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www2017読み会 Ad Auctions 株式会社サイバーエージェント 秋葉原ラボ 數見 拓朗 1

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www2017読み会Ad Auctions株式会社サイバーエージェント

秋葉原ラボ

數見 拓朗

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⾃⼰紹介:數⾒拓朗業務◦ アメブロなどのスパム対策◦ ユーザ属性の推定◦ アメーバメディア事業のデータ分析◦ 機械学習システムの開発・運⽤

経歴◦ ⼤阪⼤学⼤学院経済学専攻、博⼠(経済学)◦ 市場センチメントの計量と⾦融資産市場の分析

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Ad Auctions報告論⽂の研究対象◦ オンライン広告を取引するプラットフォーム・そのプラットフォーム上で取引をする経済主体

を対象とした研究

報告論⽂の特徴◦ ⺠間企業や⺠間の研究組織に所属しているエンジニア・研究者からの報告◦ 企業内でしか⼿に⼊らないデータを利⽤した実証実験◦ 耐戦略性など、オークションとして望ましい性質を満たすかどうかの理論的証明◦ 実際の取引を反映したモデルの設定

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著者の所属

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0

1

2

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4

5

6

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YahooResearch

GoogleResearch

Yandex Universityof

SouthernCalifornia

DukeUniversity

StanfordUniversity

CornellUniversity

所属別著者数

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- : : - : A � �

報告論⽂の⼀⾏要約Deals or No Deals: Contract Design for Online Advertising◦ 優先取引におけるパブリッシャーの利益を最⼤にする最適化問題の定式化と最適解を導出する近似アルゴリズム

の提案

Sponsored Search Auctions with Rich Ads◦ リッチ広告と呼ばれるサイズの異なる広告を掲載する場合に、広告掲載⾯を無駄にしないという意味で効率的な

オークションの提案

Budget Management Strategies in Repeated Auctions◦ 確率論的最適化⼿法やゲーム理論的均衡とは異なる、6つの予算管理戦略下での売り⼿の収益と買い⼿の効⽤を

⽐較

GSP – The Cinderella of Mechanism Design◦ 産業界で成功を収めているGSPの理論的根拠の提⽰

Horizon-independent Optimal Pricing in Repeated Auctions with Truthful and Strategic Buyers◦ 繰り返し⾏われるオークションでの価格決定学習アルゴリズムの提案

5

6min

6min

Deals or No Deals: Contract Design for Online AdvertisingVAHAB MIRROKNI (GOOGLE RESEARCH)HAMID NAZERZADEH (MARSHALL SCHOOL OF BUSINESS, UNIVERSITY OF SOUTHERN CALIFORNIA)

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様々な広告取引形態e.g.公開オークションと優先取引

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最も⾼い⼊札をした広告主が落札

サイト運営者

広告主

サイト運営者

広告主

オープンオークション 優先取引

⼀⼈の広告主と固定価格で取引

DoubleCkick Ad Exchange : https://support.google.com/adxseller/answer/6268312?hl=ja

サイト運営者(Publisher)が適切な広告枠に、広告主の適切な広告を掲載できるような仕組み

問題意識と概要問題意識◦ オークションによる広告購⼊ではなく、広告枠の予約型販売である優先取引を扱う研究は皆無

⽬的◦ 優先取引においてパブリッシャーの収益を最⼤化する最適化問題の定式化と、その最適解を導

出する近似アルゴリズムの提案

アプローチと結果1. 優先取引においてパブリッシャーの収益を最⼤化するAuction-Adjusted Greedy(AAG)

による近似最適解の導出2. 数値実験によりある条件のもとでは優先取引がセカンドプライスオークション取引よりも収

益を増加させることを実証

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優先取引の問題点優先取引における取引の流れ

1. ⼀⼈のサイト運営者と複数の購⼊者がいると仮定2. 購⼊者と取引を⾏う順番の決定3. 取引ごとに

◦ サイト運営者は、購⼊者にインプレッション総数Iのうちμ%を価格ρでオファー◦ 購⼊者のインプレッションに対する価値vが価格ρを上回るなら購⼊

⾮効率性の発⽣◦ 他の購⼊者より、⾼い価値を持つ購⼊者にインプレッションが配分されないという問題

1. サイト運営者の付ける価格が⾼すぎるため、最も⾼い価値をつけている購⼊者さえインプレッションを購⼊できない。2. サイト運営者が最初に決める取引の順番によって、より⾼い価値をつけている購⼊者がインプレッションを購⼊でき

ない。

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最適な取引順序を⾒つけるのはNP困難(定理1)=> 近似アルゴリズムの提案

実証実験・結果実験概要◦ Auction-Adjusted Greedy (AAG) Algorithm

◦ 最も⾼い価値をもつ買い⼿と契約しないときに⽣じる機会費⽤を考慮して、買い⼿のインプレッションの価値を計算

◦ Google DoubleClick Ad Exchange での取引データを利⽤◦ 取引メカニズム間で、ベンチマーク(=最適解)のときの収益にどれだけ近づけるかを検証

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☆AAGがベンチマークに最も近く94%を達成☆予約型のセカンドプライスオークションで達成率は⾼々52%

まとめ・感想まとめ◦ 実際の取引形態に即したモデルの設定と近似アルゴリズムの提案◦ 企業内にしか存在しない取引データを⽤いた数値の検証◦ セカンドプライスオークションと⽐較したときの収益(と余剰)の増加

感想◦ 優先取引などのプライベートマーケットプレイスの市場規模はますます⼤きくなっているよう

なので、様々な取引形態におけるパブリッシャーの収益と広告主の効⽤を最適化する研究が増えていきそう?https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=14085

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Sponsored Search Auctions with Rich AdsRUGGIERO CAVALLO (YAHOO RESEARCH)PRABHAKAR KRISHNAMURTHY (YAHOO RESEARCH)MAXIM SVIRIDENKO (YAHOO RESEARCH)CHRISTOPHER A. WILKENS (YAHOO RESEARCH)

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リッチ広告

(参考)MarkeZineによると、「静⽌画や⽂字だけでなく、⾳声や動画、フラッシュなど、データ量が⼤きく⽬を引きやすい表現⽅法を使いユーザーに訴求する広告。また、そういった表現⽅法を使い作られたコンテンツを「リッチコンテンツ」と呼ぶ。」

https://markezine.jp/word/detail/%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%81%EF%BC%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%EF%BC%89%E5%BA%83%E5%91%8A

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検索連動型広告における広告出稿のベースとなる3⾏

付加情報

付加情報(レイティング)

ベースとなるタイトル/URL/ディスクリプションにレイティングや電話番号などの情報が付加されている広告を(本論⽂では)リッチ広告と呼ぶ

問題意識と概要問題意識◦ ⼤きさの異なるリッチ広告の掲載には、広告スペースに余⽩ができ、機会損失が発⽣

⽬的◦ ⼤きさの異なるリッチ広告を掲載する際にパブリッシャーの収益を最⼤化する最適化問題の定

式化と近似アルゴリズムの提案

アプローチと結果◦ リッチ広告の配分問題における近似最適解の導出と様々なオークション下で⾏われる売り⼿の

価格付けを予測◦ Yahoo Geminiでの配信テストの結果、広告掲載数は11%上昇

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モデルの設定と実験結果

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広告配分問題におけるパブリッシャーの収益を最⼤化する最適化問題

広告の⼤きさ(⻑さ)を考慮した最適化問題

配信結果

まとめ・感想まとめ◦ リッチ広告を掲載する際に発⽣する機会損失を考慮した最適化問題の提案

感想◦ 実際の広告業界で採⽤されている、GSP・VCG・First Price Auctionなど様々なオークション

を想定◦ 著者の別論⽂ GSP – The Cinderella of Mechanism Design と Mechanism Design for

Value Maximizer と合わせて読む必要がありそう◦ 最近は動画広告などが流⾏しており、様々な広告フォーマットに対応できそうかも

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セッション全体を通して研究の流れ

1. 実際の取引形態に即した問題設定とモデル化2. 最適化問題の定式化3. 近似アルゴリズムの提案4. 理論的解析と実証実験の結果データの性質◦ 実際の取引のデータや市場設計を変更したときのパブリッシャー収益や広告主の余剰の変化な

どのデータが扱えることは魅⼒的◦ 企業内にしかないデータを利⽤した研究結果なので実験の再現性に疑問

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