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ス漏れ警報器の交換なども合わせると訪 問回数が多くなり、不満を持たれるお客 さまもいたため、現在は3年に一度のペ ースになっています。4年に一度だと、 お客さまの不在などで厳しいスケジュー ルになりますが、3年に一度であれば、 お客さまとも会話ができる時間もあり、 スケジュール的にも余裕を持って終わら せることができます。 また、自社で保安点検をすることによ り、点検時に設備に不備があった場合、 その場ですぐに改善することができま す。機器の調子が悪いなどのお客さまか らの相談にも乗れ、機器を販売する場合 jjjjjjj 100%自社保安、調査点検は3年おきに jjjjjjj (編) :経済産業省の保安優良LPガス販売事 業者表彰を、平成17年の初受賞から10 回も受賞されています。保安に対するモ ットーや取り組みについてお聞かせくだ さい。 小川:LPガス販売は“保安と販売は両輪。 保安なくして販売なし”だと思っていま す。お客さまに安心してLPガスを使っ てもらえるように、保安業務を日常の販 売業務とともにルール化しています。ル ールを徹底して実践することにより、お 客さまの信頼を得られるよう社員一人ひ とりが事業活動を行っています。 (編) :保安で重点を置かれていることについ てお聞かせください。 小川:当社では、100%自社で保安の対応を しています。調査点検は法律では4年に 一度ですが、当社では3年に一度として います。卸売事業者の「みつばちガスふ れあい点検キャンペーン」などに合わせ て自主点検を行い、換気扇やガスコンロ 掃除、小型湯沸かし器の点検などを実施 しています。以前は2年に一度のペース で自主保安点検を行っていましたが、ガ LPガス保安優良事業者を訪ねて 今回は埼玉県春日部市で自主保安活動を推進している「有限会 社丸久小川商店」を訪問し、小川徹弥代表取締役社長と小川芳郎 取締役会長にお話を伺いました。 ───── 訪問先 ───── 有限会社丸久小川商店 小川 徹弥社長 平成28年度 保安優良LPガス販売事業者表彰を受賞 ─ 1 ─ LPガス事業団広報 No.207

LPガス保安優良事業者を訪ねてjjjjjjj 100%自社保安、調査点検は3年おきに jjjjjjj (編):経済産業省の保安優良LPガス販売事 業者表彰を、平成17年の初受賞から10

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Page 1: LPガス保安優良事業者を訪ねてjjjjjjj 100%自社保安、調査点検は3年おきに jjjjjjj (編):経済産業省の保安優良LPガス販売事 業者表彰を、平成17年の初受賞から10

ス漏れ警報器の交換なども合わせると訪問回数が多くなり、不満を持たれるお客さまもいたため、現在は3年に一度のペースになっています。4年に一度だと、お客さまの不在などで厳しいスケジュールになりますが、3年に一度であれば、お客さまとも会話ができる時間もあり、スケジュール的にも余裕を持って終わらせることができます。

   また、自社で保安点検をすることにより、点検時に設備に不備があった場合、その場ですぐに改善することができます。機器の調子が悪いなどのお客さまからの相談にも乗れ、機器を販売する場合

jjjjjjj 100%自社保安、調査点検は3年おきに jjjjjjj

(編):経済産業省の保安優良LPガス販売事業者表彰を、平成17年の初受賞から10回も受賞されています。保安に対するモットーや取り組みについてお聞かせください。

小川:LPガス販売は“保安と販売は両輪。保安なくして販売なし”だと思っています。お客さまに安心してLPガスを使ってもらえるように、保安業務を日常の販売業務とともにルール化しています。ルールを徹底して実践することにより、お客さまの信頼を得られるよう社員一人ひとりが事業活動を行っています。

(編):保安で重点を置かれていることについてお聞かせください。

小川:当社では、100%自社で保安の対応をしています。調査点検は法律では4年に一度ですが、当社では3年に一度としています。卸売事業者の「みつばちガスふれあい点検キャンペーン」などに合わせて自主点検を行い、換気扇やガスコンロ掃除、小型湯沸かし器の点検などを実施しています。以前は2年に一度のペースで自主保安点検を行っていましたが、ガ

LPガス保安優良事業者を訪ねて

 今回は埼玉県春日部市で自主保安活動を推進している「有限会社丸久小川商店」を訪問し、小川徹弥代表取締役社長と小川芳郎取締役会長にお話を伺いました。

───── 訪問先 ─────

有限会社丸久小川商店小川 徹弥社長

平成28年度保安優良LPガス販売事業者表彰を受賞

─ 1 ─

LPガス事業団広報 No.207

Page 2: LPガス保安優良事業者を訪ねてjjjjjjj 100%自社保安、調査点検は3年おきに jjjjjjj (編):経済産業省の保安優良LPガス販売事 業者表彰を、平成17年の初受賞から10

もすぐに提案できます。お客さま宅の消費機器を把握できているので事前に家の様子が分かり、社員がスムーズな対応ができるため、お客さまにも安心してもらえて信頼も得られると思っています。

   チラシの配布の際、ポスティングでは内容を見てもらえない可能性が高いため、点検時にテーブルコンロなどのチラシをお渡ししています。

   ガス機器の期限管理にも力を入れています。ガス漏れ警報器や調整器、ガスメーターなどの期限管理はパソコンで管理し、交換期限が早い機器に合わせて同時に交換するなど工夫しています。災害時に有効なガス放出防止型高圧ホースも100%普及を目指しており、調整器の検満時に合わせて交換を進めています。この他、重要施設などに埋設した白管対策として、毎年自記圧力計による漏えい試験とともに、腐食測定器による腐食診断を行って管理しています。空き家の管理では、閉栓カバーを付けて誤開放防止に努めています。

   当社では集中監視システムを採用し、お客さまへの保安を高度化することにより、お客さまの高齢化にも対応しています。集中監視による自動検針によって検針票を郵送するのではなく、直接お渡し

し、お客さまとの接点を大切にしています。

(編):保安で苦労されていることはありますか。

小川:春日部市では集合住宅が増えており、当社のお客さまの中でも割合は高くなっています。保安点検やガス漏れ警報器交換の際、戸建て住宅のお客さまは電話でのアポイント取りもスムーズに行くのですが、集合住宅、特にワンルームで一人暮らしのお客さまは、電話にも出てもらえず、留守番電話にメッセージを入れても返信がないことが多々あり、苦労しています。不在の際には、曜日や時間を変えて何度も訪問し、点検をさせていただきたい旨を書いたお伺い書を投函しています。6月の省令改正により、訪問3回以上の不在需要家は調査拒否と同様の取り扱いになりますが、当社としては省令改正後も保安点検100%実施の方針は変わりません。対策として、入居時のガス開栓時に緊急時の連絡先として、実家や勤務先などの連絡先を聞き、本人へ点検を行いたい旨を伝えてもらうようにお願いしています。そのおかげで、不在時の対応がしっかり行え、当社の保安点検は100%行うことができています。

(編):集中監視システムの取り組みについてお聞かせください。

小川:20年前に、集中監視システム「スーパーTOMS」を導入しました。ピーク時には約90%のお客さまに集中監視システムを設置しましたが、時代とともに通信回線が変わっていき、その都度対策を講じ、現在は普及率78%を維持し

ています。当社の社員には電気通信の資格がある工事担当者がおり、多様化する通信回線に対応しています。冬場にお湯を大量に使ったり、ファンヒーターを長時間使用することで起こる迷惑遮断に対し、集中監視システムで対応することで不要な出動を減らすことができる点にメリットを感じています。

jjjjjj 20年前に集中監視導入、通信回線の変化に対応 jjjjjj

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(編):今後の保安に関する課題についてお聞かせください。

小川:集合住宅のお客さまなどで固定電話を入れていないケースが増えてきており、集中監視システムで既存の通信機器が利用できずに新たに無線化に対応した機器に変更する必要があるため、その導入費用がかかることです。また、当社が保安のために集中監視システムを維持し続けるなか、安売り業者が売り込み勧誘をする際に「集中監視システムはLPガス販売店が検針に行く手間を省いて楽をするために付けているもので、そのような機器をつけているからガス代を安くできない。ない方が価格を安くできる」というように、保安面を疎かにした勧誘をしているのが残念です。

(編):お客さまへの周知活動では、どのような取り組みをしていますか。

小川:周知文書は1年に一度、6月に全件に配布しています。その際、できるだけ内容を説明しながら手渡ししており、受け取りのサインをもらっています。それに加え、周知文書とカレンダーが一体になったものを年末に配布しています。

(編):ここ数年、LPガス事故件数は減少傾向にありますが、事故件数の現状について、どう感じていますか。

小川:LPガス事故件数を減らすのには、自主保安活動を積極的に行い、お客さまとのコミュニケーションをとることが大事だと思います。お客さまの設備、経年劣化した機器、普段の使用方法などを、点検調査時に把握することで事故の予防になるのではないでしょうか。

(編):業界全体の保安への取り組みについて

思うことをお聞かせください。小川:保安にかけるべき投資を無償配管や給

湯器などのガス器具の無償貸与に向けてしまい、保安にかけるコストの余力がないように思えます。価格競争の影響で、保安にかける力を下げるのではなく、価格の面以外でもお客さまから選んでもらえる事業者になるために、より一層保安に力を入れていくことが重要だと思います。

(編):行政への保安に関する要望はありますか。

小川:当社はゴールド保安認定事業者の認定を取得していますが、認定販売事業者のインセンティブが少ないと感じています。LPガス業界の認定販売事業者のPRも少ないと思います。お客さまにほとんど知られていないのが現状で、業界でも知らない人が多いです。お客さまへのアピールとして、消防機関が防火・防災に関する基準を審査し、ホテルや旅館などに交付している「適マーク」のようなものをLPガスにも導入してもらいたいと考えています。

   また、お客さまがLPガス事業者を選ぶ際、インターネットなどで保安に力を入れている事業者を検索できるようなサイトがあっても良いのではないでしょうか。公共施設などへのLPガス販売には、認定販売事業者が優遇されるなどのインセンティブがあれば、設備投資に費用をかけている事業者もモチベーションが維持できると思います。競争が激しく利益が減少する時代だからこそ、インセンティブを設けて保安を見える形で評価することで、事故減少につなげてもらいたいです。

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(編):入社から今日まで印象に残っていることはありますか。

小川:大学卒業後3年間、LPガス取引先の卸売事業者で修行させてもらいました。一番のLPガス激戦区である神奈川の営業所に配属され、安売り業者の強引な勧誘の対応で苦労しましたが、大変勉強になりました。12年前に当社に入社したのですが、その経験のおかげで競争が激しくても今では対応できています。

(編):趣味や座右の銘は何かありますか。小川:「変化こそ常道 既成慣習を打破し未

来を開け」「心の中も常に笑顔で応対しよう」「限界を作るな 限界の更新を続けろ」の3つを常に心掛けています。企業を取り巻く環境は絶えず変化していますので、成長という道を選ぶのなら、環境変化に適応する進化が必要だと思います。時代の変化とともにお客さまのニー

ズも変わってきています。まず自らが動いて価値ある提案をしていかなければなりません。無意識な現状維持は、長い目で見れば後退を意味します。現状に安住することなく、新しいことにチャレンジしていくことが大切だと思います。趣味は、フットサルを学生時代の友人達とチームを作ってやっています。最近はゴルフも始めました。レッスンに通いながら日々練習中です。

 埼玉県東部に位置し、人口は県内7位の春日部市は、日光街道の宿場町として長い歴史を持つ。時代の流れとともに、地域とのつながりの希薄化が進む首都圏で、丸久小川商店は保安点検100%を実現している。春日部地区だけでなく、埼玉県や全国でも後継者不在などで販売事業者数が減少するなか、顧客との信頼関係をベースに、4代目の小川徹弥代表取締役社長がしっかりと事業を継承していることを感じることができた。これからも安全安心なLPガスを核に、地域に愛されるお店作りを進めていくことを期待したい。

(会社の基本情報)社  名 : 有限会社丸久小川商店所 在 地 : 埼玉県春日部市大枝776創  業 : 明治43年(1910年)資 本 金 500万円従業員数 : 9名事業内容 : LPガス、電気、ガス器具、

住設機器、灯油、米穀、宅配ボトルウォーターの販売

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事務所に座右の銘「心の礎」を掲示

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