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地域包括ケア推進のつどい
『バイタルリンク』による多職種情報共有システムの試み
平成29年10月28日
地域ケアネット旭川 代表
リバータウンクリニック 院長
鈴木康之
地域包括ケアシステムとは
• 日本は諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進行しています。
• 団塊の世代が75歳以上(後期高齢者)となる2025年(平成37年)以降は、
国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれています。
• この2025年を目途に、認知症を含む重度な要介護状態になっても住み慣
れた地域で、尊厳の保たれた自分らしい暮らしを人生の最後まで続けること
ができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるた
めに地域で構築されるシステムを地域包括ケアシステムという。
多職種による情報共有が必要
• 地域包括ケアにおいては一人の対象者に対して多くの職種(事業所)が関わる。
• 医師やケアマネージャーはどのように考えているのか。
• 他の事業所ではどのように介護しているのか。
• 最近起きたことや問題点を早く知りたい。
みんなが同じ情報を持って、一定の方向性であなた(対象者)を支えていきます。 ➡ それが安心と信頼に繋がる。
そのためにはどのようなツールが一番いいのでしょうか?
これまでの情報共有(アナログ情報共有)・カンファレンス・担当者会議
顔は見えるが、都合を合わせるのが難しく頻回に開催できない。
・連絡ノート
記録としては残るが、ノートのある所に行かなければ見ることができず、
リアルタイムでの情報共有が難しい。
・電話
直接伝えることができるが、1対1の伝達であり、時間的に相手に気を遣う。
・FAX記録としては残るが、誤発信の可能性があり、相手側で誰が見るかわか
らない。情報漏えいのリスクが高い。
・メール・LINE簡単で便利だがセキュリティー等に問題がある。
アンケート:これまでの多職種情報共有の問題点• 相手に電話をしても不在だと連絡が取れず伝言になることや翌日になることもあった。
• 電話連絡が主だったが、相手の電話を待つ間がありイライラした。
• 正しく情報が伝わらず混乱したことがあった。
• 会議や報告書では即時性がなかった。
• 患者さんに起きたイベントに気づけないことがあった。
• 他職種は知っていて、自分だけ知らない情報があった。
• 複数の職種に同じ内容の情報を送ろうとしても、電話が都合が良い相手やメールが都合
がよい相手などがいろいろいて手間がかかった。
• カンファレンスの場合、お互いの都合のよい時間を調整するのが大変だった。
多職種連携の現状と課題 ~ICTを活用した情報共有~
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*医療・介護の現場で「使える」システムになっていない。
・ 医療者が必要とするバイタルデータや療養状況が客観的なデータで共有できない
・ モバイル端末やICTに不慣れな参加者も簡単に利用できる仕様になっていない
・ フォローアップがなく、操作に慣れず効果を実感する前に利用を止めてしまう
◆ICTシステムを活用した情報共有
◆ICTを活用した情報共有における課題
ICTシステム
かかりつけ医
通所系サービス ホームヘルパー
ケアマネージャー
訪問リハビリ
薬剤師
訪問看護師
SNS (ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
(株)メディヴァ発表資料2015年10月14日大和市医療福祉ネットワーク(改変)
バイタルリンクの主な機能について①基本情報:フェイスシートの簡易版②連絡帳:患者担当者のグループメール③バイタル:複数のデータを連続したグラフで表示④おくすり情報:処方情報⑤カレンダー:患者予定を共有
NTT Electronicsが開発帝人ファーマが発売
多職種情報共有をリアルタイムで実現
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連絡帳による共有連絡帳による共有 おくすり情報の共有おくすり情報の共有 スケジュールの共有スケジュールの共有
地域包括ケアにおける多職種間での情報共有がリアルタイムで可能となり、効率的かつ質の高い医療・介護サービスの提供をサポートします地域包括ケアにおける多職種間での情報共有がリアルタイムで可能となり、効率的かつ質の高い医療・介護サービスの提供をサポートします
システム特徴:データ管理による増悪の予兆把握
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日々のデータ管理により、患者の増悪「予兆」の早期発見をサポートします日々のデータ管理により、患者の増悪「予兆」の早期発見をサポートします
バイタルリンク データ閲覧画面
バイタルリンクバイタルリンクサーバー(クラウド)へ測定したバイタルデータおよび患者状態(ADL)を保存
日々のバイタルデータを経時的に管理
ヘルパー
薬剤師
医師
訪看
ケアマネ
薬剤師
残薬状況
服薬指導内容
服薬指導依頼
コンプライアンス不良
配薬報告・残薬状況
返事
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多職種との詳細な情報共有
ケアマネ
薬剤師
写真の共有により正確な情報共有
専門職としての視点からサプリメントの効能
共有
栄養士からのサプリメント服用提案があったことを共有
参加医療機関・事業所 登録患者数
• 医師:4名• 訪問看護ステーション:9か所
• 調剤薬局:3か所
• 医療機関の看護師:3医療機関
• グループホーム:3か所
• 有料老人ホーム:6か所
• 小規模多機能施設:2か所
• 訪問リハビリ:1か所
総登録患者数(H.29年10月10日現在) 158名
バイタルリンク使用後アンケート(47名)①バイタルリンク導入前の不安
・なかった 17人
・PCが苦手なので操作できるか不安 19人
・情報漏えい、セキュリティーが不安 5人
・業務負担が増えそうで不安 4人
②導入後に苦労したこと
・なかった 28人
・操作上の問題、時間がかかる 5人
・何回もチェックしなければならないのが負担 4人
・事業所の中でだれが責任をもって確認するかが問題
・サポート体制が不十分
・自分の文章力
③導入してよかったこと
・医師に報告しやすくなり密に連絡できるようになった 医師が身近に感じるようになった 15人
・情報が保存されるので何回も確認できる 4人
・画像が簡単に添付できる 5人
・緊急性がないこともあまり遠慮せずに確認、相談できる 6人
・訪問前に最新の事前情報が得られる 4人
・いつでもどこでもスマホから送信できるので電話しなくてもいい 4人
・他の事業所の医師への報告が参考になる 5人
・同じ情報を個別に連絡する必要がなくなった、情報が共有しやすくなった 7人
・医師などが情報を見たことが確認できて安心 2人
・バイタルサインが温度版のように見ることができる
④改善してほしいこと
・画面や入力上のこと 11人
・特定の人とやり取りできるような機能がほしい
・施設内でグループ利用できるようにしてほしい
・サマリー機能がほしい
⑤今後の展望や感想
・もっと多くの医師、事業所に参加してほしい 5人
・広域の病院にも参加してほしい 入退院時にも利用できればいい 2人
・サポートセンターがほしい
・有効に利用するには知識の向上や理解の共通化が必要
・バージョンアップしていってほしい
・患者・利用者・家族の同意の問題
バイタルリンクを導入してみての私の感想• 訪問診療時の状況を伝えたり、指示を出すのが電話だとついつい面倒くさくなっていた
のが気楽に送れる。
• 1日に数回見るのが面倒かと思ったが、慣れると手の空いた時にさっと見ることができる。
• 画像の添付は簡単でやはり便利。
• 医師への報告の壁が低くなったと感じる。
• 関係者がみんなで見ると思うと、いい加減なことは書けず、緊張感とともに正確性が必
要となり、全体のレベルアップになると感じた。
• 画面や操作上の問題はまだあるが、改善してバージョンアップしていくと聞いた。
• 登録が少し面倒だがセキュリティー上は必要だと思った。
今後の展望と課題
• 小さな輪が大きな輪になる可能性
• 病院の参加、入退院時の連絡
• 介護レベルの向上につながる可能性
• 医師会、行政とのかかわり(兵庫県、徳島県医師会での採用)
• 輪が大きくなってきた時の責任の所在、経費負担