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2018/2/23
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動物の細菌・真菌性脳炎
疾患特異性のある主な細菌感染症
・リステリア症:主に反芻動物。人畜共通伝染病。病変は脳幹部に優位に分布し、微小膿瘍の形成を特徴とする。
・ヒストフィルス脳炎:血栓塞栓性の出血性・化膿性・壊死性脳炎。
主な真菌感染症
・クリプトコッカス感染症:全動物。肉眼的に髄膜の粘稠肥厚を特徴とし、組織学的に肉芽腫性化膿性髄膜炎を呈する。
・アスペルギルス感染症:全動物。血管の壊死を伴い、重度の壊死性化膿性脳炎を特徴とする。
脳幹部の化膿性脳炎(ウシ)
リステリア症(ウシ)
リステリア症(ウシ)
微小膿瘍
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ヘモフィルス・ゾムナス感染症
牛の大脳
ヒストフィルス(ヘモフィルス)・ゾムナス感染症
脳の脳の炎症性疾患
②寄生虫感染症
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ヒツジの腰麻痺(糸状虫症)
ヒツジの腰麻痺(線虫の迷入症)
動物の寄生虫性疾患
ネオスポラ感染症(イヌ・ウシ)
ネオスポラ感染症は、北米を中心にウシの流産を起こす原虫症として報告され、近年わが国でも本病の存在が知られるようになった。本病では特に中枢神経系と骨格筋、心筋に病変形成が見られる。イヌでは、重度の免疫抑制状態等に併発して本原虫による脳脊髄・筋炎が発生する。本原虫の形態は、極めてトキソプラズマに類似しているため、病理診断においては、特異抗体による抗原性の検索が必要。なお、本原虫の生活環は不明であるが、イヌが終宿主と考えられている。
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ネオスポーラ症
Life cycle of Neospora caninum
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各動物種のウイルス性脳炎
・ウシ: ウシ伝染性鼻気管炎(IBR)、悪性カタル熱
・ウマ: 日本脳炎、アメリカウマ脳脊髄炎(WEE, EEE)、ウマ伝染性貧血、ボルナ病(多種動物に感染?)、ウマヘルペス1・4型脳脊髄症
・ブタ: オーエスキー病、テッシェン病、血球凝集性脳脊髄炎ウイルス感染症、豚コレラ
・ヒツジ:羊跳躍病(ダニ媒介性脳炎)、ビスナ病
・ヤギ:ヤギ関節炎脳脊髄炎症候群(CAE)
・イヌ:イヌジステンパー、ヘルペス脳炎、狂犬病
・ネコ:伝染性腹膜炎(FIP)、胎生期のパルボウイルス感染、ボルナ病?
・トリ:鶏脳脊髄炎(AE)、ニューカスル病、鶏ペスト(インフルエンザウイルス)、マレック病
ウイルス性中枢疾患
①ウシ
牛の大脳皮質
非化膿性壊死性皮質脳炎(IBR)
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IBR感染牛の神経細胞核内封入体
悪性カタル熱
悪性カタル熱(心臓の血管炎)
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ウイルス性中枢疾患
②ウマ
ウマヘルペス1型脳脊髄症
ウマヘルペス1型脳脊髄症における血管炎
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アメリカ馬脳炎(EEE)
馬の中脳
好中球による神経食現象
アメリカ馬脳炎(EEE)
ウイルス性中枢疾患
③ブタ
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Porcine: Hog chlorella , moderate gliosis, Case in Philippine
Porcine: Hog chlorella, Vascular change with mononuclear cell accumulation,
Case in Philippine
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ウイルス性中枢疾患
④ヤギ・ヒツジ
ヤギのCAE(ヒツジのビスナ)
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ウイルス性中枢疾患
⑥イヌ
イヌジステンパー
イヌジステンパー白質脳炎
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イヌジステンパー白質脳炎
イヌジステンパー皮質脳炎
CDV-NP IHC
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ウイルス性中枢疾患
⑥ネコ
MRI 田村先生(たむら動物病院・広島県)原図
動物:ネコ、ベンガル猫、第3脳室HE像
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化膿性肉芽腫性髄膜脳炎(ネコ)
FIP(ネコ)
ウイルス性中枢疾患
⑦ トリ
Avian: Avian encephalitis (AE), non-suppurative inflammatory changes with
central chromatolysis, Broiler chicken
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Avian: Avian encephalitis (AE), central chromatolysis of neuronal cells,
Broiler chicken
ウイルス性中枢疾患
⑤動物共通の疾患
狂犬病
ウシのRabies 中脳
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ウシのRabies 海馬錐体細胞層
大脳皮質
小脳プルキンエ細胞層
犬の非感染性脳脊髄炎
イヌ:壊死性髄膜脳脊髄炎(NME皮質型、白質型、その他)
イヌ:肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)
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T1 T2
パグ犬の壊死性脳炎(亜急性経過例)のMRI像
イヌの壊死性髄膜脳炎の固定後の大脳割面
イヌの壊死性髄膜脳炎の髄膜から大脳表層部における層状の炎症反応
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White matter
Gray matter
イヌの壊死性髄膜脳炎の大脳皮質・白質境界部の炎症反応
イヌの壊死性髄膜脳炎(慢性経過例)の固定後の大脳割面
イヌの壊死性髄膜脳炎(慢性経過例)の大脳皮質の広範な壊死巣
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C: Confocal imaging analysis of double-labeling FA assay Yellow:common
sites Red: GFAP specific Green: auto-antibody specific
自己免疫応答が生じる根本的な原因については未解明であるが、NMEの発生が特定の小型犬種に限定されていることより、その病理発生には免疫系に関わる遺伝的異常が関与する可能性が考えられる。
パグ犬では特定のMHC型(白血球抗原class II)が存在することが近年明らかにされた。
MRIで左右大脳白質と視床に比較的辺縁明瞭な広範囲のT2高信号病変。
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イヌ、ヨークシャーテリア、固定後の肉眼所見
大脳の病理組織所見LFB-HE染色。大脳白質の広範な壊死巣形成
特発性多発性根神経炎
・イヌではアライグマ猟犬に多く発生したことよりアライグマ猟犬麻痺coonhound paralysisともよばれた。アライグマの唾液に含まれる抗原と末梢
性ミエリンの抗原交差により、自己免疫応答が成立すると考えられていた。ヒトのギランバレー症候群に類似する疾患。
・ヒトの罹患例の一部では、カンピロバクター感染後に発症がみられることから、本菌の菌体抗原と末梢性ミエリンとの交叉抗原の存在が病理発生に関与すると考えられている。
・罹患犬は後肢麻痺を呈することが多く、徐々に多発性に運動筋の麻痺が生じる。
・病理学的には末梢神経における単核細胞浸潤を伴う脱髄性病変を特徴
とし、慢性経過例では線維化が生じ、非可逆的となる。
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Acute polyradiculoneuritis (Cat)
Acute polyradiculoneuritis (Cat)
Acute polyradiculoneuritis (Cat)
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CD3-immunostain
Chronic polyradiculoneuritis (Dog)
Chronic polyradiculoneuritis (Dog)
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動物神経系腫瘍の大分類
1.神経上皮組織由来腫瘍
(星状膠細胞、希突起膠細胞、上衣細胞、脈絡膜上皮、神経細胞、松果体実質細胞)
2.髄膜腫瘍
(髄膜上皮細胞、非髄膜上皮・間葉系細胞)
3.リンパ腫及び造血器系腫瘍
(リンパ球、組織球、小膠細胞、その他造血細胞)
4.トルコ鞍部に発生する腫瘍
5.その他の原発腫瘍および嚢胞
6.転移性腫瘍
7.特定部位腫瘍の神経系への局所伸展
8.末梢神経系腫瘍