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介護実習における「医行為ではない介護行為」「医療的ケア(喀痰吸引・ 胃ろうや経管栄養等)」の学生の実施状況についての調査 子・田 A Research on Practicing Situation for a Trainee Student Conducting “Non-Medical Nursing Activity” and “Paramedical Care (Expectoration Absorption, Gastric Fistula, Tubal Feeding, etc.)” Akiko UEKI・Chiaki TAGAWA キーワード:医行為・医療的ケア・医行為ではない介護行為 1.はじめに 介護現場における医療的ニーズが高まる中、平 成23年に介護福祉士法が改定され、介護福祉士の 定義の心身の状況に応じた介護に、「医療的ケア (喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」も含まれる ようになった。それに合わせて、本学でも平成26 年度生からは50時間の医療ケアの講義と演習が入 る予定である。 医療行為については、介護福祉士の業務におい ていろいろな議論があったが、現在平成17年度の 厚生労働省の通達に基づいて行うことができるよ うになっている。通達の中で示された「医行為で はない介護行為」(検温・一包化された内服薬の 内服・浣腸等)は一定の条件のもと介護現場では 介護行為として行われている。これについては本 学の学生が実習現場でどのような体験しているの か把握できていなかった。 そこで平成26年度入学生よりはじまる「医療的 ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」にそな え、「医療行為ではない介護行為」と「医療的ケ ア(喀痰吸引・経管栄養等)」の現場での学生の 体験状況を把握し、実習と授業の課題を明らかに する事を目的に研究に取り組んだ。 1.1 用語について 「医療行為」については、法的には「医行為」 とよばれ、平成17年「医師法第17条歯科医師法第 17条および保健師助産師看護師法第31条の解釈に ついて」という厚生労働省通知において「医師の 医学的判断及び技術を持ってするのでなければ人 体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼす恐れのある 行為」と定義されており、医師・歯科医師・看護 師等の免許を持たない者の医療行為は禁止されて いる。その通達によりその頃大きな社会問題と なっていた在宅の介護現場でのヘルパーの「爪切 り」や「湿布を貼る」等の11項目の行為について、 さまざまな条件のもと原則的には医行為ではない ことが明文化され認められた。(詳しい条件につ いては文末の資料参照のこと) ここでは、「医行為ではない介護行為」と表現 し、それぞれに細かな条件が付されており状況に よっては医行為とされる項目については(表1) のとおりである。 1) 痰の吸引については ALS(筋委縮性側策硬化 症)患者の痰吸引について大きな社会問題となり、 平成15年 ALS 患者の在宅療養の支援について、 ヘルパーにも一定の条件のもと痰の吸引が認めら れた。その後、平成16年「盲・聾・養護学校」に おける痰吸引等の取扱いについても教員にも認め られ、平成17年には在宅における ALS 以外の療 養者・障害者に対する痰の吸引の取り扱いも認め られた。引き続き平成20年一定の研修を受けた特 長崎女子短期大学紀要 第37号 平成24年度〈2013.3〉 -42-

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介護実習における「医行為ではない介護行為」「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」の学生の実施状況についての調査

植 木 明 子・田 川 千 秋

A Research on Practicing Situation for a Trainee Student Conducting “Non-Medical Nursing Activity”and “Paramedical Care (Expectoration Absorption, Gastric Fistula, Tubal Feeding, etc.)”

Akiko UEKI・Chiaki TAGAWA

キーワード:医行為・医療的ケア・医行為ではない介護行為

1.はじめに介護現場における医療的ニーズが高まる中、平

成23年に介護福祉士法が改定され、介護福祉士の定義の心身の状況に応じた介護に、「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」も含まれるようになった。それに合わせて、本学でも平成26年度生からは50時間の医療ケアの講義と演習が入る予定である。

医療行為については、介護福祉士の業務においていろいろな議論があったが、現在平成17年度の厚生労働省の通達に基づいて行うことができるようになっている。通達の中で示された「医行為ではない介護行為」(検温・一包化された内服薬の内服・浣腸等)は一定の条件のもと介護現場では介護行為として行われている。これについては本学の学生が実習現場でどのような体験しているのか把握できていなかった。

そこで平成26年度入学生よりはじまる「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」にそなえ、「医療行為ではない介護行為」と「医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養等)」の現場での学生の体験状況を把握し、実習と授業の課題を明らかにする事を目的に研究に取り組んだ。

1.1 用語について「医療行為」については、法的には「医行為」

とよばれ、平成17年「医師法第17条歯科医師法第17条および保健師助産師看護師法第31条の解釈について」という厚生労働省通知において「医師の医学的判断及び技術を持ってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼす恐れのある行為」と定義されており、医師・歯科医師・看護師等の免許を持たない者の医療行為は禁止されている。その通達によりその頃大きな社会問題となっていた在宅の介護現場でのヘルパーの「爪切り」や「湿布を貼る」等の11項目の行為について、さまざまな条件のもと原則的には医行為ではないことが明文化され認められた。(詳しい条件については文末の資料参照のこと)

ここでは、「医行為ではない介護行為」と表現し、それぞれに細かな条件が付されており状況によっては医行為とされる項目については(表1)のとおりである。1)

痰の吸引については ALS(筋委縮性側策硬化症)患者の痰吸引について大きな社会問題となり、平成15年 ALS 患者の在宅療養の支援について、ヘルパーにも一定の条件のもと痰の吸引が認められた。その後、平成16年「盲・聾・養護学校」における痰吸引等の取扱いについても教員にも認められ、平成17年には在宅における ALS 以外の療養者・障害者に対する痰の吸引の取り扱いも認められた。引き続き平成20年一定の研修を受けた特

長崎女子短期大学紀要 第37号 平成24年度〈2013.3〉

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別養護老人ホームの介護職員に痰の吸引と胃ろうによる経管栄養の実施が認められた。その後、グループホーム・有料老人ホームなどにより広くできないかなどの議論があり、介護職員等による痰の吸引等の実施のための制度のあり方について検討がなされ、最終的には平成23年介護福祉士法の改正がおこなわれた。そして、平成24年度から介護福祉士への痰の吸引と胃ろう・経管栄養が一定の条件の下認められ、それに関する50時間の講義と演習が義務づけられた。

ここでは「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」は、喀痰吸引においては口腔内・鼻

腔内・気管内チューブの内部のみ、胃ろう・経管栄養の注入についても、チューブの確認は看護師が確認したうえで介護職が接続し、終了後の抜去までとする。(表2参照)

2.方法2.1 調査対象と方法

本学生活福祉専攻 24名を対象とした。

2.1 方法①「医行為ではない介護行為」と「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)の現場での学生の体験状況を把握:平成24年度介護実習5(9月中旬~10月中旬の22日間、特別養護老人ホームまたは介護老人保健施設)の実習前登校日に介護実習4までの学生の体験状況を把握する(無記名式、集団調査法)。その後、できるだけ実施できるものは体験し、体験でなくともできるだけ見学等の体験をするように説明した。②介護実習5終了後、「医行為ではない介護行為」と「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)の現場での学生の体験状況をアンケート(記名式、集団調査法)を取り学生の体験内容を把握し、実施あるいは見学できなかった理由を把握する。その後、学生の実習中の体験の共有を行う。(平成24年10月16日)③生活支援技術 D の「浣腸」(一コマ)実施時の必要な条件や、実施時の観察や行動を考えさせる機会をつくり、今後の「医行為ではない介護行為」「医療的ケア」の授業への課題を明らかにする。(平成24年12月18日)

なお、見学・実施においては学生が医療事故の対象とならないことも配慮し、軽微な傷等の処置・肛門への座薬の挿入・鼻粘膜への噴霧・耳垢の除去、ストーマ装具の排泄物を捨てる、導尿の補助については見学とした。なお、現行のカリキュラムでは医療的ケアの50時間の講義をしていない為、口腔内・鼻腔内・気管内の喀痰吸引、胃瘻・経鼻経管栄養の実施は不可で、見学とした。

表1

「医療行為ではない介護行為」について1.)体温測定(水銀・電子体温計を用いて腋窩・外

耳道で測定)2.)自動血圧測定での血圧測定3.)パルスオキシメータの装着4.)軽微な切り傷・擦り傷・やけどへの処置(専門

的処置を必要としない)以下は医師・看護師の判断により状態が安定した患者に対する処置

5.)軟膏の塗布(褥瘡の処置は除く)6.)皮膚への湿布の貼付7.)点眼薬の点眼8.)一包化された内服薬の内服(舌下錠を含む)9.)肛門への座薬の挿入10.)鼻粘膜への薬剤噴霧11.)爪切り・やすりがけ(爪や周囲に異常がない、

糖尿病患者を除く)12.)口腔清掃(重度の歯周病がない場合)13.)耳垢の除去(耳垢塞栓を除く)14.)ストマ装具のパウチにたまった排泄物の処置(肌

に密着したパウチの取り替えは除く)15.)自己導尿を補助するためのカテーテルの準備・

体位保持16.)市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器での

浣腸

表2

「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」以下は、一定の講義・演習・実地訓練・登録を行っ

て実施できるとされている。17)喀痰吸引(口腔)18)喀痰吸引(鼻腔)19)喀痰吸引(気管内チューブ)20)胃瘻栄養21)経管栄養

介護実習における「医行為ではない介護行為」「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」の学生の実施状況についての調査

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120%

100%

80%

60%

40%

20%

0%21見学

21経鼻経管栄養体験

20見学

20胃瘻栄養体験

19見学

19気管内吸引体験

18見学

18鼻腔内吸引体験

17見学

17口腔内の喀痰吸引体験

16見学

16浣腸体験

15見学

15導尿の補助体験

14見学

14ストーマ装具の排泄物の除去体験

13見学

13耳垢の除去体験

12見学

12口腔清掃体験

11見学

11爪切り等の体験

10見学

10鼻粘膜への噴霧体験

9見学

9肛門への座薬の挿入体験

8見学

8一包化された内服薬の内服体験

7見学

7点眼薬の点眼体験

6見学

6皮膚への湿布貼付体験

5見学

5軟膏の塗布体験

4見学

4軽微な傷等の処置体験

3見学

3パルスオキシメータ―

体験

2見学

2自動血圧体験

1体温測定見学

1体温測定体験

74 78

61

83

4

17

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30

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70

0

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74 78

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0 49

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0

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0

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0

13

0

17

0

70

0

48

%

2.2 倫理的配慮調査においては、学生へは文書と口頭で不利益

が生じないことを説明した。

3.結 果3.1 介護実習4までの体験の状況(表3参照)

実習1~4までにおいて、体験している割合は体温測定74%、自動血圧計による測定61%、口腔内清掃96%であった。しかし、食事介助に引き続き行われていることが多いと思われていた内服介助の体験は35%と低かった。また、軟膏塗布を体験した学は26%であった。吸引の体験は医療的ケアである為か体験者はいなかった。吸引の見学者は口腔内43%、鼻腔内13%、気管内17%、また、呼吸器・循環器の状態を観察する為のものとしてパルスオキシメータの体験は4%であった。医療的ケアの見学は、施設の配慮がなければ難しいようである。

経管栄養の見学については胃ろうの見学70%、経鼻経管栄養46%であった。

3.2 実習5での体験について(表4参照)実習5においては、口腔内の清掃の体験は82%

と高かった。実習前に体温測定・血圧測定は必ず自分で測定するように強調していたにも関わらす、

体温測定68%.自動血圧計36%と低かった。自動血圧計としていた為、水銀血圧計しかなかった2名、アネロイド血圧計であったためできなかった2名がいた。軟膏塗布の体験36%、一包化された内服薬の介助41%、湿布の貼付の体験18%、点眼の介助体験18%は、いずれも事前に指導者に相談する必要がある為か低かった。また、ストーマ装具内の排泄物の除去については32%の学生が見学できていた。吸引(口腔)見学27%、吸引(鼻腔)見学9%・吸引(気管内)見学9%・胃ろう見学23%、鼻腔栄養見学0%であった。

3.3 実施・見学できなかった理由について(表5)

理由の中に①事前学習せず質問されると困ると思ってを選んだ学生は誰もいなかった。自動血圧計体験においては施設に血圧計が水銀血圧計やアネロイド式血圧計だったという答えもあった。医師法17条の解釈の中に自動血圧計と明記されているために他の血圧計での実施はできない。学校の物品を持参させることも可能であるが、指導者と相談の必要がある。本学では血圧測定のしくみを知る意味もあるとして、実際は水銀血圧計の体験もさせているが、次の自由記載にあがっているように、実際には水銀血圧計は難しいという意見が

表3 実習4までの体験の状況

植 木 明 子・田 川 千 秋

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25

20

15

10

5

0

(人)

理由① 事前学習せずに質問さ    れると困ると思って

理由② 時間の余裕がなかった

理由③ 実施について指導者と    相談できなかった

理由④ 実施項目にあまり興味が    なかった

理由⑤ その他

理由⑥ 無回答

21経鼻経管栄養見学

20胃瘻栄養見学

19気管内吸引見学

18鼻腔内吸引見学

17口腔内の喀痰吸引見学

16浣腸見学

15導尿の補助見学

14ストーマ装具の排泄物の除去見学

13耳垢の除去見学

12口腔清掃体験・見学

11爪切り等の体験・見学

10鼻粘膜への噴霧見学

9肛門への座薬の挿入見学

8一包化された内服薬の内服体験・見学

7点眼薬の点眼体験・見学

6皮膚への湿布貼付体験・見学

5軟膏の塗布体験・見学

4軽微な傷等の処置体験・見学

3パルスオキシメータ―

体験・見学

2自動血圧体験・見学

1体温測定体験・見学

90%

80%

70%

60%

50%

40%

30%

20%

10%

0%21見学

21経鼻経管栄養体験

20見学

20胃瘻栄養体験

19見学

19気管内吸引体験

18見学

18鼻腔内吸引体験

17見学

17口腔内の喀痰吸引体験

16見学

16浣腸体験

15見学

15導尿の補助体験

14見学

14ストーマ装具の排泄物の除去体験

13見学

13耳垢の除去体験

12見学

12口腔清掃体験

11見学

11爪切り等の体験

10見学

10鼻粘膜への噴霧体験

9見学

9肛門への座薬の挿入体験

8見学

8一包化された内服薬の内服体験

7見学

7点眼薬の点眼体験

6見学

6皮膚への湿布貼付体験

5見学

5軟膏の塗布体験

4見学

4軽微な傷等の処置体験

3見学

3パルスオキシメータ―

体験

2見学

2自動血圧体験

1体温測定見学

1体温測定体験

68

59

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9

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0

全体の割合 %

上がっている。全体的に、その他を理由に挙げているところが

多く、学生の記載から「看護がしている」「対象者がいない」「機会がない」と挙げていた。これは事前訪問時指導者と相談ができていれば、看護師との相談も可能で体験の機会も作ってもらえると思われる。パルスオキシメータ―・座薬の挿入・鼻粘膜への薬剤の噴霧見学・耳垢の除去・ストーマ装具の排泄物の除去・導尿の補助・浣腸・

口腔内・鼻腔・気管内の喀痰除去・胃瘻栄養・経鼻経管栄養見学においては時間の余裕がなかったという意見が2~3人おり、受け持ち利用者のアセスメント、計画立案・実施・評価の実習もある為、時間に余裕がないという事も理解できる。無回答については、鼻粘膜の噴霧に8人といるが、実際に対象者を考えると、ステロイドやアレルギーの薬、と種類が少なく機会がないという事も十分考えられる。また、爪切り等の自由記載にあ

表4 実習5の体験の割合

表5 実施・見学できなかった理由について

介護実習における「医行為ではない介護行為」「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」の学生の実施状況についての調査

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がっているような身体に傷をつけるのが怖いといった理由もあるかもしれない。

これらの事から、今回の実習場所が特別養護老人ホームと、介護老人保健施設で、看護と介護の仕事が分担されているところでは、介護の実習生にとって「医行為ではない介護行為」は、事前に施設側と体験できるかの話し合いが必要と思われる。

3.4 アンケートにける体験において感じた事、グループワークで出された意見について(自由記載部分のため原文のまま記載)【1.体温測定】利用者に声かけをして、利用者の顔色や体調を聞きながらしないといけないと思った。【2.自動血圧計】水銀(血圧計)はあまり体験した事がなく難しかった。水銀が難しかったから、もっと練習しておけばよかったと思った。夕方に様子がおかしい事があり、(自動血圧計で)何度測っても測れなかったこと、圧がかかって(皮膚が)内出血しないのか不安だった。【4.褥瘡処置】ガーゼをされている方のおむつ交換でガーゼまで汚れているのでどうしたらよいか困った【5.軟膏塗布】、皮膚の乾燥により外傷を起こしやすくなることで、実際は一人だったが、定期的な塗布は必要と感じた。入浴や排泄介助時に皮膚にかきむしりがあった方に実施した。また、軟膏をつけると決まった方に実施した。ゴム手袋をつけて行った。びらんされている方のおむつ交換時、下用タオルで押さえ拭きをしていたが、タオルの角が少し当たってびらんを悪化させた。【7.点眼薬の介助】点眼する時目に入るのが怖かった。きちんと点眼薬が入っているのか心配だった。まつ毛に点眼薬が付着する事で菌が繁殖しないか心配だった。目を傷つけないか心配だった。薬を間違っていないか心配だった【8.一包化した内服薬の介助】食後の服薬を行った薬が何種類あるのか確認し、しっかりと口の中に入れるよう注意をして行った。毎食後、職員同士で利用者の名前を確認後、服薬する薬と利用者の名前を間違えないように注意する事が大切だと思った。

ご飯のときに補水時に与薬した。むせないように注意した。食事の度にご飯に混ぜて行っていた。【11.爪切り】爪が伸びていたので職員の見守りのもとおこなった。皮膚までのびて切りそうだった。肉を切ってしまわないのか心配だった。【12.口腔清掃】うがい時にむせた事があった。水の量や声かけが適切ではなかったのかと思った。うがいをする時はきちんと本人に理解してもらえるような声かけと確認が必要。できるところは自分でしてもらい、磨き残しがあるところを介助した【13.耳垢の除去】介護士にできる範囲とできない範囲があるので、その判断がどこまでしていいのかというのは実際にしないとわからないと思った。衛生チェックしておこなわれていたが、耳腔入口付近のみで、奥に多く残っている方は多かったが、危険な為そのままおかれていた。【16.グリセリン浣腸】3日排便がない利用者に実施していた。血便が出ており肛門が傷ついていた様子だった。【17.喀痰吸引(口腔内)】夜勤の際に夜中2~3時間おきに行っていた。看護師の仕事だけれど、介護士も講習を受ければできると言う事であった。看護師の吸引時間が長すぎて利用者が苦しんでいた。

グループワークにおいて、学生の抱いた疑問について考え、平成17年度に出された医師法17条、歯科医師法17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について、再度確認した。医薬品の使用に当たっては看護職員によって実施され事が望ましい事、また、病状が安定時している時に行われるべきで、副作用の心配や投薬量の調整のため医師または看護職員による連続的な容態の観察が必要でない事、内服薬については誤嚥の可能性、座薬については出血の可能性など、使用方法において専門的な知識が必要でない場合を有しないものによる事を再確認した。また、医行為にあたらない爪切りは爪やその周囲に異常がなく、糖尿病などの専門的な管理下にない爪である事を確認した。

植 木 明 子・田 川 千 秋

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表6学生 実習中見学して感じた事 演習を通しての可層反省・自己の課題

1 実習中見た事がない声かけをして15秒程しっかり数える必要がある、いろいろな注意を守って安全にしなければいけない

2 〃実際に見学実習した事がないので不安を感じました。入れる長さなど良く分からいので本当に怖いです。

3 〃浣腸を入れる際にはキチンと声かけをすることが重要、温度確認をしなかったのでする必要があった。

4 〃浣腸の挿入の方法や準備などを知る中で難しそうだと思った。特に挿入する長さなどが難しくて実施するのは難しそうだった。

5 〃左側臥位にすることが大切と感じた。ゆっくり入れる事が意外と難しそうだと思った。実際に入れることができないので、就職して不安だと考えました。声かけを忘れず了承を得ることを行いたい

6 〃左側臥位にすることで S 字結腸に入り易くなる事を学んだ。実際にする時は注意しなければならない事がたくさんある為勉強しなければならないと思った。

7 〃 プライバシーの配慮や施設では臭いへの配慮など大切と思った。

8 〃寒くないかなど環境に配慮する。呼吸の仕方、利用者の顔色を気にする

9浣腸した後にすぐにトイレに行こうとされていた

浣腸器を実際に挿入した事はないが、今日演習してみて浣腸される側は恥ずかしさや、気持ち悪く感じると思うので配慮した介助ができたらいいと思う。

10

日中、体を動かす事が少ない臥床した方は便が出にくく、ガスがたまり苦しそうでかわいそうだった。

左側臥位になってもらいベッドの頭を上げたまま浣腸しようとしていた。腹圧がかかる為、フラットにした状態で浣腸し終わってから頭を上げる。口で息をすること待ち時間などを声かけする。

11 座薬を入れるのを見た左側臥位にして行う事を忘れないようにしたい、きちんと指導を受けてから行う。息を吐きながら注入する。浣腸器を温めてから行う

12痛そうだった、浣腸後の便は軟便である事が多かった。

15秒ほどかけて注入する事が難しかった。実施に浣腸器を使って肛門に挿入するのは難しいと思いました。

13座薬を見学した入れる場所にきちんと入れることを注意する

演習では15秒以上注入にかかった。早すぎても遅すぎてもいけないと思った。露出するので、早く正確に行えるようしたい。

14

ビニール手袋をした介助者が利用者を側臥位にして、素早く下衣をおろしかがみこみ肛門に入れていた。とても手早かった

具体的に浣腸手順と説明があったことで、利用者の方に介助しているイメージができました。簡単そうに思えましたが注意すべき事を少し理解できたように思います。左側臥位よくわかりました。

15

見学した事はないですが、浣腸されている方は見た事がある、すぐにトイレに行こうとされ苦しそうであった。

説明をしっかりと、利用者の同意を得ることが大切と学びました。また、今から何をするのか、何を入れるのか説明したいと思います。挿入する際は力を抜いてもらえるような声かけ、腹圧をかけない姿勢を取ってもらうなど心がけたい

16 恥ずかしそうだった体調確認を適切に行う事が重要であり、声かけをしながら両者の状態を観察する必要があると思った

3.5 生活支援技術Dの「浣腸」(一コマ)における演習授業において実施時の必要な条件や、実施時の観察や行動を考えさせる

再度どのような条件のもと実施できるかを医師

法17条、歯科医師法17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈を確認し、グリセリン浣腸の演習を行った。

学生の感想は以下のとおりである。(表6参照)

介護実習における「医行為ではない介護行為」「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」の学生の実施状況についての調査

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17 認知機能が低下して方は、理解していない等、いろいろな事が考えられ転倒にも注意が必要と思った

血圧の急低下に注意しなければならないと感じました。立位では危険があるため行わない事、左側を下にするのは腸に回り易くするため。

18 利用者の表情を見ていると苦しそうだった。痛みがあるか尋ねると痛いと訴えていた。浣腸するタイミングはしっかりとその方の状態を把握していないといけないと思った

利用者様に対する説明もしっかり行わないと、いやな思いや不快な思いをしてしまうので、了解を得て行いたい。浣腸する時の体の向きなど要点を確認して行わないといけないと思った。

表7

項 目 生活支援技術 こころとからだのしくみ 障害の理解

1.)体温測定(水銀・電子体温計を用いて腋窩・外耳道)

1年前期演習

2.)自動血圧測定での血圧測定 1年前期演習3.)パルスオキシメータの装着 2年後期演習 2年後期講義4.)軽微な切り傷・擦り傷・やけどへの処置(専門的

処置を必要としない)― ― ―

5.)軟膏の塗布(褥瘡の処置は除く)1年前期デモンストレーションのみ

6.)皮膚への湿布の貼付 1年前期演習

7.)点眼薬の点眼1年前期デモンストレーションのみ

8.)一包化された内服薬の内服(舌下錠をふくむ) 1年前期演習

9.)肛門への座薬挿入1年前期デモンストレーションのみ

10.)鼻粘膜への薬剤噴霧 ― ― ―11.)爪切り・やすりがけ(爪や周囲に異常がない、糖

尿病患者を除く)1年前期演習 1年前期講義

12.)口腔清掃(重度の歯周病がない場合) 1年前期演習 11年前期講義13.)耳垢の除去(耳垢塞栓を除く) 1年前期講義

印象として、見学の経験や、少しでもその場面を見た事がある学生は、浣腸のイメージがあり、そのことを踏まえた気付きができている。また、見学していない学生の1名は不安と感じていた。また、No14の学生にように簡単に素早くされている様子を見るだけに終わっている学生にとっては、留意点を含めての手順の理解がおこなわれていないようで、実習場面での指導者からの説明も重要であると考えられる。

今までも実習終了後に浣腸の授業を行ってはいたものの、学生の体験を十分に捕えていなかった。

浣腸については振り返りは行えたが、他の行為についても振り返りを行えているか見直す必要がある。また、学生には浣腸については必ず、現場でしっかり指導を受けて行う事を確認した。

3.6 講義演習の時期について現在の「医行為でない介護行為」「医療的ケア」

についての生活支援技術・こころとからだのしくみ、障害の理解での実施状況は以下のとおりである。(表7参照)

植 木 明 子・田 川 千 秋

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14.)ストマ装具のパウチにたまった排泄物の処置(肌に密着したパウチの取り替えは除く)

2年後期デモンストレーションのみ

2年後期デモン ス ト レ ーションのみ

15.)自己導尿を補助するためのカテーテルの準備・体位保持

2年後期デモンストレーションのみ

16.)市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器での浣腸

2年後期演習

17.)喀痰吸引(口腔)

2年後期デモンストレーションのみ

2年後期講義

18.)喀痰吸引(鼻腔) 2年後期講義19.)喀痰吸引(気管内チューブ内) 2年後期講義20.)胃瘻栄養21.)経管栄養

表からもわかるよう、全く説明していない項目が、軽微な切り傷やけどへの処置と鼻粘膜への薬剤噴霧であった。軽微な切り傷、やけどについては救急法受講の際に触れる程度で、鼻粘膜への薬剤の噴霧と合わせて、これらについては演習・デモンストレーションも含めた授業の計画が必要である。

ストーマ装具のパウチにたまった便を捨てる事に関しては便を袋を出すことのみとされていたが、平成23年度厚労省の通達により、肌への密着面に皮膚保護剤を有するストーマ装具については、ストーマ及びその周辺の状態が安定している場合は、ストーマ装具の交換は医行為とは認められないというように変わり、24年度の授業をしながらこの情報をテキストで知った。これについては常に情報収集につとめ、変更点の確認や教科書によってはそのことの記載のばらつきがある為学生への周知に注意する必要がある。その為来年度は、ストーマパウチの授業のあり方を検討していく予定である。

4.考 察今回はじめて「医行為ではない介護行為」につ

いての実態を把握した。実習5においては口腔内の清掃の体験は82%、と高くほぼ介護業務となっていることが考えられる。体温測定68%.と高く、学生も実施しやすい様子がうかがわれる。同じバイタルサインの観察である、自動血圧計は36%であり、水銀血圧計やアネロイド式血圧計であった

というところもあった。与薬関連については軟膏塗布の体験36%、一包化された内服薬の介助41%、湿布の貼付の体験18%、点眼の介助体験18%、とく内服薬に関しては施設の実施に介護福祉士と看護師で業務を分けているところがあり、検温・血圧の測定・パルスオキシメーターの測定と併せて事前に施設に相談しておかないと体験や見学は難しいようである。

また、学生に考えさせるべき項目として、平成17年の医師法17条・歯科医師法17条・保健師看護師助産師法31条の解釈の通達にある、体温・血圧測定・パルスオキシメータ測定において測定され数値をもとに投薬の要否等医学的な判断を行う事は医行為であり、事前に示された数値より範囲外に異常が測定されたらば医師または看護職員に伝えるという事を学生に確認させる必要がある。グループワークからでた学生の意見に「体調不良時に血圧を測ったが自動血圧計でうまくはうまく測れず困った」とあったが、授業で十分検討しなかったが、そのような場面では看護にどう報告するかまで確認させ医行為になる範囲を考えさせる事が必要だと感じた。

医薬品の投与においては、学生のグループワーク時の意見にあった、「目を傷つけないか心配だった。薬を間違っていないか心配だった」「毎食後、職員同士で利用者の名前を確認後、服薬する薬と利用者の名前を間違えないように注意する事が大切だと思った。」とあるように薬の間違いがないかの手順を確認したとあるよう、学生も安全に実

介護実習における「医行為ではない介護行為」「医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうや経管栄養等)」の学生の実施状況についての調査

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80

60

40

20

0

本年度

昨年度

(%)

コミュニケーションに障害のある方との会話

罨法 (冷罨法・温罨法)

安楽の介助 (安楽の姿勢保持)

衣類・寝具の整理(洗濯物整理)

レクリエーション計画実施

外出介助(施設内散歩・施設外)

移乗介助(車椅子⇔ベッド)

移動介助(車椅子)

 〃   (歩行器)

 〃    (杖)

歩行介助 (手引き)

食事後の下膳・片付け

配膳の準備

食事介助(一部介助)

食事介助(全介助)

食器洗い

食事の準備

義歯の手入れ

口腔内の清掃・清拭

トイレ・ポータブルトイレ掃除

陰部洗浄

トイレでの排泄介助

ベッド上でのオムツ交換

爪きり

清拭

部分浴(足浴)

部分浴 (手浴)

みだしなみ(ドライヤー・化粧)

中介助・(特浴またはリフト浴)

中介助(一般浴)

衣類着脱介助

環境整備(居室)

臥床者のいるシーツ交換

臥床者のいないシーツ交換

バイタルサインのチェック

施する事は場面から学んでいる。「爪切り」においては実習5での体験は9%である。実習5の終了時のアンケートでも、今までの実習で一度も体験していない学生の率は70.8%(昨年64.3)と最も高い。(表8参照)33%の学生が自信がない項目と上げていた。学生の実習の中の体験でひやっとした事があると4人の学生が挙げていた。これについては齊藤らの研究においても爪切りによる出血の事故があっており、医行為ではない介護行為においては、事故時の対応の仕方と、介護事故予防教育カリキュラムを位置づけをし学生へ教授することの重要性を言っている。2)「医行為のではない介護行為」や「医療的ケア」においては安全確認において、ヒアリハットの提示や緊急時の対応についての確認と安全対策と予防の教育が大切である事、他の授業の中でも危機管理の中での連携した取り組みが必要であると感じた。

実習での体験のグループワークや「浣腸」の授業での体験や感想から、見学・実施を通してグループでの体験の共有と、体験の意味づけは学生とって大きな意味があることがわかった。平成26年度入学生から始まる「医療ケア」の授業を勧め

るにあたり、実習の中での見学の学びは大きいと言える。吸引(口腔)見学27%、吸引(鼻腔)見学9%・吸引(気管内)見学9%・胃ろう見学23%、鼻腔栄養見学0%であった状況を踏まえると、実習のどの段階から見学させるかも含めて施設側とも合わせて相談していく必要がある。また、講義50時間と演習をどの段階でどう進めた方がよいのかも、カリキュラム作成の課題である。

5.おわりに以下の事項が明らかになった。①「医行為では

ない介護行為」では口腔ケア・体温測定は実施がしやすいその他は、施設との連携なしにはむずかしい②「医行為ではない介護行為」には実施に伴う学生の不安や、体験の意味づけができていない現状がある為、振り返りが必要である。③「医行為ではない介護行為」においては医療職への報告・連絡・相談をしての連携が大切であることを学生に常に確認する必要性がある。④「医療行為でない介護行為」においては事故時の対応と事故を予防する視点を学生に理解させる必要がある⑤医療ケアにおいてのカリキュラムにおいても見学

表8 実習1~5までで一度も体験していない項目

植 木 明 子・田 川 千 秋

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の入れ方を工夫したカリキュラムを組む必要がある。

引用文献1)医師法第17条、歯科医師法第17条および保健師助産

師看護師法第31条の解釈についてについて:厚生労働者ホームページより

2)齊藤美智子:「医療行為から除かれた介護行為」第16回日本福祉教育学会発表文集 p137

参考資料1)遠藤慶子:「生活支援の基本的考え方」新介護福祉

士養成講座 生活支援技術Ⅰ中央法規2011年2)木野美恵子:「医療的ケアを実践する介護職の課

題」第19回日本福祉教育学会発表文集 p122~123

3)植谷澄子:「介護福祉士の専門性の再構築 特養における医療的ケア研修修了者のインタビュー調査から」第19回日本福祉教育学会発表文集 p124~125

4)井口ひとみ:将来をみすえた介護福祉教育(第6報)-原則として医行為ではないと考えられる行為に関する教授法14回日本福祉教育学会発表文集 p36

5)平林勝政:「介護職と医行為をめぐる法的諸問題」月刊福祉 第92巻7号 p12~18 全社協2009年6月

6)菊池雅洋:「求められる介護職員への医療行為解禁」月刊福祉 第92巻7号 p19~23 全社協2009年6月

7)白江 浩:「医療的ケアを安全・安心の元に実施する」月刊福祉 第94巻8号 p30~33全社協2011

8)黒沢貞夫他:介護福祉士教育における「医療的ケア」のカリキュラムと教育のすすめ方・課題 介護福祉教育 第17巻第2号 中央法規2012.

○医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)

(平成17年7月26日)(医政発第0726005号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業(歯科医業を含む。以下同じ。)は、医師法第17条、

歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条その他の関係法規によって禁止されている。ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。

ある行為が医行為であるか否かについては、個々の行為の態様に応じ個別具体的に判断する必要がある。しかし、近年の疾病構造の変化、国民の間の医療に関する知識の向上、医学・医療機器の進歩、医療・介護サービスの提供の在り方の変化などを背景に、高齢者介護や障害者介護の現場等において、医師、看護師等の免許を有さない者が業として行うことを禁止されている「医行為」の範囲が不必要に拡大解釈されているとの声も聞かれるところである。

このため、医療機関以外の高齢者介護・障害者介護の現場等において判断に疑義が生じることの多い行為であって原則として医行為ではないと考えられるものを別紙の通り列挙したので、医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うことが適切か否か判断する際の参考とされたい。

なお、当然のこととして、これらの行為についても、高齢者介護や障害者介護の現場等において安全に行われるべきものであることを申し添える。

(別紙)1 水銀体温計・電子体温計により腋下で体温を計測すること、及び耳式電子体温計により外耳道で体温を測

定すること2 自動血圧測定器により血圧を測定すること3 新生児以外の者であって入院治療の必要がないものに対して、動脈血酸素飽和度を測定するため、パルス

オキシメータを装着すること4 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること(汚物で

汚れたガーゼの交換を含む。)5 患者の状態が以下の3条件を満たしていることを医師、歯科医師又は看護職員が確認し、これらの免許を

有しない者による医薬品の使用の介助ができることを本人又は家族に伝えている場合に、事前の本人又は家族の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等により患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を遵守した医

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薬品の使用を介助すること。具体的には、皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く。)、皮膚への湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)、肛門からの坐薬挿入又は鼻腔粘膜への薬剤噴霧を介助すること。① 患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること② 副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師又は看護職員による連続的な容態の経過観察が必要であ

る場合ではないこと③ 内用薬については誤嚥の可能性、坐薬については肛門からの出血の可能性など、当該医薬品の使用の方

法そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではないこと注1 以下に掲げる行為も、原則として、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31

条の規制の対象とする必要がないものであると考えられる。① 爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門

的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切ること及び爪ヤスリでやすりがけすること② 重度の歯周病等がない場合の日常的な口腔内の刷掃・清拭において、歯ブラシや綿棒又は巻き綿子な

どを用いて、歯、口腔粘膜、舌に付着している汚れを取り除き、清潔にすること③ 耳垢を除去すること(耳垢塞栓の除去を除く)④ ストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること。(肌に接着したパウチの取り替えを除く。)⑤ 自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持などを行うこと⑥ 市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器(※)を用いて浣腸すること

※ 挿入部の長さが5から6センチメートル程度以内、グリセリン濃度50%、成人用の場合で40グラム程度以下、6歳から12歳未満の小児用の場合で20グラム程度以下、1歳から6歳未満の幼児用の場合で10グラム程度以下の容量のもの

注2 上記1から5まで及び注1に掲げる行為は、原則として医行為又は医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要があるものでないと考えられるものであるが、病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医行為であるとされる場合もあり得る。このため、介護サービス事業者等はサービス担当者会議の開催時等に、必要に応じて、医師、歯科医師又は看護職員に対して、そうした専門的な管理が必要な状態であるかどうか確認することが考えられる。さらに、病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、医師、歯科医師又は看護職員に連絡を行う等の必要な措置を速やかに講じる必要がある。

また、上記1から3までに掲げる行為によって測定された数値を基に投薬の要否など医学的な判断を行うことは医行為であり、事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医師又は看護職員に報告するべきものである。

注3 上記1から5まで及び注1に掲げる行為は原則として医行為又は医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要があるものではないと考えられるものであるが、業として行う場合には実施者に対して一定の研修や訓練が行われることが望ましいことは当然であり、介護サービス等の場で就労する者の研修の必要性を否定するものではない。

また、介護サービスの事業者等は、事業遂行上、安全にこれらの行為が行われるよう監督することが求められる。

注4 今回の整理はあくまでも医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法等の解釈に関するものであり、事故が起きた場合の刑法、民法等の法律の規定による刑事上・民事上の責任は別途判断されるべきものである。

注5 上記1から5まで及び注1に掲げる行為について、看護職員による実施計画が立てられている場合は、具体的な手技や方法をその計画に基づいて行うとともに、その結果について報告、相談することにより密接な連携を図るべきである。上記5に掲げる医薬品の使用の介助が福祉施設等において行われる場合には、看護職員によって実施されることが望ましく、また、その配置がある場合には、その指導の下で実施されるべきである。

注6 上記4は、切り傷、擦り傷、やけど等に対する応急手当を行うことを否定するものではない。

出典http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_document.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=CO...

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