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タイトル
(2)近代における虫歯予防の流れ(その1 歯磨き 甘味制限 )
歯磨きをしないと数日で歯の表面に厚い歯垢ができる。この成熟歯垢が虫歯を作る大きな要因の一つであることは今や常識です。
しかし、この歯垢があると本当に虫歯になるのか・・・実験的な検証・証明となるとそれほど古いむかしではない。
最初の一つは、ブドウ糖の液を食すると『直ちに歯垢が酸性になり、時間の経過とともに少しずつ中性に戻る』 ことがステファンとミラーによって、1943年に、報告されたのが最初です。これは( ステファン曲線 )として有名です。
そしてもう一つ、世界に大きな影響を与えた論文が1954年に出された。 Vipeholm dental caries studyです。グスタフソン(1954年)がスウェーデンのビペホルムにある、成人の精神病者施設で4年間にわたって、
『ショ糖の摂取とウ蝕の関連』について行った有名な研究です。実験の結果、次のことが結論づけられた。(ⅰ)ショ糖を食事のみに摂取した場合はう蝕の発生は少なく、特に問題がない。(ⅱ)ショ糖を食事と間食の両方で摂取するとう蝕の誘発性が高くなる。(ⅲ)間食として摂取するときは、その性状でう蝕誘発性が異なる。
間食として歯に付きやすいショ糖を含む食べ物を摂取することはウ蝕を増加しやすい。
(2)近代における虫歯予防の流れ
また、続くWeissとTrithart(1960年)の研究からは、ショ糖を多く含む間食の( 回数 )が大きい因子であると言えことが判明した。続いて、新しい歯垢より古い歯垢のほうが(1971年)、また、より高濃度のブドウ糖のほうが(1961年)、より( 酸性度 )が強くなることも実験で確かめられた。また、ブドウ糖・ショ糖そして果糖よりも、乳糖のほうが酸性度は( 弱い )こと、人口甘味料ソルビトールになるともっと酸性度が弱いこと(1976年)も実験的に示された。ある意味、これら一連の研究は世界を変えた大論文とも言えます。これらの論文の影響力は大きかったと思う。虫歯予防は、『一に歯磨き、二に間食に甘いものを避ける』 とすることで予防できるとされたのである。特に日本ではその傾向が強かったように思う。また、『砂糖が虫歯』を作るのなら、砂糖のほかに甘くて虫歯の原因にならない『甘み成分』を使えば、虫歯を予防できるに違いないとの考えは、人工甘味料・代替甘味料の開発にも一部引き継がれた。
ビペホルムの研究の紹介
この研究は・・・衝撃的だった
その後、いくつかの方向が生まれた
①砂糖が原因だから・・・砂糖の接取を少なくしよう②砂糖の接取をコントロールすることは難しいから・・・・・・・虫歯になりにくい丈夫な歯にしよう③やはり、歯磨きをしっかりして・・歯垢を減らそう④砂糖が原因なら・・・砂糖以外の甘味料を使えばいい
●ビペホルムの研究(1946年)原因は砂糖・・・それなら・・・・対策その1、シュガーコントロール
対策その2、・・・・・代替甘味料キシリトールなど
●他の対策・歯質強化・・・ フッ素視点の違い・・・・・(公衆衛生における対策 と 個人衛生の対策 )
●他の対策・原因はプラークでもある対策・・・・・プラークコントロール
●唾液も忘れるな●時間の要素、生活習慣
タイトル 編集方針
ビぺホルム その後
①原因が砂糖なら・・別の甘味料を・・
人工甘味料の開発
代用甘味料の探索・・・キシリトール
②やはり歯磨きも大事だろう
ブラシ、歯間ブラシ、フロス
③虫歯にならないような丈夫な歯を作る
④生活習慣も大切だ
間食
⑤唾液を忘れてはいけません。
噛むこと・・・
新潟大学の予防歯科教室はなぜに フッ素に取り組んだか?
教室の苦悩(昭和40~50年代)時代の背景
オイルショックもあったが、経済成長は続いていた
甘味食品の氾濫
歯科医師は虫歯予防には『歯磨きだ!』と叫ぶが、
一向に虫歯減少しなかった(データあり)。
歯磨きの習慣も統計的には確実に増えていた(データあり)。
今までの方法に限界を感じた。
そこで・・・登場するのが・・・フッ素の応用であった。
(一方、まだ歯科医師数は少なかったが、迫り来る歯科医師過剰時代におびえていた。虫歯予防しても儲からないという理由もあり、開業医から支持を得られなかった。)
個人衛生と 公衆衛生
公衆衛生的視点が欠けた虫歯予防対策と認識
歯磨きを、小学生がどれほどうまくできるのか?疑問
その時代に・・・集団的な対応としての『歯磨き体操なるもの』が脚光を浴びたが、効果についての検証はなかった。検証してみると・・・効果はなかった。
幼児期でも・・・母親がきちんと歯磨きすることは、本当に可能か疑問だったその時代の母親は忙しい・・・イメージは、新潟の農村の母親歯間ブラシ、フロスなどを使うイメージはなかったコンタクト部・ピット部を歯磨きすることは困難とされた
甘味のコントロールは・・本当に可能か?食にたいする捉え方が不明瞭であった(反省)・・・甘味を食することは喜びであるメーカーへの配慮?
新潟大学は、なぜに・・・限界を感じたのか・・・その2
表4 RCTRCT法による法によるFMR(FMR(フッ化物洗口法フッ化物洗口法))の効果の効果
3年間の検査者別FMR方法別DMF歯面増加数の予防効果
コントロール
1回/週法
毎日法
平均DMFS増加数
コントロールとの差(%)
検査者1
3.61(0.65)
2.25(0.40)1.90(0.43)
37.747.4
-
検査者2
コントロール
1回/週法
毎日法
4.43(0.46)
3.39(0.39)2.94(0.33)
-
23.533.6
FMR法
Heifetz, S.B. et al, A comparison of the anticaries effectiveness of daily and weekly rinsing with sodium fluoride solutions:final results after three years, Pediatric Dentistry, 4, 300-303, 1982
対象 10-12歳 824名
水道水フッ化物添加(Fluoridation)に関する厚生労働省(歯科保健課)の見解 その1
全国衛生部長会、厚生労働関係部局長会議等における厚生労働省医政局歯科保健課
説明資料(抜粋) 平成13年1~2月
フッ化物応用に関する動向について
平成11年11月に日本歯科医学会が「フッ化物応用についての総合的な見解」として
フッ化物利用を推奨する答申をまとめており、この見解を受け、歯科保健課では、平成1
2年度より3カ年の計画で厚生科学研究班を発足させ、むし歯予防を目的としたフッ化物
の全身・局所応用に関してのより具体的な指針を得るべく「歯科疾患の予防技術・治療評
価に関するフッ化物応用の総合的研究」を開始しているところである。
また、平成12年12月に日本歯科医師会では、う蝕の発生を安全かつ経済的に抑制す
、 、 、 、 、る手段として水道水フッ化物添加が 各種フッ化物応用の中で 有効性 安全性 利便性
経済性等に対する、公衆衛生的に優れた方法であると認識し、水道水への添加という手段
の性格上、これの実施は、最終的には、地方自治体の問題であり、その経過においては、
地域の歯科医師会をはじめとする関連専門団体、地域住民との合意が前提であると見解を
出している。
フッ素の話要点● 基本は弱い結晶 通常の結晶 フルオロアパタイトに変換することが目的
●全身応用腸管方の吸収 胎盤を通過 エナメルが細胞が一番敏感エナメル質全体にフッ素が取り込まれる
グランドラピッドの研究 山科の研究宝塚の問題
●局所応用エナメル質の表層でのフッ素取り込み萌出時期(未成熟)成熟期間フッ素の応用(うがい・塗布)
新潟大学の研究・弥彦のフィールドワーク・木次論文
タイトル
フッ素の応用時期が問題
乳歯・・・・対策は・・・sugar と saliva と Plaque個人衛生的手法が中心
歯科医師・歯科衛生士の役割が多きい
永久歯・・・・対策は フッ素が加わる・・公衆衛生的 手法が可能歯科医師に加え・・・学校・行政・地域社会の役割が大きくなる
タイトル
Mgを含んだ弱いエナメル質の組成をハイドロキシアパタイトに
できれば、その際、もっと硬いフルオロアパタイトにする・・・フッ素の応用
エナメル質の強化ハイドロキシアパタイトを
↓フルオロアパタイトへ
萌出時期の結晶成分MgPCaF
通常の成熟はMg→Ca,Pに
フッ化物の応用Mg→F(最も効果的)Ca→F(この作業も・・)P→F(同じく・・・・・)
コマ送りで図解する作業を・・・
キシリトールは・・・口腔衛生学会・新潟大学でも話題になった。
しかし、その当時の応用は・・砂糖を全てキシリトールに代えるという論文であった( 年)。
実用応用という点(特に費用の面)で、困難と感じた。
その後、ガムでも充分効果があるとする論文が登場・・・
別の方向・・・代替甘味料
フィンランドの第3の都市、人口16万人のTurku市で、1972年から3年間実施ウ蝕予防とこれに関する19の報告からなる研究で
Turku Sugar Studies と呼ばれている全ての砂糖をキシリトール・果糖に代えた
最初の2年間は摂取する蔗糖を全て代替する実験平均28歳の若者125名を対象①蔗糖群35人 一日90グラム②果糖群38人 一日90グラム③キシリトール群52人 一日67グラム
蔗糖
果糖
キシリトール
DMFTS
蔗糖の一部を代替した場合前の2年間の実験の10分の1以下のキシリトールの量被験者は平均22歳のトゥルク大学の医学部歯学部生102人最終100人
蔗糖ガムとキシリトールガムは一日に3~7枚噛むことを指示されたこれ以降の研究に大きな影響を与えた。
82%の予防効果
1982年から1985年まで、フィンランドのユリビエスカ保健所で行われた研究小学校の11,12歳児347人(うち対照群154人)
ハイリスク者(11歳児でDMFTが5以上12歳児で7以上)を何もしないコントロール群とキシリトール群に分けてみた
③と④は
ユリビエスカ研究・・・
• 既にフッ化物などでウ蝕予防が実行されている地域においての研究であるにもかかわらず
キシリトールガムを使うことで、さらに40から60%ものウ蝕を予防できたこと
・研究の管理が徹底していたので、詳細なデータが残った
ガムの量(キシリトールの摂取量)が多いほどウ蝕予防効果が高かった
脱灰と再石灰化• トゥルク研究はキシリトールの使用で再石灰化が生じる事を示した。
• Rekolaはキシリトールを摂取すると頬側歯面の初期ウ蝕(ホワイトスポット)に再石灰化がおきることを実験的に確かめた。
• 再石灰化は、キシリトールの効果なのか?それとも醗酵性の炭水化物が存在しない状態で、唾液の刺激があることなのか論議を呼ぶところである。
• 砂糖を含まないガムを食事の後20分間、3Wに渡って使用し、
同時に、フッ化物含有の歯磨剤で歯磨きすると、再石灰化が強化される。・・・・・しかし、これはキシリトールに特有の効果ではない。
さまざまな点でまだまだ研究の必要がある・・・・・・。
ベリーズ研究
ベリーズ研究から、ガムの甘味料としては100%キシリトールガムが有効。形態はガムベースの外側に甘味料が被覆されている粒状ガムが適している事がわかった。その量は一日9,0g・10粒の相当するため、朝昼晩の3食後と2回の間食に用いられるなら、1回につき2粒となる。
この方法がベストと言うことではなく、この研究からは10粒なら・・・・こうなるだろうと言うことです。
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