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生活習慣病治療際、臓器障害する画像診断 など他覚的所見がある場合、治療コンプライアンスの まることがられている。血圧脈波検査装置(form、下肢上肢測定した脈波からABIによる閉塞性 動脈硬化症(ASO診断、PWVによる血管硬化度 判定いられているばらつきなく安定したられるので、検診などスクリーニングにいている。下 測定した脈波、全身血管変化反映している えられしかも波形頸動脈波のように複雑でない ため解析しやすいしかしPWV簡単測定できるが血圧血管狭窄などの影響けるため判断注意するたとえばABI正常以下ではPWV正確できないまたABI正常でも血管狭窄のあること もありこの場合PWV測定されてしまう当院では、頸動脈エコーとform同時測定解析結 から、脈波がりからピークまでの時間(UT動脈硬化診断有用でありかつPWVをよりかりやすく説明できることから、生活習慣病患者治療 コンプライアンスを向上させることができた正常血管脈波をみると、脈波がりが鋭角三角形であるのに、動脈硬化症例ではがりが鈍角三角形になるこれは狭窄動脈 硬化などがあるとUT延長することなどに起因すると えられる。正常者、軽症から重症ASO患者足首脈波重症度順比較すると、波高軽症からになるにつれて、最初徐々くなりその後重症 になるにつれて減少している。一方、UTABI段階軽症ASOからすでに延長、重症度延長している1 )。 UT軽症から重症まで一貫して延長することから簡単測定でき、再現性、誰測定してもして正確測定できる指標つであるとえたPWV評価するうえでもABIUT考慮必要があるとえた頸動脈エコーの内膜中膜肥厚度(IMT狭窄石灰化 所見UTとを対比するとUT200 以上となってい 場合、頸動脈エコーではかなりの肥厚やプラークがみ られるUT 160 200msecまでは軽度石灰化やプ ラークあるいは頸動脈内膜肥厚などの異常がみられるPWV1,500 以下UT130msec以下なら頸動脈コーはほぼ正常であるまた、高齢者ではPWV2,000 以上 がほとんどであるがその 場合 UT130msec以下ならば頸動脈はほぼ正常である2 )。 UTから頸動脈動脈硬化所見をある程度推定しうる ことがかる当院ではUT以下のように利用しているUT160msec以下ではPWVはそのままの数字 をほぼ動脈硬化度えているUT200msec以上あるいはABI1.0 以下では動脈狭窄がありPWV信頼性くなるとえているUT 160 200msecまではPWVABI注意 して頸動脈エコーやMR検査などにより個々症例 をよく調べる必要がある血管エコーは近年よくわれるようになり、特、頸 動脈冠動脈大動脈との相関IMTやプラーク 有無など、心血管病予防役立しかし、頸動脈 エコーは高価装置熟練したテクニックが必要かも検者間のばらつきや再現性、測定部位などの問題どこでも均一安定して測定できるものではない一方、form安定した数値られるがPWVなどの 判断注意することがあったしかしUT詳細 検討することによりPWV精度さらに頸動 エコー所見など血管内状況推測しうることから生活習慣病治療においてコンプライアンスをめる surrogate endpointとして有用であるとわれたUTとPWVを用いた生活習慣病治療コンプライアンスの向上 A I、PW V、A B I の 診 療 応 用:私 の や り 方 3 奥田宣明 (奥田内科クリニック) 108 この論文は、「Arterial Stiffness」WEBサイトに掲載されています。その他の論文はこちら Click "Arterial Stiffness" web site for more articles.

UTとPWVを用いた生活習慣病治療コンプライアン … A I 、 P W V 、 AB I の診療応用:私のやり方 図2 頸動脈エコーのIMT、狭窄石灰化所見とUT

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Page 1: UTとPWVを用いた生活習慣病治療コンプライアン … A I 、 P W V 、 AB I の診療応用:私のやり方 図2 頸動脈エコーのIMT、狭窄石灰化所見とUT

 生活習慣病治療を行う際、臓器障害に関する画像診断など他覚的所見がある場合は、治療コンプライアンスの高まることが知られている。血圧脈波検査装置(form)は、下肢と上肢で測定した脈波から、ABIによる閉塞性動脈硬化症(ASO)の診断、PWVによる血管の硬化度の判定に用いられている。ばらつきなく安定した値が得られるので、検診などスクリーニングに向いている。下肢で測定した脈波は、全身の血管の変化を反映していると考えられ、しかも波形が頸動脈波のように複雑でないため解析しやすい。しかし、PWVは簡単に測定できるが、血圧や血管狭窄などの影響を受けるため判断に注意を要する。たとえば、ABIが正常以下ではPWVは正確に評価できない。また、ABIが正常でも血管狭窄のあることもあり、この場合もPWVは低く測定されてしまう。 当院では、頸動脈エコーとformの同時測定の解析結果から、脈波の立ち上がりからピークまでの時間(UT)が動脈硬化の診断に有用であり、かつ、PWVをより分かりやすく説明できることから、生活習慣病患者の治療コンプライアンスを向上させることができた。 正常血管で足の脈波をみると、脈波の立ち上がりが直角に近い鋭角三角形であるのに対し、動脈硬化症例では、立ち上がりが緩い鈍角三角形になる。これは狭窄や動脈硬化などがあるとUTが延長することなどに起因すると考えられる。正常者と、軽症から重症のASOの患者で、足首の脈波を重症度順に比較すると、波高は軽症から重症になるにつれて、最初は徐々に高くなり、その後重症になるにつれて減少している。一方、UTは、ABIが正常の段階の軽症ASO例からすでに延長し、重症度に比例し延長している(図1)。 UTは軽症から重症まで一貫して延長することから、最も簡単に測定でき、再現性も高く、誰が測定しても安定して正確に測定できる指標の一つであると考えた。また、PWVを評価するうえでもABIと併せ、UTを考慮する必要があると考えた。

 頸動脈エコーの内膜中膜肥厚度(IMT)や狭窄石灰化所見と、UTとを対比すると、UTが200以上となっている場合、頸動脈エコーではかなりの肥厚やプラークがみられる。UT 160~200msecまでは軽度の石灰化やプラークあるいは頸動脈内膜肥厚などの異常がみられる。PWVが1,500以下で、UTが130msec以下なら頸動脈エコーはほぼ正常である。また、高齢者では、PWVは

2,000以上がほとんどであるが、その場合もUTが

130msec以下ならば頸動脈はほぼ正常である(図2)。 UTから頸動脈の動脈硬化所見をある程度推定しうることが分かる。 当院ではUTを以下のように利用している。 ① UTが160msec以下では、PWVはそのままの数字をほぼ動脈の硬化度と考えている。

 ② UTが200msec以上あるいはABIが1.0以下では、動脈の狭窄があり、PWVの信頼性は低くなると考えている。

 ③ UT 160~200msecまではPWVやABIの値に注意して頸動脈エコーやMR検査などにより個々の症例をよく調べる必要がある。

 血管エコーは近年よく行われるようになり、特に、頸動脈は冠動脈や大動脈との相関も高く、IMTやプラーク

の有無など、心血管病の予防に役立つ。しかし、頸動脈エコーは高価な装置と熟練したテクニックが必要で、しかも検者間のばらつきや再現性、測定部位などの問題から、どこでも均一に安定して測定できるものではない。一方、formは安定した数値が得られるが、PWVなどの

判断に注意を要することがあった。しかし、UTを詳細に検討することによりPWVの精度を上げ、さらに頸動脈エコー所見など血管内の状況を推測しうることから、生活習慣病治療においてコンプライアンスを高めるsurrogate endpointとして有用であると思われた。

UTとPWVを用いた生活習慣病治療コンプライアンスの向上

A I、PWV、AB Iの診療応用:私のやり方 3

奥田宣明(奥田内科クリニック)

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AI、PWV、ABIの診療応用:私のやり方

図2  頸動脈エコーのIMT、狭窄石灰化所見とUT

A:77歳女性。PWVは約2,100、UTは約130msecで頸動脈はIMT0.9mmと正常。B:84歳女性。PWVは約2,100、UTは約200msecで頸動脈に大きなプラークがみられる。

図1 正常者と、軽症から重症のASOの患者での足首の脈波

①より⑥にかけて、正常者から重症度を増す閉塞性動脈硬化症患者の脈波。脈波高は軽症で上昇、重症で低下するのに対し、UTの連続的な上昇がみられる。

左足首%MAPUT

37%125ms

左足首%MAPUT

42%164ms

右足首%MAPUT

42%198ms

右足首%MAPUT

46%192ms

左足首%MAPUT

45%209ms

左足首%MAPUT

53%241ms

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