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2011.12

MR1112 表1 · ウトすると見込まれており、注意が必要です。一方、インド、ブラジル、インドネ シア、等の有力新興国は2030年代にかけて壮年人口の順調な増加が続く見込みです。

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Page 1: MR1112 表1 · ウトすると見込まれており、注意が必要です。一方、インド、ブラジル、インドネ シア、等の有力新興国は2030年代にかけて壮年人口の順調な増加が続く見込みです。

2011.12

Page 2: MR1112 表1 · ウトすると見込まれており、注意が必要です。一方、インド、ブラジル、インドネ シア、等の有力新興国は2030年代にかけて壮年人口の順調な増加が続く見込みです。

視点 世界情勢をみるうえで重要性を増す人口動態の視点日本総合研究所 調査部 岡田哲郎 … 1

経済トピックス わが国輸出の先行きをどうみるか日本総合研究所 調査部 大竹重寿 … 2

社会トピックス 新たな「総合特区」制度の概要日本総合研究所 調査部 高坂晶子 … 4

アジアトピックス 減速するアジアのなかで堅調なインドネシア経済日本総合研究所 調査部 三浦有史 … 6

産業トピックス 改正介護保険法が介護事業者にもたらす影響三井住友銀行 企業調査部 村田恵祐 … 8

データ アイ 回復が遅れる素材生産日本総合研究所 調査部 井上恵理菜 … 10

KEY INDICATORS ……………………………………………………………………… 12

CONTENTS

本誌は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的とした

ものではありません。本誌は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼出来ると思われる資

料に基づいて作成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格

のものではありません。また、本誌の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されること

がありますので、ご了承ください。

ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取り扱いくださいますようお願い致します。

本誌の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等す

ることを禁じております。

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MONTHLY REVIEW 2011.12┃ 1

視点

 本年夏場以降、欧米債務問題の深刻化に伴い、世界経済の先行き不透明感が強まっています。こうしたなか、近年の欧米諸国の状況を、90年代初頭のバブル崩壊後の日本でみられた「低成長の長期化」や「公的債務の急膨張」といった状況に重ねて、「欧米経済の日本化」と指摘する論調もみられます。 実際、単一通貨圏特有の事情を抱えるユーロ圏はさておいても、昨今の米国とバブル崩壊後の日本の状況を比較すると、少なからぬ類似点を指摘することが出来ます。例えば、日米ともに、①貯蓄投資バランスは、政府の大幅資金不足(赤字)と企業・家計の大幅資金余剰が並存し、それが長期化の様相を呈していること、②金融危機発生後に平均成長率が2%近辺へと急速に下がってきたこと、③バブル崩壊後、数次にわたって景気対策を打ち出してきたにもかかわらず、回復軌道への復帰を果たせていないこと、等です。 こうした「米国経済の日本化」に対する反論もあり、その最大の論拠は人口動態の違いです。人口は一国の成長力を規定する重要な要素であり、多くの国で人口の増加率とGDP成長率の間に明確な相関関係がみられます。国連が公表している人口推計(中位推計)によれば、総人口がすでに減少局面入りしている日本に対し、米国は先行きも増加基調の持続が見込まれており、その面で日米経済の基礎的条件は決定的に異なる、といえます。 もっとも、人口増加が「日本化回避の切り札である」と断定するのも早計です。まず、米国の総人口の増加ペースは、これまで年+1%前後で安定していましたが、今後2030年にかけて+0.6%程度へ鈍化すると予想されています。これは、人口面からの成長率押し上げ効果がその分低下することを意味します。 それに加えて、注目されるのが35 ~ 49歳(便宜的に「壮年」と呼ぶ)人口の動きです。日本では、壮年人口と資産価格の間に密接な連動関係が観測されます。具体的には、日本の壮年人口のピークは1989年、その後暫定的につけたボトムは2003年でしたが、これは日経平均株価(年平均)がピーク・ボトムをつけた年と重なり、地価についても1年遅れで同様の傾向が観測されます。また、米国の株価や住宅価格についても、数年のズレがあるものの、やはり同様の傾向が認められます。この背景は、あくまで仮説ながら、壮年世代が中心となる世帯形成の過程での支出性向の高まり、不動産取得意欲の高まり、老後に備えた資産運用の本格化、等が実体経済や資産市場を活性化させるため、と推測されます。 問題は、米国の壮年人口が今後2015年頃まで減少を続けることです。経験的にみて、その間の米国では資産価格の低迷とともに厳しい経済情勢が続く可能性があります。同様に、いまや世界有数の経済大国となった中国も、壮年人口が2012年にピークアウトすると見込まれており、注意が必要です。一方、インド、ブラジル、インドネシア、等の有力新興国は2030年代にかけて壮年人口の順調な増加が続く見込みです。このように、経済において単純な循環論が通用しなくなりつつある昨今、不透明感を増す世界情勢をみるに当たって人口動態の視点を取り入れる重要性は増していると考えられます。 (岡田)

世界情勢をみるうえで重要性を増す人口動態の視点

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2 ┃MONTHLY REVIEW 2011.12

 わが国輸出の増勢が鈍化しています。

物価・為替変動の影響を除いた実質輸出

は、東日本大震災後に大きく落ち込んだ

後、6月にかけて急回復しました。もっ

とも、その後は、ほぼ横ばいの推移とな

っています。国内需要が伸び悩むなか、

わが国経済の牽引役である輸出の低迷が

長期化すれば、景気の力強い回復は期待

出来ません。そこで以下では、輸出の増

勢鈍化の背景を分析したうえで、今後を

展望してみました。

アジア向け輸出が鈍化

 実質輸出を地域別にみると、欧米向け

は低水準ながら増勢を維持する一方、こ

れまで輸出を牽引してきたアジア向けの

増勢が7月以降、大きく鈍化しています

(図表1)。この背景として、以下の3点が

指摘出来ます。

 第1に、世界的なIT需要の低迷です。

スマートフォンやタブレット型端末など

一部製品では需要が急拡大しているもの

の、ハードウエアの主力製品であるパソ

コン需要の伸びは鈍化しています。2011

年7 ~ 9月期の世界のパソコン出荷台数

は前年同期比+3.6%増加したものの、

昨年同期の二桁増から大幅にペースダウ

ンしました。とりわけ欧州では、厳しい

雇用・所得環境に加え、債務問題の深刻

化を受けて企業・家計マインドが急速に

悪化しており、パソコン出荷台数は前年

割れに転じました。IT製品は、日本や

韓国、台湾が部品を輸出し、中国で組み

立て、世界各国へ輸出する構図になって

います。このため、世界的なIT需要の

低迷に連動する格好で、わが国からアジ

ア向けの電子部品・デバイスの輸出が減

少しています。

 第2に、円高による輸出競争力の低下

です。リーマン・ショック直前の2008年

8月から2011年10月までの為替相場の推

移をみると、円は対ドルで29%、対ウォ

ンで36%、対人民元で23%上昇するなど、

全面高の展開となっています。このため、

アジア企業との競争が激しくなっている

電子部品・デバイスや鉄鋼などの素材製

品では、差別化の図れていない汎用品を

中心に、価格競争力が大きく低下してい

るとみられます。ちなみに、通貨が大幅

に下落した韓国の輸出数量は、足元にか

けて増加トレンドを維持しており、わが

国とは対照的な姿となっています。

 第3に、アジア各国における設備投資

の増勢鈍化です。とりわけ中国では、

2010年秋以降、急激な物価上昇や景気過

熱を防止するため、中国人民銀行が政策

金利の引き上げを行っています。こうし

わが国輸出の先行きをどうみるか

経済トピックスマクロ経済情報

(資料)日本銀行、財務省を基に日本総合研究所作成(注)凡例の< >内は2009年通関輸出額に占めるシェア。

図表 1 地域別実質輸出の推移(季節調整値)

50

60

70

80

90

100

110

120

130

(年/月)1110092008

(2008年=100)

米国<15.8>世界<100>EU<11.9>その他<17.0>

アジア<55.2>

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MONTHLY REVIEW 2011.12┃ 3

MONTHLY REVIEW経済トピックス

た当局の金融引き締め姿勢により、設備

投資の増勢が鈍化しており、その結果、

わが国からアジア向けの一般機械の輸出

が減少に転じています。

力強い回復は期待薄

 今後を展望すると、関連部品を含める

と輸出額全体の約2割を占める自動車を

牽引役として、わが国輸出は徐々に持ち

直していくとみられます。

 自動車および関連部品の輸出は、サプ

ライチェーンが復旧するなか、販売回復

や流通在庫を復元する動きから、増勢が

一段と強まる見通しです。実際、国内主

要メーカーの輸出向け生産計画台数は、

前年比二桁のプラスが見込まれていま

す。日銀短観の年度下期の業績計画をみ

ても、自動車の輸出額は大幅増加が見込

まれています(図表2)。10月に発生した

タイの洪水被害により、一時的に計画か

ら下振れることは避けられないものの、

自動車輸出は趨勢として増加傾向を維持

する見通しです。

 もっとも、このままわが国輸出の増勢

が強まっていくとみるのは早計です。足

元の輸出を下押ししている各種要因が引

き続きマイナスに働くため、回復ペース

は緩慢にとどまると判断されます。

 第1に、IT需要の本格的な回復は期待

薄といえます。IT関連製品の主要な需

要地である欧米では、緊縮財政、雇用環

境の悪化などを背景に、景気の低迷が長

期化すると予想されます。第2に、円高

のマイナス影響が続くことが予想されま

す。円高は、通常半年から2年程度のタ

イムラグを伴って輸出数量下押しに作用

します。そのため、本年夏以降の円高の

影響が来年以降、顕在化するとみられま

す。とりわけアジア企業と競合している

電子部品・デバイスや素材製品では、輸

出環境が一段と厳しくなる見込みです。

第3に、アジア向けの一般機械の輸出が

持ち直すには、時間がかかる見込みです。

中国では、消費者物価が依然前年比6%

超と高止まりしています。そのため、設

備投資の足かせとなっている金融引き締

めスタンスを容易には解除出来ない状況

です。

 こうした事情を踏まえると、当面、わ

が国輸出は緩やかなペースでの回復にと

どまると予想されるため、輸出主導の景

気回復は期待薄といえます。政府には、

過度な円高を防止し、輸出の下振れを回

避するとともに、内需の活性化を促す政

策を打ち出すことが求められているとい

えましょう。 (大竹)(資料)日本銀行、財務省を基に日本総合研究所作成(注)白抜きは、日銀短観9月調査時点の年度計画。

図表2 自動車の輸出額と輸出数量の推移

100

200

300

400

500

6

8

(年/半期)1110090807062005

10

12

14

(兆円)

輸出数量(右目盛)輸出額(左目盛) (万台)

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4 ┃MONTHLY REVIEW 2011.12

 今年6月、「総合特区」制度が新設され、現在、各方面で具体化に向けた動きが始まっています。本制度は、地域再生やアジアとの連携を進めたり、環境や医療・介護分野等で革新的な事業を興すことで、わが国経済に新たな推進力を加えることを目指しています。以下では、総合特区の概要と現在の取り組みをみたうえで、展望・課題について整理しました。

新制度の特徴―従来との相違から―

 今回の「総合特区」は、公共事業や工場誘致に頼る従来型の地域活性化策が限界に達するなか、地域の事業環境を改善し、自立的な成長を促す目的で創設されました。地域を限って先駆的取り組みを認める特区には、すでに小泉内閣によって創設された「構造改革特区」があり、その問題点を踏まえて制度設計が進められました。構造改革特区との主な相違点として、次の3点を指摘出来ます。 第1に、総合特区では税制、財政、金融等を組み合わせた包括的な特例措置が受けられます。構造改革特区では基本的に規制緩和に手立てが限られ、事業立ち上げの後押しには力不足の面もありました。総合特区では、例えば土地用途規制の見直し等によって迅速に事業を立ち上げたうえ、投資税額控除や特別償却等の優遇税制措置や補助金などにより、事業を多方面からサポートすることが可能となります。 第2に、地域の主導性が強まり、実情に細かく対応した特例措置が受けられます。構造改革特区では、国主導で緩和可能な規制条項のリストが作られ、地方が選択する仕組みでしたが、特区で成果があがった場合には全国展開される決まりであったため、所管庁の取り組みは慎重なものとなり、総じて小粒な規制緩和にとどまりました。今回の特例措置は総合特区限定で、他地域への展開は想定しな

いため、その分大胆な特例内容による事業への支援が可能になります。 第3に、構造改革特区は自治体のみが設置出来ましたが、今回は企業や大学、NPO等と自治体の共同設置も認められ、民間の着想やノウハウが活用可能です。また、特例措置の詳細を決定するに当たっては、所管庁と実際の事業者が参加する協議会が設けられる予定であり、具体的で実効性のある内容となることが期待されます。

グローバル拠点を目指す特区のタイプ

 総合特区には二つのタイプがあります。まず、「国際戦略総合特区」は、日本経済のけん引役となる新たな産業を育成・振興し、国際競争力の向上を図るものです。本年度は主に大都市から11件が申請されており、数件が指定される見通しです。分野別にみると、医療やロボット、環境等の先端事業、国際物流や人の往来の促進、農業を核に製造業や観光、外食産業等との連携を図る6次産業化があります。 医療分野の事業例として、国際空港対岸の工場地帯を再開発し、病院や研究機関、医療関連の大手企業・ベンチャー等を誘致し、先端技術や機器、新薬の開発から商品化、医療関係の国際会議や見本市の開催、訪日客向けの医療観光等を行う提案があります。特例の要望は、工業地区内の病院建設の容易化、治験期間の短縮、外国籍医療関係者の就業手続き緩和等です。特区指定により、内外の優良医療機関や関係企業が多数集積し、医療水準の向上と、世界的に成長が見込まれる医療産業の競争力強化が期待されます。

地域資源で活性化を図る特区のタイプ

 もうひとつの「地域活性化総合特区」は、各地の独自資源を生かして地域活性化と自立を目指すもので、本年度は介護

新たな「総合特区」制度の概要

社会トピックス

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MONTHLY REVIEW 2011.12┃ 5

や子育て、観光など77件の申請から20~ 30件が指定される予定です。 タイムリーな提案としては、東日本大震災を受け、小規模発電を行って地域に安定的にエネルギー供給する計画が複数あります。山間部の豊富な水力や農業用水を活用したり、太陽光パネルと蓄電池を備えたモデル住宅地を造成する提案で、要望する特例措置は、農業用水の転用許可の簡素化、家庭間の電力融通の解禁等です。これらが実現することにより、地場産業の振興や住民生活の利便性向上が期待されます。

今後の見通しと課題

 総合特区制度は、各地で異なる事情やニーズに対応し、地域の意欲を引き出そうとする仕組みであり、今後の展開に期待がかかります。

 その一方で、善処が求められる課題もあります。今後、申請者に対する有識者のヒアリング等を経て、年内にも特区指定が行われますが、その後に8段階に及ぶ手続きが残されています(図表)。なかには、国会審議の必要な法改正も含まれ、特区事業の本格始動までに相当の時間がかかるものが出てくる恐れがあります。目下、わが国は前例のない円高や欧米の金融不安等の難局に直面しているだけに、経済・社会再生の突破口として、期待のかかる総合特区には迅速なスタートが望まれます。 さらにスタート後も、財政資金の投入に見合う効果を確保する工夫は欠かせません。そうした観点から、厳正な事業評価と改善策の実施等、政策効果の検証とその結果を事業にフィードバックする体制の確立が求められましょう。 (高坂)

社会トピックス MONTHLY REVIEW

図表 総合特区が実現するまでのプロセス

(資料)内閣府地域活性化統合本部ウェブサイト http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/pdf/e542.pdf

関係省庁 内閣府

地域における「地域協議会」の設置

民間企業 NPO民間団体

規制の特例措置等を活用した事業の実施

都道府県・市町村

● 規制・制度改革、支援措置の提案 ● 総合特区の指定申請書

総合特区受付窓口(地域活性化統合事務局)

総合特区の指定(総合特区推進本部の意見に基づき内閣総理大臣が指定)

総合特区の「推進方針(国際競争力強化方針・地域活性化方針)」の策定(国と地方で方向性を共有)

○未実現の特例措置等に関する協議○PDCAサイクルを実施      のため、継続的に設置

● 総合特区計画の作成・認定・規制の特例措置等を活用した事業の内容を規定(規制の特例措置が追加的に実現した場合は認定計画の変更)

都道府県・市町村

民間実施主体

(企業・NPO等)

「国と地方の協議会」の設置(総合特区ごとに設置し、提案を踏まえた

規制の特例措置等について協議)

協議会で合意でき次第累次特例措置を追加

規制の特例措置等の制度化

● 法律事項に係る措置総合特区法の改正案として国会審議を経て制度化

● 政省令等に係る措置政令、省令等の整備により随時制度化

① 総合特区に向けた 「地域協議会」の組織

② 総合特区の指定申請  規制・制度改革の提案

③ 総合特区の指定  「推進方針」の共有

④「国と地方の協議会」  の設置・開催

⑤ 特例措置の制度化と  活用

総合特区指定に

向けたプロセス

総合特区指定後のプロセス

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6 ┃MONTHLY REVIEW 2011.12

債務危機のアジアへの影響

 ユーロ圏の債務危機収束に向けた出口

がみえないなか、世界経済の不確実性が

高まっています。この問題がどのように

帰着するかによってアジア各国の成長率

も大きく左右されます。リーマン・ショ

ック時のように先進国の金融市場が機能

不全に陥れば、資本逃避に伴う投資の減

退、株価の下落、為替の不安定化、さら

には外需の減退に直面し、各国の成長率

は低下することになるでしょう。

 国際通貨基金(IMF)は、10月に発表

した「地域経済見通し」で、2011年のア

ジアの実質GDP成長率を6.3%、2012年

を6.7%とし、4月の見通しからそれぞれ

0.5%ポイント、0.2%ポイント引き下げま

した(図表1)。ただし、それらはあくま

でも予測の中央値であり、ユーロ圏の債

務危機が深刻化した場合、2011年の成長

率は4%、2012年は4%を下回る可能性が

あるとしています。

 アジア各国は積極的な景気刺激策を採

用することでリーマン・ショック後の金

融危機を乗り切りました。しかし、現在

はいずれの国も程度の差はあるものの、

物価上昇や財政収支の悪化といった問題

を抱えており、同様の政策を採りにくい

状況にあります。また、上の予想にはタ

イの洪水の影響は織り込まれていないた

め、最悪の場合、成長率はさらに低下す

る可能性があります。

消費、投資、輸出の好バランス

 アジア主要国が軒並み成長率の下方修

正を余儀なくされるなかで、唯一安定的

な成長を期待されているのがインドネシ

アです。短期的な値動きはあるものの、

月平均でみると株価は年初と比べて上昇

しており、為替もルピア高に向かってい

ます(図表2)。図表1の成長率見通しを

加味すれば、インドネシアはアジアのな

かで最も安定的な成長が期待される国と

いえます。

 インドネシアもユーロ圏の債務危機や

タイの洪水と無縁ではありませんが、そ

の影響が周辺諸国に比べ軽微と推定され

る理由として次の点が指摘出来ます。第1

に物価が安定しており、個人消費が堅調

減速するアジアのなかで堅調なインドネシア経済

アジアトピックス

(%、%ポイント)

実績 10月予想 4月予想との差

2010年 2011年 2012年 2011年 2012年

先進国 3.7 0.0 2.5 ▲1.7 0.2

日 本 4.0 ▲0.5 2.3 ▲1.2 ▲0.2

東アジア 9.8 8.5 8.2 ▲0.2 ▲0.4

中 国 10.3 9.5 9.0 ▲0.1 ▲0.5

香 港 7.0 6.0 4.3 0.6 0.1

韓 国 6.2 4.0 4.4 ▲0.5 0.2

台 湾 10.9 5.2 5.0 ▲0.2 ▲0.2

南アジア 9.8 7.7 7.4 ▲0.4 ▲0.3

インド 10.1 7.8 7.5 ▲0.4 ▲0.3

ASEAN 7.8 5.3 5.5 ▲0.1 ▲0.1

インドネシア 6.1 6.4 6.3 0.2 0.0

マレーシア 7.2 5.2 5.1 ▲0.3 ▲0.1

フィリピン 7.6 4.7 4.9 ▲0.3 ▲0.1

シンガポール 14.5 5.3 4.3 0.1 ▲0.1

タ イ 7.8 3.5 4.8 ▲0.5 ▲0.5

ベトナム 6.8 5.8 6.3 ▲0.2 ▲0.3

アジア* 8.3 6.3 6.7 ▲0.5 ▲0.2

(資料)IMF, Regional Economic Outlook Asia and Pacific Oct 2011

(注) *は図表中で国名が挙げられた国(日本を除く)の加重平均値。

図表 1 �IMFによるアジア主要国の成長率見通し

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MONTHLY REVIEW 2011.12┃ 7

に推移すると見込まれる点です。アジア

諸国では物価抑制のため金融引き締め策

が強化されていますが、インドネシアの

物価は安定しており、10月には政策金利

(BIレート)が6.75%から6.5%に引き下げ

られました。この背景には、ガソリンに

対する補助金の継続や備蓄米の放出など

の措置が功を奏したことがあります。中

央銀行が10月に発表した9月の消費者信

頼指数(100を超えると消費者が消費に

前向きであるあることを示す)は115.0と

前月(110.6)より上昇し、安定的に推移

しています。

 第2は投資が成長を支えるエンジンに

なると見込まれる点です。投資調整庁に

よれば、1~ 9月の国内投資と外国直接

投資は実現投資額ベースでいずれも前年

同期に比べ3倍以上の伸びをみせていま

す。分野別にみると、インドネシアが比

較優位を有するパーム油や鉱物資源だけ

でなく、投資誘致上のネックとされてき

たインフラ整備向けの投資や拡大する国

内消費を捉えようとする内需指向型の投

資が増えています。

 第3は輸出の減退が小幅にとどまると

見込まれる点です。中央統計局によれば、

1~ 9月の輸出は前年同期比37.5%増と

好調ですが、年後半に入り欧米および

ASEAN向け輸出は急速に減少していま

す。この現象は今後も続くとみられますが、

一方で原油・天然ガスが底堅く推移する

こと、石炭やパーム油といった値崩れが

起きにくい品目の増産が続くことから、

輸出の減退幅は小さいと予想されます。

中銀は2012年の成長率6.2~ 6.7%に

 ユーロ圏の債務危機とタイの洪水に伴

うアジアのサプライ・チェーンの機能不

全など、インドネシアを取り巻く環境は

不確実な部分が多く、世界銀行は2011年

の成長率は6.3%となっても、2012年に

ついては4.1%に低下する可能性がある

としています。しかし、個人消費、投資、

輸出の三つのバランスが良く、いずれも

底堅く推移すると見込まれることがイン

ドネシアの強みで、それはあくまで最悪

のシナリオと捉えるべきでしょう。一方、

中央銀行は輸出や個人消費が停滞したと

しても、投資がその穴埋めをすることか

ら、2011年 は6.6%、2012年 は6.2 ~ 6.7

%の成長が見込めると予想しています。

内需の堅調さから判断して、この予想は

十分に達成可能な水準といえるでしょう。

(三浦)

アジアトピックス MONTHLY REVIEW

韓国

台湾

香港

シンガポール

マレーシアタイ

フィリピンインドネシア

中国 インド

▲25

▲20

▲15

▲10

▲5

0

5

▲6 ▲4 ▲2 0 2 4 6 8 10

(株価、%)

(為替、%)

(資料)データストリームより日本総合研究所作成(注)月中平均値。為替は対ドルレート。

図表2 �201 1 年10月の株価と為替の変化(201 1 年 1 月比)

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8 ┃MONTHLY REVIEW 2011.12

 高齢化進展を受けて介護保険総費用の

増加が続いているなか、政府は来春4月

に施設介護から在宅介護(注)へのシフト

を促す改正介護保険法(成立2011年6月)

の施行を予定しており、介護業界に与え

る影響が注目されています。(注) 訪問介護や訪問看護、通所介護など、利用者が自

宅生活を続けながら受けることが出来るサービス

の総称。

介護総費用の推移

 日本の介護保険制度は2000年に創設さ

れましたが、その後、当初想定を上回る

スピードで利用者が増加し、介護保険総

費用は2005年度に6.3兆円(2000年度比

1.5倍)に拡大しました。翌2006年4月に

は、軽度の要介護者に対する給付軽減と

介護予防に重点を置いた「予防介護給付

制度」が新設されたほか、介護報酬のマ

イナス改定も実施されるなど、増加抑制

に向けた施策が講じられましたが、その

後も上昇はとどまらず2010年度の総費用

は7.5兆円に達し、負担の軽減は大きな

課題となってきました(図表1)。

 こうした背景を受けて来春施行の改正

介護保険法では、「在宅介護の充実」に

主眼を置いた見直しがなされ、コストの

かさみがちな施設でのサービス提供から

在宅への移行を促すことで、介護保険総

費用の増加を抑制すると共に、要介護度

の高い利用者が自宅生活を続けられるよ

う体制整備が進められることとなりまし

た。

法改正のポイント

 在宅介護への移行は、これまでも政府

方針として打ち出されていましたが、今

回の法改正により、推進に向けた運用ル

ールが明確化されました。具体的には「①

複合型サービス」、「②定期巡回・随時対

応型訪問介護看護」の2種類のサービス

が新設され、①従来の訪問介護で行われ

てきた生活支援、短期宿泊などにとどま

らず、訪問看護サービスの供給体制まで

整備し、利用者の自宅で服薬指導や点滴

などのサービスを提供すること、②利用

者宅への1日複数回の定期訪問に加え、

緊急ニーズに応じた24時間体制での介

護・看護サービスの提供を行うこと、な

どがそれぞれ可能となるようインフラ構

築を進めるとされています(図表2)。加

えて、これを推進する自治体では、従来

型のサービスのみを提供する事業者に総

量規制を設けて拠点開設等を制限しつ

つ、新サービスを提供する事業者には地

域独占を許容することも可能とされてお

り、行政サイドとして本格的な普及を目

指す踏み込んだ内容とみられています。

改正介護保険法が介護事業者にもたらす影響

産業トピックス

図表 1 介護保険総費用の推移

(資料)厚生労働省「介護保険事業状況報告」を基に弊行作成

0

2

4

6

8(兆円)

(年度)100908070605040302012000

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MONTHLY REVIEW 2011.12┃ 9

介護事業者への影響

 新サービスを賄う財源に関しては、厚

生労働省の介護給付費分科会において、

従来サービスの介護報酬を引き下げて新

サービスへ振り向ける案や、参入事業者

に補助金を新設する案などが検討されて

おり、仮に事業者の採算ラインとされる

利用者一人当たり30万円/月程度の介護

報酬が設定された場合には、重度の要介

護者の需要シフトを取り込むべく介護事

業者が新サービスへ積極的な参入を行う

可能性があります。

 こうした環境変化に備えて、すでに大

手訪問介護事業者では、訪問看護ステー

ションの大幅拡充を打ち出して準備に着

手している事例があるほか、モデルケー

スとして自治体から新サービスを受託す

る先も出ています。加えて、訪問介護以

外の業態でも、本改正により需要減少の

可能性がある施設介護事業者において、

慢性期医療機関が早々に新サービスへの

参入を表明している事例や、有料老人ホ

ーム等の居住系サービス業者が、長期的

な利用者の囲い込みを狙って参入可能性

を検討している事例などもみられる様に

なっており、新マーケットの早期開拓に向

けて、従来とは異なる競争環境の到来に

備えた取り組みが具体化し始めています。

 もっとも、参入に当たっては慢性的な

不足が指摘されている看護師を新たに相

当人数採用するだけでなく、自治体の指

定を受ける必要もあるため、実績・知名

度が低い中小事業者では営業地盤の縮小

に繋がりかねないとの指摘もあります。

 一方、大手事業者でも、財源見通しが

固まらない現時点では採算確保が不透明

とする声や、24時間サービスのコスト負

担に見合うだけの需要確保は容易でない

との見方も聞かれ、各社の参入スタンス

には濃淡がみられる状況にあります。

今後の戦略の方向性

 このように今後の影響を見定め難い部

分は残りますが、政府が、介護費用負担

の抑制に向けて在宅介護を充実させる方

針を持続することは確実とみられます。

したがって、介護事業者においては、新

サービス普及の時期や影響、制度内容等

を捉えつつ、旺盛な需要を適正なコスト

で取り込むべく、①看護師の安定採用に

向けたルートの確保や、②有力医療機関

との連携、③同業者間での事業再編、な

ど様々な手法で収益化に繋げていく取り

組みが活発化するとみられます。今後は、

こうした取り組みの巧拙による業者間格

差の拡大も想定されるだけに、各社の取

り組みが注目されるところです。 (村田)

産業トピックス MONTHLY REVIEW

(資料)厚生労働省「定期巡回・随時対応サービスの基準・報酬」を基に弊行作成

図表2 在宅介護サービスのイメージ

介護必要度

従来の訪問介護

要介護者のニーズ

<新サービス>①複合型サービス (介護+看護のサービス提供)②定期巡回・随時対応型訪問 介護看護 (24時間体制のサービス提供)

身体介護サービス(食事・排泄の介助等)

看護サービス(訪問看護)

在宅での生活の基礎を支えるサービス(生活援助サービス:家事・洗濯等)

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DATAEYE

10 ┃MONTHLY REVIEW 2011.12

回復が遅れる素材生産データ アイ

素材生産の回復が遅れて

います。

 素材生産は、震災直後の

3 ~ 4月にかけて大きく落

ち込みました(図表1)。

その後、5 ~ 6月にいった

ん持ち直したものの、7月

から再び減少に転じていま

す。これは、加工業種の生

産が7月以降も増加を続け

ているのとは対照的な動き

です。

 素材生産が低迷している

原因をみると、震災直後は

工場被災を受けた供給制約

によるところが大きかった

ものの、足元では需要減少

という側面が強まっていま

す。さらに、生産が減少す

る一方で在庫が増加してい

ることから、生産調整が需

要減少に追いついていない

様子がうかがえます。業種

別にみると、鉄鋼、プラス

チック、非鉄金属、窯業・

土石で、在庫増加と生産減

少がみられています(図表

2)。

素材は、内需・外需いず

れにおいても停滞感が

強まっています。

 経済産業省の「鉱工業出

荷内訳表」をみると、素材

出荷は、国内向け・輸出向

けともに震災後大幅に落ち

込み、いまだ震災前の水準

を回復していません(前掲

図表1)。

 とりわけ、国内需要は、

復興需要の遅れなどによ

り、7月以降、再び減少に

転じています。鉄鋼を例に

とると、自動車用の普通鋼

受注が自動車生産の回復に

連動して急増する一方、建

設用受注は大幅に落ち込ん

でいます(図表3)。被災

地で瓦礫処理が長期化する

なか、建設工事が大幅に遅

れているためとみられま

す。

 一方、海外需要は持ち直

しているものの、世界景気

の拡大ペースに比べると、

増勢は小幅にとどまってい

ます。この背景には、リー

マン・ショック後の円高進

行によって、輸出競争力が

低下していることが指摘出

来ます。とりわけ、アジア

通貨に対しても円高が進ん

でいるため、素材製品のう

ち製品差別化が難しい汎用

図表2 震災後の生産・在庫    (201 1 年2月→201 1 年9月)

(資料)経済産業省「鉱工業生産」「鉱工業出荷内訳表」(注)�素材は鉄鋼、非鉄金属、窯業・土石製品、化学、プラ

スチック製品、パルプ・紙・紙加工品。化学の2011年9月は8月の数値を代用。

70

80

90

100

110

120

2008 09 10 11 (年/月)

生産国内向け出荷輸出向け出荷

(2008年=100)

図表 1 �素材の生産と出荷の動き    (季節調整値)

▲15

▲10

▲5

0

5

10

15

素材業種

鉄鋼

プラスチック

パルプ・紙

非鉄金属

窯業・土石

化学

(%)

在庫 生産

(資料)経済産業省「鉱工業生産」(注)化学は8月までの変化。

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データ アイ■

MONTHLY REVIEW 2011.12┃ 11

品は、競合する韓国や台湾

メーカーに対して価格面で

厳しい状況に置かれている

とみられます。

 さらに、円高により、

2011年入り以降、輸入浸

透度(輸入/国内総供給)

が急上昇しており、輸入拡

大により国内生産が下押し

されている様子がみてとれ

ます(図表4)。

今後を展望すると、素材

生産は徐々に回復に転

じるとみられます。

 以下の2点を背景に、こ

れまで弱含んでいた内需向

け出荷が、増加すると見込

まれるためです。

 第1に、復興需要の顕在

化です。被災地で瓦礫処理

が進むなか、住宅や店舗な

どの建設投資が今後本格化

する見込みです。それに伴

い、鉄鋼や化学など建設用

の素材需要が拡大すると予

想されます。

 第2に、自動車用の素材

受注が一段と増加すること

です。日銀短観の2011年

度下期業績計画によると、

自動車の売上高は前期比+

16%と大幅な増加が見込

まれています。

もっとも、素材生産の力

強い回復は期待薄と判

断されます。

 短期的には、タイの洪水

被害が素材生産を下押しす

るとみられます。部品の調

達難により自動車をはじめ

とした加工業では一部減産

を余儀なくされています。

そのため、川上の素材生産

にもマイナス影響が波及す

る可能性があります。

 中期的には、円高が引き

続き輸出押し下げ要因とな

ると予想されます。円高に

よる数量面へのマイナス影

響は、通常1 ~ 2年後に現

れます。今春以降の円高は

2012年入り以降、輸出減

少、輸入増加を通じて国内

生産を圧迫する可能性があ

ります。

 以上を踏まえると、今後

の素材生産は、内需の増加

に牽引されて回復に向かう

ものの、円高などの影響に

より、回復ペースは緩やか

にとどまるとみておくべき

でしょう。� (井上(恵))

(資料)日本鉄鋼連盟「用途別受注統計」 (資料)経済産業省「鉱工業総供給表」(注)化学の2011年7~ 9月期は7~ 8月平均。

図表3 �普通鋼鋼材の用途別受注高    (季節調整値)

図表4 輸入浸透度(輸入/国内総供給)

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

2008 09 10 11

(万トン)

(年/月)

建設用 自動車用

4

5

6

7

5

10

15

20

25

30

2005 06 07 08 09 10 11

(%)(%)

(年/期)

化学(左目盛)

プラスチック(左目盛)

鉄鋼(右目盛)

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KEY INDICATORS

12 ┃MONTHLY REVIEW 2011.12

●日 本●� (%)

2010年度 2011年 2011年

4 ~ 6 7 ~ 9 7月 8月 9月 10月

鉱工業生産指数(8.9)

〈▲4.0〉(▲6.8)

〈4.3〉(▲2.1)

〈0.4〉(▲3.0)

〈0.6〉(0.4)

〈▲3.3〉(▲3.3)

鉱工業出荷指数(9.3)

〈▲5.9〉(▲8.4)

〈6.6〉(▲2.0)

〈0.1〉(▲3.0)

〈0.2〉(0.2)

〈▲2.0〉(▲2.9)

鉱工業在庫指数(末)(3.5)

〈3.2〉(4.0)

〈1.9〉(5.5)

〈▲0.1〉(4.1)

〈2.1〉(5.8)

〈▲0.1〉(5.5)

生産者製品在庫率指数(▲10.1)

〈11.4〉(12.0)

〈▲1.9〉(7.3)

〈4.0〉(6.7)

〈▲1.4〉(6.3)

〈3.8〉(9.3)

稼働率指数 (2005年=100)

88.0 80.4 87.2 86.9 89.0 85.8

第3次産業活動指数(1.1)

〈0.0〉(▲0.5)

〈1.1〉(▲0.1)

〈▲0.2〉(▲0.2)

〈0.0〉(0.5)

〈▲0.7〉(▲0.4)

全産業活動指数(除く農林水産業) (2.0)

〈▲0.4〉(▲1.7)

〈0.4〉(▲0.8)

〈▲0.5〉(0.0)

機械受注(船舶・電力を除く民需) (9.1)

〈2.5〉(9.8)

〈1.5〉(5.8)

〈▲8.2〉(4.0)

〈11.0〉(2.1)

〈▲8.2〉(9.8)

建設工事受注(民間)公共工事請負金額

(▲2.6)(▲8.8)

(20.1)(▲9.3)

(▲2.1)(▲3.4)

(12.0)(▲15.9)

(5.7)(3.5)

(▲14.0)(3.3) (3.2)

新設住宅着工戸数(年率、万戸)

81.9(5.6)

81.0(4.1)

87.8(7.9)

95.5(21.2)

93.4(14.0)

74.5(▲10.8)

百貨店売上高    全国          東京チェーンストア売上高

(▲3.2)(▲3.0)(▲1.4)

(▲1.2)(▲3.1)(▲0.9)

(▲1.2)(▲2.5)(▲1.2)

(▲0.1)(▲1.3)

(2.1)

(▲1.7)(▲2.9)(▲2.2)

(▲2.4)(▲3.6)(▲3.6)

完全失業率有効求人倍率

5.00.56

4.60.62

4.40.66

4.70.64

4.30.66

4.10.67

現金給与総額  (5人以上)所定外労働時間   (〃)常用雇用      (〃)

(0.6)(6.9)(0.5)

(▲0.4)(▲2.0)

(0.7)

(▲0.2)(▲1.0)

(0.6)

(▲0.2)(▲1.0)

(0.7)

(▲0.4)(▲2.1)

(0.7)

(0.0)(0.0)(0.5)

M2    (平残)広義流動性(平残)

(2.7)(0.6)

(2.8)(0.0)

(2.8)(0.5)

(3.0)(0.7)

(2.7)(0.4)

(2.7)(0.2)

(2.7)(▲0.1)

経常収支     (兆円)   前年差

16.130.34

1.54▲2.07

2.98▲1.90

0.99▲0.73

0.41▲0.74

1.58▲0.43

貿易収支   (兆円) 前年差

6.50▲0.10

▲1.05▲3.09

▲0.20▲2.18

0.12▲0.77

▲0.69▲0.87

0.37▲0.54

消費者物価指数(除く生鮮食品) (▲0.8) (▲0.3) (0.2) (0.1) (0.2) (0.2)

(%)

2010年度 2010年 2011年

4 ~ 6 7 ~ 9 10 ~ 12 1 ~ 3 4 ~ 6 7 ~ 9

業況判断DI 大企業・製造非製造

中小企業・製造非製造

1▲5

▲18▲26

82

▲14▲21

51

▲12▲22

63

▲10▲19

▲9▲5

▲21▲26

21

▲11▲19

売上高  (法人企業統計)経常利益

(1.3)(36.1)

(20.3)(83.4)

(6.5)(54.1)

(4.1)(27.3)

(0.3)(11.4)

(▲11.6)(▲14.6)

実質GDP(2000年連鎖価格) (2.4)

〈0.0〉(3.2)

〈0.7〉(5.2)

〈▲0.7〉(2.3)

〈▲0.7〉(▲1.0)

〈▲0.3〉(▲1.1)

〈1.5〉(0.0)

名目GDP(0.4)

〈▲0.9〉(1.1)

〈0.1〉(2.8)

〈▲0.9〉(0.5)

〈▲1.1〉(▲2.9)

〈▲1.5〉(▲3.2)

〈1.4〉(▲1.9)

注:〈 〉内は季節調整済み前期比、( )内は前年(同期(月))比。完全失業率、現金給与総額、所定外労働時間、常用雇用は、一部被災地を除くベースで集計。

(2011年11月15日現在)

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KEY INDICATORS

MONTHLY REVIEW 2011.12┃ 13

●米 国●2010年 2011年 2011年

1 ~ 3 4 ~ 6 7 ~ 9 8月 9月 10月

鉱工業生産(5.3)

〈1.2〉(5.4)

〈0.1〉(3.7)

〈1.3〉(3.3)

〈0.0〉(3.3)

〈0.2〉(3.2)

設備稼働率 74.5 76.8 76.6 77.4 77.3 77.4

小売売上高(6.4)

〈2.6〉(8.2)

〈1.2〉(7.8)

〈1.1〉(8.0)

〈0.3〉(7.5)

〈1.1〉(7.9)

〈0.5〉(7.2)

失業率(除く軍人、%) 9.6 8.9 9.1 9.1 9.1 9.1 9.0

非農業就業者数(千人)(前期差、前月差)

▲967 421 467 280 104 158 80

消費者物価指数(1.6)

〈1.3〉(2.1)

〈1.0〉(3.4)

〈0.8〉(3.8)

〈0.4〉(3.8)

〈0.3〉(3.9)

2010年 2010年 2011年

4 ~ 6 7 ~ 9 10 ~ 12 1 ~ 3 4 ~ 6 7 ~ 9

実質GDP(連鎖ウエート方式) (3.0)

{3.8}(3.3)

{2.5}(3.5)

{2.3}(3.1)

{0.4}(2.2)

{1.3}(1.6)

{2.5}(1.6)

経常収支(億ドル、年率)名目GDP比

▲4,709▲3.2

▲4,812▲3.3

▲4,805▲3.3

▲4,487▲3.0

▲4,784▲3.2

▲4,720▲3.1

注:{ }内は季節調整済み前期比年率、〈 〉内は季節調整済み前期比、  ( )内は季節調整済み前年比。ただし、消費者物価指数および暦年の前年比は原数値。

●アジア●実質GDP成長率(前年比、前年同期比、%)

韓 国 台 湾 香 港 シンガポール タ イ マレーシア インドネシア フィリピン 中 国

2009年 0.3 ▲1.9 ▲2.7 ▲0.8 ▲2.3 ▲1.7 4.5 1.1 9.22010年 6.2 10.9 7.0 14.5 7.8 7.2 6.1 7.6 10.4

2010年1 ~ 3月 8.5 13.6 8.0 16.4 12.0 10.1 5.6 8.4 12.04 ~ 6月 7.5 12.9 6.7 19.4 9.2 9.0 6.1 8.9 10.37 ~ 9月 4.4 10.7 6.9 10.5 6.6 5.3 5.8 7.3 9.6

10 ~ 12月 4.7 7.1 6.4 12.0 3.8 4.8 6.9 6.1 9.8

2011年1 ~ 3月 4.2 6.2 7.5 9.3 3.2 4.9 6.5 4.6 9.74 ~ 6月 3.4 5.0 5.3 1.0 2.6 4.0 6.5 3.4 9.5

7 ~ 9月 3.4 3.4 4.3 5.9 6.5 9.1

貿易収支(100万米ドル)

韓 国 台 湾 香 港 シンガポール タ イ マレーシア インドネシア フィリピン 中 国

2009年 40,449 29,304 ▲28,898 24,055 18,754 33,601 30,397 ▲4,655 195,6882010年 41,172 23,364 ▲43,143 41,096 12,919 34,161 39,450 ▲3,436 181,509

2010年10月 6,339 2,990 ▲2,870 5,400 2,152 2,204 1,846 ▲116 26,807

11月 2,592 411 ▲3,031 3,127 410 2,850 3,279 ▲810 22,295

12月 4,089 1,587 ▲5,601 4,514 1,295 3,141 4,373 ▲748 12,608

2011年1月 2,584 1,876 ▲2,052 4,699 ▲861 3,265 6,082 ▲1,302 5,8582月 2,130 902 ▲3,224 3,760 1,770 3,421 4,364 ▲896 ▲7,788

3月 2,547 1,749 ▲5,143 2,935 1,787 3,746 2,098 ▲1,196 ▲158

4月 4,357 2,948 ▲5,458 3,519 ▲796 3,702 3,406 ▲1,195 11,279

5月 2,114 1,211 ▲4,591 2,459 277 2,818 3,779 ▲780 12,998

6月 1,865 1,377 ▲5,171 3,775 1,273 2,611 5,022 ▲411 22,218

7月 4,675 3,372 ▲4,612 4,507 2,798 3,198 4,221 ▲569 30,391

8月 370 2,627 ▲4,460 2,350 ▲1,204 3,685 ▲873 17,786

9月 1,556 1,775 ▲5,128 5,149 233 3,018 14,514

10月 3,321 17,033

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2011年12月号

発 行 日 2011年12月1日発   行 株式会社 三井住友銀行企画・編集 株式会社 日本総合研究所 調査部 TEL(03)3288-4660 *本誌には再生紙を使用しております