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69 第1部 本部・支部活動状況 第9代同窓会会長 幸喜 徳子 琉球大学5期の卒業生で米在住の岸本ファミリー個人慈善基金創設者・岸本正之氏が、地球自然 環境保全に向けた教育・研究活動やグローバル人材養成等を目的とした「琉球大学岸本基金」を設 立し、2016年4月15日、岸本氏と琉球大の大城肇学長が締結を結んだ。 慈善基金が2029年までに583万ドル(1ドル=120円換算で約7億円)まで元金を積み増し、米国 での運用益を毎年琉球大学に寄付する。 (沖縄タイムス4月20日、琉球新報4月22日記事掲載) 琉球大学岸本基金調印までの経緯報告 この度、琉球大学岸本基金の締結に当たり、岸本ご夫妻と琉球大学との橋渡しを務めさせて頂き、 めでたく調印式が済みましたのでこれまでの経緯をご報告致します。 ●岸本正之氏、本同窓会事務局へ初来局 2007年11月30日 岸本正之氏が、岸本金三氏のご案内で初めて同窓会事務局へ来局されました。当時、私と一緒に 副会長をしておられた與儀憲徳氏、元事務局長の宮城武久氏と共に琉球大学に対する熱い思いを伺 い、学長室へ案内したのが私にとってご縁の始まりでした。岸本正之氏は大学へ研究資金を寄贈し たい旨、申し出られました。その折には同窓会に寄付も頂き、有難いことでした。 お話をしているうちに岸本氏のご自宅と、私の米国滞在中の常宿が近いことがわかり、以来毎年、 何度かお宅へ私的な立場でお邪魔するようになりました。沖縄の情報や琉球大学の様子、同窓会活動 「琉球大学岸本基金」設立に至る経緯 沖縄タイムス(2016年4月20日) 琉球新報(2016年4月22日)

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第1部 本部・支部活動状況

第9代同窓会会長 幸喜 徳子 

 琉球大学5期の卒業生で米在住の岸本ファミリー個人慈善基金創設者・岸本正之氏が、地球自然環境保全に向けた教育・研究活動やグローバル人材養成等を目的とした「琉球大学岸本基金」を設立し、2016年4月15日、岸本氏と琉球大の大城肇学長が締結を結んだ。 慈善基金が2029年までに583万ドル(1ドル=120円換算で約7億円)まで元金を積み増し、米国での運用益を毎年琉球大学に寄付する。  (沖縄タイムス4月20日、琉球新報4月22日記事掲載)

琉球大学岸本基金調印までの経緯報告

 この度、琉球大学岸本基金の締結に当たり、岸本ご夫妻と琉球大学との橋渡しを務めさせて頂き、めでたく調印式が済みましたのでこれまでの経緯をご報告致します。 ●岸本正之氏、本同窓会事務局へ初来局 2007年11月30日

 岸本正之氏が、岸本金三氏のご案内で初めて同窓会事務局へ来局されました。当時、私と一緒に副会長をしておられた與儀憲徳氏、元事務局長の宮城武久氏と共に琉球大学に対する熱い思いを伺い、学長室へ案内したのが私にとってご縁の始まりでした。岸本正之氏は大学へ研究資金を寄贈したい旨、申し出られました。その折には同窓会に寄付も頂き、有難いことでした。  お話をしているうちに岸本氏のご自宅と、私の米国滞在中の常宿が近いことがわかり、以来毎年、何度かお宅へ私的な立場でお邪魔するようになりました。沖縄の情報や琉球大学の様子、同窓会活動

「琉球大学岸本基金」設立に至る経緯

沖縄タイムス(2016年4月20日) 琉球新報(2016年4月22日)

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報告等の話題で盛り上がり、その度にご夫妻より多々ご教示頂くと共に、その世界観を学ばせて頂きました。 いつも心から歓迎下さり、ご夫妻の世界各国での慈善活動、地球自然環境保護など興味深い話題は尽きませんでした。私はいつか沖縄で岸本氏の講演会を計画し多くの皆様にも聞いて頂きたい、とその頃から構想を温めておりました。

●岸本ご夫妻、琉球大学への支援構想 寒緋桜植栽 2008年2月7日

 2月7日にご夫妻は琉大へ寒緋桜の植栽を申し出られ、1年以内に160本が植栽されました。桜の植栽は同窓会が発注責任者となり、当時の会長、赤嶺健治氏、宮城武久事務局長を中心に進められました。12月には同窓会へ寄付も頂きました。●「ナファヌア」を岸本氏より賜る 2008年3月18日

 3月18日にお宅を訪問した際、サモアの熱帯雨林の保護活動をテーマに書かれた「ナファヌア」ポール・アラン・コックス著、岸本正之訳を頂きました。 488ページの大作ですが、美しい日本語訳で感動のうちに読み終え、折しも琉球新報社から依頼されていた私の推薦書の一冊として、紙上で紹介致しました。●岸本ご夫妻来局、20091月10日 寒緋桜130本植栽完了12月30日

 岸本ご夫妻が桜の植栽場所を確認の為、弟様、岸本正治ご夫妻と共に来局され、同12月130本の植栽が完了。その折も本会へ寄付を賜りました。 岸本氏は「美しい琉球大学キャンパス」とのタイトルでその時の体験を本会会報31号にお寄せ下さいました。その中で桜以外の熱帯花木の植栽にも意欲を示され、色鮮やかな冠花樹による壮大なキャンパス・メイクアップの構想をお持ちでした。将来、桜の名所となり多くの人々が訪れるようにと10年、50年先を思い描いておられたのです。  2009年には琉大に門を寄贈したいという構想があり、岸本一夫氏によるデザイン画を何枚も自宅書斎のテーブルに広げ、熱心に語っておられましたが、大学との話が円滑に進まず実現に至りませんでした。●同窓会、会長就任挨拶に伺う 2010年8月

 副会長を務めた後、7月に私が会長に就任。8月に私用で米国訪問した際、ご自宅に就任挨拶に

岸本氏邸(ロサンゼルス在)

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第1部 本部・支部活動状況

伺い、ご夫妻から激励を賜りました。その後、シンポジウム等の年度事業終了毎に、その件について報道されたオキナワグラフや新聞を持参し報告に伺い、ご助言等を頂いております。●同窓会、総会で顕彰碑建立承認 2014年7月

 同窓会総会において、岸本氏の長年のグローバルな慈善事業、地球自然環境保護の為の活動、琉球大学及び同窓会への物心両面からのご支援等に対する功績を讃えるため、本同窓会の記念事業の一環として、岸本氏の顕彰碑建立について提案したところ、役員会、総会において全会一致で承認されました。●岸本ご夫妻から高額寄付を同窓会へ 2014年9月11日

 9月11日、岸本邸へ伺った折には定期総会の報告と、創立60周年記念講演の講師をお願い致しました。ボランティアでご夫妻が来沖下さるとのお返事を頂き有難いことでした。 その日は岸本基金ファンドマネジャーの山本ジェイソン氏も同席され、岸本ご夫妻から突然、50万円の浄財を同窓会の活動資金に、と手渡され予期せぬ高額なご芳志に驚きと感謝の念でいっぱいでした。会費納入が年々減少している同窓会にとって大変有難いことでした。 その頃から琉球大学の財政状況についても話題にのぼり、母校への寄付についての質問も度々ありました。しかし米国と日本の税法の違い等、諸課題も多く、ご夫妻は弁護士や岸本基金ファンドマネジャーの山本氏に相談しておられました。●岸本ご夫妻から前年に続き高額寄付を同窓会へ 2015年6月

 前年に続き岸本ご夫妻から同窓会に5000ドル(当時約62万円)の浄財を送金下さり有難いことでした。4月に開催された本会主催のチャリティゴルフコンペの際にも、岸本東京オフイスを通して高価な栄養ドリンク剤を郵送下さったばかりでした。重ねての高額寄付に役員一同、感謝感激致しました。遠く米国からいつも応援下さっていることをことさら実感した次第です。●同窓会60周年記念講演と顕彰碑建立 除幕式 2015年7月9日

 2014年12月5日に本会創立60周年記念日を迎え、2015年に同記念式典をはじめ様々なイベントを実施しました。 先ずは岸本氏の顕彰碑建立の為、キャンパス内に土地を提供頂きたい旨、外間登美子副学長(理事)に相談しました。外間理事は親身にお考え下さり、その結果、大城学長から直接ご快諾頂き、最も心配していたことが一瞬で吹き飛んでしまいました。 顕彰碑の石探しは一年近くかかりました。沖縄本島北部から南部まで石材業者、資材置き場などを折々に巡り、イメージに合う自然石を探しました。照屋寛八副会長、山里将順事務局長にも度々お付き合い頂き、心強い限りでした。2015年にやっとイメージに合う石を見つけ、6月に岸本様の顕彰碑を建立。 7月9日に岸本ご夫妻、大城肇学長、瀬名波榮喜元名桜大学学長他、同窓会役員、ご親族、多数の関係者ご臨席の下、顕彰碑の除幕式を実施しました。 瀬名波氏は若い頃、岸本様のお祖母様宅に下宿されたと伺いました。●同窓会創立60周年記念講演会・式典・懇親会 2015年7月11日

 7月11日、私の長年の構想であった岸本氏の記念講演会もご夫妻は自費でお越し下さり「明日の地球社会を読む」のテーマで実施されました。満席の会場は素晴らしいご講演に感動の渦でござい

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ました。記念講演会のパンフレットの表紙は顕彰碑除幕式の折のカラフルな写真を使いました。 当日、引き続き行われた記念式典において岸本氏に大学からは名誉博士号が授与され、本会からは感謝状を謹呈致しました。同窓会にとっても印象深いことでした。岸本様から表彰者を代表しお礼のスピーチも頂きました。 定期総会、講演会、記念式典、懇親会など当日の様子は新聞等でも大きく取り上げられ、特にオキナワグラフ8月号には会場の様子が、カラー写真で紙面を飾り報道されました。 ●岸本氏、出版記念パーティーを沖縄で 2015年7月16日

 7月に「私たちは小さな水の星に生きている 地球政府の樹立を目指そう」のご著書を発刊され、その出版記念パーティーが那覇市内のホテルで開催されました。私もその実行委員として開催に向け諸準備、当日の司会進行、ご夫妻の紹介等をさせて頂き、楽しい思い出となっております。儀保博信同窓会副会長他役員をはじめ各界の皆様がご参加、盛会裏に終えました。ご著書の売上金はすべて慈善事業に寄付されるとのことです。 本会会報38号とオキナワグラフ8月号にカラー写真と共に紹介記事掲載。●記念講演の御礼に米国のご自宅へ 2015年9月

 本同窓会創立60周年記念行事がすべて終わり、9月に記念講演等の御礼かたがた私的に岸本邸を訪問致しました。記念行事関連の記事が掲載された新聞やオキナワグラフ、記念講演パンフレット等をお持ちしました。 その折、岸本ご夫妻から母校支援の具体的な構想を進めている、との嬉しいお話がありました。帰国し10月、夏休み明け早速、大城肇学長、外間登美子理事には、岸本ご夫妻が琉球大学支援について具体的に準備を進めておられることをお伝えしました。●琉大へ7億円の基金について一緒に検討 2016年元旦

 2015年暮れから私と夫がロサンゼルスに滞在していた際に、お正月にお宅へ一泊のお誘いを頂きました。2016年元旦に伺うと「基金設立の調印文案ができたので一緒に検討しましょう」とご提示下さった書面には、なんと基金総額7億円を琉球大学の為に設立し、寄付することが記され一瞬、言葉を失いました。 ご夫妻は基金の趣旨や構想等、将来展望について時間をかけて熱く語られました。基金の運営には5名の委員を選出したいと言われ、一緒に検討しました。結果、大城肇学長、安里昌利氏、岸本正治氏、山本ジェイソン氏、私の5名をご指名になりました。大城学長と安里氏については私から趣旨説明をし、了承を頂くように指示されました。 岸本ご夫妻のご意向で僭越ながら私が運営委員長をご指名頂き、責任の重さを感じております。理由は日頃より直接交流し基金設立について岸本ご夫妻の趣旨、目的を十分理解しており、長い将来にわたって、その意図に添った運営をして欲しいので、とのことでした。大城学長と私に関しては、現在の役職の任期満了後も永続的にこの委員を務めて欲しい、というご要望がございました。夜遅くまで基金について意見交換をし、その話は翌日の朝食の席まで続いたのです。母校を愛する熱意に頭の下がる思いでした。 今年2016年の元日は新年の喜びと共に、琉球大学への莫大な寄付の件でおめでたが重なり、特別

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第1部 本部・支部活動状況

な日になりました。 基金設立について、岸本ご夫妻、山本ジェイソン氏と私、4名の話し合いが終わった後、最終的に大学へ提示する文案を再び弁護士がチェックの後、正式に作成されました。岸本ご夫妻からこの内容で基金を受けるか大学へ提案してきて欲しい、と大切な調印文書案を託され、重責を感じつつ帰国しました。●大城学長・外間理事へ7億円基金を提示 2016年1月5日

 帰国後1月5日、学長室にて大城学長、外間理事お二人に調印文書案をお見せし、「この内容で琉球大学の為に岸本様ご夫妻が基金設立のお申し出です」と、お伝えしました。大城学長はしばらく無言で紙面をご覧でしたが、「近いうちにご挨拶に行きたいので米国のお宅まで同行して欲しい、日程を調整できますか」とその場で私にお尋ねでした。私も岸本氏お宅へのお供を約束しました。 その後、安里昌利沖縄銀行会長をお訪ねし、運営委員のお願いをしました。ぜひ、お力をお借りしたいという岸本様の強いご要望を理解されご多忙の中、お引き受け下さいました。早速、岸本氏に報告しました。●大城学長と共に岸本邸を訪問 2016年2月28日

 私は大学の予定に従い2月28日、直接ロサンゼルスに単身飛び、多摩子夫人のお招きによりお宅で宿泊。 翌29日に岸本正之氏と共にロサンゼルス国際空港へ学長ご一行をお迎えに伺いました。その車中で岸本氏より今回、学長は調印をする用意があるか、あるいは大学に持ち帰り検討が必要か、伺って欲しいとのことでした。 ご到着後は全員でそのまま空港から北米県人会の国吉信義会長を訪問し、役員の皆様と昼食会、意見交換を致しました。 その晩、岸本氏のお宅では盛大な歓迎会を用意下さり、お食事後はロサンゼルス湾を眺望できる広々とした書斎での歓談となりました。 その折、私が御礼に琉球舞踊をご披露した処、図らずも大城学長が「私も幸喜会長と一緒に」と、「加那よー」を私の踊りに合わせ踊られました。さすが芸能の島、鳩間島ご出身、即興でお見事でした。岸本ご夫妻、山本様も「カチャーシー」に思わず飛び入りで参加され、全員が郷土の踊りの輪に加わり、楽しい時間は夜更けまで続きました。 一日の予定が終わり、学長に調印の件を伺いましたら、すぐに調 岸本ご夫妻、大城学長と調印締結を終えて

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印できるとのお返事。その旨、岸本氏に報告したところ早速、用意をされました。●岸本邸にて会議 2016年3月1日

 学長と私は2月29日、岸本邸で宿泊。3月1日は岸本様ご夫妻を中心に山本ジェイソン氏、大城肇学長、学長随行の金城徹氏、金城かおり氏、私も参加し基金について終日、会議となりました。 岸本氏と山本氏から基金の目的、趣旨説明、大学側からは基金活用案について説明があり、意見交換が活発になされました。●岸本邸にて岸本氏と学長との調印締結 3月2日

 翌日3月2日、お二人が調印文書に署名、調印が締結されました。当日学長は帰国され、私も2月28日から3月2日までの3泊4日の公務を終えました。4月15日に沖縄でも大学関係者の前で再度、調印式をすることになりました。●7億円基金についてマスコミ発表 2016年3月30日

 岸本氏はこの件を大変慎重に進めておられ、マスコミ発表までは極秘扱いという申し合わせをされました。学内、同窓会でも一切その件は極秘にし、3月30日に記者発表となりました。定例記者懇談会には大城学長のお誘いにより私も陪席。岸本ご夫妻は大城学長の温厚、誠実なお人柄に厚い信頼を寄せておられ、そのことが基金設立の運びになったことと推察致します。 第一回琉球大学岸本基金運営委員会(岸本様命名による仮称)を4月12日に那覇市内のホテルで行い、大城学長より同基金使途案の説明がありました。●同窓会によるお礼の会開催 2016年4月14日

 4月14日にご来沖中の岸本ご夫妻をお招きし市内ホテルにて、同窓会三役が出席しささやかなお礼の会を開催。その折に岸本氏から「今後も同窓会の一員として大学と関わらせて頂きたい」とのお言葉を賜りました。 同日、場所を変えて岸本ご夫妻に私から第一回岸本基金運営委員会の内容を報告し、コメントを頂きました。●調印式・講演(明日の地球社会を読む) 4月15日

 大学内での調印式は岸本ご夫妻、大城肇琉球大学学長、外間登美子理事、小島浩孝理事、西田睦理事、私が出席し、岸本正治ご夫妻(弟様)はじめ大学関係者が見守る中、行われました。 琉球新報、沖縄タイムス、オキナワグラフの記者の皆様が取材に来られ、活発な質問がなされました。 調印後のご挨拶や懇親会の席で岸本正之氏と多摩子夫人お二人から、大学との調整に関し私へわざわざ、ねぎらいのお言葉を頂戴し恐縮でした。 弟様、岸本正治ご夫妻もこれまでの大学とのいきさつをよくご承知故、心に染みるお言葉をかけて下さいました。細やかなお心遣いに改めて両ご夫妻の温かいお人柄を感じた次第です。 大城学長は「岸本ご夫妻の琉球大学に対する寛大・寛容なお心と、幸喜会長の献身的な仲介調整に感謝します」との言葉とお礼を述べられ身に余る光栄でございました。 調印式の後、「明日の地球社会を読む」のテーマで岸本氏の講演会となり、盛会裏のうちに終えました。講演が終わってもなお質問が続き、時間制限がなされた程でした。会場で多摩子夫人も前

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第1部 本部・支部活動状況

に出て頂き、同窓会より花束贈呈し、喜びを共に致しました。岸本ご夫妻との名刺交換や写真撮影の為の列もでき、嬉しい光景でした。 照屋寛八副会長の提案により、会場近くの顕彰碑前でご夫妻を囲んで関係者一同、満面の笑顔で記念撮影をしました。 その後は大城学長、外間登美子理事、岸本邸を訪問したメンバーも一緒に、学長お心づくしの夕食会の席へと移動し、皆で祝杯をあげました。大任を果たされたご夫妻はリラックスされ、美しく崇高な笑顔が印象的でした。 岸本氏はアメリカンドリームを成功させた日本人のお一人に選ばれた方だと伺っております。毎年、沖縄の高校生や東北の高校生らをご自宅に招待しアメリカ体験をさせ、国内外の様々な団体へ支援を続け、グローバルな慈善活動は枚挙にいとまがありません。お宅ではアフリカの飢餓に苦しむ子供らへ毎月送っている栄養食等も見せて頂き、あらためてその真摯な生き方に胸を打たれました。

調印式・講演会を終えて

 過去に大学と岸本ご夫妻の間には、大学支援について色々ないきさつがありました。それらをご本人が寛大なお気持ちで超越され、母校の為に7億円という莫大な基金設立をされました。これまでの経緯を知り、大学との仲介調整役を務めた者として感無量でした。 今年7月からは岸本氏が本同窓会の顧問にご就任頂くこともご夫妻のご了承と、三役会、役員選考委員会において全会一致で承認され嬉しい限りです 琉球大学岸本基金は今年2016年から事業が始動する予定です。4月26日には大城学長と小島理事に本基金の大学側使途案について岸本ご夫妻のコメントをお伝えし、事業運営に関する規約作りをお願いしたところです。 現在、大学側で規約作りを進めており、近々、ジェイソン氏と協議することにしております。

結びに

 岸本正之氏とは琉大同窓生そして元職場、日本航空㈱の先輩として尊敬申し上げ、多摩子夫人とも家族ぐるみで親しくお付き合いをさせて頂いております。それがいささかなりとも琉球大学岸本基金の設立にお役に立てましたことは幸いでした。(岸本邸訪問は2016年2月学長同行の一度のみ公費によるものです) 岸本ご夫妻は「同窓生が大学の為に取り組むendowment(基金)の概念が日本でも浸透すればアカデミックな発見にもつながる。情熱ある学生を支援したい」と言っておられます。琉球大学岸本基金により今後、多くの有為な人材が輩出され、地球自然環境保全活動が一層進展することを祈念致します。 結びに、岸本ご夫妻に深謝すると共に、お二人のますますのご健康とご多幸を祈念申し上げ、同基金調印までの経緯報告と致します。

2016年5月吉日