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カテゴリー 建物データ 省エネルギー性能 CASBEE評価 主要な採用技術(CASBEE準拠) 0 0 50 100 Q S A B + B - C L 100 50 0.5 3.0 1.5 BEE=1.0 サステナブル建築事例集/一般社団法人日本建設業連合会 本事例シートおよび記載内容の二次利用を禁止します PUE=1.22を実現する、100%風量の直接外気冷房システム MCC三鷹ビル サウス棟は、100%風量の外気冷房システムを 都心近郊の三鷹市において採用した日本初の次世代都市型データ センターである。年間71%の期間において外気を利用した空調が 行われる。給気は各階の壁面から行い、排気は屋上へダクトで排 出する事でショートサーキットを防止する計画としている。この 最新式外気冷房を初め、クールピット、屋上緑化、ソーラー付街 路灯、雨水利用等により、CASBEE「Sランク」、設計PUE=1.22を 実現した。3.11以降、重要視されている環境負荷・地球環境に配 慮した多層型データセンターであるQ2. 2. 耐用性・信頼性(ハイブリッドTASS免震、中間受梁、PCaボイドスラブによる小梁レス工法、電源の2重化) Q2. 3. 対応性・更新性(更新スペース確保、メンテナンススペースの確保) LR1.1. 建物外皮の熱負荷抑制(無機系ZAM鋼板による2重外壁構造) LR1.2. 自然エネルギー利用(直接外気冷房、免震クールピット、雨水利用、風力・太陽光パネル対応街灯) LR1.3. 設備システムの高効率化(大成高効率LED、高効率モジュールチラー) LR1.4. 効率的運用(T-GreenBEMS iDC、PUEの見せる化) A. 環境配慮デザイン B. 省エネ・省CO2技術 C. 各種制度活用 D. 評価技術/FB E. リニューアル F. 長寿命化 G. 建物基本性能確保 H. 生産・施工との連携 I. 周辺・地域への配慮 J. 生物多様性 K. その他 No.12-033-2014作成 新築 事務所/その他 MCC三鷹ビル サウス棟 呼吸する外壁を持つ、都市型100%外気冷房DC Sランク BEE=3.1 2010年度版 自己評価 機能美を追求した、工業製品のような建築 本建物は、「設備機能をそのまま形態化した、工業製品のような 建築」をコンセプトに掲げ、一定のリズムで配置されたローコス ト無機系ZAM鋼板で構成した建物である。防風板としての外装 に一定のリズムを与えることで、約90mもある壁面が分節され、 近隣への圧迫感を軽減させた。また給気、採光、消防進入口の開 口が、壁面に表情を与え、軽快さを演出している。給気開口は、 必要給気量から算出している。凹凸のある壁面は、給気フードサ イズと排気ダクトサイズ、そしてメンテナンススペースからくる 奥行きの違いを、そのままデザインした。ロの字型に囲われたデ ザインは側壁避雷(回転球体法)の避雷針を、そのままデザイン した。このように、意図的なデザインを排除し、設備機能や法的 必要機能をそのまま形態化させることで、サーバーラックのよう なデータセンターを象徴する建築を生み出した。 設備機能をそのまま形態化した、工業製品のような外観 発注者 三菱商事株式会社 設計・監理 大成建設株式会社一級建築士事務所 施工 大成建設株式会社 MCC MITAKA south building 所在地 東京都三鷹市 竣工年 2013 年 敷地面積 20,003㎡ 延床面積 14,573㎡ 構造 S造 階数 地上4階 3.1 24 76 設計担当者 統括:出野昭彦/建築:安田孝、土井健史/構造:新田隆雄、小林治男、岩間結莉香 設備/小野田修二、長徹、齊藤允喜哉 周辺環境を考慮した素材により「空を届ける」 設備機器を守る防風板として採用した、無機系ZAM鋼板は、傷 がつくと自分で治癒する素材である。通常は、設備ダクト等で採 用される素材である。建築仕上材として大規に採用したのは、 本建物が初めてである。この材は、メンテナンス飛来物で できた傷を自分で治癒する錆びが出耐久性い。また、 表面が平滑れが付きにくく維持管理がしやすい材でも ある。反射を調節した無機系ZAM鋼板は、らかく刻々る空をしこンションが林立するこの地に、空を届け建物と調する建築をつくた。 設備機能プロット図と無機系ZAM鋼板(防風板)展開図 周辺建物状況 時間毎に変わる表情 直接外気冷房システム概念図 直接外気冷房システムフロー図 給気フード・排気ダクト概念図 従来工法 給気フード 排気ダクト クールピットによる地中熱利用 にも外気冷房を入し、年間の1/3の期間において空調を 利用せに冷できるシステムとした。に1階の設備機械室諸室)は、外気入れ路を免震層(クールピット)経由し、通年比較的冷たれた地中熱を利用することで、外気冷 房の効果大させランコストを減させた。居室にでき ない免震層というデッドスペースを、省エネ環境装置に利用した システムである。 小梁レス・天井レス工法 空気の流を考慮した、小梁レス・天井レス 空調シミュレーション用いて検証した結果、PCaボイドスラよる小梁レス・天井レスサーバーとした。これにより、気流障 が無く、停電時もサーバー温度やかにすることが 能になた。さらに、気流障害を軽減させるに、大梁高 げる法として、半逆梁受け梁)を採用している。こ のように、設備機能を最大限高め、万全安全性確保しながら CCをえる、構造方式・建築仕とした。 クールピットシステム図 クールピット測定結果 夏季

MCC三鷹ビル サウス棟MCC三鷹ビル サウス棟は、100%風量の外気冷房システムを 都心近郊の三鷹市において採用した日本初の次世代都市型データ

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Page 1: MCC三鷹ビル サウス棟MCC三鷹ビル サウス棟は、100%風量の外気冷房システムを 都心近郊の三鷹市において採用した日本初の次世代都市型データ

カテゴリー

建物データ 省エネルギー性能 CASBEE評価 主要な採用技術(CASBEE準拠)

0

0 50 100

Q

S A B

+

B

-

C

L

100

50 0.5

3.0 1.5 BEE=1.0

サステナブル建築事例集/一般社団法人日本建設業連合会

※本事例シートおよび記載内容の二次利用を禁止します

PUE=1.22を実現する、100%風量の直接外気冷房システム

MCC三鷹ビル サウス棟は、100%風量の外気冷房システムを

都心近郊の三鷹市において採用した日本初の次世代都市型データ

センターである。年間71%の期間において外気を利用した空調が

行われる。給気は各階の壁面から行い、排気は屋上へダクトで排

出する事でショートサーキットを防止する計画としている。この

最新式外気冷房を初め、クールピット、屋上緑化、ソーラー付街

路灯、雨水利用等により、CASBEE「Sランク」、設計PUE=1.22を

実現した。3.11以降、重要視されている環境負荷・地球環境に配

慮した多層型データセンターである。

Q2. 2. 耐用性・信頼性(ハイブリッドTASS免震、中間受梁、PCaボイドスラブによる小梁レス工法、電源の2重化)

Q2. 3. 対応性・更新性(更新スペース確保、メンテナンススペースの確保)

LR1.1. 建物外皮の熱負荷抑制(無機系ZAM鋼板による2重外壁構造)

LR1.2. 自然エネルギー利用(直接外気冷房、免震クールピット、雨水利用、風力・太陽光パネル対応街灯)

LR1.3. 設備システムの高効率化(大成高効率LED、高効率モジュールチラー)

LR1.4. 効率的運用(T-GreenBEMS iDC、PUEの見せる化)

A. 環境配慮デザイン B. 省エネ・省CO2技術 C. 各種制度活用 D. 評価技術/FB

E. リニューアル F. 長寿命化 G. 建物基本性能確保 H. 生産・施工との連携

I. 周辺・地域への配慮 J. 生物多様性 K. その他

No.12-033-2014作成

新築

事務所/その他

MCC三鷹ビル サウス棟

呼吸する外壁を持つ、都市型100%外気冷房DC

Sランク

BEE=3.1

2010年度版

自己評価

機能美を追求した、工業製品のような建築

本建物は、「設備機能をそのまま形態化した、工業製品のような

建築」をコンセプトに掲げ、一定のリズムで配置されたローコス

ト無機系ZAM鋼板で構成した建物である。防風板としての外装

に一定のリズムを与えることで、約90mもある壁面が分節され、

近隣への圧迫感を軽減させた。また給気、採光、消防進入口の開

口が、壁面に表情を与え、軽快さを演出している。給気開口は、

必要給気量から算出している。凹凸のある壁面は、給気フードサ

イズと排気ダクトサイズ、そしてメンテナンススペースからくる

奥行きの違いを、そのままデザインした。ロの字型に囲われたデ

ザインは側壁避雷(回転球体法)の避雷針を、そのままデザイン

した。このように、意図的なデザインを排除し、設備機能や法的

必要機能をそのまま形態化させることで、サーバーラックのよう

なデータセンターを象徴する建築を生み出した。

設備機能をそのまま形態化した、工業製品のような外観

発注者 三菱商事株式会社

設計・監理 大成建設株式会社一級建築士事務所

施工 大成建設株式会社

MCC MITAKA south building

所在地 東京都三鷹市

竣工年 2013 年

敷地面積 20,003㎡

延床面積 14,573㎡

構造 S造

階数 地上4階

3.1

24

76

設計担当者

統括:出野昭彦/建築:安田孝、土井健史/構造:新田隆雄、小林治男、岩間結莉香

設備/小野田修二、長徹、齊藤允喜哉

::::メメメメンンンンテテテテ用用用用採採採採光光光光 ::::外外外外冷冷冷冷給給給給気気気気 ::::屋屋屋屋上上上上給給給給気気気気 ::::消消消消防防防防進進進進入入入入口口口口 ::::ババババルルルルココココニニニニーーーー手手手手摺摺摺摺 ::::側側側側壁壁壁壁避避避避雷雷雷雷針針針針

周辺環境を考慮した素材により「空を届ける」

設備機器を守る防風板として採用した、無機系ZAM鋼板は、傷

がつくと自分で治癒する素材である。通常は、設備ダクト等で採

用される素材である。建築仕上材として大規模に採用したのは、

本建物が初めてである。この材料は、メンテナンス時や飛来物で

できた傷を自分で治癒する為、錆びが出ず、耐久性が高い。また、

表面が平滑な為、汚れが付きにくく維持管理がしやすい材料でも

ある。反射を調節した無機系ZAM鋼板は、柔らかく刻々と変わ

る空を写しこむ。マンションが林立するこの地に、空を届け、周

辺建物と調和する建築をつくった。

本本本本建建建建物物物物 00006666::::00000000 11110000::::00000000

11116666::::00000000 11118888::::00000000

設備機能プロット図と無機系ZAM鋼板(防風板)展開図

周辺建物状況 時間毎に変わる表情

EAダクト断面 OA取入口断面:給気 :排気

排気ファンOAダンパー給気フード

加湿器

RAダンパー

ラック

空調機械室

サーバー室

:給気 :排気

直接外気冷房システム概念図

直接外気冷房システムフロー図 給気フード・排気ダクト概念図

従来工法

給気フード

排気ダクト

クールピットによる地中熱利用

電気室にも外気冷房を導入し、年間の1/3の期間において空調を

利用せずに冷却できるシステムとした。特に1階の設備機械室(

電気諸室)は、外気取入れ経路を免震層(クールピット)経由と

し、通年比較的冷温に保たれた地中熱を利用することで、外気冷

房の効果を増大させランニングコストを低減させた。居室にでき

ない免震層というデッドスペースを、省エネ環境装置に利用した

システムである。

ササササーーーーババババーーーーララララッッッッククククササササーーーーババババーーーーララララッッッックククク ササササーーーーババババーーーーララララッッッッククククOAフロア

CCCCOOOOLLLLDDDD HHHHOOOOTTTT CCCCOOOOLLLLDDDD1200 ササササーーーーババババーーーーララララッッッックククク ササササーーーーババババーーーーララララッッッックククク ササササーーーーババババーーーーララララッッッックククク

OAフロアHHHHOOOOTTTTCCCCOOOOLLLLDDDD CCCCOOOOLLLLDDDD1000

イメージ写真

スラブ冷気冷気 排熱 前面前面 背面

スラブ

フリーアクセスフロア

梁梁 天井

イメージ写真

スラブ排熱 冷気冷気 前面前面 背面スラブ

フリーアクセスフロア

HHHHOOOOTTTTCCCCOOOOLLLLDDDDCCCCOOOOLLLLDDDD

断面方向温熱シミュレーション

平面方向温熱シミュレーション

断面方向温熱シミュレーション

平面方向温熱シミュレーション小梁レス・天井レス工法

空気の流れを考慮した、小梁レス・天井レス

空調シミュレーション用いて検証した結果、PCaボイドスラブに

よる小梁レス・天井レスサーバー室とした。これにより、気流障

害が無く、停電時もサーバー室の温度上昇を緩やかにすることが

可能になった。さらに、気流障害を軽減させる為に、大梁の梁高

を下げる方法として、半逆梁(中間受け梁)を採用している。こ

のように、設備機能を最大限高め、万全な安全性を確保しながら

LCCを抑える、構造方式・建築仕様とした。

ククククーーーールルルルピピピピッッッットトトト設設設設備備備備機機機機械械械械室室室室

安安安安定定定定ししししたたたた温温温温度度度度のののの地地地地中中中中熱熱熱熱 0時 6時 12時 24時18時24℃25℃26℃27℃28℃29℃30℃31℃32℃

クールピットシステム図 クールピット温度測定結果

夏季