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ISO 9001:2015 内部監査員養成研修 2016年4月

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ISO 9001:2015

内部監査員養成研修

2016年4月

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◆1日目:基礎編

時間 実施事項

10:00 オリエンテーション

10:15 品質マネジメントシステムと内部監査

10:30 ISO 9001:2015 要求事項と内部監査のポイント①

12:30 昼休

13:30 ISO 9001:2015 要求事項と内部監査のポイント②

16:00 内部監査の進め方

17:30 終了

◆2日目:実践編

時間 実施事項

10:00 CS:不適合の判定

12:00 昼休

13:00 CS:不適合の判定

14:00 CS:最終会議

17:30 終了

CS:ケーススタディ

※ 1日コースは、<基礎編>のみです。

※ 研修参加者、及び研修の進捗状況により、スケジュール、実施事項が変更になる場合があり

ます。ご了承ください。

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もくじ

1.品質マネジメントシステムと内部監査 ・・・ 1

2.ISO 9001:2015 要求事項と内部監査のポイント ・・・ 10

3.内部監査の進め方 ・・・ 75

4.ケーススタディ ・・・ 102

参考資料

1.JIS Q 9001:2015 要求事項一覧

2.JIS Q 9000:2015「品質マネジメントシステムの基本および用語」より抜粋

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1 ©TBCソリューションズ

1.品質マネジメントシステムと内部監査

1.品質マネジメントシステム

(1)品質マネジメントシステム(QMS)とは?

・取引先や顧客の要求に合った仕様の製品/サービスを、安定して提供するこ

とができる仕組み(顧客重視のシステム)です。

・PDCA※をまわしながら、方針や目標を達成できるよう継続的に改善します。

※Plan(計画)・Do(実行)・Check(点検)・Act(改善)のこと。

(2)ISO 9001 とは?

・ISO 9001 には、品質マネジメントシステムに関する要求事項が定められてい

ます。

・品質マネジメントシステムを構築し運用する際の基本事項として、組織がやる

べきことを定めています。これらのやるべきことを“要求事項”といい、「~

しなければならない」と表現されています。

(3)JIS Q 9001 とは?

・JIS 規格は、Japanese Industrial Standards の略で、『日本工業規格』とい

います。JIS は多数の部門に分類されており、土木及び建築、一般機械、電

気・電子、管理システムなどそれぞれ分野に応じてアルファベットと数字が

付与されています(表記例: JIS Q 9001)。

・ISO の原文は英語、フランス語、ロシア語で作成されますが、日本国内での

使用を円滑にするために、技術的内容及び規格票の様式を変更することなく

日本語に翻訳され、JIS として発行されています。

・翻訳された JIS は、原語で作成された ISO と同じ内容であると認められてお

り、国際整合化が図られています。

(4)品質マネジメントシステム≒ISO 9001

・ISO 9001 は品質マネジメントシステムに関する基本事項を規定しているだ

けです。ISO 9001 に基づいて品質マネジメントシステムを構築すれば、組

織の期待する結果が得られるわけではありません。

・品質マネジメントシステムを構築し運用する上で重要なのは、組織の目的や

顧客満足を達成するために、ISO 9001 の基本事項を基礎に、どのような仕

組みを積み上げていくかを組織が知恵を絞り作り上げ、継続的に改善してい

くことです。

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2 ©TBCソリューションズ

(5)ISO 9000 ファミリー規格

ISO 9000 品質マネジメントシステム―基本及び用語

ISO 9001 品質マネジメントシステム―要求事項

ISO 9004 組織の持続的成功のための運営管理―品質マネジメントシステ

ムアプローチ

ISO 19011 マネジメントシステム監査のための指針

(6)ISO 9001の変換

年 内容 目的 表題

1987 初版発行 品質保証※

品質システム―設計・開発、製造、据付け

及び付帯サービスにおける品質保証モデル 1994 部分改訂

2000 大幅改訂 品質保証

顧客満足 品質マネジメントシステム―要求事項 2008 部分改訂

2015 大幅改訂

※品質保証は、顧客に信頼感を与えることに焦点をあてた活動全般をさす。

<参考> JIS Q 9000「2.4.2 QMSの構築・発展」より抜粋

・QMSの計画策定は、一回限りの事象ではなく、むしろ継続するプロセスである。計画

は、組織が学習し、周辺状況が変化するにつれ進化する。計画は、組織の全ての品

質活動を考慮しており、また、この規格の全ての指針及びJIS Q 9001の要求事項を

網羅することを確実にすることが望ましい。計画は、承認を受けて実施する。

・組織にとって重要なことは、計画の実施とQMSのパフォーマンスの両方を、定期的に

監視及び評価することである。入念に検討された指標によって、この監視及び評価

の活動が容易となる。

・監査は、リスクを特定し、要求事項を満たしていることを明確にするために、QMS

の有効性を評価する手段である。監査を有効なものにするために、有形及び無形の

客観的事実を収集する必要がある。収集した客観的事実の分析に基づき、修正及び

改善のために処置をとる。取得した知識が、QMSのパフォーマンスをより高いレベ

ルに押し上げ、革新につながることがある。

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3 ©TBCソリューションズ

2.ISO 9001:2015 改定の概要

(1)ISO 規格改定の背景

ISO 9001(QMS)、ISO 14001(EMS)、ISO 27001(ISMS)など、複数の ISO マネジメ

ントシステムを導入・運用する組織にとって、それぞれの規格の章立て、要求事項、

用語、定義が異なることから、規格間の整合性を確保したり、効率よく運用したりす

ることは困難でした。

この問題を解決するため、ISO(国際標準化機構)では 2006 年より議論を重ねてき

た結果、2012 年 5 月から、現行の ISO マネジメントシステム規格の見直し・改定を行

う際、ISO マネジメントシステム規格の共通要素を採用することが義務付けられまし

た。

見直しの時期に入っていた ISO 9001、ISO 14001、ISO/IEC 27001 は、この共通要

素を採用し改定作業を進めてきました。ISO/IEC 27001 が 2013 年、ISO 9001 及び ISO

14001 は 2015 年 9 月に発行されました。

2015年版への移行は、2018 年 9月 14日までに完了させることが求められています。

(2)ISO マネジメントシステムの共通要素

2012 年 5 月、専用業務用指針の補足指針の附属書 SL が発行され、ISO マネジメン

トシステムの共通要素として、上位構造(HLS:High Level Structure)、共通テキス

ト、共通用語が提供されました。

【HLS よる ISO マネジメントシステム規格の章立て】

0 序文

1 適用範囲

2 引用規格

3 用語及び定義

4 組織の状況

4.1 組織及びその状況の理解

4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解

4.3 XXX マネジメントシステムの適用範囲の決定

4.4 XXX マネジメントシステム

5 リーダーシップ

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

5.2 方針

5.3 組織の役割、責任及び権限

6 計画

6.1 リスク及び機会への取組み

6.2 XXX 目的及びそれを達成するための計画策定

7 支援

7.1 資源

7.2 力量

7.3 認識

7.4 コミュニケーション

7.5 文書化した情報

8 運用

8.1 運用の計画及び管理

9 パフォーマンス評価

9.1 監視、測定、分析及び評価

9.2 内部監査

9.3 マネジメントレビュー

10 改善

10.1 不適合及び是正処置

10.2 継続的改善

※ISO マネジメトシステム規格でこの章立てが使用され、分野固有の要求事項がこれに追加され

ます。XXX には、品質、環境など各マネジメントシステム分野の名称が記述されます。

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4 ©TBCソリューションズ

(3)ISO 9001:2015 の箇条構成と ISO 9001:2008 との対比

2008 年版との対比は以下のとおりです。HLS の採用により、ISO 9001 の規格の章立

てが大幅に変わりますが、品質マネジメントシステムの考え方は変わりません。

ISO 9001:2015 ISO 9001:2008

4 組織の状況

4.1 組織及びその状況の理解

4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解

4.3 QMS の適用範囲の決定

4.4 QMS 及びそのプロセス

4 品質マネジメントシステム

5.6 マネジメントレビュー

5.6 マネジメントレビュー

4.2.2 品質マニュアル

4.1 一般要求事項

5 リーダーシップ

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

5.1.1 一般 5.1.2 顧客重視 5.2 方針

5.3 組織の役割、責任及び権限

5 経営者の責任

5.1 経営者のコミットメント

同上

5.2 顧客重視

5.3 品質方針

5.5.1 責任及び権限、5.5.2 管理責任者

6 計画

6.1 リスク及び機会への取組み

6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定

6.3 変更の計画

5.4 計画

5.4.2 QMS の計画、8.5.3 予防処置

5.4.1 品質目標

5.4.2 QMS の計画

7 支援

7.1 資源

7.1.1 一般 7.1.2 人々 7.1.3 インフラストラクチャ 7.1.4 プロセスの運用に関する環境 7.1.5 監視及び測定ための資源 7.1.6 組織の知識

7.2 力量

7.3 認識

7.4 コミュニケーション

7.5 文書化した情報

6 資源の運用管理

6.1 資源の提供

同上

同上

6.3 インフラストラクチャー

6.4 作業環境

7.6 監視機器及び測定機器の管理

New

6.2.2 力量、教育・訓練及び認識

同上

5.5.3 内部コミュニケーション

4.2 文書化に関する要求事項

8 運用

8.1 運用の計画及び管理

8.2 製品及びサービスに関する要求事項 8.3 製品及びサービスの設計・開発

8.4 外部から提供されるプロセス、製品及びサービス の管理

8.5 製造及びサービスの提供 8.6 製品及びサービスのリリース 8.7 不適合なアプトプットの管理

7 製品実現

7.1 製品実現の計画

7.2 顧客関連のプロセス

7.3 設計・開発

7.4 購買

7.5 製造及びサービス提供

7.4.3 購買製品の検証

8.2.4 製品の監視及び測定

8.3 不適合製品の管理

9 パフォーマンス評価

9.1 監視、測定、分析及び評価

9.1.1 一般 9.1.2 顧客満足

9.1.3 分析及び評価 9.2 内部監査

9.3 マネジメントレビュー

8 測定、分析及び改善

8.1 一般

8.2.3 プロセスの監視及び測定

8.2.1 顧客満足

8.4 データの分析

8.2.2 内部監査

5.6 マネジメントレビュー

10 改善

10.1 一般

10.2 不適合及び是正処置

10.3 継続的改善

8.5 改善

8.5.1 継続的改善

8.3 不適合製品の管理

8.5.2 是正処置

8.5.1 継続的改善

8.5.3 予防処置

※斜体が分野固有の要求事項

※引用:Correlation matrices between ISO 9001:2008 and ISO 9001:2015

http://www.iso.org/tc176/sc02/public

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(4)2015 年版の 6 大重点ポイント

①HLS(上位構造)採用

・HLS の採用に伴い、「文書化」に関する要求事項が軽減されました。また、規格の

構造に自社の QMSを合わせなくてよいこと、規格で使用している用語を自社の QMS

で使用しなくてよいことが明文化されました。

・規格で要求されている文書は必要ですが、それ以外は、規格にとらわれず、自社

にとって必要な文書を構想し、QMS を運用することができます。

<参考>ISO 9001:2015 A.1 構造及び用語(抜粋)

-組織の QMS の文書化した情報にこの規格の構造及び用語を適用することは要求

していない。

-組織で用いる用語を、QMS 要求事項を規定するためにこの規格で用いている用

語に置き換えることは要求していない。

-組織は、それぞれの運用に適した用語を用いることを選択できる。

例 文書化した情報 → 文書類・記録・プロトコル

外部提供者 → 供給者・パートナー・販売者

②本業との連携強化

・「組織の目的」「戦略的な方向性」「組織の事業プロセスへの品質マネジメントシステム

要求事項の統合」といったキーワードが要求事項の中に散りばめられています。

-本来業務と QMS 活動が二重構造にならないようにすること

-自社の活動を支援するツールとして QMS を活用すること

が求められています。

③リスクベース思考

・「6.1 リスク及び機会への取組み」では、あらかじめリスクを予測し、対処するこ

とを要求しています。

・予防処置の要求事項はありませんが、6.1 項の「望ましくない影響を防止又は低

減」に含まれることになります。

・予防及び改善を先取りする文化を築くことを狙いとしています。

(補足)

ISO 規格の共通化を議論する際、従来のマネジメントシステムの“予防処置”が形骸

化しているという問題意識の下、「そもそもマネジメントシステムは望ましくない結果

を未然に予防するためのツールである」という認識で一致した。予防処置の元来の意

図を戦略レベルへと引き上げ、“予防処置”という箇条を削除することで、形骸化の

弊害をなくそうということになった。

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6 ©TBCソリューションズ

④リーダーシップの強化

・トップマネジメントに期待されるリーダーシップの発揮が強化されました。

-QMS の有効性に説明責任を負うこと

-QMS がその意図した結果を達成することを確実にすること

-その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証する

よう支援すること

・QMS の構造をみても、リーダーシップの重要性が分かります。

(参考)QMS の構造

⑤パフォーマンス評価

・「9 パフォーマンス評価」では、QMS のパフォーマンス及び有効性を評価すること

を要求しています。

・2015 年版では、事業プロセスと QMS の統合をめざしているので、

-QMS が成果に結びついているか(パフォーマンスの評価)

-QMS が自社の役に立っているか(有効性の評価)

は当然のことと言えます。

※パフォーマンス:測定可能な結果

有効性 :計画した活動が実施され、計画した結果が達成された程度

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⑥文書化した情報

・2015 年版では、これまで使用してきた「文書」「記録」という用語を廃止し、「文

書化した情報」という用語に集約しました。

・これにより、文書管理・記録管理の簡素化、および、電子媒体の利用による管理

の効率化が図られます。

・規格の中では、性質から想定し、

-従来の文書に相当するものは、「~文書化した情報を維持する」

-従来の記録に相当するものは、「~文書化した情報を保持する」

と表現しています。

<参考>文書化した情報(JIS Q 9000 3.8.6)

組織が管理し、維持するよう要求されている情報、及びそれが含まれている媒体。

注記 1 文書化した情報は、あらゆる形式及び媒体の形をとることができ、あらゆる

情報源から得ることができる。

注記 2 文書化した情報には、次に示すものがあり得る。

- 関連するプロセスを含むマネジメントシステム

- 組織の運用のために作成された情報(文書類)

- 達成された結果の証拠(記録)

(5)2015 年版改定に伴い変更となった用語

JIS Q 9001:2008 JIS Q 9001:2015

製品 製品及びサービス

除外 該当なし

管理責任者 該当なし

管理責任者という要求事項はない。代わりに、関連する

管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証

することが求められている。

文書類、品質マニュアル、

文書化された手順、記録 文書化した情報

作業環境 プロセスの運用に関する環境

監視機器及び測定機器 監視及び測定のための資源

購買製品 外部から提供される製品及びサービス

供給者 外部提供者

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8 ©TBCソリューションズ

3.内部監査とは

(1)監査とは

監査とは、監査基準と実態を照合し、監査基準と実態がどの程度、適合している

のかを判定することです。監査基準と照らし合わせ、確認できる事実のことを監

査証拠といいます。

監査基準:ISO9001、品質マネジメントシステム文書、各種規定・手順書など

監査証拠:監査基準に関連し検証できる記録、その他の情報(実際の業務のやり

方など)

内部監査員は、監査基準どおりの活動が実施されているか、記録の確認、活動の

観察、被監査者へのインタビューをとおして確認します。

(2)監査の種類

監査は 3 種類あります。内部監査は、第一者監査に該当します。

①第一者監査(内部監査)

同一組織に所属している監査員が、自ら行っている仕事以外の仕事を監査します。

この監査は、監査基準への適合性だけでなく、有効性を判定し、業務やシステム

の改善につなげることを目的にしています。

②第二者監査

ある組織の監査員が、委託先など利害関係のある別の組織を監査します。

この監査は、利害関係先の業務状況を確認し、信頼できるかどうか、を評価する

ことを目的としています。

③第三者監査(外部審査)

被監査組織と利害関係のない第三者(審査機関)が当該組織を監査するものです。

公平性、客観性が高いところから、社会的な信頼を得たい場合、被監査組織が第

三者(審査機関)に監査を依頼します。監査基準への適合性を判定します。

[第一者監査・第二者監査・第三者監査の特徴]

項目 第一者監査・第二者監査 第三者監査

監査計画 事業活動に合わせて決める 審査時期が指定される

監査の範囲 マネジメントシステムすべて

を対象にできる

維持審査ではすべてが対象

ではない

監査時間 自由に決められる 決められた時間

監査の視点 適合性、有効性の評価

改善の提案

適合性の評価

組織の業務知識 経験による深い知識 浅い知識

適合性:監査基準を満たしているか

有効性:監査基準を満たしていて、かつ、成果が出ているか

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(3)内部監査による指摘の種類

内部監査では、適合、不適合、観察(改善の提案)の3種類の指摘をするのが

一般的です。これらの指摘は、監査基準と実態の関係により決定します。

①適合

監査基準と実態が、“合っている”状態です。

②不適合

監査基準と実態に“ズレ”が発生している状態を、一般的に“軽微な不適合”

といいます。

監査基準と実態に接点がない状態を、一般的に“重大な不適合”といいます。

③観察(改善の提案)

実態 監査基準

実態 監査基準

パフォーマンス

時間

適合

不適合

実態

監査基準

1)監査基準どおりに実施しているが、パフォー

マンス(成果)があがっていない場合

2)監査基準と実態にズレがありそうだが、証拠

不十分で“不適合”として指摘できない場

3)改善の余地があり、改善することが望ましい

と監査員が思った場合

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2.ISO 9001:2015 要求事項と内部監査のポイント

(本書の構成)

①JIS Q 9001:2015 の採用

規格本文は、ISO 9001:2015 の日本語版である JIS Q 9001:2015 を採用している。

②shall 番号の表示

・原文の shall を翻訳した「~しなければならない」は、組織がやるべき事項を規

定している。

・JIS Q 9001:2015 では、125 個所「~しなければならない」の記述がある。この研

修では、規格の説明をする際、shall 番号を用いることがある。

③要求事項のポイントの○文 ○記

・「文書化した情報」が要求されている場合、文書は○文 、記録は○記 と表記した。

・文書:改訂などして変更してもよいもの。

「~文書化した情報を維持する....

」と規定されている。

・記録:変えてはいけないもの。

「~文書化した情報を保持する....

」と規定されている。

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11 ©TBCソリューションズ

JIS Q 9001:2015

序文(抜粋) ........................................................................ 12

1 適用範囲 ......................................................................... 16

2 引用規格 ......................................................................... 16

3 用語及び定義 ..................................................................... 16

4 組織の状況 ....................................................................... 17

4.1 組織及びその状況の理解 ............................................... 17

4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 ..................................... 18

4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 ............................. 19

4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス ............................. 20

5 リーダーシップ ................................................................... 21

5.1 リーダーシップ及びコミットメント ..................................... 21

5.2 方針 .................................................................. 23

5.3 組織の役割、責任及び権限 ............................................. 24

6 計画 ............................................................................. 25

6.1 リスク及び機会への取組み .............................................. 25

6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 ............................. 27

6.3 変更の計画 ............................................................ 28

7 支援 ............................................................................. 29

7.1 資源 ................................................................. 29

7.2 力量 ................................................................. 34

7.3 認識 ................................................................. 35

7.4 コミュニケーション ................................................... 36

7.5 文書化した情報 ....................................................... 37

8 運用 ............................................................................. 41

8.1 運用の計画及び管理 ................................................... 41

8.2 製品及びサービスに関する要求事項 ...................................... 42

8.3 製品及びサービスの設計・開発 ......................................... 46

8.4 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理 ................... 53

8.5 製造及びサービス提供 ................................................. 56

8.6 製品及びサービスのリリース ........................................... 61

8.7 不適合なアウトプットの管理 ........................................... 62

9 パフォーマンス評価 ............................................................... 63

9.1 監視、測定、分析及び評価 ............................................. 63

9.2 内部監査 ............................................................. 66

9.3 マネジメントレビュー ................................................. 67

10 改善 ............................................................................ 69

10.1 一般 ................................................................ 69

10.2 不適合及び是正処置 .................................................. 70

10.3 継続的改善 .......................................................... 71

附属書A 新たな構造、用語及び概念の明確化 .......................................... 72

A.1 構造及び用語 ......................................................... 72

A.2 製品及びサービス ..................................................... 72

A.3 利害関係者のニーズ及び期待の理解 ..................................... 73

A.4 リスクに基づく考え方 ................................................. 73

A.5 適用可能性 ........................................................... 73

A.6 文書化した情報 ....................................................... 74

A.7 組織の知識 ........................................................... 74

A.8 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理 ................... 74

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序文(抜粋) この規格は、2015 年に第 5 版として発行された ISO 9001 を基に、技術的内容及び構成

を変更することなく作成した日本工業規格である。

◆ISO 9001 は国際規格、JIS Q 9001 は日本工業規格

0.1 一般

品質マネジメントシステムの採用は、パフォーマンス全体を改善し、持続可能な発展への

取組みのための安定した基盤を提供するのに役立ち得る、組織の戦略上の決定である。

組織は、この規格に基づいて品質マネジメントシステムを実施することで、次のような便益

を得る可能性がある。

a)顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫

して提供できる。

b)顧客満足を向上させる機会を増やす。

c)組織の状況及び目標に関連したリスク及び機会に取り組む。

d)規定された品質マネジメントシステム要求事項への適合を実証できる。

◆品質マネジメントシステムを導入するメリット a)~d)がある。

◆目的(成果)を明確にして、品質マネジメントシステムに取り組むと良い。

内部及び外部の関係者がこの規格を使用することができる。

この規格は、次の事項の必要性を示すことを意図したものではない。

―様々な品質マネジメントシステムの構造を画一化する。

―文書類をこの規格の箇条の構造と一致させる。

―この規格の特定の用語を組織内で使用する。

この規格で規定する品質マネジメントシステム要求事項は、製品及びサービスに関する要

求事項を補完するものである。

◆組織の実態に見合った品質マネジメントシステムを構築することが望ましい。

◆JIS Q 9001 は品質マネジメントシステムに関する基本事項を規定している。組織の

目的が達成できるよう、総意工夫し品質マネジメントシステムを構築・運用すると

良い。 0.2 品質マネジメントの原則

この規格は、JIS Q 9000 に規定されている品質マネジメントの原則に基づいている。この

規定には、それぞれの原則の説明、組織にとって原則が重要であることの根拠、原則に関

連する便益の例、及び原則を適用するときに組織のパフォーマンスを改善するための典型

的な取組みの例が含まれている。

品質マネジメントの原則とは、次の事項をいう。

―顧客重視

―リーダーシップ

―人々の積極的参加

―プロセスアプローチ

―改善

―客観的事実に基づく意思決定

―関係性管理

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◆品質マネジメントの原則

①顧客重視 ⇒ 『お客様の期待を超えよう!』

品質マネジメントの主眼は、顧客の要求事項を満たすこと及び顧客の期待を超え

る努力をすることにある。

②リーダーシップ ⇒ 『リーダーが方向性を示そう!』

全ての階層のリーダーは、目的及び目指す方向を一致させ、人々が組織の品質目

標の達成に積極的に参加している状況を作り出す。

③人々の積極的参画 ⇒ 『全員が参画し協力しよう!』

組織内の全ての階層にいる、力量があり、権限を与えられ、積極的に参加する人々

が、価値を創造し提供する組織の実現能力を強化するために必須である。

④プロセスアプローチ ⇒ 『品質はプロセスでつくりこもう!』

活動を、首尾一貫したシステムとして機能する相互に関連するプロセスであると

理解し、マネジメントすることによって、矛盾のない予測可能な結果が、より効

果的かつ効率的に達成できる。

⑤改善 ⇒ 『改善は永遠の目的!』

成功する組織は、改善に対して、継続して焦点を当てている。

⑥客観的事実に基づくアプローチ ⇒ 『データと情報に基づいて決めよう!』

データ及び情報の分析及び評価に基づく意思決定によって、望む結果が得られる

可能性が高まる。

⑦関係性管理 ⇒ 『ビジネスパートナーとともに発展しよう!』

持続的成功のために、組織は、例えば提供者のような、密接に関連する利害関係

者との関係をマネジメントする。

0.3 プロセスアプローチ

0.3.1 一般

この規格は、顧客要求事項を満たすことによって顧客満足を向上させるために、品質マ

ネジメントシステムを構築し、実施し、その品質マネジメントシステムの有効性を改善する際

に、プロセスアプローチを採用することを促進する。プロセスアプローチの採用に不可欠と考

えられる特定の要求事項を 4.4 に規定している。

システムとして相互に関連するプロセスを理解し、マネジメントすることは、組織が効果的

かつ効率的に意図した結果を達成する上で役立つ。組織は、このアプローチによって、シス

テムのプロセス間の相互関係及び相互依存性を管理することができ、それによって、組織の

全体的なパフォーマンスを向上させることができる。

プロセスアプローチは、組織の品質方針及び戦略的な方向性に従って意図した結果を

達成するために、プロセス及びその相互作用を体系的に定義し、マネジメントすることに関わ

る。PDCA サイクル(0.3.2 参照)を、機会の利用及び望ましくない結果の防止を目指すリスク

に基づく考え方(0.3.3 参照)に全体的な焦点を当てて用いることで、プロセス及びシステム

全体をマネジメントすることができる。

◆有効性(ISO 9000 3.7.11)

計画した活動を実行し、計画した結果を達成した程度。

計画

結果有効性= で表現することができる。

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<参考>プロセスタートル図の例

ISO/TS 16949(自動車産業向けの品質マネジメントシステム)では、プロセスア

プローチの具体化のため、「タートル分析図」を用いて、プロセスの明確化及びパ

フォーマンスの改善をすることが求められている。

0.3.2 PDCA サイクル

PDCA サイクルは、あらゆるプロセス及び品質マネジメントシステム全体に適用できる。図

は、箇条 4~箇条 10 を PDCA サイクルとの関係でどのようにまとめることができるかを示した

ものである。

PDCA サイクルは、次のように簡潔に説明できる

―Plan:システム及びそのプロセスの目標を設定し、顧客要求事項及び組織の方針に沿っ

た結果を出すために必要な資源を用意し、リスク及び機会を特定し、かつ、それらに

取り組む。

―Do:計画されたことを実行する。

―Check:方針、目標、要求事項及び計画した活動に照らして、プロセス並びにその結果と

しての製品及びサービスを監視し、(該当する場合には、必ず)測定し、その結果

を報告する。

―Act:必要に応じて、パフォーマンスを改善するための処置をとる。

◆QMS の PDCA とプロセス(業務)単位の PDCA をまわす。

◆事業環境(組織及びその状況、利害関係者のニーズ)を整理し、QMS を計画する。

◆リーダーシップは、PDCA をまわすための中核。

◆QMS のアウトプットは、顧客に提供する「製品及びサービス」だけでなく、

「顧客満足の向上」、「QMS の結果」がある。

◆顧客満足の向上は、組織の持続可能な発展の基盤。

QMS の結果は、経営戦略の実現。

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0.3.3 リスクに基づく考え方

リスクに基づく考え方(A.4 参照)は、有効な品質マネジメントシステムを達成するために必

須である。リスクに基づく考え方の概念は、例えば、起こり得る不適合を除去するための予防

処置を実施する、発生したあらゆる不適合を分析する、及び不適合の影響に対して適切

な、再発防止のための取組みを行うということを含めて、この規格の旧版に含まれていた。

◆2015 年版では、予防処置に関する要求事項はなくなったが、考え方は従来通り残っ

ている。

◆不適合の再発防止(是正処置)だけでなく、未然防止(予防処置)の取組みが課題。

組織は、この規格の要求事項に適合するために、リスク及び機会への取組みを計画し、

実施する必要がある。リスク及び機会の双方への取組みによって、品質マネジメントシステム

の有効性の向上、改善された結果の達成、及び好ましくない影響の防止のための基礎が確

立する。

機会は、意図した結果を達成するための好ましい状況、例えば、組織が顧客を引き付

け、新たな製品及びサービスを開発し、無駄を削減し、又は生産性を向上させることを可能

にするような状況の集まりの結果として生じることがある。機会への取組みには、関連するリス

クを考慮することも含まれ得る。リスクとは、不確かさの影響であり、そうした不確かさは、好ま

しい影響又は好ましくない影響をもち得る。リスクから生じる、好ましい方向へのかい(乖)離

は、機会を提供し得るが、リスクの好ましい影響の全てが機会をもたらすとは限らない。 ◆リスクは、ビジネス上の脅威と考えると分かりやすい。

例えば、円安、株安、原油安といった国際的な市場環境、少子高齢化や消費増税と

いった国内の市場環境、気候変動や天然資源の枯渇といった地球規模的な環境の変

化まで組織のビジネスに影響を与え得る様々な要因が想定される。

◆機会はビジネスチャンスのこと。

例えば、東京オリンピックは多くの産業にとって需要を喚起する。

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1 適用範囲 この規格は、次の場合の品質マネジメントシステムに関する要求事項について規定する。

a)組織が、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービス

を一貫して提供する能力をもつことを実証する必要がある場合。

b)組織が、品質マネジメントシステムの改善のプロセスを含むシステムの効果的な適用、並

びに顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項への適合の保証を通して、顧客

満足の向上を目指す場合。

この規格の要求事項は、汎用性があり、業種・形態、規模、又は提供する製品及びサー

ビスを問わず、あらゆる組織に適用できることを意図している。

注記1 この規格の“製品”又は“サービス”という用語は、顧客向けに意図した製品及びサ

ービス、又は顧客に要求された製品及びサービスに限定して用いる。

注記2 法令・規制要求事項は、法的要求事項と表現することもある。 ◆ISO 9001 の 2 つの目的

①製品及びサービスの品質保証を目的とする

②顧客満足の向上を目指す

2 引用規格

次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は、記載の年の版を適用し、その後の改正版(追補を含む。)は適用しな

い。

JIS Q 9000:2015 品質マネジメントシステム-基本及び用語

3 用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は、JIS Q 9000:2015 による。

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4 組織の状況

4.1 組織及びその状況の理解

組織は、組織の目的及びその戦略的な方向性に関連し、かつ、その品質マネジメントシス

テムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を明確

にしなければならない。S001

組織は、これらの外部及び内部の課題に関する情報を監視し、レビューしなければならな

い。S002

注記1 課題には、検討の対象となる、好ましい要因又は状態、及び好ましくない要因又は

状態が含まれ得る。

注記2 外部の状況の理解は、国際、国内、地方又は地域を問わず、法令、技術、競争、市

場、文化、社会及び経済の環境から生じる課題を検討することによって容易になり

得る。

注記3 内部の状況の理解は、組織の価値観、文化、知識及びパフォーマンスに関する課

題を検討することによって容易になり得る。

要求事項のポイント

①「QMS の意図した結果」を明確にすることで、組織の外部・内部の課題が整理しや

すくなる。

②外部および内部の課題を決定する意図は、「組織の状況を理解するため」である。精

緻な分析が求められている訳ではない。課題の原文は“issue”。組織にとって重

要な話題、討論や議論のための問題、又は変化する状況をいう。

③監視及びレビューをどのようにするかは組織によって委ねられている。

⇒マネジメントレビューで実施するのが効果的。(参照:9.3.2 b))

監査のポイント(被監査者:経営者または管理責任者)

①QMS の意図した結果とはなにか。

②外部及び内部の課題をどのように明確にしたか。

③外部及び内部の課題に関する情報をどのように監視し、レビューしたか。

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4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解

次の事項は、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサ

ービスを一貫して提供する組織の能力に影響又は潜在的影響を与えるため、組織は、これ

らを明確にしなければならない。S003 a)品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者

b)品質マネジメントシステムに密接に関連するそれらの利害関係者の要求事項

組織は、これらの利害関係者及びその関連する要求事項に関する情報を監視し、レビュ

ーしなければならない。S004

<参考>利害関係者、ステークホルダー(JIS Q 9000 3.2.3)

ある決定事項若しくは活動に影響を与え得るか、その影響を受け得るか、又はその

影響を受けると認識している、個人又は組織

例 顧客、所有者、組織内の人々、提供者、銀行家、規制当局、組合、パートナー、

社会(競争相手又は対立する圧力団体を含むこともある)

要求事項のポイント

①「密接に関連する」の原文は“relevant”である。原則、“relevant”は「関連す

る」と訳すが、JIS Q 9001 では、「密接に関連する」と訳している。これは、利害

関係者がそもそも関連する者であり、関連する利害関係者では意味が分かりにくい

という理由による。

⇒JIS Q 14001 では「関連する」と訳している。日本語訳に差はあるが、意味に

は差がないと考えたほうが良い。

②密接に関連する利害関係者かどうかの判断は、「顧客要求事項及び法令・規制要求事

項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する組織の能力に影響を与えるか

どうか」で行うと良い。

③監視及びレビューをどのようにするかは組織によって委ねられている。

⇒マネジメントレビューで実施するのが効果的。(参照:9.3.2 c)1))

監査のポイント(被監査者:経営者または管理責任者)

①QMS に密接に関連する利害関係者をどのように明確にしたか。

②QMS に密接に関連する利害関係者の要求事項をどのように明確にしたか。

③利害関係者及びその要求事項をどのように監視し、レビューしたか。

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4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定

組織は、品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるために、その境界及び適用可能性

を決定しなければならない。S005

この適用範囲を決定するとき、組織は、次の事項を考慮しなければならない。S006

a)4.1 に規定する外部及び内部の課題

b)4.2 に規定する、密接に関連する利害関係者の要求事項

c)組織の製品及びサービス

決定した品質マネジメントシステムの適用範囲内でこの規格の要求事項が適用可能なら

ば、組織は、これらを全て適用しなければならない。S007

組織の品質マネジメントシステムの適用範囲は、文書化した情報として利用可能な状態に

し、維持しなければならない。S008

適用範囲では、対象となる製品及びサービスの種類を明確に記載し、組織が自らの品質

マネジメントシステムの適用範囲への適用が不可能であることを決定したこの規格の要求事

項全てについて、その正当性を示さなければならない。S009

適用不可能なことを決定した要求事項が、組織の製品及びサービスの適合並びに顧客

満足の向上を確実にする組織の能力又は責任に影響を及ぼさない場合に限り、この規格へ

の適合を表明してよい。 要求事項のポイント○文

①a)~c)を考慮し、組織にとって適切な適用範囲を決定し文書化する。

⇒2008 年版では、品質マニュアルを作成し、その中で適用範囲を文書化することが

求められていた。2015 年版では品質マニュアルに関する要求事項はない。

②文書化した適用範囲は利害関係者に開示できる状態にする。

③2015 年版では、すべての要求事項を適用するのが基本。組織の都合で適用範囲は決

定できないとしている。

<参考>「考慮する」「考慮に入れる」の違い

-「考慮する」の原文は“considering”なので、考慮はするが適切な対象がないな

ら特定結果に反映しない、という柔軟な要求事項になっている。 -「考慮に入れる」の原文は“take into account”となり、考慮する内容は結果に

反映されなければならない。

監査のポイント(被監査者:経営者または管理責任者)

①4.1 及び 4.2 を考慮し、適用範囲を決定し文書化しているか。

②適用可能な要求事項すべてを適用しているか。

-決定した適用範囲への適用が不可能であることを決定した ISO 9001 規格の要求

事項すべてについて、その正当な理由を記載すること。

-組織の製品及びサービスの適合及び顧客満足の向上を確実にする組織の能力又

は責任に影響を及ぼさないという条件を満たしているか。満たしていない場合、

適用除外は認められない。

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4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス

4.4.1 組織は、この規格の要求事項に従って、必要なプロセス及びそれらの相互作用を含

む、品質マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、かつ、継続的に改善しなければなら

ない。S010 組織は、品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織全体にわたる適用

を決定しなければならない。S011 また、次の事項を実施しなければならない。S012

a)これらのプロセスに必要なインプット、及びこれらのプロセスから期待されるアウトプットを

明確にする。

b)これらのプロセスの順序及び相互作用を明確にする。

c)これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び方

法(監視、測定及び関連するパフォーマンス指標を含む。)を決定し、適用する。

d)これらのプロセスに必要な資源を明確にし、及びそれが利用できることを確実にする。

e)これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てる。

f)6.1 の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。

g)これらのプロセスを評価し、これらのプロセスの意図した結果の達成を確実にするために

必要な変更を実施する。

h)これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。

4.4.2 組織は、必要な程度まで、次の事項を行わなければならない。S013

a)プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持する。

b)プロセスが計画どおりに実施されたと確信するための文書化した情報を保持する。 要求事項のポイント○文 ○記 ①4.4.1 は QMS の構造について簡潔に述べている(プロセスアプローチに不可欠な要

求事項を含む)。QMS の具体的な構築・運用の仕方は箇条 5~10 による。

a)b)c)d)e)はプロセスアプローチに不可欠な要求事項

d)は箇条 7「支援」

e)は箇条 5「リーダーシップ」

f)は箇条 6「計画」

g)は箇条 8「運用」および箇条 9「パフォーマンス評価」

h)は箇条 10「改善」

②4.4.2 は QMS の文書化に関する要求事項。

「必要な程度」は組織の判断に委ねられている。

4.4.2 a) 文書化した情報を維持(maintain)する。⇒規定、手順書など

4.4.2 b) 文書化した情報を保持(retain)する。 ⇒事実を記載した記録

監査のポイント(被監査者:経営者または管理責任者)

①QMS に必要なプロセスを明確にしているか。

②これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び

方法(監視、測定及び関連するパフォーマンス指標)を決定しているか。

③これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てているか。

④QMS の計画の中で、6.1 の要求事項に従って決定した「リスク及び機会」が反映され

ているか。

⑤当社が必要と決定した文書・記録が、「意図した結果」に対して適切か。

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5 リーダーシップ

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

5.1.1 一般

トップマネジメントは、次に示す事項によって、品質マネジメントシステムに関するリーダー

シップ及びコミットメントを実証しなければならない。S014

a)品質マネジメントシステムの有効性に説明責任(accountability)を負う。

b)品質マネジメントシステムに関する品質方針及び品質目標を確立し、それらが組織の状

況及び戦略的な方向性と両立することを確実にする。

c)組織の事業プロセスへの品質マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。

d)プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する。

e)品質マネジメントシステムに必要な資源が利用可能であることを確実にする。

f)有効な品質マネジメント及び品質マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝

達する。

g)品質マネジメントシステムがその意図した結果を達成することを確実にする。

h)品質マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を積極的に参加させ、指揮し、支

援する。

i)改善を促進する。

j)その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう、管

理層の役割を支援する。

注記 この規格で“事業”という場合、それは、組織が公的か私的か、営利か非営利かを問

わず、組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈され得る。

要求事項のポイント

経営者がやるべきことを明確にしている。

a)の説明責任は委譲できない。

b)経営戦略と QMS が矛盾しないようにすること。

c)QMS を形式的な運用とせず、組織のビジネスと結びつけること。

d)プロセスアプローチに基づき、狙い通りの製品やサービスを提供すること、その

確実性を高めるため、リスクを予見し対処すること。

e)必要な資源を提供すること。

f)QMS を重視し、確実な運用の重要性を社内に伝えること。

g)QMS の目的(意図する結果)を達成することに責任をもつこと。

h)全員参加で QMS を運用できるよう率先垂範するとともに支援する。

i)現状に満足せず、QMS を改善する。

j)管理層がリーダーシップを発揮し、役割を遂行できるよう支援する。

監査のポイント(被監査者:経営者)

次の事項について、経営者の考えを確認する。

①QMSが経営に役立っているか。会社の方向性と合致しているか。

②QMSが意図した結果を達成しているか、達成していない場合、どのような改善指示を

出しているか。

③プロセスアプローチ、リスクに基づく考え方の利用を促進しているか。

④管理層がリーダーシップを発揮できていることをどのように確認しているか、どの

ように支援しているか。

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5.1.2 顧客重視

トップマネジメントは、次の事項を確実にすることによって、顧客重視に関するリーダーシップ

及びコミットメントを実証しなければならない。S015

a)顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を明確にし、理解し、一貫してそれ

を満たしている。

b)製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与え得る、リスク

及び機会を決定し、取り組んでいる。

c)顧客満足向上の重視が維持されている。

要求事項のポイント

①顧客重視に関しては、態度や結果で示すことが求められている。

②詳細は、他の要求事項で扱っている。

a)顧客ニーズにこたえて、該当する法規制は守ること

→ 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解

b)リスクや機会を明らかにし対処する

→ 6.1 リスク及び機会への取組み

c)顧客満足の向上を引き続き重視する

→ 5.3 組織の役割、責任及び権限

6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定

9.1.2 顧客満足

9.3 マネジメントレビュー

監査のポイント(被監査者:経営者)

①顧客満足の向上のために、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を明確

にし、理解させ、一貫して満たす組織の能力を維持するためにどのような活動を行

っているか。

②顧客満足の向上(組織の持続的成功)に影響を与える、リスク及び機会を把握し、

どのように取り組んでいるか。

<参考>顧客満足(JIS Q 9000 3.9.2)

顧客の期待が満たされている程度に関する顧客の受け止め方。

注記1 製品又はサービスが引き渡されるまで、顧客の期待が組織に知られていな

い又は顧客本人も認識していないことがある。顧客の期待が明示されてい

ない、暗黙のうちに了解されていない又は義務として要求されていない場

合でも、これを満たすという高い顧客満足を達成することが必要なことが

ある。

注記2 苦情は、顧客満足が低いことの一般的な指標であるが、苦情がないことが

必ずしも顧客満足が高いことを意味するわけではない。

注記3 顧客要求事項が顧客と合意され、満たされている場合でも、それが必ずし

も顧客満足が高いことを保証するものではない。

<参考>苦情(JIS Q 9000 3.9.3)

製品若しくはサービス又は苦情対応プロセスに関して、組織に対する不満足の表現

であって、その対応又は解決を、明示的又は暗示的に期待しているもの。

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5.2 方針

5.2.1 品質方針の確立

トップマネジメントは、次の事項を満たす品質方針を確立し、実施し、維持しなければなら

ない。S016

a)組織の目的及び状況に対して適切であり、組織の戦略的な方向性を支援する。

b)品質目標の設定のための枠組みを与える。

c)適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。

d)品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。

5.2.2 品質方針の伝達

品質方針は、次に示す事項を満たさなければならない。S017

a)文書化した情報として利用可能な状態にされ、維持される。

b)組織内に伝達され、理解され、適用される。

c)必要に応じて、密接に関連する利害関係者が入手可能である。

要求事項のポイント○文

①5.2.1 は品質方針の設定条件

②5.2.2 は品質方針の運用条件

監査のポイント(被監査者:経営者)

①組織の目的・状況に応じた、戦略的な方向性を示した品質方針が確立され、維持さ

れているか。 ②品質目標を設定するために必要な情報が品質方針に含まれているか。 ③どのようなときに、品質方針を見直すか。 ④品質方針がどのように伝達され、理解され、適用されているか。 ⑤品質方針をどのようにして、利害関係者が入手可能にしているか。 <参考>方針(ISO 9000 3.5.8)

トップマネジメントによって正式に表明された組織の意図及び方向付け。 <参考>品質方針(ISO 9000 3.5.9)

品質に関する方針。 注記1 一般に品質方針は、組織の全体的な方針と整合しており、組織のビジョン

及び使命と密接に関連付けることができ、品質目標を設定するための枠組

みを提供する。 注記2 この規格に記載した品質マネジメントの原則は、品質方針を設定するため

の基礎となり得る。

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5.3 組織の役割、責任及び権限

トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝

達され、理解されることを確実にしなければならない。S018

トップマネジメントは、次の事項に対して、責任及び権限を割り当てなければならない。

S019

a)品質マネジメントシステムが、この規格の要求事項に適合することを確実にする。

b)プロセスが、意図したアウトプットを生み出すことを確実にする。

c)品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び改善(10.1 参照)の機会を特にトップマ

ネジメントに報告する。

d)組織全体にわたって、顧客重視を促進することを確実にする。

e)品質マネジメントシステムへの変更を計画し、実施する場合には、品質マネジメントシス

テムを“完全に整っている状態(integrity)”に維持することを確実にする。

要求事項のポイント

①責任:やらなければならないこと。権限:やってもいいこと。

②権限は委譲できるが、責任は委譲できない。

③a)~e)に関する責任者を決めて割り当てる。

※2008 年版までは、管理責任者の任命が義務付けられており、これらは管理責任

者の責務とされていた。2015 年版では管理責任者に関する要求事項がない。

監査のポイント(被監査者:経営者)

①次の事項を確実に遂行させるために必要な責任・権限をどのように割り当てている

か確認する。

-QMS が ISO 9001 要求事項へ適合していること

-顧客満足の向上

-プロセスが意図したアウトプットを生み出すこと

-パフォーマンスの報告及び改善の機会の報告

-QMS 変更時の完全性の維持

②日常業務における役割と QMS における役割は、整合性が確保されているか。

③役割、責任及び権限をどのように全社員に周知徹底しているか。

④各人が、定められた役割、責任及び権限を実行していることをどのように確認して

いるか。

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6 計画

6.1 リスク及び機会への取組み

6.1.1 品質マネジメントシステムの計画を策定するとき、組織は、4.1 に規定する課題及び

4.2 に規定する要求事項を考慮し、次の事項のために取り組む必要があるリスク及び機会を

決定しなければならない。S020

a)品質マネジメントシステムが、その意図した結果を達成できるという確信を与える。

b)望ましい影響を増大する。

c)望ましくない影響を防止又は低減する。

d)改善を達成する。

6.1.2 組織は、次の事項を計画しなければならない。S021

a)上記によって決定したリスク及び機会への取組み

b)次の事項を行う方法

1)その取組みの品質マネジメントシステムプロセスへの統合及び実施(4.4 参照)

2)その取組みの有効性の評価

リスク及び機会への取組みは、製品及びサービスの適合への潜在的な影響と見合ったも

のでなければならない。S022

注記1 リスクへの取組みの選択肢には、リスクを回避すること、ある機会を追求するためにそ

のリスクを取ること、リスク源を除去すること、起こりやすさ若しくは結果を変えること、リ

スクを共有すること、又は情報に基づいた意思決定によってリスクを保有することが含

まれ得る。

注記2 機会は、新たな慣行の採用、新製品の発売、新市場の開拓、新たな顧客への取組

み、パートナーシップの構築、新たな技術の使用、及び組織のニーズ又は顧客のニ

ーズに取り組むためのその他の望ましくかつ実行可能な可能性につながり得る。

<参考>リスク(ISO 9000 3.7.9)

不確かさの影響

注記 影響とは、期待されていることから、好ましい方向又は好ましくない方向に

かい離することをいう。

※ISO 14001:2015 では、好ましい方向にかい離するリスクを「機会」、好ましくな

い方向性にかい離することを「脅威」と定義している。

<参考>機会の定義

ISO 9000 用語の解説に「機会」の定義はない。オックスフォード辞典では「何かを

する良い時機(チャンス)」の意味で解説されている。

要求事項のポイント

①QMS の計画の策定時に、取組む必要があるリスク及び機会を決定することを規格で

は求めている。

②リスクと機会の取り組み方法を決める。

-予防処置を残す場合、リスクは予防処置として実施し、QMS のプロセスの改善に

取組んでもよい。

-機会は、組織の成長戦略に関連する場合いが多いので、品質目標として取り組む

と良い。(例:TPP による市場参入など)

③リスクと機会に取り組んだら、有効性を評価する。

④注記には、リスクと機会の対応方法が例示されている。