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1 静菌・殺菌作用に基づく銅()イオン溶液による細菌細胞壁/細胞質膜 /細胞質における溶菌・抗菌活性反応 理学博士 石田 恒雄 1 The consideration of biocidal activities of Cu 2+ solutions in Gram-positive and Gram-negative bacterial cell walls on the results of the susceptibility tests Dr. Sci. T. ISHIDA Abstract The antibacterial susceptibilities of Cu 2+ solutions were measured against Gram- positive and Gram-negative bacteria, and the biocidal continuous processes of Cu 2+ ions into the cell wall/the cell membrane/the cytoplasm were considered. MICs of the commercial Cu 2+ solution agent were 50 ppm above, served as the bacteriostatic action and the commercial Ag + solution agent 4.70 ppm, served as the bactericidal action, respectively, against E.coli. The other, the MIC and the MBC values obtained by Cu(NO3)23H2O solutions were 625 ppm and 1250 ppm respectively, served as the bactericidal action against S.aureus. The biocidal processes of Cu 2+ solutions into microorganism are composed of the bacteriolysis of S.aureus PGN cell wall due to the inhibitions of TG,TP enzymes and the activities of PGN autolysins, the other, for E.coli cell wall, the destruction of outer membrane structure due to the degradations of lipoproteins at N-, C-terminals and the PGN hydrolases, and the hindrance of PGN elongation owing to the inhibition of PGN cross-linking enzymatic TP and the deletion of E.coli PGN autolysins. At the cell membrane, the inhibitions due to ROS(O2 , OH, OH ) formed by Haber-Weiss/Fenton reactions and the damages by Cu complex formations within the DNA base-pairs had occurred. Key words; Copper() ion solution, Staphylococcus aureus(S.aureus), Peptidoglycan (PGN) cell wall, Escherichia coli(E.coli), Outer membrane lipoprotein, Hydrolase and autolysin, Fenton reaction, ROS(Reactive oxygen species), DNA base-pairs. Nihon Univ. Sch. Pharm., Vol.55 pp. 1-18 1 日本大学薬学部上席研究員 Received 27 April 2016, Accepted 8 June 2016 E-mail:[email protected]

The consideration 2+of biocidal activities of Cu …kenkyu-kiyo55/wordpress/wp...1 静菌・殺菌作用に基づく銅(Ⅱ)イオン溶液による細菌細胞壁/細胞質膜 /細胞質における溶菌・抗菌活性反応

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静菌・殺菌作用に基づく銅(Ⅱ)イオン溶液による細菌細胞壁/細胞質膜

/細胞質における溶菌・抗菌活性反応

理学博士 石田 恒雄 1

The consideration of biocidal activities of Cu2+ solutions in Gram-positive and

Gram-negative bacterial cell walls on the results of the susceptibility tests

Dr. Sci. T. ISHIDA

Abstract

The antibacterial susceptibilities of Cu2+ solutions were measured against Gram-

positive and Gram-negative bacteria, and the biocidal continuous processes of Cu2+ ions

into the cell wall/the cell membrane/the cytoplasm were considered. MICs of the

commercial Cu2+ solution agent were 50 ppm above, served as the bacteriostatic action

and the commercial Ag+ solution agent 4.70 ppm, served as the bactericidal action,

respectively, against E.coli. The other, the MIC and the MBC values obtained by

Cu(NO3)23H2O solutions were 625 ppm and 1250 ppm respectively, served as the

bactericidal action against S.aureus. The biocidal processes of Cu2+ solutions into

microorganism are composed of the bacteriolysis of S.aureus PGN cell wall due to the

inhibitions of TG,TP enzymes and the activities of PGN autolysins, the other, for E.coli

cell wall, the destruction of outer membrane structure due to the degradations of

lipoproteins at N-, C-terminals and the PGN hydrolases, and the hindrance of PGN

elongation owing to the inhibition of PGN cross-linking enzymatic TP and the deletion

of E.coli PGN autolysins. At the cell membrane, the inhibitions due to ROS(O2-, ・OH,

OH - ) formed by Haber-Weiss/Fenton reactions and the damages by Cu complex

formations within the DNA base-pairs had occurred.

Key words; Copper(Ⅱ) ion solution, Staphylococcus aureus(S.aureus), Peptidoglycan

(PGN) cell wall, Escherichia coli(E.coli), Outer membrane lipoprotein, Hydrolase and

autolysin, Fenton reaction, ROS(Reactive oxygen species), DNA base-pairs.

Nihon Univ. Sch. Pharm., Vol.55 pp. 1-18

1日本大学薬学部上席研究員

Received 27 April 2016, Accepted 8 June 2016

E-mail:[email protected]

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1. 緒言

遷移金属である銀、銅、亜鉛の各イオンは殺菌力が強く、そのうち特に銅イオンと銅錯体

は抗菌・抗ウイルスに対してより高い毒性と抗菌薬剤としての効果が明らかになりつつあ

る。銅イオンと銅錯体1)は、生体系物質のアミノ酸、タンパク質、金属酵素2)などとの関

連、病原菌や腸内細菌3)との関係についての関心が近年急速に高まってきている。特に銅

錯体の毒性研究における抗菌特性が注目される4)。

本研究では、初めにグラム陽性細菌の代表である黄色ブドウ球菌とグラム陰性細菌の代

表である大腸菌に対して、市販の銅(Ⅱ)イオン溶液抗菌剤の感受性試験、最小発育阻止濃度

MIC 試験を行い、銅イオン薬剤による細菌の増殖作用の抑制を示す静菌作用効果を検討し

た。次いで、黄色ブドウ球菌に対する特級試薬硝酸銅(Ⅱ)溶液の感受性試験の最小発育阻止

濃度、最小殺菌濃度 MBC、生菌数 CFU の各測定を行い、銅イオンによる細菌の充分な殺

滅を示す殺菌作用効果の発現を検討した。これら一連の銅イオンによる静菌作用および殺

菌作用として働くことの結果を受けて、それに基づくグラム陽性菌とグラム陰性菌細胞の

表層構造である細胞壁/細胞質膜/細胞質における連関した銅(Ⅱ)イオンの移動・反応・透

過に伴う殺菌作用過程を、溶菌機序と金属錯体形成論の解析から検討・考察し、グラム陽性

陰性両細菌に対する銅(Ⅱ)イオン溶液による抗菌・殺菌活性作用機序を明らかにする。

2. 市販の Cu2+、Ag+ 溶液各抗菌剤、銅・銀両イオン混合溶液抗菌剤、および特級試薬硝酸

銅溶液の抗菌感受性試験

2.1 大腸菌に対する市販の銅イオン抗菌剤溶液、および市販の銅・銀両イオン抗菌剤混合

溶液(Cu2+ + Ag+ )の各 MIC 試験とその結果

大腸菌の抗菌感受性試験はマクロ液体希釈法(2 倍希釈法)により行った。最初に、出発濃

度を 10%(v/v)=50 ppm(銅イオン濃度の場合)とし、2 倍希釈法で 9 段階希釈した合計 10

段階の希釈検体液を用意した(測定濃度 0.02~10%(v/v))。次に、それぞれの希釈液 1mL に

対して、最終濃度が 5 X 105 cfu/mL になるよう調整した菌液を 1mL ずつ接種した。その

後、35℃、20 時間培養し、発育の有無を肉眼で確認した。大腸菌に対する日本イオン社製

Cu2+ 抗菌剤と Ag+ 抗菌剤の各 MIC 試験結果を Table 1、および抗菌剤混合溶液(Cu2++

Ag+ )の MIC 試験と生菌数に対する Ag+ 濃度変化の影響を Table 2 にそれぞれ示す。大腸

菌に対して Cu2+ 濃度 0.10~50 ppm 範囲ではいずれも発育が認められるが、Cu2+ の MIC

値は 50 ppm 以上であり、滅菌数の測定も出来ず、その殺菌曲線が得られないので、この市

販の銅イオン抗菌剤は細菌の増殖を抑制する静菌作用の範囲内にあるものと判断した5)。一

方、Ag+ 抗菌剤(濃度 0.30 ~150 ppm)の場合、MIC 値 4.70 ppm が得られ、殺菌作用を示

す。銀イオンの殺菌作用は強く、特に 4.70 ppm 以上の濃度で強く現れる。Table 2 で分か

るように、銅イオン抗菌剤へ Ag+ 抗菌剤を添加した両イオン混合溶液の場合も Ag+ の MIC

値は 4.70 ppm と比較的低濃度であり、銅イオン(濃度 50 ppm)が存在していても Ag+ の

MIC 値は変化しない。また、生菌数に対する Ag+ 濃度の影響について得られた殺菌曲線を

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Fig.1に示す。銀イオンの殺菌作用は強く、特に 4.70 ppm 以上の濃度で強く現れる。この

市販の Cu2+ 抗菌剤は静菌作用効果しかなく、Cu2+ 抗菌剤 0.10~50 ppm 濃度範囲では、

Ag+ 抗菌剤を加えないと殺菌作用効果が現れない。一方、Ag+ 抗菌剤は、銀イオン濃度 4.70

~37.5 ppm の比較的低濃度範囲で菌の充分な殺滅を示す殺菌作用を発現することが分かっ

た5)。

2.2 黄色ブドウ球菌に対する市販の Cu2+ 溶液抗菌剤の MIC 試験とその結果

まず、出発濃度を 20%(v/v)=100ppm となるようにハートブレインインフージョン培地で

調整した後、2 倍希釈法で 9 段階希釈した、合計 10 段階の希釈検体液を用意した(抗菌剤濃

度は 0.10~50 ppm)。次に、それぞれの希釈液1mL に対し、最終濃度が 5 X 105 cfu/mL

になるように調整した菌液を1mL ずつ接種した。最後に、35℃で 20 時間培養し、発育の

有無を肉眼で確認した。その結果は Table 3 に示すように、黄色ブドウ球菌に対する日本イ

オン社製市販の銅イオン抗菌剤の Cu2+ の MIC 値は 50 ppm 以上であり、2.1 項目の記述

における大腸菌に対する結果と同様な結果が得られ、黄色ブドウ球菌に対しても静菌作用

効果範囲しか働かないことが分かった。

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2.3 黄色ブドウ球菌に対する硝酸銅三水和物(Cu(NO3)23H2O)溶液の MIC/MBC/CFU 感受

性試験結果

初めに検体の Cu2+ 濃度を 10,000 ppm になるように、ハートブレインインフユージョン培

地で調整する。次に、2 倍段階希釈法で 9 段階希釈した合計 10 段階の希釈液を用意した

(Cu2+ 濃度は 9.8~5000 ppm)。その後、それぞれの希釈液1mL に対し最終濃度が 5x105

cfu/mL になるように調整した菌液を 1mL ずつ接種した培養液を用い、MIC 測定、MBC 測

定、生菌数測定に供した6)。得られた結果を Table 4 に示す。黄色ブドウ球菌に対する硝酸

銅三水和物溶液の得られた MIC 値は 625 ppm、MBC 値は 1250 ppm である。黄色ブドウ

球菌に対する Cu2+イオンの殺菌曲線を Fig.2 に示す。MBC/MIC=2 と両者の比が 2~4 倍

以内にあるので、この硝酸銅溶液は Cu2+ による殺菌的作用を示している7)。硝酸銅三水和

物溶液は、銅(Ⅱ)イオン濃度 78~1250 ppm で、静菌作用以上の殺菌作用効果を十分発揮

している。

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3. グラム陽性細菌ペプチドグリカン細胞壁における抗菌活性反応

3.1 グラム陽性菌細胞の表層構造

黄色ブドウ球菌のペプチドグリカン細胞壁の分子構造を Fig.3 に示す。グラム陽性細菌の

細胞壁はペプチドグリカン(PGN)と呼ばれる強固な網目構造を有し、ムレインとも呼び、グ

リカン糖鎖にペプチド鎖(架橋)がついた構造をいい、細胞壁の最も重要な構成要素である。

PGNの基本単位はN-アセチルグルコサミンNAG (GlcNAc)とN-アセチルムラミン酸NAM

(MurNAc)がβ-1,4 結合で連結した交互に共有結合し、5 つのグリシン鎖であるペンタグリ

シンで横に架橋され、さらに 4 つのアミノ酸の鎖であるテトラペプチドで縦に架橋された

分子構造を持つ。グラム陽性菌細胞表層構造は8)、細胞膜(内側)の外側に厚い層の細胞壁が

あり、これが幾重にも重なり、このような層が 40 層にもなり、そこにタイコ酸や細胞壁タ

ンパク質が貫通していて、細胞を取り巻き内圧から守っている。

3.2 黄色ブドウ球菌細胞壁のペプチドグリカンの生合成と合成酵素(TG、TP)

PGN の生合成は、次の 5 段階によって行われる9),10)。 細胞質・細胞膜において、①糖

サブユニットの活性化:担体分子(ヌクレオチド・ウリジンニリン酸 UDP)への結合によ

って NAM と NAG が活性化される(NAM と NAG の活性化 PGN 前駆体)。 ②架橋ペプ

チドの合成。ペプチドは UDP-NAM にアミノ酸が連続的に付加され、末端に 2 個のアラニ

ン残基がジペプチドとして加えられている。 ③NAM-PEP 複合体は UDP から膜に結合し

たバクトプレノールリン酸(BPP)に転送される。PGN 繰り返し単位は NAG の添加によっ

て構築される。細胞壁において、④既存の PGN への繰り返し単位の添加(重合反応)であり、

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グリカン鎖の重合反応に必要な酵素をトランスグリコシラーゼ TG という11)。 ⑤ペプチ

ドグリカン骨格へのペプチドの架橋を行う(架橋反応)。S.aureus の PGN は、5 残基の Gly

オリゴペプチドによって間接的に架橋されていて、ペンタペプチドの 3 番目の位置に存在

する L-Lys に予め(Gly)5 が結合し、(Gly)5 の末端のアミノ基と D-Ala の間に架橋が形成さ

れる。ペプチド鎖の架橋反応に必要な酵素をトランスペプチダーゼ TP11)という。

3.3 黄色ブドウ球菌の自己溶菌酵素(autolysin)

細胞壁の可溶化酵素の作用点は、グリカン部分の 2種類のグリコシド結合、ペプチド部分

の主として分岐部または架橋部分のアミノ酸残基間の結合、グリカン部分とペプチド部分

とを結ぶMurNAc → L-Ala結合が考えられる12)。S.aureus 細胞壁に対してFlavobacterium

L-11酵素は -D-Ala→Gly-と Gly→Gly- の両結合を水解するが、Staphylococcus ALEは -

Gly→Gly- 結合にしか作用しない12)。Fig.4 に示すように、PGN を切断に関与する酵素と

して黄色ブドウ球菌では自己溶菌酵素があり、また、(Gly)5を切断する分解のリゾスタフィ

ン酵素がある13)。ブドウ球菌の自己溶菌酵素は、N-アセチルムラミダーゼ、N-アセチルグ

ルコサミダーゼ、N-アセチルムラミルーL-アラニンアミダーゼ、およびエンドペプチダーゼ

の4種類がある14)。細胞壁の合成が阻害されただけでは細菌は死滅しない。自己溶菌酵素

がより活性化されると、既存の細胞壁(ペプチドグリカン層)が破壊されることになる。そ

の自己溶菌酵素は、細胞壁の成長、分離および細菌細胞の分裂、増殖に必須のものであるが、

一方で、自己溶菌酵素は溶菌・殺菌などに大きな役割を果たすものである14)。

3.4 ペプチドグリカン細胞壁における合成酵素と分解酵素のバランス喪失による溶菌

要因

黄色ブドウ球菌における合成酵素 TG、TP、自己溶菌酵素、リゾスタフィン酵素の各作用部

位を Fig.4 にそれぞれ示している。通常、これらの合成酵素と分解酵素の活性は厳密に制御

されていると考えられている15)。PGN 形成には PGN 細胞壁合成酵素も必要だが、分解酵

素も重要な役割を果たしている15,16)。銅イオンの侵入で、この合成と分解のバランスが

失われ、ペプチドグリカンは欠損し、溶菌することとなる。銅イオンは補酵素の生合成を活

発にすることが明らかされている17,18)。このことは銅錯体形成によって誘発された自己溶

菌酵素の活性化に寄与すると考えられる19,20)。即ち、銅イオンによって細胞壁合成酵素が

阻害され、一方でさらに細菌自身が保有する自己融解酵素の阻害剤であるリポタイコ酸

(LTA)が細胞外に遊離される21)、22)と共に、自己溶菌酵素を活性化し、溶菌・殺菌が起

こるものと考えられる。

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3.5 重合反応と架橋反応の阻止、縦方向へのグリカン糖鎖間銅錯体の形成と横方向へのペ

プチド銅錯体の形成

Cu2+ は、糖鎖連結の部分的な部位に、次の反応式に従って銅錯体を形成する30,23,24)。

Cu2+ + LH → CuL+ + H+

CuL+ + LH → CuL2 + H+

Lは配位子を表す。その糖鎖間銅錯体は、・・―NAG-(NAM-Cu2O2N-NAG)-NAM―・・であ

ると推定される20)。 一方、横方向におけるペプチド鎖との銅イオンの結合で、ペプチド

銅錯体の形成を起こす。 銅イオンは側鎖の横方向に、ペプチド鎖と結合してペプチド銅

錯体を形成する20),25)。

Cu2+ + 2LH → CuL2 + H+

そのペプチド銅錯体は、3N-Cu-O、Cu(Gly-L-Ala)H2O と考えられる19,20)。

3.6 黄色ブドウ球菌の認識におけるタンパク質リン酸化酵素から構成される情報経路の活

性化を介して活性酸素(ROS)の産生が導かれる26)。さらに、銅イオンとタイコサン・リポタ

イコサンとの結合によって、O2-, OH-を生成する。O2について、NADPH + H+ が縦糸

方向の糖鎖間 NAG-NAM 間で反応し、スーパーオキシドアニオン O2- が生成する。さらに

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過酸化水素 H2O2を生成する。

O2 → O2-

2O2- + 2H+ → H2O2 +O2

4. グラム陰性細菌細胞壁における抗菌活性反応

4.1 グラム陰性菌細胞の表層構造

Fig.5 に大腸菌細胞壁構造の模式図を示す。グラム陰性菌細胞表層構造の特徴は、細胞壁は

複雑な多層構造を有し、その外膜はグラム陰性菌に特有の膜構造を持つ。外膜(厚さ約 8 nm)

の構造は、リン脂質とタンパク質、特有成分を多く含むリポ多糖 LPS が膜外層に存在する

脂質二重膜である。LPS は脂質と多糖の複合体で、リピドAと特殊な構成糖からなる多糖

部分である。その化学構造は、O-抗原多糖、コア多糖、リピドAから成り立つ。リピドAは

外膜の外層に埋まった膜脂質として存在し、コア多糖部分がその外側に繊維状に伸び O-抗

原多糖をリンクしている。外膜-PGN 複合層と細胞質膜との間にはペリプラズムと呼ばれる

間隙があり、多種類の可溶性タンパク質が存在する。 外膜は細胞表層の最外層を構成し、

外膜主要リポタンパク質を介してその内側にある薄い PGN 層(厚さ約 2 nm)と化学結合

している27)。Fig.6 に主要リポタンパク質のリン脂質との分子結合、PGN 層との分子結合

の様式およびリポタンパク質の N 末端と C 末端における分解酵素の作用部位をそれぞれ示

す。外膜主要リポタンパク質(BLP)は三量体で存在し、N-末端にあるリン脂質で外膜内葉に

埋め込まれ、C-末端のリシン残基のε-アミノ基でペプチドグリカン層のジアミノピメリン

酸と共有結合している。

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4.2 細胞壁外膜構造の維持・形成の阻害

(1)大腸菌外膜リポタンパク質(BLP)の生合成と分解の阻害

Braun リポタンパク質 BLP の形成は、リポタンパク質シグナルペプチダーゼによるシグ

ナルペプチドの切断の第一酵素と、シグナルペプチドペプチダーゼ(プロテアーゼⅣ)による

分解の第二酵素(分解部位は不明)によって促進される 28)。切断されたシグナルペプチドの分

解は、細胞にとって必須のことであり、分解酵素を阻害することで、細胞の殺菌作用を起こ

すことが考えられる。BLP 生合成の切断酵素と分解酵素が Cu2+によって阻害されるかどう

か、まだ未解明である28)。

(2)リポタンパク質 N-,C-末端における両構造体との連結阻害

主要リポタンパク質は、N-末端にある脂肪酸残基で外膜と相互反応し、C-末端で PGN 層

と共有結合的に相互反応して、脂肪酸とペプチドグリカン層の両構造体を連体する役割を

担っている27)。この両構造体の連結を損傷することによって細胞壁外膜の構造維持ができ

なくなる。Fig.6 に示したように、銅イオンによる C-末端の分解にアミダーゼ酵素、N-末端

の分解にエンドペプチダーゼ酵素の活性化への寄与が考えられる。大腸菌外膜リポタンパ

ク質の生合成が分断・分解酵素活性化から起こることと同様、外膜主要リポタンパク質両連

結部の N-と C-末端部における分解酵素のアミダーゼとエンドペプチダーゼの活性化によ

る外膜構造維持に傷害を起こすものと考えられる29, 30)。このことは、大腸菌に対する金

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属イオンの殺菌作用において細胞壁外膜の破壊による溶菌が観察されることと一致してい

る31)。

(3)銅イオンと外膜主要タンパク質との結合による銅タンパク質の形成

Cu2+ はリポ多糖 LPS の Lipid A 通路を通り難く、また、大腸菌外膜においては受動的に

透過しにくいと思われ、Cu2+ による膜の主成分であるリボ多糖の生合成の阻害32)を起こ

すかどうかは不明である。外膜は比較的大きな分子に対しては透過障壁として働くが、物質

が外膜のリン脂質二重層を容易に透過できるには、透過を司る孔の存在が考えられる。その

孔がポーリンタンパク質である。脂質液胞中にあるポーリン孔への透過は33)、 金属カチオ

ン選択の大腸菌ポーリン孔の OmpD、NmpC、タンパク質Pである。銅イオンは大腸菌外

膜における受動的透過によって銅結合タンパク質の形成があると考えられるが、外膜構造

形成の崩壊までには至らないと考えられる34)。 大腸菌ぺリプラズム空間と PGN 層への銅

イオンの透過現象は、他の膜透過と比較して大きい35)。 従って、銅イオンは外膜とぺリプ

ラズム空間に多く集積され、その結果、銅イオンは外膜の合成・分解や銅タンパク質の生成

および PGN 形成・分解の反応に多く費やされるものと考えられる36),37)。

4.3 大腸菌ペプチドグリカン形成における合成酵素の阻害および自己溶菌酵素の活性化、

又は、自己溶菌酵素の抑制・欠損

Fig.7 に大腸菌ペプチドグリカンに対する合成酵素と分解酵素の作用部位を示す。グリカ

ン糖鎖の結合は重合反応38)で進行する。重合反応は PGN の伸長点の末端・NAM に残っ

ている lipid を切り出し、前駆体の NAG と伸長点の末端の NAM との間でグリコシド結合

を形成する反応である。 銅イオンは PGN 合成酵素であるトランスグリコシラーゼ TG の

阻害による重合反応を阻止するかどうかは不明である。 一方、酵素トランスペプチターゼ

TP によって、ペプチド鎖間の結合での架橋反応を促進させる38)。銅イオンは PGN 形成を

阻害することは報告されているが34)、具体的な作用部位については述べていない。しかし、

TP 酵素の阻害と自己溶菌酵素の活性化によって、架橋反応の阻止による PGN 形成にダメ

ージを与えることは十分考えられる。 銅イオンのペリプラズム空間への集積で、その空間

にある PGN の自己溶菌酵素の活性化による溶菌要因がある。一方、大腸菌のオートリシン

の多くは Hg2+ や Cu2+の金属イオンによって抑制されるという報告もあり39)、この分解酵

素の抑制、又は欠損は PGN の伸長を阻害し、溶菌を引き起こすことにもなる15)。 よって、

銅イオンによる peptidoglycan autolysins の抑制・欠損は溶菌要因となり得ると考えられ

る。このことは、金属錯体による大腸菌 PGN 層への傷害において、細胞膜の消失、細胞質

内からの溶出が観察されることと一致する40)。

4.4 大腸菌細胞壁における活性酸素 O2-, H2O2の生成

呼吸系酵素群には-SH 基を含む酵素が存在するため、Cu2+ は-SH 酵素と結合し、これ

らの酵素活性を失活させ、細胞を損傷する。

Cu2+ + -SH → -SCu(Ⅰ) + H+

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細菌細胞が Cu2+に対して高い親和性を示し、Cu2+の大部分が細胞表面タンパク質のアミノ

酸残基に結合している41)。Cu2+ が外膜タンパク質-銅結合とラクタマーゼ酵素との結合で、

銅-タンパク質複合体を形成し、タンパク質合成を阻害する。 NADPH における呼吸鎖にお

いて42)、 酸素と反応し、スーパーオキシドアニオン(O2-・)を生成する。菌表面でスーパ

ーオキシドジスムターゼ酵素(SOD)と反応して H2O2が発生する43)。

O2 + e → O2-・

Cu2+ + O2- → O2 + Cu+

O2- + e + 2H+ → H2O2

Cu2+ + H2O2 → Cu+ + H+ + HO2・

5. 細胞質膜における抗菌活性反応

(1)銅アンミン錯体[(Cu(NH3)4)]2+と銅タンパク質錯体(Cu タンパク質)の形成

(2)Haber-Weiss 反応

生成したH2O2は、O2-と反応して、非酵素的に反応性の高い ・OHとOH-の生成が進む。

Haber-Weiss 反応44); H2O2 + O2- → ・OH + OH- + O2

(3)Fenton 反応

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過酸化水素は、一価の銅イオン Cu+と反応して、・OH、 OH- の生成がさらに促進される。

Fenton 反応45); Cu+ + H2O2 → ・OH + OH- + Cu2+

(3)ヒドロキシラジカル・OH の挙動

Haber-Weiss と Fenton 両反応で生成した・OH は、特に活性酸素種の中で最も反応性に

富み、電子を受け取って OH-になり、無差別な酸化を行い、細胞質膜を阻害する。 細胞質

膜において電子伝達系による酸化的リン酸化で O2が 1 電子還元を受ける過程で、次のよう

な種々の活性酸素を生成する46)。

O2 →O2-→ H2O2 → ・OH + OH- → H2O

⇅H+ ↓ O2

・OOH L・(脂質ラジカル)→LOO・(過酸化脂質ラジカル)→LOOH(過酸化脂質)

生成した O2-は、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)により H2O2 に変換され、さらに

H2O2 はカタラーゼあるいはペルオキシターゼにより H2O に変換される。H2O2 が H2O に

変換されるとき、・OH が生成するが、通常はカタラーゼとペルオキシターゼの触媒作用で・

OH の蓄積を抑制している。活性酸素種による細胞膜阻害を受けると、O2-と H2O2 が蓄積

することになる。O2-の膜透過性は小さく、H2O2は容易に透過し細胞質へ進行する。

6. 細胞質における抗菌活性反応

(1)銅アミン錯体 [ (Cu(N-3R)4)]2+、N, O, S-配位基銅錯体の形成

Cu2+ に対する錯体の代表的な配位基は、配位原子 N では -NH2、アミノ酸残基リジン、

配位原子 O では -COOH(-COO-)、アミノ酸残基グルタミン酸、配位原子 S では -SH(-S

-)、アミノ酸残基システインである47)。細胞内では銅イオンはタンパク質に結合した状態

で保持されるが、電子伝達不能及び酵素生産の制御と代謝機能制御の不能に陥ることで、代

謝機能の阻害とタンパク合成阻害が起こる。

(2)DNA 合成阻害

銅イオン存在の下に活性酸素による DNA 損傷は、活性酸素の・OH が DNA 鎖を切断し、

DNA を構成する 4 種の塩基のうちグアニンに損傷を与える48)。 H2O2の存在で、寿命の

長い H2O2が DNA 損傷作用を与える49)。

Cu(Ⅱ) + H2O2 → Cu(Ⅰ) + H+ + HO2・

2HO2・→ 2O2- + 2H+ → H2O2 + O2

(3)DNA 塩基間 A(アデニン)=T(チミン)対および G(グアニン)≡C(シトシン)対における銅

錯体の形成

Fig.8 に示すように、核酸塩基のプリン塩基 A, G およびピリミジン塩基 C, T における金

属イオンの結合し易い主たる部位は、pKa(酸解離定数)にも依存する

が、 A, G に対しては N(7),N(1),O(6)、C, T に対しては N(3),O(2)である50,51)。

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A=T 対間の銅錯体は A の N(7)部位、T の N(3),O(2),O(4)部位に Cu2+ が結合し、N-Cu-N,-

O,-O 錯体を形成すると予想される。 一方、核酸塩基の三重水素結合を持つ G≡C 対間の

銅錯体は G の N(1),O(6)部位、 C の N(3),O(2)部位と Cu2+ は結合し、N-,O-Cu-N,-O 錯体

を形成するものと推測される。pKa 値による金属イオンの作用部位の変化については、A=

T塩基対の場合、pKa 値の差は大きく、G≡C 塩基対の場合のそれは小さい。 核酸塩基と金

属カチオンの結合は、pKa の変化によって、中性でも比較的安定な塩基対構造を形成するこ

とができる52)。金属イオンの結合部位に対する pKa 依存性についての詳細は、まだ明確に

されていない。

以上、グラム陽性菌細胞壁ペプチドグリカン層、またはグラム陰性菌細胞壁外膜/細胞質

膜/細胞質の各領域における連関した Cu2+ の移動、反応、透過による銅錯体形成と活性酸

素種産生に伴う Cu2+ の殺菌作用過程について解析した結果をまとめて Table 5 に示す。

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Cu2+ は各領域への移動・透過によって、PGN 層、または、外膜では銅(Ⅰ)アミノ錯体、細胞

質膜では銅(Ⅱ)アンミン錯体、細胞質では銅(Ⅱ)アミン錯体を主に形成すると共に、細胞壁

で O2 → O2-、 H2O2、 細胞質膜では・OH、OH-、細胞質では H2O2の活性酸素種がそれ

ぞれ生成し、各領域における抗菌活性作用に関与するものと考えられる。

7. 結論

グラム陽性菌およびグラム陰性菌の細胞壁/細胞質膜/細胞質の各領域における連関し

た Cu2+ の移動、反応、透過による Cu2+ 溶液の殺菌作用過程について解析した結果は、お

よそ次のように要約される。

① グラム陽性菌ペプチドグリカン細胞壁の溶菌は、銅イオンによるペプチドグリカン合成

酵素の阻害、グリカン糖鎖間銅錯体とペプチド銅錯体の形成、自己溶菌酵素の活性化に

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よって起こる。

② グラム陰性菌細胞壁の溶菌は、外膜リポタンパク質 N-と C-両末端の分解酵素の活性化

とペプチドグリカン加水分解とによる外膜構造の破壊、およびペプチドグリカンにおけ

る架橋反応のペプチド酵素 TP の障害と大腸菌オートリシン欠損とによるペプチドグリ

カン伸長阻害の要因による。

③ 細胞質膜では、Haber-Weiss・Fenton 反応による活性酸素 ・OH、OH- の生成、それ

らによる膜障害、O2-、H2O2の蓄積を起こすものと考えられる。

④ 細胞質では、Cu-H2O2の存在下で、DNA 鎖の切断と DNA 損傷、DNA 塩基対における

水素結合部の H 原子に Cu2+イオンの置換による銅錯体の形成が起こる。

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