているという。一つの電子軌道に最高2 つの電子のみが占有できる(後述)ので、ベンゼンの 6個の p 電子は図 2.12 のエネルギー準位の n=1 に 2個、 n= 1に 4個占め、それ以上の準位は空である。

Axcos

)2()0( rxx

r

nxcos

E=0

E=h2/8p2mr2

E=4h2/8p2mr2

E=9h2/8p2mr2

Page 28: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

化学では、物質間での電子のやりとりが重要であり、そのやりとりに

は電子が詰まっている一番上の軌道、その一つ上にある電子が詰

まっていない一番下の軌道が大きく関係する。それで、分子におい

て電子が占有している一番上の軌道を最高被占分子軌道(highest

occupied molecular orbital: HOMO),  一番下の空の軌道を最低空軌道( lowest unoccupied molecular orbital: LUMO )という(両者をフロンティア軌道という:福井)。準位としては最高被占準位、

最低空準位という。 HOMO と LUMO のエネルギー差に相当する光を当てると、HOMO の電子は LUMO にたたきあげられ(励起)、そのエネルギーに相当する部分が吸収された光を見ることになる。その領域が可視領域の場合、色が見える。ベンゼンの HOMO-LUMO励起は紫外領域に相当するので透明である。

HOMO

LUMO

励起

励起分子

Page 29: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

2 .6 )  水素型原子の電子軌道と量子数非常にめんどうな式が多いので、エッセンスのみ記す。+ Zeの原子核と- e の電子より成る水素型原子では、 2.20式の古典的ハミルトン関数と 2.26式を用い、シュレディンガー方程式を求め、これを解いての形と E を求める。この時、直交座標を極座標( r,,, 図 2.13 )に変換し、動径部分( r )と角部分( , )に分けて解くと、波動関数の空間的広がり

を示す動径部分、角度部分の形状を示す角部分に分離できる。

図 2.13 直交座標と極座標

x

z

y

f

q r

Page 30: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

動径部分 Rn,l(r) :波動関数の空間的広がりを示す。 R(r) は2つの量子数 n, l で指定される関数で、主量子数 n の増加とともに軌道が広がる。 n = 1, 2, 3, ・・・に対応した電子軌道を K殻、 L殻、 M殻、・・・(図 2.2 )といい、水素型原子(電子が一個の原子)では、電子軌道のエネルギーは主量子数のみに依存し、ボーアが導出した 2.10式 (2.36式)に等しい。                          

          (2.36)表 2.1 に n, l で指定される動径部分を示す。 L 殻には l の異なる二つの軌道が、また M 殻には l の異なる三つの軌道が存在する。原子核から半径rにある厚さ dr の球殻に電子が存在する確率を示す動径分布関数 Dn,l(r) は、 Dn,l(r)=4r2{Rn,l(r)}2 で、図 2.14 に示す。この動径分布関数が最大になるrが軌道の平均半径に相当する。主量子数 n に対して、 l = 0, 1, 2, ・・・ (n-1) までの n個の軌道があり、それぞれ s軌道、 p軌道、 d軌道、 f軌道、・・という。l の異な 2s, 3s, 3p軌道において、小さな r の位置に小さなピークが見られ、少しの割合の時間ではあるが電子が核の近くにいる可能性があること、つまり、大きな静電効果によりこの状態が安定化することを示す。

,3,2,18 222

0

4

nnh

meE

Page 31: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

図 2.14 水素原子の動径波動関数 Rn,l(r) の r依存性( 1s, 2s, 2p)  (左図)と動径分布関数 Dn,l(r) の r依存性( 1s, 2s, 2p, 3s, 3p, 3d )(右図)。

n   殻  l 動径波動関数1    K 0 2(Z/a0)3/2 exp(/2)

2    L 0 (1/22)(Z/a0)3/2 (2)exp(/2)

1 (1/26)(Z/a0)3/2 exp(/2)

3    M 0 (1/93)(Z/a0)3/2 (662) exp(/2)

1 (1/96)(Z/a0)3/2 (42) exp(/2)

2 (1/930)(Z/a0)3/2 2 exp(/2)

表 2.1   n, l で指定される動径波動関数

a0 = h2/42me2 = 0.52910-8 cm = 0.529Å, = Zr/a0

Page 32: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

2 .7 )  水素型原子の波動関数の形波動関数の , に関する角部分 ()() は球面調和関数といわれ Yl,m(,) で示される。方位量子数 l 、磁気量子数 ml は波動関数の角度部分の形状を決定する。 n = 2 では、 2s軌道と三個の 2p軌道が同一のエネルギーをもつ。 () は              

となり、波動関数が全空間で一価、連続であるから磁気量子数 ml は整数で、ml = 0, 1,2,・・・ l までの (2l + 1)個の値をとる。l = 2 までの角部分を表 2.2 に示す。s軌道には一種、p軌道は ml = +1, 0, 1の三種、d軌道はml= +2, +1, 0, 1, 2 の五種類がある。s軌道の角度部分は , に依存せず、球状である(図 2.15) 。 s軌道以外は、複素関数であり、そのままでは軌道の形とならないが , 実空間変換により図2.17 の p軌道、図 2.18 の d軌道が得られる。 p軌道は有機物、 d軌道は重原子や遷移金属にとり重要である。

,2,1,02

1l

im meΦ l

l  軌道 ml

0    s 0 (1/4)1/2

1    p  

0 (3/4)1/2 cos 1 (3/8)1/2 sin ei

2    d 0 (5/16)1/2(3 cos2 1)1 (15/8)1/2 sin cos ei

2 (15/32)1/2 sin2 e2i

表 2.2 球面調和関数

Page 33: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

図 2.15 s軌道

図 2.16 p軌道

図 2.17 d軌道

Page 34: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

2.8)  電子スピン、パウリの排他律とフントの規則原子内の電子は軌道運動の他にスピン運動(古典的には自転運動)を行い、それに伴ってスピン角運動量を持つ。スピン角運動量 Sおよびそのz成分 Sz は                             (2.37)      Sz = msħ ms =(s, s-1, ・・・ -(s-1), -s で、電子においては 1/2)   (2.38)

である。スピン量子数s = +1/2, 1/2 の 2種のスピンがあり、各々アップスピン (- スピン ) 、ダウンスピン (- スピン ) という。磁場がないと、これらのスピンのエネルギーは同じである。以上、4種類の量子数 n, l, ml, s が電子の状態を規定する。原子番号の順に電子軌道に電子を詰めてゆくと周期表が出来るが、以下の二つの法則に従う必要がある。パウリの排他原理:二つの電子は四つの量子数 n, l, ml,ms を同一には出来ない。基底状態は電子が排他原理に従って最も低い可能なエネルギー準位にある状態で ,最も低い軌道から次々に電子を原子の核電荷数まで詰めることにより原子が出来上がる。 n, l, ml が同一の電子軌道の場合、アップスピン 1個とダウンスピン 1個の 2個が入る。 フントの規則:同一エネルギの軌道に 2個の電子が入ると電子間で大きな静電反発が生じる。従って、同一エネルギーの準位に磁気量子数の異なる縮退した軌道がある場合、電子は異なる磁気量子数の軌道に、スピン量子数を同一にして入る。

)1( ssS

Page 35: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

パウリの排他原理とフントの規則に従って、水素原子からネオン原子まで電子を詰めた結果を表 2.3 に示す。  軌道に 1個しか電子の無い場合を赤く示す(不対電子 , ラジカル電子)。その軌道に 2個目の電子が入ると電子対を形成したといい、スピン量子数の総和は零となる(青)。 C 、 N 、 O でアップスピン(ダウンでもよい)のみが p軌道を占めるのはフントの規則による。表 2.3  水素からネオンまでの電子配置およびスピン

状態

1s1

1s2

1s2 2s1

1s2 2s2

1s2 2s2 2p1

1s2 2s2 2p2

1s2 2s2 2p3

1s2 2s2 2p4

1s2 2s2 2p5

1s2 2s2 2p6

1s    2s   2px   2py   2pz

電子配置

H

He

Li

Be

B

C

N

O

F

Ne

Page 36: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

2 .9 )  多電子原子の電子軌道と電子配置 多電子原子では、他の電子とのクーロン相互作用などにより、クーロンポテンシャルは球対称でなくなる。このため、主量子数が同じ軌道でも方位量子数が異なると、軌道エネルギーも異なるようになる。表 2-3 の最後の Ne の次の元素 Na(Z = 11) から Ar(Z = 18) までは、電子が素直に3s, 3p を埋める。 アルゴン (1s2, 2s2, 2p6, 3s2, 3p6) の次に来る元素から、電子は 3d軌道よりもエネルギーの低い 4s軌道に入る; K(Z = 19,(1s2, 2s2, 2p6, 3s2, 3p6, 4s1)), Ca(Z = 20, 1s2, 2s2, 2p6, 3s2, 3p6, 4s2) 。  4s軌道が満たされた次の Z = 21-23 までは 4p軌道に電子が入ると予想されるが、 3d軌道が優先する。  Sc(Z = 21) から Cu(Z = 29) の最初の遷移金属系列では 3d が順次満たされ、これらは、種々の原子価を取る、強く着色した化合物を作る、単体は硬く、高融点の重金属で、多くは磁性を示すなどの共通点を持つ。このうち、 Cr(Z = 24)(1s2, 2s2, 2p6, 3s2, 3p6, 3d5, 4s1) と Cu(1s2, 2s2, 2p6, 3s2, 3p10, 4s1) 以外は 4s2の電子配置を持つ。多電子原子における電子収容の順序を図 2.18 に示す。

Page 37: 2 . 1) 元素発見の歴史と原子

図 2.18  電子収容の順序。左肩上がりの矢印に沿って s 、 p 、 d 、 f軌道に 2個、 6個、 10個、 14個づつ詰める

n殻

l = n1,・・・ 0

m=0,1,••l  軌道数 2l+1

総軌道数n2

殻に入る総電子数2n2

総電子数

1 K 0 1s 0 1 1 2 22 L 0 2s

1 2p01,0

13

4 8

3 M 0 3s1 3p2 3d

01, 02, 1, 0

135

9 18 28

4 N 0 4s1 4p2 4d3 4f

01, 02, 1, 03, 2, 1, 0

1357

16 32 60

5 O 0 5s1 5p2 5d3 5f4 5g

01, 02, 1, 03, 2, 1, 04, 3, 2, 1, 0

13579

25 50 110

表 2.4   l =0,1,2,3,4 の軌道をs(sharp),  p(principal),d(diffuse),f(fundamental)軌道とする。 4f 軌道、 5f 軌道が未閉殻の元素がランタノイド、アクチノイドである。