Transcript
Page 1: 税関だからこそできる国際貢献 貿易円滑化に貢献 …税関だからこそできる国際貢献 WCO(世界税関機構)で私が携わる仕事 は、大きく3つあります。まず、世界各国の税関

税関だからこそできる国際貢献 WCO(世界税関機構)で私が携わる仕事は、大きく3つあります。まず、世界各国の税関の代表が集まる会議を通じて、国際標準の作成や国際条約を運用することです。私は、複数の国際条約を担当しており、条約の改正手続などの事務の他、各国間の意見調整も行っています。2つ目は、途上国税関に技術協力を行うことです。通常、現地でワークショップを開催し、手続やシステムの改善について議論します。3つ目は、国連などの国際機関の会議で、世界の税関の代表として助言や提言をすることです。実は、この原稿もニューヨークの国連本部にて、会議の昼休みに書いています。 個人的な実感ですが、WCOは貿易やセキ

ュリティにかかる国際会議で重宝されています。それは、税関が貿易手続や国境管理の最前線におり、税関抜きで実務的な問題は解決できないからです。貿易の最前線で働く税関職員だからこそ、発言も説得力を持ちます。今日の会議でも、冒頭の自己紹介で日本税関の出身だと述べたところ、一目置かれました(そのような気がしました!)。 採用時、私は英語が大の苦手で、海外勤務は想像もしていませんでした。採用後の研修を通じて英語を鍛えてもらい、国際的な業務への関心も深まり、国際機関で働いています。税関に感心のある皆さん、是非、一緒に国際的で実務的な議論に参加しましょう。

貿易円滑化に貢献国際機関において税関の専門性を生かす

国際機関02 アジア開発銀行(ADB)

CLOSE UP

1.はじめに アジア開発銀行(Asian Development Bank: ADB)という開発金融系の国際機関において、税関からの出向者が果たして何に取り組んでいるのか不思議に思われることでしょう。私の責務は、日本政府拠出のJFPR(Japan Fund for Poverty Reduction)という基金を原資とし、東南アジア各国の税関当局の近代化に係る支援に取り組むことであり、実は場所と観点を変えて税関マターと向き合う毎日です。所属部署は課長以下、総勢20名程度の所帯であり、国籍もアジア各国を始めとし、多岐に渡っています。各職員のバックグラウンドも各国政府機関からASEAN事務局、金融機関など様々です。文化や考え方の違いと言っては大袈裟ですが、そうしたことからの刺激を受けつつ、日々過ごしています。また、国際機関においては日本特有の協調性のもと組織として職務を遂行するということではなく、多分に個人の打開力に負うところが大きく、頼れるのは自分自身のみという局面も多くプレッシャーも感じる毎日ですが、反面、成果は自身に直接跳ね返ってくる分、やり甲斐も大きいところです。

2.ADBについて ADBは1966年の創設以来、アジア・太平洋地域を対象とする国際開発金融機関として、同地域の貧困削減・生活水準向上のための様々な支援を実施してきました。ADBは67加盟国・地域からなり、うち48がアジア・太平洋の国と地域です。本部はフィリピン・マニラに置かれ、国外の各地域事務所を含め、各加盟国から約3,000人の職員が勤務しています。 ADBの主な機能は、開発途上加盟国・地域に対する①融資、②開発プロジェクト・プログラムの準備・執行のための技術援助及び助言、③開発目的のための公的・民間支援の促進、④開発政策の調整のための支援等であり、主なパートナーは各国政府、民間セクター、NGO、地域団体等です。ADBはこうした融資や技術協力、無償支

援、政策対話などの手段を通じ、使命の達成を目指しています。

3.派遣先における日常 このように、ADBの組織命題はアジア・太平洋地域における貧困削減・生活水準向上ですが、そのため、インフラ整備といったハード面を通じた取組みもさることながら、私の担当する税関近代化等、能力向上に係る支援といったソフト面を通じた取組みも、各国における貿易促進・経済発展を通じ、究極的には同命題の実現に貢献するものと位置づけられます。まさにこの切り口が、開発金融機関と税関とが交差するところです。更に、アジア各国の税関近代化という点では、途上国支援のみならず、日本をはじめとする関係各国にとってのビジネス環境の改善という意義もあり、責任の重さを感じるところです。 これまで関税・税関関係の国際・国内マターのポストを様々渡り歩き、そうした経験が人脈や土地勘として、現在の職務遂行において役立っている面もあります。他方、税関関連制度は当然の如く各国毎に異なり、そうした意味では支援対象国のニーズ把握等において、日々調査・研究という側面も欠かせません。更に、支援とはいえお仕着せであってはならず、進めていく上での対象国との粘り強い議論も欠かせません。

4.次世代の皆様へ向けて これまでの役人人生においては、国内マター、二国間・マルチの国際マターに関し、常に我が国の国益を念頭に業務に取り組んできましたが、ここに至りアジア・太平洋地域、ひいては国際社会全体という観点から利益を追求する立場に転じました。税関とは当初、これほどの多様性が存在する職場とは思っていませんでしたが、こうした海外勤務を通じ、改めて守備範囲の広さ、機会の豊富さを実感するところです。このパンフレットをご覧になっている皆様も一度、財務省・税関を訪れてみては如何でしょうか。

国際機関での活躍

PROFILEH 7年 4月 東京税関総務部人事課採用H16年 7月 東京税関監視部統括審理官(情報第4      部門担当)付上席審理官H17年 7月 東京税関調査保税部特別関税調査官      (調査第1担当)付上席調査官H18年 7月 関税局関税課(参事官室(国際調査担      当))鑑査専門官H19年 7月 関税局業務課税関相談官H20年 7月 東京税関調査部統括調査官(調査第1      4部門担当)H21年 7月 関税局関税課(参事官室(国際機構担      当))課長補佐H23年 7月 輸出入・港湾関連情報処理センター株      式会社総務部調査役H25年 7月 輸出入・港湾関連情報処理センター株      式会社総務部経営企画室長H26年 7月 アジア開発銀行(マニラ)

25 JAPAN CUSTOMS 26JAPAN CUSTOMS

国際機関での

活 躍

国際機関で仕事をするということ 平成27年よりWCO事務局(官房・リサーチ部門)にて勤務しています。 同僚職員の国籍は多様ですが、皆、母国語が何語であれ、英語(仏語)を上手に操ります。キャッチアップに苦労している身としては、語学はできるに越したことはないと改めて感じます。ただ、それ以上に重要なのは、何を伝えるかです。言葉が拙くても、相手に分かってもらえれば、物事は前に進みます。尻込みしていれば、蚊帳の外に置かれます。仕事をしていてつくづくそう思います。 私の属するリサーチ部門は、年次レポートの作成など、部局横断的な業務のほか、特命事項に関する調査に従事しています。他方、部内シンクタンクの機能も担っている当部門

には、WCOが今後、どこに活路を見出していくかという観点から、中長期の方針策定に資する材料を提供するという役割も期待されています。税関を取り巻く環境の変化にも感度を高くしておく姿勢が必要です。もちろん、言うは易しで、なかなか困難な課題です。 国際機関では、職員各人が自律的に仕事をこなしていますが、実力本位という側面もあります。残念ながら、上司に教育的配慮は期待できません。結局、自分の存在価値は自分で生み出していくことになります。 主体的に仕事をしたい、自分のカラーを出したい、そんな意欲を持っている方、ぜひチャレンジしてみてください。

大澤 俊彦【平成11年採用 法律】

関税協力理事会(WCO)

国際機関での

活 躍

岡崎洋太郎【平成15年採用 法律】

関税協力理事会(WCO)

国際機関01

CLOSE UP

関税協力理事会(WCO)

鴨 成彰【平成7年採用 経済】

アジア開発銀行(ADB)

Recommended