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KiraCafe医療講座
2010/10/26 Talk: Haruka McMahon
『代替医療のトリック』読書会
代替医療のトリック (Trick or Treatment?)
サイモン・シン (Simon Lehna Singh)
科学ジャーナリスト、作家。代表作『フェルマーの最終定理』『宇宙創成』(新潮文庫)
エツァート・エルンスト (Edzard Ernst)代替医療分野における世界初の大学教授。英エセクター大学に代替医療学部を創設。
科学的根拠に基づき、「代替医療は病気の治療として効果があるのか?」を検証する。
第1章 いかにして真実を突き止めるか第2章 鍼の真実第3章 ホメオパシーの真実第4章 カイロプラクティックの真実第5章 ハーブ療法の真実第6章 真実は重要か?
目次
1. 科学的根拠に基づく検証とは?
• 1~3章
2.代替医療の安全性問題
• 4~5章
3.なぜ人は代替医療を求めるのか?
• 6章
本日の構成
1.科学的根拠に基づく検証とは?
壊血病治療法の臨床試験
食事+柑橘類 食事+酢 食事+海水
・・・
食事のみ
1746年,ジェイムズ・リンドによるイギリス海軍での航海中の対象比較試験
効果あり
(柑橘類に含まれるビタミンCが供給されたため)
壊血病:コラーゲンを生成するのにつかわれるビタミンCの不足により、筋骨格系の生成が阻害され、腫れ・あざ・膿み等の症状がでる
瀉血の治癒効果に対する臨床試験
1809年,アレグザンダー・ハミルトンによる対象比較試験
さまざまな病気を持つ366人の兵士
瀉血を行わない
瀉血を行わない
瀉血を行う
ランダムに割り振り
2/122人
4/122人
35/122人
死亡者数
瀉血:淀んだ血を流し去ることで病気を治療しようという考え方。当時200年ほど続いていた主流医療
試験対象となる項目以外の条件をすべての試験群で同じにすることにより、純粋に対象項目の効果を判断することができる
正確な臨床試験の妨げとなる要素
• 食事
• 衛生条件
• 年齢・性別・収入
• 対象項目以外の治療
対象項目以外の条件の差異
• 効果があると信じることによって実際に効果がもたらされる
プラセボ効果
• 認知バイアス
• 発表バイアス
バイアス
二重盲検法(Double Blind Test)
施術者も自分が行っている治療が真か偽か知らされていない
被験者も自分が行っている治療が真か偽か知らされていない
鍼の場合、浅く打つ、経穴をずらして打つ、実際は刺さらない偽鍼を使うなどのプラセボ治療が考案されたが、施術者側は真偽を知っているので二重盲検にはなりにくい
系統的レビュー
実施された試験結果に対して、科学的観点においてその質を再検討するex. コクラン共同計画
メタ・アナリシス(分析の分析)
実施された個々の試験結果を総合し、包括的な結論を出す
今日、多くの代替医療の試験結果に対し、系統的レビューやメタ・アナリシスが実施され、過去に肯定的結果が報告された代替医療についても報告の見直しが進んでいる。
2.代替医療の安全性問題
• 鍼の施術による感染・外傷
• ハーブの毒性や通常医薬の阻害
• 脊椎マニピュレートによる椎骨剥離の危険性
• その他
直接的問題
• 通常医療の忌避
• 厳しく規制されないことで危険が見逃されやすい
• 効果のない医療に国家予算や個人の資産が費やされる
間接的問題
効果のない代替医療による健康被害や医療費の損失を防げる
効果のある療法を通常医療に取り入れることができる
安全性問題克服のために
通常医療と同等の厳しい規制・検証を
ex.アメリカの
新薬開発時の検証
前臨床試験
臨床試験1~3段階
連邦食品医薬品局
レビュー
市販後調査
3.なぜ人は代替医療を求めるのか?
•自然が常に良いとは限らない(自然のままなら健康になるのではなく自然のままなら健康な者しか生き残れない)
自然
(natural)
•伝統的だから良いとは限らない(ex.瀉血)
伝統(traditional)
•通常医療も代替医療以上に全体的全体論的(holistic)
代替医療の基礎原理
批判する
• 科学は代替医療を検証できない
• 科学は代替医療をわかっていない
• 科学は代替医療に偏見を持っている
利用する
•代替医療の科学的説明
•代替医療の科学的装置
•代替医療の科学的臨床試験
代替医療と科学の関係
権威
•セレブ
•大衆への影響力
•大学
•代替医療の学位授与(権威付け)
•医師
•代替医療に効果があると信じている
• WHO
•科学的根拠の不十分な報告書に権威を与えた
情報不足
•医療研究者
•代替医療を否定しない
•医師
•代替医療に効果がないことを知らないor効果があると信じている
不信・不安
• メディア
•センセーショナリズム
•代替医療の効能を喧伝
•通常医療の危険性を煽る
•代替医療施術者(導師/グル・協会)
•医師
•治療の必要のない患者を満足させようと代替医療を施術または勧める
•患者に不満を抱かせ医療不信を招く
社会構造
•政府と規制担当当局
•代替医療に穏便な対応
社会からの影響
4.さらなる議論のために
あなたは、代替医療は効果があると思いますか?
プラセボ効果でも、効くなら利用していいのでは?
人に勧めなければ問題ない?
etc…..