第8回Zansa 俺の人生ランダムウォーク

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俺の人生ランダムウォーク

慶應義塾大学大学院理工学研究科 基礎理工学専攻

修士二年

松尾 洋一

自己紹介松尾洋一

慶應大学修士2年専攻

数学 数値計算  C 言語 ハイパフォーマンスコンピューティング

VECPAR2012 ポスター発表“Parallel Block Gram-Schmidt

Ortho-gonalization with Optimal Block-size”

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6 月のある日・・・ 島田「今度発表してよ」 松尾「いいよー.ランダムウォークとか?」 島田「イイネ !! じゃあ,それで告知しとくねー !! 」 松尾「了解」

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6 月のある日・・・ 島田「今度発表してよ」 松尾「いいよー.ランダムウォークとか?」 島田「イイネ !! じゃあ,それで告知しとくねー !! 」 松尾「了解」

島田「今度の発表は,松尾君の『俺の人生ランダムウォーク』です」

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俺「え,なにそれこわい」

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        ___         /     . \     /   ノ  ヽ \   /    (○) }liil{ (○)\       |       ゙ ) ( __ 人 __ )“  )     _ _________ _   \        ⌒   /  |~~~|   | |               |__/          \  |_ _ |   | |               || |   /    ,               \n ||     | |               || | /    /           r.    ( こ) | |               || ||  ⌒ ー n nn         | \ (⊆ ソ .   |_|_ ___ _ ____ _| ̄ \_ _ 、 (" 二) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l二二l二二  _ |_| _ _| _

今までを振り返ってみると,

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ZANSA

第1回 「統計入門以前」第2回 「正規分布」第3回 「分布」第4回 「重回帰分析」第5回 「推定」第6回 「ベイズの定理」第7回 「信頼性工学」

第8回 「??」7統計解析入門はほとんど終わった?

ZANSA

『研究と実務の乖離』

確率なら,“統計っぽい”し,学問と実務が 近い

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簡単な確率論とその応用を(僕が復習したので)みんなで学ぼう!!

確率論とは『近代の確率論は,対数の法則,中心

極限定理から続いて確率変数や分布の極限理論を経て,~(中略)~,マルコフ過程,特に拡散過程の研究』

(「確率論の基礎と発展」 飛田武幸著 共立出版  2011 年)

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確率論とは『近代の確率論は,対数の法則,中心

極限定理から続いて確率変数や分布の極限理論を経て,~(中略)~,マルコフ過程,特に拡散過程の研究』

(「確率論の基礎と発展」 飛田武幸著 共立出版  2011 年)

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確率論とは『近代の確率論は,対数の法則,中心

極限定理から続いて確率変数や分布の極限理論を経て,~(中略)~,マルコフ過程,特に拡散過程の研究』

(「確率論の基礎と発展」 飛田武幸著 共立出版  2011 年)

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確率論とは『近代の確率論は,対数の法則,中心

極限定理から続いて確率変数や分布の極限理論を経て,~(中略)~,マルコフ過程,特に拡散過程の研究』

(「確率論の基礎と発展」 飛田武幸著 共立出版  2011 年)

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ランダムウォークも最も初歩的な確率過程の1つ

OUTLINE

ランダムウォーク

応用

13

俺の人生ランダムウォーク

14

人生 (wiki) 人間がこの世で生きる

ことや,生きている時間,経験などのことである.

ランダムウォーク 次に現れる位置が確率

的に無作為(ランダム)に決定される運動である.

俺の人生ランダムウォーク

15

人生 (wiki) 人間がこの世で生きる

ことや,生きている時間,経験などのことである.

ある法則のもとで人生を何度も繰り返しながら成長している(飯田史彦)

ランダムウォーク 次に現れる位置が確率

的に無作為(ランダム)に決定される運動である.

単純ランダムウォークは再帰的

俺の人生ランダムウォーク

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人生 (wiki) 人間がこの世で生きる

ことや,生きている時間,経験などのことである.

ある法則のもとで人生を何度も繰り返しながら成長している(飯田史彦)

ランダムウォーク 次に現れる位置が確率

的に無作為(ランダム)に決定される運動である.

単純ランダムウォークは再帰的

人生が再帰的(同じ戻ってくる)じゃまずくね !?!?成長してない・・・

俺の人生ランダムウォーク

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人生 人間がこの世で生きる

ことや,生きている時間,経験などのことである.

ある法則のもとで人生を何度も繰り返しながら成長している(飯田史彦)

“ つき”の存在:勝ち続ける or負け続ける

ランダムウォーク 次に現れる位置が確率

的に無作為(ランダム)に決定される運動である.

単純ランダムウォークは再帰的

ランダムウォークには偏りがある !!

“ つき”の存在 !?

1 次元単純ランダムウォーク

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𝑡=0 1

1 次元単純ランダムウォーク

19

𝑡=0 1 2

1 次元単純ランダムウォーク

20

𝑡=0 1 2 3

1 次元単純ランダムウォーク

21

𝑡=0 1 2 3 5 6 74

ランダムウォーク 定義 を独立かつ同分布な値確率変数とす る.この時,

 を次元ランダムウォークという.特にが値であり, かつ

 であるとき, を次元単純ランダムウォークという.

22つまり,どういうこと ??

:経過時間 :進む方向の数 :進む速度が実数値 :時間での進み方 :時間での位置 :進む速度が整数値 :ある方向とその逆方向に進む確率が同じで,かつ

一定

23

1 次元単純ランダムウォークの場合 定義 を独立かつ同分布な値確率変数とす る.この時,

  を次元ランダムウォークという.特にが値であり, かつ

 であるとき, を次元単純ランダムウォークという.

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位置

1 と -1 が出る確率が同じ 1/2

𝑋 n={𝑥∈𝑍∨ x=1 ,−1 }(0,0)

(1,0)(-1,0)

1 次元単純ランダムウォーク

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𝑡=0 1

1 次元単純ランダムウォーク

26

𝑡=0 1 2

1 次元単純ランダムウォーク

27

𝑡=0 1 2 3

1 次元単純ランダムウォーク

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𝑡=0 1 2 3 5 6 74

2 次元ランダムウォークの例

29

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再帰的 定義  ランダムウォークがスタートの位置に確率 1 で戻ってくるとき,そのランダムウォークは再帰的であるという.そうでないときは非再帰的であるという. 定理  1 次元ランダムウォークがいつか原点に戻る確率は.したがって, 1 次元単純ランダムウォークは再帰的.

31

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

32

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

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証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

求める確率再起確率

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証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

35

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

36

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

37

足し算する

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

38

足し算する

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

39

足し算する

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

これは,等差数列40

足し算する

定数

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

41

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

ここで,ならばとなる.すると十分大きなに対して,となる.しかし,は確率なのでより矛盾.

42

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

ここで,ならばとなる.すると十分大きなに対して,となる.しかし,は確率なのでより矛盾.よって,となる.また,に対しても同様に行うと となる.

43

証明原点からスタートして, n地点に来る確率をとする.

すると,次式が成り立つ.

ここで,ならばとなる.すると十分大きなに対して,となる.しかし,は確率なのでより矛盾.よって,となる.また,に対しても同様に行うと となる.以上より,

再帰確率となる. 44

1 次元ランダムウォーク, 2 次元ランダムウォークは再帰的

3 次元ランダムウォークは非再帰的

再帰的 確率 1 で戻ってくるとき,そのランダムウォークは再帰

的であるという.そうでないときは非再帰的であるという.

戻ってこないとは言っていない.45

( 2 次元も好きだけど)俺の人生は 3 次元だからオッケー ^^

ランダムウォークの性質独立増分性

現在の状態が既知

46

ランダムウォークの性質独立増分性

現在の状態が既知

未来の状態・期待値は現在の状態にのみ依存

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ランダムウォークの性質独立増分性

現在の状態が既知

未来の状態・期待値は現在の状態にのみ依存

つまり,過去は関係ない

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ランダムウォークの性質独立増分性

現在の状態が既知

未来の状態・期待値は現在の状態にのみ依存

つまり,過去は関係ない

本当にそうだろうか? 49

現在位置がスタート位置から上側だとしても,次の動きが下になりやすいわけではない.

片側に寄る傾向がある

1次元ランダムウォーク点の存在分布:正規分布点が正の領域にいる時間の割合の分布 50

点が正の領域にいる時間の割合の分布

51

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 10

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

グラフ

逆正弦定理 に対し,

  が成り立つ.

52

十分に大きい回数,試行を行ったとき,正の位置にいる割合

53

存在位置の割合 確率[00.1] or [0.91] 0.200

[010.2] or [0.] 0.090

[00.3] or [0.7] 0.074

[0.30.4] or [0.6] 0.067

[0.40.5] or [0.] 0.064

十分に大きい回数,試行を行ったとき,正の位置にいる割合

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存在位置の割合 確率[00.1] or [0.91] 0.200

[010.2] or [0.] 0.090

[00.3] or [0.7] 0.074

[0.30.4] or [0.6] 0.067

[0.40.5] or [0.] 0.064

十分に大きい回数,試行を行ったとき,正の位置にいる割合

55

存在位置の割合 確率[00.1] or [0.91] 0.200

[010.2] or [0.] 0.090

[00.3] or [0.7] 0.074

[0.30.4] or [0.6] 0.067

[0.40.5] or [0.] 0.064

正の位置にいる割合は 0 or 1 に近いことが多い

どのような応用があるのか?

56

破産問題 コイントスをし,表なら勝ち,裏なら負けとする.

表が出る確率はとする.倍がけ戦略

はじめに, 1 をかける.その後,コインを投げ表がでるまでかけ金を倍にする.

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破産問題 コイントスをし,表なら勝ち,裏なら負けとする.

表が出る確率はとする.倍がけ戦略

はじめに, 1 をかける.その後,コインを投げ表がでるまでかけ金を倍にする.

いま, N 回目に初めて,表が出たとすると,それまでに負けた額は,

N 回目で勝って額は.つまり,儲かる.

58

破産問題 さらに, N 回目まで表が出ない確率

つまり,有限時間内に絶対に表は出る.よって,絶対に勝てるし,儲かる.

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破産問題 さらに, N 回目まで表が出ない確率

つまり,有限時間内に絶対に表は出る.よって,絶対に勝てるし,儲かる.

これは必勝法なのか?

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破産問題 いま, N 回目に初めて表が出たとする.負けた額

は.

初めて表が出るまでに,いくら負けるか,その期待値を求めてみる.

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破産問題 いま, N 回目に初めて表が出たとする.負けた額

は.

初めて表が出るまでに,いくら負けるか,その期待値を求めてみる.

62

破産問題つまり,この方法が成立するためには始めに,円持っていないといけない.

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破産問題つまり,この方法が成立するためには始めに,円持っていないといけない.

そんなのは無理

賭け事や株で,資金があれば勝てるのはこういうこと?

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確率過程

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離散的ランダムウォー

マルコフ時系列

連続的ブラウン運動

マルコフ過程

伊藤の公式ブラック・ショー

ルズの公式

一般化 一般化

ですが,今回はここまでー. また,機会があれば話します!^^

ありがとうございました.

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