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1098 Sensodec 6Sラ ンナビリティーモニタリングシステム* メッツォオー トメーション株式会社 ペ ー パ ー オ ー トメ ー シ ョ ン.事.業 Sensodec 6 S Runnability Monitoring System Kiyoshi Dekula Metso Automation K.K. Paper Automation div. For a number of years on-line machinery condition and runnability monitoring systems have al- lowed maintenance departments and paper mill operating staff to measure machinery vibration, proc- ess pulsation and paper quality in order to detect mechanical deterioration or process stability problems at an early stage. With the analysis tools built into these systems, developing problems have been averted, thereby reducing the occurrence of unscheduled downtime and improving runnability. Preven- tive maintenance scheduling and papermachine fabric changes have been made more proactive and ef- fective. Today, industry standards for network communications and emerging industry standards for oper- ating systems and operator interfaces are facilitating the development of millwide networks. With the adoption of these standards, the seams between process control systems, quality control, production management and information systems are dissolving. Operations, quality control, and engineering per- sonnel are now multiple users on the same network. Similarly, on-line machinery condition and run- nability monitoring systems are becoming an integral part of the same network. Distributed architec- tures and high speed communications allow maintenance and operations personnel to analyze the same process and machinery condition information. While general information sharing is becoming commonplace, there is a continuing need for ma- chinery condition and runnability monitoring systems to offer their specific users more insight into the complex, dynamic area of machinery condition, process pulsation and paper quality interactions. These task-oriented systems have recently introduced new signal processing techniques and user tools to make predictive maintenance diagnosis and operator interaction more insightful and effective. 分 類:V2紙 パ ル プ 工 程 制 御 シ ス テ ム,M1抄 紙 ・抄 紙 機一 般 1. じめ こ こ 数 年 の 問 に オ ン ラ イ ン機 械 状 態 監 視 シ ス テ ム お よ び ラ ンア ビ リ テ ィー モ ニ タ リ ン グ シ ス テ ム が,機 械 振動計測 ・プ ロ セ スの 脈 動 お よ び 紙 品 質 ま た は プ ロセ ス の 安 定 性 を 早期 に知 る ツ ー ル と して 保 全 課 ・製 紙 工 場のスタッフの間で認知されるようになってきた。解 析 ツー ル と と も に こ れ ら の シ ス テ ム を 機 械 に 組 込 む こ * 平 成13年 度 年 次 大 会 講 演(講 演No.B14) 6 紙パ技 協誌 第56巻第8号

Sensodec 6 S Runnability Monitoring System

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1098

Sensodec  6 Sラ ン ナ ビ リテ ィ ー モ ニ タ リ ン グ シ ス テ ム *

メッツ ォオー トメー シ ョン株 式 会社 ペー パー オー トメー シ ョン.事.業部 出 倉 潔

Sensodec 6 S Runnability Monitoring System

Kiyoshi Dekula

Metso Automation K.K. Paper Automation div.

For a number of years on-line machinery condition and runnability monitoring systems have al-

lowed maintenance departments and paper mill operating staff to measure machinery vibration, proc-

ess pulsation and paper quality in order to detect mechanical deterioration or process stability problems

at an early stage. With the analysis tools built into these systems, developing problems have been

averted, thereby reducing the occurrence of unscheduled downtime and improving runnability. Preven-

tive maintenance scheduling and papermachine fabric changes have been made more proactive and ef-

fective.

Today, industry standards for network communications and emerging industry standards for oper-

ating systems and operator interfaces are facilitating the development of millwide networks. With the

adoption of these standards, the seams between process control systems, quality control, production

management and information systems are dissolving. Operations, quality control, and engineering per-

sonnel are now multiple users on the same network. Similarly, on-line machinery condition and run-

nability monitoring systems are becoming an integral part of the same network. Distributed architec-

tures and high speed communications allow maintenance and operations personnel to analyze the same

process and machinery condition information.

While general information sharing is becoming commonplace, there is a continuing need for ma-

chinery condition and runnability monitoring systems to offer their specific users more insight into the

complex, dynamic area of machinery condition, process pulsation and paper quality interactions. These

task-oriented systems have recently introduced new signal processing techniques and user tools to

make predictive maintenance diagnosis and operator interaction more insightful and effective.

分 類:V2紙 パル プ工程 制御 システ ム,M1抄 紙 ・抄 紙機一 般

1.  は じ め に

ここ数年 の 問 にオ ンライ ン機 械状 態 監視 シ ステムお

よび ラ ンア ビ リテ ィー モ ニ タ リングシ ステムが,機 械

振 動 計測 ・プ ロセ スの 脈動 お よび紙 品質 また はプ ロセ

ス の安定 性 を 早期 に知 る ツー ル と して保全 課 ・製紙工

場 の ス タッフの 間で 認知 され る ようにな って きた。解

析 ツー ル と ともに これ らの システ ムを機械 に組 込む こ*

平成13年 度 年次 大 会講演(講 演No.B14)

6 紙パ技協誌 第56巻 第8号

Sensodec6Sラ ンナ ビ リ テ ィー モ ニ タ リ ン グ シ ス テ ム 1099

とによ り,問 題 の発生 や予期 しない ダ ウ ンタイム は改

善の 方向 に転 じて きた 。問題 発生 防止 の見 地か らの計

画的 な保守 や抄紙 機 フェ ル ト替 えは,よ りい っそ うの

効果 を もた らしてい る。

今 日工場 の ネ ッ トワー クや緊急 時 に関す る標 準 お よ

びオペ レー タイ ンター フェ イスは,工 場全 体 の レベ ル

で 開発 されて いる。 この よ うな標 準 の採 用 はプ ロセス

コ ン トロール システ ム ・品質管 理 ・生産 管理 お よび情

報管 理 デー タベ ー スの境 目をな く して いる。 運転 ・品

質管 理お よび技 術者 は同一 ネ ッ トワー ク上 に多数存 在

す る。

同様 にオ ンラ イ ン抄 紙 機状態 監視 。 ラ ンア ビ リテ ィ

ーモニ タリング システ ムは同 一 ネ ッ トワー ク上 の一部

分 となって いる。分 散化 され た アーキ テ クチ ュア と高

速 デー タ通信 が保守 管理 者 と運転者 によ る同一 デー タ

での プロセ ス ・抄紙 機解 析 を可能 に してい る。

2.  Sensodec6Sラ ンナ ビ リテ ィー

モ ニ タ リン グ シス テ ム

2.1  分散化 され たアー キテ クチ ュア

最 新 のSensodec6Sラ ンア ビ リテ ィー状 態 監 視 シ

ス テム は,信 号処 理 と演算 が個 別 にで きる分散 化 アー

キ テクチ ュア と抄 紙室 フロア上 また は電気 室 に位置 す

るイ ンテ リジェ ン トモ ジュー ルを統 合 してい る。 これ

らのモ ジュー ルは プロセ スエ リア を統 合 す る ことがで

きる位置づ け にな る。 これ らのモ ジュー ル は また制御

盤 の ラ ックや ク ロス コネク シ ョンに位置 す る こと もで

きる。 この ような ビル デ ィ ングブ ロ ック方式 の シス テ

ムは,ひ とつ のプ ロセ スエ リアをモ ジ ュ ラー ベ ース で

考 える こ とが で きる様 に なって い る。 これ らの サブ ス

テ ー シ ョンモ ジ ュ ー ル は 工 業 標 準 規 格 のTCP/IPプ

ロ トコル に よ り高 速 ネ ッ トワー ク を形成 してい る。以

前 の もの は通信 プロ トコルを使 っ てい なか った ので通

信 速 度 は遅か っ た。

規模 の 選べ る シス テム は,基 本 的 なシ ング ルサ ブス

テー シ ョンク ラスの もの か ら生 産 ラ イ ン全体 の もの ま

で いか よ うにで も設計 で きる。6Sシ ス テム のTCP/IP

ネ ッ トワー クは,複 数サ ブス テー シ ョンか ら抄 紙機 ・

プ ロセ ス情報 まで ネ ッ トワー クサ ーバ と して機 能す る。

サ ーバ は通常 のWindowsNT灘(英 語 版)を 使 ったPC

で あ る。 オペ レー タ イン ター フェ イス はwindowsNT

一ワー クス テー シ 鷺ン(日 本語 版)を 基 本 に した デ ス

ク ト ップで あ る。 こ れ らの デ ス ク トッ プ はTCP/IP

ネ ッ トワー クにア クセ スで きる ところ な らば工 場 の何

処 にで も設 置可 能で あ る。

工場 全体 の ネ ッ トワー クが 存在 す る な らば,サ ブ ス

テー シ ョンは腐 食性 雰 囲気 中 ・チ ッ ピン グ領域 ・飛沫

飛 散領 域 あ るいは ボ イラーハ ウス にで も設置 可能 で あ

る。 これ は中操 室 に よる遠 隔監 視 に よる もので あ る。

サ ーバ のSQLデ ー タベ ー ス は工 場 の他 設備(情 報

ネ ッ トワー クお よび保 守管 理 シス テム を含 む)と の情

報交換 を司 る。抄 紙機状 態 とプ ロセス の安 定性 お よび

ア ラー ムがDCSや オ ンラ イ ン品質 管理 シス テ ム に 送

られ る(図1)。

図1  最 新 のSensodec6S(分 散 型 アー キテ クチ ュ アを持つ)

2002年  8 月 7

1100 出 倉 潔

2.2  改善 され た信号 品 質

独 自の ステ ー シ ョ ンモ ジ ュー ル開 発 と同時 に,Sen-

sodec6Sの 信 号 品質 も これ まで の シ ス テ ム と比 較 し

て飛 躍 的 に向上 して い る。AD変 換 段 階で デ ィ ジ タル

側 が2bit追 加 され る と,信 号 分 解 能 と して4倍 の制

度 にな る。 デ ィジ タル側 で4bit追 加 され る と16倍 の

精 度 とな り信号 の ノ イズ に対 す る比 が改 善 され る。

多 くの抄 紙 ア プ リケー シ ョンにお い て この よ うな高

分 解 能 が必 要 であ る。 これ は増幅 度 の低 い ダイナ ミ ッ

ク信 号 で高DCオ フセ ッ トの ときに特 に必 要 で あ る。

この 高 感度 は例 えば ヤ ンキ ー ドラ イヤ ー上 の不 具 合増

大 を検知 しよ うと してい る時 必要 で あ る。 ヤ ンキ ー シ

リ ンダー はそ の大 きさ と重 量 か ら,大 きな振 動 と音 を

た てて い るか らで あ る。 感度 の よい信 号 分解 能 に よっ

て,小 さ なベ ア リ ングの 欠陥 が大 きな振 動 と音 の 中 で

も容 易 に検 知 で きる よ うに な る。

サ ブ ス テー シ ョンモ ジュ ール はそ れ ぞれ セ ンサ ー に

絶 縁 され た ・別 個 の電 源 を持 ってい る。 これ は過 渡電

流 後 の いか な る信号 遅 れ を も防止 す る。 この設 計 ゆ え

に短 い計 測 周期 か つ複 数 チ ャ ンネ ルの 同時 測定 が 可能

に なっ て いる。

新 しいサ ブ ス テー シ ョンモ ジュー ル は,新 しい フ ィ

ル タ リ ング技 術一 最 適 周期 的応答 ローパ ス フ ィル ター

を も持 って い る。結 果 は レーザ デ ィス ク なみ の もの で

あ る。 この 手 の フ ィル タ リ ングは信 号 の位 相ず れ を 除

去 す る。 モ ー タ ・ギ ア ・ロ ール の組 合せ 等 を解 析 す る

時,い か なる位 相 ずれ も本 当の もの で あ り信 号 フ ィル

ター に は影響 され な い。例 えば共 振 の原 因 を特 定 す る

こ とが で きる。

2.3  複 数 チ ャン ネル同 時解 析(SCMA)

抄 紙機 シス テ ムは複 雑 で あ るこ とは い う まで もな い、

ワ イヤ ー ・プ レス そ して仕 上 げ機 械 な ど,多 くの ロー

ル とそ れ に結合 され たギ ア とモ ー タ よ り構 成 され て い

る。 も し抄 紙機 フェ ル トの状 態 ・プ ロセ スの脈 動 ・紙

品質 等振 動 の要 因 が付 加 された ら,解 析 は非常 に困難

な もの に なる。 何 が不 安 定の 要 因で あ りどの よ うに し

て伝 達 され る のか?紙 品質 は どの よ うに抄 紙 機 の状

態 とプ ロ セス の安 定性 と関係 す るの か?

複 雑 な抄 紙機 とプ ロセ ス解析 に アプ ロー チす るた め

に,そ れ ぞ れ のSensodec6Sサ ブ ス テ ー シ ョ ンモ ジ

ュー ル は,80チ ャ ンネル まで の すべ て の計 測 値 を同時

に解 析 で きる よ うに設 計 されて い る。 これ らは アナ ロ

グお よび デ ィジ タル の各 入力 を混 在 して設 定 で きる よ

うにな って い る。 これ は前 述 の通 り信号 品 質 の改 善 を

可 能 に して い る。 以前 の シス テ ム で は 同 時 に16点 の

デー タまで しか解析 で きなか った。 これ に対 し新 しい

シス テ ムは"マ ルチ チ ャ ン ネル同 時解析 シス テム"ま

たはSMCAと 呼 ば れ てい る。

この 同時解 析 の能 力 は抄 紙機 全体 を同時 に監 視す る

こ とを可 能 に した。 例 え ば トラ イニ ップ プ レス におい

て,操 作 側 と駆動 側 そ れぞ れ の ロー ル ・プ レス ロー ル

と フ ェル トの トリ ガー セ ンサ ー等 少 な くと も24点 の

振 動 セ ンサ ー を入 力 で きる。10本 ロ ー ル ス ーパ ー カ

レン ダーで は少 な くと も30点 の入 力が 可 能で あ る。

これ らのす べ て の信 一号はSMCAに お い て 同時 に解

析 され る。 同期 平 均 解 析(STA)は 機 械 要 素 間 の 関

係 を明 らか にす る。 機械 全 体 に影響 を及 ぼす振 動 の問

題 は特 定 の機 械 要素 に 分 け られ る。 例 え ば スーパ ー カ

レン ダース タ ック全 体 の振 動 は,ソ フ トロー ルの信 号

か ら きてい る こ とが トレー スバ ックか ら見つ け出 され

る。

SMCAを 用 い る と抄 紙 機状 態 とプ ロ セ ス安 定 性 の

相 関 を 見る こ と もで きる。 例 えば抄 紙 機 ア プロー チ シ

ステ ムの 中 で,原 料 系脈 動 が 回転体 の 振動 に関係 して

いる等 で あ る。 図2で ヘ ッ ドボ ック スの圧 力脈 動が,

ア プロ ーチ システ ム中 多 くの ス ク リー ンやポ ンプの脈

動 か ら くるこ とが トレー スバ ックで きる。 機械 部 分 を

ク リ ックす る と回転 体 の振 動 ・プロセ ス脈 動 の原 因 と

な り得 る とこ ろの状 態 を解 析 で きる。 この よ うなプ ロ

セ ス と機 械部 分 の集 積 され た安 定性 解 析 は ラ ンア ビリ

テ ィーや 品 質の 問題 対 策 とな る。

2.4  オペ レー タイ ン ター フ ェイス

周 知の ウ ィン ドウ ズ環 境 との組合 せ に よ り,オ ペ レ

ー タの シス テ ム との相 関 は よ り単純 で 直感 的 に なる。

ポ イ ン トとク リ ック指 令 に よ りオペ レー タは グ ラ フ ィ

ックを通 して ア ラーム 認知 を行 い ・ア ラーム を機械 部

分 か ら切 離 し ・問題 点 と特 定 し(例 えばベ ア リン グ レ

図2  複数の振動源の同時解析(起 こり得るプロセ

ス ・品質 ・機械的不安定要因を特定できる)

8 紙パ技協誌 第56巻 第8号

Sensodec6S  ラ ンナ ビ リ テ ィー モ ニ タ リ ン グ シ ス テ ム 1101

ー ス)そ して問題 点の深 刻度 を判定す る。 プ ロセ スの

特 定 に よ り,す ばやい対 応 と高 い階級 での 対応 が 可能

に なる,.

メイ ンの グ ラフ ィックペ ー ジか ら牛 産 ライ ンhど の

ポ イ ン トか らの不 具合源 も特 定す る こ とが で き問題 点

を特 定 す る こ とが で き る(図3)。 バ ー グ ラフ か ら機

械 要素 の振動 源や ベ ア リングの不 具合 を特 定で き,ト

レン ドデ ィスプ レ イにア クセ ス し信 号 とスペ ク トルに

よるよ り高度 の解析 に結 びつ け るこ とがで きる。

時 には異 なる スケー リングや デ ィスプ レイ構 成 を好

み によ り構築 で き惹,こ れ らはユ ーザ キー 機能 に よ り

ア クセスで きる。 また トレー ニ ン グマ ニ ュア ルや支援

情 報へ の アクセ ス も口工能 であ る。

2.5  ユ ーザ ツール

保全担 当の 方々は機械 コ ンポ ー ネ ン トの 問題 に関 し,

その原 因 につ いて 分類 ・特定 す るため の ツー ルが必 要

に なる。 ツール ボ ックスは経験 豊富 なユ ー ザが信 号 ま

た はスペ ク トラムを信号 処理 ・スペ ク トル特 定 ア プ リ

ケー シ ョンに よって解析 こと を可 能 にす る。 これ らは

ハ イパ スお よび ローパ ス フ ィル ター ・ス ケー リ ング選

択 ・信 号スク ロー ル ・スペ ク トラム生成 お よ びハー モ

ニ ック ス生成 を含 む。

システ ムは フ ィンガー プ リン トスペ ク トラマ ー カー

付 きマ シンコ ンポ ー ネ ン トタイプラ イブ ラ リー か ら構

成 されて いる。ベ ア リ ング用 に は内側 ・外 側お よび ボ

ー ルパ ス用が 含 まれて い る。

6Sシ ス テム は機械 の状 態 をグ ラ フ ィッ クで表 示 す

る ラ イブ ラ リー も備 えてい る。ユ ーザ ー はこれ らの グ

ラフ ィックや 解析 画 面を カス タマ イズす るこ とがで き

る(図4)。 レポー トもシ ステ ム コ ンフ ィギ ュ レー シ

ヨンツー ルを使 うこ とに よ りカス タマ イズす る こ とが

で きる。

3.  操 業 実 績

3.1  操業 実績 の例

操 業実 績 の代 表例 を以 ドに示す 。

この 例 はStora-Enso社Varkaus工 場4号 抄 紙機 に

搭 載 したSensodec6Sの 実 例 で あ る。 こ の 抄 紙 機 に

お い て は初 の オ ン ライ ンOptiLoad抄 紙機 と して,絶

えず迅 速 な問題 発見 と定 期 的な予 防保 全措 置を実施 す

るた め に 設備 投 資 され た(写 真1)。 しば ら くの 問 携

帯型 振動 セ ンサ ー に よるオ フ ライ ン解 析 を実施 してい

たが,後 にSensodec6Sに よる オ ン ラ イ ン ・ラ ンナ

ビ リテ ィー モニ タリ ング システ ムへ と転換 が 図 られた 。

4号 抄 紙機 とTMPの 開発 責任 者 であ るMarkku  M

図3  メイ ンの グ ラフ ィッ クペ ー ジ(保 全 ス タッフ

や オペ レー タは グラ フィ ックパ スを介 して機

械的 な不 具合 を知 る ことがで きる)

図4  ユ ーザ ー ツー ルキ ッ ト(保全担 当 員 は信 号処

理お よび解 析 ツール を使 い こなす ことがで きる)

写 真1  Stora  Enso社 のMarkku  Makila氏(左)と

Kalevi  Ruotsalainen氏 が オ ン ラ イ ンOpti-

Loadカ レ ン ダー 振 動 状 況 を チ ェ ッ ク

2002年  8 月 9

1102 出 倉 潔

akila氏 は解 析 システ ム を採 用す る理 山 と して次 の よ

うに述べ て い る。

「新 しい 機 器や 設 備 を導 人 した 場合 に,皆 さん は何

が起 こるの か を常 に知 りた い と思 われ るで し ょう。 時

には ノ イズが聞 こ え,こ れ は危険 な兆 候 なのか そ うで

ないの か悩 む こ とも多 い と思 い る。 カ レ ンダ リングは

非常 にめ ま ぐる し く事象 が発 生す る ので,従 来 の よ う

な携 帯 型の 計測 機器 で何 か を追跡 ・解 析 しよ うと して

も不 可能 なので す。」

1999年3月 に工 場 は この抄 紙 機 にSensodec6Sシ

ステ ムを導 入 した。保 全 課の技 師Kalevi  Ruotsalainen

は 「Sensodecシ ステ ム は携 帯 型 計測 器 に よる 時 間の

浪 費的 な作 業 を改善 す るた め に選定 され た」 と語 っ て

い る。Sensodecシ ステ ム は非 常 に 早い 解析 周期 を持

って いる ので,オ ペ レー タや保 全 ス タ ッフは従 来の作

業 とは対照 的 に緊急 の 問題 にの み 専念す る こ とが で き

る よ う に なっ た。 同 氏 は ま た 「Sensodecの ユ ーザ イ

ンター フェ イス は学 習 す るの に非常 によ く設 計 され て

い る」 と も語 っ てい る。特 にオー プ ンネ ッ トワー ク設

計 に よってユ ーザ ター ミナ ルが 保全 管理 室 のみ な らず

抄 紙 機操作 室 に も設置 で きるよ うに なった 。

3.2  STA  が特定 の ロー ル問題 を識 別

そ れぞ れ の カ レンダー ロー ル操作 側 と駆動 側 が,振

動セ ンサ ー でモ ニ タ リング され る。 トップ とボ トム各

ロー ルは ポ リマ ー カバ ー され たSYM-Z(ゾ ー ンコ ン

トロー ル ロー ル)で あ る。 中間 に は2本 のDuraカ バ

ー ロー ル と2本 のチ ル ド鋳 鉄 製サ ーモ ロー ルが 設 置 さ

れ てい る、,各ロー ルに は トリガ ーセ ンサ ーが設 置され

てお り,ロ ール 回転 速度 を個 別 に計測 してい る,,こ れ

が解 析機 能 を円滑 か つ的確 に実現 す るた め に必 要 な,

STA(Synchronous  Time  Averaging)と 呼 ばれ てい

る。 これが カ レンダーの 実際 の振 動 原因 を追求 す る鍵

とな ってい る。

カ レンダーが振 動 す る と きはす べ ての ロー ルが か な

りの レベ ルで振 動増 幅 度 を持 ってい る と考 え られ る。

も しロー ル表面 が波 打 って いた り真 円で なか っ た りす

る と,隣 接 ロ ール 間で振 動 を起 こ し,し い ては カ レ ン

ダー 全体 に波 及す る こ とに な る。STAが どの ロ ー ル

が振 動 問題 の源 で あ るか を判別 す るため に用 い られ る。

磁 気 セ ンサ ー を トリガー と して 集め られ たお び ただ し

い数 の信号 周期 が集 め られ 平均 処理 され る。振 動 周期

は一 定 で はな いの で,ロ ー ル 回転周 期成 分 は除去 され

る。残 った信号 とその 周期 が振 動減 で あ るロー ルの特

性 に応 じて ・定 にな る。 この よ うに して研 磨 の必 要な

ロー ルが特 定 され,交 換 の後研 磨 され る。

オペ レー ター イ ン ター フェ イ スは非常 に単純 でわ か

り易 く,オ ペ レー ターか らの応 答 を容 易 に実現す る。

と くに2001年3月 以 降 はWindowsNTII本 語 版 を使

った ユ ー ザ ー イン ター フェ イ ス に よ り,こ れ までの

(Sensodec=英 語)と い った わず らわ しさ を 一掃 して

い る(図5)。 も しロー ルが振 動 問 題 の 原 因 とな っ て

いる場 合,画 面上 の 該 当す るロー ルの絵 が緑 色(正 常

状 態)か ら赤色(故 障状 態)に 反 転す る。 同 一画 面 上

で特殊 な解 析が 行 われ カ レ ンダー の障 害を警 報表示す

る。 この機 能 は カ レンダー の ス ター トア ップ時 に非常

に有効 とな ってい る。

振動 を含 んでい る信 号情 報は解 析 されて,い くつ か

(オペ レー ター 用 や保 全 川)の グラ フ ィックデ ィスプ

レイ ヒに表示 され る。 円筒 プ ロ ッ トグラ フは見やす い

ばか りで な く,ロ ー ルの波 うちや 真 円度のず れ等 を表

示す るの に適 してい る。時 系列 的 トレン ドグラフは該

当す る ロー ルの振動 履 歴 を表示す る。 この ように実際

の損 傷や 故障 が発 生す る 前に,原 因 とな る もの(現 象)

を除 去す る こ とが で きる。 スペ ク トラム解析 お よびそ

の他 の信 号処 理 ツー ルが,診 断 ・ 淀 のベ ア リ ングや

他の 駆動 リ ンクの機械 的問 題点 等の情 報を収 集す る。

滝 落 しイ メー ジの画 面が振 動の 時系列 的変 遷 を表示す

る。

3.3  オ ンラ イ ンプロ セス用 オ ンライ ン解 析

Markku  Makilaは 次 の よう に川 に述べ る。

「生 産 の 人 た ち はSensodecを 問 題 防 止に 役 航てて

い る。彼 らはほ とん どの場 合 画面か ら得 られた情 報 だ

けで ロー ル替 えを実施 してい る,こ の ため保全 課の 人

図5  オペ レー ター イン ター フェ イス

カ レ ンダーの障 害 が該当倍1二分 の表示 ボ タン操

作 に よって 表示 され る。 右側 に スペ ク トラム

画面 を 表示。 これ に よって ロー ル替え を要す

る ロー ルが特 定 され る。

10 紙パ技協誌 第56巻 第8号

Sensodec6S  ラ ン ナ ビ リテ ィー モ ニ タ リ ン グ シ ステ ム 1103

た ち はSensodec6Sの 活 川 に よっ て 的 確 な4号 抄 紙

機 の定期修 繕の ための シャ ッ トダウ ンを計画 で き ま し

た。」

定期修繕 時 には無論 の こ とロー ル替 えを実 施す るか

どうかの 判断 を しな くて はな らない 。 これは 非常 に重

要 な ことで時期 早尚の ロール替 え は該 当す る抄 紙 機 に

予期 しない シャ ッ トダウンを生ぜ しめ る原因 に な りか

ね ない。 この工 場 で は常 に ロールの 状況 を予 測 し ・振

動 トレ ン ド等 の情 報を収 集 しなが ら保全 作 業計画 を 立

ててい る。 これが ため同氏 は 「Sensodec6Sを 用 い る

こ とに よって リス クな しで ロール 寿命 を長 くす る こと

が で きま した」 とも 言ってい る、,

操 業の 人 々も 詐 くロー ルの挙 動の 違 いに は気づ い て

お り,ロ ー ルカバー材 質 ・厚み 等の 違 いが驚 くほ ど影

響 のあ る もの であ るこ とが わ かっ た,,抄 紙機 をシ ャ ッ

トダウ ン状 態 か ら 、kちヒげた時,も し初 期不 良が あ れ

ばSensodec6Sで 即 座 に確 認す る こ とが で き必 要 に

応 じて 交換 す る こ とがで きる。

結論 として 同氏 は 「Sensodec6Sな しでの操 業 は し

た くない」 と語っ てい る。

3.4  ポ リマー巻 ロール の保護

Varkaus工 場 に お い て は,UPM-Kymmeneの

Rauman場 の類 似 の ケー スか ら多 くの こ と を学 び取

っ た,,Rauma工 場 の 場 合 は,オ フ ラ イ ンOptiLoad

カ レン ダーSK41.号 お よびSK42号 に1999年9月 に

導入 された,

RaumaのSK41号 と42号 で は,UPMCote4号 抄

紙機(LWC紙 で は 肚界最 先端 の技 術 レベ ル を保 有 す

る抄紙 機)の 微塗工 紙 を年 間40万 トンを仕 上げた(図

6).Metso-Paper社 製 の4号 抄 紙 機 は1998年1月 に

ス ター トア ップ した後 す ぐに世 界最 高抄 速 を樹 立 した 。

12段 の マ ル チ ニ ップ カ レ ンダ ー で は9,650mm幅 の

塗 工紙 を950か ら1,300M/mlnで 仕 上げ 作 業 して い

る。 カ レンダ リン グで は最 高仕 一上げ生産 量(速 度)で

1,450m/minを 記録 して い る。

Sensodec6Sシ ステ ムはチ ル ド鋳鉄 製 サー モ ロー ル

の振 動 を操 作 側 と駆 動 側 で監視 して る。 トリガーセ ン

サ ーは ポ リマ ー カバ ー ロール に設概 されて い る。 この

方法 に よっ てあ る 一定 の ポ リマー ロー ル振動 が振 動 イ

ンパル ス と して 見 られる こ とを技術 的 に証 明す る こ と

がで きた,,こ の カ レ ンダーで は駆動 装 趾の振 動 も同時

にモ ニ タリ ングされ てい る(写 真2)。

4号 抄 紙 機仕 上 げ工 程 の指 導監 督Vesa  Malmsten

氏 は,Sensodec6Sシ ステ ムが いか にポ リマ ー ロー ル

の特 性 を知 るの に役 立 ったか計 り知れ な い と語 っ てい

る。 「従 来 か ら多 くの カバ ー メー カー の ロ ー ル を持 っ

て いたが,今 にな ってや っ と異 なる ロー ル カバ ー の特

性 を比 較で きるよ うに な り,そ して ロー ルの研 磨が ど

の程 度 良好 にで きて い るか を知 るこ と もで きる よう に

な りま した。 い くつ かの ロー ル につ いて は研 磨 に 関す

る 不具 合が 設置 した 後す ぐにわか り,こ の ロール を撤

去 して研 磨 しなお した とい う こと もあ り,そ して最 後

には ロー ルテ ス トマ シンで検 査 した とい うこ ともあ り

ま した」 と、,

もし 上述 の よ うなロー ルが カ レンダー上 に 長時 間残

されて い た ら,ロ ー ル カバー 表 面に 亀裂が 入 って い た

で あ ろ う とMalmsten氏 は 語 る。 「Sensodec6Sな し

で は これ らの カバー 表面 の亀 裂 とい う現 象は,原 因(=

振 動)が つ か め な か っ た で し ょ う。」 こ れ らのScn-

図6  2つ の カ レン ダー状 態 を同時 に 表示

右 側の サ イ クル プロ ッ トは ロー ルの 真円 度 を

表す。

写 真2  UPM-KymmeneのVesa  Malmsten(座

位 置)とJari  TamminenがSK41と42

の 状 況 を 画 面 で 確 認 す る

2002年  8 月 11

1104 出 倉 潔

sodec6Sか らの情 報 に よっ て オペ レー タの方 々が,

損 傷 が発 生す る前 に ロー ル を撤 去 して や る必 要が あ る

か を視覚 的 に判 断す る こ とが で き る。Malmsten氏 は

「時 に よ って は ロー ル研 磨 頻 度が 従 来 よ り も多 くな る

こ とも有 るか も しれ ない」 と語 る。 「しか し最 終 的 に

ロー ル の耐 久 寿 命 を延 ばす こ とが で きる よ うに な っ

た」 と も。 「ロー ルが壊 れて しま うよ りも,短 い 間 隔

で保 守 を しなが ら長 く耐 久 して くれ るほ うが よっ ぽ ど

いい 」 と も語 る、,

Sensodec6Sシ ステ ム は回転 す るニ ップ 間の ご く小

さな紙 片や テー プ片 に対 して も敏 感 にキ ャ ッチ して捕

らえる こ とが で きるこ とが 証 明 されて い る。紙 片 は振

動 パ ル ス を発 生 しSensodec6Sシ ス テ ムが 警報 を 出

力す る。 オペ レー タは これ らの紙 片や テー プ片 が詰 ま

って損 傷 を発 生す る前 に発 見 して 除去 す る ことがで き

る よ うにな った。 また シス テム は機械 的 な診断 に も大

変便 利 で,予 測保 全 の実 施 に大 きな効 果 をあげ て いる

(写真3)。

運 転 開 始 して か ら ほ ん の 数 ヶ 月 で 同 氏 は,「 も う

Sensodec6Sシ ステ ムを 手放 した くな い」 と も語 る。

これ らの結 果に よる技 術 的 な 自信 を物 語 る ように,同

.1二場 で はSK11号 機 とSK12号 機 に 適 用 す るSen-

sodec6Sシ ス テム を ご発 注 され た,,

4.  結 論

新 しいSensodec6Sシ ス テ ム は オ ンラ イ ンに よる

機械 状態 とラ ンア ビ リテ ィー解 析 の ための 計測 と自己

診断 の 能力 を改 善す る ため に開発 され た。 改善 は機械

的 ・プ ロセ ス的 な高 品質 の計測 ・信号 処理 を可 能 に し

て いる。 これは複 雑 な機械 系 問題 の 自己診 断お よびプ

ロセ スと紙 品質 の安 定問題 に関す る相 関 を解 析 す る こ

とを可能 に して い る。

新 しい分 散 化 され て ア ーキ テ クチ ュア-と 共 に シス

テ ムは特 定 のプ ロセ スや全 ラ イ ンの リモー トサ イ トと

して,低 コス トにて構 成 で きる よ うにな った。工 業標

準の プ ロ トコル と標 準の デー タベ ー スの活 用 に よ り,

工場全 体の 管理 システ ム とも直結 で きる ような システ

ムに な ってい る。

Windowsを 使 っ た イ ンター フェ イ スは迅 速 なかつ

効 率 的 な リア ル タイム ラ ンアビ リテ ィー監視 と機 械 の

問題監 視が で きる よ うな システム にな ってい る。新 し

い ツールが 複雑 な機械 系 の問 題点 を解 析 し ・それ を分

類 し故 障 に至 る前 に隔離 して しま う。 オ ンライ ン計測

と解析 が この よ うな事 前 の予 知 を可能 に し,故 障防1ヒ

に貢献 す るので あ る。

写 真3  SK41号 機 とSK42号 機

ポ リ マ ー カ バ ー ロ ー ル に 設 置 さ れ た

トリ ガ ー セ ンサ ー(1)

サ ー モ ロ ー ル の ニ ッ プ に 設 置 さ れ た

振 動 セ ンサ ー(2)

駆 動 モ ー タ に 設 置 さ れ た 振 動 セ ンサ

ー(3)

サ ー ビ ス ポ ケ ッ ト(4)

12 紙パ技協誌 第56巻 第8号