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研究成果の発表・展示、実験・観察コーナー、 サイエンス・クイズ。それぞれのイベントが関係 の皆様のご尽力により所期の目的を達すること ができました。ありがとうございました。 実験・観察コーナーは 21(昨年 18)のブース が設営され、観察、製作、体験でにぎわいました。 研究発表のコーナーでは小・中学校より 72 (昨年 50 点)、高等学校より 25 点(昨年 17 点) の研究成果の発表や展示があり、多くの市民の方 が足を止めて、説明を聞いたり、作品を手に取っ て見入ったりという光景でした。 本年度より長崎大学では県内外の小・中学生に 呼びかけて「次世代の科学者育成」の講座に取り 組んでいます。この受講生も 4 つのブースで研究 成果の一端を紹介しました。 ◇株式会社日本ベネックス 「太陽光で動くヘリコプター」 太陽光で動くヘリコプター模型を展示し、太陽 光パネルやリチウム電池、金属加工技術等を紹介。 ◇長崎大学附属小学校 「○○で動くおもちゃ」 地域の核となる理数系教員(CST)の松永知大、 才木崇史がローレンツ力を利用したおもちゃ作 りを実施。来場者は木ねじの独楽が回る不思議を 体験。 ◇長崎大学 助教 柳井武志 「磁石であそぼう」 サイエンス・ファイトだより 実験などを通して科学の面白さを伝えるイベント「サイエンス・ファ イト」を平成 28 11 3 (木)12:3016:00、長崎浜市観光通商店 街において実施しました。6200 名を超える来場者がありました。 その概要をお伝えします。(文中敬称略) 実験・観察の部

サイエンス・ファイトだより...「飲み水を作ってみよう ~非常用の膜濾過浄水器~」 水がないと、生きていけない人類。緑色の濁っ

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Page 1: サイエンス・ファイトだより...「飲み水を作ってみよう ~非常用の膜濾過浄水器~」 水がないと、生きていけない人類。緑色の濁っ

研究成果の発表・展示、実験・観察コーナー、

サイエンス・クイズ。それぞれのイベントが関係

の皆様のご尽力により所期の目的を達すること

ができました。ありがとうございました。 実験・観察コーナーは 21(昨年 18)のブース

が設営され、観察、製作、体験でにぎわいました。 研究発表のコーナーでは小・中学校より 72 点

(昨年 50 点)、高等学校より 25 点(昨年 17 点)

の研究成果の発表や展示があり、多くの市民の方

が足を止めて、説明を聞いたり、作品を手に取っ

て見入ったりという光景でした。 本年度より長崎大学では県内外の小・中学生に

呼びかけて「次世代の科学者育成」の講座に取り

組んでいます。この受講生も 4 つのブースで研究

成果の一端を紹介しました。

◇株式会社日本ベネックス

「太陽光で動くヘリコプター」

太陽光で動くヘリコプター模型を展示し、太陽

光パネルやリチウム電池、金属加工技術等を紹介。

◇長崎大学附属小学校

「○○で動くおもちゃ」

地域の核となる理数系教員(CST)の松永知大、

才木崇史がローレンツ力を利用したおもちゃ作

りを実施。来場者は木ねじの独楽が回る不思議を

体験。

◇長崎大学 助教 柳井武志

「磁石であそぼう」

サイエンス・ファイトだより 実験などを通して科学の面白さを伝えるイベント「サイエンス・ファ

イト」を平成 28 年 11 月 3 日(木)12:30~16:00、長崎浜市観光通商店

街において実施しました。6200 名を超える来場者がありました。 その概要をお伝えします。(文中敬称略)

実験・観察の部

Page 2: サイエンス・ファイトだより...「飲み水を作ってみよう ~非常用の膜濾過浄水器~」 水がないと、生きていけない人類。緑色の濁っ

磁力線を3次元で見える化、磁石の極の秘密な

ど、電磁気学の入口に立った子どもたちもたくさ

ん。

◇長崎大学 助教 利部 慎

「水の味の違いを体感しよう!」

軟水や硬水を複数準備し、その利き水クイズを

実施。「水テイスター」の皆さんは真剣。微妙だ

ったり、大きな違いを感じたり、何が原因でこの

差が生じるのか不思議です。

◇長崎大学 2年生 兒玉悠太郎、小清水貴一

「真空の世界を体験しよう」

大気がある世界で生活している私たち。

「え?」どうしてこのような現象が・・・。排気

鐘の中の現象に釘付けです。

◇長崎大学 教授 星野由雅、4年生 古田恵太

郎、峯崎福太郎、末安輝明

「ハロー君をつくってみよう?」

空気の体積が、温度によってどのように変化す

るのか、身近な素材を使って科学しました。

◇長崎大学 教授 星野由雅、3年生 平川美貴、

月元裕貴、馬渡百華、武田健吾、堀田優作、平田

彬、野原葵、玉目彩夏、高口歩、松本未来

「フルーツリトマス紙をくってみよう!」

みなさんご存じのリトマス紙、さて、どのよう

なフルーツで、リトマス紙をつくったのでしょ

う?

◇長崎大学 教授 星野由雅、4年生 尾嶋智広

「洗剤の界面活性作用を調べてみよう!」

Page 3: サイエンス・ファイトだより...「飲み水を作ってみよう ~非常用の膜濾過浄水器~」 水がないと、生きていけない人類。緑色の濁っ

このブース来場者のみなさんは、きっと地球環

境にやさしい洗剤の使い方を理解してくださっ

たのでは・・・。

◇協和機電工業株式会社

「飲み水を作ってみよう

~非常用の膜濾過浄水器~」

水がないと、生きていけない人類。緑色の濁っ

た水が、手動や電動による浄水で無色透明に!こ

れを社員の方々が、ゴックン。「水ですね」と紹

介。

◇佐世保工業高等専門学校 教授 川崎仁晴

「プラズマの世界」

「へー、プラズマって・・・」興味津々。

◇長崎県環境保健センター 冨永勇太

「液体窒素で体験する極低温の世界」

いろんな植物の葉がパリパリに、カチンコチン

のバナナでの釘打ちも体験。

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◇佐世保市少年科学館「星きらり」(CST)松永 歩

「光で色が変わる!?輪ゴムブレスレットを作ろ

う!」

ブレスレットのお土産だけでなく、科学の知恵

も持ち帰りました。

◇長崎県工業技術センター 所長 馬場恒明、

次長 兵頭竜二 「電池のふしぎ」

いろいろな果物で電池が・・・。

電池の仕組みや電子回路を学んでファラデーの

追体験です。

◇CST 小ヶ倉中学校 教諭 前田勝弘

「放射線を見てみよう」

ちょっと、腰がひけそうなテーマですが・・・

大丈夫です。

放射線の走った跡が、白く細い線になって見えま

す?見えます!

◇長崎大学 教授 呉屋 博 「鏡の世界」

「鏡は左右が逆になる?本当ですか?」と「鏡

の世界」を探究します。

Page 5: サイエンス・ファイトだより...「飲み水を作ってみよう ~非常用の膜濾過浄水器~」 水がないと、生きていけない人類。緑色の濁っ

◇宇宙の学校ながさき教室 島田博志、

阿比留藏一、岡智子、本多博、久松邦夫、宮崎勉

「ホバークラフトとかさ袋ロケット」

楽しい~!試乗の後は、空気の性質をうまく使

って、かさ袋ロケットとホバークラフトをクラフ

ト。

◇九州電力株式会社

「『でんき』をつくってみよう」

手回し発電機、そして、自転車を使っての発電

を体験。パリ協定が発効する本年、みなさんが、

電気を上手に使えるようになりますように。

◇長崎ペンギン水族館

「海の生きものタッチプール / 標本」

Page 6: サイエンス・ファイトだより...「飲み水を作ってみよう ~非常用の膜濾過浄水器~」 水がないと、生きていけない人類。緑色の濁っ

生き物に触れ、生き物の多様性に気づいた子

も・・・。水の生き物は水の管理が重要ということ

も体感したようです。

生きた化石と言われるカブトガニの標本に身

を乗り出し・・・、その体のつくりに興味津々。

◇長崎大学 名誉教授 羽坂雅之

「金属で遊ぼう」

◇長崎大学 名誉教授 後藤信行

「へそで茶がわかせるか?」

◇長崎大学 教授 田邉秀二、 学生 中越修

「超音波を使うと、どんなことが起こるかな?」

「水に、超音波が作用すると、沸騰しているよ

うに見えるね、でも熱くないよ。」の説明に・・・

あの人もこの人も「科学者の目」で、超音波が

起こした現象を見つめます。

◇次世代科学者ロボットマスターコース

以下の2チームが発表実演。

長崎大学院生 前田真聡、井関尚也、嶋崎康介、

中1 小原陸愛、下釜多聞、岩崎拓樹、

中2 羽田野剛、山下温人、馬場涼生、福田耕平

「人に役立つロボット」を Arduinoを使って作成。

長崎大学院生 本多俊博、岸川景子、岡元隆之介、

櫻木卓哉、小6 加藤凜久、北田一真、河野吾郎、

田中宏汰、東 優菜、森下文椰中1 小久保雅紀

「人に役立つロボット」を Studuinoを使って作成。

研究発表の部

Page 7: サイエンス・ファイトだより...「飲み水を作ってみよう ~非常用の膜濾過浄水器~」 水がないと、生きていけない人類。緑色の濁っ

Tシャツをたたむロボットなど、センサーやサ

ーボモーターを上手く使い、プログラミングと機

械の組み立てで、これまでの研究の一端を発表。

どのような仕組みで動いているのか等、質問が

あっても、うまく説明していました。

◇次世代科学者数学マスターコース

次の2チームが発表。

中1 細見萌瑛、持永晃希、吉田穣、

中2 下島 歩

「図形の面積と体積」

Σや微分、積分。数学の美しさや面白さ。中学

生の学びと研究に舌をまく来場者も多数でした。

中1 井上未知

「和算のおもしろさ」

発表だけでなく、来場者にも演習問題にチャレ

ンジしていただきました。グループで参加し、お

互いの数学的センスの良し悪しを話題に、笑顔で

コーナーを後にされる方もおいででした。おっと

笑顔の本因は「和算のおもしろさ」であったに違

いありません。

お兄ちゃんがこれを

作ったの?すごい!

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◇諫早高校附属中学校 科学部 2年生

廣津敬也、中山良哉、花岡朋哉、福田拓海、

赤坂碩大

「五家原岳の甲虫の分布(クワガタムシとカナ

ブン)」

山頂からふもとまで、分布を調べてその様子を

発表。小さな子どもたちが、標本に見入ってなか

なか離れようとしません。

◇長崎南高等学校 2年生

以下 11 のテーマで研究発表。37 名の生徒さん

がそれぞれの研究成果を熱っぽくプレゼン。

「キクイモ焼き菓子摂取が健常高校生の便通に

及ぼす影響」「機能性解明実験の検証」「機能性食

品の研究開発」「脂肪量測定方法の研究」「組織培

養」「水生生物を用いた水質評価手法『日本版平

均スコア法』の研究」「乳酸菌の検索と特性の研

究」「茶葉の可能性」「抗菌物質の探索」「ビタミ

ンC簡易測定器の製作」「長崎県農産物を使った

ハンドクリームの製作」

高校生の熱気が来場者に伝わります。

なるほど~

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◇長崎北陽台高等学校 生物部

1年生や2年生6名が「タマキビ類の生態に関

する研究」「大村湾のタコクラゲの青色の謎と『タ

コクラゲ - 褐虫藻』共生系メカニズムの解明の

基礎研究」「ヒジキの野外での生育状況と室内培

養およびアラメの再生実験」の3テーマで発表。

説明のうまさに、聞き手も引き込まれます。

◇長崎北陽台高等学校 理数科

1年生9名が「海苔でノリノリ種判別」「トラ

フグの診察」「魚の“バーコード”?」の3テー

マで発表。

◇長崎西高等学校 2年生

「ゴム状硫黄に関する研究」を3名で発表。

◇長崎鶴洋高等学校 水産科 3年生

「モールス通信の体験実習」を3名の生徒さん

が、実施。来場者は初めての体験に興味津々。

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◇長崎鶴洋高等学校 総合学科 2年生

「不思議なサイコロ、電気自動車、機械実習作

品」を3名の生徒さんが発表。

◇諫早農業高等学校 2年生

6名が「植物工場を用いた伝統野菜の栽培に関

する取組」「長崎県内の希少植物保護に関する取

組」の2テーマで発表。

◇諫早高等学校 科学部 1年生

2名が「アリを誘引する物質についての研究」

を発表。それは砂糖のにおい等ではなさそうです。

その説明のうまさに感服。(説明に聞き惚れ、写

真を取り損ねました。申し訳ありません。) ◇長崎東高等学校 2年生

「公衆衛生 ~石鹸で救える命~」のテーマで

2名の生徒さんが発表。当日は、模擬試験終了後、

その足で駆けつけいただきました。

◇大村工業高等学校 建築工学科3年生「道守」班

「インフラ長寿命化体験実習 課題研究『道守』

班」を紙上発表。

◇長崎県教育センター

高校生のための「学び直し」授業動画の紹介。

小・中学生の展示による作品発表も力作が勢揃

いでした。どれも各地区理科部会や学校より推薦

いただいた作品です。今回は県央と県南より小学

校 31 校、中学校 25 校から出展いただきました。

出展数は以下のとおりです。

小学生 中学生 計

長崎市 18 21 39

諫早市 6 7 13

大村市 4 0 4

西海市 5 1 6

西彼杵郡 3 3 6

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一つひとつ手にとって、内容をご覧になる方が

大勢でした。

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クイズ大会は10チームが参加。予選を通過して、

決勝へ進んだ次世代数学マスターAチーム、同B

チーム、諫早高附属中Aチーム、長大附属中理科

同好会の4チームはそれぞれ10問中8問、8問、

9問、9問正解で、ハイレベルでのつばぜり合い

を展開。同点での勝者決定問題でもなかなか勝負

はつかず、最後に諫早高附属中Aチームが勝利を

手にしました。

街中へ科学が出かけての「サイエンス・ファイ

ト」。このイベントも3年目を迎え、毎回、その

成果を感じています。来場のご年配の方が、「若

い方がこんなにがんばって、しかも素晴らしいこ

とをしておられる。」「頼もしく、そして、うれし

い。」としみじみ語って会場の中へとまた足を進

められました。 また、掲示した作品一覧表を見つめながら、ふ

るさとの学校からの作品が出展されているか、探

されている姿もありました。 買い物で観光通へお見えになったのでしょう。

しかし、目線は、それぞれのブースへ注がれ、足

を止めてご覧になった方もいらっしゃいました。 異年齢の児童・生徒・学生・先生・社会人等が

一堂に会する科学イベントだからこそ、それぞれ

に、刺激を受け、平素の勉強や研究を振り返り明

日への活力を得て幕を閉じた本年だったように

思います。 高校生のプレゼンは隣の様子を見ながら、それ

ぞれに工夫が加えられ、若者の柔軟性と力量を感

じました。 県内企業や研究機関等からのご出展もいただ

きました。技術力のすばらしさや企業活動の様子

を県民の皆様に知っていただく機会になったよ

うに思います。 技術立国JAPANの明日は期待が持てそう

です。 本イベントにご協力くださいました関係者の

皆様に、あらためてお礼を申し上げます。

クイズ大会の部

どんなところがおもしろ

かったですか?

ホバークラフトを作って・・・

取材もありました。

テレビ局からの