公益社団法人 長寿社会文化協会 特定非営利活動法人 とめタウンネット 特定非営利活動法人 WACわかやま 連携団体 コミュニティカフェ をつくろう あなたのまちの居場所、サロン、 縁側、茶の間、食事処「コミュニティカフェ 開設・交流支援事業」 活動報告書

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公益社団法人 長寿社会文化協会

特定非営利活動法人 とめタウンネット特定非営利活動法人 WACわかやま

連携団体

コミュニティカフェをつくろう─あなたのまちの居場所、サロン、� 縁側、茶の間、食事処─

「コミュニティカフェ開設・交流支援事業」

活動報告書

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4人に1人が65歳以上の高齢者。生まれる子供は

100万人を割ろうとしています。日本は世界でも

「最先端」の少子高齢社会を迎えています。

社会からの支援を必要する人たちに手を差し伸べ

ようにも、国は税収不足で多大な借金を抱え、まま

ならない状態です。一方で、経済のグローバル化は

さらに勢いを増し、「格差」の広がりは続くでしょう。

国や企業、家族だけに頼っている時代は過去のもの

になってきました。

普段の暮らしを営む地域に目を向けざるを得ませ

ん。し

かし、少子高齢の波が押し寄せ、地域社会の中

で普通に見られた「お互いさま」や「手を取り合って」

という近隣関係が希薄になっています。そこで、「こ

れではいけない」と、改めて地域で暮らす人々の「つ

ながり」を組み立てる動きが各地で芽生えてきまし

た。連

携や連帯が強く求められています。「コミュニ

ティ」という言葉で語られる「住民の輪」づくりです。

その「輪」の結び目として、コミュニテイカフェ

があります。世代を超えて住民が気軽に立ち寄るこ

とのできる「場」です。「地域の居場所」と言われ

たり、「サロン」「まちの縁側」「茶の間」などと名乗っ

ているところもあります。公益社団法人・長寿社会

文化協会(WAC)では、総称して「コミュニティ

カフェ」と呼んでいます。

孤独な高齢者が互いに出会える場、自然素材で調

理し一緒に食べる場、子育て家族の交流の場、障が

い者の働く場、元気高齢者が趣味を生かす場、子供

たちの遊び場─活動内容は実にさまざまです。

WACは、こうしたコミュニティカフェを全国

に広げていくことを活動の柱に据えてきました。

2007年に単行本「コミュニティ・カフェをつく

ろう!」を編集し、翌年からコミュニテイカフェの

運営者からそのノウハウを学ぶ「コミュニティカ

フェ研究会」を40回近く開いてきました。

コミュニティカフェの地方での開設を後押しし

ようと、2013年度から独立行政法人・福祉医

療機構(WAM)の社会福祉振興助成事業に応募し、

コミュニティカフェ開設支援講座に取り組んでい

ます。

2014年度は、宮城県登米市と和歌山県和歌山

市のNPO法人、それに東京都のWACが2014

年11月からコミュニティカフェの開設講座を開きま

した。合わせて60人超が受講しました。

2015年3月1日には、東京・四谷で「コミュ

ニティカフェ全国交流会」を開催しました。そこで

は、3つの開設講座からそれぞれ3組の代表者、合

計10人が独自に発想、企画した「マイ・コミュニティ

カフェ」プランを堂々と発表しました。

なかには、開設場所を確保しており、すぐにでも

オープンしたいと話す意欲的な人もいました。また、

地域の人に呼び掛けて、同志を募りながら着々と準

備を進めている発表者も現れ、多士済々でした。気

持ちが先行して、とかく疎かになりがちなお金の出

入りについても、きちんと収支見込みを立てた発表

が相次ぎました。

発表者のほかの多くの受講生たちも、講座の内容

をしっかり吸収し、それぞれが思い描くプランに肉

付けが出来たようです。コミュニティカフェ開設に

向けた受講生たちの今後の取り組みに、大きな期待

を寄せることができると思います。

以上の活動内容をまとめたのが本書です。

「コミュニティカフェ開設・交流支援事業」に参加して

コミュニティカフェ開設講座を実施

──宮城県仙台市・登米市、

和歌山県和歌山市、東京都で

公益社団法人 

長寿社会文化協会(WAC)

常務理事 

浅川澄一

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3

長寿社会文化協会(WAC)は2014年度、

独立行政法人「福祉医療機構」(WAM)の「社

会福祉振興助事業」から助成金を得て、宮城、

和歌山、東京の全国3都県で、地域の活性化を

促すコミュニティカフェの開設を支援する講座

を開いた。2013年度にも全国5都府県で講

座を開いてきた。

両年度とも、WAMが重点事業として定め

た「高齢者や障害児・者などが地域で普通の暮

らしをすることを支援する事業」の中から「配

食や買い物、移動支援、見守り、居場所づくり、

心のケアなどにより、高齢者・障害者などの社

会からの孤立を防止する事業」というテーマに

沿って、コミュニティカフェ開設講座を行った。

助成金額にも関係する助成区分は「二つ以上

の都道府県で活動する事業」である「全国的・

広域的ネットワーク活動支援事業」を選択した。

2014年度は、コミュニティカフェの開設

と交流に重点を置いた事業であることから、事

業名を「コミュニティカフェ開設・交流支援事

業」とした。

また、選択した助成テーマが「東日本大震災

で被災された方等を支援する事業」という重点

事業にも含まれることも考慮し、連携する団体

に宮城県のNPO法人も入れた。

この結果、開設講座はNPO法人「とめタウ

ンネット」(宮城県登米市)、NPO法人「WA

Cわかやま」(和歌山市)、それに公益社団法人

長寿社会文化協会(WAC、東京都港区)の3

団体が開くことになった。

講座の内容は、コミュニティカフェ概論、つ

くり方の座学、実践例の見学・体験、起業プラ

ン作成、ワークショップ、ワンデイカフェの模

擬営業など。地域の実情に応じて、WACと連

携団体が合計25時間前後のカリキュラムを編成

した。受講料は全会場とも3000円。

講座終了後は成果(コミュニティカフェ・プ

ラン)発表と交流会を開き、一般市民へのPR

も図った。

宮城県仙台市・登米市

和歌山県和歌山市

東京都港区

特定非営利活動法人(NPO 法人)とめタウンネット

特定非営利活動法人(NPO 法人)WAC わかやま

公益社団法人 長寿社会文化協会

3地域でコミュニティカフェ開設講座

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4

東日本大震災後、心のよりどころや、みなさ

んが集まり、安心して話せる場の必要性を強く

感じた。

仙台市街地や登米市のような内陸部でも、「地

震の怖さ」や「ライフライン復旧までの苦労」「エ

ネルギーと安心安全のこと」「生活と仕事の場

が変わったこと」など、市民が学び、語り、力

を寄せ合う機会が求められていた。

そこで、NPO法人とめタウンネットは、南

三陸町と登米市のみなさんが交流できる場とし

て「カフェつむぎ」と「居場所・心家(こころ

か)」を登米市内に開設した。仙台市では登米

の農家と仙台の消費者をつなぐコミュニティカ

フェ「うれしや」の運営支援にも取り組んでい

る。いずれも女性支援をはじめコミュニティ再

建、にぎわいづくり、地域間・世代間交流など

地域の課題を解決する場でもある。

今回のコミュニティカフェ開設講座は、主会

場を仙台のうれしやに、登米のつむぎと心家は

視察研修先とした。実践の場を体感しながらの

毎回長時間にわたる講座となった。

受講生の中には、すでにコミュニティスペー

スを持っている人、これから復興公営住宅内の

集会所での居場所づくりに取り組みたい人、震

災遺児のケアをしている人、春からデイサービ

スを始める人など多士済々。宮城県は仙台市、

名取市、塩釜市などのほか、遠くは丸森町、岩

手県も盛岡市、花巻市、一関市から通ってきた。

地域の課題を解決する場としてのコミュニ

ティカフェを開設するという前提で、受講生は

何度も自身の考えを「見える化」する作業を体

験した。

「なぜ開設するのか」「地域のどんなニーズに

応えるのか」「自分の強みは何か」「自分に足り

ないものはなにか」などを問い続けた。活動を

続けるためには周囲の理解や協力を得ることが

大切であることなどを、ワークショップを通し

て理解を深めた。

特筆すべき講座として、ワンデイカフェの体

験が挙げられる。うれしやを会場に、実際に「自

分の得意なこと」を活かしたコンテンツづくり

を行った。「ワンデイカフェ~SHEEP

CA

FE~」だ。

一人ひとりの「得意なこと」を組み合わせる

ことで1×1が1ではなく、無限大の可能性

を秘めていることを実感したはずだ。

講座終了後も「卒業生」が自主的にSHEE

CAFEを企画・実施していくことになっ

た。すでに2つのイベントが企画され、今後も

単独開催や何人かでチームを作って開催する話

も出ている。

今回の講座から生まれた受講生のネットワー

クを、今後の各人の活動に活かすとともに、被

災地からの復興を目指す仲間として助け合い、

それぞれの活動が底上げされていくことを期待

している。

カフェスペース「つむぎ」

カフェスペース「つむぎ」は民設民営の「とめ女性支援センターhug」内に 2012 年 9 月に開設した。東日本大震災後、交流が始まった登米市と南三陸町の女性たちの情報交換の場が欲しいという声に応えた。

子どもにも優しい味のカレーライス、ボリュームたっぷりのハンバーグプレート、お客様の声から生まれたホットサンドイッチなどを提供。併設のキッズスペースで子どもたちを遊ばせながら食事をとるママさんたちで大盛況。「子育てママの悩み」や「多くの女性が抱えている悩み」を語り合う場にもなっている。

手づくり品の委託販売スペース(小箱 box)も大好評です。

宮城県登米市迫町佐沼字新大東 125Tel : 0220-23-9310 Fax : 0220-23-9312http://www.tometown.net/hug/営業時間:月〜土曜 10:00 〜 17:30

カフェスペース「つむぎ」に

向かう受講生たち

(12月6日の第1回講座)

カフェスペース「つむぎ」で

及川理事長の説明を聞く受

講生(同)

足立千佳子 プロフィール

NPO法人

とめタウンネットスタッフ

まちづくりワークショップ・ファシリテーターとして

東北各地の地域づくりに関わる。震災後に避難所を回

り、女性支援の視点からの支援が必要と痛感。南三陸

町からの被災者が大勢暮らす登米市で「とめタウンネッ

ト」のスタッフとして活動を始める。被災女性の手仕

事づくりや居場所づくりに取り組む。仙台市新寺のコ

ミュニティカフェ「うれしや」では、宮城の食材の料

理を提供するほか、趣味やビジネス、復興などを学ぶ

さまざまな講座を企画している。

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5

コミュニティカフェ開設講座・宮城

「とめタウンネット」の足立千佳子さんが、全 5 回の講座のコーディネーターを務めた。毎回、足立さんが進行役となり、その傍ら講師にも入った。

開設講座カレンダー

仙台市のコミュニティカフェ「うれしや」で、新川達郎さん(同志社大学大学院総合政策科学研究科教授・政策学部教授)が「コミュニティカフェってなんだろう?~地域の課題、強みを活かす場づくり~」という題でコミュニティカフェ概論を講義。

開設のポイントは「お金をかけずに小さく開いて育て、ターゲットを絞ること」。加えて、「職場でも家でもない場所が現代の居場所として必要」と受講生の背中を押す。

次に、足立千佳子さんが「新川先生の講義を聴いて、なるほど、まねしてみたいと思ったことを書き出して」と声を掛け、皆で話し合った。

仙台駅東口から登米市まで貸し切りバスで移動中に、浅川澄一 WAC 常務理事から、コミュニティカフェへの WAC の取り組みの話を聞いた。コンテナおおあみに到着後、清野経営事務所代表で中小企業診断士の清野浩司さんが「コミュニティカフェの事業計画書づくり」について講義。「コミュニティという冠があるが、儲けなければ運営できない」と強調した。

次に、登米市のとめ女性支援センター内のカフェ「つむぎ」で昼食をとりながら、及川幾雄・とめタウンネット理事長から場作りの極意を聴いた。「心家」では、松原忠史・とめタウンネット理事からも被災女性たちが作る「登米南三陸絆弁当」などの話があった。

最後に、足立さんが進行役となり、受講生の描くカフェの目的などを書き出し、発表し合った。

仙台市のカフェ「うれしや」で、足立さんが「コミュニティカフェのミッションの作り方」について話す。続いて、次回の「ワンデイカフェ」の準備を始める。「空間づくり」「リフレッシュブース」「飲食ブース」「情報コーナー」の 4 つのグループに分かれて打ち合わせを行った。

その後、年末年始を挟んで、フェイスブックで活発なやり取りが行われた。

仙台市のカフェ「うれしや」で、ワンデイカフェ「SHEEP CAFE」を 11 時から 15 時まで開いた。

開設準備の連絡はフェイスブックのグループページやメッセージ、個々人でのメールで行った。「うれしや」営業中に足立さんとも打ち合わせを重ねた。仕込みは前日に、冷え込みが厳しく、風が強い当日は 9 時に集合した。

提供するサービスは全てが受講生の「人的資源」を活かしたものと受講生自身の商品。プレセミナーで新川先生の「小さく開いて」という言葉を十分に実践できた。4 時間の営業だったが、受講生には貴重な体験だった。

11・26 wedプレセミナー

コミカフェの概論を聴く

12・6 sat第 1 回

計画書づくり、事例研究

12・14 sun第 2 回

コンテンツ研究

1・10 sat第 3 回

ワンデイカフェで実習

1・31 sat第 4 回

場力を活かすビジネスへ前回のワンデイカフェの収支報告を行った。人件費や場所代、

光熱費などが含まれていないが、何を外部調達すればいいか、提供する商品の単価はどのぐらいにすればいいか等、受講生それぞれが具体的なことを考える良い機会になったと思われる。

特に、値段設定について多くの意見が出た。次に、受講生全員が独自のプランを発表した。締めくくり

は、販売促進のコンサルタントである株式会社乾杯・KANPAI 代表の松尾公輝さんが講演。「受講生のみなさんが講座に参加した理由がカフェを作る想いそのもので、それを伝えることで、共感した人がお客様になる」と話す。

宮城県登米地方の郷土料理、

はっと汁を作った。小麦粉

に水を加えた生地を指で

薄く延ばした「はっと」を、

醤油仕立ての汁に入れる。

開店直後の厨房前カウンタ

ー。ギリギリまで準備を

していたこともあり、注文

品を提供するのが精いっぱ

いだった。

カフェタイムのカウンター。

受講生たちは、お客さん

と話が弾むほど余裕が出

てきた。

受講生が午前・午後の1回ずつ

弾き語りステージを行う。カウ

ンターに流れるBGMも彼が選

曲した。

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6

東京都出身。震災

後、復興支援団体の

職員となり、仙台に

移住。任期満了後は

関東に戻り、東京や

宮城で知り合った仲

間達の協力を得て、有機的なつながりでみんな

の「やりたい!」を実現できる場を作りたいと

構想中。

前職のフェアトレードショップでのノウハウ

を活かし、講座第 3 回のワンデイカフェ実習

では「居心地の良い空間づくり」を担当した。

また、フェアトレードやリユースの概念を活か

したワンデイカフェを提案。

講座終了後にも女子大生とのコラボカフェを

実現させる。今後も受講生同士のネットワーク

の「肝」になりそうだ。

受講生

吉田庸子さん

仙台市在住。障が

い福祉サービスの事

業所に勤務している。

職場に開設されたカ

フェスペースの活用

を考えるために受講

した。

「グループホームとその近隣の住民のみなさん

が、交流できる場を作りたい」と考えている。

講座の「ワンデイカフェ」では、施設の利用者

さんにも来ていただき、癒しの時間を楽しんで

もらった。

春休みに開催する子ども達のお店屋さんイベ

ントにも利用者さんと一緒に「出店」する。そ

れぞれの人たちが特意技を教えあうことのでき

るイベントを今後開催したいと考えている。

受講生

佐伯美佳子さん

東京から、縁があっ

て名取市に移り住ん

だ。自宅での通所介

護(デイサービス)

開設を機に受講した。

地域社会のつながり

が深まり、世代間、男女間を超えて大きな家族

のようなコミュニティを作れたらどんなに幸せ

だろうと考えている。

デイサービスの休みの日(土、日曜)を使っ

てコミュニティカフェを始める予定。デイサー

ビスの所長はサックス演奏が得意な夫。自身も

オペラ歌手にあこがれて声楽をかじっているの

で、音楽のあふれる場にしたいと言う。

また自宅のある団地には心理学や栄養学を学

ぶことができる大学があるので、いずれは大学

との連携も視野に入れている。

受講生

横山実千代さん

仙台市在住。かつて

酒店を営んでいた実

家の店舗スペースを

改装して 2011 年 1

月に、コミュニティ

ひろば「来瑠・久留

くるくる」をオープン。「来て輝いて、永く輝

いて」いただけるようにとの思いを込める。

月1回の異業種交流イベントを開いたり、ミ

ニマルシェやリラクゼーションのイベントを実

施するなどの活動を続けてきた。

今回は、「来瑠・久留 くるくる」の活動をさ

らに発展させることと、「空き店舗を利用して

ほしい」と相談されたのがきっかけで受講した。

「来瑠・久留 くるくる」を子どもから大人まで

気軽に集える場、年をとってもいつまでも地域

で楽しく輝ける場にしていきたいと意気込んで

いる。

受講生

浅野泰子さん

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7

コミュニティカフェ開設講座・宮城

地域で孤立した人

の居場所づくりとい

う コ ミ ュ ニ テ ィ カ

フェのコンセプトに

興味を持ち、受講し

た。

講座の「ワンデイカフェ」では「他の受講生

の特技や実行力が印象的だった」と振り返る

が、他の受講生からは「庄子さんの内に秘めた

思いの強さや、素晴らしいギター演奏のとりこ

になった」という声が聞かれた。

2014 年 4 月以前に死別した父子家庭には、

遺族基礎年金が一切支払われないという問題が

ある。妻を亡くした悲しみに耐えながら、日々

の仕事、育児、生活に忙殺され、また、周囲に

助けを求めてはいけないという日本男性特有の

価値観に支配され、当事者が声を上げられてい

ない。その解決に向けた活動を行っている。

英語に堪能なことを活かし、長寿社会文化協

会(WAC)の仲間と「WAC翻訳・通訳サービス」

という団体を立ち上げ、外国人向けの被災地ツ

アーや七夕まつりのガイドなどを手掛けようと

している。

今後は、その活動とも連携させながら、高齢

者や社会的弱者のために国際的な交流ができ、

かつ音楽に満ちあふれたような場作りを目指す。

受講生

庄子昌利さん

NPO 法人日本セラ

ピー普及会代表。美

里町で施術室「優し

い手」を開設。宮城

県北部を中心に各種

講座の講師陣のネッ

トワーク「講師ギルド Powerful Woman」を

立ち上げ、毎月1回のランチミーティングで情

報交換を行っている。

今回は、大崎市古川に完成した災害公営住宅

の集会所を核として既存の商店街活性化にもつ

ながるようなスキルを学ぶために参加。受講生

にも Powerful Woman への参加を積極的に呼

びかけ、実践の場につないでいる。

大崎市では市民病院が移転してしまったので

「健康づくりの街」となるような活動を今後す

る予定。

岩手県花巻市から参加した建築会社社長の佐

藤さよ子さんが、花巻温泉商店街の空き店舗対

策として取り組んでいる「木工店」「ギャラリー」

「飲食店」の事例についても Powerful Woman

のメンバーと視察に行き、その様子を受講生に

レポートするなど、積極的な姿勢は他の受講生

に大きな刺激となった。

受講生

東ひがし

順子さん

多賀城市在住。高齢

者支援団体で活動中。

高齢者のサロンを週

1回地域の集会所で

行っている。

今回は、コミュニ

ティカフェとはどんなものか知りたいと思い受

講した。

子どもから高齢者まで全世代交流の場をつく

れないか、と模索中。場所と思いはあるが、資

金、協力者がいない課題をどう乗り切るか、こ

れからのがんばりに期待したい。

女性が多い講座の中で、控えめながらも受講

者同士の交流を図ろうと奮闘していた。講座の

中の「ワンデイカフェ」ではおしゃれな「執事

役」を引き受けた。そこで、お客さまへの接待

ぶりが他の受講生の信頼を得た。

受講生

小林

香志郎さん

名取市から通って

きた。

子育てをきっかけ

に、自然食や自然療

法に関心を持つよう

になった。

コミュニティカフェを開設したい人を支えた

り、応援したりする立場として受講した。

だが、受講の回を重ねるにつれ、自分自身の

思いやスキルを発揮する場を持ってみたいと思

うようになってきた。地元でナチュラルライフ

の実現を目指す仲間達がいるし、活用できる場

の見込みもある。当面は仕事を続けながら、仲

間達と学びの場づくりから始めたいと考えてい

る。

受講生

高橋和代さん

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「WACわかやま」がJR和歌山駅そばのみそ

の商店街空き店舗に、ふれあいの居場所「ほっ

こりさん」をオープンして丸3年が過ぎた。

ご多分に漏れず、シャッター通り化した通り。

「人は来るのか」と不安だった。「新しい公共支

援事業」という助成金を受けての開設であり、

助成終了後を想像すると、身の引き締まる思い

でスタートしたことが昨日のようによみがえる。

今回の開設講座は、我々自身も学ぶことが出

来るチャンスととらえた。久しぶりに浮き浮き

とした気持ちでもあった。講座の中身も自分た

ちが学びたいと思いながら、きっちりと学べな

かったことの多くを盛り込んだ。

「ほっこりさん」の開設当初は、コミュニティ

カフェを目指したつもりではないが、今はしっ

かりコミュニティカフェとしての自覚がある。

続けるための手段として「母ちゃんの味」「家

庭の味」を据えたが、それが多くの利用者に受

け入れられた。

和歌山県はもちろん、和歌山市も高齢化が進

んでいる。誰よりも和歌山に住む県民や市民が

それを実感している。社会保障費が年々削られ

ていき、一人ひとりの負担すべき金額が増えて

いく。国や行政を頼りにすることだけでは自分

の将来を描けないのだ。

日本は経済的な豊かさと、簡単便利な生活の

中でたくさんのものを失ったと言われているが、

そのなかの地域の絆は、東日本大震災という大

きなリスクの中で見直された。

失ったものを修復する作業はとても大変だが、

居場所やコミュニティカフェはその特効薬として

の役割をしっかりと担ってくれると思っている。

今回の講座の広報を始めたのは11月の終わり。

少し遅かったものの

定員20人に対し、24

人が受講した。少し

背伸びをしながらの

受講になった人もい

たが、「開設の後押

しをしてくれた」と

言う人が何人もいて、

1年以内にいくつか

具体化しそうな気配もあり楽しみだ。

居場所やコミュニティカフェには、それに伴

う開設者の思いや心意気がとても大切だと思う。

講座で教わったことの全てをクリアしなければ

出来ないと決め込んで、自分には無理と諦めて

しまうのはあまりにももったいない。

今回の受講生達は受講中にとても仲良しに

なった。これからも情報交換や励ましあったり

したいねと、「修了生の会」を立ち上げ、実行委

員の一人が世話人として名乗りを上げてくれた。

開催責任者として至らない点が沢山あったの

ではと思う。だが、終了後に、受講したかったと

いう話がいくつか届き、地域作りの機運を高め

ることに少しでも役立ったのではと思っている。

ふれあいの居場所「ほっこりさん」

WACわかやまが、ふれあいの居場所「ほっこりさん」を商店街の中に開設して丸 3 年。昼の手作り「ワンコインランチ」と並んで好評なのが、毎月最後の金曜日の夜に開く大人の居場所「酔夢亭」。日中と違ってアルコールを楽しむ。

時折キッチンに立つのは男性陣。ちょっと太めのウエストにエプロンをつけるのは、元大学教授に酒屋の主人など腕に覚えのある方々だ。凝った料理に挑む。鮭の粕汁やパエリア、鮭のちゃんちゃん焼きなどが並ぶ。

シャッター通りと言われる立地だが、この夜ばかりは主婦やサラリーマンだけでなく、医師や弁護士、銀行マン OB などいろいろな職種の人が集まり、一段と賑やかになる。

和歌山市美園町 5-3-3(みその商店街内)Tel : 073-499-6915営業時間:月〜金曜 10:00 〜 16:00

腕を振るう男性シェフ

「ほっこりさん」は

商店街の中にある

中村

富子 プロフィール

特定非営利活動法人

WACわかやま

理事長

生まれは北海道岩内町。和歌山に住んで50年以上たつ。

すっかり和歌山のおばちゃんとして地域に根付いてい

る。地元のラジオ局のアナウンサーとして勤務した後、

フリーで和歌山県の広報番組を30年近く担当した。少

子高齢化の激しい和歌山を肌で感じ、自分の将来と重

ね合わせ、地域に役立つ活動を始めた。高齢者の生き

がいは、単に十分な介護を受けるだけでは解決しない

ことを、今、実感している。

ランチを提供する「ほっこりさん」

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コミュニティカフェ開設講座・和歌山

和歌山市の講座を担ったのは、NPO 法人「WAC わかやま」。受講生は、当初の目標を上回る 24 人も集まった。同法人理事長の中村富子さんが毎回の講座を進行させた。

開設講座カレンダー

和歌山市の地域コミュニティカフェ「ほっとタウン有い さ お

功」、ふれあいの居場所「ほっこりさん」、紀の川市粉

河か わ

の古民家の山崎亭を視察。マイクロバスと乗用車で、1 日かけての研修はいい刺激になった。古民家の大広間で浅川澄一 WAC 常務理事から聞いたコミュニティカフェの動向も勉強になった。

1・17 sat第 2 回

現場を知ろう

和歌山大学・金川めぐみ准教授の地域と福祉の理論に裏打ちされた講義を、みんな学生になった気分で聞き入った。午後からは、「シュフ・シェフ」の家本幸代表と高齢者支援サロン「シュシュ」の青沼稔さんの講演。青沼さん達が考案した赤ちゃんの抱っこ紐が、資金作りに役立っていると言う話に質問が集中した。

1・24 sat第 3 回

今、なぜコミュニティカフェなの?地域で求められるもの

オブザーバーで出席し、その都度アドバイスもいただいたムードメーカーの濱田智司さんの講義。濱田さんは、「紀の州コンサルティング」の代表で中小企業診断士。関西のおばちゃんの多くがバッグに潜ませているという「あめちゃん袋」を配る。きつい話を飴で緩めようという魂胆か。ボランティアであっても、ちゃんと収支の計算をし、収益を見込める運営を目指さねばならないと教えられる。そのための企画書作りに取り組んだ。

2・8 sun第 4 回

事業計画を作ってみよう!!場所、仲間、許認可、資格、資金など

2・14 sat第 5 回

自分の事業プランを発表いよいよブランの発表。鳥渕さんと濱田さんの見守る中、全

員がマイプランを披露した。和歌山県 NPO サポートセンターの志場久起さんから魅力的なチラシの作り方を学んだ後、コミュニティカフェ全国交流会で発表する 3 人が選ばれ、出席者全員に修了証が手渡された。

まずは自己紹介。受講の動機をそれぞれに語ってもらう。口に出して話すと、覚悟もできる。午後からの講座は、アクト研究室代表の鳥渕朋子さんのワークショップ。地域資源を確認し、それらが開設したいカフェや居場所とどう繋がるか論議した。各グループとも盛り上がり、今日が初対面とは思えない議論になった。

12・20 sat第 1 回

お互いを知ろう。地域資源を調べる「ほっこりさん」の2階で中村理事長

から話を聞く受講生

受講生たちは、和歌山市内の六十谷(むそた)にある、いきいきサロン

「ほっとタウン有功」を訪れ活動内容を聴く。

JR粉河駅前の古民家「山崎邸」を視察した。山崎邸は1917年(大

正6年)、綿織物(ネル)の工場を営んでいた山崎栄助氏と栄吉氏が建

てた木造2階建ての大きな自宅。15畳の主座敷や10畳の仏間、金唐紙

を貼った壁や大理石のトイレなど豪華な造りが残る。電話室や傘天井

にはびっくりだ。

土間の台所と隣接の畳部屋はカフェとして再活用され、若者の就労支援

や高齢者の集いの場となっている。

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10

和歌山市の南隣の海南市

で「ケアセンターおたっ

しゃ倶楽部」という訪問

介護事業所の所長を務め

ている。より地域に根を

下ろした事業展開を目指

すためにも、事業所近くに「コミュニティカフェ」を

開設したい、という思いで仲間とともに参加した。

すでに運営している人の話を聞いたり見たり、資金

面や運営上の考え方を学ぶことで、悩ましい点や難し

い点とともに、やるべき事が整理され、おぼろげだっ

たものが具体的に見えてきた。

カフェの名は「カフェ有間皇子(ありまのみこ)」。

悲劇の皇子で、地域の人の敬愛を集める古代史の著名

人にちなんだ。

認知症の人が自宅から持ってくるマイカップやマ

イ座布団で「認知症の方への配慮もしたい」。「誕生会

にはちらし寿司など振る舞うのもいいな」などと思案

をめぐらし、中身についてはかなり煮詰まった様子。

濱野さんを中心に、講座参加者の中からも協力者の輪

が広がりそうだと言う。

受講生

瀬藤幸生さん

自称、「参加者で最年長

です」。現役時代は、和歌

山市内の高級料亭の仲居

頭としてその才覚をフル

に発揮し、周囲からの信

頼も厚い。「ほっこりさん」

のスタッフとして、活躍していたが、1 年ほど前に体

調を崩して入院。一人暮らしの寂しさや不便さを体感

した。

元気を取り戻してからは、近くに住む友人や地域の

人たちと、「気兼ねなく集まれて、楽しく生き生きと

した地域の居場所を作りたいね」と、夢を語り合うよ

うになった。「私の家の一室を使ってくれてもいいよ」

と言ってくれる友人もいて、どうすれば私たちでも居

場所が出来るのか知りたいと思い、講座に参加した。

受講中に、地域で空き家や、人が寄らない美容院な

どが増えていることに気づいた。「お茶やお菓子を用

意し、笑顔で招き入れる雰囲気作りをしたい」。そこ

に、ふらっと寄ってもらえるように椅子を置けば「す

ぐに立派な居場所になるのでは」。早速友人たちに声

をかけている。名前は「和心(なごみ)」と決めている。

受講生

西

秀子さん

民生委員を 20 年務める

彼女は地域での信頼が厚

い。夫が遺してくれた家

具製作所を地域の居場所

に出来ないかと、講座に

参加した。

夫の手で製品化された建具もまだある程度はあり、

受注を受けることもある。しかし、それもなくなった

らこの広い製作所を何とか改装して、ご近所の気の置

けない仲間と楽しく過ごせたらと夢を抱いていた。

そして、今回の講座に参加して少しずつでも動き出

せるかもしれないと思うようになった。初めからパー

フェクトでなくてもいい、声をかければ 10 人ほどの

仲間は集まる。お茶を飲んで、おしゃべりをして、時

には持ち寄りランチをして。何よりも、自分のことを

心配している子供たちが安心するのでは、と思ってい

る。

受講生

田邊優子さん

訪問リハビリを専門にし

ている理学療法士。毎日

5 ~ 7 人ほどの患者さん

のお宅を訪問する龍神整

形外科のスタッフである。

現在は和歌山市の委託事

業でハイリスクグループのシニアエクササイズも週 1

回程度行っている。

リハビリをすることで体は良くなっても、外出して

の仲間作りが難しく、家に閉じこもってしまう人もい

て何か出来ないかと思っていた。

病院内の空き室を利用して居場所を作り、そこで地

域の元気な方も一緒に、絵を描いたり認知症や口腔ケ

アのことを学んだり楽しく過ごしてもらえたらと思

い、この講座を受講した。食事の提供などが出来るか

までは具体的に考えていないが、病院でサービス付き

高齢者向け住宅を運営しているので、出来るのではと

思っている。

場所もありドクターもいる。「ぜひ作ってみたい」

と、夢は現実へと向かいつつあるようだ。

受講生

龍神正導さん

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11

コミュニティカフェ開設講座・和歌山

「もうすぐ還暦」と言

いながら今を生きる元気

いっぱいの女性。

だが、家族環境の激変

から数年間、閉じこもり

状態が続いた時があった。

そんな時、友人に誘われて出会った高齢者生活協同組

合の勧めで、活動停止中のサロン「わがらの家」の有

効活用を提案された。自分がここで生かされると確信

し、すぐ受講を決めた。

居場所やコミュニティカフェとは何なのかが、か

なりはっきりとし、やってみたいとの思いが強くなっ

た。と同時に、改装費の不足、専門性のある仲間の不

足など問題点も明確になった。

だが、そこでひるまない。自然農法を学び、隣接す

る農地に安心安全なお茶やエゴマなどを植えて、収益

に繋げようと動き出した。

人生の最終章で何をしたいのか、何が出来るのか考

え続けた。「多くの人と出会い、笑顔で過ごすことが

出来る居場所やコミュニティカフェの運営に出会え

たことが幸せでした」と心から言える日が近いことを

願わずにはいられない。

受講生

中村紀美子さん

特別養護老人ホームに勤

務する看護師。上司の副理

事長から「以前から興味を

持っていたコミュニティ

カフェについて学んでみ

ないか」と持ちかけられ、

受講を決めた。

施設内に日本庭園や喫茶コーナーがある。入所者や

デイサービスの人が利用している。しかし、使ってい

ない曜日や時間帯がある。その日や時間帯を利用し

て、地域の人や若い人たちに気軽に立ち寄ってもらえ

れば、施設として新たな社会貢献につながるはず、と

受講中もいろいろ考えた。

施設だから何でもボランティアではダメ、継続する

ために経営感覚を取り入れることが大切という濱田

先生の言葉で、施設の理念も改めて再認識した。

とりあえず、金曜日の夜にナイトカフェを開いて

は、ランチに予約弁当を取り入れてはなど、あれこれ

考えだした。最も難しいのは、地域への広報かもしれ

ないと思っている。スタッフたちとこのプランを進め

ることや、地域の人たちの協力を得ようとするとき

に、何よりも私達が元気をもらい、豊かさを味わうこ

とが出来るのではと思い始めている。

受講生

谷山昌子さん

公益社団法人認知症の人

と家族の会和歌山県支部副

代表として認知症の人の家

族サポートを続けてきた。

現在、家族の会では、和

歌山市の「ブラクリ丁商

店街」で月2回の認知症カフェ「ぶらり・リブス」を、

海南市下津町の「スイミー・デイサービスセンター」

の2階で月1回開いている。そこでは、本人と家族が

集まってきてお茶やお菓子でおしゃべりをしたり、茶

の湯のお手前や手芸等を楽しんだりしている。

厚労省が打ち出したオレンジプランを機に、より良

い認知症カフェのあり方や、継続のための資金や経

費、そして後継者や協力者の問題など考えなければな

らない事がたくさんあるが、講座を受講することで何

かの刺激になればと思って参加した。

まずは初心に帰り、自分自身を見つめ直し、協力者

の気持ちや仲間作りを確かなものにしていくよう頑

張りたいと思っている。

受講生

野中たずみさん

食事を提供するお店の経

験がある。人当たりが良

く、周囲の人を元気にす

るパワーを持つ。

3 階建ての自宅の 1 階

を 4 ~ 5 年前から仲良し

の友人と集う「コロッケ茶店」と名付け、すでに居場

所にしている。「2 階を改装してコミュニティカフェ

にしたい」と受講した。

改装には自分の生命保険の解約金を充て、周辺環境

は整えた。しかし、地域の人が誰でも気軽に来れて、

楽しく、生き生きと過ごしてもらうにはどうすればよ

いのか、考えあぐねていた。

受講して、「講座のすべてが私を後押ししてくれた

と実感している」という。すでに 2 階にはカラオケ

セットも置いた。近くに住む息子夫婦の理解も得てお

り、コロッケ茶店に集まる友人たちも手伝ってくれそ

うだ。今年5月か6月頃のオープンを目指す。パワー

全開の彼女の報告が楽しみだ。

受講生

井本典子さん

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12

無限大の可能性を持つ

コミュニティカフェ

開設講座やコミュニティカフェの全国交流会

などでは毎回、コミュニティカフェの開設を目

指す方や、コミュニティカフェを既に運営して

いる方々とたくさん出会うことができます。今

回のコミュニティカフェ開設講座(東京)には

22人の方が参加しました。

皆さんそれぞれが地域課題を認識し、目標と

する理想の社会や地域の姿を描き、その実現に

向けた素敵なアイデアをたくさんお持ちです。

こうした出会いに、講師を務める私も毎回た

くさんの刺激を頂きます。「思い」を他の人に

話すことで共感を生み、協力者と出会い、お互

いの話を共有することで、自分の考えをさらに

ブラッシュアップでき、大きなネットワークを

築くことができます。

私のコミュニティカフェは「押し付けない介

護予防」がメインのコンセプトです。それだけ

でなく、ぷリズムを開店する前、出会った方か

らフェアトレードという国際貢献方法があるこ

とを教えていただき、コーヒーや紅茶をフェア

トレード商品にすることにしました。また、障

害者施設でフェアトレード商品を取り扱ってい

るところが当時あったことから、障害者支援も

意識するようになりました。

カフェの目的が一つだけではもったいないと

常々考えます。あくまでもメインとなるものが

ぶれてしまっては意味がありませんが、同時に

いろいろなことを取り入れることは可能です。

たくさんの方々と出会い、すでに開かれている

コミュニティカフェを見学したりすることでた

くさんのヒントを得られるはずです。

今回の東京講座では、私が運営する「元気ス

タンド・ぷリズム」のほかに、さいたま市南区

にある「ヘルシーカフェのら」に見学に行き、

運営者の新井純子さんや大家さん、スタッフな

どからお話を聞き、人と人とのつながりや可能

性の広がりを実感していただきました。

資金計画や、継続的な運営に必要な収支計画

の講義は、税理士の堀内龍文さんにお願いし、

実践的な計画策定方法を教わりました。

厚生労働省の「生活支援・介護予防の充実」

の施策のイメージ図の中に、コミュニティカ

フェが取り上げられました。また介護カフェや

認知症カフェも必要とされてきています。

コミュニティカフェの社会的ニーズがますま

す高まり、政策としても必要とされれば、認知

度や利用もますます増えると期待できます。

もちろん、コミュニティカフェの役割は高齢

者支援だけではありません。子育て支援、障害

者支援、世代間交流などさまざまな社会的課題

を解決する無限大の可能性を持っています。熱

い思いを持った皆さんと、さらにコミュニティ

カフェを盛り上げていければと思っています。

元気スタンド・ぷリズム

埼玉県幸手団地の空き店舗を活用して 2007 年暮れ、「高齢者の居場所」と「押し付けない介護予防」をコンセプトに開店した。メニューブックに健康情報を載せたり、懐メロの BGM で楽しく脳を活性化し、杖などの介護予防グッズも販売している。1 日あたり 20 ~ 30 人が来店、滞在時間が 3~ 5 時間の人もいて、当初目標の「誰かと話ができる環境」を作り上げた。

日常生活での身の回りの困り事に対して、元気な高齢者がサポートする地域支え合い事業「幸せ手伝い隊」の事務局をぷリズムに置く。杖をついている人の外出支援として、「セニアカー」(ハンドル形電動車いす)のレンタルも。病院と連携した「暮らしの保健室」を月 1 回開き、看護師に気軽に健康相談できる環境を整えている。

隣接店舗では高齢者が働き、高齢者の食生活を支える総菜屋「元気スタンド・ぷライス」を運営。総菜や弁当は、ぷリズムでも食べられる。

埼玉県幸手市栄 3-2-106 Tel : 0480-48-7372http://homepage3.nifty.com/gs-purism/営業時間:月〜土曜 9:00 〜 19:00、祝日も営業

ぷリズムの店内

左からぷリズム、ぷライスの店舗。

店の前にはセニアカーが3台停ま

っている。

小泉圭司 プロフィール

元気スタンド・ぷリズム合同会社

代表

1967年東京生まれ。幼少期に、隣に住む祖父母に

かわいがられ、祖父の死後は祖母と同居して育つ。大

学時代はコンビニなどでバイト、卒業後は大手スーパー

に勤務し、接客業に長く携わる。スーパーの休憩所に

所在なさげにいる高齢者の姿にショックを受ける。退

職して、高齢者の介護予防を促す居場所を開設。コミュ

ニティカフェを中心としたコミュニティモール構想を

掲げ、地域コミュニティの再生拠点づくりと商店街の

活性化を目指す。同時に、地域のインフォーマルサー

ビスネットワーク作りや住民主体による地域包括ケア

システムの普及に向けた市民勉強会を行い、カフェと

医療との連携などについて講演や執筆を行う。

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コミュニティカフェ開設講座・東京

東京の講座には 22 人が参加。運営者 2 人と税理士 1 人による座学、ワークショップ、現場見学・体験、事業計画書作成などの実践的な講座を行った。

開設講座カレンダー

カフェ・総菜店「元気スタンド」がある埼玉県幸手市の幸手団地を訪問。同カフェを運営する小泉圭司さんから、創業の経緯や現状、将来のコミュニティモール構想などの話を聞いた。昼食は総菜店の弁当を食べた。自分が開きたいカフェのイメージを考え、班内でプレゼン。元気スタンドを見学し、居合わせたお年寄りとも歓談した。

12・20 sat第 2 回

コミュニティカフェの現場の声を聴く(1)

新井純子さんが運営するさいたま市南区の「ヘルシーカフェのら」を訪問。カフェを立ち上げた経緯や課題、続けている理由などを聞いた。大家やスタッフから、のらに関わったきっかけを聞き、隣にある BABA ラボも見学した。コミュニティカフェでどんな商品、サービス、イベントを提供するかワークショップを行った。講座後、その場で懇親会を開いた。

1・10 sat第 3 回

コミュニティカフェの現場の声を聴く(2)

主任講師の小泉さんが「コミュニティカフェで顔の見える関係を築くことで、支え合いの地域がつくれる。運営者の『思い』を発信する場でもある」と話した。たまたま上京していた北陸先端科学技術大学院大学助教の小林重人さんが「自宅でも職場・学校でもない、居心地の良いサードプレイスが、生きていく上で必要」と飛び入り講義。班ごとに地域課題の抽出を行った。

12・7 sun第 1 回

地域の課題を挙げて、どんな地域にしたいか理想を語ろう!

2・15 sun

コミュニティカフェ全国交流会コミュニティカフェ・プラン発表指導

税理士の堀内龍文さんが「事業を自分で始めるために必要なもの」という副題で講義した。需要・経費・設備を数字で予測する方法を教わり、各人が経営計画を立てた。そして、売れる仕組みをつくるマーケティングと、成長を持続させる PDCAサイクルについて考えた。

2・8 sun第 5 回

事業計画・資金計画のブラッシュアップ事業計画を作成した 16 人がプランを発表し、3 人の講師が

コメントと質問を述べた。思いや実現性などを評価し、全国交流会で発表する 3 人を選んだ。ほかの受講生が「協力できそうな点、こうすればもっと行きたくなると思う点」などをシートに書き込み、発表者に渡した。

講座終了後、会場の WAC研修室で打ち上げを行った。

発表する 3 人が 1 週間でプランをさらに練り上げ、この日、本番さながらに 8 分で発表し、講師が質問した。

1 級建築士の廣瀬雄一さんは出身地のまちに帰って、カフェを拠点に空き家バンクや不動産仲介、住環境整備などの仕事もするプラン。鈴木衛理歌さんは高齢者の居場所や活躍の場をつくり、健康寿命を延ばすことを目的としたカフェを開くというプラン。同じく 1 級建築士の山本充彦さんは常設型ではなく、それぞれの得意技を持ち寄って披露するイベント型カフェのプランを発表した。

1・24 sat第 4 回

コミュニティカフェのマネジメント

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14

東京都東村山市で9

年前に子育て支援の

NPOを立ち上げ、子育

てひろばやファミリー・

サポート・センターな

どを運営してきた。

NPOメンバーが食への関心が高く、「食」と「子

ども」をテーマにした事業ができれば、と受講

した。

考えついたのは「多機能お家カフェ」。

昼間はカフェと、親が病気、通院などのとき

の子どもの一時預かり等、午後は学童保育も。

夜は皆で作って食べる「子ども食堂」にしたい。

親の帰りが遅い子どもは「孤食」から解放され、

子どもの遊び相手や勉強を教える大学・高校生

の居場所にもなる。

空き家等を利用したいがまだ目途が立たない

ので、特定の場所を持たない形で「子ども食堂」

を試行してみようか模索中だ。

受講生

磯部

妙さん

父親から譲り受けた

富山県砺波市の古民家

を利用して、コミュニ

ティカフェを開きたい

と思い、受講したとい

う。

本人は東京育ちで、夏休みの父の帰省のたび

に訪れた愛着のある家だ。東あずま

建ちと呼ばれる、

富山特有の大きな屋根の下に囲炉裏がある。土

台を作り直して、家全体を改装した写真を見せ

てくれた。

プランのひとつは「ふれあい古民家保健室」。

患者の「物語」を大切にする佐藤伸彦医師が近

くで週 2 日診療所を開いていたが、移転先を探

していたので、この家の利用を呼び掛けた。医

師が来ない日は、退職看護師に相談業務をして

もらう。

大学生などの夏合宿の宿舎や、障害者が畑仕

事や雑草取りをするデイサービスの場としても

考えている。食べ物を持ち込み方式にし、自身

は家主に徹したいと言う。

受講生

日置むつ子さん

研究者の夫の赴任に

伴い、筑波研究学園都

市に移り住んだ。カル

チャーセンターで健康

体操を指導し、パソコ

ン教室でも教えている。

そのカルチャーセンターに男性があまり来な

い。夫を含めた男性の定年後の行き場が気になる。

そこで、高齢男性の交流の場をつくりたいと思い、

事業計画の作成方法を学ぶため受講した。

しかし、講師や他の受講生の話を聞いている

うちに、当面はほかの人が運営するコミュニティ

カフェに出かけ、自分の得意な健康体操やパソ

コン・タブレットの初歩的な指導をすることに

軌道修正した。この方法でも、自分の経験が地

域課題の解決に貢献できると考えたからだ。

いずれ、コミュニティカフェの起業を検討し

ていきたいと言う。

受講生

花田みゆきさん

2011 年 5 月から埼

玉県鴻巣市でコミュニ

ティカフェを始めた。

3 年目の 2013 年度

にようやく、初年度に

想定した売り上げと利

益を達成した。

「あれもこれもと間口を広げたせいのか、なか

なか集客に結びつかない。ほかのコミュニティ

カフェがどのように工夫しているのか勉強した

いと思い、受講した」。

それだけに、「小泉先生の元気スタンドで高齢

者を働き手として活用していることや、ハンド

ル形電動車いすのレンタル、尻の重い常連客の

あしらい方などが参考になった」という。

有償ボランティアのスタッフに「せめて最低

賃金を払いたい」と悩んでいたが、ボランティ

アと有給者を区分けしている事例を聞いて、「ヒ

ントが得られた」と話す。

受講生

打越紀子さん

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コミュニティカフェ開設講座・東京

東京都都内にある社

会福祉法人の事務長。

法人が運営していた居

宅介護支援事業所を統

合し空きスペースが生

まれたので、「認知症高

齢者のために活用したい」という目的で受講した。

そのスペースを、認知症の本人と家族の集い

の場である認知症カフェのほかに、認知症サポー

ターやボランティア同士の連携や連絡の拠点と

して機能させることで、高齢者が暮らしやすい

地域にしたいという。

また、まちゼミの会場や地域の趣味活動の場

として、地域に開放していくことも考えている。

当面は、既存の「若年性認知症の方と家族の

集い・芽吹きの会」の活動拠点として利用して

もらうほかに、月 2 回程度の随時開催型カフェ

を試行し、可能性を探っていくという。

設備は既存の会議室にソファ程度でスタート

するが、将来的には補助金等を活用し、雰囲気

に配慮した「カフェらしさ」も求めていきたい、

と話す。

受講生

黒澤信一さん

障害を持つ息子の父

親。障害を持つ子や生

きづらさを抱える人

が、地域で暮らしなが

ら、経済的な自立がで

きる就労の場づくりを

目指している。

お年寄りなども含めた弱者が、家族がいなく

ても安心して暮らしていける集いの場を考えた

いと、受講した。

地域貢献に関心のある人、自分のスキルや経

験を地域で生かしたい人も来てほしい。世代・

性別を問わず、気軽に立ち寄れ、ほっと一息つ

ける場所、地域やボランティアの情報を整理・

分類して提供する場所を提供したいという。

まだ、思いが先行しているようだが、既に食

品衛生責任者の資格を取得し、料理学校で学ぶ

など、行動は早い。コミュニティカフェ関連の

セミナーやイベントにも積極的に参加している。

受講生

森山和彦さん

東京都あきる野市に

ある医療法人で、認知

症グループホームの統

括責任者をしている。

その法人がコミュニ

ティカフェを企画して

いることから、同僚の小山ひとみさんと一緒に

受講した。

広い持ち家に住む高齢者が庭の草取りに困っ

ている話をよく聞くと言う。一方、安くて広い

家を求めて移り住んだ若い世代がいるが、新旧

世代のつきあいがあまりない。そこで、多世代

が交流し、力の貸し借りができる拠点づくりを

目指す。

まずは、健康診断や人間ドックの受診者が受

診後に食事をとるスペースで外来患者や健診受

診者、昼からは一般市民を対象に飲食を提供し、

生活支援サービスの受け付けをする。病院内に

は調理設備があり、あまりお金がかからない。

医療・介護・保健・福祉の専門職がいるので、

高齢者向けの講座がすぐできるのも強みだ。

受講生

松波希代子さん

IT エンジニアから 2

年前に介護ヘルパーに

転身した。仕事は減っ

たが、自由な時間が増

えたという。

地域で小さな社会的

ビジネスをつくって共有する仕組みを模索して

いる。そのためには、人が集まれる場所が必要と、

受講した。

「サラリーマンのための個人事業主入門講座」

や太陽光発電などの「自然エネルギー自給講座」

をワークショップ形式で行い、また、それらに

関連する情報を集め、発信したいともいう。

おいしくて楽しい飲食を手間やお金をかけず

に充実させたいと考え、飲食店やお菓子屋など

に日替わりで出張販売してもらうことを提案し

た。飲食を注文しない客でも歓迎できる経営を

考えたいと話していた。

受講生

松本伸一さん

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WACは3月1日、東京・四谷の主婦会館プラ

ザエフで「コミュニティカフェ全国交流会」を開

催した。昼過ぎから始めた第1部では、宮城県、

和歌山県、東京都で行ってきた「コミュニティカ

フェ開設講座」の受講生の中から、各3人(組)

の講座代表、合わせて10人が自分で練り上げたカ

フェ・プランを披露した。

全員がパワーポイントのデータを作成して、画

面を見ながら説明。これらのプランに対して、各

講座の講師などが講評者として細かく論評、アド

バイスを送った。

第2部は、参加者全員が17のグループに分かれ

て、「高齢者の居場所」「食を通じた交流の場」な

どコミュニティカフェが目指すそれぞれのテーマ

に沿って討論した。

岩手県一関市千せ

厩まや

町から講座に通っ

てきた大谷寧子さんは、現役の医師。

今はフリーである。開業医の夫とその

両親と4人暮らし。

20年間、勤務医として職場と自宅を

「往復するだけの生活だった」と振り

返る。「果たして、これから私の老後

はどうなるのか」と思いめぐらし、「地

域デビューするしかない」と決意し、

カフェの開設に乗り出すと言う。

夫の診療所と介護保険の小規模多機

能型居宅介護の「宅老所せんまや」が

隣接しており、それを踏まえて、認知

症カフェを作ろうとしている。「まち

2013年9月から復興支援員として、

宮城県丸森町で活動している小笠原有美

香さん。千葉県木更津市から引っ越して

きた。支援員の任期は3年なので、残す

ところあと1年半。すっかり丸森町に溶

け込んだようだ。

震災を機に人口が減少した町にいて、

活気を取り戻すには「若者の人材育成が

必要」と思うようになった。そこで若者

が気軽に集まることができるコミュニ

ティカフェを作ろうと準備を始めた。

カフェの名は「w

ind-sun

」(風と太陽)。

早くも開設に向けて動いており、えご

まや大豆の収穫、味噌づくりのイベント

を企画したり、手作りのおやつを地域の

フリーマーケットで販売したりしている。

地域の人にカフェの計画を伝え、協力を

呼び掛けてもいる。

近く(川崎町)に、こんにゃくカフェ

を営む「びぃなすふぁ~む」があり、同

じような志なので、「とても励みになり

ます」と、そのスライドを示しながら話

した。

「私のコミュニティカフェ」プラン発表

小規模多機能でのレクリエーション 谷藤内科医院の受付と待合室 小規模多機能(宅老所)の2号館

小規模多機能の相談室

宮城の受講生

大谷寧子さん(岩手県一関市)

宮城の受講生

小笠原有美香さん(宮城県丸森町)

宮 城

大谷さん作成のスライドの冒頭は茶室

かどサロン」と名乗り、この

宅老所周辺のスペースを活用

したいという。認知症の理解、

啓蒙、相談の場として、また

診療所の患者が気安く立ち寄

れる場としても考えている。

趣味の茶道をこの認知症サ

ロンでぜひ、実験的に取り入

れたいと意気込む。

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コミュニティカフェ全国交流会・宮城

山屋理恵さん、栃沢ゆみ子さん、大

久保千紗さんの3人は岩手県盛岡市か

ら講座に参加した。交流会での発表に

は山屋さんが来られなかったため、2

人が登壇した。

3人が作りたいカフェは「インク

宮城の受講生

栃沢ゆみ子さん大久保千紗さん(岩手県盛岡市)

ルいわて」。インクルとは、Inclusive

Society

(包摂された社会)から採っ

た。「家族のカタチに関わらず、誰も

が生き生きと暮らしていける包摂され

た社会」を実現したいという意味を込

めた。

ひとり親の家族をはじめ単身高齢者

や貧しい子供たち、引きこもりの若年

男性など多くの人々が、居場所を求め

ており、出番が必要とされていると考

えた。

そこで、「ゆるやかな社会的家族機

能」を集結させるようなコミュニティ

カフェを描いた。食事を一緒に作った

り、親子の生け花体験、親子クリスマ

ス会、レンタルスーツの運営など様々

な催しを企画して、地域全体で支え合

う仕組みを築いていきたいと言う。

登壇して説明する小笠原さん

作成したスライドに自身の活動も

プランのカフェの内容を巧みに描いた。

講評者の前で発表する大久保さん(左)と栃沢さん

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白浜町在住の横畑真治さんは、和歌

山高齢者生活協同組合の紀南支部(田

辺市)で介護保険事業と組合員の助け

合い活動をしている。

地域の人たちがお互いに助け合いな

がら生活できる、そのような場のひと

昔賑わっていた駅前の食堂をコミュ

ニティカフェとしてもう一度蘇らせた

─。そんなユニークな提案をした

のは和歌山市に住む平井明子さん。

食堂は、JR紀和駅のすぐ近くの「た

まや」。11人のテーブル席と2階に2

つの和室があるという。5年ほど前か

ら店は閉まったまま。

平井さんが主宰する任意団体「結

和歌山の受講生

横畑真治さん(和歌山県白浜町)

和歌山の受講生

平井明子さん(和歌山市)

つとしてコミュニティカフェを作りた

いと話した。キーワードは「おたがい

さま」だ。

高齢化率が50%と高く、普通の民家

で空き家が多い土地なので、場所の手

当ては容易だと言う。カフェの特徴は、

持ち込みOKとすること。「持ち込み

茶屋です。隣の我が家という感じです

ね」。古民家に「となりの我が家」と

書かれた暖簾が下がるスライドを示し

ながら説明する。

利用者は誰でもいい。「和歌山弁で、

交ざりたい人です」。

1日1家族だが、宿泊も

できるようにしたい。もう

一つの売りは、このカフェ

専用の地域通貨「福」を使

うことだと言う。

100円のコーヒーは「壱

福」、300円の「持ち込み

ランチ」は「参福」。いず

れもコーヒーやおでんのカ

ラー写真を使って、スライ

ドを送りながら説明した。

「まず、冷蔵庫やお皿、コッ

プなどを持ちこんで始めよ

うと思っています」と話す。

こうしたアイデアに対し

て講評者の清野浩司さんか

ら「無料で建物を調達して

有料事業をするのはいい考

え。修繕費などで結構、費

用が掛かりますから」とア

ドバイスした。

「私のコミュニティカフェ」プラン発表

い」が、この食堂を「再生」しようと

考えている。「鉄火巻きとうどんが美

味しい食堂だったので、その2つのメ

ニューは引き継ぎたいと思います」と、

店の写真を映しながら説明する。

「結い」は10人ほどのメンバーで活動

しており、1時間1000円と交通費

実費で家事援助サービスを6年前から

手掛けている。「これからコミュニティ

カフェと託児サービスを始めて、3本

柱にしていきたい」と、意気込んでいる。

この提案に対して、講評者の足立千

佳子さんから「私は仙台市でカフェを

運営していますが、利用者は何人ぐら

いで、どこから来られるのかをきちん

と予測しておいた方がいいと思いまし

た。近くに住む人たちは、意外と当て

にできないのです」とアドバイスした。

和歌山

理想的なカフェを画面上で作成した。

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コミュニティカフェ全国交流会・和歌山

和歌山の受講生

瀧 剛志さん(大阪府和泉市)

2児の父親で学童保育の指導員をし

ている瀧剛志さん。「子育て、子育ち

を応援していきたい」と第一声。

和泉市で4階建ての市営住宅の1階

を「子育て応援カフェ」の候補地とし

て狙っている。シャッターが下りたま

まになっていることに注目した。同じ

並びに、串カツ屋やお好み

焼き屋、デイサービスなど

があり、街中そのものなの

と、はす向かいに大きな公

園があり、子どもたちが通

う環境としてなかなかいい

と判断した。

計画はかなり具体的だ。

営業は、平日の10時から17

時まで。200円のフリー

ドリンクと500円のラン

チを提供する。それぞれ、

日に20人の利用客を想定し

ている。

「親も子もみんなのやりたいことが実

現できる場所」として考えている。1

人でも親子でも受け入れる。

瀧さんは、仕事や子育てを通じて「子

どもにとって遊びは重要なのに、環境

が追い付いていない」と痛感した。「サ

ンマが足りない」と訴えた。サンマと

は、時間と空間それに仲間のこと。

その解決策として、「子連れで気軽

に行くことができる場所」を作らねば

と決心したと言う。

これまでの遊び場は、提供者と受け

る側がきちんと区別されていたが、そ

の境目がなく一体となって作り上げて

いくようにしたいと話す。

この企画について、講評者で税理士

の堀内龍文さんは「1日の売り上げが

1万4千円ですから、月収は28万円に

しか届かない。これは相当厳しい」と

危惧し、「特定の場所を持たない方式

も検討しては」と呼び掛けた。

協力してくれる友人・知人たち

登壇して説明する平井さん

カフェは公営住宅の1階の空き店舗を検討中

講評者の前でプランを発表する瀧さん。講評者は左から、NPO法人とめタウンネットの足立千佳子さん、元気スタンドぷリズム合同会社代表の小泉圭司さん、アクト研究室代表の鳥渕朋子さん、中小企業診断士の清野浩司さん、税理士の堀内龍文さん。

WACわかやまの中村富子さんが

横畑さんを紹介する。

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高校生の時から高齢者の住環境に興

味を抱いていたと言う廣瀬雄一さん。

住宅メーカーに就職し、現在は大学に

出向して、まちづくりのフィールド

ワークを手掛けている。

コミュニティカフェの開設を考えて

いるのは、出身地の大阪府茨木市。「山

を切り開いたニュータウンで、私の親

世代が家を建てたところです」。最近、

同級生たちがこの故郷に帰ってきてい

る。そこで、元気シニアや犬を連れた

人などがふらっと立ち寄れる場を作り、

「金太郎の故郷から来ました」と自己

紹介したのは、介護福祉士の鈴木衛理

歌さん。

訪問介護の現場に出る傍ら、デイ

サービスで音楽ボランティアもする。

「健康寿命を延ばすことを目的とした

コミュニティカフェを開きたい」と言

う。店

名は「ねこの手カフェ」。竹下文

子さんの児童書「わたしおてつだいね

こ」から採った。

事業は4つを想定。生活習慣病の予

東京の受講生

廣瀬雄一さん(東京都足立区)

東京の受講生

鈴木衛理歌さん(神奈川県南足柄市)

自分と同年代がUターンできるきっか

けにもできないかと考えた。

健康や日常生活の困り事の相談をは

じめ、日中の居場所が欲しい人、特技

を生かしたい人などの場を提供する。

その名は「住まいと暮らしマルシェ~

House&

Life MA

RC

He

~」。

250円のコーヒー、700円の鉄

板ナポリタンなど13種類のフード系メ

ニューと、空き家のマッチング手数

料や店舗内出店費用などサービスメ

ニューは細かく充実している。

「私のコミュニティカフェ」プラン発表

建築家らしく、キッチンや畳部屋、

ソファなどを配置したきちんとした店

舗レイアウトもスライドで説明。自

己資金500万円、金融機関融資

1000万円の資金計画と初年度売上

高96万3000円の損益計画書もそろ

えた。

「空き家を活用して、東京オリンピッ

クまでには開設したい」と締めくくっ

た。この案に対して講評者の清野浩司

さんは「事業の柱を明確にした方がい

い。カフェメニューは無理に出さなく

てもいいのでは」とアドバイスした。

東京

廣瀬さんが描いたカフェの内部 主な事業のスキーム案

足立さんのアドバイスに聞き入る鈴木さん

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コミュニティカフェ全国交流会・東京

東京の受講生

山本充彦さん(東京都江東区)

中央区で設計事務所を運営し「わく

わくする街を創ることが夢です」と話

し始めた山本充彦さん。描くコミュニ

ティカフェは「セミプロ・カフェ」。

誰もが一つは持っているだろう得意

技。それを持ち寄って披露してもらう、

というなかなかユニークな発想だ。

昨年11月にその第一回目として、「小

林亮のおいしい暮らし方」を開いた。

介護の仕事の傍ら伊豆の棚田米にほれ

込み、当日はそのおにぎりを参加者に

防とロコモ予防、地域や周りを助ける

活動、それにニコニコ作りだ。人や熊

のイラスト入りの可愛らしい作りのス

ライドだ。

ロコモ予防には、「地元の金太郎体

操の普及や豆腐蒲鉾の開発を考えてい

ます」と話しながら、両手を上に上げ

て金太郎体操を披露。

骨を強くしたい人には小松菜とバナ

ナのフレッシュジュースなど、症状に

対応したジュース、アルツハイマー予

防に豆カレー、そば粉のパンケーキな

どスライド5枚に及ぶフードメニュー

には相当力が入っている。

損益計画も忘れていない。初年度に

は月間売上高を62万円、次年度には同

80万6000円を想定している。

講評者の堀内龍文さんから「回転率

を低く堅く見積もっている。家賃8万

円を5万円に下げさせたのは交渉力が

ある。しかし、ご本人の人件費が含ま

れていないので再検討を」との声が

あった。

提供した。食事の前にはジャズも演奏

され、小林さんの「美味しい暮らし」

を皆で楽しんだ

─と、写真を示しな

がら報告した。

このほか、そば打ち体験も実施する

など、「セミプロ・カフェ」への助走

路を着々と歩み出している。「当日は、

できたそばがうどんみたいだったけれ

ど、それはそれで楽しめた」と山本さん。

主催するのは、山本さんが代表の「セ

ミプロ倶楽部」。

江東区の照明器具店のショールーム

を無償で借りて、年3~4回は、30人

ほどの集まりを開くことができるよう

になったと言う。

「ねこの手カフェ」の内容を16枚のスライドで詳細に描いた。

「セミプロCafé」の現場写真をふんだんに盛り込んだスライド

作成した40枚のスライドを使って説明する山本さん

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開設講座の成果発表が3地区9組の代表者によって行われた後、第2部のグループ討論に入った。会場の参加者全員が、興味のある17のテーマにそれぞれ分かれて集まり、ファシリテーターの進行で話し合いを行った。

「若年層の居場所」について話し合った

のは第3班。ファシリテーターは埼玉県

和光市の「アルコイリスカフェ」代表の

横田明菜さんが務めた。和歌山県や愛知

県、北海道からも参加者が集まり、「若

者」の定義を問い直すことからスタート。

「20代から40代にはコミュニティカフェ

は入りづらい」と口をそろえた。可能性

は感じているが、どのようにしたら対象

者を巻き込んでいくかについては結論が

得られなかった。補助金や助成金、支援

者の確保が不可欠である、という考えが

示された。

第6班は「認知症カフェ」、ファシリ

テーターはWAC理事長の服部万里子

さん。「どのようにして参加者を集めた

らよいか」が焦点となり、家族やボラン

ティアなどの協力が不可欠であり、一筋

縄ではいかない難しさがまず共有された。

認知症者に関わるノウハウの蓄積とスタ

ッフ教育が不可欠、とするなど活発な意

見交換があった。

「自分の居場所と仲間づくり」をテーマ

にした第8班では、男女各4人がそれぞ

れの活動や今後の展望について述べた。

2人の女性は、瀬戸内や北海道といった

地方にいずれIターンで移住して居場所

づくりに取り組みたいと話した。意気込

んだ話しぶりから、社会活動に取り組も

うとする女性陣の熱意がうかがえた。

ファシリテーターを務め、千葉県柏市

で「ご縁カフェ

まつばR」を運営する

田中宗一さんは、「実際に運営するとな

ると、素人の域をはるかに超えた能力が

必要になる。しかし、地域ではコミュニ

ティカフェが求められ、その社会的可能

性は大きい」と話し合いの感想を述べた。

「食を通じた交流の場」をテーマに話し

合った第9班のファシリテーターで、「共

奏キッチン」を主宰する高田彰一さん

の元には、香川大学で地域活性化に取

り組んでいる古川尚幸教

授をはじめ、新たにケア

ラーズカフェを始めた夫

妻、団地や介護施設内に

併設されているコミュニ

ティスペースの運営者な

ど、実践者が多く集まった。

どういった場でも「食」

はコミュニティづくりに

非常によいきっかけとな

─ということで皆う

なずいた。具体的な事例

として、古川教授が香川大学で手がけた

「直島地域活性化プロジェクト」と「小

豆島SAKATEプロジェクト」のエピ

ソードを披露。直島では、2006年か

ら学生が中心となり「和cafeぐぅ」

を経営、地域の活性化に大いに貢献して

おり、次の「小豆島SAKATEプロジ

ェクト」は地元住民団体と協働している。

一昨年開設した「喫茶 

白鳥」では、

地元の主婦層も調理や運営に参画。活動

にさらに勢いがついた。「食を介しての

コミュニティづくり」は、世代を超えて

つながりを深くする。その好例として熱

心な質問が続いた。

「食の起業応援カフェ」について話し合

ったのは第10班。神奈川県川崎市で「み

んなのテーブル メサ・グランデ」を運

営するNPO法人「ぐらす・かわさき」

の田代美香さんをファシリテーターに、

高齢者サロンの実践者、WACが東京都

中野区で行ったコミュニティカフェ開設

講座の修了生や大学関係者などが集まっ

た。開

設したコミュニティカフェの収益の

安定化や集客方法について、具体的なア

イデアが交わされた。話し合いの中で「お

互いの活動の場が近いことが分かると、

協力体制が組めるのでは」といった全国

交流会ならではの広がりも見受けられた。

「手仕事で居場所づくり」について話し

合ったのは、横地真子さんがファシリテ

ーターを務めた第11班。横地さんは、埼

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C o m m u n yC a f e

C o m m u n yC a f e コミュニティカフェ全国交流会・グループ討論会

玉県さいたま市の「おばあち

ゃんによるおばあちゃんのた

めの『孫育て』グッズ」を制

作・販売する「BABAラボ」

の営業広報部長である。

参加者はいずれも高齢者の

社会参加に興味があり、BA

BAラボの運営面についての

質問が絶えなかった。特に、

第1部でプラン発表を行った

宮城県丸森町の小笠原有美香

さんからの「活動に対する賛

同者をどのようにして集めた

らいいのか」という問いかけ

に対して、「製品の制作過程

のストーリー作りが大切」と、

先人ならではのアドバイスが

送られた。

第13班は、地域のための場

づくりとして注目を浴びてい

る「自宅カフェ」をテーマに

活発に話し合った。ファ

シリテーターは、東京都

世田谷区の自宅で毎週火

曜日に「きままなスイー

ツカフェ」を、毎月第3

木曜日に「ケアラーズカ

フェKIMAMA」を開

いている岩瀬はるみさん。

この席には、岩瀬さん同

様自宅を開放して「地域

の居場所」づくりを行っ

ている実践者から、地域

への参加をこれから試みようとする市民

まで、多様なメンバーが顔をそろえた。

岩瀬さんが2つのカフェの成り立ちや

現在の活動の様子を話し、それを受けて、

参加者から「自宅で開くことへの不安は

ないか」「気をつけなければいけないこ

とは何か」といった率直で具体的な質問

が寄せられた。

東京都練馬区の自宅で「ケアラーズカ

フェ

Coもれび」を開いている上野美

知子さん、東京都府中市の自宅の庭を開

放して「コミュニティガーデンカフェ 

きゅ庵」を運営する桑田厚子さんからは、

「一にも二にも家族の理解と協力が不可

欠」「こうした場で情報を交換して、運

営にまつわるノウハウや想定されるトラ

ブルを考えておくことも重要」といった

アドバイスが返された。「住まいのある

マンションで、これからコミュニティを

活性化していきたい」と考えている参加

者が熱心にメモを取っていた。

自宅を開くことの意味や地域への貢献

など尽きない話を続けながら、最後には

それぞれの自宅カフェを訪問し合い、事

例を共有することを約束した。

コミュニティカフェを長く続けるうえ

で無視することのできない問題、経営面

について話し合ったのは、第14班と第15

班。このうち、14班でファシリテーター

を務めた堀内龍文さんの席では、NPO

運営者や市職員、会社経営者などが顔を

そろえた。話題は、空き家の活用による

固定費の抑え方など具体的な内容から始

まり、サービスに対する価格の決め方、

魅力あるサービスの創造法など多岐にわ

たった。

収支にとらわれすぎず、コミュニティ

カフェに対する「思い」を大事にしてい

くべき、といった意見にも多くの賛同が

寄せられた。

会場全体では160人の参加者が、そ

れぞれの思いのもと、活発な意見を交わ

した。各グループをまとめるファシリテ

ーターは、それぞれのテーマにおける実

践者であり、これから活動を起こそうと

する参加者たちに時にやさしく、時に的

確なアドバイスを送り、同じように実践

を重ねている参加者とは、エールの交歓

を行った。

会場の各地で連絡先を交換する姿が見

られ、ここからまた新たなネットワーク

が広がることが確信されたグループ討論

会だった。

テーマ ファシリテーター(所属・職業、敬称略)

① 高齢者の居場所 小泉圭司(元気スタンド・ぷリズム合同会社)② 親と子の居場所 伊藤照子(NPO法人 WACわかやま)③ 若年層の居場所 横田明菜(アルコイリスカフェ)④ ケアラーズカフェ 布川佐登美(ケアラーズカフェ&いきぬき処 みちくさ亭)⑤ 障がい者の就労支援、居場所 山本佳美(NPO法人 ちばMD エコネット)⑥ 認知症カフェ 服部万里子(公益社団法人長寿社会文化協会)⑦ 夜の大人の居場所 中村富子(NPO法人 WACわかやま)⑧ 自分の居場所と仲間づくり 田中宗一(ご縁カフェ まつば R)⑨ 食を通じた交流の場 高田彰一(共奏キッチン/共奏事ム局)⑩ 食の起業応援カフェ 田代美香(みんなのテーブル メサ・グランデ)⑪ 手仕事で居場所づくり 横地真子(BABA ラボ)⑫ 団地カフェ 井上温子(地域リビング プラスワン)⑬ 自宅カフェ 岩瀬はるみ(きままなスイーツカフェ)⑭ コミカフェの経営面 堀内龍文(税理士)⑮ コミカフェの経営面 清野浩司(中小企業診断士)⑯ 地域での女性の起業 鳥渕朋子(アクト研究室)⑰ コミカフェの集客・宣伝 足立千佳子(NPO法人 とめタウンネット)

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