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2013年12月2日

JOGMECリマ事務所 岨中 真洋

ペルーの鉱業の現状

平成25年度第7回金属資源関連成果発表会

1 ペルーの鉱山生産量の世界ランク －銅、亜鉛、銀が世界3位－

・ペルーは、鉱産物資源が多様で、多くの鉱種で世界の主要な生産国

・銅・亜鉛・銀・錫：3位、鉛：4位など（世界順位は2011年と変わらず）

・ビスマス（埋蔵量2位）、モリブデン（同4位）等のレアメタルのポテンシャルも高い

ペルーの鉱山生産量と世界ランク（2012年）

10．ペルーの鉱業の現状

鉱種2011年ペルー生産量

2012年ペルー生産量

増減(%)

2012年世界

生産量

2012年ペルー

世界ｼｪｱ(%)

2012年世界順位

（ ）は11年順位

上位生産国（2012年）

銅(千ｔ) 1,235.3 1,298.6 5.1 17,085.0 7.6 3(3) 1位：チリ(5,434)、2位：中国(1,602)、4位：米国(1,195)

亜鉛(千ｔ) 1,256.4 1,281.0 2.0 13,361.3 9.6 3(3) 1位：中国(4,930)、2位：豪州(1,541)、4位：ｲﾝﾄﾞ(815)

鉛(千ｔ) 230.2 248.7 8.0 5,296.5 4.7 4(4) 1位：中国(2,838)、2位：豪州(648)、3位：米国(348)

金(ｔ) 166.2 161.3 -2.9 2,592.1 6.2 6(6) 1位：中国(403)、2位：豪州(250)、3位：米国(226)、4位：ﾛｼｱ(183)、5位：南ア(167)

銀(ｔ) 3,418.5 3,478.7 1.8 24,650.9 14.1 3(3) 1位：ﾒｷｼｺ(5,046)、2位：中国(3,906)、4位：豪州(1,728)

錫(千ｔ) 28.9 26.1 -9.7 276.2 9.4 3(3) 1位：中国(116)、2位：ｲﾝﾄﾞﾈｼｱ(78)、4位：ﾎﾞﾘﾋﾞｱ(20)

ﾓﾘﾌﾞﾃﾞﾝ(千ｔ) 19.1 16.8 -12.0 264.7 6.3 4(4) 1位：中国(121)、2位：米国(56)、3位：チリ(35)

出典： エネルギー鉱山省

世界生産量及び世界順位：World Metal Statistics Yearbook 2013

843

1,276 1,247 1,235

1,299 1,374

1,513 1,470

1,256 1,281

172.6 184.0

164.1 166.2 161.3

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

銅

亜鉛

金

出典：エネルギー鉱山省

金（ｔ）

銅、亜鉛 （千ｔ）

出典：エネルギー鉱山省

金（ｔ）

銅、亜鉛 （千ｔ）

2

ペルーの鉱山生産量の推移 －近年減少傾向にあった鉱山生産量は持ち直しか－

・90年代のフジモリ政権時代の民営化政策、外資促進政策で、ペルー鉱業は大きく成長

・主要鉱種である銅生産量は10年前の1.5倍に伸び、2012年は過去最高の生産量（1,299千ｔ）

・過去3年間の生産量は減少傾向にあったが、2012年は銅、亜鉛それぞれ対前年比5.1%及び2.0％増に

・一方で既存鉱山の鉱量枯渇、新規鉱山開発プロジェクトの遅れも

10．ペルーの鉱業の現状

ペルー・銅、亜鉛、金の鉱山生産量の推移

3 ペルーの鉱産物輸出額の推移 －鉱業部門が貿易拡大に大きく貢献－

10．ペルーの鉱業の現状

21,723 27,361 25,921

3,088

4,704 4,959

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

2010 2011 2012

その他

化学品

農産物

繊維製品

畜産物

水産物

石油・天然ガス

鉱産物

45,639 46,268

35,565

1,261

8,870

10,711

10,483

2,102

7,756

10,104

9,558

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

その他

銀

モリブデン

錫

鉄鉱石

亜鉛

鉛

金

銅

27,361

21,723

4,690

25,921

・鉱産物の輸出額が総輸出額の57％を占める。また、銅、金が鉱産物輸出額の約8割を占める

・金属価格のピークを過ぎた影響がわずかに鉱産物輸出額に反映

・2012年は金属価格高騰の影響で過去最高を記録した2011年に対し、5.3％減少

総輸出額の推移 鉱産物輸出額の内訳 百万US$

百万US$

出典：国税庁（SUNAT） 出典：国税庁（SUNAT）

4 我が国のペルーからの銅、亜鉛精鉱輸入量 － ベースメタル供給国として重要なポジション －

10．ペルーの鉱業の現状

・精鉱輸入相手国として、ペルーは銅が第2位、亜鉛が第3位（ボリビアが36.9％伸び第2位に）

・2012年のペルーからの輸入は、銅精鉱が795千ｔ（対前年比25.4％↑）、亜鉛精鉱が195千ｔ（対前年比14.0％↓）

（ｔ） （ｔ）

2011年 豪州304千ｔ

2011年 ﾍﾟﾙｰ226千ｔ

2011年 チリ2,085千ｔ

2011年 ﾍﾟﾙｰ634千ｔ

日本の銅精鉱輸入量 日本の亜鉛精鉱輸入量

出典：財務省貿易統計 出典：財務省貿易統計

ペルー2012年：795千ｔ

チリ2012年：2,470千ｔ チリ2012年：2,470千ｔ

0

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

1,200,000

1,400,000

2000 2002 2004 2006 2008 2010 2011 2012

その他

カナダ

ﾎﾝｼﾞｭﾗｽ

メキシコ

米国

ペルー

ボリビア

豪州

ペルー2012年：195千ｔ

ボリビア2012年：214千ｔ

豪州2012年：297千ｔ

0

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

2000 2002 2004 2006 2008 2010 2011 2012

その他

米国

アルゼンチン

ﾊﾟﾌﾟｱﾆｭｰｷﾞﾆｱ

ｲﾝﾄﾞﾈｼｱ

カナダ

豪州

ペルー

チリ

ペルー2012年：795千ｔ

チリ2012年：2,471千ｔ

5 銅鉱山生産量 －メジャー企業の独占状態－

銅鉱山の供給構造

（上位5鉱山が占める割合）

・上位5鉱山で全生産量の85％を占め、いずれも外資系企業が所有

・Antamina鉱山が拡張工事を完了し第1Qよりフル生産で対前年比33％増、Tintaya鉱山は鉱量枯渇により46％減

・ペルー最大のAntamina鉱山及び第2位のCerro Verde鉱山とも日本企業が参画

・我が国にとって、重要な資源供給基地

ペルー・上位10銅鉱山の生産量（2012年）

10．ペルーの鉱業の現状

Antamina 36%

Cerro Verde 21%

Cuajone 12%

Toquepala 12%

Tintaya 4%

その他

15%

精鉱 SX-EW

1 AntaminaBHP Billiton:33.75%、Glencore Xstrata:33.75%、Teck Resources:22.5%、三菱商事:10%

347,059 462,832 462,832 0 33.4 %

2 Cerro VerdeFreeport McMoRan:53.6%、Buenaventura:18.2%、住友金属鉱山:16.8%、住友商事:4.2%

302,904 278,813 224,972 53,841 -8.0 %

3 Cuajone Southern Copper (Grupo Mexico:80.9%) 143,626 161,732 158,804 2,928 12.6 %

4 Toquepala Southern Copper (Grupo Mexico:80.9%) 152,214 149,379 120,113 29,266 -1.9 %

5 Tintaya Glencore Xstrata 95,262 51,875 43,031 8,844 -45.5 %

6 Cerro Corona Gold Fields 40,245 37,673 37,673 0 -6.4 %

7 Cerro Lindo Milpo (Votorantim:50.02%) 23,259 29,929 29,929 0 28.7 %

8 Colquijirca El Brocal (Bueneventura:53.24%) 24,347 24,000 24,000 0 -1.4 %

9 Condestable Iberian Minerals 22,576 20,887 20,887 0 -7.5 %

10 Cobriza Doe Run 20,313 20,258 20,258 0 -0.3 %

1,171,805 1,237,378 1,142,499 94,879 5.6 %

63,540 61,186 55,058 6,128 -3.7 %

1,235,345 1,298,564 1,197,557 101,007 5.1 %

出典：エネルギー鉱山省

増減順位 鉱山名 権益所有企業合計

2012年生産量（ｔ）2011年

生産量（ｔ）

計

その他

総計

6 亜鉛鉱山生産量 －中小のペルー企業が担い手－

ペルー・上位10亜鉛鉱山の生産量（2012年）

10．ペルーの鉱業の現状

亜鉛鉱山の供給構造

（上位5鉱山が占める割合）

・1位のAntamina、5位のIscaycruzを除き、ペルーの民族資本系の企業が操業する小･中規模クラスの鉱山が大半

・2012年は2010.4から生産を再開し2011年に第2位に返り咲いたIscaycruz鉱山は鉱量減により28％減と振るわず

・我が国企業（三井金属鉱業）によるHuanzala鉱山が2013年に45週年を迎えた

（2012年生産量 Huanzala：亜鉛19,703ｔ、Pallca：亜鉛14,095ｔ、エネルギー鉱山省による）

Antamina 21%

Cerro Lindo 9%

Chungar 8%

San Cristobal

7% Iscaycruz

7%

その他

48%

順位 鉱山名 権益所有企業2011年

生産量（ｔ）2012年

生産量（ｔ）

1 AntaminaBHP Billiton:33.75%、Glencore Xstrata:33.75%、Teck Resources:22.5%、三菱商事:10%

270,457 269,989 -0.2 %

2 Cerro Lindo Milpo (Votorantim:50.06%) 96,157 114,038 18.6 %

3 Chungar Volcan 103,786 99,217 -4.4 %

4 San Cristobal Volcan 87,289 87,848 0.6 %

5 Iscaycruz Glencore Xstrata 121,103 87,617 -27.7 %

6 El Porvenir Milpo (Votorantim:50.06%) 65,191 71,956 10.4 %

7 Cerro de Pasco Volcan 64,370 49,557 -23.0 %

8 Atacocha Milpo (Votorantim:50.06%) 47,893 45,461 -5.1 %

9 Catalina Huanca Iberian Minerals (98.73%) 22,073 38,670 75.2 %

10 Andaychagua Volcan 32,819 37,463 14.2 %

911,138 901,816 -1 %

345,245 379,159 9.8 %

1,256,383 1,280,975 2.0 %

増減

出典：エネルギー鉱山省

計

その他

総計

7 金鉱山生産量 －M.D.D.が大きく減産－

・2012年5月からの軍と警察による違法鉱業取締り強化と、インフォーマル鉱業従事者の合法化手続き開始

・2012年、M.D.D.はこれにより、生産量が半減（2012年5月までは違法鉱業・インフォーマル鉱業が含まれる）

・新規のLa Arenaが本格操業を開始し、2012年は6.2ｔの金を生産、ペルー第5位の金鉱山に

金鉱山の供給構造

（上位5鉱山が占める割合）

ペルー・上位10金鉱山の生産量（2012年）

10．ペルーの鉱業の現状

Yanacocha 26%

Lagunas Norte 14% M.D.D

7%

Orcopampa 5%

La Arena 4%

その他 44%

順位 鉱山名 権益所有企業2011年生産量（kg）

2012年生産量（kg）

1 YanacochaNewmont:51.35%、Buenaventura:43.65%、IFC:5%

40,221 41,865 4.1 %

2 Lagunas Norte Barrick Gold 23,726 23,456 -1.1 %

3 M.D.D Madre de Dios 22,490 11,412 -49.3 %

4 Orcopampa Buenaventura 8,116 7,417 -8.6 %

5 La Arena Rio Alto 1,656 6,214 275.2 %

6 Horizonte-Curaubamba Consorcio Minero Horizonte 5,811 5,727 -1.4 %

7 Tucari Aruntani 6,194 5,531 -10.7 %

8 Cerro Corona Gold Fields 5,232 5,508 5.3 %

9 Retamas Minera Aurifera Retamas 5,160 5,465 5.9 %

10 Santa Rosa Minera Aurifera Santa Rosa 5,660 4,994 -11.8 %

124,266 117,589 -5.4 %

41,921 43,737 4.3 %

166,187 161,326 -2.9 %

増減

出典：エネルギー鉱山省

計

その他

総計

8 地金生産量 －La Oroya製錬所、2012年9月に一部生産再開－

ペルーの地金生産量（2012年）

10．ペルーの鉱業の現状

・La Oroya製錬所が資金繰りの悪化などから2009年6月以降操業を停止していたが、2012年9月一部生産再開

・Funsur錫製錬所が約2割減産

権益所有企業2011年ペルー

生産量（ｔ）

2012年ペルー

生産量（ｔ）

2012年世界

生産量（ｔ）

ペルー比率(%)

2012年主要生産国（千ｔ）

Ilo Southern Copper (Grupo Mexico) 223,113 203,865 -8.6 %

La Oroya Doe Run 0 1,934 －

Cajamarquilla Votorantim 4,206 4,320 2.7 %

合計 227,319 210,119 -7.6 % 16,678,400 1.3

Cajamarquilla Votorantim 313,714 315,893 0.7 %

La Oroya Doe Run 0 3,387 －

合計 313,714 319,280 1.8 % 12,609,000 2.5

La Oroya Doe Run 0 0 －

合計 0 0 － 10,615,000 0.0

Funsur Minsur 32,290 24,811 -23.2 %

合計 32,290 24,811 -23.2 % 360,700 6.9

出典：ｴﾈﾙｷﾞｰ鉱山省、ICSG Copper Bulletin June 2013、ILZSG Lead and Zinc Statistics June 2013、World Metal Statistics　Yearbook 2013

注）①La Oroya製錬所は2009年半ばから生産停止、2012年一部生産再開

　　 ②銅地金世界生産量は、SX-EW生産分（3,659千ｔ）を除く

1位：中国(5,333.0)2位：日本(1,608.8)3位：チリ(1,342.4)注）SX-EW生産除く

1位：中国(4,829.0)2位：韓国(877.0)3位：インド(711.0)

1位：中国(4,646.0)2位：米国(1,311.0)3位：ドイツ(423.0)

1位：中国(148.1)2位：ｲﾝﾄﾞﾈｼｱ(79.8)3位：ﾏﾚｰｼｱ(37.8)

製錬所名

銅

亜鉛

鉛

錫

増減

9

今後の鉱山開発プロジェクト

10．ペルーの鉱業の現状

・2012年の鉱業投資額は85.5億US$で、2011年に比べ18％増となり、過去最高を更新中（2008年の5倍に）

・2012年の鉱業投資額85.5億US$のうち、探鉱費は8.9億US$、企業別投資額ではChinalcoが11.8US$でトップ

・エネルギー鉱山省発表によると、現在42件の鉱業プロジェクトが実施あるいは計画中で投資額は計544億US$

今後の鉱山開発プロジェクトと投資額（１／２）

鉱種 企業名 プロジェクト名調査ｽﾃｰｼﾞ

（生産開始予定年）

投資額（百万US$）

Glencore Xstrata Las Bambas EIA承認済 (2015) 5,200Soc. Mra. Cerro Verde （Freeport McMoran/ Sumitomo） Cerro Verde 拡張工事中（2016） 4,400CHINALCO Toromocho 開発準備中 3,500Anglo American/ Mitsubishi Quellaveco EIA承認済 (2016) 3,300Antares Haquira 探鉱中 (2015) 2,800Lumina Copper （Minmetals/ Jiangxi） Galeno 探鉱中 （2016） 2,500Hudbay Minerals/ Hudbay Peru Constancia EIA承認 (2014) 1,790Candente Resources Canariaco 探鉱　（未定） 1,599Southern Copper Los Chancas 探鉱中 （2015） 1,560AQM Copper （Teck Resources/AQM/MiysubishiMaterial）

Zafranal 探鉱中 （未定） 1,520

Rio Blanco Copper （Zijin Group） Rio Blanco 探鉱中 （2019） 1,500Minera Hampton （Metminco） Los Calatos 探鉱中 （2018） 1,320Rio Tinto La Granja 探鉱中 (2017） 1,000

Southern Copper Tia MariaEIA（2回目）実施中(2015）

1,000

Brescia/ Korea Resources/ LS Nikko Copper Marcobre（Mina Justa） EIA承認済 (2015) 744Anglo American Michiquillay 探鉱（未定） 700Milpo　（Votorantim Metais) Pukaqaqa EIA審査中 （2016） 630

Toquepara 拡張工事中（2014） 600Cuajone 拡張工事中（2013） 300Ilo 拡張工事中（未定） 未定

Milpo　（Votorantim Metais) Magistral 探鉱中 (2016) 750Pan Pacific Copper Quechua 探鉱中 (未定) 490Vichaycocha （Volcan） Rondoni 探鉱中 （2016） 350Junefield Cercana 探鉱中 （未定） 未定

銅

Southern Copper

10 今後の鉱山開発プロジェクト

10．ペルーの鉱業の現状

今後の鉱山開発プロジェクトと投資額（２／２）

鉱種 企業名 プロジェクト名調査ｽﾃｰｼﾞ

（生産開始年）

投資額（百万US$）

Newmont/ Buenaventura Minas Conga EIA承認済 （2017） 4,800Canteras de Hallazgo Chucapaca 探鉱中 （未定） 1,200Barrick Misquichilca/ Barrick Gold Lagunas Norte 拡張工事中（2013） 400Minera Suyamarca （Hochschild60%、IMZ40%） Inmaculada 開発準備中 （2014） 370Minera Kuri Kullu （IRL Ltd) Ollachea EIA審査中 （2015） 170Sulliden Shauindo （Sulliden Gold） Shauindo 探鉱中 （2014） 132Ares （Hochschild） Crespo EIA審査中 （2014） 110Invicta Mining （Andean American Mining） Invicta EIA承認済 （2014） 93Reliant Venture （Silver Standard) San Luis EIA承認済 （未定） 未定Jintong （Beijing Rich Gold Investment) Llama TY01 探鉱中 （未定） 未定Bear Creek Mining Corani 探鉱（2015） 750Alpamarca （Volcan） Alpamarca EIA承認済 （2013） 90Milpo Hilarion 探鉱中 (2016） 470Zincore Minerals Accha 探鉱中　(2017) 345.5El Brocal （Buenaventura） Colquijirca 拡張工事中（2013） 305.1Jinzhao Mining Peru （Nanjinxhao Group/ ZiboHongdaMining）

Pampa de Pongo 探鉱中 （2015） 3,280

Apurimac Ferrum （Strike Resources） Hierro Apurimac 探鉱中 （未定） 2,300Shougang Marcona 拡張工事中（2014） 1,480Minera Cuervo　　　　　　　　　　　　　　 （CuercoResources/ Strike Resources）

Cerro Ccopane 探鉱中 （未定） 未定

リン Miski Mayo/ Vale Bayovar 拡張工事中 （2014） 52054,369合　　　　　　計

金

銀

亜鉛

鉄鉱石

・2012年の鉱業投資額は85.5億US$で、2011年に比べ18％増となり、過去最高を更新中（2008年の5倍に）

・2012年の鉱業投資額85.5億US$のうち、探鉱費は8.9億US$、企業別投資額ではChinalcoが11.8US$でトップ

・エネルギー鉱山省発表によると、現在42件の鉱業プロジェクトが実施あるいは計画中で投資額は計544億US$

11

10．ペルーの鉱業の現状

主な鉱山・製錬所と鉱山開発プロジェクト位置図

Huanzala鉱山遠景

Cerro Verde鉱山選鉱所遠景

Antamina鉱山露天掘りピット遠景

12 持続的投資環境認証サービス局（SENACE）設立 －独立機関による環境影響評価（EIA）の審査に向けて（1/2）－

10．ペルーの鉱業の現状

（１）環境影響評価の十分な審査の必要性

・国の発展と環境保全は、産業社会の発展とともに両立の重要性が増大

・「環境影響評価の国家システムについての法律（法律第27446号、2001年）」、「国家環境管理システムのフレームワークについての法律（法律第28245号、2004年）、「環境一般法」（法律第28611号、2005年）等制定

・鉱業ではPAMと呼ばれる、いわば「負の鉱業遺産」が各所に存在し、具体的な環境改善につながらず、環境破壊を「ネタ」にする社会争議も多発、政府と鉱業は信用を失う

・従来は環境影響評価書の審査が不十分で、政府の承認後に環境影響評価の不十分さが問題となる事例有り（Minas Conga金プロジェクトほか）

（２）持続的投資環境認証サービス局（SENACE）設立

・不十分であった環境影響評価書審査を厳しく行うため、従来の事業推進サイドによる審査を独立機関で

・2012年12月12日、SENACE設立法（法律29968号）公布

（３）SENACE概要

・国家環境影響評価システム法（法律27446）及びその施行細則に規定される環境影響詳細評価（EIA-d）の審査・承認を行う機関

・明らかな環境への影響を与える活動、建設、その他工事や商業活動を伴う全国的或いは複数の地方レベルにおける公共・民間或いは官民共同投資プロジェクトを対象

13 持続的投資環境認証サービス局（SENACE）設立 －独立機関による環境影響評価（EIA）の審査に向けて（2/2）－

10．ペルーの鉱業の現状

（４）SENACEの機能

・本法第1条に基づく環境影響詳細評価の審査・承認

・環境コンサルタントの登録業務及び、管轄機関により承認或いは却下された全国規模又は地方規模の環境ライセンスの登録・更新業務。なお環境評価監査局（OEFA）の有する監査・罰則適用権限とは別途これらの業務を実施

・必要に応じ、有識者の技術的な照会等に対し、法の枠内で対応

・政府の調整メカニズムや地域社会との関係、市民参加等を含めた、環境影響詳細評価の評価方法の継続的な改善を目的とした提案の作成

・境影響詳細評価の承認プロセスを実施する単一窓口の設置

（５）SENACE審議会

・SENACEの最高権限組織で、SENACEの予算、方針策定、運営、人事、権限内での規則策定等の意思決定を行う

・SENACE審議会構成メンバー（大臣）は環境大臣（会長）、経済財務大臣、農業大臣、エネルギー鉱山大臣、生産大臣、保健大臣の６名

（６）SENACE現況

・SENACE設立法末尾に移行・補完規定あり

・SENACE設立・体制構築・機能移転の道筋を規定、現在、それに従い業務開始準備中

・SENACEによる環境影響評価書（EIA-d）の審査・承認は2014年4月からの見通し

14 インフォーマル鉱業合法化と違法鉱業取締 －環境破壊、無秩序、鉱業の信用失墜をもたらすものへ－

10．ペルーの鉱業の現状

（１）インフォーマル鉱業と違法鉱業

・インフォーマル鉱業は、鉱業活動が認められる地域において、必要な法的手続きを踏まず行われている鉱業活動（→合法化への道）

・違法鉱業は、自然保護区等の鉱業活動が禁止されている地域において鉱業や環境等に関連する法規・手続きを無視して行われている鉱業活動（→取締り）

・国家財産の管理・保全への悪影響、納税義務違反、無秩序な森林伐採、浚渫、水銀使用、児童労働、人身売買、マフィアとの関連、テロリストの資金源などにつながり社会問題化

（２）Madre de Dios県等の状況

・2012年3月、違法鉱業を取り締まろうとする政府と既得権を脅かされるとするインフォーマル・違法鉱業従事者の対立で警官隊との衝突により3名の死者と多数の負傷者

・2012年3月、Madre de Dios県の3万人のインフォーマル鉱業従事者の合法化支援を打ち出す

・2012年4月、違法鉱業を犯罪と定義。翌5月、インフォーマル鉱業合法化手続が進まないことから、Arequipa

県などで大規模な道路封鎖等の事態に

・2012年5月以降は、Madre de Dios県で軍と警察により大規模な違法鉱業取締開始

・Madre de Dios県ではインフォーマル鉱業従事者の合法化手続きが進められていき、一旦は沈静化

・2013年8月、インフォーマル鉱業合法化期限（2016年末）を早めようとした政府に反対するペルー南部諸県のインフォーマル鉱業従事者が再び大規模な抗議行動実施

・2013年9月、エネルギー鉱山省発表によると、これまでに7万人以上のインフォーマル鉱業従事者が合法化への意思表示を行った

・合法化の申請期限は2014年4月19日

15 Minas Conga 金プロジェクト その後 －ペルー政府が最も重要と位置付ける鉱業プロジェクトの１つ－

10．ペルーの鉱業の現状

（１）Minas Conga 金プロジェクト概要

・ペルー北部Cajamarca県のCajamarca市街地の北東30kmに位置する金探鉱プロジェクト

・プロジェクト権益はNewmont（米国）51.35％、Buenaventura（ﾍﾟﾙｰ）43.65％、InternationalFinance Corp. 5％

・鉱量5億3,600万ｔ （Au：0.73g/t、Ag：2.2g/t、Cu：0.28%）で、投資額48億US$の大型プロジェクトであるが、Cajamarca県のGregorio Santos知事に率いられた反鉱業運動により2012年8月、プロジェクトは中断

・プロジェクト実施主体のYanacocha社は、プロジェクト実施地域住民のための貯水地建設を実施

・これまでに15億US$が投資

（２）最近の動き

・2013年6月、現地で破壊行動を伴う反鉱業運動が再燃するも沈静化

・2013年9月、Buenaventura社(本社：ペルー)のBenavides社長は、Minas Conga金プロジェクト(Cajamarca県)

に対する反対勢力は縮小したとの考えを明らかにし、「反対勢力によって計画される抗議運動への参加人数は減少している」、「現状では貯水池の建設が終わり、プロジェクト地域内のアクセス道路建設が行われているが、プロジェクトの開始時期については人的な要因次第であるとし、将来的に生産開始できることを望む」とコメント

・2013 年 9 月末、Newmont 社(本社：米国)の Goldberg CEO は、2012 年から中断している Minas Conga 金プロジェクト(Cajamarca 県)に関して、2014 年の地方選挙の終了後に再開を検討する方針を明らかに

・Newmont 社は、同プロジェクトへの反対勢力の中心となっている Santos 現 Cajamarca 県知事の任期満了に伴う 2014 年の選挙を待ち、新たな県知事による鉱業活動への対応方針を見極めた 2015 年以降に同プロジェクト実施の決定を行う模様

16 最近発生した反鉱山運動の事例 －頻発する反鉱山運動－

10．ペルーの鉱業の現状

プロジェクト名（所在地）

実施企業

2010.4 水不足や環境汚染を懸念して反対する地元住民等が6日間に亘りパンアメリカン・ハイウェーを封鎖2010.5 エネルギー鉱山大臣が海水の淡水化を要請

2010.11鉱山側が海水を淡水化して利用する計画を表明したものの、鉱業活動による農用地への悪影響を理由に地元住民が大規模な抗議運動を実施し、多数の逮捕者、けが人が発生

2011.3 エネルギー鉱山省がEIAの修正を通達。反対運動が再び活発化し、無期限抗議行動に発展

2011.4治安部隊とデモ隊の衝突により死者が発生。MEMがEIAに修正不可能な箇所が複数確認されたことを理由にEIAの非承認を決定、機材、資材の撤収を命令（鉱業活動の中止命令）

2012.2 Southern Copper社が新たなEIA作成を表明2010.10 国立水資源機構（ANA）が灌漑プロジェクトからの水輸送を許可したことに対して、地元住民が抗議行動を実施2011.2 住民との合意が得られず、同プロジェクトの開発移行に関する社内承認手続きを先送り2011.7 プロジェクトの実施を2012年に延期することを決定2011.4 道路封鎖等による反鉱業デモが発生2011.5 プロジェクトの中止を求める反鉱業運動が激しさを増す中、政府はプーノ県における鉱区付与を12ヶ月停止する最高政令を発令2011.6 道路封鎖などによる反鉱業運動が再開。政府は鉱区の付与を承認した最高政令を廃止（鉱区取消）2013.2 Limaの民事裁判所はエネルギー鉱山省による鉱区取消の論拠は無効であると判断2011.9 Tacna県がSouthren Copper社の水利用権の差し止めを要求2011.10 政府が、2010.9に実施されたEIA公聴会の無効を決定2012.3 Southern Copper社がEIAの承認プロセスを一時中止すると発表

Antamina鉱山（Ancash県）

Antamina社 2011.11 地域住民らが、Antamina社等に対して環境対策の実施を要求し、道路封鎖等による抗議行動を実施

2010.10 エネルギー鉱山省がEIAを承認2011.10 地元住民らが水資源の枯渇を招くとしてプロジェクトの中止を要求2011.11 地元住民らがプロジェクトの中止を求めて無期限抗議デモを実施2011.12 Cajamarca県に非常事態宣言発令2012.2 政府は国際専門家チームによるEIA再評価を開始2012.4 EIA再評価報告書完成。再評価で水源保全対策等で新たな提案が提示される2012.6 Newmontは、再評価報告書の内容を踏まえた開発計画の修正を行うことを表明2012.7 反鉱山運動デモ隊と警察との衝突で、デモ隊側に死者5名発生2012.8 Newmontは、中央政府と地元地域の関係が正常化し、地元の理解が得られるまで中止を決定（水資源確保のための貯水池建設は実施）2012.10 開発予定地の住民の移転開始2012.12 移転反対派住民が移転住民を拘束したことに警察が介入、反対派と警官隊の衝突となり、負傷者発生2012.9 プロジェクト受け入れの是非を問う住民投票が実施され、投票を行った住民らの95％が反対を表明2012.12 環境破壊阻止・水資源保全を訴える地元住民がプロジェクト中止を訴え、地質技師らの身柄を一時拘束2013.1 地元Cañaris村では、500人あまりの農民とその家族が無期限抗議行動を開始2013.1 アクセス道路を封鎖していた住民らと警官隊が衝突し、住民複数が負傷2013.5 先住民に対する事前協議法の適用をめぐるエネルギー鉱山省と環境省の対立を原因として、文化省のLa Negra異文化受容次官が辞任

2013.5Candente Copper社、Cañariaco銅プロジェクトの探鉱活動を一時中止するも、今後もプロジェクト実施地域及び周辺に対する社会プログラムを継続していく旨発表

Toromocho銅プロジェクト（Junin県）

Chinalco

Cañariaco銅プロジェクト（Lambayeque県）

Candente Copper社

Santa Ana銀・鉛・亜鉛プロジェクト（Puno県）

Bear Creek Mining社

Toquepala銅鉱山拡張プロジェクト

（Moquegua 県）

Southern Copper社

Minas Conga金プロジェクト（Cajamarca県）

NewmontBuenaventura社

経　　緯

Tia Maria銅プロジェクト（Arequipa県）

Southern Copper社

Quellaveco銅プロジェクト（Moquegua県）

Anglo American