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「わかりやすい電気機器」の問題解答例 1
「わかりやすい電気機器」の演習問題解答例
天野 耀鴻,乾 成里 著
********** 第1章の章末演習問題解答 **********
問題 1.1 静止している 7 [kg]の物に 3 [N]の力を与えたときの加速度を求めよ.
ただし,物体と置かれている面との間に摩擦は無視する.
解答: 質点系には式 F = m · dvdtの関係があり,ただし,F は力 [N],mは質量
[kg],(dv)/(dt)は加速度 [m/s2]である.物体と置かれている面との間の摩擦を無
視すれば,加速度はdv
dt= 3/7 ≈ 0.47[m/s]となる.
問題 1.2 電動機の出力が 3.7 [kW],回転数が 1710 [rps]のとき,電動機の発生ト
ルクを求めよ.
解答: 回転運動系に出力パワーP [W]と電動機の発生トルク τ [N·m]の関係は次
式となる.
P = τ · 2π · n, τ =P
2π · n =3700
2π · 1710≈ 0.34 [N · m]
問題 1.3 磁束密度B = 0.8 [T]の磁界中に置かれた長さL = 1 [m],自身の抵抗
r = 0.2[Ω]の導体に対して次のような回答を求めよ.
1. 図 1.23(a)のように,導体を速度 vで磁界と直角方向に運動させ,導体の両端
に接続したR = 4[Ω]の抵抗にP = 100 [W]の電力を供給するとき,導体の速
度 v及び加えられる力F を求めよ.
2. 図 1.23(b)のように,導体の両端にE = 18 [V]の電圧を加えて導体に下向き
にF = 8 [N]の力を加えた場合,導体に流れる電流の大きさ i,及び,速度 v
を求めよ.
解答:1 [解析] 解答図 (a)のように,磁束密度がB [T]の磁界において長さL
[m]の導体を一定の速度 vで動かした場合の動作について考える.導体には起電力
が誘導され,その大きさ eが e = vBL [V]より求められる.フレミングの右手法則
より,誘導起電力の向きは解答図 (a)の方向となる.導体の両端に接続した抵抗を
R [Ω],導体を含む回路の抵抗を r [Ω]とすると,電流 i = e/(R + r)が流れること
より,電磁力F を生じ,その大きさはF = iBLとなり,方向は下向となる.よっ
て,導体が上方向に速度 vで運動を続けるためには電磁力 F と大きさが等しい外
力 F ′を上方向に加える必要があり,導体に加えられる単位時間当たりの機械的エ
ネルギー(動力)P はP = F ′vとなる.ただし,F ′ = F = iBL,v = e/(BL)で
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2 「わかりやすい電気機器」の問題解答例
図 1.23 磁界中に置かれた導体
あることより,機械的エネルギーP は次式となる.
P = F · v = iBL · e
BL= i · e = i2(R + r)
[計算] 誘導起電力 iは i =√P/(R + r) =
√100/(4 + 0.2) ≈ 4.9[A]となり,eは
e = P/i = 100/4.9 ≈ 20.4 [V]となる.
導体の速度 vは v = e/(BL) = 20.4/(0.8 × 1) ≈ 25.5 [m/s],加えられる外力 F
はF = iBL = 4.9 × 0.8 × 1 = 3.9 [N]である.
解答:2 [解析] 解答図 (b)のように,磁束密度がB [T]の磁界において長さL
[m]の導体の両端にE [V]の起電力を供給して外力F を加えた場合の動作について
考える.導体には電流 iが流れ,図の上方向に電磁力F ′を生じ,速度 vでの運動を
始める.平衡状態では電磁力と外力の間に F = F ′ = iBLの関係が成り立ち,導
体の速度を v,誘導起電力を e,回路の全抵抗を r [Ω]とすると,回路には次式の関
係がある.
E = e+ i · r = vBL+ i · r
ただし,電源から供給される電力P は次式となる.
P = E × i = (vBL+ i · r) × i = vBLi+ i2r = vF + i2r
[計算] 上の説明より,導体に流れる電流は i = F/(BL) = 8/(0.8 × 1) = 10 [A],
導体の運動速度は v = (E − i · r)/(BL) = (18 − 10 × 0.2)/(0.8 × 1) = 20 [m/s]と
なる.
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「わかりやすい電気機器」の問題解答例 3
e, i
F
e
i
v
解答図 磁界中に置かれた導体
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4 「わかりやすい電気機器」の問題解答例
********** 第2章の章末演習問題解答 **********
問題 2.1 直流機の励磁方式を4種類あげ,それぞれの励磁方式について回路を
簡単に書いて説明せよ.
解答: 略
問題 2.2 直流機の電機子反作用について簡単に説明せよ.
解答: 略
問題 2.3 6極の直流発電機において電機子の直径が 0.5 [m],軸方向の長さが 0.6
[m],電機子コイル数が 64,コイル 1個の巻数が 25,巻線は重ね巻,ギャップの磁
束密度が 0.8 [T]である場合,この発電機を 1200 [rpm]で回転させたときの誘導起
電力を求めよ.
解答: [ヒント:教科書 p.33の例 2.3を参照すること]
式(2.26)より,巻線の重ね巻では a = P = 6を考えると,誘導起電力Eaは次
のように求められる.
Ea =1aDlπ2 ·m · ωBav · n
=16× 0.5 × 0.6 × 3.14 × 2 × 64 × 25 × 1200
60= 8, 038 [V]
問題 2.4 定格電圧 100[V],定格電流 7[A],電機子抵抗 0.1[Ω]の直流機がある.
これを電動機として使い,全負荷で発電機のときと同じ速度で回転させるのに必要
な端子電圧を求めよ.ここで,電機子反作用と励磁電流を無視する.
解答: 発電機の時誘導起電力をEag,端子電圧を Vgとすると,Eag = Vg + raIa
[V],電動機の時誘導起電力をEam,端子電圧を Vmとすると,Eam = Vm − raIa
[V]が得られる.
両者を同じ速度で回転させる場合,直流機の誘導起電力と電機子電流が変わらない
ので,電動機の端子電圧 Vmは次式となる.
Vm = Eam + raIa = Eag + raIa = (Vg + raIa) + raIa
= Vg + 2raIa = 100 + 2 × 0.1 × 7 = 101.4 [V]
問題 2.5 電機子抵抗が 0.1[Ω]の直流分巻発電機がある.回転速度が 1500[rpm],
端子電圧が 110[V]のときの電機子電流は 100[A]である.この発電機を分巻電動機
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「わかりやすい電気機器」の問題解答例 5
として使用し,端子電圧 110[V]で運転したところ電機子電流は 80[A]であった.
このときの回転数を求めよ.ここで,電機子反作用の影響は無視する.
解答: [ヒント:分巻直流機ので端子電圧が等しければ,界磁電流によって電動
機磁束は等しくなること]
教科書 p.33の式(2.25)より,誘導起電力Ea = Kaϕωm [V]が得られることを
考える.
発電機動作のとき,誘導起電力をEa1,角速度をωm1 = 2πn1,回転速度をn1と
して教科書 p.23の式(2.4)より,起電力Ea1は次式となる.
Ea1 = Kaϕωm1 = V + ra · Ia = 110 + 0.1 × 100 = 120 [V]
電動機動作のとき,誘導起電力をEa2,角速度をωm2 = 2πn2,回転速度をn2と
して教科書 p.23の式(2.5)より,起電力Ea12は次式となる.
Ea2 = Kaϕωm2 = V − ra · Ia = 11 − 0.1 × 80 = 102 [V]
電動機として使用するときの回転速度は次のように計算できる.
Ea1
Ea2=Kaϕωm1
Kaϕωm2=ωm1
ωm2=
2πn1
2πn2=
102120
, n2 =102120
× 1500 = 1275 [rpm]
問題 2.6 直流他励電動機の端子電圧が 215[V],電機子電流が 50[A],電機子全抵
抗が 0.1[Ω]である.1500[rpm]で回転させたときの発生トルクを求めよ.
解答: [ヒント:教科書 p.51において直流電動機の基本式を参照すること]
直流他励電動機では誘導起電力がEa = V −RaIa = 215− 0.1× 50 = 210 [V]と
なる.ここで,鉄損や機械損などを無視すると,出力パワーPoutは次式となる.
Pout = EaIa = 210 × 50 = 10500 [W] = 10.5 [kW]
電動機の回転角速度 ωmは ωm = 2π × 150060
= 2 × 3.14 × 25 = 157 [rad/s]と
なる.
この定格時において発生トルク Tmは Tm = Pout/ωm = 10.5 × 103/157 ≈ 66.9
[N· m]である.
問題 2.7 直流分巻電動機で,電圧が V,電機子抵抗がRa,界磁抵抗がRf,全
負荷電流 Iを流したときの回転数は nである.この電動機の電機子回路に抵抗Ra
の値を求めよ.
解答: [ヒット:教科書 p.53の節 2.7.3を参照すること] 略
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6 「わかりやすい電気機器」の問題解答例
問題 2.8 電源電圧が 110[V]で運転している直流直巻電動機は,定格トルクの下
で電機子電流 100[A]で回転速度が 1800[rpm]である.負荷トルクが 1/2に低下し
た場合の電機子電流および回転速度を求めよ.ただし,電機子回路抵抗は 0.1[Ω],
磁気特性は線形とする.
解答: [ヒント:教科書 p.56において図 2.37を参照すること]
直流直巻電動機では式 (2.50)よりトルク T は T = Kak1I2aとなり,トルクが定
格の 1/2になる場合,12T = Kak1[
1√2Ia]2となり,このときの電機子電流 Ia 1
2は
Ia 12
= 100 × 1/√
2 = 70.7 [A]となる.
式(2.51)より,電動機の回転角速度ωm [rad/s]と回転速度N [rpm]の関係は
ωm =2π60N,N =
602πωmとなり,磁界回路の抵抗が小さくて無視されるとき,
N = K(V
Ia−Ra), K =
602π
1Kak1
となる.回転速度N = 1800 [rpm]とき,1800 = K(110100
− 0.1) = Kが得られる.
トルクが 1/2に低下するとき,回転速度はN = 1800× (11070.7
− 0.1) = 2628 [rpm]
となる.
問題 2.9 直流他励電動機で,定格電機子端子電圧が 100[V],定格電機子電流が
10[A],定格電機子電圧で定格負荷時の回転数が 1800[rpm],電機子抵抗が 0.1[Ω]
である.この電動機を発電機として運転し負荷へ電圧 100[V]で,電力 1[kW]を供
給している場合のトルク及び回転数を求めよ.ここで,電機子鉄損,機械損は無視
する.
解答: 電動機として運転するとき,逆起電力Eamと端子電圧 Vamの関係は次式
となる.
Eam = Vam −RaIa = 100 − 0.1 × 10 = 99 [V]
発電機として運転するとき,逆起電力 Eag と端子電圧 Vag の関係は Eag =
Vag + RaIa なり,発電機では電力 Pout = 1 [kW],端子電圧 Vag = 100 [V],
電機子電流 Ia = Pout/Vag = 1000/100 = 10 [A]の場合,逆起電力は Eag =
Vag +RaIa = 100 + 0.1 × 10 = 101 [V]となる.
発電機の回転数 Ng と電動機の回転数 Nm の関係式より,発電機の回転数は
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「わかりやすい電気機器」の問題解答例 7
Ng =Nag
Nam·Nm =
10199
×1800 = 1836 [rpm]となり,トルクTg = EagIa602πNg =
101 × 10 × 602π
× 1836 =16.5π
≈ 5.25 [N·m]となる.
問題 2.10 直流直巻電動機で,定格電機子端子電圧が 100[V],定格電機子電流が
20[A],定格回転数が 1800[rpm],界磁電流が 1[A],電機子回路抵抗が 0.1[Ω],界磁
巻線抵抗が 0.4[Ω]である.負荷トルクが定格トルクの 1/4に減少した場合の電機子
電流および回転数を求めよ.ただし,電機子端子電圧は一定で,電機子反作用,磁
気回路の飽和の影響,鉄損,機械損は無視する.
解答: [ヒント:教科書 p.56において直流直巻電動機を参照すること]
定格運転のとき,式 (2.51)より回転数N = 1800 [rpm]が次式で計算できる.
N =602πωm =
602π
· 1Kak1
V
Ia− (Ra +Rfs)
=602π
· 1Kak1
10020
− (0.1 + 0.5)
N = 43.01
Kak1, Kak1 =
43.01800
= 0.02
定格のトルク T は T = Kak1 · I2a [N·m]である.トルクが 1/4に減少するとき,
14T = Kak1 ·
14I2a = Kak1 · [
12Ia]2となり,電機子電流 Ia 1
4は Ia 1
4= Ia/2 = 10 [A]
となり,回転数N 14は次式となる.
N 14
=602πωm =
602π
· 1Kak1
V
Ia 14
− (Ra +Rfs)
=602π
10.02
10010
− 0.5)
= 4, 538 [rpm]
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8 「わかりやすい電気機器」の問題解答例
********** 第3章の章末演習問題解答 **********
問題 3.1 水車同期発電機の定格が 60 [Hz]で回転速度 200 [rpm]であるとき,こ
の同期発電機の極数を求めよ.
解答: 教科書p.73の式 (3.1)より,同期発電機の極PはP =120 · fNs
=120 × 60
200=
36 [極] となる.
問題 3.2 三相同期発電機で,定格仕様が出力 300 [kVA],電圧 600 [V],力率 80
%,効率 97 %である場合,定格電機子電流と発電機の機械入力を計算せよ.
解答: [ヒント:教科書 p.87の節 3.5を参照すること]
定格時の端子電圧 (線間電圧)を Vn,電機子電流を Inとすると,発電機の出力容
量P はP =√
3VnInとなり,電機子電流は In =P√3Vn
=300 × 103
1039.2≈ 288.7 [A]
となる.
また,発電機の効率 η =電気出力PE
機械入力PM× 100% と電気出力PE = P · cosψの関
係式より,発電機の機械入力は次の式となる.
PM =P
η=PE · cosψ
η=
300 × 103 × 0.80.97
≈ 247.4 [kW ]
問題 3.3 非突極形三相同期発電機で,線間端子電圧√
3V,電機子電流 Ia,力率
cos(ψ)の場合,この負荷角 δを求めよ.ここで,同期リアクタンス xsとして電機
子抵抗を無視する.
解答図 電機子抵抗 rs = 0ときのベクトル図
解答: 三相同期発電
機での三相出力 PE は
PE = 3·V Ia cosψとな
り,負荷角 δとの関係
が式 (3.44)より PE =
3V E0
xs· sin(δ)となる.
電機子抵抗 rs = 0ときのベクトル図より,負荷角 δは次式となる.
E0 =√V 2 + 2V xsIa sinψ + (xs · Ia)2, δ = sin−1(
xsIa cosψE0
)
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「わかりやすい電気機器」の問題解答例 9
問題 3.4 同期発電機の単位法で示した同期リアクタンスが xs=1,負荷力率 0.8
のときの電圧変動率を算定せよ.ここで ra = 0とする.[注:読者に計算しやすいた
め,問題の太字で表したデータが変わった数字である.]
解答: [ヒント:教科書 p.94の節 3.6.4を参照すること]
一般的に無負荷誘導起電力E0と無負荷端子電圧V0が等しいので,式 (3.53)より
電圧変動率 ϵは ϵ =V0 − Vn
Vn× 100% =
E0 − Vn
Vn× 100% = (
E0
Vn− 1) × 100%と
なる.電機子抵抗 ra = 0とき,式 (3.54)よって次式が得られる.
E0 =√
(Vn cosψ)2 + (Vn sinψ)2 + 2xsInVn sinψ + (xsIn)2
E0
Vn=
√1V 2
nV 2
n(cos2 ψ + sin2 ψ) +2xsInVn sinψ
V 2n
+(xsIn)2
V 2n
=
√1 + 2(
xsInVn
) sinψ + (xsInVn
)2
式 (3.52)より,ここでxsInVn
は単位法で表した同期リアクタンスなので,E0/Vn =√
2 + 2 sinψであるとき,ϵ = (√
2 + 2 sinψ − 1) × 100%となる.
力率は cosψ = 0.8 より,遅れ力率sinψ = 0.6 の場合,電圧変動率は ϵ =
(√
2 + 2 · 0.6 − 1) × 100% = 79%となり,進み力率sinψ = −0.6の場合,電圧
変動率は ϵ = (√
2 − 2 · 0.6 − 1) × 100% = −10.56%となる.
問題 3.5 同期リアクタンス 1.2(単位法)のタービン同期発電機が定格電圧で,
定格力率 0.8の遅れ電流で定格出力 [kVA]を発生するときの無負荷誘導起電力(単
位法)と電圧変動率を求めよ.ただし,電機子抵抗を無視する.
解答: [ヒント:問題 3.4を参照すること]
電機子抵抗 ra = 0,単位法で表した同期リアクタンスxsInVn
= 1.2,および,力率
は cosψ = 0.8より,遅れ力率 sinψ = 0.6のとき,式 (3.54)から次式が得られる.
E0
Vn=
√1 + 2(
xsInVn
) sinψ + (xsInVn
)2
=√
1 + 1.22 + 2 × 1.2 × 0.6 = 1.55
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10 「わかりやすい電気機器」の問題解答例
式 (3.52)より,ここでxsInVn
は単位法で表した同期リアクタンスなので,E0/Vn =
√2 + 2 sinψであるとき,ϵ = (
E0
Vn− 1) × 100%となる.
力率は cosψ = 0.8より,遅れ力率sinψ = 0.6の場合,電圧変動率は ϵ = (E0
Vn−
1) × 100% = 55%となる.
問題 3.6 三相同期発電機で,出力 500 [kVA],電圧 600 [V],励磁電流 180 [A]に
相当する無負荷端子電圧が 600 [V],短絡電流 540 [A]の場合,この同期発電機の短
絡比および百分率同期インピーダンスを計算せよ.
解答: [ヒント:教科書 p.92の例 3.4を参照すること]
同期発電機の定格電流は In =P√3V
=500 × 103√
3 × 600≈ 481.1 [A],
短絡比はKs =IsIn
=540
481.1≈ 1.12,
百分率同期インピーダンスはZs =ZsInVn
× 100% =1Ks
× 100% = 89.3%である。
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「わかりやすい電気機器」の問題解答例 11
********** 第4章の章末演習問題解答 **********
問題 4.1三相同期電動機の定格仕様が出力 3000 [kW],電圧 3000 [V],効率 95 %,
力率 85 %である場合,この電動機の定格電流を計算せよ.
解答: 端子電圧を Vn,電機子電流を In,力率を cosψ,効率を ηとすると,三相
電気入力PEは√
3VnIn cosψ,定格出力(機械出力)PM はPM = PE × ηである
ので,定格電流 Inは次式となる.
In =PM√
3Vn cosψ × η=
3000 × 103√
3 × 3000 × 0.85 × 0.98= 203 [A]
問題 4.2 三相同期電動機で,端子電圧および無負荷誘導起電力は線間で 7000
[V]および 6400 [V],同期リラクタンスは 10 [Ω]で電機子抵抗を無視する.負荷角
30oのとき,出力P [kW]と電機子電流 Ia [A]を求めよ.
解答: [ヒント:教科書 p.114の節 4.4を参照すること]
m
解答図 電機子抵抗 rs = 0ときのベクトル図
電機子抵抗を無視すると
き,式 (4.26) より一相当た
りの機械出力 Pm は Pm ≈VmE0
xssin(δ) [W]となる.た
だし,電機子電圧を Vm =
7000/√
3 [V],無負荷誘導起
電力をE0 = 6400/√
3 [V]と
する.三相同期電動機の出力
PM は次式となる.
PM = 3·VmE0
xs·sin(δ) = 3×7000/
√3 × 6400/
√3 × sin(30o)
10≈ 2, 240 [kW]
解答図のベクトル図より,電機子電流 Iaは次のように求められる.
xsIa =√V 2
m + E20 − 2 · VmE0 cos δ
Ia =
√V 2
m + E20 − 2 · VmE0 cos δ
xs≈ 203 [A]
問題 4.3 三相同期電動機で,極数 12極,周波数 50 [Hz],電圧 6000 [V],1相当
たりの同期リラクタンス 9 [Ω],電機子抵抗は無視する.この同期電動機を1相の
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12 「わかりやすい電気機器」の問題解答例
無負荷誘導起電力が 2500 [V]になるように励磁した場合の脱出トルク [kgf·m]を求
めよ.
解答: 電機子抵抗が無視できる場合,教科書 p.116の式 (4.27)よってトルク T は
T =3Pm
ωs= 3
pVmE0
2πfxssin(δ)となり,負荷角 δ = π/2のとき,最大トルク Tmaxは
次式となる.
Tmax = 3 × 6 × (6000/√
3) × 25002π × 50 × 9
= 55162 [N· m] = 5628 [kgf · m]
ここで,1 [kgf· m]=9.8 [N · m]である.
問題 4.4 三相同期電動機で,極数 12極,周波数 50 [Hz],同期リラクタンス 6
[Ω],線間端子電圧 6600 [V],線間無負荷誘導起電力 6000 [V],負荷角 30o,電
機子抵抗を無視する場合,この同期電動機の出力,トルク,電機子電流,力率をそ
れぞれ求めよ.[注:読者に計算しやすいため,問題の太字で表したデータが変わった数
字である.]
解答: 相電圧で示した端子電圧 Vmは Vm = 6600/√
3 = 3811 [V],無負荷誘導
起電力E0はE0 = 6000/√
3 = 3463 [V]となる.電機子抵抗が無視できる場合,電
気入力は機械出力と同じになる.三相同期電動機の出力PM は次式となる.
PM = 3 × 16× 3811 × 3464 × 0.5 = 3300 [kW]
教科書 p.108の式 (4.5)より同期角速度 ωsは ωs = (2πf)/p = 2π × 50/6 = 52.3
[rad/s]であるので,この電動機トルク T は T = PM/ωs = 3300 × 103/52.3 =
63098 [N· m] = 6438 [kgf · m]となる.
問題 4.2の解答図を参照することより,電機子電流 Iaは次のように得られる.
Ia =1xs
√V 2
m + E20 − 2VmE0 cos δ
=16
√38112 + 34642 − 2 × 3811 × 3464 cos 300
= 319 [A]
電気入力が√
3VnIa cosψ = PM なので,力率 cosψは次式となる.
cosψ =PM√3VnIa
=3300 × 103
√3 × 6600 × 319
= 0.905
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「わかりやすい電気機器」の問題解答例 13
問題 4.5 三相突極形同期電動機で,極数 6極,周波数 50 [Hz],定格電圧 6600
[V],定格電流 200 [A],無負荷誘導起電力 6000 [V],直軸同期リラクタンス
xd = 1.2[pu],横軸同期リラクタンス xq = 0.8[pu]である.この同期電動機の最大
出力Pmax [kW]と最大出力時の負荷角 δmおよび δ = 30oで運転するときのトル
ク [kgf·m]を計算せよ.ただし,電機子抵抗は無視する.[注:読者に計算しやすいた
め,問題の太字で表したデータが変わった数字である.]
解答: [ヒント:教科書 p.113の節 4.3.2を参照すること]
式 (4.19)よって突極形同期電動機の出力PM は次式となる.
PM = 3
VmE0
xdsin(δ) +
V 2m(xd − xq)
2xdxqsin(2δ)
[W]
ただし,xd,xqを単位法で表した xd[pu] = (xdIn)/Vm,xq[pu] = (xqIn)/Vmで
ある.出力PM は次のようになる.
PM = 3
E0Inxd[pu]
sin(δ) +V 2
mIn2
(1
xq[pu]− 1xd[pu])
sin(2δ)
[W]
ここで,Vm = 6600/√
3 = 3811 [V],E0 = 6000/√
3 = 3464 [V],In = 200 [A],
xd = 1.2 [pu],xq = 0.8 [pu]なので,PM =√
3×106 sin(δ) + 0.275 sin(2δ) [W]
となる.
最大な出力 Pmaxを得るための負荷角 δmは dPM/dδ = 0のとき,δm = 67oが
得られると,Pmax = 1935 [kW]となる.
また,δ = 30oのとき,出力 PM = 1275 [kW],トルク T は次のように計算さ
れる.
T =PM
ωs=PM · p2πf
= 12.2 × 103[N· m] = 1243 [kgf· m]
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14 「わかりやすい電気機器」の問題解答例
********** 第5章の章末演習問題解答 **********
【問題5.1】
Y0 =I
V=
0.8200
= 0.004 [S] = 4 [mS]
g0 =P
V 2 =96
2002 = 0.0024 [S] = 2.4 [mS]
b0 =√Y 2
0 − g20 =√
42 − 2.42 = 3.2 [mS]
【問題5.2】
R = r1 + a2r2 = 0.212 + (200100
)2 × 0.0473 = 0.4012 [Ω]
Z =Ez
Iz=
5.410.1
= 0.53645 [Ω]
Z2 = R2 +X2
X =√Z2 −R2 =
√0.534652 − 0.40122 = 0.35340 [Ω]
【問題5.3】
η1 =500× 1.0× 0.784
500× 1.0× 0.784 + 5 + 3× 1.02 = 98%
η2 =500× 0.10061× 0.4
500× 0.10061× 0.4 + 5 + 3× 0.100612 = 80%
【問題5.4】
Pout = 200 × 1 × 0.8 × 6 + 200 ×12× 0.9 × 10 + 200 × 1
4× 1 × 4
= 200(4.8 + 4.5 + 1.0) = 2060 [kwh]
Pi = 2 × 24 = 48 [kwh]
Pc = 5 × 12× 6 + 5 × (12)2× 10 + 5 × (
14)2× 4 = 5(6 + 2.5 + 0.25) = 43.75 [kwh]
= Pout + Pi + Pc = 2151.75 [kwh]
ηday =Pout
Pin= 95.74%
Pin
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「わかりやすい電気機器」の問題解答例 15
【問題5.5】 p.169 訂正:
誤:「図に示すY結線の」
正::「図に示すYーΔ結線の」
Z =√
42 + 32 = 5 [Ω]
V =√
2002 + 02 = 200 [V]
I1 =V
Z=
2005
= 40 [A]
I2 =√
3I1 = 69.28 [A]
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16 「わかりやすい電気機器」の問題解答例
********** 第6章の章末演習問題解答 **********
【問題6.1】
Ns =N
1 − s=
15841 − 0.04
= 1650 [rpm] = 1650 [min−1]
Ns =120fp
f =p×Ns
120= 55 [Hz]
【問題6.2】
Ns =120fp
=120× 60
8= 900 [rpm]
s =Ns −N
Ns=
900 − 855900
= 5%
Po = 180 + 10 = 190 [kw]
P2 =Po
1 − s=
1901 − 0.05
= 200 [kw]
Pc2 = s×P2 = 0.05× 200 = 10 [kw]
【問題6.3】
p≒120fN
=120× 55
1617= 4.0816…
極数 pは偶数であるから,p = 4 と仮定する.
Ns =120fp
=120× 55
4= 1650 [rpm]
s =Ns −N
Ns=
1650 − 16171650
= 2%
妥当な値なので,仮定は正しい.(題意より,損失を考慮しないので,)
Po = Pin =√
3V1I1cosθ
I1 =P0√
3V1 cos θ=
60× 103√
3× 440× 0.78729= 100 [A]
【問題6.4】
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「わかりやすい電気機器」の問題解答例 17
× 回転子の電流は,電磁誘導によって誘起される.スリップリングは巻線形誘導
電動機(本書では取り上げていない)で使われる.
× 回転子に渦(うず)電流が流れないと,回転力(トルク)が発生しない.
【問題6.5】
A
B
C
トルク
τ
すべり s1 0
回転数 N0 Ns
図 6A.1 誘導電動機のすべり s-トルクτ 特性
図の左側は,回転数が低い.s = 0, N = 0
図の右側は,回転数が高い.s = 1, N = Ns
領域C
理由:右下がりなので,負荷増加→回転数低下(すべり増加)→トルク増加→回
転数回復となり,安定した運転が可能であるから。
もし領域A(右上がり)であれば,負荷増加→回転数低下(すべり増加)→トル
ク低下となり,回転できなくなってしまう。
もし領域B(ピーク付近)であれば,負荷の変動(ゆらぎ)によって,ピークを
越えて領域Aに移りやすいので危険である。
【問題6.6】
[a]ア [b]ニ [c]ヌ [d]ケ [e]ケ [f]ア [g]イ